JP2005302745A - 希土類ボンド磁石粉末の製造方法及びそれを用いたボンド磁石の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】より少ない工数及び投入エネルギーにより希土類磁石スクラップを希土類ボンド磁石粉末に効率的に転換することができ、ひいては希土類資源の有効利用に寄与する希土類ボンド磁石粉末の製造方法を提供する。
【解決手段】一軸磁気異方性を有した、希土類元素と遷移金属元素との金属間化合物により硬磁性主相が構成された希土類磁石の、製造不良品ないし廃棄品(希土類磁石スクラップ)を合金原料の一部または全部として用い、該合金原料を溶解して溶湯となし、希土類元素と遷移金属元素との金属間化合物からなる硬磁性主相が平均粒径にて1μm以下に微細粒子化された結晶質組織が得られるように、溶湯を急冷して急冷原料となし、当該結晶質急冷原料をそのまま又は粉砕して希土類ボンド磁石用粉末となす。
【選択図】 なし
【解決手段】一軸磁気異方性を有した、希土類元素と遷移金属元素との金属間化合物により硬磁性主相が構成された希土類磁石の、製造不良品ないし廃棄品(希土類磁石スクラップ)を合金原料の一部または全部として用い、該合金原料を溶解して溶湯となし、希土類元素と遷移金属元素との金属間化合物からなる硬磁性主相が平均粒径にて1μm以下に微細粒子化された結晶質組織が得られるように、溶湯を急冷して急冷原料となし、当該結晶質急冷原料をそのまま又は粉砕して希土類ボンド磁石用粉末となす。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、希土類ボンド磁石粉末の製造方法及びそれを用いたボンド磁石の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報通信機器や制御機器、小型モータを使用する民生用弱電機器、さらには医療診断装置などに高性能な希土類焼結磁石が使用され、その生産量は年々増加している。また、小型モータ用の円筒形状磁石などに使用される希土類ボンド磁石も、焼結磁石と比較して単純な工程によって製造することができるために生産量が増加している。特にNd−Fe−B系焼結磁石の製造においては、合金溶解から始まり、粉砕、成形、焼結、切断・研磨、表面処理を経て最終磁石製品が出来上がるが、この製造工程で発生する焼結不良品や研磨屑などの磁石スクラップが磁石仕込み量の数十%に達し、年間数千トンに及んでいると推定される。また、今後市中製品となって廃棄される磁石スクラップ量も増加することが予測される。これらのスクラップには希少資源である希土類元素が相当量含まれるために、その回収と再利用が求められている。
【0003】
上記のような焼結磁石の不良品を再利用する方法として、以下のような方法が提案されている。
▲1▼酸に溶解させた後に希土類元素のみを溶媒抽出して分離・乾燥し、さらに酸化させて再度焼結磁石用の原料とする(特開平5−287405号公報、特開平9−217132号公報)。
▲2▼焼結不良品を粉砕して酸洗浄・乾燥後にカルシウム還元を行って、焼結用合金粉末の補助材として再利用する(特開平11−319752号公報、特開平11−329811号公報)。
▲3▼Nd−Fe−B系焼結磁石表面には、防錆処理としてNiめっき膜が形成されることがある。Niは、Nd−Fe−B系焼結磁石においては残留磁化を低下させる要因となるため、Niメッキ膜を有する焼結磁石スクラップを焼結磁石用の原料として再利用する場合には、その剥離除去が必要であると考えられている。具体的な方法としては、焼結磁石に水素を吸放出させて粉砕し、Niめっき膜のみを分離して残粉末を原料合金として用いる方法(特開平5−33073号公報)、Ni膜をショットピーニングなどの機械的手段によって分離して残粉末を原料合金として用いる方法(特開平13−40425号公報)などが提案されている。
【0004】
他方、希土類ボンド磁石スクラップの最利用方法としては、ボンド磁石を粉砕して結合樹脂を溶媒に溶解して除去し、得られる磁石粉末から、再利用に適した粒度範囲のものを篩分けして、再度ボンド磁石の製造に使用する方法が種々提案されている。なお、希土類ボンド磁石は成形後の切断や研磨工程がなく、また磁気特性や寸法特性などの品質が安定しているため、工程内のスクラップ発生は、焼結磁石に比べれば比較的少ない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
希土類焼結磁石は工程内のスクラップ発生が多く、また今後の市中回収品の再資源化活用を図るためには、生産効率が良く且つ再生エネルギーが少ない方法が求められる。しかし、上記▲1▼の方法は、酸化のために大きなエネルギーを必要とし、また希土類元素の抽出分離工程を数回繰り返す必要があり、さらに酸溶液処理の問題など課題が多く、採算的に問題がある。また▲2▼の方法も、カルシウム還元に高温エネルギーを要する他、還元処理の副生成物である酸化カルシウムを還元粉末から水洗除去する際に、粉末が酸化しやすい問題がある。他方、▲3▼のNi膜剥離方法は、完全な分離が困難であり、また原料合金再生までの手間がかかることなどの問題がある。なお、焼結磁石を再粉砕してプレス成型し、再度焼結して磁石となす方法は、粉末の酸化や粒度分布の悪化などにより磁気特性が大幅に劣化するために、工業的には用いられていない。また、焼結磁石を粉砕してボンド磁石の原料とする方法は、粉末の篩い分けに工数を要する上、ボンド磁石に使用できない微粉が大量に発生し、再利用率が著しく低くなる問題があるため、これもほとんど用いられていない。この問題は、ボンド磁石スクラップを粉砕して溶媒により結合樹脂を除去し、得られる磁石粉末を篩分けする方法においても同様の問題を生ずる。また、Nd−Fe−B系焼結磁石の場合は、硬磁性主相の粒径が大きいため粉砕により保磁力が著しく低下し、ボンド磁石粉末としての再利用自体が非常に困難である。
【0006】
本発明の課題は、より少ない工数及び投入エネルギーにより希土類磁石スクラップを希土類ボンド磁石粉末に効率的に転換することができ、ひいては希土類資源の有効利用に寄与する希土類ボンド磁石粉末の製造方法と、それを用いた希土類ボンド磁石の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
上記の課題を解決するために、本発明に係る希土類ボンド磁石粉末の製造方法の第一は、一軸磁気異方性を有した、希土類元素と遷移金属元素との金属間化合物により硬磁性主相が構成された希土類磁石の、製造不良品ないし廃棄品(以下、両者を総称して希土類磁石スクラップという)を合金原料の一部または全部として用い、該合金原料を溶解して溶湯となし、希土類元素と遷移金属元素との金属間化合物からなる硬磁性主相が平均粒径にて1μm以下に微細粒子化された結晶質組織が得られるように、溶湯を急冷して急冷原料となし、当該結晶質急冷原料をそのまま又は粉砕して希土類ボンド磁石用粉末となすことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る希土類ボンド磁石粉末の製造方法の第二は、一軸磁気異方性を有した、希土類元素と遷移金属元素との金属間化合物相により硬磁性主相が構成された希土類磁石の、製造不良品ないし廃棄品(以下、両者を総称して希土類磁石スクラップという)を合金原料の一部または全部として用い、該合金原料を溶解して溶湯となし、非晶質組織が得られるように溶湯を急冷して急冷原料となし、希土類元素と遷移金属元素との金属間化合物からなる硬磁性主相が平均粒径にて1μm以下に微細粒子化された結晶質組織が得られるように当該急冷原料を熱処理し、その熱処理後の急冷原料をそのまま又は粉砕して希土類ボンド磁石用粉末となすことを特徴とする。
【0009】
第一の方法及び第二の方法は、いずれも、最終的には硬磁性主相が平均粒径にて1μm以下に微細粒子化された組織(以下、最適結晶組織という)を得る点で共通している。硬磁性主相粒子を平均粒径にて1μm以下となすことにより、永久磁石に適した高保磁力が実現される。そして、第一の方法は、急冷原料の段階で最適結晶組織を直接得ようとするものであり、第二の方法は、急冷速度を上げることにより、必ずしも好適な保磁力が得られない非晶質組織を一旦得ておき、その後熱処理により結晶化を進行させて最適結晶組織を得ようとするものである。前者は熱処理工程が不要である利点があり、後者は熱処理の工数がかかるものの、冷却ムラの影響が小さく、熱処理により均一な磁気特性が得やすい利点がある。
【0010】
そして、いずれの方法においても共通している点は、希土類磁石スクラップを一旦溶解して、これを急冷することにより、希土類ボンド磁石粉末を簡単に得られることにある。その結果、少ない工数及び投入エネルギーにより希土類磁石スクラップを希土類ボンド磁石粉末に効率的に転換することができ、ひいては希土類資源の有効利用に寄与する。溶解は、例えば高周波誘導溶解、アーク溶解等公知の溶解方法を用いることができる。
【0011】
本発明において、希土類磁石スクラップは、製造段階で生じた不良品あるいはロットアウト品、加工工程で発生する切り屑や研磨ダストなどである。具体的には、希土類焼結磁石の製造工程において発生する焼結体の焼結不良や亀裂不良、切断時の欠けや端材、研磨屑、メッキや樹脂塗装での外観不良や膜厚不良、検査工程での寸法や磁気特性不良品などがある。また、希土類ボンド磁石の不良品から樹脂分を有機溶剤で分離除去した残材もスクラップとして使用できる。また、これら製造上の理由で発生するスクラップのほか、電気製品等の市中製品に組み込まれた磁石で廃棄処分となったものを有効に活用できる。
【0012】
希土類磁石スクラップは、単独で溶解して急冷することによりボンド磁石とすることもできるが、例えば焼結磁石(後述)をボンド磁石に転換する場合は、両者の組成が必ずしも一致しない場合がある。このように、最終的に得るべき希土類ボンド磁石用粉末は希土類磁石スクラップと組成の相違する場合は、合金原料として、希土類磁石スクラップに、該希土類磁石スクラップと希土類ボンド磁石用粉末との組成差を解消するための組成調整用原料を配合してなるものを使用することができる。これにより、使用可能な希土類磁石スクラップの種類を大幅に増やすことができ、より効果的なリサイクルを計ることができる。
【0013】
また、組成の異なる希土類磁石スクラップは、図1に示すように、組成毎に分別して回収し、各々異なる組成の希土類ボンド磁石用粉末の合金原料として用いることができる。これにより、目的とする組成の希土類ボンド磁石用粉末に最も近い組成のスクラップを使用することが可能となり、組成調整用原料を用いないか、あるいは用いる場合でも、その使用量を最小限にとどめることができるようになる。
【0014】
また、図2に示すように、組成の異なる希土類磁石スクラップを組成毎に分別して回収し、異なる組成の2種以上の希土類磁石スクラップを配合して希土類ボンド磁石用粉末の合金原料として用いることもできる。複数種類組成の希土類磁石スクラップを配合することにより、希土類磁石スクラップのみで目的とする希土類ボンド磁石用粉末の組成により近い組成を得ることが可能となり、組成調整用原料の使用量をより少なくすること(ゼロを含む)が可能となる。
【0015】
希土類磁石スクラップは、特に、周知かつ一般に広く使用されているR−Fe−B系(ただし、RはNdを主成分とする希土類元素)希土類磁石スクラップ又はR’−Co系(ただし、R’はSmを主成分とする希土類元素)希土類磁石スクラップのいずれかとすることが、リサイクル効果を高める意味で有効であることはいうまでもない。希土類ボンド磁石用粉末は、R−Fe−B系希土類ボンド磁石粉末又はR’−Co系希土類ボンド磁石粉末のいずれかとされる。R−Fe−B系希土類磁石は、硬磁性主相がR2Fe14B相にて構成される。他方、R’−Co系希土類磁石は、周知のごとく、硬磁性主相がR’Co5相にて構成されるニュークリエーション型のものと、硬磁性主相をR’2Co17相とし、これよりも若干希土類リッチの組成を採用して熱処理によりR’Co5相を網目上に析出させた磁壁ピンニング型のものの2種類があり、いずれも本発明に使用することができる。なお、R’−Co系希土類磁石スクラップの場合、構成元素として少量のCu,Fe,Zr,Tiなどを含んでいても差し支えない。
【0016】
希土類磁石スクラップは、希土類焼結磁石スクラップとすることができる。これにより、従来技術のように、酸溶解→溶媒抽出→酸化により焼結磁石用原料を得る方法、あるいは、酸洗浄・乾燥後にカルシウム還元を行なう方法等と比較して圧倒的に少ない工数及び投入エネルギーにより焼結希土類磁石スクラップを、ボンド磁石原料として再利用を図ることができる。また、希土類焼結磁石スクラップを一旦再溶解するので、ボンド磁石粉末への再利用転換率が高く、無駄の無いリサイクルが可能である。また、これまで再利用が困難であった焼結磁石の切断屑や、研磨屑などを活用できる利点もある。
【0017】
この場合、希土類焼結磁石スクラップは、硬磁性主相をなす金属間化合物がR2Fe14B(ただし、RはNdを主成分とする希土類元素)の化学量論組成を有し、かつ、希土類元素Rを主成分とする粒界相により硬磁性主相が焼結結合されたR−Fe−B系希土類焼結磁石スクラップとすることができ、希土類ボンド磁石用粉末は、R−Fe−B系希土類ボンド磁石粉末とすることができる。R−Fe−B系希土類焼結磁石は、希土類磁石の中で最も生産量が高い反面、不良や廃棄品の発生量も他のどの種類の希土類磁石よりも圧倒的に多い。従って、その再利用が最も切望されている磁石であるにも拘わらず、コストや性能安定性の問題により具体的な問題解決は遅々として進んでいないのが現状である。しかし、本発明においては、焼結磁石としては多少難のある組成のものであっても、溶融合金の急冷により、良好な保磁力を有したボンド磁石粉末に容易に転換できる。R−Fe−B系希土類ボンド磁石は、急冷により得られる粉末の磁気特性が等方性であり、異方性焼結磁石と比較すれば最大エネルギー積において劣るが、小型モータ用の薄肉のリング磁石を容易に製造でき、しかも該分野で主流の一つを占めるフェライト磁石と比較すれば、依然高性能であること方、急速に需要が伸びている。従って、多量に発生している焼結磁石スクラップの転換先として利用することで、大きな経済的波及効果を期待できる。
【0018】
R−Fe−B系希土類ボンド磁石粉末となる急冷原料(あるいはその急冷原料を熱処理したもの)は、平均結晶粒径が1μm以下であり、一般組成式をRxFe100−x−yByで表すことができる。ここで、RはNdを主成分(少なくとも全希土類中に原子含有率が50%以上)とし、その一部がDyないしPrの少なくとも一方によって置換可能な希土類成分であり、4≦x≦15、4≦y≦10とすることができる。なお、目的に応じて、RxFe100−x−y−vByMvの形で、Feのさらに一部を別の金属元素(例えば、Coなど:複数種類でもよい)Mにて置換することも可能である。その置換量vは磁気特性の大幅な低下をきたさない範囲にて、例えば0.1≦v<50程度の範囲にて適宜設定される。
【0019】
上記急冷原料は、溶湯からの急冷により、飽和磁束密度及び結晶磁気異方性がいずれも大きいR2Fe14B型金属間化合物相(以下2−14−1相という)が平均粒径1μm以下の微細結晶粒となった組織を生じ、急冷直後の状態で高い保磁力と残留磁化を示すので、これを所定の粒子径の粉末に粉砕すればそのまま高性能のボンド磁石用粉末として使用できる。急冷条件としては一般に10万〜100万℃/秒の冷却速度が用いられ、冷却速度を上げてアモルファス化した後に500〜800℃で結晶化熱処理を行なうか、あるいは冷却速度をやや下げて急冷のまま最適結晶組織を得ることができる。なお、上記平均粒径が1μmを超えると、保磁力ないし減磁曲線の角形性が損なわれて充分な磁石性能が得られなくなる。平均粒径は、望ましくは0.5μm以下、さらに望ましくは0.1μm以下とされる。
【0020】
また、前記したFeの置換元素Mとしては、v<30の範囲にてCoにより置換することができる。上記組成範囲内でCoを含有させることにより、2−14−1相のキュリー温度が上昇するとともに残留磁化の温度係数が改善され、自動車用モータのような高温の使用環境においても、安定かつ優れた磁気特性が確保されるボンド磁石用粉末を得ることができる。また、Coの添加により急冷原料の化学的安定性が向上し、高温多湿の環境下でも、その原料を用いたボンド磁石が腐食されたり磁気特性が低下したりすることが抑制される。しかしながら、その含有量が30原子%を超えると2−14−1相の飽和磁束密度が低下し、最大エネルギー積の低下につながるので好ましくない。なお、Coの含有量は、望ましくは2.5〜20原子%、さらに望ましくは5〜10原子%の範囲内で設定するのがよい。
【0021】
次に、上記以外の成分であるが、希土類成分Rは急冷原料の優れた磁気特性を担う2−14−1相の主要構成成分であって、Ndを主体とし、合計の含有量が4〜15原子%の範囲に設定される(すなわち4≦x≦15)。希土類成分Rの含有量が4原子%未満になると、軟磁性相であるα−Fe相の比率が増大し、保磁力の低下を招く。一方、15原子%を超えると希土類成分を主体とする非磁性相の比率が増大し、飽和磁束密度の低下を招く。これらはいずれも最大エネルギー積の低下につながるので、希土類成分Rの含有量は上記範囲のものとされ、望ましくは9〜15原子%、より望ましくは10〜13原子%、さらに望ましくは11〜12原子%の範囲内で設定するのがよい。
【0022】
また、Ndを主体とする希土類成分Rの一部をDy又はPrで置換することができる。Dyを添加することにより、2−14−1相の異方性磁界が高められ、急冷原料の保磁力を大幅に向上させることができる。これにより、例えばコンピュータのハードディスクドライブや自動車用のモータなど、温度が上昇しやすい環境で磁石が使用される場合、高温での保磁力の低下分が補われるので、厳しい温度環境での使用に耐える磁石を得ることができる。その添加量は、例えば0.1〜5原子%の範囲内で適宜選択できる。ただし、添加量が5原子%を超えると2−14−1相の飽和磁束密度が低下し、最大エネルギー積の低下を招くほか、Dyは高価であるため磁石の原料コスト上昇を招くので好ましくない。なお、TbはDyよりもさらに高価であるが、Dyとほぼ同等あるいはそれ以上の保磁力向上効果を有しているので、目的によっては使用可能である。
【0023】
一方、Prは2−14−1相中のNdを置換した場合に、その飽和磁束密度及び異方性磁界の値をそれほど変化させないため、急冷原料のNd成分の相当量、場合によってはその全量をPrで置換することも可能であるが、Prの分離希土はNdのそれよりも高価であり、その分離希土の形での配合は原料コストの上昇を招くため好ましくない。しかしながら、Prは希土類原料の分離精製工程においてNdとともに分離抽出され、NdとPrの非分離希土であるジジムはNd及びPrの分離希土よりも安価であるので、これらをジジム(例えばジジムメタル)の形で配合すれば原料コストを低減することができるので好都合である。この場合、最終的に得られる急冷原料中のPrの含有量は、使用されるジジム中のPr含有比率により定まることとなる。
【0024】
なお、上記した以外の希土類元素は、いずれもエネルギー積の上昇に寄与しないか逆にこれを低下させるものであり、できるだけ含有されないことが望ましいが、上記Nd、Dy、Pr等の希土類成分とともに、例えばその総量が1原子%以下の範囲内で不可避的に混入するものは含有されていても差し支えない。
【0025】
次に、Bは、希土類成分Rと同様に2−14−1相の必須構成成分であり、その含有量は4〜10原子%の範囲内(すなわち4≦y≦10)で設定される。Bの含有量が4原子%未満となると、軟磁性のNd2Fe17型相が生成して保磁力の低下を招き、含有量が10原子%を超えると非磁性のNdFe4B4型相が生成して飽和磁束密度が低下する。いずれの場合も、最大エネルギー積を低下させることにつながるので、B含有量は上記範囲のものとされる。Bの含有量は、望ましくは4〜8原子%、さらに望ましくは5〜7原子%の範囲内で設定するのがよい。
【0026】
Feは、2−14−1相の必須構成成分として、その大きな飽和磁化の主要部を担うものである。
【0027】
溶湯を急冷する方法としては、図3に示すように、溶融合金を回転する急冷ロールの上に直接噴出させて薄片あるいは薄帯を得る方法(単ロール法:ロールは例えばCu製)が採用できる。この他、双ロール法、スプラットクエンチ法、遠心急冷法、ガスあるいは水アトマイズ法等、各種方法が適用できる。これらのうち、特に単ロール法は、溶湯の冷却効率が高く、またロール周速による冷却速度の調整が容易で、均質で高性能の急冷原料を大量生産するのに好適である。この場合、ロール周速を5〜35m/秒、望ましくは10〜30m/秒とすることが、微細で均一な結晶粒を有し、磁気特性に優れた急冷原料を得る上で望ましい。
【0028】
急冷原料は、最終的に平均粒子径が500μm以下となるように調整されてボンド磁石用粉末とすることができる。平均粒子径が500μm以上であると、ボンド磁石内における磁石粉末及び樹脂の分布が不均一となり、ボンド磁石の表面磁束分布のばらつきを生ずる原因となる。一方、平均粒子径が細かくなりすぎると、例えば圧縮成形によりボンド磁石を製造する場合、磁石粉末の流れ性が低下し、その金型へのスムーズな充填が困難になり生産性の低下を引き起こすので、所定の平均粒径以上に設定される。なお、磁石粉末の平均粒子径は、望ましくは50〜400μm、さらに望ましくは100〜300μmの範囲内で設定するのがよい。
【0029】
急冷後にボンド磁石の製造に適した適当な粒度分布の粉末が得られる場合には、そのままボンド磁石用粉末として利用できるし、薄片や薄帯の場合は二次粉砕を行うことにより粒度調整した後、ボンド磁石用粉末として使用することができる。粉砕の方法としては、スタンプミル、フェザーミル、ディスクミル等を用いる公知の粉砕方法により、前述の平均粒子径となるように粉砕され、ボンド磁石用粉末とされる。なお、粗粉砕した後にさらに微粉砕する二段階(あるいはそれ以上の多段階)により粉砕を行ってもよい。なお、粉砕後の粉末は、適宜メッシュ等により整粒して粒度調整することが望ましい。
【0030】
ここで、上記急冷凝固により得られる急冷原料は、急冷直後の薄帯は、例えば急冷ロールとの接触部付近等、冷却速度の特に大きくなる部分に非晶質部を生じる場合がある。この非晶質部は軟磁性であり、保磁力、減磁曲線の角型性、エネルギー積の低下等を引き起こす場合がある。また、前述のように、作為的に材料の全体を非晶質とすることもある。いずれの場合も、原料を400〜1000℃の温度範囲において熱処理することができる。急冷原料に対し上記熱処理を行なうことにより、急冷直後に生じていた上記非晶質部を結晶化することができ、エネルギー積の低下等を防止することができる。熱処理温度が400℃より低い場合は、上記非晶質部の結晶化が充分進まず、上述の効果が充分得られない。一方、熱処理温度が1000℃を超えると、結晶粒が成長して粗大化し、保磁力ないしエネルギー積が却って低下する。従って、熱処理温度は上述の範囲内で設定され、望ましくは500〜800℃、さらに望ましくは600〜700℃の範囲内で設定される。
【0031】
R−Fe−B系希土類焼結磁石スクラップは、耐食性を確保するために、その多くが表面処理を施して使用される。市販品に最も多く使用されているのは、Niめっき膜による被覆、Al蒸着膜による被覆、さらにAl蒸着膜の表面をさらに覆うクロメート皮膜により覆った被覆(以下、Alクロメート皮膜という)、及び塗装による樹脂被覆である。このうち、Niめっき膜、Al蒸着膜、あるいはAlクロメート皮膜は、除去してから合金原料として用いてもよい。しかし、急冷によるボンド磁石粉末の場合、Ni、Al及びCrの含有は、一定の含有量までは焼結磁石ほどには磁気特性を低下させず、微量の含有により耐食性を却って向上させる効果も期待できる。そこで、Niめっき膜、Al蒸着膜、あるいはAlクロメート皮膜をスクラップから敢えて除去せずに合金原料とすることもできる。なお、Niめっき膜を形成したスクラップ、Al蒸着膜を形成したスクラップ、あるいはAlクロメート皮膜を形成したスクラップは、各々単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、Niめっき膜、Al蒸着膜あるいはAlクロメート皮膜を形成しないスクラップを用い、別途、適量のNi、AlあるいはCrを組成調整用原料として添加することにより、これらの元素の1種又は2種以上を含有したボンド磁石用粉末を得るようにしてもよい。
【0032】
この場合、最終的に得られるR−Fe−B系希土類ボンド磁石粉末は、Ni、Al及びCrの合計含有量が0.2〜6質量%となっているのがよい。該合計含有量が0.2質量%未満では、耐食性の改善効果はあまり期待できない。他方、6質量%を超えると磁気特性、特に残留磁化と保磁力が低下するので、これら元素の合計含有量が6質量%となるように調整する必要がある。例えば、小物部品のスクラップの場合、皮膜の相対体積が増加するので、そのまま用いたとき前記合計含有量が6質量%を超えるようであれば、一部剥離して用いるなどの配慮が必要である。
【0033】
一方、表面が樹脂被覆膜により被覆されたR−Fe−B系希土類焼結磁石スクラップは、樹脂被覆膜が磁気特性や耐食性の低下を招く有害な炭素源として作用するので、該樹脂被覆膜を剥離後に合金原料として使用することが望ましい。剥離方法としては、市販の塗膜剥離剤を用いたり、溶媒により溶解除去する方法、あるいはショットブラスト等により機械的に除去する方法がある。
【0034】
一方、図3に示すように、希土類磁石スクラップは、R−Fe−B系(ただし、RはNdを主成分とする希土類元素)希土類ボンド磁石スクラップ又はR’−Co系(ただし、R’はSmを主成分とする希土類元素)希土類ボンド磁石スクラップのいずれかとすることもできる。この場合、炭素混入による磁気特性低下を防止するために、結合樹脂成分を溶剤に溶解することにより除去ないし減少させた後、合金原料として使用することが望ましい(特に、R−Fe−B系希土類ボンド磁石粉末を製造する場合)。この場合、結合樹脂成分の溶解促進のため、希土類ボンド磁石スクラップを粉砕してから溶媒による溶解・脱樹脂を行なうことが望ましい。この粉砕の過程において、相当量の微粉が発生することが予想されるが、再溶解によりこのような微粉も無駄なく再利用することができる。なお、ボンド磁石スクラップを焼結磁石スクラップなど、他の種類のスクラップと混合して用いることももちろん可能である。
【0035】
スクラップからR−Fe−B系希土類ボンド磁石粉末を製造する場合、O及びCの合計含有量が0.3〜2質量%の範囲のものとされることが望ましい。通常、焼結磁石においては製造工程上で約0.5%の酸素と約0.1%の炭素を不純物として含み、ボンド磁石の磁性粉においては炭素の混入は殆どなく、約0.1%の酸素を含んでおり、市中製品の場合は使われる環境によるが酸化によって酸素量は若干増加していることが予測される。磁石スクラップを再利用する場合は、各種の材質と種類を用いるために酸素および炭素の総量はそれぞれ異なるが、その総量の下限は0.3%が妥当であり、それ未満のスクラップは現実的に入手することが困難である。また、その上限は2%であることが必要であり、この量を超えると磁気特性、特に保磁力の低下が大きくなり好ましくない。
【0036】
特に、R−Fe−B系希土類焼結磁石スクラップを使用する場合、希土類焼結磁石スクラップに含有されるO及びCがいずれも全て、粒界相中の希土類元素と酸化物又は炭化物を形成していると考えて、該粒界相を構成する希土類元素含有量から、それら酸化物又は炭化物の形成相当分を減じた有効希土類元素含有量が、−3〜10質量%の範囲のものを使用することが望ましい。このうち、有効希土類元素含有量が−3〜1質量%の範囲にあるものは、明らかな焼結不良品であるにもかかわらず、急冷により磁気特性的に十分なボンド磁石粉末として再生できる。
【0037】
有効希土類元素含有量は、簡単のため粒界相の全体が希土類元素からなり、かつ組織が、2−14−1相と粒界相のみからなると仮定して(つまり、微量形成される、2−14−1相よりBを多く含む金属間化合物(いわゆるボロンリッチ相)は無視する)、以下のように計算することができる。すなわち、合金の全希土類元素含有量から、2−14−1相単相となる希土類元素含有量を減じて余剰希土類元素含有量を求め、さらにその余剰希土類元素含有量から、酸化物(R2O3型と改定する)又は炭化物((RC型と改定する)の形成に消費される希土類元素量の計算値を減じた値として算出する。この場合、酸素量と炭素量との値によっては、その減算の結果が負となることもあるが、これは、組織学的には、2−14−1相をなす希土類元素が酸化消費され、残余の鉄がα−Fe層となって析出することを意味する。このような組成の焼結磁石は、液相焼結が不能となるため緻密な焼結体が得られず残留磁化が低下し、また、保磁力も極端に低下するため到底製品とはなりえず、スクラップにする以外方法がない。一般に、焼結性を考慮すれば、有効希土類元素含有量は、1質量%以上は必要と考えられている。
【0038】
しかし、上記のように計算された有効希土類元素含有量が−3質量%以上1質量%未満の範囲であっても、これ再溶解して急冷原料とすれば、磁気特性は等方的ではあるが、比較的高い保磁力が得られ、ボンド磁石としては十分な磁気特性を確保できるのである。しかし、有効希土類元素含有量が−3質量%未満では、急冷材料の磁気特性(特に保磁力)を確保できなくなる懸念が生ずる。また、有効希土類元素含有量が10質量%を超えるものは、非磁性の粒界相成分が増加して残留磁化(及び最大エネルギー積)が低下することにつながる。
【0039】
なお、R−Fe−B系希土類焼結磁石スクラップとして、有効希土類元素含有量が1質量%以下のものを使用する場合、有効希土類元素含有量が使用する希土類焼結磁石スクラップよりも多くなるように、希土類金属成分補充原料により補って合金原料とすることが、急冷材料の保磁力確保の観点においてより望ましい。こうした希土類金属成分補充原料としては、希土類単体金属や、焼結磁石スクラップよりも希土類金属含有量の高い希土類/鉄合金、さらには、有効希土類元素含有量のより多い、別組成の希土類焼結磁石スクラップ等を例示できる。
【0040】
例えば、R−Fe−B系希土類焼結磁石の市販品は、残留磁化、保磁力及び最大エネルギー積が種々のグレードに対応できるよう、希土類元素含有量を異ならせた種々の組成のものが存在する。このうち、残留磁化及び最大エネルギー積を高く確保できるように合金設計されたものは、硬磁性主相(2−14−1相)の含有比率をなるべく高めるため、2−14−1相の化学量論組成に近づくように、希土類元素含有量を減少させた組成(例えば希土類元素含有率が28質量%以上32質量%未満)が用いられる。しかし、このような組成は、希土類元素含有量が少ない分だけ、粉末酸化等による減少分を考慮すれば、有効希土類元素含有量は不足しやすい傾向にある。他方、大きな逆磁界下で使用される磁石や薄型磁石のように、動作点のパーミアンス係数が比較的小さくなる用途や高温用途など、高保磁力が要求されるものについては、希土類元素含有量を増加させた組成(例えば希土類元素含有率が32質量%以上40質量%未満)が使用される。後者は、希土類元素含有量に余裕があるため、多少酸化が進行しても十分な保磁力を確保することができるので、そのスクラップを、希土類金属成分補充原料として有効に活用できる。
【0041】
さて、上記のようにして得られた希土類ボンド磁石粉末は、結合樹脂を配合してコンパウンドとなし、該コンパウンドを予め定められた磁石形状に成型することによりボンド磁石とすることができる。ボンド磁石としては、エポキシやフェノール等の熱硬化性樹脂を添加混合してプレス成形によって製作される圧縮成形磁石、ナイロンやPPS等の熱可塑性樹脂を添加混合して製作される射出成形磁石、およびウレタンや加硫ゴムを混ぜて製作される押し出し成形磁石などがあり、いずれの方式のボンド磁石にも適用可能である。成形後の磁石表面には、通常吹きつけあるいは電着によってエポキシ系の防錆被膜を形成して最終磁石製品とする。
【0042】
加圧成形による場合は、上記磁石粉末に、エポキシ樹脂等の粉末状の熱硬化性樹脂を所定量、例えば1〜5重量%程度混合し、例えばダイ及びパンチを有した金型によるプレス成形等により、例えば5〜10t/cm2程度の加圧力で圧縮成形する。成形後、得られた成形体を所定温度、例えば80〜180℃程度に加熱することにより樹脂を硬化させ、ボンド磁石を得る。なお、樹脂硬化のための加熱は、上記加圧成形中に行ってもよい。この方法によれば、得られるボンド磁石中の磁石粉末の密度を高くでき、小型モータ用の高性能リング磁石等を製造するのに適している。
【0043】
一方、射出成形による場合は、まず、ナイロン樹脂等の熱可塑性樹脂を磁石粉末に対し、圧縮成形の場合よりやや多い量、例えば10〜30重量%程度添加し、これを混練して成形用のコンパウンドを作製する。そして、このコンパウンドを加熱軟化させ、所定の成形機を用いて金型のキャビティに射出成形することにより、所望の形状のボンド磁石を得る。この方法により得られるボンド磁石は、磁石粉末密度がやや低いため、性能は圧縮成形によるものに及ばないが、多様で複雑な形状の磁石を容易に製造できる利点があり、モータスピンドル等の付属部品を上記コンパウンドとともに一体成形(インサート成形)することもできる。例えばリング状ボンド磁石は、ラジアル着磁されてモータロータあるいはステータとして利用される。
【0044】
【実施例】
以下、本発明の効果を確認するために行った実験結果について説明する。
(実施例1)
Nd−Dy−Fe−Co−B系焼結磁石スクラップとして、光ピックアップ用の5mm×6mm×2mm形状の角型磁石につき、亀裂不良品と研磨寸法不良品を用意した。この磁石の磁気特性をBHトレーサーによって測定した結果、BHmaxが336kJ/m3であり一般的な磁石性能を有していた。この角型磁石を超急冷装置内に設置された石英菅に挿入し、50kPaの減圧下で高周波加熱によって溶融させた後、石英菅上部に加圧ガスを導入して石英菅下部の細孔から、溶融合金を回転する銅製ロール上に噴出させて薄片を製作し、本発明試料(1)とした。このとき石英菅下部の孔径は0.6mm、銅ロール径は200mm、周速度は14m/sであった。一方、上記と同様の超急冷法によって製造され、MQI社から市販されているNd−Fe−Co−B系磁石合金薄片(グレード名:MQPB)を入手して、これを比較例試料(1)とした。
【0045】
両者の試料は磁気的に等方性であるため、薄片を150ミクロン以下に粉砕してワックスで固定し、4.8MA/mのパルス磁界を加えて着磁した後に、振動試料型磁力計を使用して磁気特性を測定した。また、X線回折法により構造解析を行った結果を、図5のX線回折パターンに示す。両試料ともに、丸印で示したNd2Fe14B化合物の回折線に適合しており、基本的に同化合物から構成されていることが判明した。図6に磁気ヒステリシス曲線を、表1に代表的な磁気特性値を示す。
【0046】
【表1】
【0047】
以上の結果から明らかなように、本発明試料(1)は比較例試料(1)と比較して残留磁化Brがやや低く保磁力Hcjがやや高いが、代表的な磁気特性値である最大エネルギー積BHmaxは殆ど同レベルであるため、ボンド磁石用の原料磁性粉として充分実用に供しえることがわかった。なお、BrとHcjの値の調整は、急冷条件やNd組成比を若干変えるだけで、充分に調整可能な範囲である。
【0048】
(実施例2)
BHmaxが375kJ/m3のNd−Fe−Co−B系焼結磁石で、VCM向けの扇型形状をしたNiめっき不良品を用意した。この磁石を切断して石英菅に挿入し、実施例1と同条件で急冷薄片を製作して本発明試料(2)とした。得られた薄片の成分組成をICP分析した結果、質量比29.4Nd−2.7Co−2.1Ni−1.1B−残Fe組成であった。図7に本発明試料(2)、および実施例1で用いた比較例試料(1)のヒステリシス曲線を示す。本発明試料(2)は比較例試料(1)とほぼ同レベルの磁気特性が得られていることがわかる。
【0049】
次に、上記各試料粉末に一液性エポキシ樹脂を2.2質量%添加混合し、1GPaの圧力を加えて圧縮成形し、120℃で1時間加熱して樹脂を硬化させて磁石成形体となし、本発明試料(3)と比較例試料(2)とした。磁気特性は、4.8MA/mのパルス磁界を加えて着磁した後に、BHトレーサーを使用して測定した。表2に代表的な磁気特性値を示す。
【0050】
【表2】
【0051】
この結果から、本発明試料(3)のボンド磁石は市販のMQPB粉末を用いて製作したボンド磁石と同等の磁気特性を持つことが明らかである。
【0052】
さらに、上記の各ボンド磁石を60℃、95%の恒温恒湿槽中に120時間放置し、取り出した後の磁石表面の錆発生状況を目視で観察した。その結果、比較例試料(2)は磁石表面上に数点の赤錆の発生が見られたのに対して、本発明試料(3)は、変色跡はあるものの赤錆は認められず、焼結磁石スクラップから急冷磁性粉への再生におけるNi含有効果によって耐食性が向上したと推察される。
【0053】
(実施例3)
BHmaxが366kJ/m3のNd−Fe−B系焼結磁石の、研磨寸法不良品を用意した。別途、99%以上の純度のNi、Al及びCr各金属を秤量して、上記不良品に所定量比加え、実施例1と同条件で急冷薄片を製作して本発明試料(4)〜(9)とした。一方、Nd金属、Fe金属、および20%B−Feを出発原料として、溶解、超急冷して急冷薄片を製作して比較例試料(3)とした。得られた各試料粉末についてICP分析と酸素および炭素分析を行った結果と、振動試料型磁力計による磁気特性の結果を合わせて表3に示す。
【0054】
【表3】
【0055】
この結果より、本発明試料(4)〜(9)は各種の添加元素、および不純物としての酸素と炭素を相当量含んでおり、前記した方法により計算した有効希土類元素含有量がゼロ又は負であるにもかかわらず、比較例試料(3)とほぼ同レベルの磁気特性BHmax及び保磁力が得られていることがわかる。
【0056】
(実施例4)
次に、BHmaxが360kJ/m3のNd−Fe−B系焼結磁石の、Alコーティング不良品に、純度99.9%の電解鉄を所定量比加えて実施例1と同様に超急冷を実施して薄片を製作し、本発明試料(10)〜(14)とした。このとき石英菅下部の孔径は0.5mm、銅ロール径は200mm、周速度は17m/sであった。X線回折結果により、試料内部は硬磁性のNd2Fe14B相と軟磁性のα-Fe相から成っていた。各試料の成分組成と磁気特性の結果を合わせて表4に示す。
【0057】
【表4】
【0058】
この結果より、本発明試料(10)〜(14)は低保磁力で高残留磁化の、いわゆるナノコンポジット型磁石材料の磁気特性を持つことがわかり、高Brの特徴を示した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る希土類ボンド磁石粉末の、製造工程の第一の説明図。
【図2】本発明に係る希土類ボンド磁石粉末の、製造工程の第二の説明図。
【図3】本発明に係る希土類ボンド磁石粉末の、製造工程の第三の説明図。
【図4】本発明に係る希土類ボンド磁石粉末の、製造工程の第四の説明図。
【図5】実施例1の本発明試料(1)、および比較例試料(1)のX線回折パターン。
【図6】実施例1の本発明試料(1)、および比較例試料(1)のヒステリシス曲線。
【図7】実施例2の本発明試料(2)、および比較例試料(1)のヒステリシス曲線。
【発明の属する技術分野】
この発明は、希土類ボンド磁石粉末の製造方法及びそれを用いたボンド磁石の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報通信機器や制御機器、小型モータを使用する民生用弱電機器、さらには医療診断装置などに高性能な希土類焼結磁石が使用され、その生産量は年々増加している。また、小型モータ用の円筒形状磁石などに使用される希土類ボンド磁石も、焼結磁石と比較して単純な工程によって製造することができるために生産量が増加している。特にNd−Fe−B系焼結磁石の製造においては、合金溶解から始まり、粉砕、成形、焼結、切断・研磨、表面処理を経て最終磁石製品が出来上がるが、この製造工程で発生する焼結不良品や研磨屑などの磁石スクラップが磁石仕込み量の数十%に達し、年間数千トンに及んでいると推定される。また、今後市中製品となって廃棄される磁石スクラップ量も増加することが予測される。これらのスクラップには希少資源である希土類元素が相当量含まれるために、その回収と再利用が求められている。
【0003】
上記のような焼結磁石の不良品を再利用する方法として、以下のような方法が提案されている。
▲1▼酸に溶解させた後に希土類元素のみを溶媒抽出して分離・乾燥し、さらに酸化させて再度焼結磁石用の原料とする(特開平5−287405号公報、特開平9−217132号公報)。
▲2▼焼結不良品を粉砕して酸洗浄・乾燥後にカルシウム還元を行って、焼結用合金粉末の補助材として再利用する(特開平11−319752号公報、特開平11−329811号公報)。
▲3▼Nd−Fe−B系焼結磁石表面には、防錆処理としてNiめっき膜が形成されることがある。Niは、Nd−Fe−B系焼結磁石においては残留磁化を低下させる要因となるため、Niメッキ膜を有する焼結磁石スクラップを焼結磁石用の原料として再利用する場合には、その剥離除去が必要であると考えられている。具体的な方法としては、焼結磁石に水素を吸放出させて粉砕し、Niめっき膜のみを分離して残粉末を原料合金として用いる方法(特開平5−33073号公報)、Ni膜をショットピーニングなどの機械的手段によって分離して残粉末を原料合金として用いる方法(特開平13−40425号公報)などが提案されている。
【0004】
他方、希土類ボンド磁石スクラップの最利用方法としては、ボンド磁石を粉砕して結合樹脂を溶媒に溶解して除去し、得られる磁石粉末から、再利用に適した粒度範囲のものを篩分けして、再度ボンド磁石の製造に使用する方法が種々提案されている。なお、希土類ボンド磁石は成形後の切断や研磨工程がなく、また磁気特性や寸法特性などの品質が安定しているため、工程内のスクラップ発生は、焼結磁石に比べれば比較的少ない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
希土類焼結磁石は工程内のスクラップ発生が多く、また今後の市中回収品の再資源化活用を図るためには、生産効率が良く且つ再生エネルギーが少ない方法が求められる。しかし、上記▲1▼の方法は、酸化のために大きなエネルギーを必要とし、また希土類元素の抽出分離工程を数回繰り返す必要があり、さらに酸溶液処理の問題など課題が多く、採算的に問題がある。また▲2▼の方法も、カルシウム還元に高温エネルギーを要する他、還元処理の副生成物である酸化カルシウムを還元粉末から水洗除去する際に、粉末が酸化しやすい問題がある。他方、▲3▼のNi膜剥離方法は、完全な分離が困難であり、また原料合金再生までの手間がかかることなどの問題がある。なお、焼結磁石を再粉砕してプレス成型し、再度焼結して磁石となす方法は、粉末の酸化や粒度分布の悪化などにより磁気特性が大幅に劣化するために、工業的には用いられていない。また、焼結磁石を粉砕してボンド磁石の原料とする方法は、粉末の篩い分けに工数を要する上、ボンド磁石に使用できない微粉が大量に発生し、再利用率が著しく低くなる問題があるため、これもほとんど用いられていない。この問題は、ボンド磁石スクラップを粉砕して溶媒により結合樹脂を除去し、得られる磁石粉末を篩分けする方法においても同様の問題を生ずる。また、Nd−Fe−B系焼結磁石の場合は、硬磁性主相の粒径が大きいため粉砕により保磁力が著しく低下し、ボンド磁石粉末としての再利用自体が非常に困難である。
【0006】
本発明の課題は、より少ない工数及び投入エネルギーにより希土類磁石スクラップを希土類ボンド磁石粉末に効率的に転換することができ、ひいては希土類資源の有効利用に寄与する希土類ボンド磁石粉末の製造方法と、それを用いた希土類ボンド磁石の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
上記の課題を解決するために、本発明に係る希土類ボンド磁石粉末の製造方法の第一は、一軸磁気異方性を有した、希土類元素と遷移金属元素との金属間化合物により硬磁性主相が構成された希土類磁石の、製造不良品ないし廃棄品(以下、両者を総称して希土類磁石スクラップという)を合金原料の一部または全部として用い、該合金原料を溶解して溶湯となし、希土類元素と遷移金属元素との金属間化合物からなる硬磁性主相が平均粒径にて1μm以下に微細粒子化された結晶質組織が得られるように、溶湯を急冷して急冷原料となし、当該結晶質急冷原料をそのまま又は粉砕して希土類ボンド磁石用粉末となすことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る希土類ボンド磁石粉末の製造方法の第二は、一軸磁気異方性を有した、希土類元素と遷移金属元素との金属間化合物相により硬磁性主相が構成された希土類磁石の、製造不良品ないし廃棄品(以下、両者を総称して希土類磁石スクラップという)を合金原料の一部または全部として用い、該合金原料を溶解して溶湯となし、非晶質組織が得られるように溶湯を急冷して急冷原料となし、希土類元素と遷移金属元素との金属間化合物からなる硬磁性主相が平均粒径にて1μm以下に微細粒子化された結晶質組織が得られるように当該急冷原料を熱処理し、その熱処理後の急冷原料をそのまま又は粉砕して希土類ボンド磁石用粉末となすことを特徴とする。
【0009】
第一の方法及び第二の方法は、いずれも、最終的には硬磁性主相が平均粒径にて1μm以下に微細粒子化された組織(以下、最適結晶組織という)を得る点で共通している。硬磁性主相粒子を平均粒径にて1μm以下となすことにより、永久磁石に適した高保磁力が実現される。そして、第一の方法は、急冷原料の段階で最適結晶組織を直接得ようとするものであり、第二の方法は、急冷速度を上げることにより、必ずしも好適な保磁力が得られない非晶質組織を一旦得ておき、その後熱処理により結晶化を進行させて最適結晶組織を得ようとするものである。前者は熱処理工程が不要である利点があり、後者は熱処理の工数がかかるものの、冷却ムラの影響が小さく、熱処理により均一な磁気特性が得やすい利点がある。
【0010】
そして、いずれの方法においても共通している点は、希土類磁石スクラップを一旦溶解して、これを急冷することにより、希土類ボンド磁石粉末を簡単に得られることにある。その結果、少ない工数及び投入エネルギーにより希土類磁石スクラップを希土類ボンド磁石粉末に効率的に転換することができ、ひいては希土類資源の有効利用に寄与する。溶解は、例えば高周波誘導溶解、アーク溶解等公知の溶解方法を用いることができる。
【0011】
本発明において、希土類磁石スクラップは、製造段階で生じた不良品あるいはロットアウト品、加工工程で発生する切り屑や研磨ダストなどである。具体的には、希土類焼結磁石の製造工程において発生する焼結体の焼結不良や亀裂不良、切断時の欠けや端材、研磨屑、メッキや樹脂塗装での外観不良や膜厚不良、検査工程での寸法や磁気特性不良品などがある。また、希土類ボンド磁石の不良品から樹脂分を有機溶剤で分離除去した残材もスクラップとして使用できる。また、これら製造上の理由で発生するスクラップのほか、電気製品等の市中製品に組み込まれた磁石で廃棄処分となったものを有効に活用できる。
【0012】
希土類磁石スクラップは、単独で溶解して急冷することによりボンド磁石とすることもできるが、例えば焼結磁石(後述)をボンド磁石に転換する場合は、両者の組成が必ずしも一致しない場合がある。このように、最終的に得るべき希土類ボンド磁石用粉末は希土類磁石スクラップと組成の相違する場合は、合金原料として、希土類磁石スクラップに、該希土類磁石スクラップと希土類ボンド磁石用粉末との組成差を解消するための組成調整用原料を配合してなるものを使用することができる。これにより、使用可能な希土類磁石スクラップの種類を大幅に増やすことができ、より効果的なリサイクルを計ることができる。
【0013】
また、組成の異なる希土類磁石スクラップは、図1に示すように、組成毎に分別して回収し、各々異なる組成の希土類ボンド磁石用粉末の合金原料として用いることができる。これにより、目的とする組成の希土類ボンド磁石用粉末に最も近い組成のスクラップを使用することが可能となり、組成調整用原料を用いないか、あるいは用いる場合でも、その使用量を最小限にとどめることができるようになる。
【0014】
また、図2に示すように、組成の異なる希土類磁石スクラップを組成毎に分別して回収し、異なる組成の2種以上の希土類磁石スクラップを配合して希土類ボンド磁石用粉末の合金原料として用いることもできる。複数種類組成の希土類磁石スクラップを配合することにより、希土類磁石スクラップのみで目的とする希土類ボンド磁石用粉末の組成により近い組成を得ることが可能となり、組成調整用原料の使用量をより少なくすること(ゼロを含む)が可能となる。
【0015】
希土類磁石スクラップは、特に、周知かつ一般に広く使用されているR−Fe−B系(ただし、RはNdを主成分とする希土類元素)希土類磁石スクラップ又はR’−Co系(ただし、R’はSmを主成分とする希土類元素)希土類磁石スクラップのいずれかとすることが、リサイクル効果を高める意味で有効であることはいうまでもない。希土類ボンド磁石用粉末は、R−Fe−B系希土類ボンド磁石粉末又はR’−Co系希土類ボンド磁石粉末のいずれかとされる。R−Fe−B系希土類磁石は、硬磁性主相がR2Fe14B相にて構成される。他方、R’−Co系希土類磁石は、周知のごとく、硬磁性主相がR’Co5相にて構成されるニュークリエーション型のものと、硬磁性主相をR’2Co17相とし、これよりも若干希土類リッチの組成を採用して熱処理によりR’Co5相を網目上に析出させた磁壁ピンニング型のものの2種類があり、いずれも本発明に使用することができる。なお、R’−Co系希土類磁石スクラップの場合、構成元素として少量のCu,Fe,Zr,Tiなどを含んでいても差し支えない。
【0016】
希土類磁石スクラップは、希土類焼結磁石スクラップとすることができる。これにより、従来技術のように、酸溶解→溶媒抽出→酸化により焼結磁石用原料を得る方法、あるいは、酸洗浄・乾燥後にカルシウム還元を行なう方法等と比較して圧倒的に少ない工数及び投入エネルギーにより焼結希土類磁石スクラップを、ボンド磁石原料として再利用を図ることができる。また、希土類焼結磁石スクラップを一旦再溶解するので、ボンド磁石粉末への再利用転換率が高く、無駄の無いリサイクルが可能である。また、これまで再利用が困難であった焼結磁石の切断屑や、研磨屑などを活用できる利点もある。
【0017】
この場合、希土類焼結磁石スクラップは、硬磁性主相をなす金属間化合物がR2Fe14B(ただし、RはNdを主成分とする希土類元素)の化学量論組成を有し、かつ、希土類元素Rを主成分とする粒界相により硬磁性主相が焼結結合されたR−Fe−B系希土類焼結磁石スクラップとすることができ、希土類ボンド磁石用粉末は、R−Fe−B系希土類ボンド磁石粉末とすることができる。R−Fe−B系希土類焼結磁石は、希土類磁石の中で最も生産量が高い反面、不良や廃棄品の発生量も他のどの種類の希土類磁石よりも圧倒的に多い。従って、その再利用が最も切望されている磁石であるにも拘わらず、コストや性能安定性の問題により具体的な問題解決は遅々として進んでいないのが現状である。しかし、本発明においては、焼結磁石としては多少難のある組成のものであっても、溶融合金の急冷により、良好な保磁力を有したボンド磁石粉末に容易に転換できる。R−Fe−B系希土類ボンド磁石は、急冷により得られる粉末の磁気特性が等方性であり、異方性焼結磁石と比較すれば最大エネルギー積において劣るが、小型モータ用の薄肉のリング磁石を容易に製造でき、しかも該分野で主流の一つを占めるフェライト磁石と比較すれば、依然高性能であること方、急速に需要が伸びている。従って、多量に発生している焼結磁石スクラップの転換先として利用することで、大きな経済的波及効果を期待できる。
【0018】
R−Fe−B系希土類ボンド磁石粉末となる急冷原料(あるいはその急冷原料を熱処理したもの)は、平均結晶粒径が1μm以下であり、一般組成式をRxFe100−x−yByで表すことができる。ここで、RはNdを主成分(少なくとも全希土類中に原子含有率が50%以上)とし、その一部がDyないしPrの少なくとも一方によって置換可能な希土類成分であり、4≦x≦15、4≦y≦10とすることができる。なお、目的に応じて、RxFe100−x−y−vByMvの形で、Feのさらに一部を別の金属元素(例えば、Coなど:複数種類でもよい)Mにて置換することも可能である。その置換量vは磁気特性の大幅な低下をきたさない範囲にて、例えば0.1≦v<50程度の範囲にて適宜設定される。
【0019】
上記急冷原料は、溶湯からの急冷により、飽和磁束密度及び結晶磁気異方性がいずれも大きいR2Fe14B型金属間化合物相(以下2−14−1相という)が平均粒径1μm以下の微細結晶粒となった組織を生じ、急冷直後の状態で高い保磁力と残留磁化を示すので、これを所定の粒子径の粉末に粉砕すればそのまま高性能のボンド磁石用粉末として使用できる。急冷条件としては一般に10万〜100万℃/秒の冷却速度が用いられ、冷却速度を上げてアモルファス化した後に500〜800℃で結晶化熱処理を行なうか、あるいは冷却速度をやや下げて急冷のまま最適結晶組織を得ることができる。なお、上記平均粒径が1μmを超えると、保磁力ないし減磁曲線の角形性が損なわれて充分な磁石性能が得られなくなる。平均粒径は、望ましくは0.5μm以下、さらに望ましくは0.1μm以下とされる。
【0020】
また、前記したFeの置換元素Mとしては、v<30の範囲にてCoにより置換することができる。上記組成範囲内でCoを含有させることにより、2−14−1相のキュリー温度が上昇するとともに残留磁化の温度係数が改善され、自動車用モータのような高温の使用環境においても、安定かつ優れた磁気特性が確保されるボンド磁石用粉末を得ることができる。また、Coの添加により急冷原料の化学的安定性が向上し、高温多湿の環境下でも、その原料を用いたボンド磁石が腐食されたり磁気特性が低下したりすることが抑制される。しかしながら、その含有量が30原子%を超えると2−14−1相の飽和磁束密度が低下し、最大エネルギー積の低下につながるので好ましくない。なお、Coの含有量は、望ましくは2.5〜20原子%、さらに望ましくは5〜10原子%の範囲内で設定するのがよい。
【0021】
次に、上記以外の成分であるが、希土類成分Rは急冷原料の優れた磁気特性を担う2−14−1相の主要構成成分であって、Ndを主体とし、合計の含有量が4〜15原子%の範囲に設定される(すなわち4≦x≦15)。希土類成分Rの含有量が4原子%未満になると、軟磁性相であるα−Fe相の比率が増大し、保磁力の低下を招く。一方、15原子%を超えると希土類成分を主体とする非磁性相の比率が増大し、飽和磁束密度の低下を招く。これらはいずれも最大エネルギー積の低下につながるので、希土類成分Rの含有量は上記範囲のものとされ、望ましくは9〜15原子%、より望ましくは10〜13原子%、さらに望ましくは11〜12原子%の範囲内で設定するのがよい。
【0022】
また、Ndを主体とする希土類成分Rの一部をDy又はPrで置換することができる。Dyを添加することにより、2−14−1相の異方性磁界が高められ、急冷原料の保磁力を大幅に向上させることができる。これにより、例えばコンピュータのハードディスクドライブや自動車用のモータなど、温度が上昇しやすい環境で磁石が使用される場合、高温での保磁力の低下分が補われるので、厳しい温度環境での使用に耐える磁石を得ることができる。その添加量は、例えば0.1〜5原子%の範囲内で適宜選択できる。ただし、添加量が5原子%を超えると2−14−1相の飽和磁束密度が低下し、最大エネルギー積の低下を招くほか、Dyは高価であるため磁石の原料コスト上昇を招くので好ましくない。なお、TbはDyよりもさらに高価であるが、Dyとほぼ同等あるいはそれ以上の保磁力向上効果を有しているので、目的によっては使用可能である。
【0023】
一方、Prは2−14−1相中のNdを置換した場合に、その飽和磁束密度及び異方性磁界の値をそれほど変化させないため、急冷原料のNd成分の相当量、場合によってはその全量をPrで置換することも可能であるが、Prの分離希土はNdのそれよりも高価であり、その分離希土の形での配合は原料コストの上昇を招くため好ましくない。しかしながら、Prは希土類原料の分離精製工程においてNdとともに分離抽出され、NdとPrの非分離希土であるジジムはNd及びPrの分離希土よりも安価であるので、これらをジジム(例えばジジムメタル)の形で配合すれば原料コストを低減することができるので好都合である。この場合、最終的に得られる急冷原料中のPrの含有量は、使用されるジジム中のPr含有比率により定まることとなる。
【0024】
なお、上記した以外の希土類元素は、いずれもエネルギー積の上昇に寄与しないか逆にこれを低下させるものであり、できるだけ含有されないことが望ましいが、上記Nd、Dy、Pr等の希土類成分とともに、例えばその総量が1原子%以下の範囲内で不可避的に混入するものは含有されていても差し支えない。
【0025】
次に、Bは、希土類成分Rと同様に2−14−1相の必須構成成分であり、その含有量は4〜10原子%の範囲内(すなわち4≦y≦10)で設定される。Bの含有量が4原子%未満となると、軟磁性のNd2Fe17型相が生成して保磁力の低下を招き、含有量が10原子%を超えると非磁性のNdFe4B4型相が生成して飽和磁束密度が低下する。いずれの場合も、最大エネルギー積を低下させることにつながるので、B含有量は上記範囲のものとされる。Bの含有量は、望ましくは4〜8原子%、さらに望ましくは5〜7原子%の範囲内で設定するのがよい。
【0026】
Feは、2−14−1相の必須構成成分として、その大きな飽和磁化の主要部を担うものである。
【0027】
溶湯を急冷する方法としては、図3に示すように、溶融合金を回転する急冷ロールの上に直接噴出させて薄片あるいは薄帯を得る方法(単ロール法:ロールは例えばCu製)が採用できる。この他、双ロール法、スプラットクエンチ法、遠心急冷法、ガスあるいは水アトマイズ法等、各種方法が適用できる。これらのうち、特に単ロール法は、溶湯の冷却効率が高く、またロール周速による冷却速度の調整が容易で、均質で高性能の急冷原料を大量生産するのに好適である。この場合、ロール周速を5〜35m/秒、望ましくは10〜30m/秒とすることが、微細で均一な結晶粒を有し、磁気特性に優れた急冷原料を得る上で望ましい。
【0028】
急冷原料は、最終的に平均粒子径が500μm以下となるように調整されてボンド磁石用粉末とすることができる。平均粒子径が500μm以上であると、ボンド磁石内における磁石粉末及び樹脂の分布が不均一となり、ボンド磁石の表面磁束分布のばらつきを生ずる原因となる。一方、平均粒子径が細かくなりすぎると、例えば圧縮成形によりボンド磁石を製造する場合、磁石粉末の流れ性が低下し、その金型へのスムーズな充填が困難になり生産性の低下を引き起こすので、所定の平均粒径以上に設定される。なお、磁石粉末の平均粒子径は、望ましくは50〜400μm、さらに望ましくは100〜300μmの範囲内で設定するのがよい。
【0029】
急冷後にボンド磁石の製造に適した適当な粒度分布の粉末が得られる場合には、そのままボンド磁石用粉末として利用できるし、薄片や薄帯の場合は二次粉砕を行うことにより粒度調整した後、ボンド磁石用粉末として使用することができる。粉砕の方法としては、スタンプミル、フェザーミル、ディスクミル等を用いる公知の粉砕方法により、前述の平均粒子径となるように粉砕され、ボンド磁石用粉末とされる。なお、粗粉砕した後にさらに微粉砕する二段階(あるいはそれ以上の多段階)により粉砕を行ってもよい。なお、粉砕後の粉末は、適宜メッシュ等により整粒して粒度調整することが望ましい。
【0030】
ここで、上記急冷凝固により得られる急冷原料は、急冷直後の薄帯は、例えば急冷ロールとの接触部付近等、冷却速度の特に大きくなる部分に非晶質部を生じる場合がある。この非晶質部は軟磁性であり、保磁力、減磁曲線の角型性、エネルギー積の低下等を引き起こす場合がある。また、前述のように、作為的に材料の全体を非晶質とすることもある。いずれの場合も、原料を400〜1000℃の温度範囲において熱処理することができる。急冷原料に対し上記熱処理を行なうことにより、急冷直後に生じていた上記非晶質部を結晶化することができ、エネルギー積の低下等を防止することができる。熱処理温度が400℃より低い場合は、上記非晶質部の結晶化が充分進まず、上述の効果が充分得られない。一方、熱処理温度が1000℃を超えると、結晶粒が成長して粗大化し、保磁力ないしエネルギー積が却って低下する。従って、熱処理温度は上述の範囲内で設定され、望ましくは500〜800℃、さらに望ましくは600〜700℃の範囲内で設定される。
【0031】
R−Fe−B系希土類焼結磁石スクラップは、耐食性を確保するために、その多くが表面処理を施して使用される。市販品に最も多く使用されているのは、Niめっき膜による被覆、Al蒸着膜による被覆、さらにAl蒸着膜の表面をさらに覆うクロメート皮膜により覆った被覆(以下、Alクロメート皮膜という)、及び塗装による樹脂被覆である。このうち、Niめっき膜、Al蒸着膜、あるいはAlクロメート皮膜は、除去してから合金原料として用いてもよい。しかし、急冷によるボンド磁石粉末の場合、Ni、Al及びCrの含有は、一定の含有量までは焼結磁石ほどには磁気特性を低下させず、微量の含有により耐食性を却って向上させる効果も期待できる。そこで、Niめっき膜、Al蒸着膜、あるいはAlクロメート皮膜をスクラップから敢えて除去せずに合金原料とすることもできる。なお、Niめっき膜を形成したスクラップ、Al蒸着膜を形成したスクラップ、あるいはAlクロメート皮膜を形成したスクラップは、各々単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、Niめっき膜、Al蒸着膜あるいはAlクロメート皮膜を形成しないスクラップを用い、別途、適量のNi、AlあるいはCrを組成調整用原料として添加することにより、これらの元素の1種又は2種以上を含有したボンド磁石用粉末を得るようにしてもよい。
【0032】
この場合、最終的に得られるR−Fe−B系希土類ボンド磁石粉末は、Ni、Al及びCrの合計含有量が0.2〜6質量%となっているのがよい。該合計含有量が0.2質量%未満では、耐食性の改善効果はあまり期待できない。他方、6質量%を超えると磁気特性、特に残留磁化と保磁力が低下するので、これら元素の合計含有量が6質量%となるように調整する必要がある。例えば、小物部品のスクラップの場合、皮膜の相対体積が増加するので、そのまま用いたとき前記合計含有量が6質量%を超えるようであれば、一部剥離して用いるなどの配慮が必要である。
【0033】
一方、表面が樹脂被覆膜により被覆されたR−Fe−B系希土類焼結磁石スクラップは、樹脂被覆膜が磁気特性や耐食性の低下を招く有害な炭素源として作用するので、該樹脂被覆膜を剥離後に合金原料として使用することが望ましい。剥離方法としては、市販の塗膜剥離剤を用いたり、溶媒により溶解除去する方法、あるいはショットブラスト等により機械的に除去する方法がある。
【0034】
一方、図3に示すように、希土類磁石スクラップは、R−Fe−B系(ただし、RはNdを主成分とする希土類元素)希土類ボンド磁石スクラップ又はR’−Co系(ただし、R’はSmを主成分とする希土類元素)希土類ボンド磁石スクラップのいずれかとすることもできる。この場合、炭素混入による磁気特性低下を防止するために、結合樹脂成分を溶剤に溶解することにより除去ないし減少させた後、合金原料として使用することが望ましい(特に、R−Fe−B系希土類ボンド磁石粉末を製造する場合)。この場合、結合樹脂成分の溶解促進のため、希土類ボンド磁石スクラップを粉砕してから溶媒による溶解・脱樹脂を行なうことが望ましい。この粉砕の過程において、相当量の微粉が発生することが予想されるが、再溶解によりこのような微粉も無駄なく再利用することができる。なお、ボンド磁石スクラップを焼結磁石スクラップなど、他の種類のスクラップと混合して用いることももちろん可能である。
【0035】
スクラップからR−Fe−B系希土類ボンド磁石粉末を製造する場合、O及びCの合計含有量が0.3〜2質量%の範囲のものとされることが望ましい。通常、焼結磁石においては製造工程上で約0.5%の酸素と約0.1%の炭素を不純物として含み、ボンド磁石の磁性粉においては炭素の混入は殆どなく、約0.1%の酸素を含んでおり、市中製品の場合は使われる環境によるが酸化によって酸素量は若干増加していることが予測される。磁石スクラップを再利用する場合は、各種の材質と種類を用いるために酸素および炭素の総量はそれぞれ異なるが、その総量の下限は0.3%が妥当であり、それ未満のスクラップは現実的に入手することが困難である。また、その上限は2%であることが必要であり、この量を超えると磁気特性、特に保磁力の低下が大きくなり好ましくない。
【0036】
特に、R−Fe−B系希土類焼結磁石スクラップを使用する場合、希土類焼結磁石スクラップに含有されるO及びCがいずれも全て、粒界相中の希土類元素と酸化物又は炭化物を形成していると考えて、該粒界相を構成する希土類元素含有量から、それら酸化物又は炭化物の形成相当分を減じた有効希土類元素含有量が、−3〜10質量%の範囲のものを使用することが望ましい。このうち、有効希土類元素含有量が−3〜1質量%の範囲にあるものは、明らかな焼結不良品であるにもかかわらず、急冷により磁気特性的に十分なボンド磁石粉末として再生できる。
【0037】
有効希土類元素含有量は、簡単のため粒界相の全体が希土類元素からなり、かつ組織が、2−14−1相と粒界相のみからなると仮定して(つまり、微量形成される、2−14−1相よりBを多く含む金属間化合物(いわゆるボロンリッチ相)は無視する)、以下のように計算することができる。すなわち、合金の全希土類元素含有量から、2−14−1相単相となる希土類元素含有量を減じて余剰希土類元素含有量を求め、さらにその余剰希土類元素含有量から、酸化物(R2O3型と改定する)又は炭化物((RC型と改定する)の形成に消費される希土類元素量の計算値を減じた値として算出する。この場合、酸素量と炭素量との値によっては、その減算の結果が負となることもあるが、これは、組織学的には、2−14−1相をなす希土類元素が酸化消費され、残余の鉄がα−Fe層となって析出することを意味する。このような組成の焼結磁石は、液相焼結が不能となるため緻密な焼結体が得られず残留磁化が低下し、また、保磁力も極端に低下するため到底製品とはなりえず、スクラップにする以外方法がない。一般に、焼結性を考慮すれば、有効希土類元素含有量は、1質量%以上は必要と考えられている。
【0038】
しかし、上記のように計算された有効希土類元素含有量が−3質量%以上1質量%未満の範囲であっても、これ再溶解して急冷原料とすれば、磁気特性は等方的ではあるが、比較的高い保磁力が得られ、ボンド磁石としては十分な磁気特性を確保できるのである。しかし、有効希土類元素含有量が−3質量%未満では、急冷材料の磁気特性(特に保磁力)を確保できなくなる懸念が生ずる。また、有効希土類元素含有量が10質量%を超えるものは、非磁性の粒界相成分が増加して残留磁化(及び最大エネルギー積)が低下することにつながる。
【0039】
なお、R−Fe−B系希土類焼結磁石スクラップとして、有効希土類元素含有量が1質量%以下のものを使用する場合、有効希土類元素含有量が使用する希土類焼結磁石スクラップよりも多くなるように、希土類金属成分補充原料により補って合金原料とすることが、急冷材料の保磁力確保の観点においてより望ましい。こうした希土類金属成分補充原料としては、希土類単体金属や、焼結磁石スクラップよりも希土類金属含有量の高い希土類/鉄合金、さらには、有効希土類元素含有量のより多い、別組成の希土類焼結磁石スクラップ等を例示できる。
【0040】
例えば、R−Fe−B系希土類焼結磁石の市販品は、残留磁化、保磁力及び最大エネルギー積が種々のグレードに対応できるよう、希土類元素含有量を異ならせた種々の組成のものが存在する。このうち、残留磁化及び最大エネルギー積を高く確保できるように合金設計されたものは、硬磁性主相(2−14−1相)の含有比率をなるべく高めるため、2−14−1相の化学量論組成に近づくように、希土類元素含有量を減少させた組成(例えば希土類元素含有率が28質量%以上32質量%未満)が用いられる。しかし、このような組成は、希土類元素含有量が少ない分だけ、粉末酸化等による減少分を考慮すれば、有効希土類元素含有量は不足しやすい傾向にある。他方、大きな逆磁界下で使用される磁石や薄型磁石のように、動作点のパーミアンス係数が比較的小さくなる用途や高温用途など、高保磁力が要求されるものについては、希土類元素含有量を増加させた組成(例えば希土類元素含有率が32質量%以上40質量%未満)が使用される。後者は、希土類元素含有量に余裕があるため、多少酸化が進行しても十分な保磁力を確保することができるので、そのスクラップを、希土類金属成分補充原料として有効に活用できる。
【0041】
さて、上記のようにして得られた希土類ボンド磁石粉末は、結合樹脂を配合してコンパウンドとなし、該コンパウンドを予め定められた磁石形状に成型することによりボンド磁石とすることができる。ボンド磁石としては、エポキシやフェノール等の熱硬化性樹脂を添加混合してプレス成形によって製作される圧縮成形磁石、ナイロンやPPS等の熱可塑性樹脂を添加混合して製作される射出成形磁石、およびウレタンや加硫ゴムを混ぜて製作される押し出し成形磁石などがあり、いずれの方式のボンド磁石にも適用可能である。成形後の磁石表面には、通常吹きつけあるいは電着によってエポキシ系の防錆被膜を形成して最終磁石製品とする。
【0042】
加圧成形による場合は、上記磁石粉末に、エポキシ樹脂等の粉末状の熱硬化性樹脂を所定量、例えば1〜5重量%程度混合し、例えばダイ及びパンチを有した金型によるプレス成形等により、例えば5〜10t/cm2程度の加圧力で圧縮成形する。成形後、得られた成形体を所定温度、例えば80〜180℃程度に加熱することにより樹脂を硬化させ、ボンド磁石を得る。なお、樹脂硬化のための加熱は、上記加圧成形中に行ってもよい。この方法によれば、得られるボンド磁石中の磁石粉末の密度を高くでき、小型モータ用の高性能リング磁石等を製造するのに適している。
【0043】
一方、射出成形による場合は、まず、ナイロン樹脂等の熱可塑性樹脂を磁石粉末に対し、圧縮成形の場合よりやや多い量、例えば10〜30重量%程度添加し、これを混練して成形用のコンパウンドを作製する。そして、このコンパウンドを加熱軟化させ、所定の成形機を用いて金型のキャビティに射出成形することにより、所望の形状のボンド磁石を得る。この方法により得られるボンド磁石は、磁石粉末密度がやや低いため、性能は圧縮成形によるものに及ばないが、多様で複雑な形状の磁石を容易に製造できる利点があり、モータスピンドル等の付属部品を上記コンパウンドとともに一体成形(インサート成形)することもできる。例えばリング状ボンド磁石は、ラジアル着磁されてモータロータあるいはステータとして利用される。
【0044】
【実施例】
以下、本発明の効果を確認するために行った実験結果について説明する。
(実施例1)
Nd−Dy−Fe−Co−B系焼結磁石スクラップとして、光ピックアップ用の5mm×6mm×2mm形状の角型磁石につき、亀裂不良品と研磨寸法不良品を用意した。この磁石の磁気特性をBHトレーサーによって測定した結果、BHmaxが336kJ/m3であり一般的な磁石性能を有していた。この角型磁石を超急冷装置内に設置された石英菅に挿入し、50kPaの減圧下で高周波加熱によって溶融させた後、石英菅上部に加圧ガスを導入して石英菅下部の細孔から、溶融合金を回転する銅製ロール上に噴出させて薄片を製作し、本発明試料(1)とした。このとき石英菅下部の孔径は0.6mm、銅ロール径は200mm、周速度は14m/sであった。一方、上記と同様の超急冷法によって製造され、MQI社から市販されているNd−Fe−Co−B系磁石合金薄片(グレード名:MQPB)を入手して、これを比較例試料(1)とした。
【0045】
両者の試料は磁気的に等方性であるため、薄片を150ミクロン以下に粉砕してワックスで固定し、4.8MA/mのパルス磁界を加えて着磁した後に、振動試料型磁力計を使用して磁気特性を測定した。また、X線回折法により構造解析を行った結果を、図5のX線回折パターンに示す。両試料ともに、丸印で示したNd2Fe14B化合物の回折線に適合しており、基本的に同化合物から構成されていることが判明した。図6に磁気ヒステリシス曲線を、表1に代表的な磁気特性値を示す。
【0046】
【表1】
【0047】
以上の結果から明らかなように、本発明試料(1)は比較例試料(1)と比較して残留磁化Brがやや低く保磁力Hcjがやや高いが、代表的な磁気特性値である最大エネルギー積BHmaxは殆ど同レベルであるため、ボンド磁石用の原料磁性粉として充分実用に供しえることがわかった。なお、BrとHcjの値の調整は、急冷条件やNd組成比を若干変えるだけで、充分に調整可能な範囲である。
【0048】
(実施例2)
BHmaxが375kJ/m3のNd−Fe−Co−B系焼結磁石で、VCM向けの扇型形状をしたNiめっき不良品を用意した。この磁石を切断して石英菅に挿入し、実施例1と同条件で急冷薄片を製作して本発明試料(2)とした。得られた薄片の成分組成をICP分析した結果、質量比29.4Nd−2.7Co−2.1Ni−1.1B−残Fe組成であった。図7に本発明試料(2)、および実施例1で用いた比較例試料(1)のヒステリシス曲線を示す。本発明試料(2)は比較例試料(1)とほぼ同レベルの磁気特性が得られていることがわかる。
【0049】
次に、上記各試料粉末に一液性エポキシ樹脂を2.2質量%添加混合し、1GPaの圧力を加えて圧縮成形し、120℃で1時間加熱して樹脂を硬化させて磁石成形体となし、本発明試料(3)と比較例試料(2)とした。磁気特性は、4.8MA/mのパルス磁界を加えて着磁した後に、BHトレーサーを使用して測定した。表2に代表的な磁気特性値を示す。
【0050】
【表2】
【0051】
この結果から、本発明試料(3)のボンド磁石は市販のMQPB粉末を用いて製作したボンド磁石と同等の磁気特性を持つことが明らかである。
【0052】
さらに、上記の各ボンド磁石を60℃、95%の恒温恒湿槽中に120時間放置し、取り出した後の磁石表面の錆発生状況を目視で観察した。その結果、比較例試料(2)は磁石表面上に数点の赤錆の発生が見られたのに対して、本発明試料(3)は、変色跡はあるものの赤錆は認められず、焼結磁石スクラップから急冷磁性粉への再生におけるNi含有効果によって耐食性が向上したと推察される。
【0053】
(実施例3)
BHmaxが366kJ/m3のNd−Fe−B系焼結磁石の、研磨寸法不良品を用意した。別途、99%以上の純度のNi、Al及びCr各金属を秤量して、上記不良品に所定量比加え、実施例1と同条件で急冷薄片を製作して本発明試料(4)〜(9)とした。一方、Nd金属、Fe金属、および20%B−Feを出発原料として、溶解、超急冷して急冷薄片を製作して比較例試料(3)とした。得られた各試料粉末についてICP分析と酸素および炭素分析を行った結果と、振動試料型磁力計による磁気特性の結果を合わせて表3に示す。
【0054】
【表3】
【0055】
この結果より、本発明試料(4)〜(9)は各種の添加元素、および不純物としての酸素と炭素を相当量含んでおり、前記した方法により計算した有効希土類元素含有量がゼロ又は負であるにもかかわらず、比較例試料(3)とほぼ同レベルの磁気特性BHmax及び保磁力が得られていることがわかる。
【0056】
(実施例4)
次に、BHmaxが360kJ/m3のNd−Fe−B系焼結磁石の、Alコーティング不良品に、純度99.9%の電解鉄を所定量比加えて実施例1と同様に超急冷を実施して薄片を製作し、本発明試料(10)〜(14)とした。このとき石英菅下部の孔径は0.5mm、銅ロール径は200mm、周速度は17m/sであった。X線回折結果により、試料内部は硬磁性のNd2Fe14B相と軟磁性のα-Fe相から成っていた。各試料の成分組成と磁気特性の結果を合わせて表4に示す。
【0057】
【表4】
【0058】
この結果より、本発明試料(10)〜(14)は低保磁力で高残留磁化の、いわゆるナノコンポジット型磁石材料の磁気特性を持つことがわかり、高Brの特徴を示した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る希土類ボンド磁石粉末の、製造工程の第一の説明図。
【図2】本発明に係る希土類ボンド磁石粉末の、製造工程の第二の説明図。
【図3】本発明に係る希土類ボンド磁石粉末の、製造工程の第三の説明図。
【図4】本発明に係る希土類ボンド磁石粉末の、製造工程の第四の説明図。
【図5】実施例1の本発明試料(1)、および比較例試料(1)のX線回折パターン。
【図6】実施例1の本発明試料(1)、および比較例試料(1)のヒステリシス曲線。
【図7】実施例2の本発明試料(2)、および比較例試料(1)のヒステリシス曲線。
Claims (16)
- 一軸磁気異方性を有した、希土類元素と遷移金属元素との金属間化合物により硬磁性主相が構成された希土類磁石の、製造不良品ないし廃棄品(以下、両者を総称して希土類磁石スクラップという)を合金原料の一部または全部として用い、該合金原料を溶解して溶湯となし、希土類元素と遷移金属元素との金属間化合物からなる硬磁性主相が平均粒径にて1μm以下に微細粒子化された結晶質組織が得られるように、前記溶湯を急冷して急冷原料となし、当該結晶質急冷原料をそのまま又は粉砕して希土類ボンド磁石用粉末となすことを特徴とする希土類ボンド磁石粉末の製造方法。
- 一軸磁気異方性を有した、希土類元素と遷移金属元素との金属間化合物相により硬磁性主相が構成された希土類磁石の、製造不良品ないし廃棄品(以下、両者を総称して希土類磁石スクラップという)を合金原料の一部または全部として用い、該合金原料を溶解して溶湯となし、非晶質組織が得られるように前記溶湯を急冷して急冷原料となし、希土類元素と遷移金属元素との金属間化合物からなる硬磁性主相が平均粒径にて1μm以下に微細粒子化された結晶質組織が得られるように当該急冷原料を熱処理し、その熱処理後の急冷原料をそのまま又は粉砕して希土類ボンド磁石用粉末となすことを特徴とする希土類ボンド磁石粉末の製造方法。
- 最終的に得るべき希土類ボンド磁石用粉末は前記希土類磁石スクラップと組成の相違するものであり、前記合金原料は、前記希土類磁石スクラップに、該希土類磁石スクラップと前記希土類ボンド磁石用粉末との組成差を解消するための組成調整用原料を配合してなるものである請求項1又は2に記載の希土類ボンド磁石粉末の製造方法。
- 組成の異なる希土類磁石スクラップを組成毎に分別して回収し、各々異なる組成の希土類ボンド磁石用粉末の前記合金原料として用いる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の希土類ボンド磁石粉末の製造方法。
- 組成の異なる希土類磁石スクラップを組成毎に分別して回収し、異なる組成の2種以上の希土類磁石スクラップを配合して前記希土類ボンド磁石用粉末の前記合金原料として用いる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の希土類ボンド磁石粉末の製造方法。
- 前記希土類磁石スクラップは、R−Fe−B系(ただし、RはNdを主成分とする希土類元素)希土類磁石スクラップ又はR’−Co系(ただし、R’はSmを主成分とする希土類元素)希土類磁石スクラップのいずれかであり、前記希土類ボンド磁石用粉末は、R−Fe−B系希土類ボンド磁石粉末又はR’−Co系希土類ボンド磁石粉末のいずれかである請求項1ないし5のいずれか1項に記載の希土類ボンド磁石粉末の製造方法。
- 前記希土類磁石スクラップは、希土類焼結磁石スクラップである請求項6記載の希土類ボンド磁石粉末の製造方法。
- 前記希土類磁石スクラップは、前記硬磁性主相をなす金属間化合物がR2Fe14B(ただし、RはNdを主成分とする希土類元素)の化学量論組成を有し、かつ、前記希土類元素Rを主成分とする粒界相により前記硬磁性主相が焼結結合されたR−Fe−B系希土類焼結磁石スクラップであり、前記希土類ボンド磁石用粉末は、R−Fe−B系希土類ボンド磁石粉末である請求項7記載の希土類ボンド磁石粉末の製造方法。
- 前記R−Fe−B系希土類焼結磁石スクラップは、表面がNiめっき膜により被覆されたものであり、そのNiめっき膜を剥離することなく前記合金原料として使用する請求項8記載の希土類ボンド磁石粉末の製造方法。
- 前記R−Fe−B系希土類焼結磁石スクラップは、表面がAl蒸着膜とそのAl蒸着膜の表面をさらに覆うクロメート皮膜とにより被覆されたものであり、それらAl蒸着膜及びクロメート皮膜とを剥離することなく前記合金原料として使用する請求項8又は9に記載の希土類ボンド磁石粉末の製造方法。
- 前記R−Fe−B系希土類ボンド磁石粉末は、Ni、Al及びCrの合計含有量が0.2〜6質量%とされる請求項9又は10に記載の希土類ボンド磁石粉末の製造方法。
- 前記R−Fe−B系希土類焼結磁石スクラップは、表面が樹脂被覆膜により被覆されたものであり、該樹脂被覆膜を剥離後に前記合金原料として使用する請求項8ないし11のいずれか1項に記載の希土類ボンド磁石粉末の製造方法。
- 前記R−Fe−B系希土類ボンド磁石粉末は、O及びCの合計含有量が0.3〜2質量%の範囲のものとされる請求項1ないし12のいずれか1項に記載の希土類ボンド磁石粉末の製造方法。
- 前記希土類磁石スクラップは、R−Fe−B系(ただし、RはNdを主成分とする希土類元素)希土類ボンド磁石スクラップ又はR’−Co系(ただし、R’はSmを主成分とする希土類元素)希土類ボンド磁石スクラップのいずれかであり、結合樹脂成分を溶剤に溶解することにより除去ないし減少させた後、前記合金原料として使用する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の希土類ボンド磁石粉末の製造方法。
- 請求項1ないし14のいずれか1項の記載の方法により得られた希土類ボンド磁石粉末に結合樹脂を配合してコンパウンドとなし、該コンパウンドを予め定められた磁石形状に成型することによりボンド磁石とすることを特徴とする希土類ボンド磁石の製造方法。
- 請求項1ないし14のいずれか1項の記載の方法により得られた希土類ボンド磁石粉末に結合樹脂を配合してコンパウンドとなし、該コンパウンドを予め定められた磁石形状に成型することにより得られることを特徴とするボンド磁石。
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