JP4718184B2 - 走査方法および装置 - Google Patents

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Description

本発明は、走査方法および装置に関し、詳細には、これら走査方法および装置の走査型ファイバ顕微鏡および走査型ファイバ内視鏡への応用に関する。
既存の走査技術の1つは、光ファイバ先端部の高周波走査を達成するために、共振ミラースキャナやガルバノメータスキャナに代わるコンパクトな装置として、共振カンチレバーを用いている。その高周波走査(X走査)を低速走査(Y走査)と組み合わせて、標準的なラスタ走査パターンを生成する。低速走査は、通常、共振式ではなく、帰線が比較的高速なのこぎり波機能を有することができる。
そのような装置の場合は、走査のX(高速)方向の共振正弦波のスポット運動を機構的検討に含める必要がある。(照射量の光学的制御およびデータ収集のためには)両方向のTVラスタがより好ましいが、低速(Y)方向に限り、一定速度でののこぎり波走査が可能である。図12に示すように、実際的な条件下では、典型的な正方形の画像領域を得るために、実線の曲線で表した、走査領域の約半分がデータ収集に使用できる。これは、実線の曲線の末端で、スポット速度がピーク時の87%に低下するという、単純な幾何学の問題である。走査の点線部分では、スポット速度がその最大値の87%を下回り、この部分は廃棄される。87%という数値は、余弦値の導関数の最大値の87%値に由来する。この値は、ある程度自由に決めてかまわないが、異なる走査パターン同士を比較する際の基準になる値である。ここで87%を選択しているのは、本願発明者らが正弦波の振幅の半分をラスタ走査に用いていて、それがラスタパターンのうちの、速度が最大速度の87%以上である部分に相当するからである。また、この値は、本願発明者らの経験に基づいて、過度のゆがみがない画質として許容範囲内であると見なされる。
既存のシステムでは一般に、Y機構がX偏向システムと縦一列に並んでいて、同等の長さを有している。しかしながら、よりコンパクトなスキャナの要望が高まり、最小限の長さの複合XYスキャナの開発が必要になっている。もし、ファイバが、対称型カンチレバーとして自身でXとYの両方向に偏向できれば、スキャナはよりコンパクトになる。問題は、実際の力に対してしか、共振動作を実現できないことである。そうした理由から、変調円パターンが開発されている。これは、たとえば、米国特許第6294775号明細書(Seibel、Furnessら)で開示されている。
米国特許第6294775号明細書で開示されているシステムでは、ファイバ先端部を、通常は円または楕円を描くように運動させ、領域を順次走査するよう、その半径を変調する。X駆動とY駆動を適切に同調させると、XとYの両方向で有効に共振した円運動を生成できる。ただし、走査する円または楕円の半径を変調すると、走査速度の変動が大きくなり、また、走査範囲の中心が特異点になる。この走査パターンはラスタ走査と大きく異なるため、結果として得られる円パターンは画像処理が必要であり、この点が、標準的なシステムとのインターフェースの問題になる。米国特許第6294775号明細書のシステムで生成できるパターンの1つを、図13に概略的に示す。画像として使用できるのは、実線の曲線で示した走査部分だけである。点線の曲線で示した走査部分は、スポット速度がピーク走査速度の87%を下回る部分であり、この部分は廃棄される。そのため、中央領域の大部分には到達できない。実線の曲線は、スポット速度がピーク時の87%以上である部分を示し、このらせん状走査において半径が最大半径の87%である部分に相当する。
米国特許第6294775号明細書(Seibel、Furnessら)
そこで、第1の広い態様では、本発明は、出口先端部を有する光伝送手段の走査方法を提供し、この方法は、楕円パターンを描くように前記先端部を運動させながら、前記楕円パターンの離心率を変化させることを提供する。
したがって、(楕円パターンの短軸上に中心がある)楕円パターンの一部分は、少なくとも外観上は、ラスタパターンに近くなる。
前記楕円パターンの一の軸の長さを変化させることによって離心率を変化させることが好ましい。前記楕円パターンの短軸の長さを変化させることによって離心率を変化させることがより好ましい。
(長軸の片側の、または長軸をまたぐ)楕円の中央部分は、特にその部分が長軸方向に狭い場合に長方形に近くなるので、楕円パターンの離心率を変化させると、走査パターンは、外観上、ラスタパターンに近づく。たる状のゆがみが多少発生するが、この形のゆがみは、許容できるか、許容できなくても画像処理によって比較的容易に修正できる。いずれにしても、このゆがみは、半径を変調する従来技術の場合より小さい。用途によって、発生するゆがみを許容できるか修正できれば、この楕円を、離心率が最小になる時点で円(すなわち、離心率がゼロの楕円)にすることも可能である。
また、上記で用いている「光」という用語は、あらゆる形の電磁放射を含むことを理解されたい。
離心率を最小値と1の間で繰り返し変化させることが好ましい。離心率を最小値から1まで繰り返し変化させ、その後、前記最小値に戻し、前記部分の中心を前記楕円パターンの中央に位置付けることがより好ましい。
前記楕円パターンの長軸と短軸の比をほぼ2にすることが好ましい。
前記方法は、前記先端部が1回の全走査の間に時計回りと反時計回りの両方向に動くように、前記楕円パターンの短軸を正の極値と負の極値の間で変調することによって前記偏心率を変調することを含むことが好ましい。
前記方法は、前記先端部を、前記楕円パターンの長軸に平行なX駆動と前記楕円パターンの短軸に平行なY駆動とで駆動することと、標準的なラスタディスプレイとインターフェースできるようにX走査に対して一定の位相で同期をとることとを含むことが好ましい。
前記Y駆動は、前記X駆動を遅延させたものを同期的に切り替えることによって導出されることが好ましい。
たとえば、駆動信号を方形波にすれば、あらゆる移相操作を単純な遅延回路で達成できる。
前記光伝送手段は光ファイバであることが好ましい。
本方法は、前記光伝送手段を磁気的に駆動することを含むことが好ましい。本方法は、前記光伝送手段を、前記光伝送手段に取り付けた磁石によって駆動することを含み、前記磁石は、互いに垂直なコイルまたは巻線によって軸方向に磁化され、作用されることがより好ましい。
前記互いに垂直なコイルまたは巻線は、第1の平面において前記磁石の静止位置をはさんで互いに対称に配置された駆動コイルのペアと、前記第1の平面に垂直な第2の平面に配置された別の駆動コイルとを含み、本方法はさらに、
前記第2の平面において前記磁石をはさんで前記別の駆動コイルと対称に配置された検出コイルを用いて前記磁石の位置を検出することと、
前記磁石の前記位置を示す出力信号を前記検出コイルから取得することと、
前記別の駆動コイルへの入力信号を前記出力信号から導出することとを含み、
前記駆動コイルのペアのそれぞれと、前記別の駆動コイルと、前記検出コイルとが、前記静止位置にある前記磁石から等距離にあることがより好ましい。
前記方法は、前記第1の平面にある前記駆動コイルのペアが駆動コイルおよび検出コイルとして動作し、前記第2の平面にある前記別の駆動コイルと前記検出コイルとが駆動コイルのペアとして動作し、それによって前記楕円パターンと垂直にさらなる走査を実施できるように、a)前記第1の平面にある前記駆動コイルのペアの機能と、b)前記第2の平面にある前記別の駆動コイルおよび前記検出コイルの機能とを入れ替えるよう制御することを含むことが好ましい。
一実施形態では、光伝送手段に磁性材料を塗布する。あるいは、光伝送手段を磁性管内部に密着させて配置する。
これらの選択は、共振を起こす周波数と長さとを設計要件に適合させることを可能にする。
第2の広い態様では、本発明は走査装置を提供し、この走査装置は、
出口先端部を有する光伝送手段と、
前記光伝送手段を直交方向に共振駆動する第1および第2の駆動手段とを含み、
前記第1および第2の駆動手段は、楕円パターンを描くように前記先端部を運動させながら、前記楕円パターンの離心率を変化させるよう動作する。
この装置は、前記楕円パターンの一の軸の長さを変化させることによって前記離心率を変化させるよう動作することが好ましい。この装置は、前記楕円パターンの短軸の長さを変化させることによって前記離心率を変化させるよう動作することがより好ましい。
この装置は、前記離心率を最小値と1の間で繰り返し変化させるよう動作することが好ましい。この装置は、前記離心率を最小値から1まで繰り返し変化させ、その後、前記最小値に戻し、前記部分の中心を前記楕円パターンの中央に位置付けるよう動作することがより好ましい。
前記楕円パターンの長軸と短軸の比をほぼ2にすることが好ましい。
前記装置は、前記先端部が1回の全走査の間に時計回りと反時計回りの両方向に動くように、前記楕円パターンの短軸を正の極値と負の極値の間で変調することによって前記偏心率を変調するよう動作することが好ましい。
前記装置は、前記先端部を前記楕円パターンの長軸に平行なX駆動と前記楕円パターンの短軸に平行なY駆動とで駆動し、標準的なラスタディスプレイとインターフェースできるようにX走査に対して一定の位相で同期をとるよう動作することが好ましい。
前記Y駆動は、前記X駆動を遅延させたものを同期的に切り替えることによって導出されることが好ましい。
前記光伝送手段は光ファイバであることが好ましい。
この装置は、前記光伝送手段を駆動する磁気駆動機構を含むことが好ましい。前記磁気駆動機構は、前記光伝送手段に取り付けられた磁石と、互いに垂直なコイルまたは巻線とを含み、前記磁石は、前記互いに垂直なコイルまたは巻線によって軸方向に磁化され、作用されることがより好ましい。
前記互いに垂直なコイルまたは巻線は、第1の平面において前記磁石の静止位置をはさんで互いに対称に配置された駆動コイルのペアと、前記第1の平面に垂直な第2の平面に配置された別の駆動コイルとを含み、前記装置は、前記第2の平面において前記磁石をはさんで前記別の駆動コイルと対称に配置されて前記磁石の位置を検出する検出コイルをさらに含み、前記駆動コイルのペアのそれぞれと、前記別の駆動コイルと、前記検出コイルとが、前記静止位置にある前記磁石から等距離にあり、前記検出コイルが、前記磁石の前記位置を示す出力信号を出力するよう動作し、前記装置が、前記別の駆動コイルへの入力信号を前記出力信号から導出するよう動作することがより好ましい。
前記装置は、前記第1の平面にある前記駆動コイルのペアが駆動コイルおよび検出コイルとして動作し、前記第2の平面にある前記別の駆動コイルと前記検出コイルとが駆動コイルのペアとして動作し、それによって前記楕円パターンと垂直にさらなる走査を実施できるように、a)前記第1の平面にある前記駆動コイルのペアの機能と、b)前記第2の平面にある前記別の駆動コイルおよび前記検出コイルの機能とを入れ替える制御を行うよう動作することが好ましい。
磁石は、適切であればどのような形態でもよい。したがって、一実施形態では、磁性材料を塗布する形で光伝送手段に磁石を設ける。あるいは、磁性管に密着させる形で磁石の内側に光伝送手段を配置する。
第3の広い態様では、本発明は走査装置を提供し、この走査装置は、出口先端部を有する光伝送手段をX方向に駆動するX駆動機構と、出口先端部を有する光伝送手段をY方向に駆動するY駆動機構と、X駆動入力信号を供給するX駆動入力信号発生器と、前記X駆動入力信号から導出した変調信号で変調したY駆動入力信号を供給するY駆動入力信号発生器とを備え、前記出口先端部は、前記X駆動機構と前記Y駆動機構によって同時に駆動されたときに走査パターンを生成する。
したがって、この走査装置では、らせん状パターン、8の字走査パターン、および(円を含む)楕円走査パターンを含む共振型走査パターンおよび非共振型走査パターンを生成できる。
第4の広い態様では、本発明は走査装置を提供し、この走査装置は、出口先端部を有する光伝送手段をX方向に駆動するX駆動機構と、出口先端部を有する光伝送手段をY方向に駆動するY駆動機構と、方形波X駆動入力信号を供給するX駆動入力信号発生器と、のこぎり波信号を発生させ、前記X駆動入力信号から導出した変調信号で前記のこぎり波信号を変調することによって、Y駆動入力信号を供給するY駆動入力信号発生器とを備え、前記出口先端部は、前記X駆動機構と前記Y駆動機構によって同時に駆動されたときに走査パターンを生成する。
以下の特徴は、第3および第4の広い態様の両方において好ましい。
走査パターンは楕円であり、離心率が常に0より大きい(すなわち、走査パターンの包絡線が円ではない)ことが好ましい。
前記Y駆動入力信号発生器は、前記X駆動入力信号を遅延させたものから導出されるトリガ信号に従って繰り返し反転する前記のこぎり波信号を発生させるよう動作することが好ましい。
前記装置は、前記走査パターンの中央部分から画像データを収集するよう動作することが好ましい。前記装置は、出口先端部の速度がピーク時の約87%以上である部分に相当する、前記走査パターンの中央部分から画像データを収集するよう動作することがより好ましい。
本発明は、上記の走査装置を含む光ファイバ内視鏡、光ファイバ顕微鏡、または光ファイバ内視顕微鏡も提供する。
本発明に係る走査方法及び走査装置によれば、よりコンパクトで、かつ、最小限の長さの複合XYスキャナを達成でき、これら走査方法及び走査装置を走査型ファイバ顕微鏡及び走査型ファイバ内視鏡に応用することができる。
本発明をより明確に把握できるようにするために、例示を目的として、添付図面を参照しながら、好ましい実施形態を説明する。
本発明の第1の好ましい実施形態による楕円走査パターン(の開始直後の様子)を図1Aの10に示す。この図(と図1Bおよび1C)の、破線の曲線が、この走査の、データ収集を行わない部分を示し、実線の曲線が、データ収集を行う部分を示す。
この走査は、短軸の2倍の長さの長軸を有する(すなわち、離心率が約0.87である)第1の楕円12をトレースする。
走査は、楕円12の上部中央領域(すなわち、短軸の左側の点14)に到達すると、データ収集がトリガされ、楕円12の中央の右側の、点14と対応する点16までデータ収集を続け、点16でデータ収集を停止する。したがって、データは、楕円12の長半径にほぼ等しい長さの弧にわたって収集される。この弧は多少湾曲しているが、直線であるとして処理してもゆがみはさほど大きくならない。また、この手法で収集した画像であれば、(画像の上側と下側を湾曲させる)そのゆがみを、従来の手段で処理して除去することが可能である。
第1の楕円12は、その下側の帰線区間をトレースすると終了する。非データ収集部分では、通常、光信号を受信しても廃棄するか、データが実際には生成されないように光源をオフにするか暗くすることができる。
その後、走査を続けるが、次の楕円(その最初の部分18を図示している)については、長軸が第1の楕円と同じで、短軸が第1の楕円より小さくなるように(したがって、偏心率が大きくなるように)、Y駆動信号を小さくする。データの収集は、第1の楕円12の点14および16とそれぞれ垂直方向に並ぶ点20および22の間で行う。したがって、結果として得られるデータ収集跡24は、第1のデータ収集跡26を下方にずらしたものであり、曲率が小さくなっている。
同様に走査を続け、図1Bの30に示すように、Y駆動信号を徐々に小さくしていく。最後にはY駆動信号をゼロまたはほぼゼロにする。これによって、本質的に水平な走査32が行われる。次に、Y駆動信号の極性を反転し、大きくし始める。X駆動信号(本質的に、最大振幅が一定の非変調方形波)は、それまでと同じである。それによって、トレースの短軸が大きくなり、次のトレース34が開始される。
ただし、結果として、次からの楕円のトレースは反時計回りの方向になる。これらの各トレースの下側(すなわち、左から右)の部分でデータ収集を行うので、走査全体では、データ収集を左から右に行い、(データ収集を行わない)帰線は右から左である。
最終的には、図1Cに示すような、ラスタ状の全走査40が実施される。この後、(走査の最後の時点で最大振幅になっている)Y駆動信号の極性を元の極性に切り替えて処理を繰り返す。有効な走査領域は、標準的な形式と同様の形状である。主な違いは、Yの値が大きいときに湾曲が大きくなることである。従来技術のらせん状走査(図13を参照)にあった中央の特異点は避けられ、87%のスポット速度ルールの範囲では、ほぼ正方形の画像領域が使用可能である。
前述のとおり、左から右の駆動信号(X駆動信号)は、変調されず、好都合なことにY駆動信号のゲート制御にも利用できる、一定振幅の方形波である。Y駆動信号は、Y成分が低速である標準的なラスタスキャナシステムの信号をベースとするが、この標準的なのこぎり波信号が、前述の楕円運動を生成するために、X駆動信号を適宜遅延させたものでゲート制御される。このY駆動信号を概略的に示したのが、図2の50である。この図から自明であるように、Y駆動信号の包絡線は標準的なのこぎり波の形であるが、短軸が徐々に小さくなって大きくなる連続的な楕円走査を実施するために、Y駆動信号を高速方形波のX駆動信号でゲート制御している。したがって、初期部分52は、前述の(具体的には図1Aで示した)時計回りの走査部分に対応する。最後には、Y駆動信号50を点54で本質的にゼロにして、本質的に直線である走査(図1Bの走査32)が行われるようにする。次にY駆動信号50の極性を切り替え、振幅を、反時計回り部分56の間に最大振幅58まで大きくする。最大振幅58に到達したら、シーケンス全体を再び開始する。次のトレースでは、振幅を同じにして、極性を反転する。これによって、新しい時計回りの走査60が開始される。
上記説明から、この、正の値と負の値を経由する短軸の変調によって、走査の半径を変調する従来方式と異なる、領域の中央に不連続点がない走査が実施されるのは自明であろう。
また、X駆動信号を用いてY駆動信号を変調することのアーティファクトとして、Y駆動信号の各ピークが平坦でなく傾斜したピークになることも理解されよう。これは、楕円走査が多少のゆがみを含むことを意味しており、それは、各トレースの短軸がそのトレースの間に変化しているからである。これは、一般にはさほど重要でない作用であるが、必要であれば、Y駆動信号50を、各最大値が、振幅が徐々に増大または減少する方形波である信号に置き換えることができる。そうすれば、連続する各楕円が完全な楕円に近くなる。ただし、図2のトレースによって実施される近似が、最終的なラスタ走査または画像にとって何らかの有意なゆがみをもたらすとは考えられない。
第2の好ましい実施形態によるY駆動信号を、概略的に、図3の70で示す。この実施形態では、1回の全走査が完了しつつあるときに(すなわち、時計回りのトレース72と反時計回りのトレース74[図2のトレース52および56に対応]が完了した後に)、システムを図1Aに示した元の形態にすぐに戻すことをしない。Y駆動信号70の極性を切り替えて新たな時計回りの走査を開始するのではなく、最大値76から先のY駆動信号を減少させていき、反時計回りのトレース78である新たなシーケンスが実施されるようにする。このためには、直前まで帰線期間であった期間にデータ収集を行う。この期間は、最後の反時計回りのトレースに含まれる期間であり、図1Aに示した第1の時計回りのトレースに似ているが方向が反対である。このように、帰線期間であった期間にデータ収集を行うことにより、反時計回りのトレース78であるシーケンスが実施され、データが収集される。結果として、連続する全ラスタ走査は、(たとえば、図1Cに示した)左から右のデータ収集と、右から左のデータ収集とを交互に行うことが理解されよう。
さらに別の(第3の)好ましい実施形態では、Y走査信号80(図4を参照)が常に一方の極性であって、振幅が減少していく時計回りのトレース82である第1のシーケンスと、それに続く、振幅が増加していく時計回りのトレース84である第2のシーケンスとを含む。この実施形態では、本質的に図1Aに示したようにトレースを進め、本質的に水平なトレースを実施した後は、同じトレースのシーケンスを逆の順序で実施する。この第2のトレースのセットの間のデータ収集を行う期間は、第1のトレースのセット82では帰線期間であった期間である。結果として、第1のトレースのセット82では左から右にデータ収集を行い、第2のトレースのセット84では右から左にデータ収集を行うことになる。
したがって、ユーザの機器や他の要件に応じて、本発明に従うこれらの変形形態や他の変形形態を用いることにより、データの全セットを収集できることが理解されよう。実際は、実施形態によって、ラスタ走査が、図1Cに示した全走査の上半分を本質的に含むことが十分であるか望ましい場合もあれば、下半分を含むことが十分であるか望ましい場合もある。個々のラスタ走査におけるトレースの数を要件に応じて決定できることと、前述の実施形態がその点において例示的なものにすぎないことが理解されよう。
図5は、本発明の第4の好ましい実施形態に従い、前述の実施形態の種々の走査方法を実施するための走査装置の概略回路図である。
この装置は、対称型カンチレバーとしてXとYの両方向に偏向できる光ファイバ90の形で光伝送手段を含む。この光ファイバ90の先端部が、共振動作により、前に詳述した楕円パターンを描く。光ファイバ90は、適切な光源(レーザや発光ダイオードなど)から光ファイバ90の下流に向かって光を供給するが、この図では簡潔さのために光源を省略している。光ファイバ90を含む走査装置は、内視鏡、顕微鏡、内視顕微鏡などの一部を形成できる。
光ファイバ90の前方部分をX駆動コイル92とY駆動コイル94に近接して配置し、これらのコイルを互いに垂直に配置する。光ファイバ90の、コイル92および94に近接する場所に、これらのコイルの作用を受ける磁石を取り付ける。あるいは、光ファイバ90に(たとえば、特定の塗料を含む)磁性材料を塗布して、コイル92および94によって発生する力で光ファイバ90を駆動できるようにする。
光ファイバ90の可動部分の後方端部96に向けて、圧電型X検出器98を配置する。この検出器は、光ファイバ90の偏位に応じた電圧を発生させる。X検出器98の出力は、最終的にはX駆動コイル92に印加されるが、その前に移相器100によって位相調整され、信号処理増幅器102によって増幅される。十分なループ利得があり、移相器100による位相調整が正確に行われれば、結果としての発振により、カンチレバーの光ファイバ90の先端部がX方向に振動する。調整可能な移相器100を含めるのは、発信周波数を機械的共振曲線上に適切に乗せるためと、X検出器98での位相ずれを補償するためである。
増幅器102は、出力を振幅が調整可能な方形波にするための信号処理も実施する。これによって振動の振幅を直接制御できるようになり、また、この方形波は、Y駆動コイル94用のY駆動信号(図2から4を参照)を発生させる際にも役立つ。
Y駆動信号は、前述の楕円運動を実現するのに適した位相を有する。これは、X駆動コイル92の駆動に用いる方形波の調整可能な遅延104によって達成される。この信号を用いて、標準的なYのこぎり波信号106を切り替えることにより、前述し、図2から4で示したような、所望の掃引振幅が得られる。その信号をY駆動コイル94に加える。この回路はさらに、Y駆動信号のオン/オフを切り替えるスイッチ108を含む。
図6は、光ファイバ90の先端部とX駆動コイル92およびY駆動コイル94の端面図(すなわち、図5を右から左に見た図)である。この図では、光ファイバ90のコア110と、X駆動コイル92およびY駆動コイル94が光ファイバ90を駆動できるように光ファイバ90に取り付けた磁石112も示している。磁石を用いると、ファイバ90の磁石112の位置をわずかに調整するだけで、ファイバ90の共振条件を調整できる。磁石112は(磁性塗料の塗布などの他の実施形態と比較して)質量があるので、ファイバと磁石の組み合わせをより大きく重くすれば、駆動コイル92および94を比較的小さくできる。
図7は、本発明の第5の好ましい実施形態に従い、前述の実施形態の種々の走査方法を実施するための、関連電子回路122を含む走査装置120の概略図である。
この実施形態では、走査装置120(この図は真正面から見たものである)は、2つのXソレノイドまたはXコイル126a、bと、2つのYソレノイドまたはYコイル128a、bとを設けた走査機構124、光ファイバ130の形をとる光伝送手段、および軸方向に磁化された永久磁石132を含む。コイル126a、bおよび128a、bをファイバ130の周囲に対称に配置し、磁石132をカラーとしてファイバ130に装着し、接着剤で固定する。磁石132の厳密な位置については、後で図9Aを参照して詳細に説明する。
2つのXコイル126a、bは、それぞれX駆動コイル126aと誘導X検出コイル126bである。2つのYコイル128a、bは、両方とも駆動コイルである。
2つのY駆動コイル128a、bは、直列に連結され、次のように作用するよう駆動される。(a)(図7での)上向きまたは下向きの力を磁石132に加え、したがって、ファイバ130にも同時に加える。(b)(a)によってX検出コイル126bに誘導された信号を打ち消す。
偏向が小さい場合は、2つのYコイル128a、bからのX方向の力が打ち消される。(図5の実施形態のように)Yコイルが1つの場合は、楕円走査パターンの所望の変調を行うことは可能であるが、X走査を行う間のX方向の力成分の影響のために非常に困難である。そこで、2つのYコイル128a、bを正反対に向かい合わせると、X走査に関しては、電気的にも機械的にもバランスがとれる。
Yコイル128a、bの励振は、標準的なYのこぎり波の正負を切り替えて行う。こののこぎり波Y信号134(図8Aに示す)は、画像回路136が供給し、信号反転器138がその信号を負にしたものを供給する。後で詳述するように、スイッチ140を用いて、Yと−Yを切り替える。
Yコイル128a、bが上下に駆動され、それによってY走査が行われると、X検出コイル126bが、磁石132(したがって、ファイバ130)の位置の関数であるX検出信号142(図8Bに示すように外観上は本質的に正弦波)を出力する。X検出信号142は、(楕円走査を可能にするために)位相調整器144で位相調整され、増幅器146に入力される。増幅器146の出力が、X駆動コイル126aのX駆動入力信号148(図8Cに概略的に示す)である。増幅器146の出力電圧には上限があるので、結果として生じる発振帰還ループ150(X検出コイル126b、位相調整器144、および増幅器146を含む)が、最終的にその上限を超えない入力信号148をX駆動コイル126aに供給するよう、制限される。この帰還ループ150は、機械的共振が発生した場合のみ、十分な利得で発振する。したがって、このループは、走査機構124の仕組みと電子回路による位相調整とで決まる周波数で動作する。
X駆動コイル126aへの入力信号148は、高速(X)走査に必要な画像同期を発生させるために用いることができる。それを受けて、画像回路は、画像に必要な走査線数(あるいは同様な意味合いで、秒あたりの画像レート)で決まるレートで低速(Y)走査または掃引を発生させることができる。
前述のとおり、Y駆動信号は、図8Aに示した標準的なYのこぎり波信号134の正負を切り替えることによって得られる。この切り替えはスイッチ140で実施されるが、その制御は、X駆動入力信号148を遅延させて生成した信号によって行われる。X駆動入力信号148が遅延器154に入力され、遅延器154は、ファイバ130の先端部の楕円走査経路の長軸が静止するよう適切に位相調整された切り替え制御信号156(図8Dに示す)を出力する。この切り替え制御信号156は、のこぎり波Y信号134と−YをX駆動入力信号のレートで交互に切り替えるようスイッチ140を制御する。その結果としてスイッチ140から得られる出力信号が、Yコイル128a、bに加えられる最終的なY駆動入力信号158である。このY駆動入力信号158を図8Eに示す。
スイッチ140は(遅延器154を介した)X駆動入力信号148によって最終的に制御されるので、X検出コイル126bを含むX検出器は、XとYの両方の帰還を実現する。したがって、この実施形態ではY検出器は不要である。
X入力駆動信号148は、X同期信号としても用いられ、画像回路136に入力される。画像回路136は、画像に必要な走査線数(あるいは同様な意味合いで、秒あたりの画像レート)で決まるレートでのこぎり波Y信号134を発生させる。
図8Aを参照すると、のこぎり波信号134には2つの部分がある。勾配が正であるトレース領域160と、勾配が負であって、より急である帰線領域162である。前者は、1回の全走査のトレース部分(すなわち、画像データ収集を行う部分)に相当し、後者は、その走査の帰線部分に相当する。帰線部分は一般にデータ収集を行わないので継続時間が短い。原則として帰線部分は可能な限り素早く完了しなければならないが(図2を参照)、この実施形態では、帰線をあまり素早く実施することができない。これは、走査開始位置に対応する位置にファイバ130が戻ったときにファイバ130が「跳ね返り」を起こさないようにするためである。
図8Eに示すように、これらのトレース領域および帰線領域とそれぞれ対応する領域がY駆動入力信号158にある。Y駆動入力信号158において走査の真ん中に対応する点も164で示される。
結果として得られる、Xコイル126a、bとYコイル128a、bで定義された空間内でのファイバ130の走査の包絡線166を図7に示す。ファイバ130の先端部は、駆動コイルより先まで延びているので、一般には、その運動の包絡線が包絡線166より大きくなることが理解されよう。
また、Xコイル126a、bとYコイル128a、bが同一であることから、X軸とY軸を入れ替えることが簡単であることも、当業者であれば理解されよう。電子回路122に適切なスイッチを追加し、一部の回路の複製を少々追加することによって、コイル126a、bがY駆動コイルとして動作し、コイル128a、bがそれぞれX駆動コイルとX検出コイルとして動作するようにできる。その場合、装置120の動作は、X方向とY方向が入れ替わった以外は前述と同様である。従来技術のシステムでは、垂直方向の走査は、走査装置を手動で回転させることによってのみ可能である。可搬機器の場合は、操作者がハンドルを手で回す。これは、場合によって、かなりの器用さが必要であり、一般にはかなり不正確である。図7の走査機構124の対称性により、そのような走査が難なく実施できる。
図7の基本的な走査機構を適切な電子回路で動作させることにより、他の走査パターンも実現可能であることに注意されたい。共振動作をさせたり、楕円走査包絡線に限定したりすることは必要ではない。たとえば、(前述の楕円(円を含む)走査パターンに加えて)らせん状パターンおよび図8の走査パターンを含む、共振型および非共振型の走査パターンを発生させることができる。
図9Aは、内視鏡先端部168の部分断面図である。内視鏡先端部168は、(内径4.45mm、外径4.71mmの)内視鏡先端部外被170の内部に走査機構124を備える。その外被の中に、Y駆動コイル128a、b、ファイバ130、および磁石132の相対的な位置が見える。図に見られるように、ファイバ130の先端部172は、ファイバ130の、Y駆動コイル128aと128bの間にある部分174より大きな軌道で動く。
Xコイル126a、bとYコイル128a、bのそれぞれは、直径が1.45mmでコア径が0.60mmである。
ファイバ130の振動部分の長さは12.5mmで、ファイバの直径は0.125mmである。磁石132は、長さ2mm、直径0.48mmである。ファイバ130のベースから磁石132までの距離は2mmである。ファイバ130上の磁石132の位置を調整することによって、ファイバ130と磁石132を組み合わせたものの共振周波数を、ファイバ130のみの場合とあまり違わないように設定できる。ファイバ130は、そのベース174が内視鏡先端部168の端板176の中央に固定される。端板176(したがって、端板176内に固定されたファイバ130のベース174)の長さは3mmである。
端板176は、ファイバ130のベース174の固定具として動作するもので、ファイバを固定する一方、ファイバの振動に影響を及ぼす可能性もある。そこで、端板176に近接した前方(図では右側)にファイバ130を囲む任意のカラーを設けることが望ましい。このカラーは、ファイバ130を固定する単純な円形開口部を有するだけでもよいが、図9Bの端面図に示すように、X方向に位置合わせした切り欠きまたはスロット178を有するカラー177を設けることもできる。このカラー177は、実際には、2つのD形部分179a、bを有し、その間にファイバ130をはさんで固定する。切り欠きまたはスロット177は、X方向(すなわち、高速走査の方向)の振動を促進し、それによって、Y方向の成分によるバイアスを低減する。
Xコイル126a、bおよびYコイル128a、bのそれぞれは、直径1.3mm、長さ2mmである。
この実施形態について本願発明者らが検証したところ、X駆動入力信号(図8Cを参照)の周波数が611Hzのときに共振が発生した。これは、Y駆動入力信号158(図8Eを参照)の高周波成分についても同じ周波数で共振が発生することを意味している。ファイバ先端部の偏向のピークツーピークは4.0mmであった。また、磁石132を使用しない場合の機構124の共振周波数は642Hzであった。
一般に、共振周波数は、走査機構124のサイズが小さくなるにつれて高くなる。計算によれば、図9Aに示した機構の場合でも、(必要であれば)ファイバ130と磁石132の間に、磁石の長さ全体にわたって付属物を設けることによって、より高い共振周波数が得られる。また、ファイバ130のベース174のすぐ先の領域または磁石132の内側の、ファイバ130のまわりに「カラー」または「細管」を追加してファイバ130の有効径(したがって、ファイバ130の質量)を増やすことによっても、より高い共振周波数が得られる。たとえば、ファイバ130のそれらの部分を有効径で0.250mmまで増やすことができる。さらに、ファイバ130を先端部172に向かって先細にすることによって、より高い共振周波数を得ることができる。この機構の他の機械的特性(磁石の長さや質量など)を調整することによっても、共振周波数のさらなる変更が可能である。
さらに、上記説明での共振周波数は基本共振周波数を指しているが、(本願発明者らが検証したところでは)第1および第2高調波周波数モードでも各種実施形態の走査機構は動作可能であり、より高次のモードでも簡単な調整で動作可能になる。どのケースでも、走査機構は共振状態を保持し、したがって、ジッタの低減と一層の安定化につながる機械的エネルギーを蓄える。
図9Cに示す、この実施形態の代替構成では、磁石132をコイルの先に配置する。これによって、Xコイル126a、bとYコイル128a、bは、磁石132を収容する必要がなくなる。その結果、Y駆動コイル128a、bを互いにより近接させて配置でき(図示していないが、X駆動コイル126a、bについても同様)、外被170の外径を小さくすることができる。この構成によって、直径を細くした内視鏡先端部を備えることができる。
走査機構124の特性を調べるために、さらに様々な検証を実施した。図10Aは、磁石を使用しない場合(実線の曲線180)、長さ2mm、直径0.40mmの磁石を使用した場合(点線の曲線182)、および長さ2mm、直径0.48mmの磁石を使用した場合(破線の曲線184)の、ファイバの長さl(mm)に対する共振周波数f(Hz)をプロットしたものである。それぞれの場合において、ファイバのベースの長さは2mmであり、ファイバの直径は0.125mmであった。
図10Bは、長さ2mm、直径0.48mmの磁石の場合(実線の曲線186)と長さ2mm、直径0.40mmの磁石の場合(点線の曲線188)の、ファイバの長さl(mm)に対する先端部の運動半径R(mm)をプロットしたものである(水平方向のR=9mmの点線とR=10mmの点線で囲まれた領域190は、高速(X)走査を行う、特定の従来技術による音叉型走査機構で得られる先端部の運動範囲を表す)。
図10Cは、長さ2mm、直径0.48mmの磁石の場合(実線の曲線190)と、長さ2mm、直径が0.40mmの磁石の場合(点線の曲線192)の、ファイバの長さl(mm)に対する機械的増幅度(磁石の偏位に対するファイバ先端部の偏位の比として計算したもの)をプロットした図である。
図11は、例えば内視鏡の光学系で利用できる走査領域を比較するために、従来技術の音叉型走査機構で得られるラスタパターンと、図7の走査機構に相当する装置で得られるラスタパターンについて、得られるであろう走査領域を理論的に比較した結果を示したものである。この走査領域は、正弦波直線モデル(すなわち、Xの機械的偏向のピークツーピークの半分と、Yの偏向のピークツーピークによる正方形の領域)における2:1ルールによって設定された走査速度基準で定義されている。このルールは、前に「87%ルール」と呼んだものである。これは、走査速度がピーク時の87%を下回っているときは画像データ収集を行わないというルールである。
図11では、(内径2.75mmに設定された)内視鏡先端部200が、(光ファイバ先端部204が装着された)従来技術の音叉先端部202と、本発明の実施形態の楕円走査される光ファイバ先端部206の両方の動きの範囲を定めている。音叉先端部202については、中央の(静止)位置と動きの極限の4つの位置を含む5つの位置で示した。音叉先端部202の(図の)右上と右下の動きの極限は内視鏡先端部200によって固定されている。ファイバ先端部204の対称走査のために、左側への偏位が右側に比べて多少余裕があり、そのために、音叉先端部202の左上と左下の動きの極限は内視鏡先端部200の領域のいくぶん内側にある。
従来技術の音叉型走査機構の先端部202の場合の結果は、よく知られた2:1長方形内正方形の図になる。すなわち、この装置の機構が(ファイバ先端部204の極限位置で定義される)長方形走査を定義し、その長方形内で、使用可能な正方形の走査領域(破線の正方形208で図示)を光学系が87%速度ルールに基づいて定義する。音叉先端部202のX偏向のピークツーピークは2.0mmであり、Y偏向のピークツーピークは1.0mmであった。したがって、この装置の場合の画像面積(すなわち、正方形208の面積)は1.00mm2である。
本発明の実施形態のファイバ先端部206も内視鏡先端部200に接触し、これによって、動きの範囲が定まる。ファイバ先端部206の偏向のピークツーピークは、本質的に、内視鏡先端部の全内径(より正確には、内視鏡先端部の内径からファイバの外径を引いた長さ)にすることができる。音叉先端部が関与しないので、変調された楕円走査は、従来技術の装置より広い範囲をカバーできる。使用可能な画像領域も大きくなる。ピーク時の87%を上回る走査速度の領域を実線の曲線210で示し、下回る速度の領域を点線の曲線212で示した。
図に見られるように、変調された楕円走査の走査領域は、音叉先端部202に装着されたファイバ先端部204の走査領域より広い。これは、1つには、(従来技術のファイバと音叉先端部の組み合わせに比べて)ファイバだけのサイズがよりコンパクトなためだが、本発明の実施形態のファイバのシリカが、従来技術の音叉先端部の鋼より(たとえ同じ周波数でも)大きな変形に耐えうることも理由の1つである。
当業者であれば、本発明の範囲内の変更を簡単に成し遂げることができよう。たとえば、本発明によれば、離心率または短軸を調整して走査パターンを実現するが、実施形態によっては、動作中に半径も変調することが望ましい場合がある。したがって、本発明は、ここまで本明細書で例示的に説明してきた個々の実施形態に限定されるものではないことを理解されたい。
添付した特許請求の範囲および本明細書での本発明の説明において、文脈上、表現言語または必要な意味合いのために別の意味が必要な場合を除き、語「comprise」またはその派生語(「comprises」や「comprising」など)は、包括的な意味で用いられるものとする。すなわち、明言した特徴の存在を特定するとともに、本発明の種々の実施形態におけるさらなる特徴の存在または追加を除外しないように用いられるものとする。
さらに、本明細書における従来技術への言及は、そのような従来技術が共通一般知識の一部を形成する、または形成したことを意味するものではない。
Aは、本発明の第1の好ましい実施形態による楕円走査が開始される様子を概略的に示した図であり、この図では、走査が時計回りの方向に開始される;Bは、Aの走査がその中点を通過し、反時計回りの方向の走査に移る様子を概略的に示した図である;及びCは、Aの走査の1回のサイクルでのデータを収集する部分の概略図である。 図1Aの走査を実現するために用いるY駆動信号の概略図である。 本発明の第2の好ましい実施形態による走査を実現するために用いるY駆動信号の概略図である。 本発明の第3の好ましい実施形態による走査を実現するために用いるY駆動信号の概略図である。 本発明の第4の好ましい実施形態の走査装置の概略回路図である。 図5の装置のコイル駆動機構を示す図である。 本発明の第5の好ましい実施形態による、関連電子回路を含む、走査装置の概略図である。 Aは、図7の装置の画像回路によって供給されるのこぎり波Y信号の概略図である;Bは、図7の装置の磁石の位置の関数であるX検出信号の概略図である;Cは、図7の装置のX駆動入力信号の概略図である;Dは、図7の装置の切り替え制御信号の概略図である;及びEは、図7の装置のY駆動入力信号の概略図である。 Aは、図7の装置を備えた内視鏡先端部の部分断面図である;Bは、図7の装置の任意の光ファイバ用カラーの端面図である;及びCは、図7の装置の変形形態の装置を備えた内視鏡先端部の部分断面図である。 Aは、図7の装置のファイバ長に対する共振周波数をプロットした図であり、磁石を使用しない場合、長さ2mm、直径0.40mmの磁石を使用した場合、および長さ2mm、直径0.48mmの磁石を使用した場合を示している;Bは、図7の装置のファイバ長に対する先端部の運動半径をプロットした図であり、長さ2mm、直径0.48mmの磁石の場合と、長さ2mm、直径0.40mmの磁石の場合を示している;及びCは、ファイバ長に対する機械的増幅度(磁石の偏位に対するファイバ先端部の偏位の比として計算したもの)をプロットした図であり、長さ2mm、直径0.48mmの磁石の場合と、長さ2mm、直径が0.40mmの磁石の場合を示している。 従来技術の音叉型走査機構で得られるラスタパターンと、図7の装置に相当する装置で得られるラスタパターンについて、得られる走査領域を理論的に比較した結果を示す図である。 従来技術の共振型Xとのこぎり波Yの走査の概略図であり、実線の曲線が画像として使用可能な走査領域を示し、破線の曲線が廃棄対象の走査領域を示している。 従来技術の共振型Xとのこぎり波Yの走査の概略図であり、実線の曲線が画像として使用可能な走査領域を示し、破線の曲線が廃棄対象の走査領域を示している。
符号の説明
92 X駆動コイル(X駆動機構)
94 Y駆動コイル(Y駆動機構)
102 増幅器(X駆動入力信号発生器)
104 遅延器(Y駆動入力信号発生器)

Claims (18)

  1. 出口先端部を有する光伝送手段の走査方法であって、楕円パターンを描くように前記先端部を運動させながら、前記楕円パターンの離心率を変化させることを含む、走査方法。
  2. 前記楕円パターンの一の軸の長さを変化させることによって前記離心率を変化させることを含む、請求項1記載の走査方法。
  3. 前記離心率を最小値と1の間で繰り返し変化させることを含む、請求項1記載の走査方法。
  4. 前記離心率を最小値から1まで繰り返し変化させ、その後、前記最小値に戻し、前記部分の中心を前記楕円パターンの中央に位置付けることを含む、請求項1記載の走査方法。
  5. 前記先端部が1回の全走査の間に時計回りと反時計回りの両方向に動くように、前記楕円パターンの短軸を正の極値と負の極値の間で変調することによって前記離心率を変調することを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の走査方法。
  6. 前記先端部を、前記楕円パターンの長軸に平行なX駆動と前記楕円パターンの短軸に平行なY駆動とで駆動することと、標準的なラスタディスプレイとインターフェースできるようにX走査に対して一定の位相で同期をとることとを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の走査方法。
  7. 前記光伝送手段を磁気的に駆動することを含む、請求項1から6のいずれか一項のいずれか一項に記載の走査方法。
  8. 前記光伝送手段に磁性材料を塗布するか、前記光伝送手段を磁性管内部に密着させて配置する、請求項7記載の走査方法。
  9. 出口先端部を有する光伝送手段と、
    前記光伝送手段を直交方向に共振駆動する第1および第2の駆動手段とを備え、
    前記第1および第2の駆動手段が、楕円パターンを描くように前記先端部を運動させながら、前記楕円パターンの離心率を変化させるよう動作する走査装置。
  10. 前記楕円パターンの一の軸の長さを変化させることによって前記離心率を変化させるよう動作する、請求項9記載の走査装置。
  11. 前記離心率を最小値と1の間で繰り返し変化させるよう動作する、請求項9記載の走査装置。
  12. 前記離心率を最小値から1まで繰り返し変化させ、その後、前記最小値に戻し、前記部分の中心を前記楕円パターンの中央に位置付けるよう動作する、請求項9記載の走査装置。
  13. 前記先端部が1回の全走査の間に時計回りと反時計回りの両方向に動くように、前記楕円パターンの短軸を正の極値と負の極値の間で変調することによって前記離心率を変調するよう動作する、請求項9から12のいずれか一項に記載の走査装置。
  14. 前記先端部を前記楕円パターンの長軸に平行なX駆動と前記楕円パターンの短軸に平行なY駆動とで駆動し、標準的なラスタディスプレイとインターフェースできるようにX走査に対して一定の位相で同期をとるよう動作する、請求項9から13のいずれか一項に記載の走査装置。
  15. 前記光伝送手段を駆動する磁気駆動機構を含む、請求項9から14のいずれか一項に記載の走査装置。
  16. 前記磁気駆動機構が、前記光伝送手段に取り付けられた磁石と、互いに垂直なコイルまたは巻線とを含み、前記磁石が、前記互いに垂直なコイルまたは巻線によって軸方向に磁化され、作用される、請求項15記載の走査装置。
  17. 請求項9から16のいずれか一項に記載の走査装置を含む光ファイバ内視鏡、光ファイバ顕微鏡、または光ファイバ内視顕微鏡。
  18. 請求項9から16のいずれか一項に記載の走査装置を含む光ファイバ共焦点内視鏡、光ファイバ共焦点顕微鏡、または光ファイバ共焦点内視顕微鏡。
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