JP4425450B2 - ボンド磁石のリサイクル方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、寸法精度、加工性に優れており工業材料に広く利用されているボンド磁石の再資源化リサイクルに関する発明である。
【0002】
【従来の技術】
硬質磁性材料は、どの種類においても一般的に硬くてもろい材質が多く、またそれらの製造工程も鋳造したり、焼結したり、熱処理したりして、最終に所定の寸法に入れるために研削仕上げが施されるのが普通である。この結果、寸法公差が厳しく要求される用途に対して加工コストが高価になり、ひいては製品のコストの著しい上昇を招くことになる。また、複雑な形状や薄肉品を作りにくい。
【0003】
これら加工上の欠点を改善して使用され始めたのがボンド磁石である。このボンド磁石は、硬質磁性材料粉末をプラスチックやゴムなどの粘結剤と混合した上で成型した磁石であり、寸法精度は高く、複雑な形状のもの薄肉のものなど加工容易であり、割れたり欠けたりする心配もなく軽いといった特徴がある。
ボンド磁石は非磁性物質の粘結剤を2〜15wt%(容積では25〜50%)含むために、磁気特性は、鋳造磁石や焼結磁石に比べて劣るが、希土類磁石のような強力な粉末が得られるようになったために、急激に特性が向上して用途が広がっている。
【0004】
希土類磁石などの磁性粉末を適当な粒度にそろえた上で、粘結剤を混合し、圧縮成型や射出成型などによって成型加工する。粘結剤が熱硬化性樹脂の場合は、続いて熱硬化を行う。ボンド磁石において、密度や空隙存在率は磁気特性に大きく影響するため、磁性粉末の粒度や粘結剤の混合比は、特性向上のために重要な因子である。
【0005】
一方、粘結剤と磁性材料粉末との混合物となるために、使用後のボンド磁石あるいは工程不良品となったボンド磁石の分解、再資源化は、より困難となった。特に、粘結剤が熱硬化性樹脂の場合は、硬化反応により3次元化し、一般的には不溶不融の固体となるため、これら樹脂硬化物は従来から分解処理は困難であり、再生処理、再使用には適合し難いものであるとされていた。
【0006】
しかし、廃棄物問題はますます深刻さを増していることや資源の有効利用を考えれば、使用後および工程不良品のボンド磁石についても、減容化技術、再利用のための処理技術などの開発が急がれる。特に、ボンド磁石は、金属や金属酸化物などによって構成されているが、金属などは粘結材である樹脂材料よりも高価な有価物であり、その再生及び再利用の可能性を阻んでいるという点は、より大きな問題となっている。コバルトやネオジムなど希土類金属などからなる磁石は尚更である。
【0007】
そこで、ボンド磁石のリサイクルについても、幾つか検討されているが、特にエポキシ樹脂など熱硬化性樹脂を粘結剤とするボンド磁石は、全く分離分解処理困難であるために、従来は、ボンド磁石を粉砕し、バージンの磁石粉末に若干混合して更に粘結剤を加えて成型し再資源化するだけであった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そのような従来の粉砕する方法では、磁石粉末と粘結剤と分離できていないために、再資源化品での、リサイクル原料の混合率を上げれば、ボンド磁石中の密度、すなわち磁石粉末含有率が下がることになり、従来品と同等の密度のボンド磁石を得ることができない。従って、磁気特性は落ちる。
【0009】
また、磁石粉末は、原料粉末から更に微紛化すると、特性が低下する傾向にある。従って、従来の粉砕によれば、磁石粉末自身の微紛化も避けられないため、磁気特性は落ちる。
【0010】
また、ボンド磁石成型時の圧力で、磁石粉末の粒径は小さくなる。しかし、従来の方法では、粘結剤と磁石粉末を分離できないため、この粒度のまま混合されて、再利用することになり、やはり磁気特性は落ちる。
【0011】
つまりボンド磁石に対して、従来の方法では、再生・再資源化が不十分であるのが現状である。
【0012】
本発明ではこれら課題に対し、いかなる種類のボンド磁石からも磁性材料を分離し、従来と特性の変わらないボンド磁石をリサイクルする方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
第1の本発明(請求項1に対応)は、原料粉末である磁性材料粉末と粘結剤であるエポキシ樹脂とを混合して成型されたボンド磁石をリサイクルする方法において、
(a)前記ボンド磁石から、それに含まれるエポキシ樹脂を除去して、前記磁性材料粉末を分離回収する工程と、
(b)この分離回収された磁性材料粉末のうち、所定の粒径以下の粒子を全て若しくはそのうちの所定割合を除去する工程と、
(c)この所定粒径以下の粒子が除かれた磁性材料粉末を、バージンの磁性材料粉末と所定の比率で混合して新たな原料粉末とする工程と、
(d)前記新たに作られた原料粉末に、エポキシ樹脂を所定割合で混合し、成型する工程を備え、
前記工程(a)が、前記ボンド磁石を、分解槽内においてテトラリンを含む分解液に接触させ、200℃以上でかつ300℃以下の温度に加熱する工程(e)を含む、ボンド磁石のリサイクル方法である。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明及び本発明に関連する発明のリサイクル方法に供されるボンド磁石は、プラスチックやゴムなどを粘結剤として成型される磁石である。磁性材料粉末を粘結材と混合した上で、成型される。この粘結剤と磁性材料粉末の種類によって分類されている。粘結剤にプラスチックを用いるものをプラスチックボンド磁石と呼び、プラスチックとしては、ナイロン樹脂、ポリフェニレンスルファイド、エポキシ樹脂などが用いられる。エポキシ樹脂など熱硬化性樹脂が粘結材として使用される場合は、成型の後に熱硬化される。磁性材料粉末としては、主に酸化物系磁石と希土類磁石が用いられる。酸化物系磁石は、アルニコ磁石やフェライト磁石、希土類磁石は、SmCo5などの希土類コバルト合金やSmTl7合金、Nd2Fe14Bなどのネオジム系が用いられる。
【0026】
ボンド磁石においては、密度や空隙存在率は磁気特性に大きく影響する。従って、ボンド磁石の作製においては、使用される磁性材料粉末の粒度や粘結材量などの調整が重要である。また、小さすぎる磁性材料粉末はボンド磁石に成型されたときの磁気特性に寄与できない。
【0027】
磁性材料粉末を原料粉末として粘結剤と混合した上で成型されたボンド磁石は、射出や圧縮などの成型時の圧力によって、密度が上がり、粘結材によって空隙も埋められ、磁気特性の高いものとすることができる。しかし、いったん成型されたボンド磁石における磁性材料粉末は、成型時の圧力によって粉砕されることになり、ボンド磁石から磁性材料粉末を分離回収しても、バージンの磁性材料粉末に比べると、粒子は概して小さくなっている。
【0028】
この粒子のまま、バージンの磁性材料粉末と混合し、再び粘結剤を混合して成型しても、磁気特性向上に寄与しない微小粒子が存在するため、あるいは最適な密度に調整できないために、ボンド磁石の磁気特性は低くなり、初期の特性を満たすことができない。
【0029】
本発明のリサイクル方法は、磁性材料粉末を原料粉末として粘結剤と混合した上で成型されたボンド磁石に対して、(a)ボンド磁石からできるだけ多くの前記粘結剤を除去して前記磁性材料粉末を分離回収する工程と、(b)分離回収された磁性材料粉末において所定の粒径以下の粒子をできるだけ除く工程と、(c)その磁性材料粉末をバージンの磁性材料粉末と混合して新たな原料粉末とする工程と、(d)その混合された原料粉末に更に粘結剤を混合して成型する工程を少なくとも有する。
【0030】
工程(c)において、バージンの磁性材料粉末混合するに先んじて、工程(b)において分離回収された磁性材料粉末において所定の粒径以下の粒子をできるだけ除くため、磁気特性に寄与しない成型時の圧力による粉砕効果によって微小化された粒子を取り除くことができると共に、バージンの磁性材料粉末を混合した時に適切な密度に調整することができる。
【0031】
従って、磁気特性が向上し、バージンの磁性材料粉末を原料粉末として粘結剤と混合した上で成型されたボンド磁石と同等の特性とすることができる。
【0032】
前記工程(c)における前記バージンの磁性材料粉末の平均粒径は、前記工程(a)で用いられた前記ボンド磁石が含む磁性材料粉末の平均粒径よりも大きいさらに本発明では、工程(c)において、分離回収された磁性材料粉末と混合するバージンの磁性材料粉末の平均粒径を、前記工程(a)で用いられた前記ボンド磁石が含む磁性材料粉末の平均粒径よりも大きくすることもできる。
【0033】
いったん成型されたボンド磁石から分離回収された磁石粉末は、成型時の圧力による粉砕によって、初期の原料磁石粉末に比べると、粒子は概して小さくなっている。これを分級すると共に、平均粒径を大にしたバージンの磁性材料粉末を混合することによって、粒径の分布をより最適化することができる。その結果、磁気特性が向上し、分離回収された磁性材料粉末を使っているにも代わらず、バージンのみの磁性材料粉末を原料粉末として粘結剤と混合した上で成型されたボンド磁石と同等の特性とすることができる。
【0034】
また、工程(a)において、粘結剤が熱可塑性樹脂であるボンド磁石の場合は、工程(a)が、前記熱可塑性樹脂を可溶である溶剤による溶解分離とすることができる。
【0035】
熱可塑性樹脂である粘結剤としては、ナイロン樹脂、ポリフェニレンスルファイド等が用いられる。熱可塑製樹脂を可溶である本工程の溶解分離に供せられる溶剤としては、アセトン、アセチルアセトン、アセトアルデヒド、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、水、エタノール、メタノール、トルエン、クロロホルム、ジクロロメタン、クレゾール、フェノール、レゾルジノール、ギ酸、グルタル酸、硫酸、リン酸、ニトロアルコール等の溶剤や、ハロゲン化アルコール、ハロゲン化アルカリ金属のアルコール溶液、ハロゲン化アルカリ土類金属のアルコール溶液、ロダン酸アルコール溶液、70%泡水クロラール、モノヒドロキシシアン化合物、エチレングリコール、ベンジルアルコールなどが挙げられる。
【0036】
またはこれら溶剤の複数からなる混合溶剤であっても良い。また、溶解させるために加温させても良い。特に、ポリフェニレンスルファイドの場合、室温での溶剤へ溶解性は低く、200℃程度以上の加温が好ましい。
【0037】
また、工程(a)において、ボンド磁石を、分解槽内において熱硬化性樹脂硬化物を分解し得る溶剤を含む分解液に接触させ、200℃以上でかつ前記溶剤の臨界温度未満の温度に加熱する工程を含むことが好ましい。
【0038】
この場合、溶剤には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、トリエチレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、2−フェノキシエタノール、2−(ベンジルオキシ)エタノール、1−メトキシー2−プロパロール、1−エトキシー2−プロパノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコール、テトラリン、ビフェニル、ナフタレン、メチルナフタレン、1,4−ヒドロキシナフタレン、ナフトール、1,4−ナフトキノン、ピッチ、クレオソート油、メチルイソブチルケトン、イソホロン、2−ヘキサノン、2−ペプタノン、4−ペプタノン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン、ホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノンからなる群から選択される少なくとも1種が用いられる。
【0039】
ボンド磁石を、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、トリエチレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、2−フェノキシエタノール、2−(ベンジルオキシ)エタノール、1−メトキシー2−プロパロール、1−エトキシー2−プロパノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールからなる群から選択される少なくとも1つの溶剤を含む分解液に浸漬し、加温することによって、粘結材が化学分解される。
【0040】
粘結材が、エポキシ樹脂など熱硬化性樹脂であっても、この分解液によって3次元架橋鎖が化学分解される。
【0041】
また、テトラリン、ビフェニル、ナフタレン、メチルナフタレン、1,4−ヒドロキシナフタレン、ナフトール、1,4−ナフトキノン、ピッチ、クレオソート油、メチルイソブチルケトン、イソホロン、2−ヘキサノン、2−ペプタノン、4−ペプタノン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン、ホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノンなどの溶剤は加温することによって、粘結材の分解にとって良好な液相となり、粘結材の液相熱分解反応が効率よく進行する。この場合、粘結材が、従来では分解処理困難であるエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂であっても効率よく分解することができる。
【0042】
粘結材が分解されることによってボンド磁石硬化物を結合する機能は低下し、ボンド磁石は崩壊する。すなわちボンド磁石は、粘結材によって束縛していた磁石粉末を保持できなくなる。従って、粘結材成分と、磁石粉末との分離が容易となる。
【0043】
すなわち本工程によって、これまで分解処理困難だった熱硬化性樹脂エポキシ樹脂をはじめとする粘結材を容易に分解することができる。そして分解後、ボンド磁石から磁石粉末を分離回収することができる。
【0044】
また、以上の工程において、分解液への接触温度は、大きな分解反応速度が得るためには高温である方が好ましく、特に250℃以上で反応速度は飛躍的に加速される(例えば特開平12−198878参照)。しかし、温度が高すぎると、圧力が高くなりすぎ高耐圧の反応器が必要となること、分解によるガス生成分が多くなるために回収が困難になること、分解液自体の分解も問題となること、磁石の酸化など劣化反応も活発になることから、分解液への浸漬時における温度は臨界温度未満であることが好ましい。
【0045】
例えばプロピレングリコールの場合、臨界温度は351℃である。以上のことから分解液への接触させる温度は、200℃以上かつ臨界温度未満で加温することが好ましい。なお、200℃でも反応速度が十分加速されることを本発明は確認した。
【0046】
また、工程(d)において、前記粘結剤の混合比率を、前記工程(a)で用いられた前記ボンド磁石の粘結剤の混合比率より、小さくする。そのようにする理由は次の通りである。
【0047】
粘結材は、磁石粉末を結合させる働きをするが、少なくては粉末粒子間の空隙を埋めることができず、多すぎてもボンド磁石の密度を下げるだけで、いずれの場合も最適な磁気特性とすることができない。
【0048】
工程(a)においては、ボンド磁石から磁性粉末材料を100%分離回収できるのが最善ではあるが、わずかではあるものの若干量の粘結材を一部保持したまま分離されることがある。その場合は、工程(b)を経ても、一部は粘結材を保持したまま、再び粘結材を混合して成型される。しかし、このままでは最適量以上の粘結材が混入されることとなり、最適な磁気特性は発揮できない。
【0049】
そこで、分離回収された磁性材料粉末を含む原料粉末に対する粘結剤の混合比率を、前記工程(a)で用いられた前記ボンド磁石の粘結剤の混合比率より、小さくする。これによって磁性材料の密度を大きくし、磁気特性を向上させることができる。
【0050】
以下、具体的に実施の形態及び参考例を挙げて本発明をより詳細に説明する。
【0051】
(実施の形態1)
本発明のボンド磁石のリサイクル方法の実施の形態について説明する。
【0052】
本実施の形態では、エポキシ樹脂を粘結材とし、希土類磁石粉末を凝集硬化させたボンド磁石を例に本発明の分解処理方法について説明する。
【0053】
希土類磁石には、SmCo磁石などもあるが、本実施の形態ではNd−Fe−B磁石を例に説明する。
【0054】
Nd−Fe−B磁石粉末を原料粉末として、重量比で3%のエポキシ樹脂を混練した後、圧縮成形によってリング状にし、更に熱硬化によってボンド磁石を得た。これを試験の対象とした。
【0055】
このリング状ボンド磁石を、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ジメトキシエタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−イソペンチルオキシエタノール、2−ヘキシルオキシエタノール、2−フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルおよびトリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラリン、ビフェニル、ナフタレン、1,4−ヒドロキシナフタレン、ナフトール、1,4−ナフトキノン、ピッチ、クレオソート油、メチルイソブチルケトン、イソホロン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン、ホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンおよびアセトフェノンよりなる群から選択される少なくとも1種の溶剤を含む分解液に接触させて分解処理を行う。本実施の形態では、テトラリンからなる分解液を用いた。ボンド磁石を、この分解液に浸漬し分解槽に仕込んだ後、分解槽ごと300℃で3時間加温した。
【0056】
その結果、粘結材である樹脂は完全に分解され、分解液中に溶解もしくは分散し、磁石粉末が分解槽底部に沈降していた。
【0057】
次に、この分解液中に沈降した磁性材料粉末を回収し、バージンの磁性材料粉末と混合する。この混合に先んじて、分離回収した磁性材料粉末を53μmを分級点として分級し、53μm以下の粒子をできるだけ除去して、平均粒径を大にした上で、バージンの磁性材料粉末と重量比で50:50の混合を行った。また、比較例として、全く分級をしないものについてもバージンの磁性材料粉末と重量比で50:50の混合を行った。これら混合して得られた新たな原料粉末及びバージンの磁性材料、分離回収された磁石粉末の粒度分布を(表1)に示した。
【0058】
【表1】
次に、この混合された2種類の新たな原料粉末に対して、再び重量比で3%のエポキシ樹脂を混練した後、圧縮成形によってリング状にし、更に熱硬化によってボンド磁石を得た。これらボンド磁石の磁気特性を測定した。
【0059】
これらボンド磁石と、分解処理前のボンド磁石の密度と最大磁気エネルギー積を(表2)に示した。
【0060】
分離回収後に分級してバージンの磁性材料粉末と混合して作製したボンド磁石では、分解前のボンド磁石と密度の値も近く、最大磁気エネルギー積もほぼ近い値となった。
【0061】
しかし、全く分級をせずにバージンの磁性材料粉末と混合して作製したボンド磁石については、密度、最大磁気エネルギー積ともに分解前のボンド磁石より小さい値となった。他の磁気特性についても同様の傾向であり、分離回収された磁性材料粉末をバージンの磁性材料粉末と混合するに先んじて、分級して所定の粒径以下の粒子をできるだけ除くことにより、再び作製したボンド磁石の磁気特性を向上させ、分解前のボンド磁石と同等の物性とすることができる。
【0062】
【表2】
なお、エポキシ樹脂を粘結材とするボンド磁石の組成、構成などは本実施の形態の値に限定されない。その他の樹脂やゴムであってもいいし、磁性粉末材料も、その他希土類磁石、アルニコ磁石などで有っても良い。
【0063】
また、原料粉末である磁性粉末材料は本実施例の粒度分布に限定されないし、分解後に分離回収された磁性材料粉末の分級も本実施の形態の値に限定されない。
【0064】
また、分解処理時の温度も、もちろん本実施の形態の値に限定されず、250℃以上臨界温度未満の範囲であれば良い。
【0065】
また、本実施の形態では分解処理溶液としてエチレングリコールの例を示したが、組成、配合比などは以上の例に限定されず、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ジメトキシエタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−イソペンチルオキシエタノール、2−ヘキシルオキシエタノール、2−フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルおよびトリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラリン、ビフェニル、ナフタレン、1,4−ヒドロキシナフタレン、ナフトール、1,4−ナフトキノン、ピッチ、クレオソート油、メチルイソブチルケトン、イソホロン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン、ホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンおよびからなる群から選択される少なくとも1つの溶剤を含んでいればよい。
【0066】
また、本発明では、溶剤の酸化劣化を防ぐため、あるいは磁石粉末の酸化劣化などを防ぐために、分離のための分解に先んじて、分解槽内の酸素を排除する工程を設けることもできる。酸素を排除する工程の1例は、窒素を送気して分解液内を含む分解槽内の気体を窒素置換する工程である。窒素を送気するには、ボンド磁石および分解液を仕込んだ分解槽に、ガス導入管および排気バルブを設け、窒素ガスボンベから直接送気するなどしてできる。また他の例は、減圧して分解槽内の気体を排気する工程である。減圧するには、樹脂硬化物および分解液を仕込んだ分解槽に排気バルブを設け、真空ポンプを配管するなどしてできる。どちらの工程においても、分解液を攪拌したり、適度に加温したりすることによって酸素排除の効率を上げることができる。
【0067】
好ましい工程は、窒素の送気によって分解液内の気体を窒素置換した後に、分解槽内の気体を減圧排気する工程である。
【0068】
これら酸素排除の前処理の後に分解処理を行うことにより、高温反応処理時の主な分解液劣化原因である酸化を防ぎ、分解液の寿命を延ばし繰り返し使用性を向上させる。さらにボンド磁石の磁石粉末を構成する合金類などの酸化劣化なども防止し、分離回収される磁石粉末の品位も向上することができる。特に、ネオジムなど希土類金属は酸化され易いために、処理後も品位を保つ効果的な工程である。
【0069】
また、本発明の処理方法においては、以上の分解液に、溶剤の酸化劣化を防ぐため、あるいは磁石を構成する金属類などの酸化劣化を防ぐために、分解液に更に酸化防止剤あるいは還元剤を直接仕込むこともできる。
【0070】
酸化防止剤や還元剤には、ヒドロキノン、メトキノン、ベンゾキノン、ナフトキノン、ブチルカテコール、ブチルヒドロキノン、次亜りん酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アスコルビン酸からなる群から選択される少なくとも1つを使 用することが好ましい。
【0071】
これらは本発明の分解液に対して、溶解性が良好であるため供しやすい、あるいは効果の大きいものである。
【0072】
また、分解後に分離回収された磁性材料粉末をアセトン等の溶剤で洗浄する工程を加えても良い。更には、分解回収後あるいは洗浄後において残存する分解樹脂や付着した溶剤を完全に取り除くために乾燥の工程を加えても良い。いずれの工程も加えることによって、分離回収された磁性材料粉末に付着する不純物をより完全に取り除くことができ、再びボンド磁石として成型された時の磁気特性を向上させることができる。
【0073】
なお、分解液は繰り返し使った後に、溶解物を分離して再利用することもできるし、そのままオイルとして燃料に使用することもできる。
【0074】
(参考例1)
本発明に関連する発明のボンド磁石のリサイクル方法の参考例について説明する。
【0075】
本参考例では、ナイロン樹脂をバインダとし希土類磁石粉末を凝集硬化させた樹脂硬化物であるボンド磁石を例に本発明に関連する発明の方法について説明する。
【0076】
希土類磁石には、SmCo磁石などもあるが、本参考例ではNd−Fe−B磁石を例に説明する。
【0077】
Nd−Fe−B磁石粉末を原料粉末として、重量比で7%のナイロン樹脂を混練した後、射出成形によってリング状のボンド磁石を得た。これを試験の対象とした。
【0078】
このリング状ボンド磁石を、クレゾールに浸漬して粘結材であるナイロン樹脂を溶解させ、不溶な原料粉末であるNd−Fe−B磁石粉末をろ過などにより分別し、乾燥することによってNd−Fe−B粉末を回収することができた。この粉末は、もう一度ボンド磁石あるいは焼結磁石として再利用するすることができる。
【0079】
次に、この回収された磁性材料粉末をバージンの磁性材料粉末と混合する。この混合に先んじて、分離回収した磁性材料粉末を35μmを分級点として分級し、35μm以下の粒子をできるだけ除いて平均粒径を大にした上で、バージンの磁性材料粉末と重量比で60:40の混合を行った。また、比較例として、全く分級をしないものについてもバージンの磁性材料粉末と重量比で60:40の混合を行った。これら混合された新たな原料粉末及びバージンの磁性材料粉末、分離回収された磁性材料粉末の粒度分布を(表3)に示した。
【0080】
【表3】
次に、この混合された2種類の原料粉末に対して、再び重量比で7%ナイロン樹脂を混練した後、射出成形によってリング状のボンド磁石を再び作製した。これらボンド磁石の磁気特性を測定した。
【0081】
これらボンド磁石と、溶解分離前のボンド磁石の密度と最大磁気エネルギー積を(表4)に示した。分離後に分級してバージンの磁性材料粉末と混合して作製したボンド磁石では、分解前のボンド磁石と密度の値も近く、最大磁気エネルギー積もさほど変わらない値となった。
【0082】
しかし、全く分級をせずにバージンの磁性材料粉末と混合して作製したボンド磁石については、密度、最大磁気エネルギー積ともに溶解分離前のボンド磁石よりかなり小さい値となった。他の磁気特性についても同様の傾向であり、分離回収された磁性材料粉末をバージンの磁性材料粉末と混合するに先んじて、分級し所定の粒径以下の粒子をできるだけ除くことにより、再び作製したボンド磁石の磁気特性を向上させ、溶解分離前のボンド磁石と同等の物性とすることができる。
【0083】
【表4】
なお、ナイロン樹脂を粘結材とするボンド磁石の組成、構成などは本参考例の値に限定されない。その他の熱可塑性の樹脂やゴムであってもいいし、磁性粉末材料も、その他希土類磁石、アルニコ磁石などで有っても良い。
【0084】
また、原料粉末である磁性粉末材料は、本参考例の粒度分布に限定されないし、分解後に分離回収された磁性材料粉末の分級も本参考例の値に限定されない。
【0085】
また、溶解分離時の溶剤は、本参考例のクレゾールに限定されず、フェノール、レゾルジノール、ギ酸、グルタル酸、硫酸、リン酸、ニトロアルコール等の溶剤や、ハロゲン化アルコール、ハロゲン化アルカリ金属のアルコール溶液、ハロゲン化アルカリ土類金属のアルコール溶液、ロダン酸アルコール溶液、70%泡水クロラール、モノヒドロキシシアン化合物などの溶剤やその混合物であっても良い。また、溶解分離時に粘結材の溶解性を助けるために、加温しても良い。130℃程度に加温すれば、メタノール、エチレングリコール、ベンジルアルコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどの溶剤を用いることもできる。
【0086】
また、本参考例のナイロン樹脂以外の熱可塑性樹脂が粘結材に用いられた場合は、溶解分離時の溶剤は、その他のアセトン、アセチルアセトン、アセトアルデヒド、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ヌチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、クレゾール、メタノール、エタノール、水等の溶剤やその混合物を使用することができる。
【0087】
また、溶解分離で分離回収された磁性材料粉末をアセトン等の溶剤で洗浄する工程を加えても良い。更には、分解回収後あるいは洗浄後において残存する樹脂や付着した溶剤を完全に取り除くために乾燥の工程を加えても良い。いずれの工程も加えることによって、分離回収される磁性材料粉末に付着する不純物をより完全に取り除くことができ、再びボンド磁石として成型された時の磁気特性を向上させることができる。
【0088】
なお、溶解分離の溶剤は繰り返し使った後に、溶解物を分離して再利用することもできるし、そのままオイルとして燃料に使用することもできる。また、分離された樹脂溶解物は、再びボンド磁石用の粘結材などに使用することができる。
【0089】
(実施の形態2)
本発明のボンド磁石のリサイクル方法の実施の形態について説明する。
【0090】
本実施の形態では、エポキシ樹脂を粘結材とし、希土類磁石粉末を凝集硬化させたボンド磁石を例に本発明の方法について説明する。
【0091】
希土類磁石には、SmCo磁石などもあるが、本実施の形態ではNd−Fe−B磁石を例に説明する。
【0092】
Nd−Fe−B磁石粉末を原料粉末として、重量比で3%のエポキシ樹脂を混練した後、圧縮成形によってリング状にし、更に熱硬化によってボンド磁石を得た。これを試験の対象とした。
【0093】
このリング状ボンド磁石を、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ジメトキシエタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−イソペンチルオキシエタノール、2−ヘキシルオキシエタノール、2−フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルおよびトリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラリン、ビフェニル、ナフタレン、1,4−ヒドロキシナフタレン、ナフトール、1,4−ナフトキノン、ピッチ、クレオソート油、メチルイソブチルケトン、イソホロン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン、ホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンおよびアセトフェノンよりなる群から選択される少なくとも1種の溶剤を含む分解液に接触させて分解処理を行う。本実施の形態では、テトラリンからなる分解液を用いた。ボンド磁石を、この分解液に浸漬し分解槽に仕込んだ後、分解槽ごと300℃で3時間加温した。
【0094】
その結果、粘結材である樹脂は完全に分解され、分解液中に溶解もしくは分散し、磁石粉末が分解槽底部に沈降していた。
【0095】
次に、この分解液中に沈降した磁性材料粉末を回収し、バージンの磁性材料粉末と混合する。この混合に先んじて、分離回収された磁性材料粉末を53μmを分級点として分級し、53μm以下の粒子をだきるだけ除いた上で、バージンの磁性材料粉末と重量比で70:30の混合を行った。また、バージンの磁性材料粉末についても、混合に先んじて、75μmを分級点として分級し、試験材料としたボンド磁石が有する磁性材料粉末の平均粒径(103μm)に比べて、平均粒径を118μmと大きくする工程を更に加え、それぞれ分級の工程を終えた後、分離回収された磁性材料粉末とバージンの磁性材料粉末と重量比で70:30の混合を行った。
【0096】
また、比較例として、バージンの磁性材料粉末、分離回収された磁性材料粉末ともに全く分級をしないものについても重量比で70:30の混合を行った。これら混合して得られた原料粉末及びバージンの磁性材料粉末、分離回収された磁性材料粉末の粒度分布を(表5)に示した。
【0097】
【表5】
次に、これら3種の混合され新たに得られた原料粉末に対して、再び重量比で3%のエポキシ樹脂を混練した後、圧縮成形によってリング状にし、更に熱硬化によってボンド磁石を得た。これらボンド磁石の磁気特性を測定した。
【0098】
これらボンド磁石と、分解処理前のボンド磁石の密度と最大磁気エネルギー積を(表6)に示した。分級を施した磁性材料粉末で作製したボンド磁石では共に、全く分級を施さずに混合して作製したボンド磁石より磁気特性は高く、分級による磁気特性向上の効果が見られる。また、分級を施した上で作製したボンド磁石について比較すると、分離回収された磁石粉末だけでなく、バージンの磁性材料粉末も分級によって平均粒径を大にした上で混合して作製したボンド磁石の方が、磁気特性は高いことがわかる。
【0099】
【表6】
このように、分離回収後に分級してバージンの磁性材料粉末と混合して作製したボンド磁石では、分解前のボンド磁石と密度の値も近く、最大磁気エネルギー積もほぼ近い値となるが、更に混合するもう一方のバージンの磁性材料粉末の平均粒径をより大にした方が、ボンド磁石にしたときの特性はより高く、分解前のボンド磁石と同レベルの磁気特性を有する。
【0100】
なお、エポキシ樹脂を粘結材とするボンド磁石の組成、構成などは本実施の形態の値に限定されない。その他の樹脂やゴムであってもいいし、磁性粉末材料も、その他希土類磁石、アルニコ磁石などで有っても良い。
【0101】
また、原料粉末である磁性粉末材料の本実施例の粒度分布に限定されないし、分解後に分離回収された磁性材料粉末の分級も本実施の形態の値に限定されない。
【0102】
また、分解処理時の温度も、もちろん本実施の形態の値に限定されず、200℃以上臨界温度未満の範囲であれば良い。
【0103】
また、本実施の形態では分解処理溶液としてエチレングリコールの例を示したが、組成、配合比などは以上の例に限定されず、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ジメトキシエタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−イソペンチルオキシエタノール、2−ヘキシルオキシエタノール、2−フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルおよびトリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラリン、ビフェニル、ナフタレン、1,4−ヒドロキシナフタレン、ナフトール、1,4−ナフトキノン、ピッチ、クレオソート油、メチルイソブチルケトン、イソホロン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン、ホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンおよびからなる群から選択される少なくとも1つの溶剤を含んでいればよい。
【0104】
また、本発明では、溶剤の酸化劣化を防ぐため、あるいは磁石粉末の酸化劣化などを防ぐために、分離のための分解に先んじて、分解槽内の酸素を排除する工程を設けることもできる。酸素を排除する工程の1例は、窒素を送気して分解液内を含む分解槽内の気体を窒素置換する工程である。窒素を送気するには、ボンド磁石および分解液を仕込んだ分解槽に、ガス導入管および排気バルブを設け、窒素ガスボンベから直接送気するなどしてできる。また他の例は、減圧して分解槽内の気体を排気する工程である。減圧するには、樹脂硬化物および分解液を仕込んだ分解槽に排気バルブを設け、真空ポンプを配管するなどしてできる。どちらの工程においても、分解液を攪拌したり、適度に加温したりすることによって酸素排除の効率を上げることができる。
【0105】
好ましい工程は、窒素の送気によって分解液内の気体を窒素置換した後に、分解槽内の気体を減圧排気する工程である。
【0106】
これら酸素排除の前処理の後に分解処理を行うことにより、高温反応処理時の主な分解液劣化原因である酸化を防ぎ、分解液の寿命を延ばし繰り返し使用性を向上させる。さらにボンド磁石の磁石粉末を構成する合金類などの酸化劣化なども防止し、分離回収される磁石粉末の品位も向上することができる。特に、ネオジムなど希土類金属は酸化され易いために、処理後も品位を保つ効果的な工程である。
【0107】
また、本発明の方法においては、以上の分解液に、溶剤の酸化劣化を防ぐため、あるいは磁石を構成する金属類などの酸化劣化を防ぐために、分解液に更に酸化防止剤あるいは還元剤を直接仕込むこともできる。
【0108】
酸化防止剤や還元剤には、ヒドロキノン、メトキノン、ベンゾキノン、ナフトキノン、ブチルカテコール、ブチルヒドロキノン、次亜りん酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アスコルビン酸からなる群から選択される少なくとも1つを使 用することが好ましい。
【0109】
これらは本発明の分解液に対して、溶解性が良好であるため供しやすい、あるいは効果の大きいものである。
【0110】
また、分解後に分離回収された磁性材料粉末をアセトン等の溶剤で洗浄する工程を加えても良い。更には、分解回収後あるいは洗浄後において残存する分解樹脂や付着した溶剤を完全に取り除くために乾燥の工程を加えても良い。いずれの工程も加えることによって、分離回収される磁性材料粉末に付着する不純物をより完全に取り除くことができ、再びボンド磁石として成型された時の磁気特性を向上させることができる。
【0111】
なお、分解液は繰り返し使った後に、溶解物を分離して再利用することもできるし、そのままオイルとして燃料に使用することもできる。
【0112】
(実施の形態3)
本発明のボンド磁石のリサイクル方法の実施の形態について説明する。
【0113】
本実施の形態では、エポキシ樹脂を粘結材とし、希土類磁石粉末を凝集硬化させたボンド磁石を例に本発明の方法について説明する。
【0114】
希土類磁石には、SmCo磁石などもあるが、本実施の形態ではNd−Fe−B磁石を例に説明する。
【0115】
Nd−Fe−B磁石粉末を原料粉末として、重量比で3%のエポキシ樹脂を混練した後、圧縮成形によってリング状にし、更に熱硬化によってボンド磁石を得た。これを試験の対象とした。
【0116】
このリング状ボンド磁石を、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ジメトキシエタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−イソペンチルオキシエタノール、2−ヘキシルオキシエタノール、2−フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルおよびトリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラリン、ビフェニル、ナフタレン、1,4−ヒドロキシナフタレン、ナフトール、1,4−ナフトキノン、ピッチ、クレオソート油、メチルイソブチルケトン、イソホロン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン、ホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンおよびアセトフェノンよりなる群から選択される少なくとも1種の溶剤を含む分解液に接触させて分解処理を行う。本実施の形態では、テトラリンからなる分解液を用いた。ボンド磁石を、この分解液に浸漬し分解槽に仕込んだ後、分解槽ごと300℃で3時間加温した。
【0117】
その結果、粘結材である樹脂は完全に分解され、分解液中に溶解もしくは分散し、磁石粉末が分解槽底部に沈降していた。
【0118】
次に、この分解液中に沈降した磁性材料粉末を回収し、バージンの磁性材料粉末と混合する。
【0119】
この混合に先んじて、分離回収された磁性材料粉末を分級し、後記する所定の粒径以下の粒子をできるだけ除いた上で、バージンの磁性材料粉末と重量比で50:50の混合を行った。
【0120】
この混合された原料粉末に対して、再び重量比で3%のエポキシ樹脂を混練した後、圧縮成形によってリング状にし、更に熱硬化によってボンド磁石を得た。
【0121】
なお、分離回収された磁性材料粉末を分級する所定の粒径を、10、20、53、100、120、150μmに設定し、それぞれ得られたボンド磁石の磁気特性を測定して比較した。これら原料粒子及びバージンの磁性材料粉末、分離回収された磁性材料粉末の粒度分布を(表7)に示した。
【0122】
【表7】
これら6種類のボンド磁石と、分解処理前のボンド磁石の密度と最大磁気エネルギー積を(表8)に示した。分級の粒径を20,53,100μmに設定し作製したボンド磁石では、密度、最大磁気エネルギー積ともに比較的高い値を示し、分解前のボンド磁石と同等レベルの値となった。しかし、分級点の小さい10μmや、分級点の大きい120、150μmでは、作製したボンド磁石の密度、最大磁気エネルギー積ともに分解前のボンド磁石と比べて比較的小さめの値となった。
【0123】
【表8】
このことから、分級により分級点以下の粒子をできるだけ除く工程を導入することによって、バージンの磁性材料粉末と混合して作製したボンド磁石の磁気特性は向上するが、前処理工程における分級点が20〜100μmであれば、より好ましいことがわかった。
【0124】
なお、エポキシ樹脂を粘結材とするボンド磁石の組成、構成などは本実施の形態の値に限定されない。その他の樹脂やゴムであってもいいし、磁性粉末材料も、その他希土類磁石、アルニコ磁石などで有っても良い。
【0125】
また、原料粉末である磁性粉末材料の本実施例の粒度分布に限定されないし、分解後に分離回収された磁性材料粉末の分級も本実施の形態の値に限定されない。
【0126】
また、分解処理時の温度も、もちろん本実施の形態の値に限定されず、200℃以上臨界温度未満の範囲であれば良い。
【0127】
また、本実施の形態では分解処理溶液としてエチレングリコールの例を示したが、組成、配合比などは以上の例に限定されず、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ジメトキシエタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−イソペンチルオキシエタノール、2−ヘキシルオキシエタノール、2−フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルおよびトリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラリン、ビフェニル、ナフタレン、1,4−ヒドロキシナフタレン、ナフトール、1,4−ナフトキノン、ピッチ、クレオソート油、メチルイソブチルケトン、イソホロン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン、ホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンおよびからなる群から選択される少なくとも1つの溶剤を含んでいればよい。
【0128】
また、本発明では、溶剤の酸化劣化を防ぐため、あるいは磁石粉末の酸化劣化などを防ぐために、分離のための分解に先んじて、分解槽内の酸素を排除する工程を設けることもできる。酸素を排除する工程の1例は、窒素を送気して分解液内を含む分解槽内の気体を窒素置換する工程である。窒素を送気するには、ボンド磁石および分解液を仕込んだ分解槽に、ガス導入管および排気バルブを設け、窒素ガスボンベから直接送気するなどしてできる。また他の例は、減圧して分解槽内の気体を排気する工程である。減圧するには、樹脂硬化物および分解液を仕込んだ分解槽に排気バルブを設け、真空ポンプを配管するなどしてできる。どちらの工程においても、分解液を攪拌したり、適度に加温したりすることによって酸素排除の効率を上げることができる。
【0129】
好ましい工程は、窒素の送気によって分解液内の気体を窒素置換した後に、分解槽内の気体を減圧排気する工程である。
【0130】
これら酸素排除の前処理の後に分解処理を行うことにより、高温反応処理時の主な分解液劣化原因である酸化を防ぎ、分解液の寿命を延ばし繰り返し使用性を向上させる。さらにボンド磁石の磁石粉末を構成する合金類などの酸化劣化なども防止し、分離回収される磁石粉末の品位も向上することができる。特に、ネオジムなど希土類金属は酸化され易いために、処理後も品位を保つ効果的な工程である。
【0131】
また、本発明の処理方法においては、以上の分解液に、溶剤の酸化劣化を防ぐため、あるいは磁石を構成する金属類などの酸化劣化を防ぐために、分解液に更に酸化防止剤あるいは還元剤を直接仕込むこともできる。
【0132】
酸化防止剤や還元剤には、ヒドロキノン、メトキノン、ベンゾキノン、ナフトキノン、ブチルカテコール、ブチルヒドロキノン、次亜りん酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アスコルビン酸からなる群から選択される少なくとも1つを使 用することが好ましい。
【0133】
これらは本発明の分解液に対して、溶解性が良好であるため供しやすい、あるいは効果の大きいものである。
【0134】
また、分解後に分離回収された磁性材料粉末をアセトン等の溶剤で洗浄する工程を加えても良い。更には、分解回収後あるいは洗浄後において残存する分解樹脂や付着した溶剤を完全に取り除くために乾燥の工程を加えても良い。いずれの工程も加えることによって、分離回収される磁性材料粉末に付着する不純物をより完全に取り除くことができ、再びボンド磁石として成型された時の磁気特性を向上させることができる。
【0135】
なお、分解液は繰り返し使った後に、溶解物を分離して再利用することもできるし、そのままオイルとして燃料に使用することもできる。
【0136】
(実施の形態4)
本発明のボンド磁石のリサイクル方法の実施の形態について説明する。
【0137】
本実施の形態では、エポキシ樹脂を粘結材とし、希土類磁石粉末を凝集硬化させたボンド磁石を例に本発明の分解処理方法について説明する。
【0138】
希土類磁石には、SmCo磁石などもあるが、本実施の形態ではNd−Fe−B磁石を例に説明する。
【0139】
Nd−Fe−B磁石粉末を原料粉末として、重量比で3%のエポキシ樹脂を混練した後、圧縮成形によってリング状にし、更に熱硬化によってボンド磁石を得た。これを試験の対象とした。
【0140】
このリング状ボンド磁石を、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ジメトキシエタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−イソペンチルオキシエタノール、2−ヘキシルオキシエタノール、2−フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルおよびトリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラリン、ビフェニル、ナフタレン、1,4−ヒドロキシナフタレン、ナフトール、1,4−ナフトキノン、ピッチ、クレオソート油、メチルイソブチルケトン、イソホロン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン、ホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンおよびアセトフェノンよりなる群から選択される少なくとも1種の溶剤を含む分解液に接触させて分解処理を行う。本実施の形態では、テトラリンからなる分解液を用いた。ボンド磁石を、この分解液に浸漬し分解槽に仕込んだ後、分解槽ごと300℃で3時間加温した。
【0141】
その結果、粘結材である樹脂は完全に分解され、分解液中に溶解もしくは分散し、磁石粉末が分解槽底部に沈降していた。
【0142】
次に、この分解液中に沈降した磁性材料粉末を回収し、バージンの磁性材料粉末と混合する。この混合に先んじて、分離回収された磁性材料粉末を53μmを分級点として分級し、53μm以下の粒子をできるだけ除いた上で、バージンの磁性材料粉末と重量比で50:50の混合を行った。次に、この混合された原料粉末に対して、重量比で3.2%、3%、2.8%のエポキシ樹脂を混練した後、それぞれ圧縮成形によってリング状にし、更に熱硬化によって2種のボンド磁石を得た。これらボンド磁石の磁気特性を測定した。
【0143】
これらボンド磁石と、分解処理前のボンド磁石の密度と最大磁気エネルギー積を(表9)に示した。両者の比較から、粘結材エポキシ樹脂の混合比率を、分解前のボンド磁石における樹脂混合比率よりも少なくした方が、密度、最大磁気エネルギー積とも向上する結果となった。
【0144】
これはボンド磁石から分解処理によって磁性材料粉末を分離回収しても、少しばかりの樹脂分解物が不純物として混在する。すなわち、バージンの磁性材料粉末に比べて、粘結材によって埋めるべき空隙も少なく、磁石粉末を結合できるだけの樹脂量があれば十分であり、バージンの磁性材料粉末からボンド磁石を作製するときよりも少ない粘結材混合比率が最適である。これ以上に樹脂を混合すれば、ボンド磁石の密度は下がり、磁気特性も下がってしまう。
【0145】
【表9】
以上のように、ボンド磁石を分解して分離回収された磁性材料粉末を含む原料粉末に対する粘結剤の混合比率は、分解したボンド磁石における磁性材料粉末に対する粘結剤の混合比率よりも小さいことが好ましい。
【0146】
なお、エポキシ樹脂を粘結材とするボンド磁石の組成、構成などは本実施の形態の値に限定されない。その他の樹脂やゴムであってもいいし、磁性粉末材料も、その他希土類磁石、アルニコ磁石などで有っても良い。
【0147】
また、原料粉末である磁性粉末材料の本実施例の粒度分布に限定されないし、分解後に分離回収された磁石粉末の分級も本実施の形態の値に限定されない。
【0148】
また、分解処理時の温度も、もちろん本実施の形態の値に限定されず、200℃以上臨界温度未満の範囲であれば良い。
【0149】
また、本実施の形態では分解処理溶液としてエチレングリコールの例を示したが、組成、配合比などは以上の例に限定されず、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ジメトキシエタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−イソペンチルオキシエタノール、2−ヘキシルオキシエタノール、2−フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルおよびトリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラリン、ビフェニル、ナフタレン、1,4−ヒドロキシナフタレン、ナフトール、1,4−ナフトキノン、ピッチ、クレオソート油、メチルイソブチルケトン、イソホロン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン、ホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンおよびからなる群から選択される少なくとも1つの溶剤を含んでいればよい。
【0150】
また、本発明では、溶剤の酸化劣化を防ぐため、あるいは磁石粉末の酸化劣化などを防ぐために、分離のための分解に先んじて、分解槽内の酸素を排除する工程を設けることもできる。酸素を排除する工程の1例は、窒素を送気して分解液内を含む分解槽内の気体を窒素置換する工程である。窒素を送気するには、ボンド磁石および分解液を仕込んだ分解槽に、ガス導入管および排気バルブを設け、窒素ガスボンベから直接送気するなどしてできる。また他の例は、減圧して分解槽内の気体を排気する工程である。減圧するには、樹脂硬化物および分解液を仕込んだ分解槽に排気バルブを設け、真空ポンプを配管するなどしてできる。どちらの工程においても、分解液を攪拌したり、適度に加温したりすることによって酸素排除の効率を上げることができる。
【0151】
好ましい工程は、窒素の送気によって分解液内の気体を窒素置換した後に、分解槽内の気体を減圧排気する工程である。
【0152】
これら酸素排除の前処理の後に分解処理を行うことにより、高温反応処理時の主な分解液劣化原因である酸化を防ぎ、分解液の寿命を延ばし繰り返し使用性を向上させる。さらにボンド磁石の磁石粉末を構成する合金類などの酸化劣化なども防止し、分離回収される磁石粉末の品位も向上することができる。特に、ネオジムなど希土類金属は酸化され易いために、処理後も品位を保つ効果的な工程である。
【0153】
また、本発明の処理方法においては、以上の分解液に、溶剤の酸化劣化を防ぐため、あるいは磁石を構成する金属類などの酸化劣化を防ぐために、分解液に更に酸化防止剤あるいは還元剤を直接仕込むこともできる。
【0154】
酸化防止剤や還元剤には、ヒドロキノン、メトキノン、ベンゾキノン、ナフトキノン、ブチルカテコール、ブチルヒドロキノン、次亜りん酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アスコルビン酸からなる群から選択される少なくとも1つを使 用することが好ましい。
【0155】
これらは本発明の分解液に対して、溶解性が良好であるため供しやすい、あるいは効果の大きいものである。
【0156】
また、分解後に分離回収された磁性材料粉末をアセトン等の溶剤で洗浄する工程を加えても良い。更には、分解回収後あるいは洗浄後において残存する分解樹脂や付着した溶剤を完全に取り除くために乾燥の工程を加えても良い。いずれの工程も加えることによって、分離回収される磁性材料粉末に付着する不純物をより完全に取り除くことができ、再びボンド磁石として成型された時の磁気特性を向上させることができる。
【0157】
なお、分解液は繰り返し使った後に、溶解物を分離して再利用することもできるし、そのままオイルとして燃料に使用することもできる。
【0158】
なお、以上全ての実施例において、前記工程(a)における除去される粘結剤の所定の割合は、前記工程(c)における前記所定の混合比率との関係で決めることが望ましい。すなわち、バージンの磁性材料粉末の割合が多いときは、除去すべき粘結剤の所定の割合は比較的低くても良く、これに反してバージンの磁性材料粉末の割合が少ない場合は、出きる限り粘結剤を除去しておくことが望ましい。
【0159】
また、前記工程(b)における所定の粒径は、前記工程(c)における前記所定の混合比率との関係で決めることが望ましい。すなわち、工程(c)で混合するバージンの磁性材料粉末の割合が比較的多い場合は、上記所定の粒径は比較的小さい値でもかまわない。
【0160】
また、前記工程(b)における所定の割合は、前記工程(c)における前記所定の混合比率との関係で決めることが望ましい。すなわち、工程(c)で混合するバージンの磁性材料粉末の割合が比較的多い場合は、除去される所定の粒径以下の粒子の割合は、比較的小さな値でもかまわない。
【0161】
また、前記工程(c)における前記バージンの磁性材料粉末の平均粒径は、前記工程(c)における前記所定の混合比率との関係で決めることが望ましい。すなわち、工程(c)で混合するバージンの磁性材料粉末の割合が比較的多い場合は、バージンの磁性材料粉末の平均粒径の値は比較的小さくてもかまわない。
【0162】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によるリサイクル方法を用いれば、ボンド磁石の粘結材から容易に磁石粉末を分別回収し、再利用して、磁気特性の高いリサイクルした磁性材料粉末が得られる。
【0163】
さらに本発明によるボンド磁石のリサイクル方法によれば、磁気特性に優れたボンド磁石を作製することができ、工程不良や使用済みのボンド磁石から有価物を回収し、再生リサイクルすることができる。
Claims (1)
- 原料粉末である磁性材料粉末と粘結剤であるエポキシ樹脂とを混合して成型されたボンド磁石をリサイクルする方法において、
(a)前記ボンド磁石から、それに含まれるエポキシ樹脂を除去して、前記磁性材料粉末を分離回収する工程と、
(b)この分離回収された磁性材料粉末のうち、所定の粒径以下の粒子を全て若しくはそのうちの所定割合を除去する工程と、
(c)この所定粒径以下の粒子が除かれた磁性材料粉末を、バージンの磁性材料粉末と所定の比率で混合して新たな原料粉末とする工程と、
(d)前記新たに作られた原料粉末に、エポキシ樹脂を所定割合で混合し、成型する工程を備え、
前記工程(a)が、前記ボンド磁石を、分解槽内においてテトラリンを含む分解液に接触させ、200℃以上でかつ300℃以下の温度に加熱する工程(e)を含む、ボンド磁石のリサイクル方法。
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