JP4714491B2 - 樹脂成形品の製造方法、樹脂成形用金型、プラスチック光学素子及びディスプレイ装置、並びに画像形成装置 - Google Patents

樹脂成形品の製造方法、樹脂成形用金型、プラスチック光学素子及びディスプレイ装置、並びに画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、レーザービームプリンタ、複写機等の画像形成装置の光走査系、ビデオカメラ及びプロジェクタ等の光学素子、光ディスク等に適用されるプラスチック光学素子など、高精度な形状精度が要求される熱可塑性プラスチック成形品の成形に好適な、樹脂成形品の製造方法、樹脂成形用金型、該製造方法または該金型により成形されたプラスチック光学素子、及び該プラスチック光学素子を備えたディスプレイ装置、並びに画像形成装置に関する。
従来、一般に、プラスチック成形品は、金型内に形成された所望の形状空間(以下、「キャビティ」という。)に溶融樹脂を射出・充填し、その後使用樹脂の軟化温度以下まで冷却・固化させることによって成形される。この方法にあっては、溶融樹脂充填直後のキャビティ温度分布はキャビティ内の樹脂体積及び位置に応じた温度分布を有している。すなわち、成形品の肉厚部は薄肉部より温度が高く、同じ肉厚の場合でも成形品の中央部が外周部より温度が高くなる。
このため,キャビティ形状が複雑である、場所による肉厚差が大きい、大面積であるといった場合、そのまま冷却しても温度分布が均一にならず、形状精度の悪化や歪みの発生といった問題が生じる。高精度かつ低内部歪みが要求されるような光学部品では特に問題となる。従って、成形中のキャビティ内温度分布を均一に保つ必要があり、これまでも様々な方法が提案されている。
これまで提案されている従来の方法は、大きく下記3つに大別される。第1に、熱媒体流路やヒーターをキャビティ形状に応じて適切な位置にレイアウトしたり、複数設けて場所ごとに精密に温度制御する方法がある。この方法は、例えば特開平5−169543号公報、特開平5−278088号公報等に開示されている。
第2に、金型部材を熱伝導の異なる部材で構成し,温度分布が均一維持できるようにする。この方法は、例えば特開平6−114885公報、特開平8−142147号公報等に開示されている。
第3に、キャビティ表面に高熱伝導膜を積層する、もしくは、表面を直接通電発熱させる。この方法は、例えば特開平11−922号公報、特開2000−823号公報等に開示されている。
特開平5−169543号公報 特開平5−278088号公報 特開平6−114885公報 特開平8−142147号公報 特開平11−922号公報 特開2000−823号公報
しかし、前記第1の方法では次のような問題がある。温度制御性及び応答性を良くするためには、なるべくキャビティ近傍に熱媒体流路やヒーターをレイアウトするのがよい。しかし,実際には熱媒体流路自体が空洞になるため、キャビティ近傍に配置すると、充填時の圧力でキャビティ駒自体が変形し、成形品精度が悪化するといった問題が生じる。この問題を回避するためにキャビティから離れた位置に配置すると、制御性、応答性が悪くなり、十分な均一化を図ることができない。また、ヒーターを用いた場合でもヒーターの径とその挿入穴の径を完全一致させることは困難であり、わずかでもクリアランスがあると熱媒体のときと同様変形が生じる。また,上記クリアランスは均等に存在しえないためヒーターと挿入穴の非接触部分と接触部分とで熱伝導性が大きく変わり、逆に温度分布を生じさせる結果となる。
また、前記第2の方法では次のような問題がある。異部材で金型を構成すると熱膨張の差から金型加熱時にキャビティ駒に歪み(変形)を生じさせてしまう。また断熱板等を用いた場合は、その剛性が不充分でありやはりキャビティ駒変形の原因となる。また、光学部品のように要求精度の高いものの場合、樹脂ロットや成形機の変更や金型のメンテナンス等でわずかに温度分布や条件が変わることがある。しかし、上記異部材による方法では、温度調節手段がないためそのような場合の変化に対応することができない。
また、前記第3の方法では次のような問題がある。キャビティ表面に熱伝導層を設ける場合薄すぎると均一化の効果が少なく、厚すぎると逆に母材との熱膨張差の問題から歪みが生じてしまう。またキャビティ表面自体を発熱体とする場合は、光学部品等に適用する場合、表面の高精度な加工が難しい。また、メンテナンスに時間を要するといった問題も生じる。
本発明は、上記のような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、高精度に加工されたキャビティ表面を歪ませることなくかつキャビティ内温度分布を均一にすることのできる成形方法及び成形用金型、プラスチック光学素子、このプラスチック光学素子を備えたディスプレイ装置及び画像形成装置を提供することを課題とする。
前記のように、キャビティの均熱化のためには、キャビティ近傍での温度制御、もしくはキャビティ形状に沿って温度制御することが望ましいが、従来のように熱媒体流路や制御用ヒーター孔等をキャビティ近傍に配置すると、その部分が空隙となるために溶融樹脂をキャビティに充填する時に発生する高い圧力で、キャビティ駒が変形してしまうと言った問題があった。
ここで、本発明の発明者はキャビティ内溶融樹脂の圧力・温度挙動に着目した。図1は、図2に示すプラスチック光学素子であるミラーを成形した時の、キャビティ壁の温度と樹脂圧力の測定結果の一例を示す図である。溶融樹脂をキャビティ内に充填直後,温度・圧力ともに急激に上昇し、その後冷却に伴って低下していく。この時、温度の低下速度と比較して圧力の低下速度が急速であることがわかる。このことから、発明者は、溶融樹脂をキャビティ内に充填した時に、キャビティ駒が変形しないように強度が求められるのは充填直後から内圧が低下するまでで(図1のA部)であり、その後、キャビティ内の溶融樹脂が金型温度まで冷却される過程(図1のB部)では、殆ど圧力がないことを見出し、各請求項の発明をなした。
請求項1の発明は、溶融樹脂をその樹脂の軟化温度未満の温度に保持された1対の金型によって形成された形状空間内に射出充填し、その後、樹脂を溶融温度から軟化温度未満まで冷却固化させ、金型を開いて固化した樹脂を取り出すようにした樹脂成形品の製造方法において、前記射出充填後、成形品を取り出すまでの冷却過程中に、前記金型を僅かに型開きすることによって前記金型の外周面に沿って少なくとも1箇所以上に空隙を形成させることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載の樹脂成形品の製造方法であって、前記金型部位に形成された前記空隙内の温度を制御することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の樹脂成形品の製造方法であって、前記金型部位に前記空隙を形成後、該空隙内に気体もしくは液体の加熱および冷却媒体を流通させることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂成形品の製造方法であって、前記金型部位に前記空隙を形成後、該空隙内に流通させる気体もしくは液体の加熱および冷却媒体の流通時間を変えることによって前記空隙内の温度を制御することを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂成形品の製造方法であって、前記金型部位に前記空隙を形成後、該空隙内に流通させる気体もしくは液体の加熱および冷却媒体の流量を変えることによって前記空隙内の温度を制御することを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂成形品の製造方法であって、前記金型部位に前記空隙を形成後、該空隙内に流通させる気体もしくは液体の加熱および冷却媒体の温度を変えることによって前記空隙内の温度を制御することを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂成形品の製造方法であって、前記金型部位に形成される前記空隙の大きさを変えることによって該空隙内の温度を制御することを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1〜のいずれか一項に記載の樹脂成形品の製造方法であって、前記金型キャビティ内に溶融樹脂を充填するときには、金型外部に設けられた押圧手段にて充填圧以上の力で押圧していることを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1〜のいずれか一項に記載の樹脂成形品の製造方法であって、前記金型キャビティ内に溶融樹脂を充填する時に、前記キャビティ内の圧力をモニターし、前記圧力モニター値に基づいて、前記空隙を形成させることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、射出充填後、成形品を取り出すまでの冷却過程中に、キャビティ駒が変形しない程度まで内圧低下後に、金型キャビティ面以外のキャビティ近傍に少なくとも1箇所以上に空隙を形成させることで、射出・充填時の圧力でキャビティ部材を変形させることなく、空隙により断熱層を形成させ、キャビティ内の樹脂体積や位置によって生じる温度分布を低減させることができる。また、金型を僅かに型開きすることによって前記金型部位に空隙を形成させることによって、特別な金型押圧手段を必要とせず、金型構造の簡素化、必要設備の低コスト化が可能となる。
請求項2の発明によれば、請求項1の効果に加えて、金型部位に形成された空隙内の温度を制御することで、適宜必要に応じて、キャビティ内温度分布が均一になるように制御することができ、使用樹脂のロットや金型メンテナンス等によって微妙に冷却バランスが変化したとしても対応可能となる。
請求項3の発明によれば、請求項1または2の効果に加えて、空隙内に気体もしくは液体の加熱もしくは冷却媒体を流通させることによって、空隙内の温度を簡易に均一にコントロールすることができる。
請求項4、5、6、または7の発明によれば、請求項1〜3のいずれか一項の効果に加えて、空隙内に流通させる気体もしくは液体の流通時間、流量、温度もしくは空隙の大きさを変えることによって、空隙内の温度を自在に(必要に応じて)コントロールすることが可能となり、それに伴ってキャビティ内温度均一化を図れる。
請求項の発明によれば、請求項1〜のいずれか一項の効果に加えて、金型キャビティ内に溶融樹脂を充填するときに金型外部に設けられた押圧手段にて充填圧以上の力で押圧することによって、充填時にキャビティ駒が変形することを防ぐことができる。
請求項の発明によれば、請求項1〜のいずれか一項の効果に加えて、金型キャビティ内に溶融樹脂を充填する時に、前記キャビティ内の圧力をモニターし、前記圧力モニター値に基づいて、空隙を形成させることによって、実際の成形状態に応じて常時最適な温度コントロールが可能となる。
以下、本発明の各実施例について説明する。前掲の図2は、第1実施例にて成形を実施したリアプロジェクション用の大型ミラー18の概略形状を示している。図中上面が光学反射面1であり、転写面積が200×200mmと非常に大きく、かつ強度を保つため厚さは10mmある。このミラー18は、熱がこもりやすいミラー中央のD部と放熱しやすい外周のC
部とで温度分布が生じやすい形状をしている。
図3は本第1実施例にて用いた金型の概略断面図を示す図である。射出成形機のダイプレート2には、固定側プレート3及び可動側プレート4からなる一対の金型5が備えられている。前記金型5の固定側プレート3と可動側プレート4内には、金型全体を所望の温度に保つためのヒーター6が備えられている。また、固定側プレート3には、ミラー18の光学反射面1を転写するために表面が高精度に鏡面加工された転写面7を有するキャビティを構成する部材(以下、「鏡面駒8」)が配置されている。一方,可動側プレート4には、ミラー18の裏面部9に相当するキャビティ部を構成するための部材(以下、「裏面駒10」)が配置されている。そして、鏡面駒8及び裏面駒10はキャビティの転写面7と略平行に分離されるように分割されている。また、鏡面駒8及び裏面駒10が、溶融樹脂をキャビティ内に射出・充填するときの圧力で移動しないように、ダイプレート2内に備えられた油圧装置11にて固定されている。前記油圧装置11は、任意の時間で鏡面駒8及び裏面駒10を押圧及び引圧可能なようになっている。一方、鏡面駒8及び裏面駒10の分離面8a,10aには金型外部に連通される気体流入孔13,13及び排出孔14,14が形成され、流入孔13,13には、金型外部に設置された圧縮気体供給装置15,15が接続されている。
次に、図4に基づいて第1実施例の動作を説明する。まず、図4(A) のように、ヒーター6によって、使用樹脂の軟化温度以下の所定の温度に制御された金型キャビティ内に溶融樹脂を射出・充填する。この時、油圧装置11によって、鏡面駒8及び裏面駒10の分離面8a,10aが分割されないように押圧固定されている。次に、図4(B) のように、キャビティ内の充填時の圧力が低下した後、ダイプレート2内に備えられた油圧装置11にて鏡面駒8及び裏面駒10を引圧させるとともに、鏡面駒8及び裏面駒10の分離面8a,10aを分離させ、その部分に空隙16を形成する。この時、金型外部に設置された圧縮気体供給装置15より、分離面8a,10aに形成された流入孔13より気体を任意時間流入させる。この気体は、排出孔14を通じて、金型5の外部に排出されるため、空隙16内を循環することなる。そして、図4(C) のように、可動側のダイプレート2が移動して、金型5がパーティング面17で分離され成形品(ミラー)18が取り出される。
この第1実施例により次のような効果が得られる。従来、熱がこもりやすい成形品の中央部の温度が高く、成形品取り出し時においても放熱しやすい成形品の外周部との温度分布を低減させることはできなかった。一方、本実施例においては、空隙16の形成後、この空隙16内に圧縮空気を循環させることでキャビティ内の温度がコントロールされ、成形品18の取り出し時の温度を均一化するができた。
空隙16内に流入させる媒体としては、本実施例に示しような気体に限定されることはなく、水、油等の液体を用いることももちろん可能である。取り扱い上は気体のほうが容易であるが、熱交換効率としては液体の方が有効であり適宜必要に応じて選択する。ここで、前記空隙16を形成するためのキャビティ駒の分離面8a,10aはキャビティの転写面7と略平行であるため、キャビティとの距離が場所によらず同一とり、より均一に温度分布を保つことができる。
本第1実施例においては、圧縮気体の流通量、流通時間、温度を変えることで適宜最適な温度分布になるようにコントロールすることが可能であり、樹脂ロットの変化や環境の変化等があっても温度をコントロールしてキャビティ内温度分布を均一に保つことができる。また、溶融樹脂をキャビティ内に充填し圧力が負荷されている時には前記空隙16が形成されていないため、充填圧力によって鏡面駒8が変形するといった不具合も生じない。従って前記空隙16をキャビティ近傍に設けることが可能で、応答性の良いより正確な温度コントロールが可能となる。また、金型5を異部材で構成しているわけではないため、部材間の熱膨張差で鏡面駒8に歪みや変形を生じさせるといった不具合も生じない。
なお、本発明における空隙16を形成するタイミングは、キャビティを構成する部材の剛性、空隙16からキャビティまでの距離、充填時の圧力をもとにキャビティの転写面7が変形しない条件に設定される。この場合、キャビティ内の有効転写面外に圧力センサーを設けておくことで、成形中、空隙16の形成のタイミングが問題ないかどうか常時監視することができ、成形時の不具合にも迅速に対応可能となる。
なお、図5は、従来と本実施後での鏡面駒の温度分布を示している(測定箇所は、最も温度分布が生じる図2のC部(ミラー18の中央部)、図2のD部(ミラー18の端部)に相当する鏡面駒8の部分である。本実施例では、空隙16の形成後、キャビティ内温度の均一化が急速に進み、成形品取り出し時にはほぼ均一になっていることがわかる。
次に、本発明の実施例2について説明する。なお、以下の各実施例において第1実施例の要素に対応する要素には同符号を付記する。図6は、本第2実施例にて成形を実施したレーザービームプリンタの光走査用に用いられるfθレンズ19の概略形状を示している。図中上面及び下面が光学鏡面20であり、レンズ中央部の厚さが35mmに対して、レンズ端部の厚さが5mmと偏肉形状をしており、成形時の中央部と端部とで温度分布が生じやすい形状をしている。
図7は本2実施例にて用いた金型の概略断面図を示す図である。ここでは、第1実施例との相違部分だけを説明する。キャビティ端部近傍には、摺動可能な入子21が備えられ、この入子21は、金型5の外壁に固定された油圧装置11によって溶融樹脂をキャビティ内に射出・充填するときの圧力で移動しないように固定されている。前記油圧装置11は、任意の時間で摺動可能な入子21を押圧及び引圧可能なようになっている。
次に、図8に基づいて第2実施例の動作を説明する。先ず、図8(A) に示したように、ヒーター6によって、使用樹脂の軟化温度以下の所定の温度に制御された金型キャビティ内に溶融樹脂を射出・充填する。この時、油圧装置11によって、摺動可能な入子21が移動しないように押圧固定されている。次に、図8(B) に示したように、キャビティ内の充填時の圧力が低下した後、金型の外壁に固定された油圧装置11にて入子21が摺動し、キャビティ端部近傍に空隙16が形成される。そして、図8(C) に示したように、可動側のダイプレート2が移動して、金型5がパーティング面17で分離され、成形品(fθレンズ19)が取り出される。
この第2実施例により次のような効果が得られる。従来、肉厚である成形品の中央部の温度が高く、成形品取り出し時においても薄肉である端部との温度分布を低減させることはできなかった。一方、成形品端部近傍に空隙16を設けることで、そこが断熱層となるために、成形品端部での放熱を遅らせることが可能となり、キャビティ内の温度分布を均一化することがきる。実施例1と同様に、溶融樹脂をキャビティ内に充填し圧力が負荷されている時には前記空隙16が形成されていないため、充填圧力によってキャビティの転写面7が変形するといった不具合も生じない。また,実施例1と同様に、形成された空隙16内に熱媒体を流入させることで、適宜最適な温度にコントロールすることも可能である。
また、図9に示されるように、冷却時の温度が高くなるキャビティの中央部近傍に空隙16を形成し、この空隙16に冷却媒体を循環させることも可能である。この場合は、空隙16に冷却媒体を循環させることで、熱のこもりやすいキャビティの中央部の温度低下を促進させ端部の冷却速度と同等にして、キャビティ内の温度分布を低減することができる。キャビティ内の冷却速度が最も早い部分にあわせることができるため成形時間の短縮をも可能となる。また、本発明では、本実施例2に示したように、適宜最適な位置に空隙16を形成させることで、キャビティ内温度分布均一化を図ることができる。
次に、本発明の実施例3について説明する。この第3実施例では、光ディスク基盤の成形を実施した例について説明する。光ディスク基盤は薄肉かつ均肉であるものの、キャビティの内周部と外周部での温度分布が成形品の反り等に影響を与え、問題となっていた。図10は、本第3実施例にて用いた金型の概略断面図を示す図である。なお、実施例1との相違部分だけを説明する。可動側プレート4には、金型5の形品取り出し時に分離されるパーティング面17の他に、可動側の金型でも分離されるような分離面12を有している。パーティング面17の両脇にはマグネットチャック23が配置されている。また、型開き時にパーティング面17を開くための引張リンク機構24が備えられている。一方、可動側プレート4の分離面12には金型5の外部に連通される気体流入孔13形成され、この流入孔13には、金型5の外部に設置された圧縮気体供給装置15が接続されている。
次に、図11に基づいて第3実施例の動作を説明する。先ず、図11(A) に示したように、ヒーター6によって、使用樹脂の軟化温度以下の所定の温度に制御された金型キャビティ内に溶融樹脂を射出・充填する。次に、図11(B) に示したように、充填時の圧力が低下した後、可動側ダイプレート2を移動させ所定量だけ型開きする。この時のパーティング面17はマグネットチャック23によって固定されているため、可動側の金型の分離面12が分離される。この時、金型5の外部に備えられた圧縮気体供給装置15から前記空隙16内に気体が流入孔13を介して分離面12に供給される。そして、図11(C) に示したように、冷却終了後、可動側のダイプレート2を更に移動すると、引張リンク機構24によって引っ張られるため金型のパーティング面17が分離され成形品(光ディスク基盤26)が取り出される。
この第3実施例においても、第1実施例及び第2実施例と同様に、キャビティ駒を変形させることなく、成形時のキャビティ内温度分布均一化を図ることができる。一方、本第3実施例の場合は、型開き動作を利用することによって空隙16を形成させている。すなわち第1及び第2実施例のように空隙16を形成させるための特別な油圧装置11等を必要とせず、汎用の成形機を用いて簡易な構造で空隙16を形成を実施できる。なお、型開き時に空隙16を先に形成させる方法としては、本実施例のようにマグネットチャック23を用いる方法に限定されるものではない。また、本実施例にて成形した光ディスク基盤26のように薄物のものであれば、肉厚方向の温度分布は生じにくく、固定側プレート3、可動側プレート4のどちらか一方に、空隙16を形成させることで十分な効果を得ることができる。
また、本発明の第1〜第3実施例はそれぞれの方法を適宜状況に応じて好適なものを用いることで、キャビティ駒を変形させることなく、キャビティ内温度分布を均一にさせることが可能となり、例えば、プラスチック光素子としてのミラー18、fθレンズ19、平板状の樹脂成形品としての光ディスク基盤26など、高精度、低歪な成形品を得ることができる。
また、上記のようにして成形されたプラスチック光学素子としてのミラー18(大型反射ミラー)を備えるリアプロジェクションなどのディスプレイ装置は高品位な装置となる。
また、上記のようにして成形されたプラスチック光学素子としてのfθミラー19を光走査系に備えるレーザービームプリンタ、複写機等の画像形成装置は高品位な装置となる。
なお、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
本発明の実施形態におけるミラーを成形した時のキャビティ壁の温度と樹脂圧力の測定結果の一例を示す図である。 本発明の第1実施例における大型ミラーの概略形状を示す斜視図である。 本発明の第1実施例にて用いた金型の概略断面図を示す図である。 本発明の第1実施例の動作を説明する図である。 本発明の第1実施例における鏡面駒の温度分布を従来例と対比して示す図である。 本発明の第2実施例におけるfθレンズの概略形状を示す斜視図である。 本発明の第2実施例にて用いた金型の概略断面図を示す図である。 本発明の第2実施例の動作を説明する図である。 本発明の第2実施例の変形例を示す図である。 本発明の第3実施例にて用いた金型の概略断面図を示す図である。 本発明の第3実施例の動作を説明する図である。
符号の説明
1 光学反射面
2 ダイプレート
3 固定側プレート
4 可動側プレート
5 金型
6 ヒーター
7 転写面
8 鏡面駒
9 裏面部
10 裏面駒
11 油圧装置
13 気体流入孔
14 排出孔
15 圧縮気体供給装置
16 空隙
18 ミラー
19 fθレンズ
20 光学鏡面
21 入子
23 マグネットチャック
24 引張リンク機構
26 光ディスク基盤

Claims (9)

  1. 溶融樹脂をその樹脂の軟化温度未満の温度に保持された1対の金型によって形成された形状空間内に射出充填し、その後、樹脂を溶融温度から軟化温度未満まで冷却固化させた後、金型を開いて固化した樹脂を取り出すようにした樹脂成形品の製造方法において、
    前記射出充填後、成形品を取り出すまでの冷却過程中に、前記金型を僅かに型開きすることいよって前記金型の外周面に沿って少なくとも1箇所以上に空隙を形成させることを特徴とする樹脂成形品の製造方法。
  2. 前記金型部位に形成された前記空隙内の温度を制御することを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形品の製造方法。
  3. 前記金型部位に前記空隙を形成後、該空隙内に気体もしくは液体の加熱および冷却媒体を流通させることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂成形品の製造方法。
  4. 前記金型部位に前記空隙を形成後、該空隙内に流通させる気体もしくは液体の加熱および冷却媒体の流通時間を変えることによって前記空隙内の温度を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂成形品の製造方法。
  5. 前記金型部位に前記空隙を形成後、該空隙内に流通させる気体もしくは液体の加熱および冷却媒体の流量を変えることによって前記空隙内の温度を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂成形品の製造方法。
  6. 前記金型部位に前記空隙を形成後、該空隙内に流通させる気体もしくは液体の加熱および冷却媒体の温度を変えることによって前記空隙内の温度を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂成形品の製造方法。
  7. 前記金型部位に形成される前記空隙の大きさを変えることによって該空隙内の温度を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂成形品の製造方法。
  8. 前記金型キャビティ内に溶融樹脂を充填するときには、金型外部に設けられた押圧手段にて充填圧以上の力で押圧していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂成形品の製造方法。
  9. 前記金型キャビティ内に溶融樹脂を充填する時に、前記キャビティ内の圧力をモニターし、前記圧力モニター値に基づいて、前記空隙を形成させることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の樹脂成形品の製造方法。
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