以下に本発明の塗布膜除去方法が実施される塗布膜除去装置が組み込まれた塗布膜形成装置の一実施の形態について説明する。ここで、図1は塗布膜形成装置の一実施の形態に係る全体構成を示す平面図であって、図2はその概略斜視図である。図中B1は例えば5枚の基板例えばマスク基板Gが収納されたキャリアCを搬入出するためのキャリアブロックであり、このキャリアブロックB1は、前記キャリアCを載置するキャリア載置部20と受け渡し手段21とを備えている。
前記マスク基板Gは、例えば半導体マスクを形成するためのガラス基板であり、例えば一辺の長さが152±0.5mmの正方形であって、厚さが6.35mmの、一辺の長さが6インチサイズの角型のガラス基板が用いられる。前記受け渡し手段21はキャリアCから基板Gを取り出し、取り出した基板GをキャリアブロックB1の奥側に設けられている処理部B2へと受け渡すように、左右、前後に移動自在、昇降自在、鉛直軸回りに回転自在に構成されている。
処理部B2の中央には主搬送手段22が設けられており、これを取り囲むように例えばキャリアブロックB1から奥を見て例えば右側には塗布ユニット23及び現像ユニット24、左側には洗浄ユニット25、手前側、奥側には加熱・冷却系のユニット等を多段に積み重ねた棚ユニットU1,U2が夫々配置されている。塗布ユニット23は、基板にレジスト液を塗布する処理を行うユニット、現像ユニット24は、露光後の基板に現像液を液盛りして所定時間そのままの状態にして現像処理を行うユニット、洗浄ユニット25はレジスト液を塗布する前に基板を洗浄するためのユニットである。
前記棚ユニットU1,U2は複数のユニットが積み上げられて構成され、例えば図2に示すように、塗布膜除去ユニット3や加熱ユニット26、冷却ユニット27のほか、基板Gの受け渡しユニット28等が上下に割り当てられている。前記主搬送手段22は、昇降自在、進退自在及び鉛直軸まわりに回転自在に構成され、棚ユニットU1,U2及び塗布ユニット23、現像ユニット24並びに洗浄ユニット25の間で基板Gを搬送する役割を持っている。但し図2では便宜上受け渡し手段21及び主搬送手段22は描いていない。
前記処理部B2はインタ−フェイス部B3を介して露光装置B4と接続されている。インタ−フェイス部B3は受け渡し手段29を備えており、この受け渡し手段29は、例えば昇降自在、左右、前後に移動自在かつ鉛直軸まわりに回転自在に構成され、前記処理ブロックB2と露光装置B4との間で基板Gの受け渡しを行うようになっている。
このような塗布膜形成装置における基板Gの流れについて述べておくと、先ず外部からキャリアCがキャリア載置部20に搬入され、受け渡し手段21によりこのキャリアC内から基板Gが取り出される。基板Gは、受け渡し手段21から棚ユニットU1の受け渡しユニット28を介して主搬送手段22に受け渡され、所定のユニットに順次搬送される。例えば洗浄ユニット25にて所定の洗浄処理が行われ、熱処理ユニットの一つにて加熱乾燥が行われた後、冷却ユニット27にて所定の温度に調整され、塗布ユニット23にて塗布膜の成分が溶剤に溶解された塗布液例えばレジスト液の塗布処理が行われる。
続いて基板Gは塗布膜除去ユニット3にて、基板Gの縁部に付着している不要なレジスト膜(塗布膜)が除去される。ここで基板Gの縁部とは、基板のパターン形成領域の外側の周縁領域及び基板端面をいう。この後、基板Gは加熱ユニット26の一つにて、所定温度に加熱されてプリベーク処理が行われた後、冷却ユニット27の一つにて所定の温度に調整され、次いで主搬送手段22により棚ユニットU2の受け渡しユニット28を介してインターフェイス部B3の受け渡し手段29に受け渡され、この受け渡し手段29により露光装置B4に搬送されて、所定の露光処理が行われる。この後基板Gは、インターフェイス部B3を介して処理部B2に搬送され、加熱ユニット26の一つにて所定の温度に加熱されて、ポストエクスポージャーベーク処理が行われる。次いで冷却ユニット27にて所定の温度まで冷却されて温度調整された後、現像ユニット24にて現像液が液盛りされ、所定の現像処理が行われる。こうして所定の回路パターンが形成された基板Gは主搬送手段22、キャリアブロックB1の受け渡し手段21を介して、例えば元のキャリアC内に戻される。
続いて本発明の塗布膜除去装置をなす塗布膜除去ユニット3について図3〜図5を参照して説明する。図中30は処理容器であり、その側面には例えばシャッタ31aにより開閉自在に構成された基板Gの搬出入口31が形成され、この搬出入口31を介して処理容器30の内部に主搬送手段22がアクセスできるように構成されている。
このような処理容器30の内部には、主搬送手段22との間で基板Gの受け渡しを行うための基板チャック32が、搬出入口31を介して主搬送手段22との間で基板Gの受け渡しを行うことができる位置に設けられている。前記基板チャック32は、例えば基板Gの4つの角部を保持するための4個の保持部33を備えており、これら保持部33は保持アーム33aを介して昇降機構34及び回転機構35により、昇降自在、略鉛直軸まわりに回転自在に構成されている。
また処理容器30の内部には、基板を保持するための4本の支持ピン36が、前記基板チャック32と干渉しない位置に設けられている。これら支持ピン36は塗布膜の除去処理時に基板Gを保持するためのものであり、基板チャック32が支持ピン36に対して昇降することにより、基板チャック32との間で基板Gの受け渡しが行われるようになっている。これら支持ピン36は、基板Gを安定に支持し、かつ後述する塗布膜除去部と干渉しない状態で基板Gを保持するようになっている。
さらに処理容器30の内部には、支持ピン36により支持された基板GのY方向の両側に、この基板GのY方向に伸びる互いに対向する一対の辺の端縁に沿って移動して、当該辺の縁部の不要な塗布膜であるレジスト膜を除去するための塗布膜除去部4A,4Bが設けられている。この例では、塗布膜除去部4(4A,4B)は、図5に示すように、断面形状が略コ字型の基体41を備えており、この基体41は基板Gの縁部を間隔を介して挟み込むように設けられている。
基体41の上面部分には、基板表面の端縁の縁部に沿って多数の溶剤吐出孔42aが配列された溶剤吐出部42が設けられると共に、基板表面の前記溶剤吐出部42からの溶剤の供給領域よりも端縁から見て内側の領域に不活性ガス例えば窒素(N2)ガスを供給するためのガス吐出部43が設けられている。また基体41の背面部分には、溶剤と、不活性ガスと、溶剤による塗布膜の溶解物とを吸引排出するための排出路である吸引排出路44が形成されており、この吸引排出路44には吸引手段である例えば吸引ポンプが接続されている。
またこの例では、基体41の下面部分にも、基板裏面の端縁の周縁領域に沿って多数の溶剤吐出孔45aが配列された溶剤吐出部45が設けられると共に、基板裏面の前記溶剤吐出部45からの溶剤の供給領域よりも端縁から見て内側の領域に不活性ガス例えば窒素(N2)ガスを供給するためのガス吐出部46が設けられている。前記溶剤吐出部42,45には図示しない溶剤供給路を介して溶剤を貯留するための溶剤タンク(図示せず)が、前記ガス吐出部43,46には図示しないガス供給路を介して不活性ガスを貯留するためのガスタンク(図示せず)が夫々接続されている。また溶剤ノズル42,45の先端は、夫々吸引排出路44に向けて傾斜するように形成されている。
また基体41の上面部分における、溶剤吐出部42,45やガス吐出部43,46が設けられている領域よりも前面部分には、コ字の開口部を広げるような段部41aが形成されており、この段部41aには、基板表面に対向するように第1の位置センサ47が設けられ、基体41の下面部分における、前記第1の位置センサ47と対向する位置には第2の位置センサ48が設けられている。これら第1及び第2の位置センサ47,48は夫々ファイバセンサよりなり、一方側が発光素子、他方側が受光素子として構成されて、基板Gの端縁上のある位置を検出するようになっている。この例では第1及び第2の位置センサ47,48が位置検出部に相当する。
これら塗布膜除去部4は、例えば幅Xが3mm〜30mm、間隔Yが6mm〜8mmに設定され、例えば厚さが5mm〜7mmの基板Gに対して例えば幅1mm〜5mm程度の縁部の不要な塗布膜を除去することができる形状に形成されている。なお溶剤吐出孔42aの形状としては図5のような複数孔であってもよいし、単一孔であってもスリット状のものであってもよい。
前記塗布膜除去ユニット3は、支持ピン36に保持された基板Gの両外側に、基板GのY方向の互いに対向する一対の辺と略平行に設けられたY方向に互いに対向して伸びる2本のY方向ガイドレール51,52を備えており、前記塗布膜除去部4A,4Bは、夫々Y方向移動機構53,54により、前記Y方向ガイドレール51,52に沿ってY方向に移動自在に構成されている。またこのY方向ガイドレール51,52はX方向移動機構55,56により、X方向に伸びるX方向ガイドレール57,58に沿ってX方向に移動自在に構成されており、これにより塗布膜除去部4A,4BはX軸,Y軸に沿って、X軸とY軸とを同期させた状態で移動自在に構成されることとなる。ここでY方向移動機構53,54は例えばベルト駆動機構により構成され、X方向移動機構55,56は例えばボールネジ機構により構成される。図3中M1,M2は夫々Y方向移動機構53,54のモータ、M3,M4は夫々X方向移動機構55,56のボールネジを回転させるモータである。
前記シャッタ31a、基板チャック32の昇降機構34や回転機構35、Y方向駆動機構53,54の各モータM1,M2、X方向駆動機構55,56の各モータM3,M4の駆動動作は制御部6により制御される。この制御部6はCPU(中央処理ユニット)、プログラム及びメモリ等により構成されるが、ここでは各機能をブロック化し構成要素として図6に基づいて説明するものとする。制御部6は各処理ユニットのレシピの作成や管理を行うと共に、レシピに応じて各処理ユニットの制御を行うものであるが、この実施の形態の形態における、その働きの要点は塗布膜除去部4A,4Bの移動制御にあるので、この点に重点をおいて説明する。
図6中61はレシピ作成部、62はレシピ格納部、63はレシピ選択部であり、レシピ作成部61は、塗布膜の溶剤の種類、塗布膜の除去幅(除去しようとする塗布膜の基板端縁からの距離)、塗布膜除去部4A,4Bのスキャン速度やスキャン回数等といった、塗布膜除去処理に必要な処理条件を組み合わせたレシピの入力を行うことができるようになっていて、ここで作成された各レシピはレシピ格納部62に格納される。レシピは目的とする塗布膜に応じて複数用意され、オペレータはレシピ選択部63によりレシピ格納部62に格納されている複数のレシピから目的のレシピを選択することとなる。なおB1はバスである。
また制御部6は吐出位置補正部64を備えている。この吐出位置補正部64は、塗布膜除去部4A,4Bにより夫々対応する基板端縁の2箇所の位置を検出し、その検出値に基づいて基板の端縁の位置を求め、この位置に応じて塗布膜除去部4A,4Bの塗布膜除去処理時の移動路を補正する機能を備えている。
具体的にこの機能について説明すると、例えば図7に実線で示すように、基板の互いに対向する一対の辺G1,G3の端縁が、夫々塗布膜除去部4A,4Bに設けられた上下2個の位置センサ47,48を結ぶ線上近傍に位置するように、先ず除去ユニット4A,4BをY方向移動機構53,54によりY軸方向に移動させた後(図7(a)参照)、次いでX方向移動機構55,56によりX軸方向に移動させ(図7(b)参照)、これにより基板の辺G1,G3の夫々の端縁の第1のポイントP1A,P1Bの位置を把握する。次いで図7(c),(d)に示すように、第1のポイントP1(P1A,P1B)と同様に、この基板の辺G1,G3の端縁の第2のポイントP2(P2A,P2B)の位置を把握する。ここで制御部6ではY方向移動機構53,54のモータM1,M2及びX方向移動機構55,56のモータM3,M4からの情報により塗布膜除去部4A,4Bの位置を認識するようになっており、これにより夫々の辺G1,G3の第1及び第2のポイントP1,P2の位置座標が把握されるようになっている。
次いでこれら基板端縁の第1のポイントP1と第2のポイントP2との2箇所の位置情報、例えば座標ポイントの数値差に基づいて、直線の式により基板の辺G1,G3の端縁の位置を算出する。具体的に図8に基づいて説明すると、先ず塗布膜除去部4A(4B)のホーム位置の位置座標を座標(0,0)とし、塗布膜除去部4A(4B)をY軸(Y方向ガイドレール51(52))に沿って第1のポイントP1に対応する位置まで移動させ、続いて塗布膜除去部4A(4B)をX軸(X方向ガイドレール57(58))に沿って第1のポイントP1の位置まで移動させて、当該ポイントP1の座標データ例えば第1の座標(5,8)を取得する。ここで前記ホーム位置とは、例えば基板の端縁の一端側の塗布膜除去部4A(4B)が待機する位置である。
続いて塗布膜除去部4A(4B)をホーム位置まで戻した後、塗布膜除去部4A(4B)をY軸(Y方向ガイドレール51(52))に沿って第2のポイントP2に対応する位置まで移動させ、続いて塗布膜除去部4A(4B)をX軸(X方向ガイドレール57(58))に沿って第2のポイントP2の位置まで移動させて、当該ポイントP2の座標データ例えば第2の座標(25,15)を取得する。
この後塗布膜除去部4A(4B)をホーム位置まで戻し、第1の座標(5,8)と第2の座標(25,15)とにより、第1及び第2のポイントP1,P2の間の傾き角度θ(図8(b)参照)を算出し、このデータが補正値出力部65によりY方向駆動機構53,54、X方向駆動機構55,56の各モータM1〜モータM4に夫々出力される。そして実際の塗布膜の除去処理の際には、基板端縁から所定距離分内側の位置に塗布膜除去部4A,4Bから塗布膜の溶剤を供給するように、前記傾き角度θ分、塗布膜除去部4A(4B)のX軸方向の動きが制御された状態で、塗布膜除去部4A(4B)を前記基板端縁に沿って基板Gの一端側から他端側へ移動させる。つまり塗布膜除去部4A(4B)の移動路がY軸(Y方向ガイドレール51(52))から角度θ傾くように、塗布膜除去部4A(4B)をX軸方向に移動させながら前記基板端縁に沿ってY軸方向に移動させる。
この例では前記傾き角度θを求めることにより、基板端縁のY軸(Y方向ガイドレール51(52))からの傾きが算出されて基板端縁の位置が求められ、また塗布膜除去部4A(4B)の移動路がY軸から角度θ傾くように、塗布膜除去部4A(4B)の移動が制御されるので、塗布膜除去部4A(4B)の移動路の補正が行われることになる。
また前記傾き角度θを算出して、予め基板端縁のY軸からの傾きテーブルを作成し、これに沿って塗布膜除去部4A(4B)を移動させるように、塗布膜除去部4A,4Bの移動路を補正し、このようにして補正された移動路の情報を、補正値出力部65によりY方向駆動機構53,54、X方向駆動機構55,56の各モータM1〜モータM4に夫々出力しておき、実際の処理では、塗布膜除去部4A,4Bを補正後の移動路に沿って移動させて塗布膜の除去処理を行うようにしてもよい。
次いで上述の塗布膜除去ユニット3にて行われる塗布膜除去方法の参考例である第1の実施の形態について図9〜図11に基づいて説明する。先ず処理容器30のシャッタ31aを開き、搬出入口31を介して主搬送手段22により基板Gを処理容器30内に搬入して基板チャック32に受け渡し、シャッタ31bにより搬出入口31を閉じる(図9(a),ステップS1)。続いて基板チャック32を下降させて支持ピン36に基板Gを受け渡す(図9(b),ステップS2)。
この後、既述のように塗布膜除去部4A,4Bを移動させて、基板Gの互いに対向する一対の辺G1,G3の端縁の2箇所のポイントP1,P2の位置を検出し、塗布膜除去部4A,4Bの除去処理時の移動路を補正する(図9(c),ステップS3)。しかる後、塗布膜除去部4A,4Bを補正された移動路の一端側まで移動させ、次いで基板Gの表面側と裏面側の夫々の所定位置に塗布膜の溶剤を供給しながら、前記移動路に沿って基板の辺G1,G3の一端側から他端側までの間を所定回数スキャンして、所定の塗布膜の除去を行う(図9(d),図11(a))。
ここでスキャン開始位置は、図12(a)に示すように、基板の辺G1,G3の一端側であって例えば基板表面の端縁から第1の距離A1例えば1mm内側に溶剤を供給する位置であって、前記スキャン終了位置は、基板の辺G1,G3の他端側であって例えば基板表面の端縁から第1の距離A1例えば1mm内側に溶剤を供給する位置である。この際基板の端縁から第1の距離A1とは、基板の縁部の塗布膜の除去幅がA1ということである。
こうして夫々基板表面の辺G1,G3の端縁から1mm内側の位置に溶剤例えばシンナー液を供給すると共に、溶剤の供給領域よりも内側に窒素ガスを供給する一方、基板Gの裏面側にも基板端縁から例えば5mm程度内側に溶剤を供給すると共に、溶剤の供給領域よりも内側に窒素ガスを供給しながら、塗布膜除去部4A,4Bを基板Gの端縁に沿って往復させ、基板Gの一端側から他端側まで第1の回数例えば5回スキャンさせる(第1の除去工程(ステップS4)、図11(a))。ここで塗布膜除去部4を基板の一端側から他端側まで移動させたときに、スキャン回数を1とする。
これにより基板の表面側と裏面側の縁部に付着している不要なレジスト膜が溶解され、溶剤及び溶解物は、窒素ガスによって基板Gの外方側へ吹き飛ばされると共に、吸引手段により吸引されて吸引排出路44から吸引排出される。
この後、図12(b)に示すように塗布膜除去部4A,4Bを基板表面の端縁から第1の距離A1よりも短い第2の距離A2内側に溶剤を供給する位置に僅かに移動させる。前記第2の距離A2とは第1の距離A1よりも例えば0.2〜0.4mm程度短い距離をいい、第1の距離A1と第2の距離A2の差は、溶剤が除去領域よりも内側の塗布膜に染み込む距離に相当する。
こうして例えば基板表面の辺G1,G3の端縁から例えば0.8mm内側の位置に溶剤を供給すると共に、この溶剤の供給位置よりも内側に窒素ガスを供給する一方、基板裏面の辺G1,G3の端縁から4.8mm内側の位置に溶剤を供給すると共に、この溶剤の供給位置よりも内側に窒素ガスを供給しながら、塗布膜除去部4A,4Bを基板Gに沿って往復させて、基板Gの辺G1,G3の端から端まで第1の除去工程と同じ回数か第1の除去工程よりも少ない回数例えば3回スキャンさせる(第2の除去工程(ステップS5,図11(b)))。
こうして基板Gの縁部の塗布膜の除去を行った後、基板チャック32を上昇させて支持ピン36から基板チャック32に基板Gを受け渡し、この後基板チャック32を90度回転させた後下降させて、支持ピン36に基板Gを受け渡す(ステップS6)。これにより基板Gの互いに対向する一対の辺G2,G4が塗布膜除去部4A,4Bに対応し、塗布膜の除去が行われる基板Gの端縁が変えられる(図11(c))。
次いで塗布膜除去部4A,4Bにより辺G1,G3の塗布膜除去時と同様に、先ず基板Gの辺G2,G4の端縁の夫々2箇所を測定して、塗布膜除去部4A,4Bの移動路の補正を行った後(ステップS7)、基板表面Gの辺G2,G4に対して辺G1,G3と同様に第1の除去工程を行い(ステップS8)、次いで第2の除去工程(ステップS9)を行う。
こうして全ての辺に対して縁部の不要な塗布膜が除去された基板Gは基板チャック32に受け渡されて主搬送手段22との間で受け渡しを行う位置にて待機し、そしてシャッタ31aを開き、搬出入口31を介して主搬送手段22に受け渡されて処理容器30から搬出され、次いでシャッタ31aにより搬出入口31が閉じられる(ステップS10)。以上において、塗布膜除去部4A,4Bの移動動作は制御部6によりY方向移動機構53,54、X方向移動機構55,56を介して制御される。
このような方法では、基板Gの縁部の塗布膜を除去するにあたり、処理の途中において、基板Gの縁部の除去幅(基板の端縁からの距離)を変化させているので、塗布膜除去部4A,4Bのスキャン回数を低減させても、良好な除去性能を確保することができ、これにより処理時間の短縮や、溶剤の省量化を図ることができる。
具体的に説明すると、従来の技術の欄にも記載したように、塗布膜除去部4から塗布膜Rの縁部に溶剤を供給すると、この溶剤が供給位置よりも上流側の塗布膜Rの内側に染み込み、吸引手段により吸引されるときに、当該塗布膜Rを溶解しながら流れるために、図13に示すように、溶け出した塗布膜が線状に基板表面に沿って流出してしまう。この現象は塗布膜除去部4を基板端縁に沿ってスキャンさせる毎に発生するので、従来のように基板Gの周縁領域の除去幅を変化させない場合には、線状の塗布膜を除去するために、塗布膜除去部4を10回程度スキャンさせる必要がある。
これに対してこの参考例では、前記溶剤が塗布膜Rに染み込む距離は0.2mm〜0.4mm程度であるので、第1の除去工程では除去幅に相当する距離A1分端縁から内側の位置に溶剤を供給して例えば5回スキャンを行ない、次いで第2の除去工程では溶剤の供給位置を前記溶剤が塗布膜Rに染み込む距離に相当する分、端縁に近い位置に変化させる。このようにすると、第2の除去工程においても溶剤の供給位置よりも上流側の塗布膜Rに溶剤が染み込む現象が発生するが、塗布膜Rの除去領域よりも内側の領域には溶剤が染み込んで行かないので、新たな塗布膜Rの溶解が抑えられる。
また第1の除去工程で流出した線状の塗布膜の溶剤の供給位置よりも下流側の部分は、前記溶剤の供給により除去される。さらに線状の塗布膜の溶剤の供給位置よりも上流側の部分については塗布膜の流出により発生した薄い塗布膜であるので、前記第2の除去工程にて供給される溶剤が上流側への塗布膜Rに染み込むことにより、当該領域の塗布膜は塗布膜除去部4を2,3回程度のスキャンさせれば除去することができる。これにより塗布膜の除去幅を変えない場合よりもトータルのスキャン回数を低減させることができ、処理時間の短縮化や溶剤の省量化を図ることができる。
ここで第1の除去工程や第2の除去工程の塗布膜除去部4のスキャン回数や、第2の工程での溶剤の供給位置については、例えば塗布膜除去部4のスキャン速度や溶剤の供給量によっても異なるが、本発明者らの実験により、例えば1辺の長さが6インチサイズの基板Gであり、レジスト膜(塗布膜)の厚さが0.5μm〜1μm、基板G端縁からの除去幅が1mmの場合、第1の工程のスキャン回数は2〜5回、前記距離A1と距離A2の差は0.2mm〜0.4mm、第2の除去工程のスキャン回数は1〜3回が好ましいことが認められている。
またこの実施の形態では、基板Gを支持ピン36にて保持する際に、機械的に基板Gの端縁を押圧して基板自体の位置合わせを行うのでなく、塗布膜除去部4A,4Bにより基板Gの端縁の2箇所の位置を検出し、この検出値に基づいて前記基板端縁の位置を直線の式により算出して、こうして求められた位置に基づいて塗布膜除去部4A,4Bの移動路を補正するようにしている。このため機械的な位置合わせでは、押圧部材が塗布膜が付着している基板の端面と接触するので、押圧部材に塗布膜が付着し、パーティクル発生の原因となるが、本実施の形態の手法では、基板端面と接触する工程がないので、パーティクルの発生が抑えられる。
さらに制御部6では、基板Gの端縁の2箇所の位置に基づく計算により基板端縁の位置を精度良く算出できるので、これにより塗布膜除去部4A,4Bの移動路の補正も正確に行なうことができるので、1mmという僅かな幅の縁部の不要な塗布膜を精度良く除去することができ、有効である。
さらにまたこの例では、塗布膜除去部4A,4Bに、基板Gの裏面側に塗布膜の溶剤を供給する溶剤吐出部45が設けられているので、基板裏面の縁部に付着した不要な塗布膜を除去することができる。また塗布膜除去部4A,4Bには、基板Gの表面側及び裏面側に、溶剤の供給領域よりも内側に窒素ガスを供給するガス吐出部43,46が設けられており、この窒素ガスは吸引排出路44により吸引排気されるので、溶剤や塗布膜の溶解物が吸引排出路44に排出される際、これらを吸引排出路44に向けて押し出すように働き、これにより溶剤等が効率良く吸引排出路に排出される。
続いて本発明の実施の形態に相当する第2の実施の形態について説明するが、この例は、例えば図14に示すように、平面的に見て円弧状にカットされたマスク基板Gの角部の端縁に付着した塗布膜を有効に除去するための手法である。
この例においても、処理容器30内に基板Gを搬入して基板チャック32を介して支持ピン36に基板Gを受け渡した後、塗布膜除去部4A,4Bにより基板Gの互いに対向する一対の辺G1,G3の端縁の2箇所のポイントP1,P2の位置を検出して、制御部6にて塗布膜除去部4A,4Bの除去処理時の移動路を補正する工程までは上述の実施の形態と同様である。
そして塗布膜除去部4A,4Bを補正された移動路の吐出開始位置まで移動させる。この例では、塗布膜除去部4A,4Bの吐出開始位置は図14(a)に示すように、基板Gの対角線状に対向する位置になっている。次いで前記移動路に沿って基板表面の辺G1,辺G3の所定幅A1の縁部の内縁の位置例えば辺G1,G3の端縁から距離A1例えば1mm内側の位置に前記溶剤を供給すると共に、溶剤の供給位置よりも内側に窒素ガスを供給する一方、基板裏面の辺G1,辺G3の所定位置例えば端縁から5mm内側の位置に前記溶剤を供給すると共に、溶剤の供給位置よりも内側に窒素ガスを供給しながら、基板の一端側から他端側までスキャンさせて、基板Gの第1の辺G1,G3の中央近傍領域の縁部の塗布膜を除去する。
続いて塗布膜除去部4A,4Bが基板の辺G1,G3の他端側の位置、つまり基板Gの角部C1,C3の端縁から所定幅A1の縁部を除去する位置まで移動したときに、塗布膜除去部4A,4Bの姿勢を維持した状態で、前記角部の縁部を除去する位置に溶剤を供給するように、塗布膜除去部4A,4BをX軸移動機構55,56により第2の辺つまり基板Gの辺G2,G4に沿って移動させて、この領域の塗布膜の除去を行う(図14(a)参照)。
こうして基板Gの第1の辺G1,G3の縁部の塗布膜の除去を行った後、基板Gを基板チャック32により90度回転させ(図14(b)参照)、次いで同様に基板Gの第2の辺G2,G4に対して所定幅A1の縁部の塗布膜の除去を行ない(図14(c)参照)、続いて基板Gを主搬送手段22に受け渡して塗布膜除去ユニット3から搬出する。以上において、塗布膜除去部4A,4Bの移動動作は制御部6によりY方向移動機構53,54、X方向移動機構55,56を介して制御される。
このような方法では、マスク基板Gの角部の縁部の塗布膜を効率よく除去することができる。つまりマスク基板Gは既述のように基板Gの角部が半径2mmの円の一部をなす円弧状にカットされている上、基板Gの端縁から1mmという僅かな幅で縁部の塗布膜を除去するので、塗布膜除去部4A,4Bを基板Gの辺の端縁に沿って移動させて溶剤を供給して塗布膜除去処理を行うと、従来の技術の欄に記載したように、前記角部の縁部については除去しきれない塗布膜が存在する。
これに対して本実施の形態では、図15(a)に示すように、塗布膜除去部4A,4Bが、基板Gの角部の端縁から所定幅A1の縁部まで移動したときに、X方向に第2の辺G2,G4に沿って移動させて、前記角部の縁部の塗布膜を除去する位置に溶剤を供給しているので、図15(b)に斜線で示す領域の塗布膜を除去することができ、前記角部の縁部の塗布膜についても効率よく除去することができる。ここで基板の角部では所定幅A1の縁部よりも内側の領域まで塗布膜が除去されてしまうが、この領域についてはパターン形成領域の外側であり、問題がない範囲である。
またこの実施の形態では、基板Gの角部の縁部の塗布膜を除去するにあたり、塗布膜除去部4A,4Bから前記角部の所定幅A1の縁部の内縁近傍位置に溶剤を供給するように、塗布膜除去部4A,4BをX方向駆動機構55,56及びY方向駆動機構53,54により段階的に移動させ、これにより前記角部の縁部の塗布膜を除去するようにしてもよい。この場合にはより確実に前記角部の所定幅A1の縁部の塗布膜を除去することができる。
続いて参考例である第3の実施の形態について説明する。この例は、基板Gの辺に対して塗布膜除去部4A,4Bを所定回数スキャンさせて基板縁部の不要な塗布膜を除去するにあたり、最後の複数回のスキャンのときにスキャン速度を遅くすることにより、トータルの処理時間を短縮するものである。
この例においても、処理容器30に基板Gを搬入して、塗布膜除去部4A,4Bの除去処理時の移動路を補正する工程までは上述の実施の形態と同様である。
続いて塗布膜除去部4A,4Bを補正された移動路の吐出開始位置まで移動させ、次いで前記移動路に沿って基板の互いに対向する一対の辺G1,辺G3の所定位置例えば端縁から1mm内側の位置に前記溶剤を供給しながら、基板の辺G1,G3の一端側から他端側までX1回例えば8回、速度V1例えば100mm/sec程度の速度でスキャンする。
次いで塗布膜除去部4A,4Bのスキャン速度を速度V1よりも遅い速度である速度V2例えば50mm/sec程度の速度に変え、X1回よりも少ないX2回例えば2回スキャンして、所定の塗布膜の除去を行う。
こうして基板Gの辺G1,G3の塗布膜の除去を行った後、基板Gを基板チャック32により90度回転させて、基板Gの互いに対向する一対の辺G2,G4に対して同様に塗布膜の除去を行ない、続いて基板Gを主搬送手段22に受け渡す。以上において、塗布膜除去部4A,4Bの移動動作は制御部6によりY方向移動機構53,54、X方向移動機構55,56を介して制御される。
このような方法では、処理時間を短縮しながら、効率よく縁部の塗布膜を除去することができる。つまり本実施の形態は、本発明者らが、基板Gの1辺の塗布膜の除去を行う場合、塗布膜除去部4のトータルのスキャン回数を例えば10回とした場合、所定のスキャン回数例えば8回までは速度V1程度のスキャン速度で処理を行い、次いで最後の例えば2回は、速度V1よりも遅い速度V2程度のスキャン速度で処理を行うと、例えば速度V2程度のゆっくりしたスキャン速度で10回スキャンして処理を行った場合とほぼ同等程度の塗布膜の剥離状態を確保できることを見出した結果なされたものであり、これにより上述の方法では、塗布膜除去部4を所定回数スキャンさせて処理を行う場合に、ゆっくりした速度で全ての回数スキャンを行う場合に比べて、処理時間を短縮しながら、効率よく縁部の塗布膜を除去することができる。
またこの実施の形態は上述の第1の実施の形態又は第2の実施の形態に組み合わせて、各実施の形態において所定回のスキャン回数の内、速度V1でX1回スキャンし、次いで速度V1よりも遅い速度V2でX2回スキャンを行うようにして、トータルの処理時間を短縮するようにしてもよい。
続いて参考例である第4の実施の形態について説明する。この実施の形態は、塗布膜除去部4のスキャン速度を、基板Gの辺の中央近傍領域と角部近傍領域との間で変化させることにより、基板角部の縁部の塗布膜を確実に除去する手法である。
この例においても、処理容器30に基板Gを搬入して塗布膜除去部4A,4Bの除去処理時の移動路を補正する工程までは上述の実施の形態と同様である。続いて塗布膜除去部4A,4Bを、補正された移動路の吐出開始位置まで移動させ、次いで前記移動路に沿って基板の互いに対向する一対の辺G1、辺G3の所定位置例えば端縁から1mm内側の位置に前記溶剤を供給しながら、基板の辺G1,G3の一端側から他端側まで所定の回数スキャンして所定の塗布膜の除去を行うが、この際図16(a)に示すように、基板の角部近傍領域例えば基板の一端側のL0位置(スキャン開始側)〜L1位置までの例えばL0から30mm程度の領域は速度V3例えば40mm/secにて移動させ、次いで基板G中央近傍領域に相当する基板のL1位置からL2位置までの領域(基板の一端側L0から30mm〜90mm程度の領域)は速度V3よりも早い速度V4例えば100mm/secにて移動させ、続いて基板のL2位置からL3位置までの他端側の角部近傍領域、例えば基板の他端(スキャン終了側)から30mmの間は速度V4よりも遅い速度V5例えば40mm/secにて移動するように、制御部6によりスキャン速度を制御する。
こうして基板Gの辺G1,G3の塗布膜の除去を行った後、基板Gを基板チャック32により90度回転させて、同様に基板Gの互いに対向する一対の辺G2,G4の塗布膜の除去を行ない、続いて基板Gを主搬送手段22に受け渡して、塗布膜除去ユニット3から搬出する。以上において、塗布膜除去部4A,4Bの移動動作は制御部6によりY方向移動機構53,54、X方向移動機構55,56を介して制御される。
このような手法では、図16(b)に示すように基板Gの辺の角部近傍領域では中央領域よりも膜厚が厚くなる傾向があるが、角部近傍領域では塗布膜除去部のスキャン速度を遅くしているので、溶剤による塗布膜の剥離時間を長くすることができ、前記角部近傍領域の塗布膜も確実に除去することができる。なおスキャン速度が一定である場合には、角部近傍領域の塗布膜を除去するために、スキャン回数を増やす必要があり、トータルの処理時間が長くなってしまうおそれがある。
またこの実施の形態を上述の第1〜第3の実施の形態に組み合わせ、各実施の形態において、基板Gの辺の中央領域よりも角部近傍領域におけるスキャン速度を遅くして、角部近傍領域の塗布膜を確実に除去するようにしてもよい。
さらに他の例(第5の実施の形態)として、図16(a)の、基板のL0位置(一端側)〜L1位置まで(例えば一端側から30mm程度)の領域と、基板のL2位置〜L3位置までの領域(例えば基板の他端側(スキャン終了側)から30mm程度)の領域については、塗布膜除去部4A,4Bから基板Gの端縁の所定位置に溶剤を供給し、基板Gの中央近傍領域例えば基板GのL1位置〜L2位置までの領域については溶剤の供給を停止した状態で、基板Gの一端側から他端側に所定回数例えば2回所定のスキャンを行い、続いて基板Gの辺の全ての領域に端縁の所定位置に溶剤を供給しながら、基板の一端側から他端側へ塗布膜除去部4A,4Bを等速でスキャンさせて、塗布膜の除去処理を行うようにしてもよい。この例においても前記角部近傍領域の塗布膜が確実に除去することができる。またこの実施の形態を上述の第1〜第4の実施の形態に組み合わせてもよい。
続いて参考例である第6の実施の形態について説明する。この例においても、処理容器30に基板Gを搬入して塗布膜除去部4A,4Bの除去処理時の移動路を補正する工程までは上述の実施の形態と同様である。そして塗布膜除去部4A,4Bを、補正された移動路の吐出開始位置まで移動させ、次いで基板両面の互いに対向する一対の辺G1、辺G3の所定位置に、溶剤と不活性ガス例えば窒素ガスとを夫々供給しながら、基板の辺G1,G3の一端側から他端側まで第1の回数スキャンして所定の塗布膜の除去を行う。
続いて溶剤吐出部42,45からの溶剤の吐出を停止し、基板両面の所定位置、例えば基板Gの縁部の除去領域よりも上流側の塗布膜の端面近傍に窒素ガスを供給した状態で、基板の辺G1,G3の一端側から他端側まで複数回スキャンを行う。次いで溶剤吐出部42,45からの溶剤の吐出を開始し、基板両面の所定位置に溶剤と窒素ガスとを夫々供給しながら、基板の辺G1,G3の一端側から他端側まで第2の回数スキャンを行って所定の塗布膜の除去を行う。こうして基板Gの辺G1,G3の塗布膜の除去を行った後、基板Gを基板チャック32により90度回転させて、同様に基板Gの互いに対向する一対の辺G2,G4の塗布膜の除去を行ない、続いて基板Gを主搬送手段22に受け渡して、塗布膜除去ユニット3から搬出する。以上において、塗布膜除去部4A,4Bの移動動作や、溶剤吐出部42,45からの溶剤の供給開始や停止の動作は、制御部6により制御される。
このような手法では、基板Gの縁部の除去領域よりも内側の塗布膜の端面に窒素ガスのみを供給しながら、所定回数塗布膜除去部4A,4Bを基板の辺に沿ってスキャンさせる工程を設けているので、前記除去領域よりも上流側の塗布膜の端面が窒素ガスの供給により乾燥し、ここからのさらなる塗布膜の溶解の発生や、塗布膜の溶解部分の広がりを抑えることができ、より効率良く基板Gの縁部の不要な塗布膜を除去することができる。ここで窒素ガスは乾燥に適した温度に温度調整したものを供給するようにしてもよい。
またこの実施の形態を上述の第1〜第5の実施の形態に組み合わせ、各実施の形態において、基板Gの縁部に窒素ガスのみを供給してスキャンを行う工程を設け、塗布膜をより効率良く除去するようにしてもよい。
以上において塗布膜除去部は、基板の縁部の所定位置に塗布膜の溶剤を供給しながら、基板の端縁に沿って移動する構成であれば上述の例に限らず、ガス吐出部や基板の裏面側に溶剤を供給する溶剤吐出部を設けない構成としてもよい。また上述の第1実施の形態においては、図17に示す構成の塗布膜除去部7を用いて不要な縁部の塗布膜の除去を行うようにしてもよい。
この塗布膜除去部7は、基板の辺の端縁から第1の距離分内側に、塗布膜の溶剤を吐出する第1の溶剤吐出部71と、前記辺の端縁から第1の距離よりも短い第2の距離分内側に、塗布膜の溶剤を吐出する第2の溶剤吐出部72と、前記第1の溶剤吐出部71及び第2の溶剤吐出部72から吐出した溶剤及び塗布膜の溶解物を排出するための排出路73と、この排出路に接続された図示しない吸引手段と、を備えている。
このように構成された塗布膜除去部7の第1の溶剤吐出部71から溶剤を吐出しながら、前記塗布膜除去部7を基板の辺の端縁に沿って基板の一端側から他端側まで第1の回数移動させ、次いで第1の溶剤吐出部71からの溶剤の吐出を停止して、前記第2の溶剤吐出部72から溶剤を吐出しながら、前記塗布膜除去部7を前記基板の辺の端縁に沿って基板の一端側から他端側まで、第1の回数と同じか少ない第2の回数移動させて、基板Gの辺の縁部の不要な塗布膜を除去するようにしてもよい。このような塗布膜除去部7を用いた場合でも、上述の第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また上述の実施の形態では、基板Gの辺の端縁の位置を算出して、塗布膜除去部の移動路を補正するようにしたが、本発明では基板Gを支持ピン36に載置する際に、例えば基板Gを機械的に押圧してアライメントを行うようにしてもよい。さらに位置検出部として例えばCCDカメラを用い、このCCDカメラの画像により基板Gの辺の端縁の位置を確認し、この位置に基づいて塗布膜除去部の移動路を補正するようにしてもよい。
さらに上述の実施の形態では、塗布膜除去部は基板の互いに対向する一対の辺に対して同時に処理するように構成されているが、基板の辺を1辺ずつ処理するように1個の塗布膜除去部を用いて処理を行うようにしてもよいし、基板の4辺を同時に処理するように4個の塗布膜除去部を備える構成としてもよい。
本発明はレジスト膜以外に保護膜等の塗布膜の除去にも適用可能である。さらに上述の実施の形態では半導体マスク用の角型基板を処理する装置について説明したが、FPD(フラットパネルディスプレイ)用の角型基板等を処理する装置についても本発明は適用可能である。また角型基板としては、角部が平面的に見て直線状にカットされたタイプのものについても本発明は適用可能である。