JPH0643354B2 - 2,3―ジクロロ―1―プロパノールの連続的製法及びその装置 - Google Patents

2,3―ジクロロ―1―プロパノールの連続的製法及びその装置

Info

Publication number
JPH0643354B2
JPH0643354B2 JP1209228A JP20922889A JPH0643354B2 JP H0643354 B2 JPH0643354 B2 JP H0643354B2 JP 1209228 A JP1209228 A JP 1209228A JP 20922889 A JP20922889 A JP 20922889A JP H0643354 B2 JPH0643354 B2 JP H0643354B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydrochloric acid
liquid
reaction
allyl alcohol
chlorine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP1209228A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0374342A (ja
Inventor
亘 田中
彰 畑
良一 山本
正就 大須賀
哲也 中田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka Soda Co Ltd
Original Assignee
Daiso Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daiso Co Ltd filed Critical Daiso Co Ltd
Priority to JP1209228A priority Critical patent/JPH0643354B2/ja
Publication of JPH0374342A publication Critical patent/JPH0374342A/ja
Publication of JPH0643354B2 publication Critical patent/JPH0643354B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は塩酸媒体中でアリルアルコールに塩素を付加さ
せて2,3−ジクロロ−1−プロパノールを連続的に製
造する方法及びこれに用いられる装置に関する。
〔従来の技術〕
塩酸媒体中でアリルアルコールに塩素を付加させる2,3
−ジクロロ−1−プロパノールの製造方法は例えば特公
昭37−17206号,特開昭59−128340号,特開昭59−12834
1号,特開昭60−258171号等に開示されている。特に高
濃度の塩酸中で反応させることにより高収率で2,3−ジ
クロロ−1−プロパノールが得られることが知られてお
り、塩酸濃度が重要な要因の一つであることは明らかで
あるが、連続的に商業的規模で製造するための具体的な
方策は提供されていない。
本出願人は先に塩酸媒体中で、アリルアルコール,塩素
及び塩化水素を同時に導入して反応させる方法を提案
し、塩化アリルやエーテル結合を有する化合物の副生を
抑え、高収率で2,3−ジクロロ−1−プロパノールを製
造できることを示した(特開昭62−19544号,同26243
号)。しかしながらこの回分乃至半回分式の方法から得
られる情報を用いて連続的に2,3−ジクロロ−1−プロ
パノールを製造しようとすると、逐次反応や並行反応に
よる副生物が生成し、2,3−ジクロロ−1−プロパノー
ルの収率は5%前後の低下は免れなかった。
これを避けるためには通常チユーブラー式あるいは多槽
式の反応器を用いることが考えられるが、アリルアルコ
ールへの塩素の付加反応は周知のように多量の発熱を伴
うので、除熱に工夫を要する。またこの反応は低温程高
収率が得られるが、反応混合物の粘性が高く、これらの
ことから、例えば普通のチユーブラー式では熱交換器の
効率をよくするために線速度を大きくとる必要があり、
長大な反応管を要することとなって必ずしも実用的でな
い。一方アリルアルコールへの塩素の付加反応は速いこ
とも知られており、したがって除熱方式が適切であれ
ば、その程長い滞留時間は必要ではない。それ故、攪拌
槽を複数個用いる多槽式では除熱速度に限界があり効率
的でない。攪拌槽と外部冷却器を組合せる方式も一般的
には知られているが上記の反応については実行可能な方
法として従来提供されていない。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は以上の点に鑑み、工業的規模において塩酸媒体
中でアリルアルコールと塩素との反応により高濃度の2,
3−ジクロロ−1−プロパノールを連続的に高収率で製
造する方法及び装置を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明はすなわち、環状に形成された管式反応器によ
り、アリルアルコールと塩素とを塩酸媒体中で反応させ
て2,3−ジクロロ−1−プロパノールを製造する方法
であって、導管内に塩素媒体を含む反応混合物を冷却し
て循環させ、この循環液にアリルアルコール及び塩素ガ
スを相互に近接した位置より連続的に導入して上記導管
経路内で反応させ、供給されたアリルアルコールの総モ
ル数に相当する生成物と塩酸媒体の一部とを含む反応混
合物を取出し、該反応混合物より回収された塩酸を上記
循環液に導入し、この循環液の顕熱で反応熱を吸収させ
ることを特徴とする2,3−ジクロロ−1−プロパノール
(以下DCHと略記する)の連続的製法及びこれに使用
される装置である。
本発明はさらに上記循環液より取出された反応混合物中
に含まれる塩酸を生成物と分離回収して循環液にリサイ
クルさせる工程をも含む。すなわち循環液より取出され
た反応混合物を0〜2気圧(ゲージ圧)の条件下に加熱
して塩化水素ガスを放散させ、放散後の液を10〜40℃に
冷却して上層(水性層)と下層(油層)に分離し、上層
に分離する2,3−ジクロロ−1−プロパノール及び塩化
水素を含有する水溶液を抜出し、新たに供給される塩酸
を合せた液に、先に放散させた塩化水素ガスを0〜50℃
及び0〜2気圧(ゲージ圧)の条件下に吸収させて20〜
40重量%の塩化水素を含む水溶液とし、この水溶液を上
記循環液に導入することを特徴とするものである。
本発明方法を図面により説明する。第1図は本発明を実
施するのに好適な装置の1例を示す。
本発明に使用される塩素化反応器は、熱交換器(3),静
的ミキサー(6),気液分離器(8),循環ポンプ(2)を導管
(反応管)(1)で環状に接続している。反応管全体は十
分に保冷し、熱交換器(3)と気液分離器(8)のジヤケツト
には冷媒を循環して冷却している。反応管(1)で形成さ
れる経路には循環ポンプ(2)により塩酸媒体を含む反応
混合物が冷却されながら循環している。この循環液には
管(4)よりアリルアルコールが導入され、また管(5)より
は塩素ガスが導入される。この塩素導入管(5)はアリル
アルコール導入管(4)と近接して配置されており、供給
されたアリルアルコール,塩素は循環液と共に静的ミキ
サー(6)に導かれ混合される。このミキサー(6)を出た反
応混合物から少くとも供給されたアリルアルコールの総
モル量に相当するDCH生成物が管(7)により取出され
る。残部は気液分離器(8)に入り循環液中にその分圧分
だけ混入してくる排ガス管(9)より排出し、循環ポンプ
(2)によって再循環される。この際、生成物と共に系外
に出される塩化水素を補うための回収液が管(23)より導
入される。
以上の塩素化工程において用いられるアリルアルコール
は無水のものでもよく最大40重量%の水を含むものでも
よい。回収液は水,塩化水素,DCHその他の副生物か
らなっており、20〜40重量%の塩化水素を含んでいる。
この回収液及び等モルの塩素とアリルアルコールとは反
応管(1)内の循環液に供給され、熱交換器(3)により除熱
されて−20〜+10℃の温度条件で反応に供せられる。
反応混合物中のDCH濃度は10〜40重量%となるように
塩素とアルコールの供給量を調節する。DCHの濃度が
10重量%未満では単位容積あたりの生産量の減少,生成
物の単位量あたりに要する液の冷却,加熱のためのエネ
ルギーの増大を招く等不経済である。また40重量%を越
える濃度では特にエーテル類の副生量が増えDCHの収
率が低下するので好ましくない。また管(23)より回収液
を導入した循環液中の塩酸濃度は15〜30重量%に保たれ
る。管(7)より連続的に取出される反格混合物中のアリ
ルアルコール濃度は実質的にゼロにすべきである。アリ
ルアルコールと塩素とは等モルで反応させるのが望まし
いが、原料の純度や運転制御の精度からみて困難な場合
が多いので、そのような場合は塩素を約10モル%以下の
範囲で過剰に供給すればよい。過剰の塩素が存在すると
反応混合物の熱安定性が増すという利点もある。アリル
アルコール及び塩素の導入位置より反応混合物の出し口
までの反応帯域中の滞留時間は5〜30秒で必要かつ十分
である。また反応管中で混合の効果を高めるための、反
応混合物の線速度は少くとも0.5m/秒が必要である。
静的ミキサー(6)は駆動部分の全く無い静止型混合反応
器であり、スタティックミキサー,ハイミキサー,IS
Gミキサー,LPDミキサー等の名称で市販されてい
る。
第1図において管(7)より取出された反応混合物は塩酸
放散塔(10)に導かれ、塔頂ガスとして塩化水素ガス管(1
1)により塩酸吸収管17に導かれる。塩酸放散塔(10)は0
〜2気圧(ゲージ圧)の圧力条件下、約108〜130℃の温
度で運転される。一方缶出液として生成物を含む液が管
(12)により10〜40℃に冷却されて分液槽(13)に送られて
静置され、上層(水性層)と下層(油層)に分液され
る。適当な滞留時間の後、下層は管(14)より、上層は管
(15)より、それぞれ抜出される。上層の少くとも一部は
管(15)(16)を通つて塩酸吸収塔(17)に送られ、残分は管
(18)を通つて管(14)より導かれる下層の液と合せて粗製
品となる。
塩酸吸収塔(17)には管(16)により導かれる上層のほか、
管(19)より新たに塩酸が供給されるが、この上層の量は
新たに供給される濃度15〜36重量%の塩酸の量と共に、
反応混合物中に必要な塩化水素と水の量から容易に計算
することができる。この回収された上層(水性層)は主
として10〜30重量%のDCH,1〜8重量%の3−クロ
ロ−1,2−プロパンジオールその他油分,10〜21重量%
の塩化水素を含有している。
管(11)よりの回収ガスは分圧分の水分と微量の油分を含
んでいるが、実質的には塩化水素のみと言える。この回
収ガスはそのままあるいは昇圧して塩酸吸収塔(17)に供
給され、管(16)より導かれる水性層と、必要ならば管(1
9)より導かれる塩酸に吸収される。吸収熱は管(20)によ
り冷媒を流して吸収させる。塩酸吸収塔(17)は吸収させ
るべき塩化水素の量と吸収液の吸収能力に応じて操作温
度と圧力を定めればよい。本発明者らが調査したDCH
と水との混合物への常圧における塩化水素の溶解度を第
1表に示す。
これにより所望の反応条件に応じて塩酸吸収塔(17)の運
転条件を容易に定めることができる。0〜2気圧(ゲー
ジ圧)の範囲で加圧し、水冷温度で運転し、冷却のコス
トを下げることも可能であり、種々の条件の組合せが存
在する。
所定の塩化水素を吸収させた回収液は、20〜40重量%の
塩化水素を含有するが、この回収液の温度が所定の反応
温度より高い場合には冷却器(21)で顕熱分を除去し、冷
却しておくことが望ましい。加圧下に吸収させた場合は
減圧弁(22)を通して管(23)により気液分離器(8)に導入
される。なおこの回収液の導入位置は反応管(1)の任意
の位置であってもよい。
また本発明において、塩素化反応器は第1図の装置を組
合せて2段式又はそれ以上の多段式にすることも可能で
ある。すなわち2段目装置には生成物取出し管(7)より
取出された生成物を含む反応混合物が導入され第1段目
と同じく反応管内を循環する。1段目と2段目の比率は
反応工学的考察により容易に決定できるが、1:1とす
るのが適当である。また1段目と2段目の生成物取出し
管のアリルアルコール濃度は実質的にゼロとなるように
すべきである。2段目の反応管より取出された生成物を
含む反応混合物は、第1図と同様な回収装置によって混
合物中に含まれる塩化水素分は塩酸として回収され、各
段の塩素化反応装置に導かれる。このような2段式を3
段式あるいはそれ以上の多段式にすれば収率上有利であ
るが経済性を考慮して適宜決定すればよい。
〔作用〕
本発明法の基本的な反応機構は次式に示される。
(主反応) (副反応) 但し、上式において AA:アリルアルコール MCH:3−クロロ−1,2−プロパンジオール AA:AA,DCH,MCHのようなヒ ドロ
キシ基を有する化合物を代表させたもの ETH:エーテル類 k,k,k:式(i)(ii)(iii)の反応速度定数 これより次式の反応速度式が得られる。
d[DCH]/dt=k[AA][Cl2][Cl-] (iv) d[MCH]/dt=k[AA][Cl2][H2O] (v) d[ETH]/dt=k[AA][Cl2][AA*] (vi) 但し上式において[ ]はその成分の濃度を表わす。
式(iv)(v)(vi)よりMCH又はETHの生成比は、 d[DCH]/d[MCH]=k[Cl-]/k[H2O] (vii) d[DCH]/d[ETH]=k[Cl-]/k[AA] (vii
i) となる。
上記式(vii)により反応の場におけるCl-濃度の高い程D
CHの生成比が高くなるので有利であり、本発明のごと
く媒体となる塩酸濃度は工業的に不都合のない程度に大
にするのがよい。
また本発明は上記のように反応管による循環方式を採用
するものであるが、攪拌槽による連続式に比べ新たに生
じた生成物の一部についてみれば、平均滞留時間を短く
することができ、かつ反応領域においてはチユーブラー
反応器類似の反応器が形成され、管の軸方向における反
応混合液の混合が抑えられるので、逐次反応が起こる機
会が少くなり、主としてエーテルからなる副生物の生成
が抑えられる。また上記(iii)式によりAAとCl2がA
Aと共にETHの生成に関与すると考えられるので、A
の反応速度への寄与は近似的にAAの初期濃度で代
表させることができる。このような点より、アリルアル
コール及び塩素のための導入管を複数個所配置すると、
アリルアルコールの初期濃度を無限小に近づけることが
できるので式(viii)の[AA]が小さくなり、エーテ
ルの生成比をさらに小さくするのに効果がある。このよ
うにすれば回分式に近似した連続式の反応を行うことが
できる。
またアリルアルコールと塩素との反応は周知のように極
めて早い。したがって両者を速やかに接触させる程有利
であり、本発明のごとくアリルアルコールと塩素とを同
時にしかも反応管中の近接した位置に導入することをこ
の目的にそうものである。
本発明において塩酸媒体中でアリルアルコールに塩素を
付加させてDCHを得るためには、反応混合物(循環
液)中の塩化水素濃度を15〜30重量%に保つ必要があ
る。したがって塩化水素を回収,リサイクする工程が必
然的に有用である。そこでこの回収液が反応管に入るの
に先立って塩酸放散塔で反応混合物より一旦放散された
塩化水素ガスを、分液槽で分離された水性層に吸収させ
ることが、DCHの工業的製法において非常に有効とな
る。すなわちDCHの生成反応がきわめて大きな発熱
(1モル当り約47kcal)を伴うので、反応管中に塩化水
素ガスを供給するとその溶解熱をも同時に吸収せねばな
らず反応温度,塩酸濃度の調整が困難となる。本発明方
法によれば、反応管では反応熱のみ除去すればよいこと
になる。
〔実施例〕
以下実施例,比較例により、本発明方法を説明する。な
お例中組成はいずれも重量基準である。
実施例1 第1図に示したフローの装置を用いてアリルアルコール
の塩素化を行った。塩素化反応装置は伝熱面積10m
カーベイト製熱交換器(3),エレメント数20のセラミツ
ク製静的ミキサー(6),容積100のガラスライニング製
容器からなる気液分離器(8),循環ポンプ(2)を径25mmの
フッ素樹脂ライニング管からなる導管(反応管)(1)で
環状に接続した。反応装置全体は十分に保冷し、熱交換
器と気液分離器のジャケツトには冷媒を循環して冷却し
た。塩素導入管(5)とアリルアルコール導入管(4)は菌接
して配置されており、この位置から反応混合物取出し管
(7)までの距離は20mである。反応混合物は循環ポンプ
(2)により環状に組立てられた反応管(1)内を循環し、そ
の保有液量は約200である。管(4)よりアリルアルコー
ル(純分72.4%)を9.9kg/時,管(5)より塩素を8.9kg
/時の割合で供給し、静的ミキサー(6)を経て正味の成
物を含む反応混合物を65.1kg/時の割合で管(7)より取
出した。循環液中の塩化水素濃度は26.3%であり、温度
0℃,圧力0気圧(ゲージ圧)で反応させた。管(7)よ
り取出された反応混合物は塩酸放散塔(10)に導かれる。
この塩酸放散塔(10)は容量100のガラスライニング容
器にカーボンラシヒリングを充填したガラス製の塔を立
て、塔頂成分はカーベイト製凝縮器を通し、凝縮器は還
流させ実質的に塩化水素からなるガス成分は11.5kg/時
の割合で塩酸吸収塔(17)に導いた。この放散塔は塔頂1
気圧(ゲージ圧),塔底温度130℃で運転され、塔底成
分を53.5kg/時の割合で抜出し冷却器で約20℃に冷却し
て分液槽(13)に導いた。分液槽は容量200のガラスラ
イニング製容器で液供給口,上層及び下層の抜出し口を
有し静置後、分液された上層(水性層)は35.1kg/時の
割合で抜出し、そのうち33.0kg/時を塩酸吸収塔(17)に
導いた。残りは下層(油層)と合流し、20.6kg/時の割
合で粗製品を得た。ガスクロマトグラフによる分析によ
れば、粗製品中15.0kg/時のDCHが生成しており、こ
れは供給アリルアルコール基準で収率94.2%に相当す
る。なお反応混合中のDCH濃度は34.8%であった。塩
酸吸収塔(17)には上記リサイクル液としての上層と濃度
34.7%の塩酸とをそれぞれ33.0kg/時及び1.7kg/時で
供給し吸収液とした。これに前記の塩酸放散塔(10)の塔
頂から回収された塩化水素ガスが吸収される。塩酸吸収
塔はカーベイト製套管式で套側に冷却水を流し、温度40
℃,圧力0.5気圧(ゲージ圧)で運転した。吸収液合計3
4.8kgの組成は塩化水素15.6%,水59.6%,DCH22.0
%,その他油分2.8%であった。この液は塩化水素を吸
収後0℃に冷却し減圧弁を経て気液分離器(8)に導入す
ることによって反応管にリサイクルされた。この管(23)
よりリサイクルされる液は46.3kg/時で塩化水素36.6
%,水44.8%,DCH16.5%の組成であった。
実施例2 実施例1で用いたのと同じ装置に塩素を8.1kg/時,無
水アルコールを6.5kg/時の割合で供給し、圧力0気圧
(ゲージ圧),温度−5℃で反応させた。循環液中の塩
化水素濃度は23.8%であった。反応混合物を65.5kg/時
の割合で取出し、塩酸放散塔(10)に供給した。塩酸放散
塔は圧力0気圧(ゲージ圧),搭底温度110℃で運転し
た。塔頂から塩化水素ガスを8.7kg/時の割合で回収
し、塩酸吸収塔(17)に導いた。塔底成分は実施例1と同
様に分液し、上層及び下層をそれぞれ38.8kg/時,18.1
kg/時の割合で抜出し、上層を吸収液として塩酸吸収塔
に導いた。下層のガスクロマトグラフ法による分析か
ら、DCHが供給アリルアルコールに基づいて94.1%の
収率で生成していた。なお反混合物中のDCHは32.7%
であった。吸収塔(17)に供給される上層は塩化水素6.3k
g/時,水23.7kg/時,DCH7.8kg/時,その他油分1.
0kg/時から成っており、これに濃度15.6%の塩酸を3.4
kg/時の割合で加えて吸収液とし、温度40℃,圧力0気
圧(ゲージ圧)で放散塔よりの塩化水素ガスを吸収させ
た。この液は−5℃に冷却後、反応管(1)にリサイクル
された。リサイクルされる液は50.9kg/時の割合で組成
は塩化水素30.4%,水52.3%,DCH15.4%であった。
比較例 第2図に示す装置を用いた塩酸媒体におけるアリルアル
コールと塩素との反応を行った。
生成物取出し管(203)より下の容量が700mlの蓋付きガラ
ス製攪拌槽(反応容器)(201)を用いて管(206)よりアリ
ルアルコール,管(209)より塩素ガス(207)塩化水素ガス
(208)の混合ガス,管(210)より塩酸,管(211)よりリサ
イクルされた調節水を供給し、管(212)より排ガスを排
出させながら反応させ、連続的に管(203)より生成物を
反応混合物受器(204)に取出した。ガラス製攪拌槽(201)
及び受器(204)は冷却浴(213),(214)によって冷却され
る。各原料の供給量,反応条件及び結果を第2表に示
す。
〔発明の効果〕 以上のように本発明方法及び装置によれば塩酸媒体中に
おけるアリルアルコールと塩素との反応により2,3−ジ
クロロ−1−プロパノールを製造する工程を、工業的規
模に適した連続法により効率よく行うことができる。特
に本発明においては補充する塩化水素を水溶液の形で行
うので塩素化反応器では反応熱のみ除去すればよく、本
反応のように低温で行うための冷凍機の能力が少くて済
み経済的である。また一定の除熱能力があるとすれば、
反応器の単位体積当りの反応量を大きくとることができ
る。そして十分な塩化水素吸収能力を有する回収液にこ
れを吸収させることにより、吸収時の温度を塩素化反応
温度と独立に設定することができるので、除熱のために
水のような低コストの冷媒を用いることも可能である。
また回収液の塩化水素濃度を検定することにより、反応
器中の塩酸濃度制御の精度を上げることができる。さら
に回収液中にはアリルアルコールが存在しないので、反
応系中に、高濃度のアリルアルコールと回収液に含まれ
るDCH,MCHその他の油分とが共存することがな
く、これらの共存による副反応を低減させるという大き
な効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明方法を実施する装置の概略図を示し、第
2図は比較例に使用した実験室規模の2,3−ジクロロ−
1−プロパノールの製造装置の概略図を示す。 1……導管(反応管),2……循環ポンプ, 3……熱交換器, 4……アリルアルコール導入管, 5……塩素ガス導入管,6……静的ミキサー, 7……生成物取出し管,8……気液分離器, 10……塩酸放散塔,13……分液槽, 17……塩酸吸収塔,20……冷媒配管, 201……反応容器,204……反応混合物受器, 205……温度計, 206……アリルアルコール導入管, 207……塩素導入管,210……塩化水素導入管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中田 哲也 兵庫県尼崎市大島2丁目35―2 (56)参考文献 特開 昭63−290835(JP,A)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】環状に形成された管式反応器により、アリ
    ルアルコールと塩素とを塩素媒体中で反応させて2,3
    −ジクロロ−1−プロパノールを製造する方法であっ
    て、導管内に塩酸媒体を含む反応混合物を冷却して循環
    させ、この循環液にアリルアルコール及び塩素を相互に
    近接した位置より連続的に導入し上記循環経路内で反応
    させ、供給されたアリルアルコールの総モル数に相当す
    る生成物と塩酸媒体の一部とを含む反応混合物を取出
    し、該反応混合物より回収された塩酸を上記循環液に導
    入し、この循環液の顕熱により反応熱を吸収させること
    を特徴とする2,3−ジクロロ−1−プロパノールの連
    続的製法。
  2. 【請求項2】循環液中におけるアリルアルコールと塩素
    との反応温度が−20〜+10℃である請求項1に記載の製
    法。
  3. 【請求項3】循環液中におけるアリルアルコールと塩素
    との反応滞留時間が5〜30秒である請求項1又は2に記
    載の製法。
  4. 【請求項4】請求項1における塩酸を回収するにあた
    り、循環液より取出された反応混合物を0〜2気圧(ゲ
    ージ圧)の条件下に加熱して塩化水素ガスを放散させ、
    放散後の液を10〜40℃に冷却して上層と下層に分離し、
    上層に分離する2,3−ジクロロ−1−プロパノール及
    び塩化水素を含有する水溶液を抜出し新たに供給される
    塩酸を合せた液に、先に放散させた塩化水素ガスを0〜
    50℃及び0〜2気圧(ゲージ圧)の条件下に吸収させて
    20〜40重量%の塩化水素を含む水溶液とすることを特徴
    とする2,3−ジクロロ−1−プロパノールの製法。
  5. 【請求項5】上層液の2,3−ジクロロ−1−プロパノ
    ール濃度が10〜30重量%であり、塩化水素濃度が10〜21
    重量%である請求項4に記載の製法。
  6. 【請求項6】下層より抜出される液が2,3−ジクロロ
    −1−プロパノールの粗製品である請求項4に記載の製
    法。
  7. 【請求項7】環状に形成された管式反応器により、アリ
    ルアルコールと塩素との塩酸媒体中における反応によ
    り、2,3−ジクロロ−1−プロパノールを製造するた
    めの装置であって、塩酸媒体を含む反応混合物を循環さ
    せ少くとも一部で上記反応を行わせる第1の導管経路及
    び該導管経路より取出される反応混合物より塩酸を回収
    する第2の導管経路よりなり、第1の導管経路にはアリ
    ルアルコール導入管,該アリルアルコール導入管に近接
    して配置された塩素ガス導入管,上記アリルアルコール
    と塩素ガスとを混合させる静的ミキサー,反応混合物の
    取出し管,回収された塩酸を含む水溶液の導入管,排ガ
    スを分離排出させる気液分離器,循環用ポンプ及び循環
    液冷却用熱交換器を設け、第2の循環経路には、第1の
    循環経路より取出された反応混合物を加熱し塩化水素ガ
    スを放散させる塩酸放散塔,放散後の液を冷却して上層
    と下層とに分離するための分液槽,及び該分液槽より抜
    出された上層の液に上記塩化水素ガスを吸収させて第1
    の導管経路に戻すための塩酸吸収塔を設けたことを特徴
    とする装置。
JP1209228A 1989-08-10 1989-08-10 2,3―ジクロロ―1―プロパノールの連続的製法及びその装置 Expired - Lifetime JPH0643354B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1209228A JPH0643354B2 (ja) 1989-08-10 1989-08-10 2,3―ジクロロ―1―プロパノールの連続的製法及びその装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1209228A JPH0643354B2 (ja) 1989-08-10 1989-08-10 2,3―ジクロロ―1―プロパノールの連続的製法及びその装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0374342A JPH0374342A (ja) 1991-03-28
JPH0643354B2 true JPH0643354B2 (ja) 1994-06-08

Family

ID=16569474

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1209228A Expired - Lifetime JPH0643354B2 (ja) 1989-08-10 1989-08-10 2,3―ジクロロ―1―プロパノールの連続的製法及びその装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0643354B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4721311B2 (ja) * 2001-04-26 2011-07-13 昭和電工株式会社 2,3−ジクロル−1−プロパノール及びエピクロルヒドリンの製造方法
ATE259766T1 (de) 2001-04-26 2004-03-15 Showa Denko Kk Verfahren zur herstellung von 2,3-dichlor-1- propanol und epichlorhydrin
JP2008231073A (ja) * 2007-03-23 2008-10-02 Mitsubishi Chemicals Corp ガラスライニング装置を用いる反応方法及び炭酸ジエステルの製造方法
PL215730B1 (pl) * 2011-01-10 2014-01-31 Inst Ciezkiej Syntezy Orga Sposób wytwarzania dichloropropanoli z gliceryny

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63290835A (ja) * 1987-05-21 1988-11-28 Showa Denko Kk 2,3−ジクロロ−1−プロパノ−ルの製造法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0374342A (ja) 1991-03-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2778878B2 (ja) エチレンオキシドの製造方法
FI86168B (fi) Foerfarande foer framstaellning av 2,2,2-trifluoretanol.
JP2022554215A (ja) 気液バブリング床反応器、反応系、及びカーボネートエステルを合成するための方法
JP4859084B2 (ja) 1,2−ジクロロエタンを製造する際に生じる反応熱を利用する方法および装置
CN112794286A (zh) 氯化溴的连续流法合成系统和合成工艺
CN108752172B (zh) 一种合成六氟异丙基甲基醚的方法
KR101127162B1 (ko) 반 연속식 공정을 이용한 불화에테르 제조방법 및 제조장치
JPH0643354B2 (ja) 2,3―ジクロロ―1―プロパノールの連続的製法及びその装置
JP4721311B2 (ja) 2,3−ジクロル−1−プロパノール及びエピクロルヒドリンの製造方法
CS198231B2 (en) Method of the partial separation of water from gas mixture arising in vinyl acetate preparation
US4554392A (en) Method of preparing 1,2-dichloroethane from ethylene and chlorine gas
JPH1059877A (ja) メタノールを抽出剤としたジメチルエーテルおよびクロロメタンの混合物の製造および分別法
US3059035A (en) Continuous process for producing methyl chloroform
US4324932A (en) Process for the manufacture of vinyl chloride by the thermal cracking of 1,2-dichloroethane
US9102582B2 (en) Method of producing alcohols
JP2006511440A (ja) 蟻酸メチルの製造法
JPH0643353B2 (ja) 2,3―ジクロロ―1―プロパノールの連続的製法及びその装置
JP4673028B2 (ja) エチレンカーボネートの精製方法
CN214528133U (zh) 氯化溴的连续流法合成系统
EP0057629B1 (en) Vapor state process for the preparation of diesters of oxalic acid
EP1167334A2 (en) Process for continuously producing a cyclododecanone compound
US6743955B2 (en) Method for producing 2,3-dichloro-1-propanol and epichlorohyrin
JPS6128A (ja) 二塩化エタンの製造方法
CN111744441A (zh) 连续反应装置和连续制备一溴代物的方法
CN112778113A (zh) 一种生产氯乙醛的装置和方法