JP4717264B2 - 潤滑油用粘度指数向上剤および潤滑油組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、分子量分布が極めて狭いオレフィン重合体からなる潤滑油用粘度指数剤および該粘度指数向上剤を含むせん断安定性が向上した潤滑油組成物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
石油製品は一般に温度が変わると粘度が大きく変化する、いわゆる粘度の温度依存性を有している。たとえば自動車等に用いられる潤滑油等では粘度の温度依存性が小さいことが好ましい。そこで潤滑油には、粘度の温度依存性を小さくする目的で、潤滑油基材に可溶な、ある種のポリマーが粘度指数向上剤として用いられており、近年では、このような粘度指数向上剤としてエチレン・α-オレフィン共重合体が広く用いられている。
【0003】
また、このような潤滑油組成物はせん断力がかかる部分に用いられるため、せん断安定性に優れた品質が要求される。一般にせん断安定性を良くするためには、分子量の低いポリマーが粘度指数向上剤が用いられるが、分子量が低くなると潤滑油として必要な粘度を得るために粘度指数向上剤の添加量を多くする必要が生じ、経済性が悪化する。また潤滑油の経済性を良くするために粘度指数向上剤の分子量を高くして添加量を減らすと、せん断安定性が悪化する。
【0004】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術における問題点を解決するためになされたものであって、せん断安定性に優れ、経済性の良好が潤滑油組成物を与えるような粘度指数向上剤および該粘度指数向上剤を含む潤滑油組成物を提供することを目的としている。
【0005】
【発明の概要】
本発明に係る潤滑油用粘度指数向上剤は、炭素原子数2〜20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンの重合体であって、数平均分子量が20,000〜2,000,000で、Mw/Mn(Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)が1.5以下であるオレフィン重合体からなることを特徴としている。
【0006】
本発明では、上記オレフィン重合体が、エチレンと炭素原子数が3〜20のα-オレフィンとの共重合体であって、エチレン含量が30〜90モル%の範囲にあることが好ましく、この場合上記炭素原子数が3〜20のα-オレフィンがプロピレンであることが好ましい。
また本発明では、上記オレフィン重合体が炭素原子数3〜20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンの重合体であることが好ましく、この場合該オレフィン重合体の融点が80℃以下であることが好ましい。
【0007】
本発明に係る潤滑油用粘度指数向上剤は、上記オレフィン重合体が、下記一般式(I)で表される遷移金属化合物であって、下記一般式(I)中のXの1つをn-プロピル基に置換したカチオン錯体について密度汎関数法によって求めたβ-アゴスティック構造において、中心金属Mと直接結合を持たない最近接のヘテロ原子とβ位の水素との距離が3.0Å以下かつ静電エネルギーが−10kJ/mol以下である遷移金属化合物からなるオレフィン重合触媒の存在下に、炭素原子数2〜20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種を重合して製造されるものであることが好ましい。
【0008】
mMXn …(I)
(式中、Mは周期表第3〜11族から選ばれる遷移金属原子を示し、
mは、1〜5の整数を示し、
nはMの価数を満たす数であり、
Lは中心金属Mに配位する配位子であって、中心金属Mに直接結合を持たないヘテロ原子を有する配位子であり、
Xは酸素原子、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)
本発明では、上記一般式(I)で表される遷移金属化合物が、下記一般式(II-a)または(II-b)で表される遷移金属化合物であることが好ましい。
【0009】
【化4】
Figure 0004717264
【0010】
(式中、M1は周期表第3〜11族から選ばれる遷移金属原子を示し、
mは、1〜5の整数を示し、
Qは窒素原子または置換基R2を有する炭素原子を示し、
Aは酸素原子、イオウ原子もしくはセレン原子、または置換基R5を有する窒素原子を示し、
1は、1個以上のヘテロ原子を有する炭化水素基またはヘテロ原子含有基を1個以上有する炭化水素基を示し、
2〜R5は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示し、これらのうち二個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、mが2以上のときはR1同士、R2同士、R3同士、R4同士、R5同士は互いに同一でも異なっていてもよく、いずれか1つの配位子に含まれるR2〜R5のうち1個の基と、他の配位子に含まれるR2〜R5のうち1個の基とが連結されていてもよく、
nはMの価数を満たす数であり、
Xは酸素原子、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)
【0011】
【化5】
Figure 0004717264
【0012】
(式中、M1は周期表第3〜11族の遷移金属原子を示し、
mは、1〜5の整数を示し、
Yは窒素原子またはリン原子を示し、
Uは置換基R6を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、
Qは置換基R7を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、
Sは置換基R8を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、
Tは置換基R9を有する炭素原子、窒素原子またはリン原子を示し、
1は、1個以上のヘテロ原子を有する炭化水素基またはヘテロ原子含有基を1個以上有する炭化水素基を示し、
6〜R9は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示し、これらのうち2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、mが2以上のときはR1同士、R2同士、R3同士、R4同士、R5同士は互いに同一でも異なっていてもよく、いずれか1つの配位子に含まれるR6〜R9のうち1個の基と、他の配位子に含まれるR6〜R9のうち1個の基とが連結されていてもよく、
nはM1の価数を満たす数であり、
Xは酸素原子、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)。
【0013】
本発明では、上記一般式(II-a)または(II-b)で表される遷移金属化合物が、上記一般式(II-a)または(II-b)において、R1がヘテロ原子およびヘテロ原子含有基から選ばれる少なくとも1種の原子もしくは置換基を有するフェニル基、フェニル基以外の芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基または脂環族炭化水素基であって、R1がフェニル基の場合、窒素原子に結合した炭素原子を1位としたときに、2位および6位の少なくとも1箇所にヘテロ原子およびヘテロ原子含有基から選ばれる少なくとも1種の原子もしくは置換基を有しているか、または、3位、4位および5位に、フッ素原子を除くヘテロ原子、炭素原子を1個およびフッ素原子を2個以内含有するフッ素含有基、炭素原子を2個以上含有するフッ素含有基およびフッ素原子を除くヘテロ原子を有するヘテロ原子含有基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有する化合物であることが好ましい。
【0014】
また本発明では、上記一般式(I)で表される遷移金属化合物が、下記一般式(III)で表される遷移金属化合物であることも好ましい。
【0015】
【化6】
Figure 0004717264
【0016】
(式中、M1は、周期表第4〜5族から選ばれる遷移金属原子を示し、
10は、ヘテロ原子およびヘテロ原子含有基から選ばれる少なくとも1種の原子もしくは置換基を有するフェニル基、フェニル基以外の芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基または脂環族炭化水素基を示し、R10がフェニル基の場合、窒素原子に結合した炭素原子を1位としたときに、2位および6位の少なくとも1箇所にヘテロ原子およびヘテロ原子含有基から選ばれる少なくとも1種の原子もしくは置換基を有しているか、または、3位、4位および5位に、フッ素原子を除くヘテロ原子、炭素原子を1個およびフッ素原子を2個以内含有するフッ素含有基、炭素原子を2個以上含有するフッ素含有基およびフッ素原子を除くヘテロ原子を有するヘテロ原子含有基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有しており、
11〜R14は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン含有基、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、酸素含有基、窒素含有基またはイオウ含有基を示し、
15は、ハロゲン原子、ハロゲン含有基、炭化水素基または炭化水素置換シリル基を示し、
nは、M1の価数を満たす数であり、
Xは、酸素原子、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示し、Xで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよく、またnが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよい。)。
【0017】
本発明に係る潤滑油組成物は、上記潤滑油用粘度指数向上剤と、潤滑油基材と、必要に応じて流動点降下剤とを含むことを特徴としている。
【0018】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る潤滑油用粘度指数向上剤および潤滑油組成物について具体的に説明する。
なお、本明細書において「重合」という語は、単独重合だけでなく、共重合をも包含した意味で用いられることがあり、「重合体」という語は、単独重合体だけでなく、共重合体をも包含した意味で用いられることがある。
【0019】
潤滑油用粘度指数向上剤
本発明に係る潤滑油用粘度指数向上剤は、炭素原子数2〜20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンの重合体、すなわち単独重合体またはランダム共重合体であって、数平均分子量(Mn)およびMw/Mnが特定の範囲にあるオレフィン重合体からなる。
【0020】
ここで炭素原子数2〜20のα-オレフィンとして具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセンなどが挙げられる。
【0021】
これらのうちでもエチレンと炭素原子数3〜20のα-オレフィンとの組み合わせが好ましく、特にエチレンとプロピレンとの組み合わせまたはエチレンとプロピレンと炭素原子数4〜20のα-オレフィンとの組み合わせが好適である。
なお、オレフィン重合体には本発明の目的を損なわない範囲で、他のモノマーが共重合されていてもよいが、ポリエン化合物は共重合成分として含まないことが好ましい。ポリエン化合物を共重合成分として含まない場合、共重合体は、耐熱性に優れており、特に酸化、着色などがなく、さらには潤滑油に配合した場合の潤滑性能の点で特に優れている。
【0022】
本発明に係る潤滑油用粘度指数向上剤として用いられるオレフィン重合体は、数平均分子量(Mn)が20,000〜2,000,000、好ましくは30,000〜1,000,000、より好ましくは40,000〜500,000の範囲にあることが望ましい。
オレフィン重合体の数平均分子量が上記の範囲内にあると、オレフィン重合体を潤滑油用粘度指数向上剤として添加するときの添加量が少なくても充分なせん断安定性を与える。
【0023】
なお、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定は、温度:140℃、溶媒:オルトジクロロベンゼンの条件下で行われる。
本発明に係る潤滑油用粘度指数向上剤として用いられるオレフィン重合体は、分子量分布を示す指標であるMw/Mn(Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)が1.5以下、好ましくは1.4以下、より好ましくは1.3以下であることが望ましい。
【0024】
オレフィン重合体のMw/Mnが1.5以下であると、オレフィン重合体の分子量が高くてもせん断安定性に優れる。
本発明に係る潤滑油用粘度指数向上剤として用いられるオレフィン重合体は、エチレンと炭素原子数3〜20のα-オレフィンとの共重合体であることが好ましく、エチレンとプロピレンとの共重合体であることがより好ましい。
【0025】
オレフィン重合体が、エチレンと炭素原子数3〜20のα-オレフィンとの共重合体である場合、エチレン含量は30〜90モル%、好ましくは40〜85モル%、より好ましくは45〜82モル%の範囲にあることが望ましい。
エチレン含量が上記の範囲内にあると、潤滑油基剤との相溶性が良好で剪断安定性が良好である。
【0026】
また本発明に係る潤滑油用粘度指数向上剤として用いられるオレフィン重合体は、炭素原子数3〜20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンの重合体であることも好ましい。
炭素原子数3〜20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンの重合体としては、ata-ポリプロピレン、syn-ポリプロピレン、ポリブテン、ポリヘキセン、ポリオクテン、ポリデセン、プロピレン・ブテン共重合体、プロピレン・オクテン共重合体などが挙げられる。
【0027】
炭素原子数3〜20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンの重合体が、2種以上のα-オレフィンからなる共重合体である場合、該共重合体を構成する各α-オレフィン単位の含有割合は特に限定されないが、そのうち1種のα-オレフィンの含有量は好ましくは1〜99モル%、より好ましくは50〜99モル%、特に好ましくは80〜99モル%である。
【0028】
オレフィン重合体が、炭素原子数3〜20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンの共重合体である場合、オレフィン重合体の融点(Tm)は、示差走査型熱量計(DSC)による測定で、80℃以下、好ましくは70℃以下であることが好ましい。炭素原子数3〜20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンの共重合体の融点が上記範囲内にあると、低温での貯蔵安定性に優れるため好適である。
【0029】
本発明に係るオレフィン重合体が、特にエチレンとプロピレンとの共重合体である場合、3級炭素と3級炭素に挟まれたメチレンシーケンスが1個である構造を含有していることが好ましい。すなわちαα炭素を含有することが好ましい。このような構造はNMRで確認することができる。
また、本発明のオレフィン重合体が、特にエチレンと1-ブテンの共重合体である場合、α-オレフィン部分に立体規則性があることが好ましく、シンジオタクチックまたはアイソタクティック構造をとっていることが好ましい。このような立体規則性があることにより、剪断安定性等の性能が向上する。立体規則性についてはNMRで確認することができる。
【0030】
なお本発明のオレフィン重合体が、エチレン・α-オレフィン共重合体、特にエチレン・1-ブテン共重合体である場合において、シンジオタクティック構造であるとは、α-オレフィンによって構成されるrr構造が50%以上であることをいう。またアイソタクティック構造であるとは、α-オレフィンによって構成されるmm構造が50%以上であることをいう。
【0031】
(オレフィン重合体の製法)
本発明に係る潤滑油用粘度指数向上剤として使用されるオレフィン重合体は、下記遷移金属化合物(A)からなるオレフィン重合用触媒、
好ましくは、
(A)下記遷移金属化合物と、
(B)(B-1)有機金属化合物、
(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(B-3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物
から選ばれる少なくとも1種の化合物と
からなるオレフィン重合触媒の存在下に、炭素原子数2〜20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンと、必要に応じて他のモノマーとをオレフィン重合触媒の存在下に共重合させることにより得ることができる。
【0032】
((A)遷移金属化合物)
本発明で用いられる遷移金属化合物(A)は、下記一般式(I)で表され、Xをnプロピル基に置換したカチオン錯体を密度汎関数法によって求めたβ-アゴスティック構造において、中心金属と直接結合を持たない最近接のヘテロ原子(Z)とβ位の水素との距離(r値)が3.0Å以下、かつ静電エネルギーが−10kJ/mol以下であることを特徴とする化合物である。
【0033】
mMXn …(I)
一般式(I)中、Mは周期表第3〜11族から選ばれる遷移金属原子を示し、好ましくは第4〜5族から選ばれる遷移金属原子であり、より好ましくは4族の遷移金属原子であり、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウムであり、特に好ましくはチタンである。
【0034】
mは1〜6の整数を示す。
Lは中心金属Mに配位する配位子であって、中心金属Mとの結合を持たないヘテロ原子(Z)を少なくとも1種有する有機または無機配位子である。
具体的な配位子骨格として、シクロペンタジエニル骨格、アセチルアセトナート骨格、フェノキシ骨格、アミド骨格、イミド骨格や後述の一般式(II-a)、(II-b)または(III)で表される遷移金属化合物を形成する配位子骨格が挙げられる。
【0035】
ここで、密度汎関数法とは、プログラムADF2000.01(開発元:SCM社(オランダ)入手方法:SCM社とライセンス契約を結んだ後、SCM社ホームページ(html://www.scm.com)からダウンロード)を使用しBLYP法を用いた計算を指す。基底関数としてはSlater型軌道であり、構造に関しては、中心金属にはTriple zeta型、その他の原子にはDouble zeta型を用いる。但し、静電エネルギー評価時には、その他の原子に、Double zeta型に分極関数を加えたものを用いる。この基底関数は、構造計算で得られた最適構造での1点計算にも用いる。また、構造計算以外では、パウリの相対論的ポテンシャルの補正を行う。静電エネルギーとは、β位の水素と最近接へテロ原子間の静電エネルギーを指す。より具体的には、これら2原子に対して、錯体計算で得られた電荷を割り当てて求めた電子状態に基づく原子間静電相互作用である。ここでの電荷とは、錯体計算(構造計算後、求まったβ-アゴスティック最適構造での1点計算)で得られた、これら2原子のs、p、d軌道の各電子ポピュレーションである。
【0036】
なお一般式(II-a)、(II-b)または(III)で表される遷移金属化合物を形成する配位子骨格とは、それぞれの配位子骨格が後述の一般式(II-a)においてR1が炭化水素基であり、R3およびR4のいずれかに後述のヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を有する配位子骨格、すなわちR1、R3およびR4のうち少なくとも1つが後述のヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を有するものである場合も含み、後述の一般式(II-b)においてR1が炭化水素基であり、R6、R7、R8およびR9のいずれかに後述のヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を有する配位子骨格、すなわちR1、R6、R7、R8およびR9のうち少なくとも1つが後述のヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を有するものである場合も含み、後述の一般式(III)においてR10が炭化水素基であり、R11、R12、R13、R14およびR15のいずれかに後述のヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を有する配位子骨格、すなわちR11、R12、R13、R14およびR15のうち少なくとも1つが後述のヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を有するものである場合も含む。
【0037】
ここでヘテロ原子とは、炭素原子および水素原子以外の非金属原子であり、具体的にはハロゲン、窒素、酸素、リン、イオウ、セレン原子などが挙げられる。
nはMの価数を満たす数である。
Xは酸素原子、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示す。なお、Xで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
【0038】
またnが2以上の場合には、Xで示される複数の基は互いに同一であっても、異なっていてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
炭化水素基として具体的には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシルなどのアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜30のシクロアルキル基;ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアルケニル基;ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基;フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、ナフチル、メチルナフチル、アントリル、フェナントリルなどのアリール基などが挙げられる。また、これらの炭化水素基には、ハロゲン化炭化水素、具体的には炭素原子数1〜20の炭化水素基の少なくとも一つの水素がハロゲンに置換した基も含まれる。
【0039】
酸素含有基は、たとえば基中に酸素原子を1〜5個含有する基であり、後述するようなヘテロ環式化合物残基は含まれない。また、窒素原子、イオウ原子、リン原子、ハロゲン原子またはケイ素原子を含み、かつこれらの原子と酸素原子とが直接結合している基も酸素含有基には含まれない。酸素含有基として具体的には、ヒドロキシ基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどのアルコキシ基;フェノキシ、メチルフェノキシ、ジメチルフェノキシ、ナフトキシなどのアリーロキシ基;フェニルメトキシ、フェニルエトキシなどのアリールアルコキシ基;アセトキシ基;カルボニル基などが挙げられる。酸素含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数は1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。
【0040】
イオウ含有基は、たとえば基中にイオウ原子を1〜5個含有する基であり、後述するようなヘテロ環式化合物残基は含まれない。イオウ含有基としては、具体的には、メチルスルフォネート、トリフルオロメタンスルフォネート、フェニルスルフォネート、ベンジルスルフォネート、p-トルエンスルフォネート、トリメチルベンゼンスルフォネート、トリイソブチルベンゼンスルフォネート、p-クロルベンゼンスルフォネート、ペンタフルオロベンゼンスルフォネートなどのスルフォネート基;メチルスルフィネート、フェニルスルフィネート、ベンジルスルフィネート、p-トルエンスルフィネート、トリメチルベンゼンスルフィネート、ペンタフルオロベンゼンスルフィネートなどのスルフィネート基;アルキルチオ基;アリールチオ基などが挙げられる。イオウ含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数は1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。
【0041】
窒素含有基は、基中に窒素原子を1〜5個含有する基であり、後述するようなヘテロ環式化合物残基は含まれない。窒素含有基として具体的には、具体的には、アミノ基;メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノなどのアルキルアミノ基;フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ、ジナフチルアミノ、メチルフェニルアミノなどのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基などが挙げられる。
【0042】
ホウ素含有基は、たとえば基中にホウ素原子を1〜5個含有する基であり、上記ヘテロ環式化合物残基は含まれない。ホウ素含有基として具体的には、BR4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子などを示す)が挙げられる。
アルミニウム含有基は、基中にアルミニウム原子を1〜5個含有する基である。アルミニウム含有基として具体的には、AlR4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子などを示す)が挙げられる。
【0043】
リン含有基は、たとえば基中にリン原子を1〜5個含有する基であり、上記ヘテロ環式化合物残基は含まれない。リン含有基として具体的には、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィンなどのトリアルキルホスフィン基;トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィンなどのトリアリールホスフィン基;メチルホスファイト、エチルホスファイト、フェニルホスファイトなどのホスファイト基(ホスフィド基);ホスホン酸基;ホスフィン酸基などが挙げられる。
【0044】
ハロゲン含有基として具体的には、PF6、BF4などのフッ素含有基、ClO4、SbCl6などの塩素含有基、IO4などのヨウ素含有基が挙げられる。
ヘテロ環式化合物残基としては、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジンなどの含窒素化合物、フラン、ピランなどの含酸素化合物、チオフェンなどの含イオウ化合物などの残基、およびこれらのヘテロ環式化合物残基に炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基、アルコキシ基などの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。
【0045】
ケイ素含有基は、たとえば基中にケイ素原子を1〜5個含有する基である。ケイ素含有基として具体的には、フェニルシリル、ジフェニルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリシクロヘキシルシリル、トリフェニルシリル、メチルジフェニルシリル、トリトリルシリル、トリナフチルシリルなどの炭化水素置換シリル基;トリメチルシリルエーテルなどの炭化水素置換シリルエーテル基;トリメチルシリルメチルなどのケイ素置換アルキル基;トリメチルシリルフェニルなどのケイ素置換アリール基などが挙げられる。なおケイ素含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数は1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。
【0046】
ゲルマニウム含有基として具体的には、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した基が挙げられる。
スズ含有基として具体的には、前記ケイ素含有基のケイ素をスズに置換した基が挙げられる。
このような上記一般式(I)で表される遷移金属化合物として具体的には、下記一般式(II-a)、(II-b)または(III)で表される遷移金属化合物が挙げられる。
【0047】
【化7】
Figure 0004717264
【0048】
(なお、N……M1は、一般的には配位していることを示すが、本発明においては配位していてもしていなくてもよい。)
一般式(II-a)中、M1は周期表第3〜11族から選ばれる遷移金属原子を示し、好ましくは4〜5族の遷移金属原子であり、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタルなどであり、より好ましくは4族の遷移金属原子であり、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウムであり、より好ましくはチタンである。
【0049】
Qは窒素原子または置換基R2を有する炭素原子(−C(R2)=)を示す。
Aは酸素原子、イオウ原子もしくはセレン原子、または置換基R5を有する窒素原子(−N(R5)−)を示す。
1は少なくとも1個のヘテロ原子を有する炭化水素基またはヘテロ原子含有基を少なくとも1個有する炭化水素基である。
【0050】
ヘテロ原子としては、ハロゲン、窒素、酸素、リン、イオウ、セレン原子などが挙げられる。ヘテロ原子含有基は炭素原子および水素原子以外の非金属原子を含む基であり、具体的には酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ハロゲン原子含有基、ヘテロ環式化合物残基などが挙げられる。
酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、リン含有基およびヘテロ環式化合物残基としては、前記一般式(I)中のXと同様のものが挙げられる。
【0051】
ハロゲン含有基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシルなどのアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜30のシクロアルキル基;ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアルケニル基;ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基;フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニリル、ナフチル、メチルナフチル、アントリル、フェナントリルなどのアリール基などの炭素原子数1〜30、好ましくは炭素原子数1〜20の炭化水素基の少なくとも1つの水素がハロゲンに置換した基が挙げられ、具体的にはたとえばトリフルオロメチル、パーフルオロエチル、ペンタフルオロフェニル、パーフルオロヘキシル、トリクロロメチル、パークロロエチル、ペンタクロロフェニル、パークロロヘキシルなどが挙げられる。
【0052】
1としては、炭素原子数1〜30のハロゲン原子含有炭化水素基が好ましく、炭素原子数1〜30のフッ素含有炭化水素基が特に好ましい。
1として具体的には、
トリフルオロメチル、パーフルオロエチル、パーフルオロプロピル、パーフルオロブチル、パーフルオロペンチル、パーフルオロヘキシル、パーフルオロヘプチル、パーフルオロオクチル、パーフルオロデシル、1H,1H-パーフルオロプロピル、1H,1H-パーフルオロブチル、1H,1H-パーフルオロペンチル、1H,1H-パーフルオロヘキシル、1H,1H-パーフルオロヘプチル、1H,1H-パーフルオロオクチル、1H,1H-パーフルオロデシル、パーフルオロシクロヘキシル、トリフルオロメチルシクロヘキシル、ビス(トリフルオロメチル)シクロヘキシルトリフルオロメチルフルオロシクロヘキシル、モノフルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、テトラフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、(トリフルオロメチル)ペンタフルオロフェニル、(トリフルオロメチル)フルオロフェニル、トリフルオロメチルフェニル、ビス(トリフルオロメチル)フェニル、トリス(トリフルオロメチル)フェニル、テトラキス(トリフルオロメチル)フェニル、ペンタキス(トリフルオロメチル)フェニル、パーフルオロエチルフェニル、ビス(パーフルオロエチル)フェニル、パーフルオロプロピルフェニル、パーフルオロブチルフェニル、パーフルオロペンチルフェニル、パーフルオロヘキシルフェニル、ビス(パーフルオロヘキシル)フェニル、パーフルオロナフチル、パーフルオロフェナントリル、パーフルオロアントリル、(トリフルオロメチル)テトラフルオロフェニルなどが挙げられる。
【0053】
2〜R5は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示す。R2〜R5は、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。
【0054】
2〜R5が示すホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン原子、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基としては、上記一般式(I)中のXで例示したものと同様のものが挙げられる。
またR2〜R5が示すハロゲン含有基としては、上記一般式(II-a)のR1で例示したものと同様のものが挙げられる。
【0055】
2〜R5が示す炭化水素基としては、たとえば炭素原子数1〜30のものが挙げられ。具体的には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ネオペンチル、n-ヘキシルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル、アリル、イソプロペニルなどの炭素原子数2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;エチニル、プロパルギルなど炭素原子数2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルキニル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルなどの炭素原子数3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基;シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニルなどの炭素原子数5〜30の環状不飽和炭化水素基;フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニリル、ターフェニリル、フェナントリル、アントリルなどの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;トリル、iso-プロピルフェニル、t-ブチルフェニル、ジメチルフェニル、ジ-t-ブチルフェニルなどのアルキル置換アリール基などが挙げられる。
【0056】
また、上記炭化水素基は、他の炭化水素基で置換されていてもよく、たとえば、ベンジル、クミルなどのアリール基置換アルキル基などが挙げられる。
2〜R5の炭化水素置換シリル基としては、たとえば炭素原子数の合計が1〜30の基が挙げられる。具体的には、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチル-t-ブチルシリル、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリルなどが挙げられる。これらの中では、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルフェニルシリル、トリフェニルシリルなどが好ましい。特にトリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリルが好ましい。
【0057】
2〜R5が示す酸素含有基としては、上記一般式(I)のXで例示したものと同様のものが挙げられる。
2〜R5が示す窒素含有基としては、上記一般式(I)のXで例示したものと同様のものが挙げられる。
2〜R5が示すイオウ含有基としては、上記一般式(I)のXで例示したものと同様のものが挙げられる。
【0058】
2〜R5としては水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、ハロゲン含有基であることが好ましく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、ハロゲン含有基であることがより好ましい。
2〜R5が示すハロゲン原子およびハロゲン含有基としては、上記一般式(II-a)中のR1と同様のものが挙げられる。
【0059】
nは、M1の価数を満たす数であり、具体的には2〜4の整数であり、好ましくは2である。
Xは、酸素原子、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示し、具体的には上記一般式(I)中のXと同様の原子または基が挙げられる。
【0060】
なお、nが2以上の場合には、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
【0061】
【化8】
Figure 0004717264
【0062】
(なお、N……M1は、一般的には配位していることを示すが、本発明においては配位していてもしていなくてもよい。)
一般式(II-b)中、M1は周期表第3〜11族から選ばれる遷移金属原子を示し、好ましくは4〜5族の遷移金属原子であり、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタルなどであり、より好ましくは4族の遷移金属原子であり、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウムであり、より好ましくはチタンである。
【0063】
mは、1〜5の整数、好ましくは2〜4を示し、より好ましくは2である。
Aは窒素原子またはリン原子を示し、
Uは置換基R6を有する炭素原子(−C(R6)=)、窒素原子またはリン原子を示し、
Qは置換基R7を有する炭素原子(−C(R7)=)、窒素原子またはリン原子を示し、
Sは置換基R8を有する炭素原子(−C(R8)=)、窒素原子またはリン原子を示し、
Tは置換基R9を有する炭素原子(=C(R9)−)、窒素原子またはリン原子を示し、
1は、1個以上のヘテロ原子を有する炭化水素基またはヘテロ原子含有基を1個以上有する炭化水素基を示し、具体的には上記一般式(II-b)中のR1と同義である。
【0064】
6〜R9は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示し、具体的には炭化水素基、炭化水素置換シリル基としては上記一般式(II-a)中のR2〜R5と同様の基が挙げられ、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基としては、上記一般式(I)中のXと同様の基が挙げられる。
【0065】
6〜R9としては水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、ハロゲン含有基であることが好ましく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、ハロゲン含有基であることがより好ましい。
6〜R9は、これらのうち2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、mが2以上のときはR1同士、R6同士、R7同士、R8同士、R9同士は互いに同一でも異なっていてもよく、いずれか1つの配位子に含まれるR6〜R9のうち1個の基と、他の配位子に含まれるR6〜R9のうち1個の基とが連結されていてもよい。
【0066】
nは、Mの価数を満たす数である。
Xは、酸素原子、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示し、具体的には上記一般式(I)のXと同様の原子または基が挙げられる。
【0067】
なお、nが2以上の場合には、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
上記一般式(II-a)または上記一般式(II-b)で表される遷移金属化合物のうちでは、上記一般式(II-a)または上記一般式(II-b)においてR1が、
ヘテロ原子およびヘテロ原子含有基から選ばれる少なくとも1種の原子もしくは置換基を有するフェニル基、
ヘテロ原子およびヘテロ原子含有基から選ばれる少なくとも1種の原子もしくは置換基を有するフェニル基以外の芳香族炭化水素基、
ヘテロ原子およびヘテロ原子含有基から選ばれる少なくとも1種の原子もしくは置換基を有する脂肪族炭化水素基、または
ヘテロ原子およびヘテロ原子含有基から選ばれる少なくとも1種の原子もしくは置換基を有する脂環族炭化水素基である化合物が好ましい。
【0068】
なおR1がヘテロ原子およびヘテロ原子含有基から選ばれる少なくとも1種の原子もしくは置換基を有するフェニル基である場合、該フェニル基は窒素原子に結合した炭素原子の位置を1位としたときに、
2位および6位の少なくとも1箇所に、ヘテロ原子およびヘテロ原子含有基から選ばれる少なくとも1種の原子または置換基を有しているか、または
3位、4位および5位に、▲1▼フッ素原子を除くヘテロ原子、▲2▼炭素原子を1個およびフッ素原子を2個以内含有するフッ素含有基、▲3▼炭素原子を2個以上含有するフッ素含有基、▲4▼フッ素原子を除くヘテロ原子を有するヘテロ原子含有基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有している。
【0069】
1が示すヘテロ原子およびヘテロ原子含有基としては、上記一般式(II-a)中のR1と同様のものが挙げられる。
さらに上記一般式(II-a)で表される遷移金属化合物は、R1が窒素に結合した炭素原子の位置を1位としたときに、
2位および6位の少なくとも1箇所にフッ素原子もしくはフッ素原子含有基から選ばれる1種以上の置換基を有するフェニル基、または
3位、4位および5位に、▲1▼1個の炭素原子および2個以下のフッ素原子を含有するフッ素含有基、2個以上の炭素原子を含有するフッ素含有基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有するフェニル基、▲2▼フッ素原子およびフッ素原子含有基から選ばれる少なくとも1種の原子または置換基を有するフェニル基以外の芳香族炭化水素基、▲3▼フッ素原子およびフッ素原子含有基から選ばれる少なくとも1種の原子または置換基を有する脂肪族炭化水素基、ならびに▲4▼フッ素原子およびフッ素原子含有基から選ばれる少なくとも1種の原子または置換基を有する脂環族炭化水素基から選ばれる炭素原子数1〜30のフッ素含有炭化水素基であることが好ましい。このような遷移金属化合物は、活性と生成重合体の分子量の点で好ましい。
【0070】
1として具体的には、
トリフルオロメチル、パーフルオロエチル、パーフルオロプロピル、パーフルオロブチル、パーフルオロペンチル、パーフルオロヘキシル、パーフルオロヘプチル、パーフルオロオクチル、パーフルオロデシル、1H,1H-パーフルオロプロピル、1H,1H-パーフルオロブチル、1H,1H-パーフルオロペンチル、1H,1H-パーフルオロヘキシル、1H,1H-パーフルオロヘプチル、1H,1H-パーフルオロオクチル、1H,1H-パーフルオロデシル、パーフルオロシクロヘキシル、トリフルオロメチルシクロヘキシル、ビス(トリフルオロメチル)シクロヘキシルトリフルオロメチルフルオロシクロヘキシル、モノフルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、テトラフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、(トリフルオロメチル)ペンタフルオロフェニル、(トリフルオロメチル)フルオロフェニル、トリフルオロメチルフェニル、ビス(トリフルオロメチル)フェニル、トリス(トリフルオロメチル)フェニル、テトラキス(トリフルオロメチル)フェニル、ペンタキス(トリフルオロメチル)フェニル、パーフルオロエチルフェニル、ビス(パーフルオロエチル)フェニル、パーフルオロプロピルフェニル、パーフルオロブチルフェニル、パーフルオロペンチルフェニル、パーフルオロヘキシルフェニル、ビス(パーフルオロヘキシル)フェニル、パーフルオロナフチル、パーフルオロフェナントリル、パーフルオロアントリル、(トリフルオロメチル)テトラフルオロフェニルなどが挙げられる。
【0071】
好ましくは、R1が炭素原子数3〜30のフッ素含有脂肪族炭化水素基であり、具体的には1H,1H-パーフルオロプロピル、1H,1H-パーフルオロブチル、1H,1H-パーフルオロペンチル、1H,1H-パーフルオロヘキシル、1H,1H-パーフルオロヘプチル、1H,1H-パーフルオロオクチル、1H,1H-パーフルオロデシルなどが挙げられる。またはモノフルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、テトラフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、(トリフルオロメチル)ペンタフルオロフェニル、(トリフルオロメチル)フルオロフェニル、トリフルオロメチルフェニル、ビス(トリフルオロメチル)フェニル、トリス(トリフルオロメチル)フェニル、テトラキス(トリフルオロメチル)フェニル、ペンタキス(トリフルオロメチル)フェニル、パーフルオロエチルフェニル、ビス(パーフルオロエチル)フェニル、パーフルオロプロピルフェニル、パーフルオロブチルフェニル、パーフルオロペンチルフェニル、パーフルオロヘキシルフェニル、ビス(パーフルオロヘキシル)フェニル、パーフルオロナフチル、パーフルオロフェナントリル、パーフルオロアントリル、(トリフルオロメチル)テトラフルオロフェニルなどのフッ素および/またはフッ素含有炭化水素で置換された炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素基が挙げられる。
【0072】
上記例示のうちR1として特に好ましくは、モノフルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、テトラフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、(トリフルオロメチル)ペンタフルオロフェニル、1H,1H-パーフルオロオクチルである。
【0073】
【化9】
Figure 0004717264
【0074】
(なお、N……M1は、一般的には配位していることを示すが、本発明においては配位していてもしていなくてもよい。)
一般式(III)中、M1は周期表第4〜5族から選ばれる遷移金属原子を示し、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタルなどであり、好ましくは4族の遷移金属原子であり、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウムであり、より好ましくはチタンである。
【0075】
mは、1または2を示し、好ましくは2である。
10は、ヘテロ原子およびヘテロ原子含有基から選ばれる少なくとも1種の原子もしくは置換基を有するフェニル基、
ヘテロ原子およびヘテロ原子含有基から選ばれる少なくとも1種の原子もしくは置換基を有するフェニル基以外の芳香族炭化水素基、
ヘテロ原子およびヘテロ原子含有基から選ばれる少なくとも1種の原子もしくは置換基を有する脂肪族炭化水素基、または
ヘテロ原子およびヘテロ原子含有基から選ばれる少なくとも1種の原子もしくは置換基を有する脂環族炭化水素基である。
【0076】
なおR10がヘテロ原子およびヘテロ原子含有基から選ばれる少なくとも1種の原子もしくは置換基を有するフェニル基である場合、該フェニル基は、窒素原子に結合した炭素原子の位置を1位としたときに、
2位および6位の少なくとも1箇所にヘテロ原子およびヘテロ原子含有基から選ばれる少なくと1種の原子または置換基を有しているか、または、
3位、4位および5位に、▲1▼フッ素原子を除くヘテロ原子、▲2▼炭素原子を1個およびフッ素原子を2個以内含有するフッ素含有基、▲3▼炭素原子を2個以上含有するフッ素含有基、▲4▼フッ素原子を除くヘテロ原子を有するヘテロ原子含有基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有している。
【0077】
ヘテロ原子およびヘテロ原子含有基としては、上記一般式(II-a)中のR1と同様のものが挙げられる。
さらに上記一般式(III)で表される遷移金属化合物は、R10が窒素に結合した炭素原子の位置を1位としたときに、
2位および6位の少なくとも1箇所にフッ素原子もしくはフッ素原子含有基から選ばれる1種以上の置換基を有するフェニル基、または
3位、4位および5位に、▲1▼1個の炭素原子および2個以下のフッ素原子を含有するフッ素含有基、2個以上の炭素原子を含有するフッ素含有基から選ばれる少なくとも1種の置換基を有するフェニル基、▲2▼フッ素原子およびフッ素原子含有基から選ばれる少なくとも1種の原子または置換基を有するフェニル基以外の芳香族炭化水素基、▲3▼フッ素原子およびフッ素原子含有基から選ばれる少なくとも1種の原子または置換基を有する脂肪族炭化水素基、ならびに▲4▼フッ素原子およびフッ素原子含有基から選ばれる少なくとも1種の原子または置換基を有する脂環族炭化水素基から選ばれる炭素原子数1〜30のフッ素含有炭化水素基であることが好ましい。このような遷移金属化合物は、活性と生成重合体の分子量の点で好ましい。
【0078】
なおヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を有する置換基の置換位置に関しては、R10が芳香族炭化水素基である場合には、窒素原子に結合したR10中の炭素原子に隣接する炭素原子(ベータ位の炭素原子)にあることが好ましく、R10が脂肪族炭化水素基である場合には、隣接位またはさらにその隣接位(ベータ位またはガンマ位)にあることが好ましい。
【0079】
ヘテロ原子およびヘテロ原子含有基については前述のものが挙げられる。特にヘテロ原子としてはフッ素が好ましく、ヘテロ原子含有基はフッ素含有基が好ましい。
10として具体的には、
トリフルオロメチル、パーフルオロエチル、パーフルオロプロピル、パーフルオロブチル、パーフルオロペンチル、パーフルオロヘキシル、パーフルオロヘプチル、パーフルオロオクチル、パーフルオロデシル、1H,1H-パーフルオロプロピル、1H,1H-パーフルオロブチル、1H,1H-パーフルオロペンチル、1H,1H-パーフルオロヘキシル、1H,1H-パーフルオロヘプチル、1H,1H-パーフルオロオクチル、1H,1H-パーフルオロデシル、パーフルオロシクロヘキシル、トリフルオロメチルシクロヘキシル、ビス(トリフルオロメチル)シクロヘキシルトリフルオロメチルフルオロシクロヘキシル、モノフルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、テトラフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、(トリフルオロメチル)ペンタフルオロフェニル、(トリフルオロメチル)フルオロフェニル、トリフルオロメチルフェニル、ビス(トリフルオロメチル)フェニル、トリス(トリフルオロメチル)フェニル、テトラキス(トリフルオロメチル)フェニル、ペンタキス(トリフルオロメチル)フェニル、パーフルオロエチルフェニル、ビス(パーフルオロエチル)フェニル、パーフルオロプロピルフェニル、パーフルオロブチルフェニル、パーフルオロペンチルフェニル、パーフルオロヘキシルフェニル、ビス(パーフルオロヘキシル)フェニル、パーフルオロナフチル、パーフルオロフェナントリル、パーフルオロアントリル、(トリフルオロメチル)テトラフルオロフェニルなどが挙げられる。
【0080】
好ましくは、R10が炭素原子数3〜30のフッ素含有脂肪族炭化水素基であり、具体的には1H,1H-パーフルオロプロピル、1H,1H-パーフルオロブチル、1H,1H-パーフルオロペンチル、1H,1H-パーフルオロヘキシル、1H,1H-パーフルオロヘプチル、1H,1H-パーフルオロオクチル、1H,1H-パーフルオロデシル、またはモノフルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、テトラフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、(トリフルオロメチル)ペンタフルオロフェニル、(トリフルオロメチル)フルオロフェニル、トリフルオロメチルフェニル、ビス(トリフルオロメチル)フェニル、トリス(トリフルオロメチル)フェニル、テトラキス(トリフルオロメチル)フェニル、ペンタキス(トリフルオロメチル)フェニル、パーフルオロエチルフェニル、ビス(パーフルオロエチル)フェニル、パーフルオロプロピルフェニル、パーフルオロブチルフェニル、パーフルオロペンチルフェニル、パーフルオロヘキシルフェニル、ビス(パーフルオロヘキシル)フェニル、パーフルオロナフチル、パーフルオロフェナントリル、パーフルオロアントリル、(トリフルオロメチル)テトラフルオロフェニルなどのフッ素および/またはフッ素含有炭化水素で置換された炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素基が挙げられる。
【0081】
より好ましくは、R10はフッ素置換の炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素基、炭素原子数2以上のフッ素含有炭化水素で置換された炭素原子数8〜30の芳香族炭化水素基またはフッ素およびフッ素含有炭化水素基で置換された炭素原子数7〜30の芳香族炭化水素基であり、具体的にはモノフルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、テトラフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、(トリフルオロメチル)ペンタフルオロフェニル、(トリフルオロメチル)フルオロフェニル、トリフルオロメチルフェニル、トリス(トリフルオロメチル)フェニル、テトラキス(トリフルオロメチル)フェニル、ペンタキス(トリフルオロメチル)フェニル、パーフルオロエチルフェニル、ビス(パーフルオロエチル)フェニル、パーフルオロプロピルフェニル、パーフルオロブチルフェニル、パーフルオロペンチルフェニル、パーフルオロヘキシルフェニル、ビス(パーフルオロヘキシル)フェニル、パーフルオロナフチル、パーフルオロフェナントリル、パーフルオロアントリル、(トリフルオロメチル)テトラフルオロフェニルなどが挙げられる。
【0082】
上記例示のうちR10として特に好ましくは、2-フルオロフェニル基、2,6-ジフルオロフェニル基、2,4,6-トリフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、4-トリフルオロメチル2,3,5,6-テトラフルオロフェニル基、2-トリフルオロメチルフェニル基、1H,1H-パーフルオロオクチル基である。
なおフッ素の置換位置に関しては、R10が芳香族の場合には、窒素原子に結合したR10中の炭素原子に隣接する炭素原子(ベータ位の炭素原子)に有ることが好ましく、R10が脂肪族の場合には、隣接位またはさらにその隣接位(ベータ位またはガンマ位)にあることが好ましい。
【0083】
11〜R14は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン含有基、炭化水素基、炭化水素置換シリル基、酸素含有基、窒素含有基またはイオウ含有基を示し、具体的には上記一般式(II-a)中のR2〜R5と同様の原子または基を示す。
15は、ハロゲン原子、ハロゲン含有基、炭化水素基または炭化水素置換シリル基を示し、具体的には上記一般式(II-a)中のR2〜R5と同様の基を示す。
【0084】
15が示す炭化水素基としては、たとえば炭素原子数1〜30のものが挙げられる。具体的には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の脂環骨格を有する炭化水素基;フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニリル、トリフェニリル、フルオレニル、アントリル、フェナントリルなどの炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;および、これらの基に炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基、炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基などの置換基がさらに置換した基などが好ましく挙げられ、より好ましくは、tert-ブチル基である。
【0085】
15が示す炭化水素置換シリル基としては、上記一般式(II-a)中のR2〜R5と同じものが挙げられる。
15が示すハロゲン原子およびハロゲン含有基としては、上記一般式(II-a)中のR1と同様のものが挙げられる。
また、R10およびR11〜R15は、互いに同一でも異なっていてもよく、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。
【0086】
nは、M1の価数を満たす数であり、具体的には2〜4の整数であり、好ましくは2である。
Xは、酸素原子、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示し、具体的には上記一般式(I)のXと同様の原子または基が挙げられる。
【0087】
なお、nが2以上の場合には、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
以下に、上記一般式(I)、(II-a)、(II-b)または(III)で表される遷移金属化合物の具体的な例を示す。
【0088】
【化10】
Figure 0004717264
【0089】
【化11】
Figure 0004717264
【0090】
【化12】
Figure 0004717264
【0091】
【化13】
Figure 0004717264
【0092】
【化14】
Figure 0004717264
【0093】
【化15】
Figure 0004717264
【0094】
【化16】
Figure 0004717264
【0095】
なお、上記例示中、Buはブチル基を示す。
本発明では、上記のような化合物において、チタン金属をジルコニウム、ハフニウムなどのチタン以外の金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
このような遷移金属化合物(A)の製造方法は、特に限定されることなく、たとえば上記一般式(III)で表される遷移金属化合物は、該遷移金属化合物を合成したときに配位子となる化合物(配位子前駆体)と、M1k(MおよびXは、上記一般式(III)中のM1およびXと同義であり、kはM1の原子価を満たす数である。)で表される遷移金属M1含有化合物とを反応させることで合成することができる。
【0096】
配位子前駆体は、サリチルアルデヒド類化合物と、式R10−NH2(R10は前記と同義である。)で表される第1級アミン類化合物、たとえばアニリン類化合物またはアルキルアミン類化合物とを反応させることにより得られる。具体的には、両方の出発化合物を溶媒に溶解する。溶媒としては、このような反応に通常使用されるものが用いられるが、なかでもメタノール、エタノールなどのアルコール溶媒、またはトルエンなどの炭化水素溶媒が好ましい。次いで、得られた溶液を室温から還流条件で、約1〜100時間攪拌すると、対応する配位子前駆体が得られる。配位子前駆体を合成する際、触媒として、蟻酸、酢酸、トルエンスルホン酸などの酸触媒を用いてもよい。また、脱水剤として、モレキュラシーブス、硫酸マグネシウムまたは硫酸ナトリウムを用いたり、ディーンシュタークにより脱水を行ったりすると、反応進行に効果的である。
【0097】
次に、こうして得られた配位子前駆体と、遷移金属M1含有化合物と反応させることで、対応する遷移金属化合物を合成することができる。具体的には、合成した配位子前駆体を溶媒に溶解し、必要に応じて塩基と接触させてフェノキサイド塩を調製した後、金属ハロゲン化物、金属アルキル化物などの金属化合物と低温下で混合し、−78℃から室温、または還流条件下で、約1〜48時間攪拌する。溶媒としては、このような反応に通常使用されるものが用いられるが、なかでもエーテル、テトラヒドロフラン(THF)などの極性溶媒、トルエンなどの炭化水素溶媒などが好ましく使用される。また、フェノキサイド塩を調製する際に使用する塩基としては、n-ブチルリチウムなどのリチウム塩、水素化ナトリウムなどのナトリウム塩などの金属塩や、トリエチルアミン、ピリジンなどの有機塩基が好ましい。
【0098】
また、化合物の性質によっては、フェノキサイド塩調製を経由せず、配位子前駆体と遷移金属M1含有化合物とを直接反応させることで、対応する遷移金属化合物を合成することもできる。
さらに、合成した遷移金属化合物中の金属M1を、常法により別の遷移金属と交換することも可能である。また、たとえばR10、R11〜R15のいずれかがHである場合には、合成の任意の段階において、H以外の置換基を導入することができる。
【0099】
また、遷移金属化合物を単離せず、配位子前駆体と遷移金属M1含有化合物との反応溶液をそのまま重合に用いることもできる。
なお、これらの錯体の一般的な製法は、EP1008595A2にも記載されている。
以上のような遷移金属化合物(A)は、1種単独または2種以上組み合わせて用いられる。
【0100】
(B-1) 有機金属化合物
上記オレフィン重合体の製造に必要に応じて用いられる(B-1)有機金属化合物として、具体的には下記のような周期表第1、2族および第13族の有機金属化合物が用いられる。
(B-1a) 一般式 Ra mAl(ORb)npq
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。)
で表される有機アルミニウム化合物。
【0101】
(B-1b) 一般式 M2AlRa 4
(式中、M2はLi、NaまたはKを示し、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す。)
で表される周期表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物。
(B-1c) 一般式 Rab3
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、M3はMgである。)
で表される化合物。
【0102】
前記(B-1a)に属する有機アルミニウム化合物としては、次のような化合物などを例示できる。
一般式 Ra mAl(ORb)3-m
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、mは好ましくは1.5≦m≦3の数である。)
で表される有機アルミニウム化合物、
一般式 Ra mAlX3-m
(式中、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは好ましくは0<m<3である。)
で表される有機アルミニウム化合物、
一般式 Ra mAlH3-m
(式中、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、mは好ましくは2≦m<3である。)
で表される有機アルミニウム化合物、
一般式 Ra mAl(ORb)nq
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+q=3である。)
で表される有機アルミニウム化合物。
(B-1a)に属する有機アルミニウム化合物としてより具体的には
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn-ブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリn-アルキルアルミニウム;
トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec-ブチルアルミニウム、トリ tert-ブチルアルミニウム、トリ2-メチルブチルアルミニウム、トリ3-メチルブチルアルミニウム、トリ2-メチルペンチルアルミニウム、トリ3-メチルペンチルアルミニウム、トリ4-メチルペンチルアルミニウム、トリ2-メチルヘキシルアルミニウム、トリ3-メチルヘキシルアルミニウム、トリ2-エチルヘキシルアルミニウムなどのトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;
トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;
トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウムなどのトリアリールアルミニウム;
(i-C49)xAly(C510)z (式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xである。)などで表されるトリイソプレニルアルミニウムなどのトリアルケニルアルミニウム;
イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシド、イソブチルアルミニウムイソプロポキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド;
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;
エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;
a 2.5 Al(ORb)0.5などで表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシド)、エチルアルミニウムビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシド)、ジイソブチルアルミニウム(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシド)、イソブチルアルミニウムビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシド)などのジアルキルアルミニウムアリーロキシド;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;
エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;
エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;
エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどその他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;
エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどが挙げられる。
【0103】
また(B-1a)に類似する化合物も使用することができ、たとえば窒素原子を介して2以上のアルミニウム化合物が結合した有機アルミニウム化合物が挙げられる。
このような化合物として具体的には、
(C25)2AlN(C25)Al(C25)2 などが挙げられる。
【0104】
前記(B-1b)に属する化合物としては、
LiAl(C25)4、LiAl(C715)4 などが挙げられる。
またその他にも、(B-1)有機金属化合物としては、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、ブチルリチウム、メチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムクロリド、プロピルマグネシウムブロミド、プロピルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムクロリド、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウムなどを使用することもできる。
【0105】
また重合系内で上記有機アルミニウム化合物が形成されるような化合物、たとえばハロゲン化アルミニウムとアルキルリチウムとの組合せ、またはハロゲン化アルミニウムとアルキルマグネシウムとの組合せなどを使用することもできる。
(B-1)有機金属化合物のなかでは、有機アルミニウム化合物が好ましい。
上記のような(B-1)有機金属化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0106】
(B-2) 有機アルミニウムオキシ化合物
上記オレフィン重合体の製造に必要に応じて用いられる(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
【0107】
従来公知のアルミノキサンは、たとえば下記のような方法によって製造することができ、通常、炭化水素溶媒の溶液として得られる。
(1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類、たとえば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水、氷または水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
【0108】
なお該アルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また回収された上記のアルミノキサンの溶液から溶媒または未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解またはアルミノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。
アルミノキサンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物として具体的には、前記(B-1a)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物が挙げられる。
【0109】
これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウムが特に好ましい。
上記のような有機アルミニウム化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
アルミノキサンの調製に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ガソリン、灯油、軽油などの石油留分または上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物とりわけ、塩素化物、臭素化物などの炭化水素溶媒が挙げられる。さらにエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を用いることもできる。これらの溶媒のうち特に芳香族炭化水素または脂肪族炭化水素が好ましい。
【0110】
また上記ベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物は、60℃のベンゼンに溶解するAl成分がAl原子換算で通常10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下であるもの、すなわち、ベンゼンに対して不溶性または難溶性であるものが好ましい。
有機アルミニウムオキシ化合物としては、下記一般式(IV)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物を挙げることもできる。
【0111】
【化17】
Figure 0004717264
【0112】
式中、R21は炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。
22は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。
前記一般式(IV)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物は、下記一般式(V)
21−B−(OH)2 …(V)
(式中、R21は前記と同じ基を示す。)
で表されるアルキルボロン酸と、有機アルミニウム化合物とを、不活性ガス雰囲気下に不活性溶媒中で、−80℃〜室温の温度で1分〜24時間反応させることにより製造できる。
【0113】
前記一般式(V)で表されるアルキルボロン酸の具体的なものとしては、メチルボロン酸、エチルボロン酸、イソプロピルボロン酸、n-プロピルボロン酸、n-ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、n-ヘキシルボロン酸、シクロヘキシルボロン酸、フェニルボロン酸、3,5-ジフルオロボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸などが挙げられる。これらの中では、メチルボロン酸、n-ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、3,5-ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸が好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0114】
このようなアルキルボロン酸と反応させる有機アルミニウム化合物として具体的には、前記(B-1a)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物が挙げられる。
これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、特にトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0115】
上記のような(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
(B-3) 遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物
上記オレフィン重合体の製造に必要に応じて用いられる遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B-3)(以下、「イオン化イオン性化合物」という。)としては、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、USP−5321106号明細書などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などが挙げられる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。
【0116】
具体的には、ルイス酸としては、BR3(Rは、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である。)で示される化合物が挙げられ、たとえばトリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4-フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5-ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4-フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p-トリル)ボロン、トリス(o-トリル)ボロン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
【0117】
イオン性化合物としては、たとえば下記一般式(VI)で表される化合物が挙げられる。
【0118】
【化18】
Figure 0004717264
【0119】
式中、R23としては、H+、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンなどが挙げられる。
24〜R27は、互いに同一でも異なっていてもよく、有機基、好ましくはアリール基または置換アリール基である。
【0120】
前記カルボニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンなどが挙げられる。
前記アンモニウムカチオンとして具体的には、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、トリ(n-ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N-ジメチルアニリニウムカチオン、N,N-ジエチルアニリニウムカチオン、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N-ジアルキルアニリニウムカチオン;ジ(イソプロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンなどが挙げられる。
【0121】
前記ホスホニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンなどが挙げられる。
23としては、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどが好ましく、特にトリフェニルカルボニウムカチオン、N,N-ジメチルアニリニウムカチオン、N,N-ジエチルアニリニウムカチオンが好ましい。
【0122】
またイオン性化合物として、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N-ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などを挙げることもできる。
トリアルキル置換アンモニウム塩として具体的には、たとえばトリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(o-トリル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(m,m-ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(o-トリル)ホウ素などが挙げられる。
【0123】
N,N-ジアルキルアニリニウム塩として具体的には、たとえばN,N-ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N-ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
ジアルキルアンモニウム塩として具体的にはは、たとえばジ(1-プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
【0124】
さらにイオン性化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、N,N-ジエチルアニリニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、下記式(VII)または(VIII)で表されるホウ素化合物などを挙げることもできる。
【0125】
【化19】
Figure 0004717264
【0126】
(式中、Etはエチル基を示す。)
【0127】
【化20】
Figure 0004717264
【0128】
ボラン化合物として具体的には、たとえば
トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド-1,3-ジカルバノナボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)銅酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)金酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド-7,8-ジメチル-7,8-ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド-7,8-ジメチル-7,8-ジカルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(トリブロモオクタハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド-7-カルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド-7-カルバウンデカボレート)マンガン酸塩(IV)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド-7-カルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド-7-カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0129】
ヘテロポリ化合物は、ケイ素、リン、チタン、ゲルマニウム、ヒ素および錫から選ばれる原子と、バナジウム、ニオブ、モリブデンおよびタングステンから選ばれる1種または2種以上の原子からなっている。具体的には、リンバナジン酸、ゲルマノバナジン酸、ヒ素バナジン酸、リンニオブ酸、ゲルマノニオブ酸、シリコノモリブデン酸、リンモリブデン酸、チタンモリブデン酸、ゲルマノモリブデン酸、ヒ素モリブデン酸、錫モリブデン酸、リンタングステン酸、ゲルマノタングステン酸、錫タングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンタングストバナジンン酸、ゲルマノタングストバナジンン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、ゲルマノモリブドタングストバナジン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドニオブ酸、およびこれらの酸の塩、たとえば周期表第1族または2族の金属、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどとの塩、トリフェニルエチル塩などとの有機塩が使用できるが、この限りではない。
【0130】
上記のような(B-3)イオン化イオン性化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
上述した遷移金属化合物(A)をオレフィン重合用触媒とする場合、助触媒成分としてのメチルアルミノキサンなどの有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)とを併用すると、オレフィンに対して非常に高い重合活性を示す。
【0131】
本発明では、前記一般式(I)、(II-a)、(II-b)または(III)のいずれかで表される遷移金属化合物(A)を単独でオレフィン重合触媒として用いてもよいし、
(A)遷移金属化合物と、
(B)(B-1)有機金属化合物
(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(B-3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物
から選ばれる少なくとも1種の化合物とをオレフィン重合触媒として用いてもよい。
【0132】
また、本発明で用いられるオレフィン重合触媒は、上記遷移金属化合物(A)と、有機金属化合物(B-1)、有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)およびイオン化イオン性化合物(B-3)から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)(以下「成分(B)」ということがある。)とともに、さらに必要に応じて下記担体(C)および/または後述するような有機化合物(D)を含むことができる。
【0133】
(C)担体
本発明で必要に応じて用いられる(C)担体は、無機または有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体である。
このうち無機化合物としては、多孔質酸化物、無機ハロゲン化物、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物が好ましい。
【0134】
多孔質酸化物として、具体的にはSiO2、Al23、MgO、ZrO、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2など、またはこれらを含む複合物または混合物を使用、たとえば天然または合成ゼオライト、SiO2-MgO、SiO2-Al23、SiO2-TiO2、SiO2-V25、SiO2-Cr23、SiO2-TiO2-MgOなどを使用することができる。これらのうち、SiO2および/またはAl23を主成分とするものが好ましい。
【0135】
なお、上記無機酸化物は、少量のNa2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4、Al2(SO4)3、BaSO4、KNO3、Mg(NO3)2、Al(NO3)3、Na2O、K2O、Li2Oなどの炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有していても差し支ない。
このような多孔質酸化物は、種類および製法によりその性状は異なるが、好ましく用いられる担体は、粒径が10〜300μm、好ましくは20〜200μmであって、比表面積が50〜1000m2/g、好ましくは100〜700m2/gの範囲にあり、細孔容積が0.3〜3.0cm3/gの範囲にあることが望ましい。このような担体は、必要に応じて100〜1000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して使用される。
【0136】
無機ハロゲン化物としては、MgCl2、MgBr2、MnCl2、MnBr2などが用いられる。無機ハロゲン化物は、そのまま用いてもよいし、ボールミル、振動ミルにより粉砕した後に用いてもよい。また、アルコールなどの溶媒に無機塩化物を溶解させた後、析出剤によってこれらを微粒子状に析出させたものを用いることもできる。
【0137】
粘土は、通常粘土鉱物を主成分として構成される。また、イオン交換性層状化合物は、イオン結合などによって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有する化合物であり、含有するイオンが交換可能なものである。大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物である。また、これらの粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物としては、天然産のものに限らず、人工合成物を使用することもできる。
【0138】
また、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物として、粘土、粘土鉱物、また、六方細密パッキング型、アンチモン型、CdCl2型、CdI2型などの層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物などを例示することができる。
このような粘土、粘土鉱物としては、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、ウンモ群、モンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイトなどが挙げられ、イオン交換性層状化合物としては、α-Zr(HAsO4)2・H2O、α-Zr(HPO4)2、α-Zr(KPO4)2・3H2O、α-Ti(HPO4)2、α-Ti(HAsO4)2・H2O、α-Sn(HPO4)2・H2O、γ-Zr(HPO4)2、γ-Ti(HPO4)2、γ-Ti(NH4PO4)2・H2Oなどの多価金属の結晶性酸性塩などが挙げられる。
【0139】
このような粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物は、水銀圧入法で測定した半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/g以上のものが好ましく、0.3〜5cc/gのものが特に好ましい。ここで、細孔容積は、水銀ポロシメーターを用いた水銀圧入法により、細孔半径20〜3×104Åの範囲について測定される。
【0140】
半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/gより小さいものを担体として用いた場合には、高い重合活性が得られにくい傾向がある。
粘土、粘土鉱物には、化学処理を施すことも好ましい。化学処理としては、表面に付着している不純物を除去する表面処理、粘土の結晶構造に影響を与える処理など、いずれも使用できる。化学処理として具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理などが挙げられる。酸処理は、表面の不純物を取り除くほか、結晶構造中のAl、Fe、Mgなどの陽イオンを溶出させることによって表面積を増大させる。アルカリ処理では粘土の結晶構造が破壊され、粘土の構造の変化をもたらす。また、塩類処理、有機物処理では、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体などを形成し、表面積や層間距離を変えることができる。
【0141】
イオン交換性層状化合物は、イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと交換することにより、層間が拡大した状態の層状化合物であってもよい。このような嵩高いイオンは、層状構造を支える支柱的な役割を担っており、通常、ピラーと呼ばれる。また、このように層状化合物の層間に別の物質を導入することをインターカレーションという。インターカレーションするゲスト化合物としては、TiCl4、ZrCl4などの陽イオン性無機化合物、Ti(OR)4、Zr(OR)4、PO(OR)3、B(OR)3などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)、[Al134(OH)24]7+、[Zr4(OH)14]2+、[Fe3O(OCOCH3)6]+ などの金属水酸化物イオンなどが挙げられる。これらの化合物は単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。また、これらの化合物をインターカレーションする際に、Si(OR)4、Al(OR)3、Ge(OR)4などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)などを加水分解して得た重合物、SiO2などのコロイド状無機化合物などを共存させることもできる。また、ピラーとしては、上記金属水酸化物イオンを層間にインターカレーションした後に加熱脱水することにより生成する酸化物などが挙げられる。
【0142】
粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物は、そのまま用いてもよく、またボールミル、ふるい分けなどの処理を行った後に用いてもよい。また、新たに水を添加吸着させ、または加熱脱水処理した後に用いてもよい。さらに、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのうち、好ましいものは粘土または粘土鉱物であり、特に好ましいものはモンモリロナイト、バーミキュライト、ペクトライト、テニオライトおよび合成雲母である。
【0143】
有機化合物としては、粒径が10〜300μmの範囲にある顆粒状ないしは微粒子状固体が挙げられる。具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテンなどの炭素原子数が2〜14のα-オレフィンを主成分として生成される(共)重合体またはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される(共)重合体、およびびそれらの変成体を例示することができる。
【0144】
(D)有機化合物成分
本発明において(D)有機化合物成分は、必要に応じて、重合性能および生成ポリマーの物性を向上させる目的で使用される。このような有機化合物としては、たとえばアルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物およびスルホン酸塩などが挙げられる。
【0145】
アルコール類およびフェノール性化合物としては、通常、R28−OHで表されるものが使用され、ここで、R28は炭素原子数1〜50の炭化水素基または炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基を示す。
アルコール類としては、R28がハロゲン化炭化水素のものが好ましい。また、フェノール性化合物としては、水酸基のα,α'-位が炭素数1〜20の炭化水素で置換されたものが好ましい。
【0146】
カルボン酸としては、通常、R29−COOHで表されるものが使用される。R29は炭素原子数1〜50の炭化水素基または炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基を示し、特に、炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基が好ましい。
リン化合物としては、P−O−H結合を有するリン酸類、P−OR、P=O結合を有するホスフェート、ホスフィンオキシド化合物が好ましく使用される。
【0147】
スルホン酸塩としては、下記一般式(IX)で表されるものが使用される。
【0148】
【化21】
Figure 0004717264
【0149】
式中、Mは周期表第1〜14族の元素である。
30は水素原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基または炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。
Xは水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基、炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基である。
【0150】
mは1〜7の整数であり、nは1≦n≦7である。
重合の際には、各成分の使用法、添加順序は任意に選ばれるが、以下のような方法が例示される。
(1)遷移金属化合物(A)を単独で重合器に添加する方法。
(2)遷移金属化合物(A)および成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(3)遷移金属化合物(A)を担体(C)に担持した触媒成分、成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(4)成分(B)を担体(C)に担持した触媒成分、遷移金属化合物(A)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(5)遷移金属化合物(A)と成分(B)とを担体(C)に担持した触媒成分を重合器に添加する方法。
【0151】
上記(2)〜(5)の各方法においては、各触媒成分の少なくとも2つ以上は予め接触されていてもよい。
成分(B)が担持されている上記(4)、(5)の各方法においては、必要に応じて担持されていない成分(B)を、任意の順序で添加してもよい。この場合成分(B)は、同一でも異なっていてもよい。
【0152】
また、上記の成分(C)に遷移金属化合物(A)が担持された固体触媒成分、成分(C)に遷移金属化合物(A)および成分(B)が担持された固体触媒成分は、オレフィンが予備重合されていてもよく、予備重合された固体触媒成分上に、さらに、触媒成分が担持されていてもよい。
本発明に係るオレフィンの重合方法では、上記のようなオレフィン重合用触媒の存在下に、炭素原子数2〜20のα-オレフィンを重合または共重合することによりポリマーを得る。炭素原子数2〜20のα-オレフィンとしては、上記と同様のものが挙げられる。
【0153】
本発明では、重合は溶解重合、懸濁重合などの液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できる。
液相重合法において用いられる不活性炭化水素媒体として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などを挙げることができ、オレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
【0154】
上記のようなオレフィン重合用触媒を用いて、炭素原子数2〜20のα-オレフィンを重合するに際して、遷移金属化合物(A)は、反応容積1リットル当り、通常10-12〜1モル、好ましくは10-10〜10-2モルになるような量で用いられる。
成分(B-1)が用いられる場合は、成分(B-1)と、遷移金属化合物(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(B-1)/M〕が、通常0.01〜100,000、好ましくは0.05〜50,000となるような量で用いられる。成分(B-2)が用いられる場合は、成分(B-2)中のアルミニウム原子と、遷移金属化合物(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(B-2)/M〕が、通常10〜500,000、好ましくは20〜100,000となるような量で用いられる。成分(B-3)が用いられる場合は、成分(B-3)と、遷移金属化合物(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(B-3)/M〕が、通常1〜10、好ましくは1〜5となるような量で用いられる。
【0155】
成分(D)が用いられる場合は、成分(B)が成分(B-1)の場合には、モル比〔(D)/(B-1)〕が通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で、成分(B)が成分(B-2)の場合には、モル比〔(D)/(B-2)〕が通常0.001〜2、好ましくは0.005〜1となるような量で、成分(B)が成分(B-3)の場合には、モル比〔(D)/(B-3)〕が通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で用いられる。
【0156】
また、このようなオレフィン重合用触媒を用いたオレフィンの重合温度は、通常−40〜+200℃、好ましくは0〜+100℃の範囲である。重合圧力は、通常常圧〜100kg/cm2(9.8MPa)、好ましくは常圧〜50kg/cm2(4.9MPa)の条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
【0157】
得られるオレフィン重合体の分子量は、モノマー/触媒比や重合時間を制御することによって調節することができる。
潤滑油組成物
本発明に係る潤滑油組成物は、上記オレフィン重合体からなる粘度指数向上剤と、潤滑油基材と、必要に応じて流動点降下剤とを含んでいる。
【0158】
まず本発明に係る潤滑油組成物を形成する各成分について説明する。
(潤滑油基材)
本発明で用いられる潤滑油基材としては、鉱物油;ポリα−オレフィン、ポリオールエステル、ジオクチルフタレート、ジオクチルセバケート等のジエステル類;ポリアルキレングリコール等の合成油が挙げられ、鉱物油または鉱物油と合成油とのブレンドが好ましく用いられる。
【0159】
鉱物油は一般に脱ワックス等の精製工程を経て用いられ、精製の仕方により幾つかの等級があるが、一般に0.5〜10%のワックス分を含む鉱物油が使用される。たとえば、水素分解精製法で製造された流動点の低い、粘度指数の高い、イソパラフィンを主体とした組成の高度精製油を用いることもできる。また40℃における動粘度が10〜200cStのものが一般的に使用される。
【0160】
(流動点降下剤)
本発明で必要に応じて用いられる流動点降下剤としては、アルキル化ナフタレン、メタクリル酸アルキルの(共)重合体、アクリル酸アルキルの(共)重合体、フマル酸アルキルと酢酸ビニルの共重合体、α-オレフィン重合体、α-オレフィンとスチレンの共重合体等が挙げられるが、中でも、メタクリル酸アルキルの(共)重合体、アクリル酸アルキルの(共)重合体が好適に用いられる。
【0161】
(組成物)
本発明に係る潤滑油組成物は、上記潤滑油基材と、上記オレフィン重合体と、必要に応じて流動点降下剤とを含有している。
潤滑油組成物が、潤滑油基剤と、上記オレフィン重合体とを含む場合は、潤滑油組成物中にオレフィン重合体が、たとえば1〜20重量%、好ましくは5〜10重量%の量で含有されていることが望ましい(残分は潤滑油基剤および後述の配合剤)。
【0162】
このような潤滑油組成物は、せん断安定性に優れる。この潤滑油組成物は、そのまま潤滑油用途に使用することができ、またこの潤滑油組成物にさらに流動点降下剤などを配合して潤滑油用途に使用することもできる。
潤滑油組成物が、潤滑油基剤と、上記オレフィン重合体と、流動点降下剤とを含む場合は、オレフィン重合体が、たとえば0.1〜5重量%、好ましくは0.2〜1.5重量%、さらに好ましくは0.25〜1.5重量%、特に好ましくは0.30〜1.5重量%の量で含有され、流動点降下剤が0.05〜3重量%、好ましくは0.1〜3重量%、さらに好ましくは0.1〜2重量%、最も好ましくは0.2〜1.5重量%の量で必要に応じて含有されていることが望ましい(残分は潤滑油基材および後述の配合剤)。
【0163】
このような潤滑油組成物において、オレフィン重合体の量が上記範囲内にあると、せん断安定性向上の効果を得ることができる。
また本発明に係る潤滑油組成物は、潤滑油基材、オレフィン重合体および流動点降下剤以外に、メタクリル酸アルキルの(共)重合体、水添SBR、SEBSなどの粘度指数向上効果を有する配合剤、清浄剤、錆止め添加剤、分散剤、極圧剤、消泡剤、酸化防止剤、金属不活性化剤などの配合剤を含有していてもよい。
【0164】
極圧剤としては、スルフィド類、スルホキシド類、スルホン類、チオホスフィネート類、チオカーボネート類、油脂、硫化油脂、硫化オレフィン等のイオウ系極圧剤;リン酸エステル、亜リン酸エステル、リン酸エステルアミン塩、亜リン酸エステルアミン類等のリン酸類;塩素化炭化水素等のハロゲン系化合物などを例示することができる。
【0165】
耐摩耗剤としては、二硫化モリブデンなどの無機または有機モリブデン化合物、アルキルメルカプチルボレート等の有機ホウ素化合物;グラファイト、硫化アンチモン、ホウ素化合物、ポリテトラフルオロエチレン等を例示することができる。
清浄分散剤としては、カルシウムスルホネート、マグネシウムスルホネート、バリウムスルホネート等の金属スルホネート、チオホスホネート、フェナート、サリチレート、コハク酸イミド、ベンジルアミン、コハク酸エステルなどを例示することができる。
【0166】
酸化防止剤としては、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール等のアミン系化合物、ジチオリン酸亜鉛等のイオウまたはリン系化合物などを例示することができる。
防錆剤としては、シュウ酸などのカルボン酸およびその塩;スルホン酸塩;エステル;アルコール;リン酸およびその塩;ベンゾトリアゾールおよびその誘導体;チアゾール化合物などを例示することができる。
【0167】
抑泡剤としては、ジメチルシロキサン、シリカゲル分散体等のシリコーン系化合物、アルコール系またはエステル系の化合物などを例示することができる。
これらの添加剤の配合量は、要求される潤滑性能によって変化するが、上記潤滑油組成物100重量部中に、通常0.01〜50重量部、好ましくは0.05〜30重量部含まれていてもよい。
【0168】
本発明に係る潤滑油組成物は、従来公知の方法で、潤滑油基材にオレフィン重合体、必要に応じて流動点降下剤、さらに必要に応じてその他の配合剤を混合または溶解することにより調製することができる。
【0169】
【発明の効果】
本発明に係る潤滑油用粘度指数向上剤は、せん断安定性に優れる潤滑油組成物が得られる。
本発明に係る潤滑油用組成物は、せん断安定性に優れる。
【0170】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお本実施例において各種物性は以下のようにして測定した。
オレフィン重合体の組成
日本電子(株)製のLA500型核磁気共鳴装置を用い、オルトジクロルベンゼンとベンゼン−d6との混合溶媒(オルトジクロルベンゼン/ベンゼン−d6=3/1〜4/1(体積比))中、120℃、パルス幅45°パルス、パルス繰返し時間5.5秒で測定した。
【0171】
100℃での粘度(K . .
ASTM D 445に基づいて測定を行なった。なお本実施例ではK.V.が10mm2/秒程度となるように調整した。
Shear Stability Index (SSI)
ASTM D 3945に基づいて測定を行った。SSIは潤滑油中の共重合体成分が摺動下でせん弾力を受け分子鎖が切断することによる動粘度の損失の尺度であり、SSIが大きい値である程、動粘度の損失が大きいことを示す。
【0172】
【重合例1】
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製オートクレーブに乾燥トルエン250mlを装入し、プロピレンを100リットル/hの割合で40分間流通した後、系内の温度を25℃に保ち、メチルアルミノキサンをアルミニウム換算で5.00mmolを加えた。続いて[Bis[N-(3-t-butylsalicylidene)-2,3,4,5,6-pentafluoroanilinato]titanium(IV)dichloride]を0.05mmol添加すると共に、エチレンとプロピレンとの混合ガス(エチレン/プロピレン=8/92リットル/h)に切り替え、60分間攪拌した後、イソブチルアルコール20mlを添加し反応を停止させた。引き続き1N塩酸水10mlを添加し、窒素気流下30分間攪拌した後、重合溶液を1.5リットルのメタノールに注ぎ、ポリマーを析出させた。一晩マグネチックスターラーで攪拌した後、ポリマーをグラスフィルターで濾取し、減圧下、130℃で10時間乾燥し、エチレン・プロピレン共重合体5.69gを得た。
【0173】
得られたエチレン・プロピレン共重合体は、GPC分析の結果Mnが20.2万(ポリスチレン換算)であり、Mw/Mn=1.10であった。また、IR分析より求められたエチレン含量は48.0重量%であった。
【0174】
【重合例2】
充分窒素置換した容量2リットルの攪拌翼付ステンレス製オートクレーブに、23℃でヘプタン900mlを挿入した。このオートクレーブに、攪拌翼を回し、かつ氷冷しながらプロピレン50N-リットルを装入した。次にオートクレーブを60℃まで加熱し、さらに、全圧が8KGとなるようにエチレンで加圧した。オートクレーブの内圧が8KGになった所で、トリイソブチルアルミニウムの1.0mM/mlヘキサン溶液1.0mlを窒素で圧入した。続いて、予め調製しておいた、メチルアルミノキサンをAl換算で0.2mMおよびビス(1,3-ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドを0.002mMの量で含むトルエン溶液3mlを、窒素でオートクレーブに圧入し重合を開始した。その後、60分間、オートクレーブを内温60℃になるように温度調製し、かつ圧力が8KGとなるように直接的にエチレンの供給を行った。重合開始60分後、オートクレーブにポンプでメタノール5mlを挿入し重合を停止し、オートクレーブを大気圧まで脱圧した。反応溶液に3リットルのメタノールを攪拌しながら注いだ。得られた溶媒を含む重合体を130℃、13時間、600torr(0.08MPa)で乾燥して34gのエチレン・プロピレン共重合体を得た。得られたポリマーの性状を表1に示す。
【0175】
【重合例3】
充分に窒素置換した内容積500mlのガラス製オートクレーブに乾燥トルエン250mlを装入し、プロピレンを100リットル/hで40分間流通した後、系内の温度を25℃に保ち、メチルアルミノキサンをアルミニウム換算で5.00mmolを加えた。続いて[Bis[N-(3-t-butylsalicylidene)-2,3,4,5,6-pentafluoroanilinato]titanium(IV) dichloride]を0.05mmol添加すると共に、エチレンとプロピレンとの混合ガス(エチレン/プロピレン=50/50リットル/h)に切り替え、25℃で25分間攪拌した後、イソブチルアルコール20mlを添加し反応を停止させた。引き続き1N塩酸水10mlを添加し、窒素気流下30分間攪拌した後、重合溶液を1.5リットルのメタノールに注ぎ、ポリマーを析出させた。一晩マグネチックスターラーで攪拌した後、ポリマーをグラスフィルターで濾取し、減圧下、130℃で10時間乾燥し、エチレン・プロピレン共重合体7.60gを得た。
【0176】
得られたエチレン・プロピレン共重合体は、GPC分析の結果Mnが32.5万(ポリスチレン換算)であり、Mw/Mnが1.08であった。また、IR分析より求められたエチレン含量は71.3重量%であった。
【0177】
【重合例4】
充分窒素置換した容量2リットルの攪拌翼付ステンレス製オートクレーブに、23℃でヘプタン900mlを装入した。このオートクレーブに、攪拌翼を回し、かつ氷冷しながらプロピレン38N-リットルを挿入した。次にオートクレーブを50℃まで加熱し、さらに全圧が8KGとなるようにエチレンで加圧した。オートクレーブの内圧が8KGになった所で、トリイソブチルアルミニウムの1.0mM/mlヘキサン溶液1.0mlを窒素で圧入した。続いて、予め調製しておいた、メチルアルミノキサンをAl換算で0.1mM、ビス(1,3-ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドを0.001mMの量で含むトルエン溶液3mlを、窒素でオートクレーブに圧入し重合を開始した。その後、60分間、オートクレーブを内温50℃になるように温度調製し、かつ圧力が8KGとなるように直接的にエチレンの供給を行った。重合開始60分後、オートクレーブにポンプでメタノール5mlを挿入し重合を停止し、オートクレーブを大気圧まで脱圧した。反応溶液に3リットルのメタノールを攪拌しながら注いだ。得られた溶媒を含む重合体を130℃、13時間、600torr(0.08MPa)で乾燥して34gのエチレン・プロピレン共重合体を得た。得られたエチレン・プロピレン共重合体の性状を表1に示す。
【0178】
【表1】
Figure 0004717264
【0179】
【実施例1】
ベース油として鉱油150ニュートラル(商品名、ESSO社製)を87.64重量%、粘度指数向上剤として重合例1で得られたエチレン・プロピレン共重合体を0.86重量%、流動点降下剤としてアクルーブ133(商品名、三洋化成社製)を0.5重量%、清浄分散剤(品番LZ-9814、ルブリゾール社製)を11.0重量部用いて、潤滑油の性能評価を行った。結果を表2に示す。
【0180】
【比較例1】
ベース油として鉱油150ニュートラル(商品名、ESSO社製)を87.54重量%、粘度指数向上剤として重合例2で得られたエチレン・プロピレン共重合体を表2に示した割合で使用した他は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
【0181】
【実施例2】
ベース油として鉱油150ニュートラル(商品名、ESSO社製)を87.40重量%、粘度指数向上剤として重合例3で得られたエチレン・プロピレン共重合体を0.60重量%、流動点降下剤としてアクルーブ133(商品名、三洋化成社製)を0.5重量%、清浄分散剤(品番LZ-9814、ルブリゾール社製)を11.0重量部用いて、潤滑油の性能評価を行った。結果を表2に示す。
【0182】
【比較例2】
ベース油として鉱油150ニュートラル(商品名、ESSO社製)と、粘度指数向上剤として重合例4で得られたエチレン・プロピレン共重合体を表2に示した割合で使用した他は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
【0183】
【表2】
Figure 0004717264
【0184】
上記表2から判るように、実施例1はほぼ同等の分子量を有する比較例1に比べ、少ない重合ポリマーの配合量で同等以上の増粘効果が得られ、かつ潤滑油組成物は剪断安定に優れる。また、ほぼ同等の分子量を有する重合ポリマーを用いた実施例2と比較例2においても同様のことがいえる。

Claims (7)

  1. エチレンとプロピレンとの共重合体であって、エチレン含量が30〜90モル%の範囲にあり、数平均分子量が20,000〜2,000,000で、Mw/Mn(Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)が1.1以下であるオレフィン重合体からなることを特徴とする潤滑油用粘度指数向上剤。
  2. 上記オレフィン重合体が、エチレン含量が58〜90モル%の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の潤滑油用粘度指数向上剤。
  3. 上記オレフィン重合体が、エチレン含量が48.0〜71.3重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の潤滑油用粘度指数向上剤。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のオレフィン重合体が、下記一般式(III)で表される遷移金属化合物であって、下記一般式(III)中のXの1つをn-プロピル基に置換したカチオン錯体について密度汎関数法によって求めたβ-アゴスティック構造において、中心金属Mと直接結合を持たない最近接のヘテロ原子とβ位の水素との距離が3.0Å以下、かつ静電エネルギーが−10kJ/mol以下である遷移金属化合物からなるオレフィン重合触媒の存在下に、エチレンとプロピレンとを重合して製造されることを特徴とする潤滑油用粘度指数向上剤;
    Figure 0004717264
    (式中、M 1 は、周期表第4族から選ばれる遷移金属原子を示し、
    mは、1または2を示し、
    10 は、ハロゲンから選ばれる少なくとも1種の原子を有するフェニル基を示し、窒素原子に結合した炭素原子を1位としたときに、2位および6位の少なくとも1箇所にハロゲンから選ばれる少なくとも1種の原子を有しており、
    11 〜R 14 は水素原子を示し、
    15 は炭化水素基を示し、
    nはM 1 の価数を満たす数であり、
    Xは酸素原子、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基を示し、Xで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよく、またnが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよい。)。
  5. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の潤滑油用粘度指数向上剤と、潤滑油基材とを含むことを特徴とする潤滑油組成物。
  6. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の潤滑油用粘度指数向上剤と、潤滑油基材と、流動点降下剤を含むことを特徴とする潤滑油組成物。
  7. 請求項4に記載の一般式(III)で表される遷移金属化合物の存在下にエチレンとプロピレンとを共重合して、請求項1〜3のいずれかに記載のオレフィン重合体を製造することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
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