JP4714974B2 - フィルムラミネート鋼板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、屋内の水回りで使用する電気機器等の製品の部材およびそれらの近辺に位置する外装壁材等の用途に好適なフィルムラミネート鋼板およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
表面に柄模様を印刷した化粧鋼板は、従来よりその意匠性等を活かし、家電製品や暖房機器などの外装部材、内装建材あるいは器物などの用途に使用されている。その中でも金属光沢を有する化粧鋼板は、その高級感から電器ポット、炊飯器等で広く使用されている。
【0003】
これまで、それらの用途にはステンレスが多く使われていた。しかし、ステンレスは非常に高価であるため、金属光沢を有する意匠性を付与する観点から、金属粉末を含有する塗料や雲母を主体とする粉末を配合した塗料を用いて、それらを鋼板上に塗装する方法が用いられている(特開平5-111991号公報)。このような方法では鋼板上に熱硬化型もしくは放射線硬化型の塗料を塗装し化粧を行なっていた。しかし、これらの塗装皮膜は、裁断、折り曲げ等の加工時に表面に傷が発生しやすくまたピンホールを生じやすいため、耐熱水性に劣ることの問題があり、また、それらの塗料は有機溶媒を多く含み、塗装の際に多くの有機溶媒を大気中に放出する環境問題の観点から好ましくない。
【0004】
そこで前記問題の改善を図る観点から、鋼板にフィルムを貼り付けるフィルムラミネート鋼板が用いられている。
【0005】
フィルムラミネート鋼板では、意匠性を付与する観点から、鋼板あるいは樹脂フィルムのどちらかにあらかじめ塗装および印刷等を施し、その両者を接着剤にて貼り合わせるものである。その方法が特公平5−17031号公報、特公平4−54580号公報、特開平7−276896号公報、特開平8−34092号公報、特開平8−58017号公報、特開平8−238721号公報等に開示されている。
【0006】
ここに使用されている接着剤は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、放射線硬化樹脂等である。しかしこれらの接着剤は耐熱水性に劣り、沸騰水浸漬試験や耐湿性試験などを行なうと、接着剤層中に水が浸透して膨潤したりし、最終的にはフィルムが鋼板から剥離してしまう。このため、塗料中に金属粉末や雲母を主体とする粉末を配合して金属光沢を付与しても、電気ポット等の厨房機器の外装材のような水回りに使用する電気機器等の製品の部材およびそれらの近辺に位置する外装壁材等に使用するには問題があった。
【0007】
また、樹脂フィルム中に金属粉末や雲母を主体とする粉末を配合し、そのフィルムを鋼板に熱ラミネートする方法では、金属光沢を有する意匠性を得るためには金属粉末等を多く含有させる必要があり、その結果、裁断、折り曲げ等の加工時に表面に傷が発生しやすく、またピンホールを生じやすく耐熱水性に劣る問題点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、耐熱水性の劣化を抑制し、水回りに使用する電気機器等の製品の部材製造およびそれらの近辺に位置する外装壁材等に適用可能な、意匠性に優れたフィルムラミネート鋼板を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を達成するために、ラミネートフィルムのような有機樹脂フィルムとの密着性が比較的良好な表面処理鋼板である金属クロム層と水和クロム酸化物層とからなる電解クロメート処理皮膜を有する表面処理鋼板(TFS)を下地鋼板として、有機樹脂フィルムとTFSとの接着界面における接着機構を詳細に検討した。さらに、有機樹脂フィルム接着後の熱水環境下での接着界面を詳細に調査し、高温水蒸気環境において、密着性が劣化する機構についても詳細に調査した。
【0010】
接着機構を調査した結果、樹脂フィルムとTFS界面の接着は水素結合が支配的因子になっていることが判明した。またその接着力は水素結合によるものであるため、共有結合によるもの等に比べてあまり高くない。また、その接着は、接着剤のようなものが介在すると、密着力が阻害される。水性環境においては、樹脂フィルムを透過した水分子がフィルム/TFS界面を攻撃するため、密着性の劣るものは、高温水蒸気環境になるとその劣化がさらに促進させられる。
【0011】
以上で、高温水蒸気環境で密着性が劣化する機構について説明したが、この劣化を抑制するために、本発明者らは、鋼板については、金属クロム層と水和クロム酸化物層からなる電解クロメート処理皮膜を検討し、また、ラミネート方法については、耐熱水性を考慮して、接着剤を用いないで、鋼板に樹脂フィルムを熱融着でラミネートすることを考えた。また、樹脂フィルムにアルミニウム蒸着層を配設することによって、金属光沢を有する意匠性を付与すると同時に水分子の樹脂フィルム透過をさらに改善することを考えた。
【0012】
樹脂フィルムとしては、樹脂フィルムとTFS界面の密着力を向上させ、かつ、水蒸気透過を抑制する必要がある。界面の密着力を向上させるには、TFSとの密着性に優れることが必要であり、そのためには、TFSとの水素結合を向上させることが必要と考えられる。水素結合を向上させるには、樹脂中に水酸基、カルボキシル基等の極性基の導入が望ましい。また、水蒸気透過を抑制するには、芳香環のような剛直な環を有する樹脂フィルムが有効である。
【0013】
また樹脂フィルムにアルミニウムを蒸着する場合、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなオレフィン樹脂は表面自由エネルギーが小さいため、密着性に優れたアルミニウム蒸着層を得ることが困難である。また、アルミニウム蒸着層の上に塗装あるいは印刷が施される場合もある。その場合は塗装・印刷時に加熱されて熱が加わるため、その熱によりラミネート樹脂自体が損なわれないこと、および鋼板との密着性が低下しないこと等も必要である。それらを兼ね備えるには、樹脂フィルムがPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂のようなポリエステル樹脂が有効である。
【0014】
このような考えに基づいて種々検討し、本発明者らは、金属クロム層と水和クロム酸化物層とを含む電解クロメート処理皮膜を有する表面処理鋼板の少なくとも一方の面に、ポリエステル樹脂層とアルミニウム蒸着層を含み、該アルミニウム蒸着層が該ポリエステル樹脂層の上層または該ポリエステル樹脂層内の中間層として配設されている樹脂フィルムを熱融着でラミネートすることにより、耐熱水性の劣化が著しく改善されかつ意匠性に優れたフィルムラミネート鋼板が得られることを見出した。本発明は、本発明者らのこのような知見に基づいて完成されたものである。
【0015】
すなわち、本発明は、第1に、下地鋼板の少なくとも一方の鋼板表面に、下層として片面あたり30mg/m2以上の金属クロム層、上層として片面あたり金属クロム換算で3〜30mg/m2の水和クロム酸化物層を含む電解クロメート処理皮膜を有し、更にその上層に厚さ10μm以上のポリエステル樹脂層と厚さ100Å以上のアルミニウム蒸着層からなり、該アルミニウム蒸着層が該ポリエステル樹脂層の上層として配設されている樹脂フィルム層を有することを特徴とする耐熱水性に優れ、優れた金属光沢を有するフィルムラミネート鋼板を提供する。
【0017】
このような構成を有する本発明によれば、耐熱水性の劣化を抑制し、水回りに使用する電気機器等の製品の部材およびそれらの近辺に位置する外装壁材等に適用可能な、意匠性に優れたフィルムラミネート鋼板を提供することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に係るフィルムラミネート鋼板用表面処理鋼板は、下地鋼板の少なくとも一方の面に、下層として片面あたり30mg/m2以上の金属クロム層,上層として片面あたり金属クロム換算で3〜30mg/m2の水和クロム酸化物層を含む電解クロメート処理皮膜を有し、更にその上層に厚さ10μm以上のポリエステル樹脂層と厚さ100Å以上のアルミニウム蒸着層を含み、該アルミニウム蒸着層は、該ポリエステル樹脂層の上層または該ポリエステル樹脂層内の中間層として配設されている皮膜を有する。
【0019】
本発明において、下地鋼板は特に限定されるものではなく、通常この種の表面処理鋼板に用いられる鋼板であれば使用することができる。例えば、板厚0.1〜0.5mmの通常の低炭素冷延鋼板、低炭素Alキルド鋼板等が用いられる。
【0020】
このような下地鋼板の少なくとも一方の面には、表面処理皮膜として、下層として金属クロム層、上層として水和クロム酸化物層を含む電解クロメート処理皮膜が形成される。ここで下層の金属クロム付着量は、片面あたり30mg/m2以上とするが、好ましくは30〜300mg/m2である。その付着量が30mg/m2未満の場合には耐熱水性に問題を生じる。300mg/m2を越えても性能上問題がないが、経済的観点から好ましくない。
【0021】
上層の水和クロム酸化物の付着量は、片面あたり金属クロム換算で3〜30mg/m2とする。その付着量が3mg/m2未満では金属クロム層が水和クロム酸化物によって均一に覆われず金属層の露出面積が大となり、鋼板と樹脂フィルムの密着性が低下し、耐熱水性が劣化するため好ましくない。また、30mg/m2を越えると水和クロム酸化物層が厚すぎることによって生じる外観の劣化および密着性の劣化を引き起こし耐熱水性が劣るため好ましくない。
【0022】
電解クロメート処理皮膜の上には、ポリエステル樹脂層とアルミニウム蒸着層を含み、該アルミニウム蒸着層は、該ポリエステル樹脂層の上層または該ポリエステル樹脂層内の中間層として配設されている樹脂フィルム層が形成される。
【0023】
ポリエステル樹脂は、下地の表面処理鋼板との密着性に優れ、水蒸気透過を抑制する能力に優れ、また塗装・印刷が施されても樹脂性能が劣化することがなく、耐熱水性に優れる。
【0024】
ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、エチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等を用いることができる。
【0025】
ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンは、水蒸気透過率が大きいため耐熱水性に劣り、また表面自由エネルギーが小さいためアルミニウムとの密着性に劣るため好ましくない。
【0026】
本発明におけるポリエステル樹脂は、一般的に溶融重合で合成される。その分子量は好ましくは5000〜100000であり、そのポリエステル樹脂組成物は、ジカルボン酸成分とグリコール成分から構成されるが、その重合体はいくつかのモノマーを組み合わせて行う共重合体でも構わない。ジカルボン酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等を挙げることができる。一方、グリコール成分としては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができる。
【0027】
また、本発明におけるポリエステル樹脂は、顔料等の添加のないクリアな状態で使用しても構わないし、酸化チタン等の顔料を添加して着色された状態で使用しても構わない。
【0028】
前記ポリエステル樹脂をフィルムにするためには、押出溶融した樹脂をTダ方式でフィルム化する一般的な方法を使用することができる。また、そのフィルムはそのままの無延伸の状態あるいは二軸延伸等の延伸処理を行った状態のどちらで使用しても構わない。
【0029】
本発明のポリエステル樹脂は、厚さ10μm以上で、単層あるいは該樹脂層間にアルミニウム蒸着層を有する二層とするが、好ましくは厚さ10〜200μmである。厚さ10μm未満になると、耐傷つき性に劣ることおよびフィルム製造の際ピンホール等を生じやくすなりその結果耐熱水性に劣る結果となる。200μmを越えても性能上問題はないが、経済的観点から好ましくない。
【0030】
また、ポリエステル樹脂層上もしくは該ポリエステル樹脂層の層間にアルミニウム蒸着層を有する。アルミニウム蒸着層の厚さは100Å以上とするが、好ましくは100〜800Åである。100Å未満では耐熱水性が劣ることおよび金属光沢が不十分であることから意匠性が低下し好ましくない。800Åを越えても性能上問題はないが、経済的観点から好ましくない。
【0031】
ポリエステル樹脂上にアルミニウム層を設ける方法としては包装材料に広く利用されている一般的な方法を用いることができ、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の方法があるが、生産性等の点から真空蒸着が最適である。また蒸着源として抵抗加熱蒸着源、高周波加熱蒸着源、電子ビーム蒸着源等がいずれも用いられ、また蒸着時の真空槽の真空度としては、たとえば2.0×10-5〜2.0×10-4Torrで行われる。
【0032】
また、ポリエステル樹脂層の層間にアルミニウム蒸着層をもうけるには、まずポリエステル樹脂上にアルミニウムを蒸着したのち、その上にポリエステル樹脂を熱ラミネートし貼り合せる。
【0033】
また、本発明のラミネート鋼板はそのまま使用しても構わないし、必要に応じて塗装・印刷して使用しても構わない。
【0034】
次に本発明のラミネート鋼板の製造方法について説明する。
本発明では、鋼板表面に、直接またはクロムめっき後、電解クロメート処理を施し、水洗または水洗および乾燥して、下層として片面あたり30mg/m2以上の金属クロム層、上層として片面あたり金属クロム換算で3〜30mg/m2の水和クロム酸化物層を含む電解クロメート処理皮膜を有する表面処理鋼板(TFS)を製造する。電解クロメート処理方法としては通常用いられる公知の方法を採用することができ、金属クロムと水和クロム酸化物とを同時に析出させる一液法、および金属クロム層形成後に水和クロム酸化物を析出させる二液法のいずれでもよい。
【0035】
前記表面処理鋼板に、厚さ10μm以上のポリエステル樹脂層と厚さ100Å以上のアルミニウム蒸着層を含み、該アルミニウム蒸着層が該ポリエステル樹脂層の上層または該ポリエステル樹脂層内の中間層として配設されている樹脂フィルムがラミネートされる。
【0036】
前記樹脂フィルムは、加熱した鋼板にロールを使用して圧着され、熱溶着によりラミネートされる。ラミネートは公知の方法で行うことができる。金属板に有機樹脂フィルムをラミネートする技術としては、例えば特開昭57−182428号公報、特公昭61−3676号公報等に、金属板側を加熱し、熱融着によって接着する方法が開示されている。ただし、その際、鋼板の加熱温度はポリエステル樹脂の溶融開始温度以上融点以下とする必要がある。鋼板の加熱温度がリエステル樹脂の溶融開始温度未満であると密着性不良から耐熱水性が低下し、ポリエステル樹脂の融点より高いとポリエステル樹脂表面に微少な凹凸が生じ、アルミニウム蒸着層の金属光沢が低下し意匠性が劣る。なお、ポリエステル樹脂の溶融開始温度および融点は、示差熱走査熱量分析(DSC)を用いて、窒素気流下(20ml/min)、10℃/minの昇温速度の条件で測定する。
【0037】
【実施例】
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。
全ての実施例および比較例は、低炭素Alキルド連鋳鋼を用いて、厚さ0.35mm、調質度T4CAの原板鋼帯を製造し、この鋼帯に、クロムめっき後、電解クロメート処理を施し、水洗および乾燥処理して、金属クロム層と水和クロム酸化物層からなる電解クロメート皮膜を形成し、供試表面処理鋼板を得た。
【0038】
前記で得た供試表面処理鋼板から200×300mmの切板を作成し、該切板を所定温度に加熱した後、その両面にアルミニウム蒸着層とポリエステル樹脂層を備える供試樹脂フィルムを2m/秒の速度でラミネートし、ラミネート後該切板を水冷(急冷)して、供試ラミネート鋼板を得た。
【0039】
供試樹脂フィルムの層構造および樹脂の溶融開始温度と融点を表1に示す。なお、樹脂溶融開始温度、樹脂融点の測定は以下のようにして行った。セイコー電子株式会社製示差熱走査熱量分析計SSC-5500を用いて、供試樹脂フィルムの樹脂を、窒素20ml/min気流下、10℃/minの昇温速度で20℃から300℃まで昇温した。結晶融解にともなう吸熱ピークの始まる点を樹脂溶融開始温度、吸熱ピークの頂点を樹脂融点とした。図1は、フィルム種別Aの樹脂フィルムについて、樹脂溶融開始温度と樹脂融点の測定結果を説明する図である。
【0040】
【表1】
【0041】
供試ラミネート鋼板の電解クロメート処理皮膜の付着量、供試樹脂フィルム、ラミネート条件(ラミネート直前の鋼帯温度)を表2に示す。
【0042】
前記で得た供試ラミネート鋼板の耐熱水性と意匠性を次のようにして評価した。
(1)耐熱水性
耐熱水性は、熱水処理後のピール強度で評価した。具体的には、供試ラミネート鋼板(200×300mm)を沸騰水中に24時間浸せきし、その後15mm幅に切断し、25℃、湿度50%環境下で、引張速度100mm/minで樹脂フィルム/鋼板間の180°剥離でのピール強度を測定した。15mm幅の最大ピール強度が1.0kgf以上のものを耐熱水性良好(○)と、それ未満のものを不可(×)と評価した。
【0043】
(2)意匠性
意匠性は、ラミネート鋼板の表面性状を目視観察により評価した。具体的には、下地の表面処理鋼板の皮膜が透けて見えず、またアルミニウム蒸着層が凹凸等なく金属光沢に優れるものを意匠性良好(○)と、それ以外のものを不可(×)と評価した。さらに、両者がいずれも良好なものを総合評価で良好(○)、少なくとも一方が不可評価のものを総合評価が不可(×)とした。
【0044】
評価結果を表2に併せて記載した。
【0045】
【表2】
【0046】
表1、表2から以下のことが分かる。
(発明例1)
金属Cr付着量124mg/m2、金属クロム換算での水和クロム酸化物付着量15mg/m2となるような電解クロメート処理を施した後、上層にアルミニウムを蒸着した二軸配向ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムをラミネートした例である。耐熱水性および意匠性のいずれも優れている。
【0047】
(発明例2〜7、比較例1〜3)
電解クロメート処理条件(処理皮膜付着量)を種々に変えた以外は発明例1と同様にしてラミネート鋼板を得た例である。下層の金属クロム付着量が、片面あたり30mg/m2以上、上層の水和クロム酸化物の付着量が3〜30mg/m2の発明例2〜7は、いずれも耐熱水性、意匠性とも優れていた。
これに対し、下層の金属クロム付着量が30mg/m2未満の比較例1は、耐熱水性に劣っていた。また上層の水和クロム酸化物の付着量が、3mg/m2未満の比較例2は、耐熱水性が劣っていた。さらに、上層クロム水和酸化物の付着量が30mg/m2を越えた比較例3は外観が劣化し耐熱水性が劣っていた。
【0048】
(発明例8〜10、比較例4)
ラミネートする樹脂フィルムのポリエステル樹脂層の厚さを種々に変化させた以外は発明例1と同様にしてラミネート鋼板を得た例である。ポリエステル樹脂層の厚さが10μm以上の発明例8〜10では、いずれも、耐熱水性、意匠性が良好である。これに対しポリエステル樹脂層の厚さが10μm未満の比較例4は耐熱水性が劣っていた。
【0049】
(発明例11〜13、比較例5)
樹脂フィルム上のアルミニウム蒸着層の厚さを種々に変化させた以外は発明例1と同様にしてラミネート鋼板を得た例である。アルミニウム蒸着層の厚さが100Å以上の発明例11〜13は、いずれも、耐熱水性、意匠性が良好である。これに対しアルミニウム蒸着層の厚さが100Å未満の比較例5は耐熱水性、意匠性とも劣っていた。
【0050】
(発明例14、15)
ラミネートする樹脂フィルムの構成を単層から二層に変え、アルミニウム蒸着層をその層間にもうけた以外は、発明例1と同様にしてラミネート鋼板を得た例である。いずれも耐熱水性、意匠性が良好である。
(発明例16、17)
ラミネートする樹脂フィルムを、共重合ポリエステル(発明例16:ポリエチレングリコールとテレフタル酸、イソフタル酸の共重合体)あるいはポリエチレンナフタレート(発明例17)に変えた以外は発明例1と同様にしてラミネート鋼板を得た例である。いずれも耐熱水性、意匠性が良好である。
【0051】
(比較例6、7)
ラミネートする樹脂フィルムをポリエチレン、ポリプロピレンに変え、それ以外は発明例1と同様にしてラミネート鋼板を得た例である。いずれも耐熱水性が劣っていた。
(発明例18〜20、比較例8、9)
ラミネートする際の鋼板加熱温度を種々変化させた以外は発明例1と同様にしてラミネート鋼板を得た例である。ラミネートする際の鋼板加熱温度がポリエステル樹脂の溶融開始温度以上融点以下にある発明例18〜20では、いずれも、耐熱水性、意匠性が良好である。これに対し、ラミネートする際の鋼板加熱温度がポリエステル樹脂の溶融開始温度以下の比較例8では、耐熱水性が劣っていた。またラミネートする際の鋼板加熱温度がポリエステル樹脂の融点以上の比較例9ではラミネート後アルミニウム蒸着面に凹凸が生じ意匠性が劣っていた。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、耐熱水性と意匠性に優れるラミネート鋼板が得られる。本発明によって得られたラミネート鋼板は、水回りに使用する電気機器等の製品の部材およびそれらの近辺に位置する外装壁材等の用途に使用する鋼板として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】フィルム種別Aの樹脂溶融開始温度、樹脂融点測定結果を説明する図。
Claims (1)
- 下地鋼板の少なくとも一方の鋼板表面に、下層として片面あたり30mg/m2以上の金属クロム層、上層として片面あたり金属クロム換算で3〜30mg/m2の水和クロム酸化物層を含む電解クロメート処理皮膜を有し、更にその上層に厚さ10μm以上のポリエステル樹脂層と厚さ100Å以上のアルミニウム蒸着層からなり、該アルミニウム蒸着層が該ポリエステル樹脂層の上層として配設されている樹脂フィルム層を有することを特徴とする耐熱水性に優れ、優れた金属光沢を有するフィルムラミネート鋼板。
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