JP5229524B2 - 車両のシート構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車両のシート構造に係り、特に前側シートと後側シートが車両前後方向に並んで設置された車両のシート構造に関する。
車両前突時、車室内のシートに着座している乗員は、慣性によって車両前方に移動する力を受ける。前突時に前方移動する乗員を保護するため、車両には、例えばステアリングホイール内等にエアバッグが装備されている。
しかしながら、このようなエアバッグは、運転席等の前側シートの着座乗員用には用意されているが、リアシートである後側シートの着座乗員用には一般には用意されていなかった。
前突時におけるリアシートの着座乗員の保護に関し、特許文献1では、前突時にリアシートの乗員とフロントシートとの衝突による衝撃を緩和することが可能なエアクッション装置が提案されている。このエアクッション装置は、エアクッションと、このエアクッションをフロントシートのシートバックに取り付けるための取付部とを備えている。このエアクッション装置は、エアクッションをフロントシートのシートバック及びヘッドレストの後側に位置するように予め取り付けておくものであり、前突時にリアシートに着座していた乗員が前方移動してきたときに乗員をエアクッションにより受け止め、衝撃を吸収し、リアシートの乗員の保護を図ることができるようになっている。
特開2003−200801号公報
しかしながら、特許文献1に記載のエアクッション装置は、フロントシートとは別部材であり、これをフロントシートに取り付けることにより、車両用シートがコスト高となってしまうというという問題があった。また、フロントシートにエアクッション装置を取り付けるため、フロントシートが重量増となってしまうという問題があった。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、車室内空間を狭めることなく、簡単な構成で、車両前突時に後側シートの着座乗員の保護を図ることができる車両のシート構造を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために、本発明は、前側シートと、この前側シートの車両後方に配置された後側シートを備え、車両前突時に後側シートの着座乗員を保護するための車両のシート構造であって、前側シート及び後側シートは、シートクッションと、シートバックを備え、前側シートのシートバックの上部が、車両前突により後側シートの着座乗員が前方移動して接触したときの接触荷重によって前方変位可能に構成された前方移動部であり、前側シートのシートバックは、幅方向の両側で上下方向に延びるシートバックフレームを備え、このシートバックフレームは、前側シートのシートクッション側に取り付けられた支持フレームと、シートバックフレームの上下方向の中間部位を回動中心として支持フレームに回動可能に支持されると共に、回動中心よりも上方に延びて前方移動部を支持し、且つ、回動中心よりも下方で前側シートの着座乗員の腰部付近を支持するためのランバーサポートを保持する移動フレームとを備え、前側シートの前方移動部は、移動フレームの回動によって前方移動し、前側シートのシートバックは、移動フレームの回動中心よりも下方に、前側シートの着座乗員の腰部付近からの後方荷重を受けて後方移動可能であり、且つ、この後方移動により移動フレームを移動させるように移動フレームに連結された乗員用受圧部を備えており、この前側乗員用受圧部は、ランバーサポートよりも下方に配置されており、シートバックフレームは、後側シートの着座乗員の膝が後方からランバーサポートを押圧したときに、前方移動部を後方移動させる向きの回動力が移動フレームに発生しないように、ランバーサポートが前側乗員用受圧部よりも軟質な材料で形成されていることを特徴としている。
このように構成された本発明によれば、例えば、前突時に、後側シートの着座乗員が前方に移動して前席シートのシートバック上部に当接した場合、前側シートのシートバックの上部に設けられた前方移動部が、この後側シートの着座乗員の接触荷重を受けて前方移動する。これにより、後側シートの着座乗員に作用する衝撃が吸収され、乗員を保護することができる。
また、前側シートのシートバックの上部が前方移動する構成であるので、シートバックの上部に大掛りな装置を配置する必要がなく構成が簡略化されるため、シートバックを軽量化することができる。
また、このように構成された本発明によれば、例えば、前突時に後側シートの着座乗員から受ける前向きの接触荷重により、シートバックフレームの移動フレームが、シートバックフレームの上下方向の中間部位を回動中心として回動する。これにより、移動フレームに支持された前方移動部が前方移動し、後側シートの着座乗員に作用する衝撃をシートバックにより吸収することができる。
また、本発明において好ましくは、前側シートのシートバックの移動フレームには、ヘッドレストが連結されている。
このように構成された本発明によれば、後突時に、前側シートの着座乗員からの後方荷重を受けた前側乗員用受圧部が後方変位すると、これに連結された移動フレームが回動して前方移動部を前方移動させる。これにより、前側シートの着座乗員の後頭部とヘッドレストとを近接した状態に保持し、前側シートの着座乗員の頚部を保護することもできる。すなわち、本発明では、前側シートの着座乗員の頚部と、後側シートの着座乗員の頭部とを、同じ構成により保護することが可能である。
また、本発明において好ましくは、前側シートの前側乗員用受圧部は、後側シートの所定体型の着座乗員の膝よりも低い位置に配置されている。
このように構成された本発明によれば、前突時に、後側シートの着座乗員が前側シートのシートバックの上部を押圧する際、後側シートの着座乗員の膝が前側シートの前側乗員用受圧部を押圧してしまい、シートバックフレームの上部の前方移動部の前方移動を阻止することを防止することができる。
また、本発明において好ましくは、移動フレームの回動中心は、後側シートの着座乗員の膝の高さよりも上方に位置し、この回動中心から前側シートのシートバック上端部までの距離が、回動中心から前突時における後側シートの所定体型の着座乗員の膝とシートバックとの当接部位までの距離よりも長くなる位置に設定されている。
このように構成された本発明によれば、前突時に、後側シートの着座乗員が前側シートのシートバックの上部を押圧する際、後側シートの着座乗員の膝が前側シートのシートバックを押圧し、シートバックにその上部を後方に移動させるような回動力を作用させたとしても、着座乗員の膝がシートバックに作用することによって前方移動部を後側に移動させる回動力よりも、シートバックの上部に作用する外力によって前方移動部を前側に移動させる回動力を容易に大きくすることができる。これにより、後側シートの着座乗員の膝によって、シートバックフレームの上部の前方移動部の前方移動が阻止されることを防止することができる。
また、本発明において好ましくは、前側シートのシートバックの上部後方には、後側シートの着座乗員からの接触荷重による衝撃を吸収するための後側乗員用受圧部が、シート幅方向に延びるように設けられている。
このように構成された本発明によれば、後側乗員用受圧部により後側シートの着座乗員からの接触荷重を受けて、シートバックの上部の前方移動部を確実に前方移動させることができる。
本発明の車両のシート構造によれば、車室内空間を狭めることなく、簡単な構成で、車両前突時に後側シートの着座乗員の保護を図ることができる。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。先ず、図1乃至図5により、本発明の第1実施形態による車両のシート構造を説明する。
図1は車両のシート構造の全体構成図、図2は前側シートの斜視図、図3は前突時の前側シートの動作説明図、図4は図3の一部拡大図、図5は後突時の前側シートの動作説明図である。
図1に示すように、第1実施形態のシート構造1は、車室内に配設されたフロントシート2と、リアシート3とを備えている。後側シートとしてのリアシート3は、前側シートとしてのフロントシート2の車両後方に近接して配置されている。
本実施形態では、フロントシート2,リアシート3にそれぞれ乗員A,Bが着座した場合について説明する。乗員A,Bは、米国の連邦規制基準CRF49ch.5でAM50と呼ばれる米国成人男性のうちの平均的な体型の乗員に相当する。
車両フロア面5は、フロントフロア面5aと、その後方に連続してリアフロア面5bを備えており、フロントフロア面5aよりもリアフロア面5bの方が所定高さだけ高くなるように段部が構成されている。また、フロントフロア面5a及びリアフロア面5bは、車両前方が高くなるようにわずかに傾斜角θ(>0)だけ傾斜している。なお、図1中、線Lは、所定高さの水平面を表している。
フロントシート2はフロントフロア面5a上に配置され、リアシート3はリアフロア面5b上に配置されている。これにより、図1に示すように、所定の水平面Lからフロントシート2の着座面までの高さh1よりも、水平面Lからリアシート3の着座面までの高さh2の方が大きく設定されている(h1<h2)。図1では、高さh1,h2は、水平面Lから着座面のうち最も高い部位までの高さを示している。
図1では、フロントシート2,リアシート3には、それぞれシートベルト装置10,12が取り付けられている。シートベルト装置10は、乗員Aをフロントシート2に拘束するウェビング10aと、ピラー6の下部に配置されウェビング10aを巻き取るリトラクタ(図示せず)と、ピラー6上部に取り付けられたガイド10bを備えている。乗員Aは、ウェビング10aに取り付けられたバックル10cが、フロントシート2の側部に配設されたアンカ10dに脱着可能に係合されることにより、フロントシート2に拘束される。
また、シートベルト装置12は、乗員Bをリアシート3に拘束するウェビング12aと、サイドトリム7内に配置されウェビング12aを巻き取るリトラクタ12bとを備えている。乗員Bは、ウェビング12aに取り付けられたバックル12cが、リアシート3の側部に配設されたアンカ12dに脱着可能に係合されることにより、リアシート3に拘束される。
フロントシート2は、シートクッション20と、シートクッション20に対して傾倒可能に取り付けられたシートバック30と、シートバック30の上部に取り付けられたヘッドレスト50とを備えている。
リアシート3は、シートクッション3aと、シートバック3bと、ヘッドレスト3cとを備えている。リアシート3の基本構造は、フロントシート2と同様であるので詳細な説明は省略する。
図1,図2に示すように、シートクッション20は、シートクッションフレーム21と、シートクッションフレーム21上に載置されたクッション体25を備えている。
シートバック30は、シートバックフレーム31と、シートバックフレーム31の車両前方側に配設されたクッション体40と、シートバック30の上部に配設されたパッド(後側乗員用受圧部)41を備えている。
ヘッドレスト50は、ほぼU字状で下方に延びるステー51aを有するヘッドレストフレーム51と、ヘッドレストフレーム51の上部を覆うクッション体52とを備えており、ステー51aがシートバック30に支持されることにより、シートバック30に取り付けられている。
シートクッションフレーム21は、クッション体25を載置するシートパンの左右両側をサイドフレーム22が支持し、このサイドフレーム22をサイドレールが車両前後方向にスライド可能に保持する構成となっている。
シートバックフレーム31は、左右のサイドフレーム22にそれぞれ取り付けられた対向する一対の支持フレーム32と、支持フレーム32の上部に取り付けられ、さらに上方に延びるほぼ逆U字状の移動フレーム33と、ランバーサポート36と、受圧部(前側乗員用受圧部)37を備えている。
支持フレーム32は、連結シャフト22aを回動中心として回動可能にサイドフレーム22に取り付けられ、上方に延びている。一方の支持フレーム32はリクライニング機構23を介して連結されており、これにより、シートバック30は、シートクッション20に対して傾倒可能となっている。
移動フレーム33は、下方にほぼ平行に延びる2本のサイドフレーム33aと、サイドフレーム33aの上端をほぼ水平方向に連結するクロスフレーム33bを備えている。ヘッドレスト50のステー51aは、クロスフレーム33bのステー取付部に上下移動可能に取り付けられている。
2本のサイドフレーム33aは、上下方向の中央部位がそれぞれ左右の支持フレーム32の上部に回動可能に取り付けられている。詳しくは、サイドフレーム33aは、支持フレーム32に設けられた幅方向に延びる回動軸34を回動中心として回動可能となっている。これにより、移動フレーム33は、支持フレーム32に対して車両前後方向に所定回動角度範囲内で回動可能となっている。そして、2本のサイドフレーム33aは、それぞれ左右の支持フレーム32の内側で、支持フレーム32に沿って回動軸34よりもさらに下方の連結シャフト22a付近まで延びている。
なお、本実施形態では、シートバック30のうち回動軸34よりも上方が前方移動部30Aであり、前方移動部30Aは、移動フレーム33が図1で反時計方向に回動することにより、移動フレーム33に支持された状態で前方移動(前方変位)可能となっている。
図1に示すように、回動軸34は、回動軸34からシートバック30の上端部、すなわちクロスフレーム33b付近までの距離D1の方が、回動軸34からシートバック30(サイドフレーム33a)の乗員Bの膝の高さに相当する位置Cまでの距離D2よりも長くなるような高さに設定されている(D1>D2)。このように設定するには、回動軸34の高さ又はリアシート3の着座面の高さの少なくとも一方を調整すればよい。乗員Bの膝の高さに相当する位置Cは、前突時に、乗員Bが前方移動したときにおける乗員Bの膝とシートバック30との当接部位に相当する。
なお、本実施形態では、リアシート3の乗員Bを米国連邦規制基準CRF49ch.5のAM50に相当する乗員に設定しており、この乗員Bを基準に位置Cを規定しているが、これに限定されず、乗員Bが所定の体型を有する乗員とし、この乗員を基準として位置Cを規定すればよい。すなわち、所定の体格を有する乗員とは、好ましくは米国連邦規制基準CRF49ch.5でAF05(米国成人女性のうち最も小さい人から5%目にあたる乗員の平均的体型を持つ乗員)より大きい体型を持つ乗員である。
また、サイドフレーム33aの下端は、ダンパー手段又は付勢手段としてのスプリング35によって支持フレーム32と連結されている。このスプリング35は、移動フレーム33の上部に車両前方への衝撃荷重が作用して移動フレーム33が回動するときに、移動フレーム33を元の定位置に戻すように付勢力を作用させる。すなわち、スプリング35は、移動フレーム33が回動するときには、回動を阻止する方向に抵抗力を生じると共に、衝撃を吸収する。なお、ダンパー手段又は付勢手段は、スプリングに限らず、ゴム材等の弾性体であってもよいし、気圧式又は油圧式等のダンパー機構であってもよい。
ランバーサポート36は、乗員Aの腰部付近を背面から支持するように所定形状に形成された硬質な合成樹脂製又は金属製の板状部材である。ランバーサポート36は、2本のサイドフレーム33a間に架け渡されたワイヤスプリング36aによって、2本のサイドフレーム33a間に保持されている。ランバーサポート36は、その上端が位置Cよりも下方となるようにオフセットして配置されている。これにより、乗員Bの膝によってランバーサポート36が前方に押されてしまうことがなく、サイドフレーム33aが時計方向に回動することが防止されている。
また、本実施形態では、ランバーサポート36は、乗員Aの腰椎を主に支持するように形成されているが、これに限らず、仙椎,腰椎及び胸椎を支持するように縦長に形成してもよい。この場合、乗員Bの膝が後方からランバーサポート36に当接したとしてもシートバック30を時計方向に回動させる回動力を実質的に発生させないようにするため、より軟質な材料でランバーサポート36を形成すればよい。
受圧部37は、ランバーサポート36よりも硬質で、所定の剛性を有する硬質な合成樹脂で形成されている。受圧部37は、幅方向に延びる板状部材又は面状部材であり、2本のサイドフレーム33aの下端部に左右の端部が固定されている。受圧部37は、ランバーサポート36よりも下方にオフセットされており、乗員Aの仙椎の背面に位置するように配置されている。したがって、受圧部37は、その上端が位置C及びリアシート3の着座面よりも下方に位置するように配置されている。
なお、受圧部37は、硬質な合成樹脂や金属板等の硬質な部材で形成するのが好ましい。
パッド41は、移動フレーム33のクロスフレーム33bの上部後面に取り付けられており、車両前突時に前方移動してきた乗員Bがシートバック30に与える衝撃を受け止めて衝撃吸収するための部材(衝撃吸収パッド)である。パッド41は、断面外形円弧状であり車両幅方向に伸びる衝撃支持面と、衝撃支持面を支えるリブ等によって構成された中空の合成樹脂部材である。
なお、本実施形態では、パッド41はクロスフレーム33bに取り付けられているが、これに限らず、クッション体40内に埋設されていてもよいし、クッション体40外面に取り付けられていてもよい。
次に、図3乃至図5により、上述した第1実施形態による車両のシート構造の作用(動作)を説明する。
まず、図3,図4により、斜め前突を含む前突時の動作について説明する。
図3,図4に示すように、乗員A,Bは、前突時の衝撃により、車両前方に慣性力を受ける。これにより、乗員A,Bは、リトラクタからウェビング10a,12aを引き出しながら前方移動する。
このとき、乗員Bの頭部は、シートバック30上端部に当接するような軌跡を描き、シートバック30の上端部に当接する。乗員Bとの衝突によってシートバック30に作用する前向きの接触荷重は、パッド41によって吸収されつつ、回動軸34を回動中心として移動フレーム33を反時計方向に回動させる。これにより、前方移動部30Aが前方へ移動し、乗員Bとシートバック30との衝撃が吸収され、乗員Bを保護することができる。
しかも、移動フレーム33には、スプリング35によって反時計方向の回動に対して反対方向の付勢力が与えられるので、前方移動部30Aは、瞬間的に前方移動してしまうことない。このため、前方移動部30Aは、ある程度の時間を掛けて徐々に前方移動するので、より乗員Bに作用する衝撃を吸収することができる。
また、前突時に乗員Bが前方移動して、乗員Bの膝がシートバック30に当接したとしても、フロントシート2は、乗員Bの頭部が当接した部位から回動軸34までの作用長さである距離D1の方が、乗員Bの膝が当接した部位(位置C)から回動軸34までの作用長さである距離D2よりも大きくなるように構成されている。
しかも、本実施形態のシート構造1では、ランバーサポート36及び受圧部37が、乗員Bの膝よりも下方に配置されているため、ランバーサポート36及び受圧部37に乗員Bの膝から前方に向く荷重が作用しないようになっている。
これにより、全体として移動フレーム33には反時計方向に作用する回動力の方が、時計方向に作用する回動力よりも大きくなり、移動フレーム33を反時計方向に回動させることができる。このように、フロントシート2は、乗員Bの脚部の前方移動を規制して、頭部を優先して保護するように構成されている。
次に、図5により、後突時の動作について説明する。
図5に示すように、フロントシート2では、後突時の衝撃で乗員Aが後方に移動すると、乗員Aの腰部がクッション体40を介して受圧部37に後向きの荷重を作用させる。この後方荷重により、移動フレーム33は、回動軸34を回動中心として反時計方向に回動する。移動フレーム33の回動により、移動フレーム33の上部に取り付けられたヘッドレスト50が前方に移動し、ヘッドレスト50と乗員Aの後頭部とが接近した状態に保持される。
これにより、乗員Aの頭部がヘッドレスト50に大きな衝撃で衝突することを回避することができ、乗員Aの頚部がむち打ち症になることを防止することが可能となる。
なお、移動フレーム33の反時計方向の回動に際し、リアシート3の乗員Bの膝がシートバック30と当接していたとしても、上述のように膝とシートバック30との当接部位(位置C)よりも受圧部37の方が回動軸34から遠い位置にあるので、移動フレーム33の回動が阻止されることはない。なお、このようにするために、リアシート3のシートクッション20の前端M(着座面の前端部分)の高さが、受圧部37(及びランバーサポート36)よりも高い位置となるようにするとよい(図3参照)。
上記実施形態では、回動軸34を回動中心として前方移動部30Aを回動させることにより前方移動させるように構成されていたが、これに限らず、シートクッション20に対して、前方移動部30Aを前方へスライドさせることにより前方移動させるように構成してもよい。
次に、図6及び図7により、本発明の第2実施形態による車両のシート構造を説明する。なお、以下の実施形態では、第1実施形態と同一部分には同一符号を付し、それらの説明は省略する。
図6に示すように、本実施形態では、フロントシート2のシートバック30は、左右のサイドフレーム22に端部が取り付けられたほぼ逆U字状のシートバックフレーム131と、このシートバックフレーム131に取り付けられたクッション体40を備えている。
シートバックフレーム131は、上下方向(高さ方向)の中間部位に、切欠き131aが形成されている。この切欠き131aが形成された部位は、切欠き131aが形成されたことにより、シートバック30に掛かる外部荷重に対して、シートバックフレーム131の他の部位よりも脆弱で屈曲し易くなっており、剛性が低下した脆弱部を構成している。本実施形態では、シートバック30のうち切欠き131aよりも上部が前方移動部30Aを構成する。
また、本実施形態では、シートバックフレーム131の上部が、切欠き131aを回動中心として反時計方向に回動するとき(前方移動)の変形限界荷重よりも、時計方向に回動するとき(後方移動)の変形限界荷重の方が大きく設定されている。
なお、本実施形態では、脆弱部を形成するために、切欠き131aを形成しているが、これに限らない。例えば、中間部位でシートバックフレーム131を上下方向に分割形成し、上部分と下部分との接続部を屈曲し易くする構成でもよい。
図7により、第2実施形態による車両のシート構造の作用(動作)を説明する。
前突時、乗員Bの頭部がシートバック30の上部に当接すると、その衝撃は脆弱な切欠き131aに集中するため、シートバックフレーム131は切欠き131aで屈曲する。この屈曲により、シートバックフレーム131は、切欠き131aを回動中心として、切欠き131aよりも上部が反時計方向に回動する。これにより、前方移動部30Aが前方移動し、乗員Bから受ける衝撃が吸収され、乗員Bを保護することができる。
さらに、上述のようにシートバックフレーム131の変形限界荷重が前方移動するときよりも後方移動するときの方が大きく設定されているので、前突時に、フロントシート2の着座乗員Aが、前方移動した後に後方移動して、乗員Aがシートバック30に当接しても前方移動部30Aは後方移動しにくい。これにより、乗員Aのシートバック30への拘束性が向上される。
次に、図8及び図9により、本発明の第3実施形態による車両のシート構造を説明する。
図8及び図9に示すように、本実施形態では、フロントシート2のシートバック30を構成するシートバックフレーム231は、左右のサイドフレーム22にそれぞれ取り付けられた支持フレーム32と、支持フレーム32の上端部に回動軸34にて下端部が回動可能に連結されたほぼ逆U字状の移動フレーム233を備えている。本実施形態では、シートバック30のうち回動軸34よりも上部が前方移動部30Aを構成している。
本実施形態では、移動フレーム233には、下端部近傍、すなわち左右の支持フレーム32との連結部位近傍に、受圧部支持フレーム233Aの上端部がそれぞれ連結されている。この受圧部支持フレーム233Aは、移動フレーム233の長手方向(上下方向)とほぼ平行に下方に向けて延びている。そして、板状部材である受圧部237が、左右の受圧部支持フレーム233Aの下端部間に架け渡されるように固定されている。
なお、受圧部支持フレーム233Aは、第1実施形態と同様にダンパー手段又は付勢手段(図示せず)によって支持フレーム32に対して回動に抗する付勢力が与えられるように構成されている。
また、本実施形態では、受圧部237と移動フレーム233とが、単純なリンク機構である受圧部支持フレーム233Aで連結されると共に、移動フレーム233が、支持フレーム32に回動軸34を回動中心として回動可能に取り付けられているが、これに限らず、受圧部237の後方移動により移動フレーム233が前方移動するように構成すればよい。例えば複数のリンク部材からなるリンク機構で受圧部237と移動フレーム233とを連結し、受圧部237に作用する荷重によって移動フレーム233が前方移動するように構成してもよい。
図9により、第3実施形態による車両のシート構造の作用(動作)を説明する。
前突時、乗員Bの頭部がシートバック30の上部に当接すると、移動フレーム233は、その衝撃によって回動軸34を回動中心として反時計方向に回動する。これにより、前方移動部30Aが前方移動し、乗員Bから受ける衝撃を吸収して、乗員Bを保護することができる。
また、第1実施形態と同様に、移動フレーム233には、受圧部支持フレーム233Aを介して受圧部237が連結されているので、後突時において、フロントシート2に着座した乗員の頚部を保護することが可能である。
本発明の第1実施形態における車両のシート構造の全体構成図である。 図1の前側シートの斜視図である。 本発明の第1実施形態における車両のシート構造の前突時の動作説明図である。 図3の一部拡大図である。 本発明の第1実施形態における車両のシート構造の後突時の動作説明図である。 本発明の第2実施形態における車両のシート構造の前側シートの説明図である。 本発明の第2実施形態における車両のシート構造の前突時の動作説明図である。 本発明の第3実施形態における車両のシート構造の前側シートの説明図である。 本発明の第3実施形態における車両のシート構造の前側シートの動作説明図である。
符号の説明
1 シート構造
2 フロントシート
3 リアシート
5 車両フロア面
6 ピラー
7 サイドトリム
10,12 シートベルト装置
20 シートクッション
21 シートクッションフレーム
22 サイドフレーム
30 シートバック
30A 前方移動部
31 シートバックフレーム
32 支持フレーム
33 移動フレーム
33a サイドフレーム
33b クロスフレーム
34 回動軸
35 スプリング
36 ランバーサポート
37 受圧部(前側乗員用受圧部)
41 パッド(後側乗員用受圧部)
50 ヘッドレスト
131 シートバックフレーム
231 シートバックフレーム
233 移動フレーム
237 受圧部(前側乗員用受圧部)

Claims (5)

  1. 前側シートと、この前側シートの車両後方に配置された後側シートを備え、車両前突時に前記後側シートの着座乗員を保護するための車両のシート構造であって、
    前記前側シート及び前記後側シートは、シートクッションと、シートバックを備え、
    前記前側シートのシートバックの上部が、車両前突により前記後側シートの着座乗員が前方移動して接触したときの接触荷重によって前方変位可能に構成された前方移動部であり、
    前記前側シートのシートバックは、幅方向の両側で上下方向に延びるシートバックフレームを備え、
    このシートバックフレームは、前記前側シートのシートクッション側に取り付けられた支持フレームと、前記シートバックフレームの上下方向の中間部位を回動中心として前記支持フレームに回動可能に支持されると共に、前記回動中心よりも上方に延びて前記前方移動部を支持し、且つ、前記回動中心よりも下方で前記前側シートの着座乗員の腰部付近を支持するためのランバーサポートを保持する移動フレームとを備え、
    前記前側シートの前方移動部は、前記移動フレームの回動によって前方移動し、
    前記前側シートのシートバックは、前記移動フレームの回動中心よりも下方に、前記前側シートの着座乗員の腰部付近からの後方荷重を受けて後方移動可能であり、且つ、この後方移動により前記移動フレームを前方移動させるように前記移動フレームに連結された前側乗員用受圧部を備えており、この前側乗員用受圧部は、前記ランバーサポートよりも下方に配置されており、
    前記シートバックフレームは、前記後側シートの着座乗員の膝が後方から前記ランバーサポートを押圧したときに、前記前方移動部を後方移動させる向きの回動力が前記移動フレームに発生しないように、前記ランバーサポートが前記前側乗員用受圧部よりも軟質な材料で形成されていることを特徴とする車両のシート構造。
  2. 前記前側シートのシートバックの移動フレームには、ヘッドレストが連結されていることを特徴とする請求項1に記載の車両のシート構造。
  3. 前記前側シートの前側乗員用受圧部は、前記後側シートの所定体型の着座乗員の膝よりも低い位置に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の車両のシート構造。
  4. 前記移動フレームの回動中心は、前記後側シートの着座乗員の膝の高さよりも上方に位置し、この回動中心から前記前側シートのシートバック上端部までの距離が、前記回動中心から前突時における前記後側シートの所定体型の着座乗員の膝と前記シートバックとの当接部位までの距離よりも長くなる位置に設定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両のシート構造。
  5. 前記前側シートのシートバックの上部後方には、前記後側シートの着座乗員からの接触荷重による衝撃を吸収するための後側乗員用受圧部が、シート幅方向に延びるように設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両のシート構造。
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