JP2002079608A - フィルムラミネート鋼板およびその製造方法 - Google Patents

フィルムラミネート鋼板およびその製造方法

Info

Publication number
JP2002079608A
JP2002079608A JP2000271452A JP2000271452A JP2002079608A JP 2002079608 A JP2002079608 A JP 2002079608A JP 2000271452 A JP2000271452 A JP 2000271452A JP 2000271452 A JP2000271452 A JP 2000271452A JP 2002079608 A JP2002079608 A JP 2002079608A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
film
polyester resin
steel sheet
thickness
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000271452A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4714974B2 (ja
Inventor
Shinichiro Mori
慎一郎 森
Hiroki Iwasa
浩樹 岩佐
Shinsuke Watanabe
真介 渡辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NKK Corp, Nippon Kokan Ltd filed Critical NKK Corp
Priority to JP2000271452A priority Critical patent/JP4714974B2/ja
Publication of JP2002079608A publication Critical patent/JP2002079608A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4714974B2 publication Critical patent/JP4714974B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱水性の劣化を抑制し、水回りに使用する
電気機器等の製品の部材製造およびそれらの近辺に位置
する外装壁材等に適用可能な、意匠性に優れたフィルム
ラミネート鋼板およびその製造方法を提供する。 【解決手段】下地鋼板の少なくとも一方の面に、下層と
して片面あたり30mg/m2以上の金属クロム層、上層とし
て片面あたり金属クロム換算で3〜30mg/m2の水和クロム
酸化物層を含む電解クロメート処理皮膜を有し、更にそ
の上層に厚さ10μm以上のポリエステル樹脂層と厚さ100
Å以上のアルミニウム蒸着層を含み、該アルミニウム蒸
着層が該ポリエステル樹脂層の上層または該ポリエステ
ル樹脂層内の中間層として配設されている樹脂フィルム
層を有するフィルムラミネート鋼板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、屋内の水回りで使
用する電気機器等の製品の部材およびそれらの近辺に位
置する外装壁材等の用途に好適なフィルムラミネート鋼
板およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】表面に柄模様を印刷した化粧鋼板は、従
来よりその意匠性等を活かし、家電製品や暖房機器など
の外装部材、内装建材あるいは器物などの用途に使用さ
れている。その中でも金属光沢を有する化粧鋼板は、そ
の高級感から電器ポット、炊飯器等で広く使用されてい
る。
【0003】これまで、それらの用途にはステンレスが
多く使われていた。しかし、ステンレスは非常に高価で
あるため、金属光沢を有する意匠性を付与する観点か
ら、金属粉末を含有する塗料や雲母を主体とする粉末を
配合した塗料を用いて、それらを鋼板上に塗装する方法
が用いられている(特開平5-111991号公報)。このよう
な方法では鋼板上に熱硬化型もしくは放射線硬化型の塗
料を塗装し化粧を行なっていた。しかし、これらの塗装
皮膜は、裁断、折り曲げ等の加工時に表面に傷が発生し
やすくまたピンホールを生じやすいため、耐熱水性に劣
ることの問題があり、また、それらの塗料は有機溶媒を
多く含み、塗装の際に多くの有機溶媒を大気中に放出す
る環境問題の観点から好ましくない。
【0004】そこで前記問題の改善を図る観点から、鋼
板にフィルムを貼り付けるフィルムラミネート鋼板が用
いられている。
【0005】フィルムラミネート鋼板では、意匠性を付
与する観点から、鋼板あるいは樹脂フィルムのどちらか
にあらかじめ塗装および印刷等を施し、その両者を接着
剤にて貼り合わせるものである。その方法が特公平5−1
7031号公報、特公平4−54580号公報、特開平7−276896
号公報、特開平8−34092号公報、特開平8−58017号公
報、特開平8−238721号公報等に開示されている。
【0006】ここに使用されている接着剤は、熱可塑性
樹脂、熱硬化性樹脂、放射線硬化樹脂等である。しかし
これらの接着剤は耐熱水性に劣り、沸騰水浸漬試験や耐
湿性試験などを行なうと、接着剤層中に水が浸透して膨
潤したりし、最終的にはフィルムが鋼板から剥離してし
まう。このため、塗料中に金属粉末や雲母を主体とする
粉末を配合して金属光沢を付与しても、電気ポット等の
厨房機器の外装材のような水回りに使用する電気機器等
の製品の部材およびそれらの近辺に位置する外装壁材等
に使用するには問題があった。
【0007】また、樹脂フィルム中に金属粉末や雲母を
主体とする粉末を配合し、そのフィルムを鋼板に熱ラミ
ネートする方法では、金属光沢を有する意匠性を得るた
めには金属粉末等を多く含有させる必要があり、その結
果、裁断、折り曲げ等の加工時に表面に傷が発生しやす
く、またピンホールを生じやすく耐熱水性に劣る問題点
がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる事情に
鑑みてなされたものであって、耐熱水性の劣化を抑制
し、水回りに使用する電気機器等の製品の部材製造およ
びそれらの近辺に位置する外装壁材等に適用可能な、意
匠性に優れたフィルムラミネート鋼板およびその製造方
法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を達成するために、ラミネートフィルムのような有機樹
脂フィルムとの密着性が比較的良好な表面処理鋼板であ
る金属クロム層と水和クロム酸化物層とからなる電解ク
ロメート処理皮膜を有する表面処理鋼板(TFS)を下地
鋼板として、有機樹脂フィルムとTFSとの接着界面にお
ける接着機構を詳細に検討した。さらに、有機樹脂フィ
ルム接着後の熱水環境下での接着界面を詳細に調査し、
高温水蒸気環境において、密着性が劣化する機構につい
ても詳細に調査した。
【0010】接着機構を調査した結果、樹脂フィルムと
TFS界面の接着は水素結合が支配的因子になっているこ
とが判明した。またその接着力は水素結合によるもので
あるため、共有結合によるもの等に比べてあまり高くな
い。また、その接着は、接着剤のようなものが介在する
と、密着力が阻害される。水性環境においては、樹脂フ
ィルムを透過した水分子がフィルム/TFS界面を攻撃す
るため、密着性の劣るものは、高温水蒸気環境になると
その劣化がさらに促進させられる。
【0011】以上で、高温水蒸気環境で密着性が劣化す
る機構について説明したが、この劣化を抑制するため
に、本発明者らは、鋼板については、金属クロム層と水
和クロム酸化物層からなる電解クロメート処理皮膜を検
討し、また、ラミネート方法については、耐熱水性を考
慮して、接着剤を用いないで、鋼板に樹脂フィルムを熱
融着でラミネートすることを考えた。また、樹脂フィル
ムにアルミニウム蒸着層を配設することによって、金属
光沢を有する意匠性を付与すると同時に水分子の樹脂フ
ィルム透過をさらに改善することを考えた。
【0012】樹脂フィルムとしては、樹脂フィルムとTF
S界面の密着力を向上させ、かつ、水蒸気透過を抑制す
る必要がある。界面の密着力を向上させるには、TFSと
の密着性に優れることが必要であり、そのためには、TF
Sとの水素結合を向上させることが必要と考えられる。
水素結合を向上させるには、樹脂中に水酸基、カルボキ
シルキ等の極性基の導入が望ましい。また、水蒸気透過
を抑制するには、芳香環のような剛直な環を有する樹脂
フィルムが有効である。
【0013】また樹脂フィルムにアルミニウムを蒸着す
る場合、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなオレフ
ィン樹脂は表面自由エネルギーが小さいため、密着性に
優れたアルミニウム蒸着層を得ることが困難である。ま
た、アルミニウム蒸着層の上に塗装あるいは印刷が施さ
れる場合もある。その場合は塗装・印刷時に加熱されて
熱が加わるため、その熱によりラミネート樹脂自体が損
なわれないこと、および鋼板との密着性が低下しないこ
と等も必要である。それらを兼ね備えるには、樹脂フィ
ルムがPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂のよう
なポリエステル樹脂が有効である。
【0014】このような考えに基づいて種々検討し、本
発明者らは、金属クロム層と水和クロム酸化物層とを含
む電解クロメート処理皮膜を有する表面処理鋼板の少な
くとも一方の面に、ポリエステル樹脂層とアルミニウム
蒸着層を含み、該アルミニウム蒸着層が該ポリエステル
樹脂層の上層または該ポリエステル樹脂層内の中間層と
して配設されている樹脂フィルムを熱融着でラミネート
することにより、耐熱水性の劣化が著しく改善されかつ
意匠性に優れたフィルムラミネート鋼板が得られること
を見出した。本発明は、本発明者らのこのような知見に
基づいて完成されたものである。
【0015】すなわち、本発明は、第1に、下地鋼板の
少なくとも一方の面に、下層として片面あたり30mg/m2
以上の金属クロム層、上層として片面あたり金属クロム
換算で3〜30mg/m2の水和クロム酸化物層を含む電解クロ
メート処理皮膜を有し、更にその上層にポリエステル樹
脂層とアルミニウム蒸着層を含み、該アルミニウム蒸着
層が該ポリエステル樹脂層の上層または該ポリエステル
樹脂層内の中間層として配設されている樹脂フィルム層
を有することを特徴とするフィルムラミネート鋼板を提
供する。
【0016】第2に、前記第1に記載のフィルムラミネー
ト鋼板を製造するにあたり、厚さ10μm以上のポリエス
テル樹脂層と厚さ100Å以上のアルミニウム蒸着層を含
み、該アルミニウム蒸着層は、該ポリエステル樹脂層の
上層または該ポリエステル樹脂層内の中間層として配設
されている樹脂フィルムを、該フィルムに含まれるポリ
エステル樹脂の溶融開始温度以上融点以下の温度に加熱
した鋼板の少なくとも一方の面に、熱ラミネートするこ
とを特徴とするフィルムラミネート鋼板の製造方法を提
供する。
【0017】このような構成を有する本発明によれば、
耐熱水性の劣化を抑制し、水回りに使用する電気機器等
の製品の部材およびそれらの近辺に位置する外装壁材等
に適用可能な、意匠性に優れたフィルムラミネート鋼板
を提供することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明に係るフィルムラミネート鋼板用表面処理
鋼板は、下地鋼板の少なくとも一方の面に、下層として
片面あたり30mg/m2以上の金属クロム層,上層として片
面あたり金属クロム換算で3〜30mg/m2の水和クロム酸化
物層を含む電解クロメート処理皮膜を有し、更にその上
層に厚さ10μm以上のポリエステル樹脂層と厚さ100Å以
上のアルミニウム蒸着層を含み、該アルミニウム蒸着層
は、該ポリエステル樹脂層の上層または該ポリエステル
樹脂層内の中間層として配設されている皮膜を有する。
【0019】本発明において、下地鋼板は特に限定され
るものではなく、通常この種の表面処理鋼板に用いられ
る鋼板であれば使用することができる。例えば、板厚0.
1〜0.5mmの通常の低炭素冷延鋼板、低炭素Alキルド鋼板
等が用いられる。
【0020】このような下地鋼板の少なくとも一方の面
には、表面処理皮膜として、下層として金属クロム層、
上層として水和クロム酸化物層を含む電解クロメート処
理皮膜が形成される。ここで下層の金属クロム付着量
は、片面あたり30mg/m2以上とするが、好ましくは30〜3
00mg/m2である。その付着量が30mg/m2未満の場合には耐
熱水性に問題を生じる。300mg/m2を越えても性能上問題
がないが、経済的観点から好ましくない。
【0021】上層の水和クロム酸化物の付着量は、片面
あたり金属クロム換算で3〜30mg/m2とする。その付着量
が3mg/m2未満では金属クロム層が水和クロム酸化物によ
って均一に覆われず金属層の露出面積が大となり、鋼板
と樹脂フィルムの密着性が低下し、耐熱水性が劣化する
ため好ましくない。また、30mg/m2を越えると水和クロ
ム酸化物層が厚すぎることによって生じる外観の劣化お
よび密着性の劣化を引き起こし耐熱水性が劣るため好ま
しくない。
【0022】電解クロメート処理皮膜の上には、ポリエ
ステル樹脂層とアルミニウム蒸着層を含み、該アルミニ
ウム蒸着層は、該ポリエステル樹脂層の上層または該ポ
リエステル樹脂層内の中間層として配設されている樹脂
フィルム層が形成される。
【0023】ポリエステル樹脂は、下地の表面処理鋼板
との密着性に優れ、水蒸気透過を抑制する能力に優れ、
また塗装・印刷が施されても樹脂性能が劣化することが
なく、耐熱水性に優れる。
【0024】ポリエステル樹脂としては、ポリエチレン
テレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチ
レンナフタレート、エチレンテレフタレート/イソフタ
レート共重合体等を用いることができる。
【0025】ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオ
レフィンは、水蒸気透過率が大きいため耐熱水性に劣
り、また表面自由エネルギーが小さいためアルミニウム
との密着性に劣るため好ましくない。
【0026】本発明におけるポリエステル樹脂は、一般
的に溶融重合で合成される。その分子量は好ましくは50
00〜100000であり、そのポリエステル樹脂組成物は、ジ
カルボン酸成分とグリコール成分から構成されるが、そ
の重合体はいくつかのモノマーを組み合わせて行う共重
合体でも構わない。ジカルボン酸としてはテレフタル
酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等を挙げる
ことができる。一方、グリコール成分としては、エチレ
ングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロパ
ンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメ
タノール等をを挙げることができる。
【0027】また、本発明におけるポリエステル樹脂
は、顔料等の添加のないクリアな状態で使用しても構わ
ないし、酸化チタン等の顔料を添加して着色された状態
で使用しても構わない。
【0028】前記ポリエステル樹脂をフィルムにするた
めには、押出溶融した樹脂をTダ方式でフィルム化する
一般的な方法を使用することができる。また、そのフィ
ルムはそのままの無延伸の状態あるいは二軸延伸等の延
伸処理を行った状態のどちらで使用しても構わない。
【0029】本発明のポリエステル樹脂は、厚さ10μm
以上で、単層あるいは該樹脂層間にアルミニウム蒸着層
を有する二層とするが、好ましくは厚さ10〜200μmであ
る。厚さ10μm未満になると、耐傷つき性に劣ることお
よびフィルム製造の際ピンホール等を生じやくすなりそ
の結果耐熱水性に劣る結果となる。200μmを越えても性
能上問題はないが、経済的観点から好ましくない。
【0030】また、ポリエステル樹脂層上もしくは該ポ
リエステル樹脂層の層間にアルミニウム蒸着層を有す
る。アルミニウム蒸着層の厚さは100Å以上とするが、
好ましくは100〜800Åある。100Å未満では耐熱水性が
劣ることおよび金属光沢が不十分であることから意匠性
が低下し好ましくない。800Åを越えても性能上問題は
ないが、経済的観点から好ましくない。
【0031】ポリエステル樹脂上にアルミニウム層を設
ける方法としては包装材料に広く利用されている一般的
な方法を用いることができ、真空蒸着、スパッタリン
グ、イオンプレーティング等の方法があるが、生産性等
の点から真空蒸着が最適である。また蒸着源として抵抗
加熱蒸着源、高周波加熱蒸着源、電子ビーム蒸着源等が
いずれも用いられ、また蒸着時の真空槽の真空度として
は、たとえば2.0×10-5〜2.0×10-4Torrで行われる。
【0032】また、ポリエステル樹脂層の層間にアルミ
ニウム蒸着層をもうけるには、まずポリエステル樹脂上
にアルミニウムを蒸着したのち、その上にポリエステル
樹脂を熱ラミネートし貼り合せる。
【0033】また、本発明のラミネート鋼板はそのまま
使用しても構わないし、必要に応じて塗装・印刷して使
用しても構わない。
【0034】次に本発明のラミネート鋼板の製造方法に
ついて説明する。本発明では、鋼板表面に、直接または
クロムめっき後、電解クロメート処理を施し、水洗また
は水洗および乾燥して、下層として片面あたり30mg/m2
以上の金属クロム層、上層として片面あたり金属クロム
換算で3〜30mg/m2の水和クロム酸化物層を含む電解クロ
メート処理皮膜を有する表面処理鋼板(TFS)を製造す
る。電解クロメート処理方法としては通常用いられる公
知の方法を採用することができ、金属クロムと水和クロ
ム酸化物とを同時に析出させる一液法、および金属クロ
ム層形成後に水和クロム酸化物を析出させる二液法のい
ずれでもよい。
【0035】前記表面処理鋼板に、厚さ10μm以上のポ
リエステル樹脂層と厚さ100Å以上のアルミニウム蒸着
層を含み、該アルミニウム蒸着層が該ポリエステル樹脂
層の上層または該ポリエステル樹脂層内の中間層として
配設されている樹脂フィルムがラミネートされる。
【0036】前記樹脂フィルムは、加熱した鋼板にロー
ルを使用して圧着され、熱溶着によりラミネートされ
る。ラミネートは公知の方法で行うことができる。金属
板に有機樹脂フィルムをラミネートする技術としては、
例えば特開昭57−182428号公報、特公昭61−3676号公報
等に、金属板側を加熱し、熱融着によって接着する方法
が開示されている。ただし、その際、鋼板の加熱温度は
ポリエステル樹脂の溶融開始温度以上融点以下とする必
要がある。鋼板の加熱温度がリエステル樹脂の溶融開始
温度未満であると密着性不良から耐熱水性が低下し、ポ
リエステル樹脂の融点より高いとポリエステル樹脂表面
に微少な凹凸が生じ、アルミニウム蒸着層の金属光沢が
低下し意匠性が劣る。なお、ポリエステル樹脂の溶融開
始温度および融点は、示差熱走査熱量分析(DSC)を用
いて、窒素気流下(20ml/min)、10℃/minの昇温速度の
条件で測定する。
【0037】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例について説明
する。全ての実施例および比較例は、低炭素Alキルド連
鋳鋼を用いて、厚さ0.35mm、調質度T4CAの原板鋼帯を製
造し、この鋼帯に、クロムめっき後、電解クロメート処
理を施し、水洗および乾燥処理して、金属クロム層と水
和クロム酸化物層からなる電解クロメート皮膜を形成
し、供試表面処理鋼板を得た。
【0038】前記で得た供試表面処理鋼板から200×300
mmの切板を作成し、該切板を所定温度に加熱した後、そ
の両面にアルミニウム蒸着層とポリエステル樹脂層を備
える供試樹脂フィルムを2m/秒の速度でラミネートし、
ラミネート後該切板を水冷(急冷)して、供試ラミネー
ト鋼板を得た。
【0039】供試樹脂フィルムの層構造および樹脂の溶
融開始温度と融点を表1に示す。なお、樹脂溶融開始温
度、樹脂融点の測定は以下のようにして行った。セイコ
ー電子株式会社製示差熱走査熱量分析計SSC-5500を用い
て、供試樹脂フィルムの樹脂を、窒素20ml/min気流
下、10℃/minの昇温速度で20℃から300℃まで昇温し
た。結晶融解にともなう吸熱ピークの始まる点を樹脂溶
融開始温度、吸熱ピークの頂点を樹脂融点とした。図1
は、フィルム種別Aの樹脂フィルムについて、樹脂溶融
開始温度と樹脂融点の測定結果を説明する図である。
【0040】
【表1】
【0041】供試ラミネート鋼板の電解クロメート処理
皮膜の付着量、供試樹脂フィルム、ラミネート条件(ラ
ミネート直前の鋼帯温度)を表2に示す。
【0042】前記で得た供試ラミネート鋼板の耐熱水性
と意匠性を次のようにして評価した。 (1)耐熱水性 耐熱水性は、熱水処理後のピール強度で評価した。具体
的には、供試ラミネート鋼板(200×300mm)を沸騰水中
に24時間浸せきし、その後15mm幅に切断し、25℃、湿度
50%環境下で、引張速度100mm/minで樹脂フィルム/鋼
板間の180°剥離でのピール強度を測定した。15mm幅の
最大ピール強度が1.0kgf以上のものを耐熱水性良好
(○)と、それ未満のものを不可(×)と評価した。
【0043】(2)意匠性 意匠性は、ラミネート鋼板の表面性状を目視観察により
評価した。具体的には、下地の表面処理鋼板の皮膜が透
けて見えず、またアルミニウム蒸着層が凹凸等なく金属
光沢に優れるものを意匠性良好(○)と、それ以外のも
のを不可(×)と評価した。さらに、両者がいずれも良
好なものを総合評価で良好(○)、少なくとも一方が不
可評価のものを総合評価が不可(×)とした。
【0044】評価結果を表2に併せて記載した。
【0045】
【表2】
【0046】表1、表2から以下のことが分かる。 (発明例1)金属Cr付着量124mg/m2、金属クロム換算で
の水和クロム酸化物付着量15mg/m 2となるような電解ク
ロメート処理を施した後、上層にアルミニウムを蒸着し
た二軸配向ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを
ラミネートした例である。耐熱水性および意匠性のいず
れも優れている。
【0047】(発明例2〜7、比較例1〜3)電解クロメー
ト処理条件(処理皮膜付着量)を種々に変えた以外は発
明例1と同様にしてラミネート鋼板を得た例である。下
層の金属クロム付着量が、片面あたり30mg/m2以上、上
層の水和クロム酸化物の付着量が3〜30mg/m2の発明例2
〜7は、いずれも耐熱水性、意匠性とも優れていた。こ
れに対し、下層の金属クロム付着量が30mg/m2未満の比
較例1は、耐熱水性に劣っていた。また上層の水和クロ
ム酸化物の付着量が、3mg/m2未満の比較例2は、耐熱水
性が劣っていた。さらに、上層クロム水和酸化物の付着
量が30mg/m2を越えた比較例3は外観が劣化し耐熱水性が
劣っていた。
【0048】(発明例8〜10、比較例4)ラミネートする
樹脂フィルムのポリエステル樹脂層の厚さを種々に変化
させた以外は発明例1と同様にしてラミネート鋼板を得
た例である。ポリエステル樹脂層の厚さが10μm以上の
発明例8〜10では、いずれも、耐熱水性、意匠性が良好
である。これに対しポリエステル樹脂層の厚さが10μm
未満の比較例4は耐熱水性が劣っていた。
【0049】(発明例11〜13、比較例5)樹脂フィルム
上のアルミニウム蒸着層の厚さを種々に変化させた以外
は発明例1と同様にしてラミネート鋼板を得た例であ
る。アルミニウム蒸着層の厚さが100Å以上の発明例11
〜13は、いずれも、耐熱水性、意匠性が良好である。こ
れに対しアルミニウム蒸着層の厚さが100Å未満の比較
例5は耐熱水性、意匠性とも劣っていた。
【0050】(発明例14、15)ラミネートする樹脂フィ
ルムの構成を単層から二層に変え、アルミニウム蒸着層
をその層間にもうけた以外は、発明例1と同様にしてラ
ミネート鋼板を得た例である。いずれも耐熱水性、意匠
性が良好である。 (発明例16、17)ラミネートする樹脂フィルムを、共重
合ポリエステル(発明例16:ポリエチレングリコールと
テレフタル酸、イソフタル酸の共重合体)あるいはポリ
エチレンナフタレート(発明例17)に変えた以外は発明
例1と同様にしてラミネート鋼板を得た例である。いず
れも耐熱水性、意匠性が良好である。
【0051】(比較例6、7)ラミネートする樹脂フィル
ムをポリエチレン、ポリプロピレンに変え、それ以外は
発明例1と同様にしてラミネート鋼板を得た例である。
いずれも耐熱水性が劣っていた。 (発明例18〜20、比較例8、9)ラミネートする際の鋼板
加熱温度を種々変化させた以外は発明例1と同様にして
ラミネート鋼板を得た例である。ラミネートする際の鋼
板加熱温度がポリエステル樹脂の溶融開始温度以上融点
以下にある発明例18〜20では、いずれも、耐熱水性、意
匠性が良好である。これに対し、ラミネートする際の鋼
板加熱温度がポリエステル樹脂の溶融開始温度以下の比
較例8では、耐熱水性が劣っていた。またラミネートす
る際の鋼板加熱温度がポリエステル樹脂の融点以上の比
較例9ではラミネート後アルミニウム蒸着面に凹凸が生
じ意匠性が劣っていた。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
耐熱水性と意匠性に優れるラミネート鋼板が得られる。
本発明によって得られたラミネート鋼板は、水回りに使
用する電気機器等の製品の部材およびそれらの近辺に位
置する外装壁材等の用途に使用する鋼板として好適であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】フィルム種別Aの樹脂溶融開始温度、樹脂融点測
定結果を説明する図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 9:00 B29L 9:00 (72)発明者 渡辺 真介 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4F100 AA22B AB03A AB10D AK41C AK41E AK42 AK42J AL01 BA04 BA05 BA07 BA10A BA10D BA10E BA13 EC032 EH012 EH66D EH71 EJ421 EJ69B GB07 GB08 GB48 HB00 JA20C JA20E JB07 JJ03 YY00B YY00C YY00E 4F211 AA24 AD03 AG03 AH42 AH47 AH48 TA01 TC02 TC05 TD11 TH02 TH21 TQ03

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下地鋼板の少なくとも一方の面に、下層
    として片面あたり30mg/m2以上の金属クロム層、上層と
    して片面あたり金属クロム換算で3〜30mg/m2の水和クロ
    ム酸化物層を含む電解クロメート処理皮膜を有し、更に
    その上層に厚さ10μm以上のポリエステル樹脂層と厚さ1
    00Å以上のアルミニウム蒸着層を含み、該アルミニウム
    蒸着層が該ポリエステル樹脂層の上層または該ポリエス
    テル樹脂層内の中間層として配設されている樹脂フィル
    ム層を有することを特徴とするフィルムラミネート鋼
    板。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のフィルムラミネート鋼板
    を製造するにあたり、厚さ10μm以上のポリエステル樹
    脂層と厚さ100Å以上のアルミニウム蒸着層を含み、該
    アルミニウム蒸着層は、該ポリエステル樹脂層の上層ま
    たは該ポリエステル樹脂層内の中間層として配設されて
    いる樹脂フィルムを、該フィルムに含まれるポリエステ
    ル樹脂の溶融開始温度以上融点以下の温度に加熱した鋼
    板の少なくとも一方の面に、熱ラミネートすることを特
    徴とするフィルムラミネート鋼板の製造方法。
JP2000271452A 2000-09-07 2000-09-07 フィルムラミネート鋼板 Expired - Fee Related JP4714974B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000271452A JP4714974B2 (ja) 2000-09-07 2000-09-07 フィルムラミネート鋼板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000271452A JP4714974B2 (ja) 2000-09-07 2000-09-07 フィルムラミネート鋼板

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002079608A true JP2002079608A (ja) 2002-03-19
JP4714974B2 JP4714974B2 (ja) 2011-07-06

Family

ID=18757736

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000271452A Expired - Fee Related JP4714974B2 (ja) 2000-09-07 2000-09-07 フィルムラミネート鋼板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4714974B2 (ja)

Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59106958A (ja) * 1982-12-13 1984-06-20 東洋製罐株式会社 アルミニウム層を含む積層体
JPS61144341A (ja) * 1984-12-18 1986-07-02 尾池工業株式会社 包装用裏貼りシ−ト
JPS62152747A (ja) * 1985-12-26 1987-07-07 株式会社 麗光 レトルト用蒸着フイルム
JPS62286734A (ja) * 1986-06-06 1987-12-12 東洋鋼鈑株式会社 容器用樹脂被覆鋼板
JPS6382740A (ja) * 1986-09-26 1988-04-13 日本金属株式会社 積層シ−ト
JPH03180339A (ja) * 1989-12-11 1991-08-06 Toyo Kohan Co Ltd 加工性、加工耐食性の優れたポリエステル樹脂フイルム積層Snめっき鋼板
JPH062114A (ja) * 1992-06-18 1994-01-11 Taoka Chem Co Ltd 金属蒸着箔着色用組成物
JPH08118539A (ja) * 1994-10-24 1996-05-14 Dainippon Printing Co Ltd 金属化粧板
JPH09207296A (ja) * 1996-02-07 1997-08-12 Toray Ind Inc 金属板ラミネート用積層フイルム
JPH1134223A (ja) * 1997-07-15 1999-02-09 Oike Ind Co Ltd Pvc鋼板用アルミ蒸着ラミネートフィルム
JP2000167978A (ja) * 1998-12-11 2000-06-20 Nkk Corp 化粧鋼板及びその製造方法

Patent Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59106958A (ja) * 1982-12-13 1984-06-20 東洋製罐株式会社 アルミニウム層を含む積層体
JPS61144341A (ja) * 1984-12-18 1986-07-02 尾池工業株式会社 包装用裏貼りシ−ト
JPS62152747A (ja) * 1985-12-26 1987-07-07 株式会社 麗光 レトルト用蒸着フイルム
JPS62286734A (ja) * 1986-06-06 1987-12-12 東洋鋼鈑株式会社 容器用樹脂被覆鋼板
JPS6382740A (ja) * 1986-09-26 1988-04-13 日本金属株式会社 積層シ−ト
JPH03180339A (ja) * 1989-12-11 1991-08-06 Toyo Kohan Co Ltd 加工性、加工耐食性の優れたポリエステル樹脂フイルム積層Snめっき鋼板
JPH062114A (ja) * 1992-06-18 1994-01-11 Taoka Chem Co Ltd 金属蒸着箔着色用組成物
JPH08118539A (ja) * 1994-10-24 1996-05-14 Dainippon Printing Co Ltd 金属化粧板
JPH09207296A (ja) * 1996-02-07 1997-08-12 Toray Ind Inc 金属板ラミネート用積層フイルム
JPH1134223A (ja) * 1997-07-15 1999-02-09 Oike Ind Co Ltd Pvc鋼板用アルミ蒸着ラミネートフィルム
JP2000167978A (ja) * 1998-12-11 2000-06-20 Nkk Corp 化粧鋼板及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4714974B2 (ja) 2011-07-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH0534143B2 (ja)
EP0312306A1 (en) Laminated metal sheet
WO1989003307A1 (en) Laminated metal sheet
EP0134958A2 (en) Formable metal-plastic-metal structural laminates
WO2000032378A1 (fr) Film de resine destine a produire un stratifie decoratif, et stratifie decoratif comportant ledit film de resine
JPS5882717A (ja) ポリエステル樹脂フイルム被覆金属板の製造方法
JPH01249331A (ja) 加工性に優れたポリエステル樹脂被覆金属板の製造方法
JP4253780B2 (ja) ガスバリア性フィルム
JP2002079608A (ja) フィルムラミネート鋼板およびその製造方法
WO2000058087A1 (fr) Tole de metal enduite de resine de polyester, et boite de conserve utilisant cette tole
JP3849826B2 (ja) 成形加工用フィルム被覆金属板
AU3909699A (en) Hydroxy-functional polyether laminates
JPH08118539A (ja) 金属化粧板
JP4564171B2 (ja) 化粧金属板及びその化粧金属板を用いたユニットバス
JPS62286734A (ja) 容器用樹脂被覆鋼板
JPH0286433A (ja) 耐エナメルフェザリング性及び耐食性に優れた缶用アルミニウム材の製造方法
JP2803837B2 (ja) ポリエステル樹脂フィルム積層鋼板の製造方法
JP2005238718A (ja) 平滑性に優れた容器用ラミネート金属板およびその製造方法
JPH04105931A (ja) Eoe用複合鋼板及び製造法
JP3034811B2 (ja) 熱可塑性ポリエステル樹脂被覆表面処理鋼板およびその製造方法
JP2002113809A (ja) 樹脂フィルム積層めっき鋼板、それを用いた缶、および樹脂フィルム積層めっき鋼板の製造方法
JPH0221936B2 (ja)
JP3125157B2 (ja) 加工密着性に優れた樹脂被覆鋼板の製造方法
JP3301212B2 (ja) 金属貼合せ用ポリエステル複合フィルム
JP3485003B2 (ja) ラミネート金属板の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20060921

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070528

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090724

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090811

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100209

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100907

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101105

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110301

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110314

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140408

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees