JP3292469B2 - ボンド磁石の分解処理方法 - Google Patents

ボンド磁石の分解処理方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、寸法精度、加工性
に優れており工業材料に広く利用されているボンド磁石
の分解処理方法に関する発明である。
【0002】
【従来の技術】ボンド磁石は、硬質磁性材料粉末をプラ
スチックやゴムなどの粘結剤と混合した上で成型した磁
石である。硬質磁性材料は、どの種類においても一般的
に硬くてもろい材質が多く、またそれらの製造工程も鋳
造したり、焼結したり、熱処理したりして、最終に所定
の寸法に入れるために研削仕上げが施されるのが普通で
ある。この結果、寸法公差が厳しく要求される用途に対
して加工コストが高価になり、ひいては製品のコストの
著しい上昇を招くことになる。また、複雑な形状や薄肉
品を作りにくい。これら加工上の欠点を改善して使用さ
れ始めたのがボンド磁石であり、寸法精度は高く、複雑
な形状のもの薄肉のものなど加工容易であり、割れたり
欠けたりする心配もなく軽いといった特徴がある。非磁
性物質の粘結剤を2〜15wt%(容積では25〜50
%)含むために、磁気特性は、鋳造磁石や焼結磁石に比
べて劣るが、希土類磁石のような強力な粉末が得られる
ようになったために、急激に特性が向上して用途が広が
っている。
【0003】一方、粘結材と磁性材料粉末との混合物と
なるために、使用後のボンド磁石あるいは工程不良品と
なったボンド磁石の分解、再資源化はより困難となっ
た。特に、粘結材が熱硬化性樹脂の場合は、硬化反応に
より3次元化し、一般的には不溶不融の固体となるた
め、これら樹脂硬化物は従来から分解処理は困難であ
り、再生処理、再使用には適合し難いものであるとされ
ていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】廃棄物問題はますます
深刻さを増していることや資源の有効利用を考えれば、
使用後および工程不良品のボンド磁石についても、減容
化技術、再利用のための処理技術などの開発が急がれ
る。特に、ボンド磁石は、金属や金属酸化物などによっ
て構成されているが、金属などは粘結材である樹脂材料
よりも高価な有価物であり、その再生及び再利用の可能
性を阻んでいるという点は、より大きな問題となってい
る。コバルトやネオジムなど希土類金属などからなる磁
石はなお更である。特に、エポキシ樹脂など熱硬化性樹
脂を粘結材とするボンド磁石は、全く分解処理困難であ
り、いかなる種類のボンド磁石からも希土類など金属類
を分離分解する処理方法が求められている。
【0005】つまりボンド磁石に対して、従来の構成、
処理方法では、再生・再資源化が不十分であるのが現状
である。
【0006】本発明ではこの課題に対し、ボンド磁石の
簡易な分解処理方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のボンド磁石の分
解処理方法は、磁性材料粉末を粘結剤と混合した上で成
型されたボンド磁石を、前記粘結剤を分解する分解材料
に接触させるための分解槽に仕込む工程と、それに続い
て前記分解槽内の酸素を排除する工程と、前記分解槽を
250℃以上であってかつ臨界温度未満の温度範囲で加
温する工程とを備えたことを特徴とするボンド磁石の分
解処理方法である。
【0008】また、酸素を排除する工程は、窒素ガスを
送気して前記分解液内の気体を窒素ガスに置換した後
に、排気により前記分解槽内の気体を排出し減圧する工
程であることが好ましい。
【0009】また、本発明のボンド磁石の分解処理方法
は、磁性材料粉末を粘結剤と混合した上で成型されたボ
ンド磁石を、テトラリン、ビフェニル、ナフタレン、メ
チルナフタレン、1,4−ヒドロキシナフタレン、ナフ
トール、1,4−ナフトキノン、ピッチ、クレオソート
油、メチルイソブチルケトン、イソホロン、2−ヘキサ
ノン、2−ペプタノン、4−ペプタノン、ジイソブチル
ケトン、アセトニルアセトン、ホロン、シクロヘキサノ
ン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノンからなる
群から選択される少なくとも1つの溶剤を含む分解材料
に接触させるための分解槽に仕込む分解工程と、250
℃以上であってかつ臨界温度未満の温度範囲で加温する
加温工程とを備えたことを特徴とするボンド磁石の分解
処理方法である。
【0010】また、本発明の処理方法においては、分解
液が酸化防止剤または還元剤を含むことが好ましい。
【0011】また、酸化防止剤または還元剤が、ヒドロ
キノン、メトキノン、ベンゾキノン、ナフトキノン、ブ
チルカテコール、ブチルヒドロキノン、次亜りん酸ナト
リウム、チオ硫酸ナトリウム、アスコルビン酸からなる
群から選択される少なくとも1つであることが好まし
い。
【0012】本発明の樹脂硬化物の分解処理方法におい
て、磁性材料粉末を粘結剤と混合した上で成型されたボ
ンド磁石の好適な例の1つは、磁性材料が希土類元素を
含む希土類磁石であるボンド磁石である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明に分解処理方法に供される
ボンド磁石は、プラスチックやゴムなどを粘結剤として
成型、硬化される。この粘結剤と硬質磁性材料粉末の種
類によって分類されている。粘結剤にプラスチックを用
いるものをプラスチックボンド磁石と呼び、プラスチッ
クとしては、ナイロン樹脂、ポリフェニレンスルファイ
ド、エポキシ樹脂が用いられる。磁性材料粉末として
は、主に酸化物系磁石と希土類磁石が用いられる。酸化
物系磁石は、アルニコ磁石やフェライト磁石、希土類磁
石は、SmCo5などの希土類コバルト合金や、SmT
7合金、Nd2Fe14Bなどのネオジム系が用いられ
る。
【0014】本発明第1の分解処理方法に供される分解
液は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジ
エチレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプ
レングリコール、トリエチレングリコール、2−メトキ
シエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキ
シメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノー
ル、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキ
シ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、
2−フェノキシエタノール、2−(ベンジルオキシ)エ
タノール、1−メトキシー2−プロパロール、1−エト
キシー2−プロパノール、ジエチレングリコールモノメ
チルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロ
ピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレング
リコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコール
モノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメ
チルエーテル、テトラエチレングリコールからなる群か
ら選択される少なくとも1つの溶剤を含んでいる。
【0015】さらに本発明では、溶剤の酸化劣化を防ぐ
ため、あるいは磁石粉末の酸化劣化などを防ぐために、
分解槽内の酸素を排除する工程を有する。酸素を排除す
る工程の1例は、窒素を送気して分解液内を含む分解槽
内の気体を窒素置換する工程である。窒素を送気するに
は、ボンド磁石および分解液を仕込んだ分解槽に、ガス
導入管および排気バルブを設け、窒素ガスボンベから直
接送気するなどしてできる。
【0016】また他の例としては、減圧して分解槽内の
気体を排気する工程である。減圧するには、樹脂硬化物
および分解液を仕込んだ分解槽に排気バルブを設け、真
空ポンプを配管するなどしてできる。どちらの工程にお
いても、分解液を攪拌したり、適度に加温したりするこ
とによって酸素排除の効率を上げることができる。
【0017】好ましい工程は、窒素の送気によって分解
液内の気体を窒素置換した後に、分解槽内の気体を減圧
排気する工程である。
【0018】これら酸素排除の前処理の後に分解処理を
行うことにより、高温反応処理時の主な分解液劣化原因
である酸化を防ぎ、分解液の寿命を延ばし繰り返し使用
性を向上させる。さらにボンド磁石の磁石粉末を構成す
る合金類などの酸化劣化なども防止し、分離回収される
磁石粉末の品位も向上することができる。特に、ネオジ
ムなど希土類金属は酸化され易いために、処理後も品位
を保つ効果的な工程である。
【0019】本発明第2の分解処理方法に供される分解
液は、テトラリン、ビフェニル、ナフタレン、メチルナ
フタレン、1,4−ヒドロキシナフタレン、ナフトー
ル、1,4−ナフトキノン、ピッチ、クレオソート油、
メチルイソブチルケトン、イソホロン、2−ヘキサノ
ン、2−ペプタノン、4−ペプタノン、ジイソブチルケ
トン、アセトニルアセトン、ホロン、シクロヘキサノ
ン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノンからなる
群から選択される少なくとも1つの溶剤を含んでいる。
【0020】これらの溶剤は、高温での安定性が高く、
また自らの分解により酸素を発生させることや、ボンド
磁石が含有する金属類などの酸化を誘発することがまれ
であるので、酸素排除などの前処理工程を必ずしも必要
としない。しかし、ボンド磁石に含有される金属などの
わずかな酸化が問題となる場合や、分解液の寿命をより
長くするためには、酸素排除などの前処理工程を設ける
こともできる。
【0021】以上の発明において、分解槽内での分解材
料へのボンド磁石の接触とは、必ずしもボンド磁石が液
相の分解材料に完全に浸っている必要はない(図1
(A)参照)。ボンド磁石の一部が分解材料の液相に浸
っており、一部が分解材料の気相にされされていてもよ
いし(図1(B)参照)、その全体が、液相に浸らず気
相にさらされているだけでも良い(図1(C)参照)。
また、分解槽内では分解材料の気相しか存在せず、その
気相にさらされているだけでも良い(図1(D)参
照)。また、分解材料は今述べたように、液相、気相の
両方あり得る。
【0022】なお、図1において、1は分解槽、2は分
解材料液相、3はボンド磁石、4は分解材料気相を示
す。
【0023】また、以上の発明において、分解液への浸
漬時の温度は、大きな分解反応速度が得るためには高温
である方が好ましく、特に250℃以上で反応速度は飛
躍的に加速される。しかし、温度が高すぎると、圧力が
高くなりすぎ高耐圧の反応器が必要となること、分解に
よるガス生成分が多くなるために回収が困難になるこ
と、分解液自体の分解も問題となること、磁石の酸化な
ど劣化反応も活発になることから、分解液への浸漬時に
おける温度は臨界温度未満であることが好ましい。例え
ばプロピレングリコールの場合、臨界温度は351℃で
ある。以上のことから分解液への浸漬手段における温度
は、250℃以上かつ臨界温度未満で加温することが好
ましい。
【0024】また、本発明の処理方法においては、以上
の分解液に、溶剤の酸化劣化を防ぐため、あるいは磁石
を構成する金属類などの酸化劣化を防ぐために、分解液
に更に酸化防止剤あるいは還元剤を直接仕込むこともで
きる。
【0025】酸化防止剤や還元剤には、ヒドロキノン、
メトキノン、ベンゾキノン、ナフトキノン、ブチルカテ
コール、ブチルヒドロキノン、次亜りん酸ナトリウム、
チオ硫酸ナトリウム、アスコルビン酸からなる群から選
択される少なくとも1つを使用することが好ましい。
【0026】これらは本発明の分解液に対して、溶解性
が良好であるため供しやすい、あるいは効果の大きいも
のである。
【0027】これら酸化防止剤または還元剤は、分解液
100重量部に対して、0.2〜10重量部、好ましく
は1〜5重量部混入される。
【0028】ボンド磁石を、エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレ
ングリコール、イソプレングリコール、トリエチレング
リコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタ
ノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イ
ソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2
−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシル
オキシ)エタノール、2−フェノキシエタノール、2−
(ベンジルオキシ)エタノール、1−メトキシー2−プ
ロパロール、1−エトキシー2−プロパノール、ジエチ
レングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコ
ールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブ
チルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエー
テル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ト
リエチレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピ
レングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレング
リコールからなる群から選択される少なくとも1つの溶
剤を含む分解液に浸漬し、加温することによって、粘結
材が化学分解される。エポキシ樹脂など熱硬化性樹脂で
あっても、この分解液によって3次元架橋鎖が化学分解
される。また、テトラリン、ビフェニル、ナフタレン、
メチルナフタレン、1,4−ヒドロキシナフタレン、ナ
フトール、1,4−ナフトキノン、ピッチ、クレオソー
ト油、メチルイソブチルケトン、イソホロン、2−ヘキ
サノン、2−ペプタノン、4−ペプタノン、ジイソブチ
ルケトン、アセトニルアセトン、ホロン、シクロヘキサ
ノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノンなどの
溶剤は加温することによって、粘結材の分解にとって良
好な液相となり、粘結材の液相熱分解反応が効率よく進
行する。この場合、従来では分解処理困難であるエポキ
シ樹脂などの熱硬化性樹脂であっても効率よく分解する
ことができる。
【0029】粘結材が分解されることによってボンド磁
石硬化物を結合する機能は低下し、ボンド磁石は崩壊す
る。すなわちボンド磁石は、粘結材によって束縛してい
た磁石粉末を保持できなくなる。従って、粘結材成分
と、磁石粉末との分離が容易となる。また、粘結材成分
も分解されているために、モノマーなどの構成成分とし
て回収できる。その場合、各成分は分解液への溶解性に
より、固形分として、オイルとして、溶液中の溶質とし
て得られる。
【0030】すなわち本発明のボンド磁石の分解処理方
法により、これまで分解処理困難だった熱硬化性樹脂エ
ポキシ樹脂をはじめとする粘結材を容易に分解すること
ができる。さらに分解後、ボンド磁石から磁石粉末を分
離回収することができる。
【0031】以下、具体的に実施の形態を挙げて本発明
をより詳細に説明する。
【0032】(実施の形態1)本発明の樹脂硬化物の分
解処理方法の実施の形態について説明する。
【0033】本実施の形態では、エポキシ樹脂をバイン
ダとし希土類磁石粉末を凝集硬化させた樹脂硬化物であ
るボンド磁石を例に本発明の分解処理方法について説明
する。
【0034】希土類磁石には、SmCo磁石などもある
が、本実施の形態ではNd−Fe−B磁石を例に説明す
る。
【0035】このNd−Fe−B磁石粉末に、重量比で
3%のエポキシ樹脂を混練した後、再び粉末状に粉砕
し、圧縮成形によってリング状のボンド磁石を得た。こ
れを分解処理試験の対象とした。
【0036】このリング状ボンド磁石を、エチレングリ
コール、プロピレングリコール、ジエチレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、
トリエチレングリコール、2−メトキシエタノール、2
−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタ
ノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシ
エタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、
2−(ヘキシルオキシ)エタノール、2−フェノキシエ
タノール、2−(ベンジルオキシ)エタノール、1−メ
トキシー2−プロパロール、1−エトキシー2−プロパ
ノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジ
エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレング
リコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコール
モノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチ
ルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテ
ル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テ
トラエチレングリコールからなる群から選択される少な
くとも1つの溶剤を含む分解液に浸漬して分解処理を行
う。本実施の形態では、エチレングリコールからなる分
解液を用いた。ボンド磁石を、この分解液に浸漬し分解
槽に仕込んだ後、分解槽を密閉し、分解槽に設けられた
ノズルに真空ポンプを接続し、分解槽内の気体を排気し
減圧した。その後分解槽ごと270℃で5時間加温し
た。その後、処理温度を200、230、240、25
0、300℃と変えて同じ処理を行った。
【0037】さらに、真空ポンプによる排気減圧しない
以外は同様の手順を得た処理も270℃で同時に行っ
た。
【0038】その結果、処理温度が200、230、2
40℃の分解では樹脂部分に変色の跡が見られるものの
ボンド磁石は形状を留め、強度もほとんど変化していな
かった。一方、250℃以上である250、270、3
00℃分解処理では、粘結材である樹脂は完全に分解さ
れ、分解液中に溶解もしくは分散し、磁石粉末が分解槽
底部に沈降していた。真空ポンプによる排気減圧を行わ
なずに270℃で処理した場合も、同様にボンド磁石は
崩壊し、磁石粉末は沈降していた。
【0039】しかし、排気減圧の前処理を行った場合、
分解処理時の分解槽内最大圧力が10kg/cm2とほ
ぼエチレングリコールの300℃における圧力であり、
処理後の分解液も樹脂分解に由来する沈殿を除いて若干
褐色を帯びている程度であった。それに対して排気減圧
を行わなかった場合は、分解処理時の分解槽内最大圧力
が40kg/cm2を超え、より多くの分解ガスが発生
しており、また処理後の分解液も濃い茶褐色を帯びてお
り、より分解液の劣化していることが認められる。
【0040】また、分離後に回収された磁石粉末は、減
圧脱気を行った方は金属光沢を有しているのに対して、
前処理を行わなかった磁石粉末は全体的に黒色化してお
り、明らかに前処理を行った方が酸化劣化少ないことが
認められた。
【0041】以上のように、熱硬化性樹脂であるエポキ
シ樹脂を粘結材とするボンド磁石を、エチレングリコー
ルからなる分解液に浸漬し、250℃以上に加温するこ
とによって、速やかに分解処理することができる。さら
に減圧排気することによって、分解処理時の圧力を抑え
と共に、分解液の劣化および分解ガスの発生をも抑制す
ることができる。さらには、分離後に回収する磁石粉末
の酸化など劣化を抑え、より品位の高い金属類などを回
収することができる。
【0042】従って、分解槽内の気体を排気して減圧
し、250℃以上に加温する本処理方法は、粘結材を容
易に分解でき、磁石粉末を容易に、しかも品位良く分離
回収すると共に、使用する分解液の劣化の少ない処理方
法である。
【0043】なお、減圧の程度はできるだけ真空に近い
方が良い。好ましくは10mmHg以下である。
【0044】また、分解処理時の温度も、もちろん本実
施の形態の値に限定されず、250℃以上臨界温度未満
の範囲であれば良い。
【0045】なお、エポキシ樹脂を粘結材とするボンド
磁石の組成、構成などは本実施の形態の値に限定されな
い。その他の樹脂やゴムであってもいいし、磁性粉末材
料も、その他希土類磁石、アルニコ磁石などで有っても
良い。
【0046】また、本実施の形態では分解処理溶液とし
てエチレングリコールの例を示したが、組成、配合比な
どは以上の例に限定されず、エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレ
ングリコール、イソプレングリコール、トリエチレング
リコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタ
ノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イ
ソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2
−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシル
オキシ)エタノール、2−フェノキシエタノール、2−
(ベンジルオキシ)エタノール、1−メトキシー2−プ
ロパロール、1−エトキシー2−プロパノール、ジエチ
レングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコ
ールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブ
チルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエー
テル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ト
リエチレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピ
レングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレング
リコールからなる群から選択される少なくとも1つの溶
剤を含んでいればよい。
【0047】なお、本発明では分解液そのままで処理を
行ったが、ヒドロキノン、メトキノン、ベンゾキノン、
ナフトキノン、ブチルカテコール、ブチルヒドロキノ
ン、次亜りん酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アス
コルビン酸などの酸化防止剤、還元剤を添加するするこ
とにより、金属等より品位よく回収することができる。
【0048】また減圧の代わりに、窒素置換による脱気
処理を用いることもできるし、窒素置換後に減圧排気す
ることによって、より酸化劣化の少ない処理にすること
もできる。
【0049】なお、分解液は繰り返し使った後に、溶解
物を分離して再利用することもできるし、そのままオイ
ルとして燃料に使用することもできる。
【0050】(実施の形態2)本発明の樹脂硬化物の分
解処理方法の実施の形態2について説明する。
【0051】本実施の形態では、エポキシ樹脂をバイン
ダとしフェライト粉末を凝集硬化させた樹脂硬化物であ
るボンド磁石を例に本発明の分解処理方法について説明
する。
【0052】フェライト材料の組成は示性式MoxFe2
3で表される。ここでMはBa(バリウム)、Sr
(ストロンチウム)、またはかつPb(鉛)であり、x
は4.5〜6.5である。このフェライト粉末を、重量
で5%のナイロン樹脂と混合し、射出成形によってリン
グ状に成形したボンド磁石を分解処理試験の対象とし
た。
【0053】このリング状ボンド磁石を、テトラリン、
ビフェニル、ナフタレン、メチルナフタレン、1,4−
ヒドロキシナフタレン、ナフトール、1,4−ナフトキ
ノン、ピッチ、クレオソート油、メチルイソブチルケト
ン、イソホロン、2−ヘキサノン、2−ペプタノン、4
−ペプタノン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセト
ン、ホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノ
ン、アセトフェノンからなる群から選択される少なくと
も1つの溶剤を含む分解液に浸漬して分解処理を行う。
本実施の形態では、メチルイソブチルケトンを分解液と
した。ボンド磁石を、この分解液に浸漬し、280℃で
5時間浸漬した。
【0054】その結果、結合材である樹脂は分解され、
ボンド磁石はもはや成形形状を留めず、自壊していた。
樹脂分解物は、分解液中に溶解もしくは分散しており、
フェライト粉末は、沈殿していた。この粉末をろ過など
により分別し、アセトンなどの溶剤での洗浄後、乾燥す
ることによってフェライト粉末を回収することができ
た。この粉末は、もう一度ボンド磁石あるいは焼結磁石
として再利用するすることができる。
【0055】以上のように、熱硬化性樹脂であるナイロ
ン樹脂を粘結材とする樹脂硬化物であるボンド磁石を、
メチルイソブチルケトン分解液に浸漬することによっ
て、樹脂分を速やかに分解することができ、磁性粉末材
料を分離回収することができた。有価物回収と、ボンド
磁石の減容化を可能にする方法である。また、樹脂分解
物は、モノマーなど樹脂原料として再利用することもで
きる。
【0056】なお、本発明では分解液そのままで処理を
行ったが、ヒドロキノン、メトキノン、ベンゾキノン、
ナフトキノン、ブチルカテコール、ブチルヒドロキノ
ン、次亜りん酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アス
コルビン酸などの酸化防止剤、還元剤を添加するするこ
とにより、金属等より品位よく回収することができる。
【0057】なお、ナイロン樹脂を粘結材とするボンド
磁石の組成、構成などは本実施の形態の値に限定されな
い。その他の樹脂やゴムであってもいいし、磁性粉末材
料も、その他希土類磁石、アルニコ磁石などで有っても
良い。
【0058】なお、分解処理時の温度も、もちろん本実
施の形態の値に限定されず、250℃以上臨界温度未満
の範囲であれば良い。
【0059】また、本実施の形態では分解処理溶液とし
てテトラリンの例を示したが、組成、配合比などは以上
の例に限定されず、テトラリン、ビフェニル、ナフタレ
ン、メチルナフタレン、1,4−ヒドロキシナフタレ
ン、ナフトール、1,4−ナフトキノン、ピッチ、クレ
オソート油、メチルイソブチルケトン、イソホロン、2
−ヘキサノン、2−ペプタノン、4−ペプタノン、ジイ
ソブチルケトン、アセトニルアセトン、ホロン、シクロ
ヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン
からなる群から選択される少なくとも1つの溶剤を含ん
でいればよい。
【0060】なお、本発明では、分解処理前に分解槽に
前処理を施さなかったが、磁石材料のわずかな酸化など
劣化反応が問題となる場合は、排気による減圧、あるい
は窒素置換による脱気処理を用いることもできるし、窒
素置換後に減圧排気することによって、より酸化劣化な
どの少ない処理にすることもできる。
【0061】なお、分解液は繰り返し使った後に、溶解
物を分離して再利用することもできるし、そのままオイ
ルとして燃料に使用することもできる。
【0062】(実施の形態3)本発明の樹脂硬化物の分
解処理方法の実施の形態について説明する。
【0063】本実施の形態では、エポキシ樹脂をバイン
ダとし希土類磁石粉末を凝集硬化させた樹脂硬化物であ
るボンド磁石を例に本発明の分解処理方法について説明
する。
【0064】希土類磁石には、SmCo磁石などもある
が、本実施の形態ではNd−Fe−B磁石を例に説明す
る。
【0065】このNd−Fe−B磁石粉末に、重量比で
3%のエポキシ樹脂を混練した後、再び粉末状に粉砕
し、圧縮成形によってリング状のボンド磁石を得た。こ
れを分解処理試験の対象とした。
【0066】このリング状ボンド磁石を、テトラリン、
ビフェニル、ナフタレン、メチルナフタレン、1,4−
ヒドロキシナフタレン、ナフトール、1,4−ナフトキ
ノン、ピッチ、クレオソート油、メチルイソブチルケト
ン、イソホロン、2−ヘキサノン、2−ペプタノン、4
−ペプタノン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセト
ン、ホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノ
ン、アセトフェノンからなる群から選択される少なくと
も1つの溶剤を含む分解液に浸漬して分解処理を行う。
本実施の形態では、テトラリンを分解液とした。ボンド
磁石を、この分解液に浸漬し、280℃で3時間浸漬し
た。
【0067】その結果、結合材である樹脂は分解され、
ボンド磁石はもはや成形形状を留めず、自壊していた。
樹脂分解物は、分解液中に溶解もしくは分散しており、
Nd−Fe−B粉末は、沈殿していた。この粉末をろ過
などにより分別し、アセトンなどの溶剤での洗浄後、乾
燥することによってNd−Fe−B粉末を回収すること
ができた。この粉末は、もう一度ボンド磁石あるいは焼
結磁石として再利用するすることができる。また、Nd
など希土類金属は、酸化や腐食されやすい金属である
が、本処理方法においては、全く影響を受けず、再び磁
性材料といて使用できた。テトラリンが樹脂分解性の溶
剤であるとともに、還元性の溶剤であるため、ボンド磁
石内部の合金類は安定して回収することができる。本実
施の形態以外の、ビフェニルなどについても同じことが
いえる。構造中に酸素を有するイソホロンやメチルイソ
ブチルケトンなどの場合でも酸素元を有するもの容易に
は、熱分解して酸素を供給しないため、磁石の酸化など
を助けるものではない。
【0068】以上のように、熱硬化性樹脂であるエポキ
シ樹脂を結合材とする樹脂硬化物であるボンド磁石を、
テトラリン分解液に浸漬することによって、樹脂分を速
やかに分解することができ、磁性粉末材料を分離回収す
ることができた。本発明の処理方法は、有価物回収と、
ボンド磁石の減容化を可能にする方法であり、回収され
るべき金属類の品位を保つ処理方法であり、特に、腐食
性の高い希土類ボンド磁石に非常に有効な分解処理方法
である。
【0069】なお、本発明では分解液そのままで処理を
行ったが、ヒドロキノン、メトキノン、ベンゾキノン、
ナフトキノン、ブチルカテコール、ブチルヒドロキノ
ン、次亜りん酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アス
コルビン酸などの酸化防止剤、還元剤を添加するするこ
とにより、金属等より品位よく回収することができる。
【0070】なお、ボンド磁石の組成、構成などは本実
施の形態の値に限定されない。その他の樹脂であっても
いいし、希土類磁石の等方性、異方性などにもかかわら
ないし、耐食性などを高めるために、Feの一部をCo
に置換したり、その他の希土類Prなどを添加した組成
であっても良い。また、磁性粉末材料も、その他希土類
磁石、アルニコ磁石などで有っても良い。
【0071】なお、分解処理時の温度も、もちろん本実
施の形態の値に限定されず、250℃以上臨界温度未満
の範囲であれば良い。
【0072】また、本実施の形態では分解処理溶液とし
てテトラリンの例を示したが、組成、配合比などは以上
の例に限定されず、テトラリン、ビフェニル、ナフタレ
ン、メチルナフタレン、1,4−ヒドロキシナフタレ
ン、ナフトール、1,4−ナフトキノン、ピッチ、クレ
オソート油、メチルイソブチルケトン、イソホロン、2
−ヘキサノン、2−ペプタノン、4−ペプタノン、ジイ
ソブチルケトン、アセトニルアセトン、ホロン、シクロ
ヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン
からなる群から選択される少なくとも1つの溶剤を含ん
でいればよく、単体であっても、例えばイソホロンとメ
チルイソブチルケトンとの混合などであっても良い。
【0073】なお、本発明では、分解処理前に分解槽に
前処理を施さなかったが、磁石材料のわずかな酸化など
が問題となる場合は、排気による減圧、あるいは窒素置
換による脱気処理を用いることもできるし、窒素置換後
に減圧排気することによって、より酸化劣化の少ない処
理にすることもできる。
【0074】なお、分解液は繰り返し使った後に、溶解
物を分離して再利用することもできるし、そのままオイ
ルとして燃料に使用することもできる。
【0075】(比較例1)本発明の分解処理方法の比較
例として、実施の形態3で使用したボンド磁石を、n−
テトラデカンからなる分解液に300℃で5時間浸漬
し、分解液浸透の速度、および分解液浸漬処理後の樹脂
硬化物の表面硬度を測定した。その結果、外見上も硬化
物に変化はなく、樹脂硬化物への分解液の浸透も、硬度
の低下は殆ど見られない。すなわちn−テトラデカンか
らなる分解液では分解処理の効果は期待できない。
【0076】(比較例2)本発明の分解処理方法の比較
例として、実施の形態3で使用したボンド磁石を、流動
パラフィンからなる分解液に300℃で5時間浸漬し、
分解液浸透の速度、および分解液浸漬処理後の樹脂硬化
物の表面硬度を測定した。その結果、外見上も硬化物に
変化はなく、樹脂硬化物への分解液の浸透も、硬度の低
下は殆ど見られない。すなわち流動パラフィンからなる
分解液では分解処理の効果は期待できない。
【0077】さらに、従来の機械的処理方法や、従来の
熱的処理方法と、本発明とを比較する。
【0078】すなわち、本発明の方法として、まず、エ
ポキシ樹脂を粘結材とするボンド磁石とテトラリンを、
分解槽に仕込み、前処理として容器内を窒素置換によっ
て酸素を排除した後に、300℃まで加熱して2時間保持し
た。
【0079】その結果、粘結剤エポキシ樹脂は分解さ
れ、ボンド磁石は崩壊し、容器底部に磁石粉末が沈降し
ていた。この沈降物を回収し、アセトンによる洗浄の工
程を経て磁石粉末を得た。これを用いて、再びボンド磁
石を作製した。
【0080】(比較例3)従来技術として、機械的処理
方法を検討した。機械式処理方法としては、粉砕を検討
した。エポキシ樹脂を粘結材とて成形硬化後のボンド磁
石を衝撃粉砕し、回収した粉末を用いて再びボンド磁石
を作製した。なお、衝撃粉砕は、ナイロン製の円柱形状
ポット中に、ボンド磁石とφ5mmのジルコニアボールを
入れ、ペイントシェーカで振とうすることで行った。機
械的処理した粉砕品では、再び粘結材樹脂と混ぜる時の
混練性が現行品と比べて困難であった。
【0081】(比較例4)従来技術として、熱的処理方
法を検討した。熱的な方法は、粘結剤の熱分解をねらっ
た。但し、空気中で熱分解しては希土類磁石が酸化され
るので窒素雰囲気下による乾留処理を検討した。エポキ
シ樹脂を粘結材とするボンド磁石を石英炉芯管の中で乾
留処理し、エポキシ樹脂を分解することを試みた。乾留
時の酸素濃度は1%以下で、温度は300〜500℃で行った。
しかし、どの温度とも外観は殆ど変わらず、強度の劣化
も無いため、ジルコニアボールによる衝撃粉砕組み合わ
せて回収した磁石粉末についてプラスチックボンド磁石
を作製した。なお、衝撃粉砕は、ナイロン製の円柱形状
ポット中に、ボンド磁石とφ5mmのジルコニアボールを
入れ、ペイントシェーカで振とうすることで行った。
【0082】(磁気特性の測定)次に、作製したプラス
チックボンド磁石を50kOeで着磁し、VSM測定によって残
留磁束密度や保磁力など永久磁石としての磁気特性と密
度を測定した。磁気特性は、磁化の強さを示す残留磁束
密度(Br)と、磁化を保とうとする力である保磁力(Hc
i)と、磁石の能力を示す最大磁気エネルギー積(BHma
x)を測定によって求めた。各測定値を現行品と比較し
て表にまとめた。
【0083】
【表1】
【0084】リサイクル品の特性は、現行品との比較
で、残留磁束密度が98.7%、保磁力が92.8%、磁石の能力
を示す最大磁気エネルギー積は91.6%であった。ほぼ現
行品と同等レベルの特性が得られている。
【0085】次に、機械的処理した粉砕品では、再び樹
脂分と混ぜる時の混ざりが悪く、その結果、密度の低い
ボンド磁石となった。粉砕だけの処理であるので、残っ
ている硬化樹脂が再び混合された粘結剤エポキシ樹脂液
を吸い、分散性させることを困難にし、混練性は大きく
低下する。また、トータルの樹脂が多くなるので、残留
磁束密度が大きく落ちた。一方、保磁力の低下は比較的
小さく、現行の83.9%を有している。しかし結果として
最大磁気エネルギー積は低く、現行の4割程度である。
【0086】次に、乾留+粉砕品であるが、粉砕処理は
しているもの、乾留の処理によって樹脂分が少しではあ
るが分解して抜けているために、粉砕品よりも樹脂への
分散は比較的良くなり、密度も粉砕品よりは改善され
た。しかし、依然まだ現行品よりは低く、そのため残留
磁束密度が低いレベルになってしまった。一方、保磁力
の方は、粉砕品と殆ど同じ値となった。そして最大磁気
エネルギー積は、現行品の約54%であった。
【0087】従来方法の場合は、硬化した粘結剤を抜く
ことができないために、磁束密度が得られず、磁石特性
は不充分であることがわかった。
【0088】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によるボン
ド磁石の分解処理方法を用いれば、ボンド磁石の粘結材
を容易に分解できる結果、磁石粉末を分別回収、再利用
することができ、ひいては廃棄処理量を低減することも
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を説明するための模式断面
図である。
【符号の説明】
1 分解槽 2 分解液 3 ボンド磁石 4 分解気体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B09B 3/00 - 5/00 C08J 11/00 - 11/28 B29B 17/00 - 17/02 H01F 1/00 - 1/117

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁性材料粉末を粘結剤と混合した上で成型
    されたボンド磁石を、前記粘結剤を分解する分解材料に
    接触させるための分解槽に仕込む工程と、それに続いて
    前記分解槽内の酸素を排除する工程と、前記分解槽を2
    50℃以上であってかつ臨界温度未満の温度範囲で加温
    する工程とを備えたことを特徴とするボンド磁石の分解
    処理方法。
  2. 【請求項2】 前記分解材料は、エチレングリコール、
    プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロ
    ピレングリコール、イソプレングリコール、トリエチレ
    ングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシ
    エタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2
    −イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノー
    ル、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘ
    キシルオキシ)エタノール、2−フェノキシエタノー
    ル、2−(ベンジルオキシ)エタノール、1−メトキシ
    ー2−プロパロール、1−エトキシー2−プロパノー
    ル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチ
    レングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコ
    ールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ
    メチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエ
    ーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、
    トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラ
    エチレングリコールからなる群から選択される少なくと
    も1つの溶剤を含む材料であることを特徴とする請求項
    1記載のボンド磁石の分解処理方法。
  3. 【請求項3】 前記酸素を排除する除去工程が、窒素ガ
    スを送気して前記分解液内の気体を窒素ガスに置換する
    置換工程及び/又は、排気により前記分解槽内の気体を
    排出し減圧する減圧工程であることを特徴とする請求項
    1に記載のボンド磁石の分解処理方法。
  4. 【請求項4】 磁性材料粉末を粘結剤と混合した上で成
    型されたボンド磁石を、テトラリン、ビフェニル、ナフ
    タレン、メチルナフタレン、1,4−ヒドロキシナフタ
    レン、ナフトール、1,4−ナフトキノン、ピッチ、ク
    レオソート油、メチルイソブチルケトン、イソホロン、
    2−ヘキサノン、2−ペプタノン、4−ペプタノン、ジ
    イソブチルケトン、アセトニルアセトン、ホロン、シク
    ロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノ
    ンからなる群から選択される少なくとも1つの溶剤を含
    む分解材料に接触させるための分解槽に仕込む分解工程
    と、250℃以上であってかつ臨界温度未満の温度範囲
    で加温する加温工程とを備えたことを特徴とするボンド
    磁石の分解処理方法。
  5. 【請求項5】 前記分解材料は液体であり、前記ボンド
    磁石の全部又は一部が、前記分解材料の液体に浸漬され
    ることを特徴とする請求項1又は4に記載の、ボンド磁
    石の分解処理方法。
  6. 【請求項6】 前記分解工程に続いて、前記分解槽内の
    酸素を排除する排除工程をさらに備えることを特徴とす
    る請求項4記載のボンド磁石の分解処理方法。
  7. 【請求項7】 前記酸素を排除する除去工程が、窒素ガ
    スを送気して前記分解液内の気体を窒素ガスに置換する
    置換工程及び/又は、排気により前記分解槽内の気体を
    排出し減圧する減圧工程であることを特徴とする請求項
    6に記載のボンド磁石の分解処理方法。
  8. 【請求項8】 前記分解材料が酸化防止剤または還元剤
    を含むことを特徴とする請求項1または4に記載の樹脂
    硬化物の分解処理方法。
  9. 【請求項9】 前記酸化防止剤または還元剤が、ヒドロ
    キノン、メトキノン、ベンゾキノン、ナフトキノン、ブ
    チルカテコール、ブチルヒドロキノン、次亜りん酸ナト
    リウム、チオ硫酸ナトリウム、アスコルビン酸からなる
    群から選択される少なくとも1つである請求項8に記載
    の樹脂硬化物の分解処理方法。
  10. 【請求項10】 前記磁性材料粉末が、希土類元素を含
    む希土類磁石であることを特徴とする請求項1または4
    に記載のボンド磁石の分解処理方法。
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