JP4721311B2 - 2,3−ジクロル−1−プロパノール及びエピクロルヒドリンの製造方法 - Google Patents

2,3−ジクロル−1−プロパノール及びエピクロルヒドリンの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶剤、エポキシ樹脂原料、合成ゴム原料、塩素化ゴム原料安定剤等として用いられるエピクロルヒドリンの製造中間体である2,3−ジクロル−1−プロパノール(以下、2,3−DCHと略記することがある。)の製造方法及び2,3−DCHからのエピクロルヒドリン(以下、ECHと略記することがある。)の製造方法に関し、特にアリルアルコールを塩酸溶液中で塩素と反応させる2,3−ジクロル−1−プロパノールの製造方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
塩酸溶液中でアリルアルコールを塩素により塩素化する2,3−ジクロル−1−プロパノール(2,3−DCH)の製造方法は多数提案されており、特に高濃度の塩酸中でアリルアルコールを塩素と反応させることにより高収率で2,3−DCHが得られることが知られている(特開昭59-128340号、特開昭59-128341号、特開平3-74342号等)。
【0003】
また、連続的に2,3−DCHを製造する工業的に有用な方法として、塩酸溶液中でアリルアルコールを塩素化して得られる溶液を脱ガス塔に導入加熱して塩化水素を放散せしめてその塩化水素を反応器に回収する2,3−DCHの製造方法が、例えば特開昭59-128340号、特開昭60-258171号、特開平3-74342号等に開示されている。これらの方法において、反応器に供給するアリルアルコールと塩素の割合については、特開平3-74342号では塩素をアリルアルコールに対して10モル%以下の範囲内で過剰に供給すること、特開昭59-128340号には塩素の量はアリルアルコールに対して約1.05モル以下でよいことが記載されている。
【0004】
しかしながら、塩酸溶液中でアリルアルコールを塩素化して得られる溶液を脱ガス塔に導入、加熱して塩化水素を放散せしめてその塩化水素を反応器に回収する2,3−DCHの連続的な製造方法においては、塩素をアリルアルコールに対して化学量論以上で供給し続けると過剰に供給する塩素がロスするばかりではなく、脱ガス塔で回収する塩化水素ガス中に塩素ガスが蓄積し、塩化水素の吸収器、及び/または反応器の気相塩化水素ガス分圧が低下することにより反応溶媒である塩酸濃度の低下を招き、2,3−DCHの収率低下を引き起こすという問題があった。逆に塩素をアリルアルコールに対して化学量論以下で供給し続けると未反応アリルアルコールのロスの問題及び脱ガス塔の加熱器に重合物が蓄積して加熱器の閉塞を招くため、長期間安定した連続運転ができないという問題があった。
【0005】
また、特開平3-74342号には、連続的に取り出される反応混合物中のアリルアルコール濃度は実質的にゼロにすべきであることが記載されているが、アリルアルコール濃度を実質的にゼロにする具体的方法についての記載はない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は、塩酸溶液中でアリルアルコールを塩素化し、得られる溶液を脱ガス塔に導入、加熱して塩化水素を放散せしめてその塩化水素を反応器に回収する2,3−DCHの連続的な製造方法において、脱ガス塔に導入する反応液中に残存するアリルアルコール濃度を実質的にゼロにして2,3−DCH、及びエピクロルヒドリンを連続的に高収率、かつ長期間安定して製造することができる方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題に鑑み鋭意検討した結果、塩酸溶液中でアリルアルコールを塩素化し、得られる溶液を脱ガス塔に導入、加熱して塩化水素を放散せしめてその塩化水素を反応器に回収する2,3−DCHの連続的な製造方法において、脱ガス塔に導入する反応液中に残存するアリルアルコール濃度を実質的にゼロにし、かつ2,3−ジクロル−1−プロパノールを高収率で連続的に得るためには、脱ガス塔に導入する反応液中に溶解する塩素濃度を特定の濃度以下に制御すること、及び/または脱ガス塔の直前の反応器気相部の塩素分圧を特定の分圧以下に制御することが必要であることを見出し、さらに脱ガス塔の直前の反応器の反応溶液中に溶解する塩素濃度及び/または脱ガス塔の直前の反応器気相部の塩素分圧を必要な範囲に制御する手段として、脱ガス塔の直前の反応器の出口液の塩素濃度及び/または気相部に存在する塩素ガス濃度(分圧)を測定する自動分析計を設置して、その分析計の指示値により脱ガス塔の直前の反応器に導入する塩素ガス流量を制御することが重要であることを確認し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の2,3−ジクロル−1−プロパノールの製造方法及びエピクロルヒドリンの製造方法を提供する。
【0009】
1)反応器を用いて塩酸溶液中でアリルアルコールを塩素化して得られる2,3−ジクロル−1−プロパノールを含む溶液を脱ガス塔に導入して塩化水素を放散せしめてその塩化水素を反応器に戻し、残液より2,3−ジクロル−1−プロパノールを得る2,3−ジクロル−1−プロパノールの製造方法において、脱ガス塔に導入する直前の反応器出口液中に溶解する塩素濃度を0.015g/mL以下に保持することを特徴とする2,3−ジクロル−1−プロパノールの製造方法。
2)反応器を用いて塩酸溶液中でアリルアルコールを塩素化して得られる2,3−ジクロル−1−プロパノールを含む溶液を脱ガス塔に導入して塩化水素を放散せしめてその塩化水素を反応器に戻し、残液より2,3−ジクロル−1−プロパノールを得る2,3−ジクロル−1−プロパノールの製造方法において、脱ガス塔の直前の反応器に出口反応液に溶解する塩素濃度をモニターする分析計を設置し、塩素濃度を0.015g/mL以下に保持するように反応器に導入する塩素ガス流量を制御する前記1に記載の2,3−ジクロル−1−プロパノールの製造方法。
3)反応器を用いて塩酸溶液中でアリルアルコールを塩素化して得られる2,3−ジクロル−1−プロパノールを含む溶液を脱ガス塔に導入して塩化水素を放散せしめてその塩化水素を反応器に戻し、残液より2,3−ジクロル−1−プロパノールを得る2,3−ジクロル−1−プロパノールの製造方法において、脱ガス塔の直前の反応器における気相部の塩素分圧を0.08MPa(絶対圧)以下に保持することを特徴とする2,3−ジクロル−1−プロパノールの製造方法。
【0010】
4)反応器を用いて塩酸溶液中でアリルアルコールを塩素化して得られる2,3−ジクロル−1−プロパノールを含む溶液を脱ガス塔に導入して塩化水素を放散せしめてその塩化水素を反応器に戻し、残液より2,3−ジクロル−1−プロパノールを得る2,3−ジクロル−1−プロパノールの製造方法において、脱ガス塔の直前の反応器に気相部の塩素ガス濃度をモニターする分析計を設置し、塩素分圧を0.08MPa(絶対圧)以下に保持するように反応器に導入する塩素ガス流量を制御する前記3に記載の2,3−ジクロル−1−プロパノールの製造方法。
5)塩化水素をHCl/(H2O+HCl)として40〜75質量%含有する塩酸水溶液を使用する前記1乃至4のいずれかに記載の2,3−ジクロル−1−プロパノールの製造方法。
6)−30〜20℃の温度でアリルアルコールの塩素化反応を行う前記1乃至4のいずれかに記載の2,3−ジクロル−1−プロパノールの製造方法。
7)1MPa(ゲージ圧)までの圧力でアリルアルコールの塩素化反応を行う前記1乃至4のいずれかに記載の2,3−ジクロル−1−プロパノールの製造方法。
8)前記1乃至7のいずれかに記載の方法で製造される2,3−ジクロル−1−プロパノールをケン化反応に付することを特徴とするエピクロルヒドリンの製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明で反応溶媒として使用される塩酸は、市販されている35質量%濃塩酸水溶液、アリルアルコールの塩素化反応液を脱ガス後冷却した液を相分離して得られる上相の塩酸水溶液、後工程の2,3−ジクロル−1−プロパノール精製工程で得られる塩酸水溶液、及びそれらの混合物のいずれも使用できる。原料アリルアルコールは、無水物、水溶液のいずれも使用できる。塩素ガスは液化塩素を気化させたものでもよいし、水素及び空気その他を1〜3%程度含むものであってもよい。
【0012】
脱ガス塔で分離される塩化水素ガスは反応器に回収しても、反応器の前段に設置された塩化水素ガス吸収器で回収してもよい。塩化水素ガス吸収器を設置する場合は、反応溶媒及び/または反応溶媒と原料アリルアルコールとの混合溶液を吸収溶液に用いて塩化水素ガスを回収することができる。原料アリルアルコールを反応器の前段に設置された塩化水素ガス吸収器に供給する場合、吸収温度は−30℃〜20℃が好ましい。20℃を超えると塩化アリル、2−クロル−1−プロパノール等の塩化水素とアリルアルコールとの反応に起因する副生物が増加する。一方、−30℃より低い温度は副生物の低減には有利であるが反応液の粘度が増大し冷却に要するコストが過大になることから好ましくない。
【0013】
アリルアルコールと塩素との反応に用いる反応器としては、外部冷却器を組み合わせた撹拌槽型反応器、反応と冷却を同時に行う濡壁反応器や環状に形成された管式反応器等が知られている。アリルアルコールヘの塩素の付加反応は非常に速いことが知られており、30秒程度の滞留時間があれば反応は完結する。このことから本発明に用いる反応器は滞留時間として30秒を確保できるものであれば良く、前述のいずれの反応器でも構わない。また、反応器は1段式でも多段式でも構わない。
【0014】
1段式で反応を実施する場合は、反応器には塩素濃度分析計を設置し、供給する塩素ガス流量を設置された塩素濃度分析計の指示値により制御する。
【0015】
多段式で反応を実施する場合、塩素濃度分析計を設置する反応器は反応溶媒または塩化水素ガス吸収後の溶液の反応器への添加方法により異なる。すなわち、n個の反応器に対して反応溶媒または塩化水素ガス吸収後の液を並列に供給し、n個の反応器出口液をそれぞれ、または混合して脱ガス塔に供給する場合はn個すべての反応器に塩素濃度分析計を設置する必要があり、それぞれの反応器に供給する塩素ガス流量を設置された塩素濃度分析計の指示値により制御しなければならない。また、n個の反応器に対して反応溶媒または塩化水素ガス吸収後の液を直列に供給し、n番目の反応器出口液を脱ガス塔に供給する場合はn番目の反応器にのみ塩素濃度分析計を設置し、n番目の反応器に供給する塩素ガス流量のみを設置された塩素濃度分析計の指示値により制御すればよい。原料アリルアルコールの添加方法は前述した塩化水素ガス吸収器に一括供給する方法でも、n個の反応器の直前に分割供給する方法でもいずれの方法でも構わない。
【0016】
複数個の反応装置を並列に接続する多段式の場合、それぞれの反応装置に塩素濃度分析計を設置しなければならないが、すべての反応器においてアリルアルコール濃度を実質的にゼロにすることができ、アリルアルコールと塩化水素との副反応に起因する塩化アリルや2−クロロ−1−プロパノール等の副生を抑制できる。これに対し、反応装置を直列接続する多段式の場合は、最終段の反応器に対してのみ塩素濃度分析計の設置と塩素ガス流量の制御を実施するのみでよいため運転操作が簡便であるという利点を有する。
【0017】
以下に、1段式の反応、及び多段式反応の代表例として2個の反応器を用いる直列方式及び並列方式の反応について図面を参照しつつ具体的に説明する。
図1は、1段式の反応器を用いる本発明のアリルアルコールの塩素化反応のフロー図である。この塩素化反応装置は撹拌機付き反応器(1)、熱交換器(3)、循環ポンプ(5)を管で環状に接続したユニットにより構成される。反応器(1)の気相部には気相ガスを系外に放出するための管が設置され、これらの管にはバルブが設置されている。循環ポンプ(5)の出口管には脱ガス塔(16)へ供給する管(13)が分岐されており、反応器(1)から脱ガス塔(16)へ液を供給する。塩素濃度分析装置(14)は反応器(1)の気相ガス抜き出し管、または循環ポンプ(5)抜き出し管に設置されている。反応装置全体は十分に保冷し、熱交換器には冷媒を循環して冷却する。アリルアルコール導入管(7)、脱ガス塔より回収される塩化水素ガス導入管(8)、塩酸水溶液導入管(9)と回収される反応溶媒導入管(10)は塩化水素ガス吸収器(20)に供給され、塩化水素ガスを吸収後、反応器(1)に供給される。塩化水素ガス吸収器には冷媒を循環して冷却する。塩素導入管(11)は反応器(1)に供給されるように配置されている。
【0018】
本発明に用いる塩素濃度分析計(14)は、吸光度方式、滴定方式等の塩酸存在下において一般的に用いられる分析方式であればいずれを用いても構わない。
【0019】
気相部または液相部に設置された塩素濃度分析計(14)の測定値と塩素導入管(11)から供給する塩素ガス流量計はカスケードコントロールされ、反応器(1)の気相部の塩素分圧、または反応液中の塩素濃度が一定になるように反応器(1)に供給する塩素ガス流量が制御されるようになっている。脱ガス塔(16)は、通常、蒸留塔であり、塔頂ガスは凝縮器(17)を通し、凝縮液は還流させ塩化水素ガスを塩化水素ガス吸収器(20)に回収する。塔底には加熱器が設置され、反応液を加熱する。脱ガス塔塔底液は冷却器(18)で冷却した後、分液槽(19)へ導く。分液槽(19)は液供給口、上相及び下相抜き出し口を有し静置後、上相と下相に分離する。分液された上相から一定量抜き出し、導入管(10)より塩化水素ガス吸収器(20)へ回収される。上相の残りと下相は2,3−ジクロル−1−プロパノールの粗製品として回収する。
【0020】
図2は反応装置を2個直列に用いた本発明のアリルアルコールの塩素化反応のフロー図である。
この塩素化反応装置は、撹拌機付き反応器(1),(2)、熱交換器(3),(4)、循環ポンプ(5),(6)を管でそれぞれ環状に接続したユニットにより構成される。反応器(1)と(2)の気相部は管により接続されており、更に反応器(1)の気相部には気相ガスを系外に放出するための管が設置され、これらの管にはバルブが設置されている。循環ポンプ(5)の出口管には反応器(2)へ供給する管(13)が分岐されており、反応器(1)から反応器(2)へ液を供給する。反応装置全体は十分に保冷し、熱交換器には冷媒を循環して冷却する。アリルアルコール(導入管7)、脱ガス塔より回収される塩化水素ガス(導入管8)、塩酸溶液(導入管9)と回収される反応溶媒(導入管10)が塩化水素ガス吸収器(20)に供給され、塩化水素ガスを吸収後、反応器(1)に供給される。塩化水素ガス吸収器には冷媒を循環して冷却する。塩素導入管(11),(12)は反応器(1),(2)にそれぞれ供給されるように配置されている。循環ポンプ(6)の出口管には脱ガス塔(16)へ供給する管(15)が分岐されており、反応器(2)から脱ガス塔(16)へ液を供給する。塩素濃度分析計(14)は反応器(2)の気相部から反応器(1)へ気相ガスを抜き出す管、または循環ポンプ(6)抜き出し管に設置されている。塩素濃度分析計(14)としては前記したものが用いられる。
【0021】
気相部または液相部に設置された塩素濃度分析計(14)の測定値と塩素導入管(12)から供給する塩素ガス流量はカスケードコントロールされ、反応器(2)の気相部の塩素分圧、または反応器(2)の反応液中の塩素濃度が一定になるように反応器(2)に供給する塩素ガス流量が制御されるようになっている。脱ガス塔(16)は、通常、蒸留塔であり、塔頂ガスは凝縮器(17)を通し、凝縮液は還流させ塩化水素ガスを塩化水素ガス吸収器(20)に回収する。塔底には加熱器が設置され、反応液を加熱する。脱ガス塔の塔底液は冷却器(18)で冷却した後、分液槽(19)へ導く。分液槽(19)は液供給口、上相及び下相抜き出し口を有し静置後、上相と下相に分離する。分液された上相から一定量抜き出し、導入管(10)より塩化水素ガス吸収器(20)へ回収される。上相の残りと下相は2,3−ジクロル−1−プロパノールの粗製品として回収する。
【0022】
図3は、反応装置2個を並列に用いた本発明のアリルアルコールの塩素化反応のフロー図である。
塩素化反応装置はそれぞれ撹拌機付き反応器(1),(2)、熱交換器(3)、(4)、循環ポンプ(5),(6)を管で環状に接続したユニットにより構成される。反応器(1),(2)の気相部には気相ガスを系外に放出するための管が設置され、これらの管にはバルブが設置されている。循環ポンプ(5),(6)の出口管には、各々脱ガス塔(16)へ供給する管(13),(15)が分岐されており、反応器(1),(2)から脱ガス塔(16)へ液を供給する。反応装置全体は十分に保冷し、熱交換器には冷媒を循環して冷却する。アリルアルコール(導入管7)、脱ガス塔より回収される塩化水素ガス(導入管8)、塩酸溶液(導入管9)、及び回収反応溶媒(導入管10)は塩化水素ガス吸収器(20)に供給され、塩化水素ガスを吸収後、反応器(1),(2)に供給される。塩化水素ガス吸収器には冷媒を循環して冷却する。塩素導入管(11),(12)は反応器(1),(2)にそれぞれ供給されるように配置されている。塩素濃度分析計(14)は反応器(1)の気相ガス抜き出し管、または循環ポンプ(5)抜き出し管と、反応器(2)の気相ガス抜き出し管、または循環ポンプ(6)抜き出し管にそれぞれ設置されている。塩素分析計(14)としては前記したものが用いられる。
【0023】
反応器(1)の気相部または液相部に設置された塩素濃度分析計(14)の測定値と塩素導入管(11)から供給する塩素ガス流量はカスケードコントロールされ、反応器(1)の気相部の塩素分圧、または反応器(1)の反応液中の塩素濃度が一定になるように反応器(1)に供給する塩素ガス流量が制御されるようになっている。また、反応器(2)の気相部または液相部に設置された塩素濃度分析計(14)の測定値と塩素導入管(12)から供給する塩素ガス流量計はカスケードコントロールされ、反応器(2)の気相部の塩素分圧、または反応器(2)の反応液中の塩素濃度が一定になるように反応器(2)に供給する塩素ガス流量が制御されるようになっている。脱ガス塔(16)は、通常、蒸留塔であり、塔頂ガスは凝縮器(17)を通し、凝縮液は還流させ塩化水素ガスを塩化水素ガス吸収器(20)に回収する。塔底には加熱器が設置され、反応液を加熱する。脱ガス塔塔底液は冷却器(18)で冷却した後、分液槽(19)へ導く。分液槽(19)は液供給口、上相及び下相抜き出し口を有し静置後、上相と下相に分離する。分液された上相から一定量抜き出し、導入管(10)より塩化水素ガス吸収器(20)へ回収される。上相の残りと下相は2,3−ジクロル−1−プロパノールの粗製品として回収する。
【0024】
本発明の方法では脱ガス塔の直前の反応器出口液中には塩素が僅かでも溶解していることが必要であるが多量に溶解した状態は好ましくない。溶解塩素量は0g/mLを超える濃度〜0.015g/mL以下の濃度が好ましい。0.015g/mLを超える濃度では、反応液中に溶解する塩素によりアルコールからアルデヒドヘの酸化反応の進行が促進すること、及び反応器の圧力上昇が大きくなることから好ましくない。さらに好ましい塩素濃度は0.001g/mL〜0.005g/mLである。また、脱ガス塔の直前の反応器における気相部の塩素分圧についても上記と同様の理由から、塩素は僅かでも気相に存在していることが必要であるが、0.08MPa(絶対圧)以下の塩素分圧で存在することが好ましく、さらに0.005MPa〜0.025MPa(絶対圧)の塩素分圧で存在することが好ましい。
【0025】
本発明において、アリルアルコールと塩素との反応で反応溶媒として用いる塩酸は塩化水素をHCl/(H2O+HCl)として40〜75質量%含有する水溶液を使用することが好ましい。ここで定義される塩化水素濃度とは原料であるアリルアルコールによって反応に持ち込まれる水の量も考慮される。塩化水素濃度がHCl/(H2O+HCl)として40質量%よりも小さい場合は、3−クロル−1,2−プロパンジオールやエーテル等の副生物が増加するため好ましくない。一方、塩化水素濃度がHCl/(H2O+HCl)として75質量%よりも大きい場合は、塩化アリル、2−クロル−1−プロパノール、1,2,3−トリクロルプロパン等の副生物が増加するため好ましくない。反応温度は20℃を超えると塩化アリル、2−クロル−1−プロパノール、1,2,3−トリクロルプロパン等の副生物が増加することから20℃以下が好ましい。一方、−30℃より低い温度は収率向上には有利であるが反応液の粘度が増大し冷却に要するコストが過大になることから好ましくない。反応圧力は0〜1MPa(ゲージ圧)のもとで反応を行うことが好ましい。反応圧力が1MPa(ゲージ圧)を超えると塩化水素濃度の上昇を導き、塩化アリル、2−クロル−1−プロパノール、1,2,3−トリクロルプロパン等の副生物が増加するため好ましくない。
【0026】
本発明のエピクロルヒドリン(ECH)の製造方法は、前記の方法で得られる2,3−ジクロル−1−プロパノール(2,3−DCH)をケン化反応に付することを特徴とするものである。2,3−DCHのケン化反応は2,3−DCHを精製した後に行ってもよい。
【0027】
ケン化反応は、2,3−DCHとアルカリとの反応によってECHを製造するものであり、2,3−DCHに対してアルカリを1.0当量〜1.5当量使用して反応させる。ケン化反応に使用するアルカリとしては、例えばCa(OH)2、NaOH、KOH、Na2CO3、K2CO3等を水溶液またはスラリー溶液として使用することができる。
また、反応条件は特に制限はないが、例えば40〜110℃の温度で減圧下あるいは加圧下で反応させることができる。反応の様式については種々の方法を用いることが可能である。
【0028】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
実施例1:塩素ガス供給量をカスケードコントロールした2,3−DCHの製造方法
図4に示す2系列の直列式の反応装置を用いてアリルアルコールの塩素化反応を行った。
図4の装置は、先に説明した図2に示したフロー図において、塩化水素ガス吸収器(20)を設置しない構成としたものであり、アリルアルコール導入管(7)、脱ガス塔より回収される塩化水素ガス導入管(8)、塩酸溶液導入管(9)と回収される反応溶媒導入管(10)は、塩化水素ガス吸収器(20)を経由しないで反応器(1)に直接供給される。
【0029】
塩素濃度分析計(14)は循環ポンプ(6)抜き出し管にのみ設置されており、液相部の塩素濃度の測定値と塩素導入管(12)から供給する塩素ガス流量はカスケードコントロールされ、反応器(2)の反応液中の塩素濃度が一定になるように反応器(2)に供給する塩素ガス流量を制御した。気相部の塩素分圧は手分析で測定した。
【0030】
反応器(1),(2)としては、それぞれ容量300Lのガラスライニング製撹拌機付き反応器、熱交換器(3),(4)として伝熱面積20m2のグラファイト製熱交換器、塩素濃度分析計(14)として電流滴定法により測定する電気化学計器株式会社製XT-1315を使用した。
脱ガス塔(16)としてセラミック製インターロックスサドルを充填したグラファイト製蒸留塔を使用し、塔頂ガスはグラファイト製凝縮器(17)を通し、凝縮液は還流させ塩化水素ガスを反応器(1)に回収する。塔底はグラファイト製加熱器の蒸気により加熱する。脱ガス塔の塔底液は冷却器(18)で冷却した後、容量300Lのガラスライニング容器分液槽(19)へ導く。分液槽(19)は液供給口、上相及び下相抜き出し口を有し、ここで静置後、上相と下相に分離する。分液された上相から一定量抜き出し、導入管(10)より反応器(1)へ回収し、上相の残りと下相は2,3−ジクロル−1−プロパノールの粗製品とする。
【0031】
上記の反応装置を用いて、反応器(1)に管(7)より70質量%アリルアルコール水溶液を16.0kg/hr、管(9)より35質量%塩酸水溶液を5.0kg/hr、管(10)より21質量%の2,3−ジクロル−1−プロパノール、60質量%の水と16%の塩化水素を含有する回収反応溶媒を25.0kg/hr、管(8)より回収塩化水素ガスを22.4kg/hr、管(11)より塩素ガスを6.8kg/hrで供給した。反応器(1)に供給する塩素ガス流量はアリルアルコールに対して50モル%に設定した。反応器(1)では反応圧力0.10MPa(ゲージ圧)、反応温度0℃となるようにコントロールした。管(13)より反応器(1)の反応溶液を75.3kg/hrで抜き出し反応器(2)に供給した。この時の反応溶液中に含まれる塩化水素は37質量%、水は31質量%であり、HCl/(HCl+H2O)として約55質量%であった。反応器(2)には管(12)より塩素ガスを塩素濃度分析計(14)の指示値が0.002〜0.004g/mlとなるように供給した。このとき反応器(2)の気相部の塩素分圧は0.01〜0.02MPa(絶対圧)であった。反応器(2)では反応圧力0.13MPa(ゲージ圧)、反応温度0℃となるようにコントロールした。管(15)より反応溶液を82.1kg/hrで抜き出し脱ガス塔(16)に供給した。脱ガス塔(16)は塔頂0.11MPa(ゲージ圧)、塔底温度130℃で運転され、塔頂より実質的に塩化水素からなるガスを22.4kg/hrで抜き出し、管(8)を通して反応器(1)に導いた。塔底より塔底成分を59.7kg/hrで抜き出し冷却器(18)で約25℃に冷却して分液槽(19)に導いた。分液槽で静置後、分液された上相(水相)は28.1kg/hrの割合で抜き出し、そのうち25.0kg/hrを反応器(1)に導いた。残りの上相は下相(油相)と合流し、36.6kg/hrの割合で粗製品を得た。粗製品を液体クロマトグラフにより分析した結果、粗製品中に23.4kg/hrの2,3−ジクロル−1−プロパノールが生成しており、供給アリルアルコール基準で収率94%であった。
【0032】
以上の反応条件で30日間連続運転を継続したが、2,3−ジクロル−1−プロパノールの収率は変化せず、脱ガス塔加熱器の閉塞も発生しなかった。また、反応器(1)に供給したアリルアルコール量に対する反応器(1)と(2)に供給した塩素ガスの合計量のモル比は0.99から1.01の割合で変動していた。
【0033】
実施例2:塩素ガス供給量をカスケードコントロールした2,3−DCHの製造方法
実施例1と同様に図4の反応装置を用いて塩素化反応を実施した。反応器(1)に管(7)より70質量%アリルアルコール水溶液を16.0kg/hr、管(9)より35質量%塩酸水溶液を5.0kg/hr、管(10)より21質量%の2,3−ジクロル−1−プロパノール、60質量%の水と16%の塩化水素を含有する回収反応溶媒を25.0kg/hr、管(8)より回収塩化水素ガスを17.3kg/hr、管(11)より塩素ガスを6.8kg/hrで供給した。反応器(1)に供給する塩素ガス流量はアリルアルコールに対して50モル%に設定した。反応器(1)では反応圧力0MPa(ゲージ圧)、反応温度0℃となるようにコントロールした。管(13)より反応器(1)の反応溶液を70.1kg/hrで抜き出し反応器(2)に供給した。この時の反応溶液中に含まれる塩化水素は33質量%、水は33質量%であり、HCl/(HCl+H2O)として約50質量%であった。反応器(2)には管(12)より塩素ガスを塩素濃度分析計(14)の指示値が0.002〜0.004g/mlとなるように供給した。このとき反応器(2)の気相部の塩素分圧は0.01〜0.02MPa(絶対圧)であった。反応器(2)では反応圧力0.03MPa(ゲージ圧)、反応温度0℃となるようにコントロールした。管(15)より反応溶液を77.0kg/hrで抜き出し脱ガス塔(16)に供給した。脱ガス塔(16)は塔頂0.01MPa(ゲージ圧)、塔底温度120℃で運転され、塔頂より実質的に塩化水素からなるガスを17.3kg/hrで抜き出し、管(8)を通して反応器(1)に導いた。塔底より塔底成分を59.7kg/hrで抜き出し冷却器(18)で約25℃に冷却して分液槽(19)に導いた。分液槽で静置後、分液された上相(水相)は28.6kg/hrの割合で抜き出し、そのうち25.0kg/hrを反応器(1)に導いた。残りの上相は下相(油相)と合流し、34.7kg/hrの割合で粗製品を得た。粗製品を液体クロマトグラフにより分析した結果、粗製品中に23.2kg/hrの2,3−ジクロル−1−プロパノールが生成しており、供給アリルアルコール基準で収率93.5%であった。
【0034】
以上の反応条件で30日間連続運転を継続したが、2,3−ジクロル−1−プロパノールの収率は変化せず、脱ガス塔加熱器の閉塞も発生しなかった。また、反応器(1)に供給したアリルアルコール量に対する反応器(1)と(2)に供給した塩素ガスの合計量のモル比は0.99から1.01の割合で変動していた。
【0035】
比較例1:カスケードコントロールドせずに塩素ガスをアリルアルコールに対し小過剰量供給する2,3−DCHの製造方法
実施例1において、塩素濃度分析計(14)の測定値と管(12)より導入する塩素流量とのカスケードコントロールを実施しない以外は実施例1と同様の反応装置を用いて塩素化反応を実施した。反応器(1)と(2)に供給する塩素ガス流量はアリルアルコールの供給量に対して約1.02モル等量となるように制御した。塩素化反応は、以下に記述した条件で反応を開始した。反応器(1)に管(7)より70質量%アリルアルコール水溶液を16.0kg/hr、管(9)より35質量%塩酸水溶液を5.0kg/hr、管(10)より21質量%の2,3−ジクロル−1−プロパノール、60質量%の水と16%の塩化水素を含有する回収反応溶媒を25.0kg/hr、管(11)より塩素ガスを7.0kg/hrで供給した。管(8)より回収塩化水素ガスを反応器(1)に供給した。反応器(1)に供給する塩素ガス流量は塩素ガス供給量の総量に対して50モル%に設定した。反応器(1)では反応圧力0MPa(ゲージ圧)、反応温度0℃となるようにコントロールした。管(13)より反応器(1)の液面が一定になるように反応溶液を抜き出し反応器(2)に供給した。反応器(2)には管(12)より塩素ガスを反応器(1)と同様に7.0kg/hrで供給した。反応器(2)では反応圧力0.03MPa(ゲージ圧)、反応温度0℃となるようにコントロールした。管(15)より反応溶液を反応器(2)の液面が一定になるように抜き出し脱ガス塔(16)に供給した。脱ガス塔(16)は塔頂0.01MPa(ゲージ圧)、塔底温度125℃で運転され、塔頂より実質的に塩化水素からなるガスを抜き出し、管(8)を通して反応器(1)に導き、塔底より塔底成分を抜き出し冷却器(18)で約25℃に冷却して分液槽(19)に導いた。分液槽で静置後、分液された上相(水相)のうち25.0kg/hrを反応器(1)に導いた。残りの上相は下相(油相)と合流し粗製品を得た。
【0036】
上記の条件で反応を継続した結果、反応器(1)と(2)の気相部を連結する管及び管(8)から過剰に供給している塩素ガスが反応器(1)に流入し、反応条件が安定した後には反応器(1)の気相部から系外に放出する管から塩素ガスが0.2kg/hrで系外に留出した。この塩素量は反応器に供給している塩素量合計の1.4%に相当した。このとき反応器(2)の反応液中に溶解する塩素濃度は0.018g/mL、気相部に存在する塩素ガス分圧は0.09MPa(絶対圧)であった。また、粗製品を液体クロマトグラフにより分析した結果、粗製品中に22.1kg/hrの2,3−ジクロル−1−プロパノールが生成しており、供給アリルアルコール基準で収率89%であった。
【0037】
比較例2:カスケードコントロールドせずに塩素ガスをアリルアルコールに対して小不足量供給する2,3−DCHの製造方法
実施例1において、塩素濃度分析計(14)の測定値と管(12)より導入する塩素流量とのカスケードコントロールを実施しない以外は実施例1と同様の反応装置を用いて塩素化反応を実施した。反応器(1)と(2)に供給する塩素ガス流量はアリルアルコールの供給量に対して0.98モル等量となるように制御した。反応器(1)に管(7)より70質量%アリルアルコール水溶液を16.0kg/hr、管(9)より35質量%塩酸水溶液を5.0kg/hr、管(10)より21質量%の2,3−ジクロル−1−プロパノール、60質量%の水と16%の塩化水素を含有する回収反応溶媒を25.0kg/hr、管(8)より回収塩化水素ガスを17.3kg/hr、管(11)より塩素ガスを6.7kg/hrで供給した。反応器(1)に供給する塩素ガス流量は塩素ガス供給量の総量に対して50モル%に設定した。反応器(1)では反応圧力0MPa(ゲージ圧)、反応温度0℃となるようにコントロールした。管(13)より反応器(1)の反応溶液を70.0kg/hrで抜き出し反応器(2)に供給した。この時の反応溶液中に含まれる塩化水素は33質量%、水は33質量%であり、HCl/(HCl+H2O)として約50質量%であった。反応器(2)には管(12)より塩素ガスを反応器(1)と同様に6.7kg/hrで供給した。このとき反応器(2)の気相部の塩素分圧は0MPa(絶対圧)、反応器(2)の反応溶液中の塩素濃度は0.0g/mLであった。反応器(2)では反応圧力0.03MPa(ゲージ圧)、反応温度0℃となるようにコントロールした。管(15)より反応溶液を76.7kg/hrで抜き出し脱ガス塔(16)に供給した。この供給液中に含まれるアリルアルコールは0.2kg/hrであり、この量は反応器に供給しているアリルアルコール量合計の1.8%に相当した。脱ガス塔(16)は塔頂0.01MPa(ゲージ圧)、塔底温度120℃で運転され、塔頂より実質的に塩化水素からなるガスを17.3kg/hrで抜き出し、管(8)を通して反応器(1)に導いた。塔底より塔底成分を59.4kg/hrで抜き出し冷却器(18)で約25℃に冷却して分液槽(19)に導いた。分液槽で静置後、分液された上相(水相)は28.9kg/hrの割合で抜き出し、そのうち25.0kg/hrを反応器(1)に導いた。残りの上相は下相(油相)と合流し、34.5kg/hrの割合で粗製品を得た。粗製品を液体クロマトグラフにより分析した結果、粗製品中に22.7kg/hrの2,3−ジクロル−1−プロパノールが生成しており、供給アリルアルコール基準で収率91%であった。
【0038】
以上の反応条件で連続運転を継続したが、10日経過後から脱ガス塔(16)の加熱器の熱効率が低下し始め、20日経過後反応を停止し加熱器を点検した結果、加熱器のチューブの約60%が重合物により閉塞していた。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、塩酸溶液中でアリルアルコールを塩素化し、得られる溶液を脱ガス塔に導入、加熱して塩化水素を放散せしめてその塩化水素を反応器に回収する2,3−DCHの連続的な製造方法において、脱ガス塔に導入する反応液中に溶解する塩素濃度を特定の濃度(0.015g/mL)以下に制御すること、及び/または脱ガス塔の直前の反応器気相部の塩素分圧を特定の分圧(0.08MPa(絶対圧))以下に制御すること、さらに脱ガス塔の直前の反応器の反応溶液中に溶解する塩素濃度及び/または脱ガス塔の直前の反応器気相部の塩素分圧を必要な範囲に制御する手段として、脱ガス塔の直前の反応器の出口液の塩素濃度及び/または気相部に存在する塩素ガス濃度(分圧)を測定する分析計を設置して、その分析計の指示値により脱ガス塔の直前の反応器に導入する塩素ガス流量を制御することによって脱ガス塔に導入する反応液中に残存するアリルアルコール濃度を実質的にゼロにし、2,3−DCH、及びエピクロルヒドリンを連続的に高収率かつ長期間安定して製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 1段式反応器を用いた本発明による2,3−ジクロル−1−プロパノールの製造方法の1例のフロー図である。
【図2】 直列に接続した2段式反応器を用いた本発明による2,3−ジクロル−1−プロパノールの製造方法の1例のフロー図である。
【図3】 並列に接続した2段式反応器を用いた本発明による2,3−ジクロル−1−プロパノールの製造方法の1例のフロー図である。
【図4】 直列に接続した2段式反応器を用いた本発明の実施例による2,3−ジクロル−1−プロパノールの製造方法のフロー図である。
【符号の説明】
1,2 反応器
3,4 熱交換器
5,6 循環ポンプ
7 アリルアルコール導入管
8 回収塩化水素ガス導入管
9 塩酸水溶液導入管
10 回収反応溶媒導入管
11,12 塩素ガス導入管
13 反応器(1)の反応液抜き出し管
14 塩素濃度分析計
15 反応器(2)の反応液抜き出し管
16 脱ガス塔
17 脱ガス塔塔頂凝縮器
18 脱ガス塔出口液冷却器
19 液液分離器
20 塩化水素ガス吸収器

Claims (8)

  1. 反応器を用いて塩酸溶液中でアリルアルコールを塩素化して得られる2,3−ジクロル−1−プロパノールを含む溶液を脱ガス塔に導入して塩化水素を放散せしめてその塩化水素を反応器に戻し、残液より2,3−ジクロル−1−プロパノールを得る2,3−ジクロル−1−プロパノールの製造方法において、脱ガス塔に導入する直前の反応器出口液中に溶解する塩素濃度を0g/mLを超える濃度〜0.015g/mL以下の濃度に保持することを特徴とする2,3−ジクロル−1−プロパノールの製造方法。
  2. 反応器を用いて塩酸溶液中でアリルアルコールを塩素化して得られる2,3−ジクロル−1−プロパノールを含む溶液を脱ガス塔に導入して塩化水素を放散せしめてその塩化水素を反応器に戻し、残液より2,3−ジクロル−1−プロパノールを得る2,3−ジクロル−1−プロパノールの製造方法において、脱ガス塔の直前の反応器に出口反応液に溶解する塩素濃度をモニターする分析計を設置し、塩素濃度を0g/mLを超える濃度〜0.015g/mL以下の濃度に保持するように反応器に導入する塩素ガス流量を制御する請求項1に記載の2,3−ジクロル−1−プロパノールの製造方法。
  3. 反応器を用いて塩酸溶液中でアリルアルコールを塩素化して得られる2,3−ジクロル−1−プロパノールを含む溶液を脱ガス塔に導入して塩化水素を放散せしめてその塩化水素を反応器に戻し、残液より2,3−ジクロル−1−プロパノールを得る2,3−ジクロル−1−プロパノールの製造方法において、脱ガス塔の直前の反応器における気相部の塩素分圧を0.08MPa(絶対圧)以下に保持することを特徴とする2,3−ジクロル−1−プロパノールの製造方法。
  4. 反応器を用いて塩酸溶液中でアリルアルコールを塩素化して得られる2,3−ジクロル−1−プロパノールを含む溶液を脱ガス塔に導入して塩化水素を放散せしめてその塩化水素を反応器に戻し、残液より2,3−ジクロル−1−プロパノールを得る2,3−ジクロル−1−プロパノールの製造方法において、脱ガス塔の直前の反応器に気相部の塩素ガス濃度をモニターする分析計を設置し、塩素分圧を0.08MPa(絶対圧)以下に保持するように反応器に導入する塩素ガス流量を制御する請求項3に記載の2,3−ジクロル−1−プロパノールの製造方法。
  5. 塩化水素をHCl/(H2O+HCl)として40〜75質量%含有する塩酸水溶液を使用する請求項1乃至4のいずれかに記載の2,3−ジクロル−1−プロパノールの製造方法。
  6. −30〜20℃の温度でアリルアルコールの塩素化反応を行う請求項1乃至4のいずれかに記載の2,3−ジクロル−1−プロパノールの製造方法。
  7. 1MPa(ゲージ圧)までの圧力でアリルアルコールの塩素化反応を行う請求項1乃至4のいずれかに記載の2,3−ジクロル−1−プロパノールの製造方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の方法で製造される2,3−ジクロル−1−プロパノールをケン化反応に付することを特徴とするエピクロルヒドリンの製造方法。
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