JP4720003B2 - 希土類磁石のリサイクル方法および希土類ボンド磁石、その希土類ボンド磁石を搭載したモータ - Google Patents

希土類磁石のリサイクル方法および希土類ボンド磁石、その希土類ボンド磁石を搭載したモータ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱硬化性樹脂を用いた希土類ボンド磁石における希土類磁石粉末のリサイクル方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
希土類磁石粉末は、Nd系のものであれば主にNd/Pr、Fe(Co)およびBから成る溶湯合金をロールで急冷して得られる急冷薄片が一般的に用いられる。この急冷薄片に永久磁石としての機能に加えて、小型モ−タ用磁石等の用途に必要とされる程度の精密な寸法精度を実現するような形状を保つ機能を備えさせることは、その製造上の制約から、非常に困難である。そこで、精密な寸法精度で形状を保つために樹脂を混合する。希土類磁石粉末に樹脂を混合したコンパウンドを金型内キャビティーに充填して圧縮するなどして所望の形状に成形することで、寸法精度の高い希土類ボンド磁石が得られる。
【0003】
ところで、環境に対する負荷低減のために、希土類磁石粉末のリサイクルは有効である。特に、資源的にも貴重な希土類金属を用い、さらにその製造にエネルギーを消費する希土類磁石粉末は、新たに希土類磁石粉末を製造するよりも、廃棄する希土類ボンド磁石に含まれるものを再利用した方が環境負荷低減に有利となると考えられる。そこで、廃棄する希土類ボンド磁石に含まれる希土類磁石粉末をリサイクルする方法の確立が望まれていた。
【0004】
結合剤として熱可塑性樹脂を用いた場合の上記リサイクル方法は、比較的広く知られている。一例として、特開昭59−136907号公報に開示されている従来技術は、熱可塑性樹脂が加熱することにより柔らかくなり射出成形が再度可能となることを利用したものである。上記従来技術は、1.射出成形法による熱可塑性樹脂を用いたサマリウム−コバルト系磁石の製造方法において、サマリウム−コバルト系磁石粉末としてR2TM17(Rはサマリウムなどの希土類元素、TMはコバルトを中心とする遷移金属)を用いるとRCo5に比べて、射出成形された磁石、或いはスプルーやランナーなど、希土類磁石粉末と樹脂とのコンパウンドを粉砕して再び射出成形に供することができること。2.射出成形した磁石、或いはスプルーやランナーを脱磁すると取扱いに有利であること。3.磁石、或いはスプルーやランナーから再生した原料を混練上がりの原料と混合すると磁気特性や機械的性質の低下が抑制できることなど、サマリウム−コバルト系ボンド磁石を射出成形により工業的規模で効率よく製造する技術である。
【0005】
一方、結合剤として熱硬化性樹脂を用いた希土類ボンド磁石に含まれる希土類磁石粉末のリサイクル方法は余り知られていない。これは硬化後の熱硬化性樹脂が一般に溶剤に不溶で、しかも硬く、再度の成形が困難であることが主な原因である。ところで、一般的に、熱硬化性樹脂を用いて圧縮成形したボンド磁石の方が、熱可塑性樹脂を用いて射出成形したものよりも高密度で成形できる。この理由から、用途により熱硬化性樹脂が広く使用されている。そこで、熱硬化性樹脂を用いて成形された希土類ボンド磁石でも、廃棄する希土類ボンド磁石に含まれる希土類磁石粉末をリサイクルする方法の確立が望まれていた。
【0006】
少数であるが、これまでにも熱硬化性樹脂を用いて成形された希土類ボンド磁石に含まれる希土類磁石粉末のリサイクル方法は提案されている。例えば特開平10−55908号公報にエポキシ樹脂を用いたボンド磁石を熱処理して、樹脂を熱分解させて磁石粉末を分離し、回収するリサイクル方法が開示されている。これはボンド磁石を500〜1200℃に加熱し樹脂を熱分解して磁石粉末を分離し、回収しようとする方法である。また、例えば特願平11−313079号公報には希土類ボンド磁石の熱硬化性樹脂をできるだけ多く分解して除去することで希土類磁石粉末と樹脂を分離して、希土類磁石粉末を回収する方法が開示されている。具体的には希土類ボンド磁石を、分解槽内で分解液に接触させ、250℃以上に加熱することでできるだけ多くの樹脂を分解して除去し、希土類磁石粉末と樹脂を分離し、希土類磁石粉末を回収する方法である。また、一般的に他のリサイクル方法で採用されているように、希土類ボンド磁石を室温で粉砕してバージンの希土類磁石粉末に少量混合し再利用する方法も考えられる。
【0007】
しかし、上記従来の方法は、いずれも回収された希土類磁石粉末の磁気特性が低下してしまう課題があった。上記従来の方法のように、希土類磁石粉末と樹脂を分離するためには、希土類磁石粉末と加熱硬化したあとの熱硬化性樹脂の結合を切断するのに必要なエネルギーを希土類ボンド磁石に加えることが不可欠となる。ここで、結合を切断するのに必要なエネルギーを、結合の切断にのみ消費させて希土類磁石粉末を全く活性化させないということは非常に困難である。結合を切断するために加えられたエネルギーの一部によって希土類磁石粉末が活性化されて酸化してしまう。そのため回収された希土類磁石粉末の磁気特性が低下する。また、一般に、この結合は強固であり、分解に必要なエネルギーは大きい。上記特開平10−55908号公報では、ボンド磁石を500〜1200℃に加熱するので希土類磁石粉末の酸化による磁気特性の劣化が顕著となる。特願平11−313079号公報ではこれと比較して低温の処理となり、希土類磁石粉末の酸化劣化が改善されるが、基本的に上記結合を切断するために必要なエネルギーを希土類ボンド磁石に加えなければならないので希土類磁石粉末の磁気特性が低下するという課題があった。また、希土類ボンド磁石を室温で粉砕する方法では、粉砕により希土類磁石粉末が微粉化することにより磁気特性が低下するという課題があった。これらの課題に対して、熱硬化性樹脂を用いた希土類ボンド磁石に含まれる希土類磁石粉末の磁気特性を維持してリサイクルする方法が望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
希土類ボンド磁石の原材料の希土類磁石粉末は高価で、かつ資源の有効利用という観点からもリサイクルが強く望まれている。熱硬化性樹脂を用いた希土類ボンド磁石に含まれる希土類磁石粉末のリサイクル方法として、希土類ボンド磁石を500〜1200℃の高温に加熱し樹脂を熱分解して希土類磁石粉末と樹脂を分離し回収する方法や、分解液に希土類ボンド磁石を浸して加熱し希土類ボンド磁石の樹脂を分解して希土類磁石粉末と樹脂を分離して希土類磁石粉末を回収する方法が開示されている。また、一般的に他のリサイクル方法で採用されているように、希土類ボンド磁石を粉砕してバージンの希土類磁石粉末に少量混合し再利用する方法も考えられる。しかし、これら従来の方法では希土類磁石粉末の磁気特性を維持してリサイクルすることは困難であるという課題があった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
熱硬化性樹脂を用いた希土類ボンド磁石から希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末を回収することを特徴とする。本発明の希土類磁石粉末のリサイクル方法は、熱硬化性樹脂を結合剤に用いた希土類ボンド磁石から希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末を回収する工程と、希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末をバージンの希土類磁石粉末の少なくとも一部、或いは全量と置換して再利用する工程を少なくとも有し、希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末を回収する工程は、希土類ボンド磁石を分解液に曝すために分解槽に仕込む工程と、分解槽から取り出して乾燥した後の希土類ボンド磁石の機械強度が分解槽に仕込む以前の75%以下で、且つ、一定の形状を保ち、機械強度を有する温度と時間だけ分解槽に仕込んだ希土類ボンド磁石を昇温し保持する工程と、分解槽から希土類ボンド磁石を取り出す工程を少なくとも有する構成とする。これにより、希土類ボンド磁石に加えるエネルギーを低減でき、希土類磁石粉末の磁気特性を従来技術以上の水準に維持することが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のリサイクルの対象は、熱硬化性樹脂を用いた希土類ボンド磁石の原材料の希土類磁石粉末である。本発明は、上記希土類ボンド磁石から希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末を回収し、バージンの希土類磁石粉末の少なくとも一部、或いは全量と置換して再利用することで実施する。以下、結合材に熱硬化性樹脂を用いた圧縮成形希土類ボンド磁石の希土類磁石粉末を再利用する方法を実施例にして、さらに詳しく説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0014】
本発明に供される希土類磁石粉末は、希土類ボンド磁石に使用される希土類元素を含む磁石粉末である。例えば、Nd−Fe−B系磁石粉末、Sm−Co系磁石粉末、Sm−Fe−N系磁石粉末等の希土類磁石粉末が挙げられる。希土類元素は酸化し易く、一般的に磁気特性を低下させずに再利用することが困難な磁石粉末なので本発明を用いることが望ましい。また、α−Feおよび/またはFe3Bの磁性相とNd2Fe(Co)14Bの磁性相とを有する磁気的に等方性の磁石粉末の場合、上述した希土類磁石粉末に比べると酸化し易い傾向があるため、本発明を用いることでより磁気特性を低下させずに再利用することが可能となる場合が多い。また、磁気的に異方性の磁石粉末で構成されていても構わない。なお、これらの磁石粉末は、シラン処理などの表面処理を施したものでも構わない。さらに希土類ボンド磁石は、電着塗装等によるエポキシ樹脂等のコーティングが施されたものでも構わない。
【0015】
本発明に供される希土類ボンド磁石の結合材は熱硬化性樹脂である。特にビスフェノール型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂が望ましい。これらエポキシ樹脂を結合材として用いた圧縮成形希土類ボンド磁石は、ボンド磁石中に空隙ができる。この空隙により、一般的に、圧縮成形希土類ボンド磁石の密度は、原料の希土類磁石粉末に対して相対密度83%以下である。本発明では、溶剤が空隙を通って希土類ボンド磁石の内部まで入り、希土類磁石粉末を結合している樹脂を分解することができる。一方、結合材にエポキシ樹脂以外を使用するなどして相対密度が高くなった希土類ボンド磁石では、上記空隙を利用することができず本発明の効果が低減する可能性もある。
【0016】
結合材の一例として、室温、例えば、10〜30℃で固体のビスフェノール型エポキシ樹脂とイソシアネート再生体を含むものを説明する。エポキシ樹脂は、例えば、次の化学式(化1)で示されるような、1分子中に2個以上のオキシラン環を有するものである。
【0017】
【化1】
Figure 0004720003
【0018】
但し、(化1)中、Yはエポキシ樹脂分子の両末端のエポキシ基を除く部分であり、アルコール性水酸基を有する基である。この基は、例えばエピクロルヒドリンと多価フェノールの反応生成物残基である。この多価フェノールは、ビスフェノール類であり、フェノールとアルデヒドまたはケトンとの縮合によって得られるものである。ビスフェノール類の代表的なものとして、2、2’−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパンであるビスフェノールA、4、4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、2、2’−ジヒドロキシジフェニルオキサイド等がある。特にエピクロルヒドリンとビスフェノールAとの縮合物のように、分子鎖内に少なくとも1つのアルコール性水酸基を有し、室温で固体であり、また、磁石粉末表面に対する皮膜形成能をもつ化合物が、本発明において使用できるエポキシ樹脂の代表として例示できる。
【0019】
また、このときの結合材は、その樹脂を硬化または重合させる硬化剤であるイソシアネート再生体を含んでいる。イソシアネート再生体とは、例えば、芳香族または脂肪族ジイソシアネートの活性水素化合物との付加体であり、高温条件下で解離してイソシアネートを発生する化学種である。
【0020】
ジイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−p’−ジフェニルメタンジイソシアネート、p−p’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、p−p’−ジフェニルスルホンジイソシアネートなどが例として挙げられる。このようなジイソシアネートの付加体を形成する活性水素化合物としては、アミン、酸性亜硫酸塩、3級アルコール、ε−カプロラクタム、メルカプタン、エノール、オキシムなどがある。イソシアネート再生体は、特に活性水素化合物の種類によって、その熱解離温度が異なるが、熱解離温度以下であれば、エポキシ樹脂の硬化(重合)を極めて起こしにくく、他方、熱解離温度以上に加熱すると、エポキシ樹脂を迅速に硬化するという特徴を有する。
【0021】
次に、希土類磁石粉末と結合材を混合してコンパウンドを作製する手順を説明する。エポキシ樹脂と硬化剤を含む樹脂を、適当な有機溶剤、例えばアセトンのようなケトン類の溶剤に溶解して樹脂溶液を得る。この溶液と必要に応じて、予め適当な粒度に篩い分けしておいた希土類磁石粉末を湿式混合する。この混合はニーダなどの混練手段を用いて実施できる。次に、樹脂が硬化する温度未満で、アセトンなどの有機溶媒を蒸発させて除去し、樹脂により緩く凝集した希土類磁石粉末と樹脂の凝集体が得られる。次に、例えばカッターミルなどの粗粉砕機を用いて、この凝集体を解砕した後、分級して、所望の粒度分布を有するコンパウンドを得る。この時点で、希土類磁石粉末は樹脂によって被覆されている。これに、コンパウンドの流動性などをさらに改善して成形性を向上させるために滑剤を添加してもよい。
【0022】
樹脂の量は、目的とする希土類ボンド磁石の密度および磁気特性、ならびに機械強度等を考慮して選択できる。一般には、コンパウンドは、その重量の1.0〜4.0重量%程度の樹脂を含む。樹脂量が、1重量%未満では希土類ボンド磁石の機械強度が不足する場合が多く、4重量%以上では希土類磁石粉末の高密度充填が困難になり、密度の高い希土類ボンド磁石を得ることが困難になる。
【0023】
上述したコンパウンドを、金型内キャビティーに充填した後、成形機を用いて圧縮して圧粉体を得る。この圧粉体を樹脂の硬化温度以上に加熱して架橋反応させて硬化し、希土類ボンド磁石を得る。例えば上記のようにして作成した希土類ボンド磁石が本発明の対象となる。
【0024】
廃棄する希土類ボンド磁石から希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末を回収する工程は、希土類ボンド磁石をテトラリン等の溶剤を含む分解液に曝すことにより、希土類ボンド磁石の機械強度を低下させて、その後、必要に応じて力を加えて粉砕し、分級して希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末を回収することで実現できる。また、成形を容易にするため、滑剤や離型剤、ワックスなどが添加されていても構わない。滑剤、離型剤としては、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムなどが挙げられる。ワックスとしては、例えば、ヘキストワックス、カルナバワックス、パラフィンなどが挙げられる。特に滑剤としては、ステアリン酸カルシウムまたはステアリン酸マグネシウムがより好適である。滑剤の添加量は、希土類ボンド磁石の密度、性能、強度などを考慮して選択できるが、一般的にはコンパウンド100重量部に対して0.2〜0.6重量部添加する。また、例えばヒドラジン系酸化防止剤などの酸化防止剤が添加されていても構わない。
【0025】
再利用する工程は、回収した希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末をバージンの希土類磁石粉末に混合する、または、バージンのコンパウンドに混合することにより行うことができる。ここで、回収した希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末をバージンの希土類磁石粉末に混合した後で、アセトンのようなケトン類の溶剤に溶解した樹脂溶液と湿式混合する方が、回収した希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末をバージンのコンパウンドに混合した場合よりも、希土類ボンド磁石の機械強度を高く保って再利用できるので好ましい。また、回収した希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末とバージンの希土類磁石粉末との混合は、樹脂組成物溶液の湿式混合と同時に同じ工程で行っても上記と同様に希土類ボンド磁石の機械強度は高く保って再利用できる。さらに再利用する希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末の最大粒子径は500μm以下であることが好ましい。金型キャビティーに充填されるコンパウンドの充填量は、コンパウンドの最大粒子径が小さい方が一定の重量で充填されることが多い。そのためコンパウンドの最大粒子径が小さい方がボンド磁石の寸法精度を高く作製できるため、バージンのコンパウンドは最大粒子径が500μm以下であることが多い。このため、再利用する希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末の最大粒子径を500μm以下にすることでボンド磁石の寸法精度を維持することができる。
【0026】
本発明に供される分解液は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ジメトキシエタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−イソペンチルオキシエタノール、2−ヘキシルオキシエタノール、2−フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルおよびトリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラリン、ビフェニル、ナフタレン、1,4−ヒドロキシナフタレン、ナフトール、1,4−ナフトキノン、ピッチ、クレオソート油、メチルイソブチルケトン、イソホロン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン、ホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンおよびアセトフェノンからなる群から選択される少なくとも1つの溶剤を含んでいる。また、分解処理工程の温度とその保持時間は、分解槽に仕込んだ希土類ボンド磁石に対する分解槽から取り出して乾燥した後の希土類ボンド磁石の機械強度が75%以下で、且つ、一定の機械強度を有する温度と時間だけ分解槽に仕込んだ希土類ボンド磁石を昇温し保持することで本発明の効果を得ることができる。機械強度が75%以上では、その後力を加えて粉砕しても粉砕性は分解槽に仕込む前とそれほど変わらず分解処理工程の効果はない。また、荷重をかけて破壊するときの最大荷重が特定できなくなるまで機械強度が低下する温度と時間まで昇温し保持すると、希土類磁石粉末が大きく酸化してしまう。このため磁気特性を維持して希土類磁石粉末を再利用することはできなくなる。さらに望ましくは、分解槽から取り出して乾燥した後の希土類ボンド磁石の重量減少が分解槽に仕込んだ希土類ボンド磁石に含まれる樹脂の重量の87重量%未満となる温度と時間だけ昇温し保持することが好ましい。重量減少が87重量%以上では87重量%未満と比較して、回収した希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末の保磁力HCJが急激に低下する。この理由は以下のように考えられる。希土類ボンド磁石を圧縮成形で作製するときのコンパウンドにおいて、希土類磁石粉末を被覆している樹脂の厚みは一般的に0.2〜0.5μm程度である。重量減少が87重量%以上となるまで希土類ボンド磁石を分解液に曝すと、希土類磁石粉末を結合している樹脂ばかりでなく、希土類磁石粉末を被覆している樹脂の架橋まで分解されてしまう。被覆を除去された希土類磁石粉末は酸化され易くなるので保磁力HCJが急激に低下すると考えられる。重量減少が87重量%未満では、希土類磁石粉末間で圧着された圧着面での架橋だけが主に切断され、希土類磁石粉末を被覆している樹脂までは分解されないので保磁力HCJの低下が抑制されるのではないかと考えられる。
【0027】
希土類磁石粉末の酸化を防ぐためには、分解槽内の空気を窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性気体で置換することが好ましい。分解液に酸化防止剤または還元剤を付加することも希土類磁石粉末の酸化低減に効果的であり好ましい。
【0028】
希土類ボンド磁石は乾燥した状態で分解槽から回収する方が望ましい。これは、例えばテトラリンのように強い臭気のものを分解液に用いると、乾燥した状態でなければ周囲に刺激臭が広がるためである。乾燥方法の一つは、分解液と希土類ボンド磁石を分解槽に仕込んで昇温した状態から分解液だけを分解槽から排出することである。このときに、分解槽内部に液体で残留する分解液が少ない方が乾燥は短時間で実現できる。その後、分解槽を減圧して、分解槽内部の温度を分解液の減圧環境下における沸点以上に保持することで希土類ボンド磁石を分解槽内部で乾燥することができる。また、希土類ボンド磁石や分解槽内壁から蒸発した気体の分解液は、配管を通じて別の容器で冷却する等して液体の分解液として回収できる。
【0029】
また、分解槽から排出した分解液には樹脂が溶けており、そのまま再使用を繰り返せば分解液の樹脂含有濃度は上昇する。そうすると樹脂の一部が付着して回収した希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末の樹脂含有濃度を増加させる恐れも考えられる。そこで、分解槽から排出した分解液は、以下のように減圧蒸留することで再使用することが望ましい。分解液を入れた容器内部を減圧して、温度を分解液の減圧環境下における沸点以上に保持する。分解液は気化するが、一方、分解液に溶けていた樹脂は液体の分解液に残る。このようにして気体の分解液と樹脂を分離できる。ここで気体の分解液を、配管等を通して別の容器に移動させてから冷却し、液体の分解液に戻すことにより樹脂含有濃度の低い分解液に再生することができる。上記を繰り返すことで大部分の分解液を繰返し使用できる。
【0030】
粉砕により希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末を回収することもできる。希土類ボンド磁石を、回収後に再利用する希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末に占める100μm以下の粒子の割合が40重量%未満となるようにミキサー等で粉砕する。このときに、櫛や分級機を併用して所望の粒度の粒子だけをカッターミル等で順次粉砕していくことは有効である。これにより保磁力HCJと角型性をほとんど低下させずに回収することができる。例えば、Nd/Pr、Fe(Co)およびBから成る合金の溶融物を急冷して得られる薄片から構成されるNd2(Fe,Co)14Bの磁性相を有し、且つ、Nd2(Fe,Co)14B磁性相の平均結晶粒子径が単磁区臨界寸法以下の30−300nmで磁気的に等方性のR−TM−B系希土類磁石粉末をエポキシ樹脂で硬化した希土類ボンド磁石から上記の方法で希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末を保磁力HCJと角型性をバージンの95%以上の値に保って回収できる。
【0031】
以上のようにバージンの希土類磁石粉末からの保磁力HCJと角型性の低下を低減して回収した希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末は、バージンの希土類磁石粉末と置換することで希土類ボンド磁石に再利用できる。その置換の割合が30重量%以下であれば希土類ボンド磁石の磁気特性をほとんど低下させることはない。また、回収した希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末は、バージンの希土類磁石粉末と置換して希土類ボンド磁石を作製し、モータに搭載して、その界磁用磁石等としてリサイクルすることができる。
【0032】
以下、具体的実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。
【0033】
[希土類ボンド磁石の作製方法]
本実施例に使用した希土類ボンド磁石の作製方法を示す。
【0034】
希土類磁石粉末は、Magnequench International In,Co.製(商品名:MQP−B)で、合金組成Nd12Fe77Co56,結晶粒子径20〜50nmの磁気的に等方性のNd2Fe14B相を有する、厚さ20〜30μmの希土類−鉄系急冷凝固薄片を使用した。
【0035】
結合材は、一液性エポキシ樹脂のジグリシジルエーテルビスフェノ−ルA型エポキシオリゴマーを用いた。化学式を(化2)に示す。ただし、nは重合度で、ここでは約3のものを用いた。また架橋剤は、(化3)に示すような4−4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの末端NCO基にメチルエチルケトンオキシムを付加したイソシアネート再生体を用いた。
【0036】
上記エポキシ樹脂とイソシアネート再生体のアセトン溶液と希土類磁石粉末を湿式混合した。その後、この湿式混合物を80−90℃に加熱してアセトンを揮発させて取り除き、室温に冷却してブロック状中間体を得た。ブロック状中間体を解砕して500μm以下に分級して希土類磁石粉末とエポキシ樹脂混合物の2次凝集粒子を得た。この2次凝集粒子に滑剤のステアリン酸カルシウムを0.2重量部混合してコンパウンドとした。ここで、希土類磁石粉末とエポキシ樹脂の割合は、希土類磁石粉末が97重量%で残りの3重量%がエポキシ樹脂となるように調整した。そして、金型内キャビティに上記コンパウンドを充填して8〜10tonf/cm2の圧力で圧縮した後、金型から離型して圧粉体を得た。この圧粉体を160℃で5分間以上加熱し、結合材を架橋して希土類ボンド磁石を得た。このように作製した希土類ボンド磁石を用いて以下の実験を行った。
【0037】
【化2】
Figure 0004720003
【0038】
【化3】
Figure 0004720003
【0039】
[分解液を用いた希土類ボンド磁石からの希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末の回収方法]
希土類ボンド磁石4kgとテトラリン2.5kgを内容積が5リットルの分解槽に仕込んだ。次に、分解槽内部を酸素濃度が25%以下になるまで窒素で置換した。分解槽を加熱して希土類ボンド磁石を所望の温度まで昇温し、所望の時間そのままの温度で保持した。時間経過後、テトラリンを排出し、希土類ボンド磁石を分解槽内部で乾燥させながら室温まで冷却した。室温まで冷却し乾燥した後に分解槽から希土類ボンド磁石を取り出した。その後、粉砕し、分級して500μm以下の希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末を回収した。
【0040】
[粉砕による希土類ボンド磁石からの希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末の回収方法]
希土類ボンド磁石を網目が1mmの櫛を併設したカッターミルに室温で投入した。希土類ボンド磁石は、その破片の大きさが1mm以下になるまでカッターによる衝撃で砕かれ、1mm以下になると重力に従って網目を通過して落下し、それ以上は砕かれない。網目を落下した粒子を分級し、500μm以下の希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末を回収した。
【0041】
[回収した希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末の保磁力と角型性]
本発明により回収された希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末の保磁力HCJと角型性を、従来の方法と比較して示す。保磁力HCJと角型性は、実施例や比較例にそれぞれ示した条件下で得られた粒子を金型内キャビティーに充填して10tonf/cm2の圧力で外径約5mm、高さ約5mmの円柱形状に成形して測定した。円柱の高さ方向へ50kOeのパルス着磁を施し、測定磁界±20kOeの試料振動型磁力計(VSM)で減磁曲線を測定した。その減磁曲線から保磁力HCJと角型性を求めた。角型性はHkに対する保磁力HCJの比(Hk/HCJ)で評価した。なお、Hkは減磁曲線において、磁化が残留磁化の90%の値を示すときの磁界と定義されるものとする。以下に実施例および比較例の試料作成方法を示す。
【0042】
(実施例1)
希土類ボンド磁石とテトラリンを分解槽に仕込み、240℃で60〜180分間保持し、上記回収方法に従って得た500μm以下の希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末。
【0043】
(実施例2)
希土類ボンド磁石とテトラリンを分解槽に仕込み、240℃で30分間以上60分間未満保持し、上記回収方法に従って得た500μm以下の希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末。
【0044】
(実施例3)
希土類ボンド磁石とテトラリンを分解槽に仕込み、260℃で60分間以下保持し、上記回収方法に従って得た500μm以下の希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末。
【0045】
(実施例4)
希土類ボンド磁石とテトラリンを分解槽に仕込み、210℃の温度で180分間保持し、上記回収方法に従って得た500μm以下の希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末。
【0046】
(実施例5)
希土類ボンド磁石とテトラリンを分解槽に仕込み、180℃の温度で600分保持し、上記回収方法に従って得た500μm以下の希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末。
【0047】
(実施例6)
希土類ボンド磁石を室温で網目が1mmの櫛を併設したカッターミルで粉砕し、分級して得た、全体に占める100μm以下の粒子の割合が40重量%の500μm以下の磁石粉末と樹脂の混合粉末。
【0048】
(比較例1)
希土類ボンド磁石とテトラリンを分解槽に仕込み、280℃の温度で60分間保持し、上記回収方法に従って得た500μm以下の希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末。
【0049】
(比較例2)
希土類ボンド磁石とテトラリンを分解槽に仕込み、300℃の温度で60分間保持し、上記回収方法に従って得た500μm以下の希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末。
【0050】
(比較例3)
希土類ボンド磁石を室温でボールミルで粉砕し、分級して得た、全体に占める100μm以下の粒子の割合が80重量%の500μm以下の磁石粉末と樹脂の混合粉末。
【0051】
(比較例4)
バージンのコンパウンド。
【0052】
図1は試料を作成したときの分解槽内部の温度と、その試料の保磁力HCJの関係を示した図である。また、図2には温度と角型性の関係を示した。なお、実施例6および比較例3は分解槽を用いず、昇温は行わないため、図1の横軸の温度は25℃としてプロットしている。また、比較例4の、バージンのコンパウンドの保磁力HCJと角型性も、横軸は25℃にプロットした。
【0053】
図1と図2から明らかなように、本発明例の実施例は、比較例に比べて高い保磁力HCJと角型性が得られている。比較例1、2は樹脂を分解して希土類磁石粉末と樹脂を分離して、希土類磁石粉末を回収する従来の方法である。この場合よりも、希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末を回収した実施例の方が、比較例4のバージンのコンパウンドからの保磁力HCJと角型性の低下を小さくして回収できた。
【0054】
比較例1、2の保磁力HCJと角型性の低下は希土類磁石粉末の酸化により引き起こされる。希土類磁石粉末と樹脂を分離するためには、280℃以上の高温で行うことが必要になり、希土類磁石粉末を被覆した樹脂まで分解して希土類磁石粉末の表面を高温環境下に暴露することになる。そのために希土類磁石粉末の酸化が急速に進行したものと推測される。一方、希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末を回収する実施例1〜5の場合は、これと比較して低温で実施でき、しかも大部分の希土類磁石粉末は樹脂により表面が被覆されたままなので酸化の進行度合いも小さかったと推測できる。
【0055】
上記結果は、希土類磁石粉末を酸化させないように低温で、しかも少量の熱を加えるだけで回収できるように希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末の形態で回収する方が、バージンのコンパウンドからの保磁力HCJと角型性の低下を小さくして回収できるであろうことを示唆している。実施例6と比較例3は、上記例の中では最も低温の室温で希土類ボンド磁石を粉砕したときの結果である。実施例6のように回収した粒子に占める100μm以下の粒子の割合が40重量%程度であれば、上記のように示唆される知見に従いバージンのコンパウンドからの保磁力HCJと角型性の低下を他の実施例より最も小さくして回収できた。
【0056】
ところが、回収した粒子に占める100μm以下の粒子の割合が80重量%ある比較例3の場合には、比較例1、2のように280℃や300℃の温度で希土類磁石粉末と樹脂の分離を行った場合と同程度に保磁力HCJと角型性の低下を起こした。この結果は上記知見から考えられる結果と異なる。その原因を調べるため、100μm以下の粒子に注目して、実施例6と比較例3で回収した希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末を走査型電子顕微鏡で観察した。その結果、粒子径が100μm程度のバージンのコンパウンドが一個の希土類磁石粉末から構成されていることが多いことに対して、実施例6と比較例3のように希土類ボンド磁石を室温で粉砕して得た粒子は、複数の希土類磁石粉末から構成されていることが多かった。つまり、100μm程度のバージンのコンパウンドは、粒子径が100μm程度の一個の希土類磁石粉末をエポキシ樹脂で皮膜された構成の粒子であることが多く観察された。一方、実施例6と比較例3のように粉砕して得た100μm程度の希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末は、粒子径が10〜50μm程度の複数の希土類磁石粉末が樹脂で結合された構成であることが多かった。ここで希土類磁石粉末は酸化し易く、バージンのコンパウンドでもその粒子径が50μm以下程度まで小さくなると保磁力HCJと角型性が低下してしまう。希土類磁石粉末はその表面が酸化されると、室温ではそれ以上の内部まで酸化が進行するには時間がかかるので、通常、表面のみが酸化された状態である。粒子径が大きいと酸化された表面の特性が全体に及ぼす影響は小さい。しかし、粒子径が小さくなるに従って比表面積が増加し表面の特性が支配的になってくる。そして、粒子径が50μm程度以下まで小さくなると酸化された表面の特性により保磁力HCJと角型性の低下が起きる。つまり、10〜50μm程度の複数の希土類磁石粉末が樹脂で結合された構成の粒子は、その粒子の粒子径が大きくても、各希土類磁石粉末は酸化された表面の特性が支配的なので保磁力HCJと角型性の低下が起きることになる。実施例6の結果から、回収した粒子に占める100μm以下の粒子の割合が40重量%であれば上記のような希土類磁石粉末表面の酸化による影響は小さい。一方、比較例3の結果から、回収した粒子に占める100μm以下の粒子の割合が80重量%程度あれば、上記希土類磁石粉末表面の酸化による影響が顕著になったと考えられる。
【0057】
ところで、従来の希土類ボンド磁石のリサイクル方法に、室温で希土類ボンド磁石を粉砕する方法がある。しかし、従来の方法では、希土類磁石粉末は原料粉末からさらに微紛化すると特性が低下する傾向にあり、従来例によれば、希土類磁石粉末自身の微紛化も避けられないため、磁気特性は落ちるとされていた。比較例3は上記従来例の結果を再現したものと考えられる。ところが、実施例6のように網目が1mmの櫛を併設したカッターミルで粉砕することで、従来のような微紛化を避けることができる。この結果、保磁力HCJと角型性をほとんど低下させずに希土類磁石粉末を回収できる。
【0058】
以上まとめると、新たな知見として、希土類ボンド磁石のリサイクルにおける希土類磁石粉末の保磁力HCJと角型性低下の主な要因に以下の二つを得た。一つは、希土類磁石粉末が熱で活性化されて酸化されることである。もう一つは、希土類磁石粉末が微粉化したときに比表面積が増加するので酸化されている表面の特性が支配的になることである。従来の希土類磁石粉末と樹脂を分離して希土類磁石粉末を回収する方法は、前者の高温での酸化劣化が課題となる。これに対し、本発明は、希土類磁石粉末を被覆している樹脂をできるだけ分解せず、希土類磁石粉末どうしを結合させている部分の樹脂だけを主に分解して、希土類ボンド磁石の機械強度が低下するに留め、その後、機械的に力を加えて粉砕して希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末の形態で回収する方法を提案した。これにより、樹脂の分解処理に要する温度は低温となり、時間も短縮できるので、上記希土類磁石粉末の酸化の度合いは低減し、保磁力HCJと角型性を高い水準に保って回収できることがわかった。一方、従来の室温での粉砕の方法は、後者の微粉化による劣化が課題であった。本発明は、粉砕後に回収した希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末における100μm以下の粒子が全体の40重量%以下となるように粒度を調整して粉砕することで保磁力HCJと角型性を高い水準に保って回収できることを見出した。
【0059】
[希土類ボンド磁石の機械強度と粉砕性]
バージンのコンパウンドを用いて作製した外径4mm、内径1mm、高さ5mmの環状希土類ボンド磁石を分解槽に仕込み、テトラリンに浸漬して160〜300℃に30〜1200分間保持した後、乾燥して分解槽から取り出した。その後、室温で径方向に荷重を加えて環状希土類ボンド磁石を破壊するに要した最大荷重を測定した。図3に、各温度と保持時間において要した最大荷重を、分解槽に仕込まなかった環状希土類ボンド磁石での最大荷重で規格化して示した。
【0060】
また、分解槽から取り出した環状希土類ボンド磁石を網目が4mmの櫛を併設したカッターミルに投入し、網目を落下した粒子を分級し、500μm以下の希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末を回収した。このときのカッターミルへ投入した環状希土類ボンド磁石に対する回収後の500μm以下の希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末の回収率を重量%で表に示した。また図4に上記最大荷重と500μm以下の希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末の回収率の関係を示した。
【0061】
ところで環状磁石に径方向に力を加えて破壊するまでに加わる最大荷重は、寸法が同じであれば、環状磁石の圧環強度に比例する。例えば、分解槽内部の希土類ボンド磁石の温度を240℃で90分間保持した場合の、分解槽から取り出した希土類ボンド磁石の最大荷重は分解槽に投入する以前と比べて38%まで低下した。そして、その後、粉砕して回収した500μm以下の回収率は約70重量%に達した。図4から希土類ボンド磁石の圧環強度が分解槽に投入する以前と比較して75%以下になるまで分解すれば、分解槽に投入する以前と比較して希土類ボンド磁石の粉砕性が向上し、希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末の回収率が増加することが了解できる。逆に分解槽に投入して加熱しても、希土類ボンド磁石の圧環強度が分解槽に投入する以前と比較して75%より大きければ粉砕性の向上は余り認められなかった。
【0062】
[希土類ボンド磁石中の残存樹脂量と保磁力HCJ
(表1)に分解槽に投入する前に対して、分解槽から取り出した希土類ボンド磁石に残存していた樹脂の割合を重量%で示した。残存樹脂の割合は、分解槽に投入する前と、乾燥して分解槽から取り出した後の希土類ボンド磁石の重量を測定し下式から求めた。
【0063】
W=100×((w0−w’)/(w0×(k/100))
ここで、Wは分解槽から取り出した希土類ボンド磁石に残存する樹脂の割合(重量%)、w0は分解槽に投入した希土類ボンド磁石の重量(g)、w’は分解槽から取り出した希土類ボンド磁石の乾燥重量(g)、kは分解槽に投入した希土類ボンド磁石の樹脂量(重量%)である。また、図5に分解槽から取り出した希土類ボンド磁石に残存する樹脂の割合と保磁力HCJの関係を示した。残存する樹脂の割合が13重量%以下まで低下すると回収して得た希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末の保磁力HCJは急激に低下した。残存する樹脂の割合が13重量%以下まで低下すると、希土類ボンド磁石の中の希土類磁石粉末と希土類磁石粉末を結合させていた樹脂ばかりでなく希土類磁石粉末表面を被覆していた樹脂も分解されて、その結果、希土類磁石粉末の酸化が進み易くなるので保磁力HCJが急激に低下するのではないかと考えられる。
【0064】
【表1】
Figure 0004720003
【0065】
[分解液の仕込み量]
分解槽に希土類ボンド磁石4kgとテトラリン2.5kgを仕込んで分解槽内部の希土類ボンド磁石を240℃に昇温し、120分間保持した。その後、分解槽内で乾燥して取り出し、ヘンシェルミキサーで粉砕し、分級して500μm以下の希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末を回収した。次に同量の希土類ボンド磁石と、テトラリンを680g仕込んで同様のことを行った。前者では希土類ボンド磁石はテトラリンに漬かり、希土類ボンド磁石は完全に周囲をテトラリンで囲まれた状態となる。後者ではテトラリンは分解槽底部に存在するだけで、液体のテトラリンが希土類ボンド磁石に接触することはない。
【0066】
前者と後者で得られた500μm以下の希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末の重量、およびその保磁力HCJと角型性に大きな差異はなかった。ただし、後者では分解槽から取り出した乾燥状態の希土類ボンド磁石にヘンシェルミキサーで力を加えると発火することがあった。一方、前者では発火することはなかった。
【0067】
前者では、分解槽内部が昇温されたときに、液体のテトラリンが希土類ボンド磁石に接触して樹脂を分解するのに対して、後者では気体のテトラリンが接触する。後者では、気体のテトラリンが希土類ボンド磁石と分解された樹脂が作る閉鎖空間に閉じ込められることが考えられる。ヘンシェルミキサーで力を加えたときに希土類ボンド磁石が割れて上記空間から気体のテトラリンが開放されると、ヘンシェルミキサーの歯と希土類金属の摩擦による火花で発火する可能性が考えられる。これに対して前者の場合は、分解された樹脂は分解槽内部を対流する液体のテトラリン中に溶け込んで移動するので上記空間ができにくいこと、希土類ボンド磁石は完全に液体のテトラリンで囲まれているので気体のテトラリンが閉じ込められることはないことから発火することがなかったと考えられる。
【0068】
後者は前者に比べて少量のテトラリンで、同程度の保磁力HCJと角型性を備えた希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末をほぼ同じ割合で回収できるが、一方で気体のテトラリンを使用する危険性がある。
【0069】
[分解液の再使用]
分解槽に仕込んだ希土類ボンド磁石の周囲を完全に囲む量のテトラリンを使用毎に廃棄することは本発明の効果を低減させる。そこで分解液の再使用を検討した。
【0070】
希土類ボンド磁石4kgとテトラリン2.5kgを内容積が5リットルの分解槽に仕込み、240℃で120分間保持した。その後、テトラリンを分解槽から排出し室温まで冷却した。その後、溶け込んだ樹脂含有濃度が5×10-1g/cm3になるまで減圧蒸留により樹脂を除去した。一方、希土類ボンド磁石は分解槽内で室温まで冷却し乾燥させた後、分解槽から取り出した。その後、粉砕し分級して500μm以下の希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末を回収した。上記工程を一単位として、減圧蒸留により樹脂を除去した同じテトラリンを用いて上記工程を繰り返した。そして、回収した500μm以下の希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末の重量、およびその減磁曲線を測定した。5回まで繰り返した結果、分解槽に仕込んだ希土類ボンド磁石に対する回収した500μm以下の希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末の重量割合、および保磁力HCJと角型性に変化はなかった。このように、減圧蒸留で樹脂を取り除くことで、テトラリンを再生して繰り返し使用することができる。
【0071】
[回収した希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末を用いた希土類ボンド磁石の機械強度]
回収した500μm以下の希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末をバージンの希土類磁石粉末と割合を変えて混合した。その混合粉末を、エポキシ樹脂を溶解したアセトン溶液と混錬した。ここで、エポキシ樹脂の分量は上記希土類磁石粉末に対してエポキシ樹脂が3.0重量%となるように調整した。比較のために、エポキシ樹脂が3.0重量%となるように調整したコンパウンドに、回収した500μm以下の希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末を割合を変えて混合した。つまり、前者は希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末とバージンの希土類磁石粉末を混合した後で、エポキシ樹脂を溶解したアセトン溶液と混錬して作成したコンパウンドである。これを実施例とする。後者はバージンのコンパウンドに回収した希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末を混合して作成したコンパウンドである。これを比較例とする。
【0072】
これらのコンパウンドを用いて圧力10tonf/cm2で外径9.1mm、内径7.9mm、厚み1.2mmのリング磁石を成形した。そして、リング磁石の径方向から力を加え破壊するときの最大荷重を測定した。図6に回収した希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末を混合した割合と最大荷重の関係を示した。ただし、最大荷重は、バージンのコンパウンドで成形したときの最大荷重で規格化して示した。比較例では、回収した希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末の混合量が増加するに従って最大荷重が急激に低下した。それに対して、実施例では回収した希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末の混合量が増加しても最大荷重の低下は緩やかであった。これは実施例の方が希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末表面にエポキシ樹脂が均一に塗れるためと考えられる。上記のことから、希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末をバージンの希土類磁石粉末に混合する工程は、少なくともエポキシ樹脂とバージンの希土類磁石粉末の混錬と同じ工程で行うか、若しくはそれ以前の工程で行うことが望ましい。
【0073】
[回収した希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末を用いた希土類ボンド磁石の磁気特性]
分解槽に仕込んで240℃で20分間保持した条件で、回収した希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末をバージンのコンパウンドに対して5,10,20,30,50,100重量%となるように置換した。そのコンパウンドを金型内キャビティーに充填して10tonf/cm2の圧力で直径5mm、高さ5mmの円柱磁石を作製した。VSMにより円柱磁石の減磁曲線を測定し、残留磁束密度Br、保磁力HCJ、および、最大エネルギー積[BH]maxを求めた。その結果をまとめて図7に示す。回収した希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末の再利用率30%までなら、磁気特性を殆ど低下させずに再利用できる。
【0074】
【発明の効果】
以上のように、本発明による希土類磁石粉末のリサイクル方法を用いれば、酸化による磁気特性の低下を殆ど生じることなく熱硬化性樹脂を用いた希土類ボンド磁石の原料の希土類磁石粉末をリサイクルできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】分解温度と保磁力HCJの関係を示す図
【図2】分解温度と角型性の関係を示す図
【図3】分解温度と保持時間が機械強度に及ぼす影響を示す図
【図4】希土類ボンド磁石の機械強度と粉砕性の関係を示す図
【図5】残存樹脂の割合と保磁力HCJの関係を示す図
【図6】再利用率が機械強度に及ぼす影響を示す図
【図7】再利用率が磁気特性に及ぼす影響を示す図

Claims (24)

  1. 熱硬化性樹脂を結合剤に用いた希土類ボンド磁石から希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末を回収する工程と、前記希土類磁石粉末と前記樹脂の混合粉末をバージンの希土類磁石粉末の少なくとも一部、或いは全量と置換して再利用する工程を少なくとも有し、前記希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末を回収する工程は、前記希土類ボンド磁石を分解液に曝すために分解槽に仕込む工程と、前記分解槽から取り出して乾燥した後の前記希土類ボンド磁石の機械強度が前記分解槽に仕込む以前の75%以下で、且つ、一定の形状を保ち前記機械強度を有する温度と時間だけ前記分解槽に仕込んだ希土類ボンド磁石を昇温し保持する工程と、前記分解槽から前記希土類ボンド磁石を取り出す工程を少なくとも有することを特徴とする希土類磁石粉末のリサイクル方法。
  2. 前記熱硬化性樹脂がビスフェノール型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の熱硬化性樹脂を含むことを特徴とする請求項1記載の希土類磁石粉末のリサイクル方法。
  3. 前記希土類磁石粉末がR(RはYを含む希土類元素、好ましくはNd/Pr)、TM(TMはFe/Co)、およびBまたはCから成る溶湯合金を急冷して得られる薄片から構成されるRTM14BまたはRTM14Cの磁性相を有し、且つ、RTM14BまたはRTM14C磁性相の平均結晶粒子径が単磁区臨界寸法以下の磁気的に等方性のR−TM−B系またはR−TM−C系希土類磁石粉末であることを特徴とする請求項1記載の希土類磁石粉末のリサイクル方法。
  4. 前記希土類磁石粉末がR、TM、およびBまたはCから成る溶湯合金を急冷して得られる薄片から構成される、少なくともα−Feおよび/またはFeBの磁性相と、RTM14BまたはRTM14Cの磁性相とを有する磁気的に等方性の磁石粉末であることを特徴とする請求項1記載の希土類磁石粉末のリサイクル方法。
  5. 前記希土類磁石粉末がRTM14BまたはRTM14Cの磁性相を有する磁気的に異方性の磁石粉末であることを特徴とする請求項1記載の希土類磁石粉末のリサイクル方法。
  6. 前記希土類磁石粉末がR−Fe−N系の磁気的に等方性、または異方性の磁石粉末であることを特徴とする請求項1記載の希土類磁石粉末のリサイクル方法。
  7. 前記希土類磁石粉末がSm−CoX系(XはCo,Cu,Fe,Zrの群から選ばれる一種または二種以上)の磁気的に異方性の磁石粉末であることを特徴とする請求項1記載の希土類磁石粉末のリサイクル方法。
  8. 前記希土類ボンド磁石の相対密度が、希土類磁石粉末に対して83%以下であることを特徴とする請求項1記載の希土類磁石粉末のリサイクル方法。
  9. 前記分解液は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ジメトキシエタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−イソペンチルオキシエタノール、2−ヘキシルオキシエタノール、2−フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルおよびトリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラリン、ビフェニル、ナフタレン、1,4−ヒドロキシナフタレン、ナフトール、1,4−ナフトキノン、ピッチ、クレオソート油、メチルイソブチルケトン、イソホロン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン、ホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンおよびアセトフェノンからなる群から選択される少なくとも一種の溶剤を含む分解液であることを特徴とする請求項1記載の希土類磁石粉末のリサイクル方法。
  10. 前記分解槽に仕込んだ前記希土類ボンド磁石を昇温し保持する温度と時間は、前記分解槽から取り出して乾燥した後の前記希土類ボンド磁石の重量減少が前記分解槽に仕込んだ前記希土類ボンド磁石に含まれる樹脂の重量の87重量%未満であることを特徴とする請求項記載の希土類磁石粉末のリサイクル方法。
  11. 前記分解槽に前記希土類ボンド磁石を仕込んだ後、前記分解槽内の空気を窒素、ヘリウム、アルゴンからなる群から選択される少なくとも一種の気体に置換することを特徴とする請求項記載の希土類磁石粉末のリサイクル方法。
  12. 前記分解液が、酸化防止剤または還元剤を含むことを特徴とする請求項記載の希土類磁石粉末のリサイクル方法。
  13. 前記分解液が、前記分解槽に仕込まれた前記希土類ボンド磁石の周囲を囲む量以上に前記分解槽に仕込まれることを特徴とする請求項記載の希土類磁石粉末のリサイクル方法。
  14. 前記分解槽に仕込まれた前記希土類ボンド磁石を、乾燥した状態で前記分解槽から取り出すことを特徴とする請求項記載の希土類磁石粉末のリサイクル方法。
  15. 前記分解槽に仕込まれた前記希土類ボンド磁石の乾燥は、前記分解液と前記希土類ボンド磁石を前記分解槽に仕込んで加熱した後に前記分解液を前記分解槽から排出して、その後、前記分解槽を減圧した状態で前記分解槽内部の温度を前記分解液の減圧環境下における沸点以上にすることで行うことを特徴とする請求項記載の希土類磁石粉末のリサイクル方法。
  16. 前記分解液は、減圧蒸留して樹脂含有濃度を低下させて繰り返し使用することを特徴とする請求項記載の希土類磁石粉末のリサイクル方法。
  17. 前記減圧蒸留した分解液の樹脂含有濃度が5×10−1g/cm以下であることを特徴とする請求項16記載の希土類磁石粉末のリサイクル方法。
  18. 前記分解槽から取り出した前記希土類ボンド磁石に力を加え、その後、必要に応じて分級し、所望の粒度の希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末を回収することを特徴とする請求項記載の希土類磁石粉末のリサイクル方法。
  19. 前記置換して再利用する工程は、置換の割合が、バージンのR、TMおよびBまたはCから成る溶湯合金を急冷して得られる薄片から構成されるRTM14BまたはRTM14Cの磁性相を有し、且つ、RTM14BまたはRTM14C磁性相の平均結晶粒子径が単磁区臨界寸法以下の磁気的に等方性のR−TM−B系またはR−TM−C系希土類磁石粉末に対して、再利用するR、TMおよびBまたはCから成る溶湯合金を急冷して得られる薄片から構成されるRTM14BまたはRTM14Cの磁性相を有し、且つ、RTM14BまたはRTM14C磁性相の平均結晶粒子径が単磁区臨界寸法以下の磁気的に等方性のR−TM−B系またはR−TM−C系希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末が30重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の希土類磁石粉末のリサイクル方法。
  20. 前記置換して再利用する工程は、加熱硬化前の熱硬化性樹脂と希土類磁石粉末を混合する工程で、または、それ以前の工程で、再利用する希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末をバージンの希土類磁石粉末と置換し混合して再利用することを特徴とする請求項1記載の希土類磁石粉末のリサイクル方法。
  21. 前記置換して再利用する希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末の最大粒子径が500μmであることを特徴とする請求項1記載の希土類磁石粉末のリサイクル方法。
  22. 再利用されなかった希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末は、再度分解槽に仕込まれることを特徴とする請求項記載の希土類磁石粉末のリサイクル方法。
  23. 請求項1記載の希土類ボンド磁石から回収した希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末を、バージンの希土類磁石粉末の少なくとも一部、或いは全量と置換して作製した希土類ボンド磁石。
  24. 請求項1記載の希土類ボンド磁石から回収された希土類磁石粉末と樹脂の混合粉末をバージンの希土類磁石粉末の少なくとも一部、或いは全量と置換して作製した希土類ボンド磁石を搭載したモータ。
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