JP2003311797A - 成形用金型および、これを用いるプラスチックの成形方法 - Google Patents

成形用金型および、これを用いるプラスチックの成形方法

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JP2003311797A JP2002118063A JP2002118063A JP2003311797A JP 2003311797 A JP2003311797 A JP 2003311797A JP 2002118063 A JP2002118063 A JP 2002118063A JP 2002118063 A JP2002118063 A JP 2002118063A JP 2003311797 A JP2003311797 A JP 2003311797A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金型キャビティに射出充填された溶融樹脂の
非転写面を均一に冷却することにより、光学素子等の高
精度なプラスチック成形品を得る。 【解決手段】 キャビティ10aの非転写面21aを、
金型部材11に摺動移動自在のキャビティ駒21先端面
により形成する。金型部材14,15により転写面14
a,15a(レンズの場合、レンズ面となる)を形成す
る。キャビティ駒21内に圧縮気体の給気流路22を複
数形成する。これらの給気流路22は、温度調節装置3
2および流量制御弁33を介して気体供給源34に連絡
する。給気流路22先端の供給口22aは、キャビティ
駒先端面の全体にわたって均等に分布させる。非転写面
21aの全体を、金型部材11の転写面で環状に包囲し
た形態とするとともに、金型部材11の内周面に排気流
路23を複数形成する。この排気流路23は、キャビテ
ィまで貫通させず金型部材11の転写面の手前で終端さ
せる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高精度なプラスチ
ック成形品(特にレンズ、ミラー等の光学素子)の製造
技術に関する。本発明の応用分野としては、複写機、フ
ァクシミリ、レーザビームプリンタ等の光走査系に用い
られるプラスチックレンズ、プラスチックミラーの成形
が挙げられる。
【0002】
【従来の技術】レーザ方式のデジタル複写機、プリンタ
ー、又はファクシミリ装置の光書き込みユニットには、
レーザービームの結像、及び各種補正機能を有する矩形
状のレンズ、ミラー等の光学素子が用いられている。
【0003】近年これらの光学素子は、製品のコストダ
ウンの要求でガラス製からプラスチック製へと変化し、
また複数の機能を最少限の素子で補うため、その転写面
形状も、球面のみならず複雑な非球面形状を有するよう
になってきている。また、レンズの場合には、レンズ厚
が厚く、また長手方向でレンズ厚が一定ではない偏肉形
状が多くなっている。
【0004】その製造方法としては、製造コストが低く
大量生産に適した射出成形法が一般的である。射出成形
法で製造する際は、加熱溶融された樹脂材料を金型内に
射出充填し冷却固化させる工程において、金型内の樹脂
圧力や樹脂温度が均一になることが、所望の形状精度を
確保するために望ましい。
【0005】しかし、レンズ厚が偏肉形状の場合、充填
された樹脂の冷却速度が長手方向の各部で異なり、体積
収縮量に差が生じるために形状精度が悪化する不具合が
あった。また、レンズ厚が大きい場合には、樹脂の冷却
過程で体積収縮量が大きいため、ひけが発生しやすくな
る。このひけ発生を防止するために射出圧力を大きくす
ると(樹脂の充填量を多くすると)、内部歪みが大きく
なり光学性能に悪影響を及ぼす不具合が生じていた。
【0006】このような問題に対して、以下の成形方法
が提案されている。 (1)金型温度を樹脂のガラス転移点温度(Tg点)以
上に高くし、充填された樹脂の冷却速度が長手方向の各
部でできるだけ一定になるように、熱変形温度以下にな
るまで徐冷する方法。この成形方法によれば、樹脂温度
を均一に保ったまま冷却することができるため形状精度
が高く、内部歪みが小さい良好な成形品を得ることが可
能となる。
【0007】しかし、この成形方法では、樹脂温度を成
形品各部で均一に保ったまま徐冷する必要があるため、
成形サイクルが非常に長くなり、生産性が劣り成形品の
コストが高くなる欠点がある。
【0008】(2)一定温度の金型内に溶融樹脂を射出
充填した後、転写面(レンズ面)以外の面を構成するキ
ャビテイ駒を樹脂から離隔する方向に移動させ、その箇
所に優先的にひけを発生させる(樹脂冷却過程で成形品
の機能上不要な箇所に優先的にひけを発生させる)こと
で、転写面の形状精度を向上させる成形方法。この成形
方法によれば、非常に低圧低充填での成形が可能になる
ため、高い形状精度とともに、内部歪みも小さい良好な
成形品を生産性良く得ることができる。
【0009】しかし、この成形方法を用いても、近年の
デジタル複写機やプリンタ等の製品の高画質化・低コス
ト化の要求に伴い、レンズ、ミラーなどの部品に要求さ
れる精度やコストが厳しくなってきているため、以下に
示す問題点が生じている。これについて図16、図17
をもとに説明する。
【0010】図16はこの成形方法を示す模式的断面図
であり、(a)は樹脂を射出充填した直後の状態を、
(b)はキャビティ駒の離隔時を、(c)は樹脂徐冷時
をそれぞれ示している。図17は、この成形方法の問題
点説明図であって、(a)は成形品の温度ムラを示す模
式的断面図、(b)は成形品の形状精度の低下状態を示
す模式的断面図、(c)は成形工程の経過時間とキャビ
ティ内樹脂の温度との関係を示すグラフである。図1
6,17に記載された主な符号について説明すると、1
00aは射出充填された溶融樹脂、100bは冷却中の
樹脂、100cは成形品である。101は金型、101
aはキャビティ、102はキャビティ駒(キャビティ形
成用の可動入れ子)、103,104は転写面である。
キャビティ駒102は金型101内に摺動自在に挿入さ
れ、その先端面は、キャビティを形成するとともに、成
形品100cの非転写面105を形成している。
【0011】成形工程では図16に示すように、転写面
103,104を有する金型キャビテイ内に溶融樹脂1
00aを射出充填した後、この樹脂の軟化温度未満まで
冷却する間に、キャビテイ駒102を、冷却中の樹脂1
00bから離隔する方向に移動させる(キャビテイ駒1
02の非転写面105を後退させる)。符号106はこ
のとき形成される空隙である。これにより樹脂の空気層
に接している部分に、ひけ100dを優先的に発生させ
る。ついで、樹脂全体の温度が金型内で均一、かつほぼ
金型温度になるまで冷却した後、金型から成形品を取り
出す。
【0012】ところが上記空隙106では、金型キャビ
テイを構成している金属材料と比較して、非常に熱が移
動しにくい。そのため、樹脂が金型キャビテイの壁面
(金型のキャビティ形成面)と接している部分と、空隙
106に接している部分とでは樹脂の冷却速度に差が生
じ、成形品内に非対称な温度分布が生じながら冷却が進
み、形状精度の低下や内部歪みが発生してしまう。
【0013】すなわち、図17(a)において冷却中の
樹脂のうち、上記ひけが発生する部分(空隙106内の
空気と接触する部分)をA点とし、このA点と反対側の
部分(金型のキャビティ形成面と接触している部分)を
B点とすると、成形工程の経過時間とこれらA点、B点
の温度との関係は図17(b)のとおりとなる。この図
に示すように、成形工程が開始されてから空隙106が
形成されるまでは、A点、B点間に温度差は生じていな
い。しかし、空隙形成とともに、これらに温度差が生
じ、成形品取出時にようやく同一温度になる。このた
め、図17(c)に示すように、成形品100cの転写
面(レンズ面)がキャビティ形状と同一にならず(転写
面が精確に転写されない)、形状精度が低下してしま
う。
【0014】また、金型内で樹脂温度が均一に、ほぼ金
型温度になるまで冷却してから成形品を取り出すため、
通常の射出成形の場合と比較して成形サイクルが長くな
る。したがって、より高精度な成形品を、より低コスト
で得るためには、成形方法の改善が必要となる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点に
鑑みなされたもので、その目的は、金型キャビティに射
出充填された溶融樹脂の非転写面を均一に冷却すること
により、転写面が冷却されるときの該転写面の温度ムラ
を抑えて成形品の形状精度低下を防ぎ、もって、より高
精度な成形品を低コストで得ることができる成形用金型
および、これを用いるプラスチック成形品の製造方法を
提供することにある。
【0016】上記目的達成のため、第1の発明は、溶融
樹脂を金型内に射出充填した後、その軟化温度未満まで
冷却する間に、樹脂の非転写面とキャビティ駒の先端面
とにより金型内に形成される空隙全体に冷却気体を均等
に供給して樹脂の非転写面側をムラなく冷却することに
より、転写面全体を均一に冷却するように構成した成形
用金型および、これを用いるプラスチック成形品の製造
方法を提供するものである。
【0017】また上記目的達成のため、第2の発明は、
転写面の温度をキャビティへの樹脂充填直前の温度に維
持するための温度維持手段を金型内に設け、溶融樹脂を
金型内に射出充填した後、その軟化温度未満まで冷却す
る間に、キャビティ駒で樹脂の非転写面側を冷却すると
ともに、該冷却によって樹脂の転写面側の温度が低下す
るのを、前記温度維持手段で防止するように構成した成
形用金型および、これを使用するプラスチック成形品の
製造方法を提供するものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】以下に記載する請求項1
〜11は前記第1の発明に係るものであり、請求項12
〜24は前記第2の発明に係るものである。請求項1に
係る発明は、転写面と非転写面とによりキャビティを画
成した成形用金型において、キャビティに臨む給気口が
先端面に複数形成され該給気口に連なる圧縮気体の供給
流路(以下、給気流路)が形成されたキャビティ駒を設
けるとともに、前記先端面により非転写面を形成し、前
記給気口からキャビティに供給された圧縮気体を当該金
型外に排気する排気流路を適所に複数形成したことを特
徴とする成形用金型である。
【0019】請求項2に係る発明は、請求項1におい
て、キャビティ駒を、金型部材に対し摺動移動させるこ
とによりキャビティに対し接近・離隔(前進・後退自
在)としたことを特徴とする成形用金型である。請求項
3に係る発明は、請求項2において、キャビティ駒先端
面による非転写面を、該キャビティ駒が摺動する相手の
金型部材の環状転写面で包囲するとともに、前記非転写
面の輪郭線形状を、前記環状転写面の外側輪郭線の形状
とおおむね相似としたことを特徴とする成形用金型であ
る。請求項4に係る発明は、請求項2または3におい
て、キャビティ駒先端面による非転写面を、該キャビテ
ィ駒が摺動する相手の金型部材の環状転写面で包囲する
とともに、キャビティ駒に形成された複数の給気口の全
体が内接する図形の形状を、前記環状転写面の外側輪郭
線の形状とおおむね相似としたことを特徴とする成形用
金型である。
【0020】請求項5に係る発明は、請求項2〜4のい
ずれかにおいて、キャビティ駒が摺動移動する金型部材
に排気流路を形成するとともに、キャビティ駒によりキ
ャビティを形成している状態では排気流路がキャビティ
駒により閉鎖され、キャビティ駒をキャビティから離隔
移動させたときには前記閉鎖が解かれて、排気流路がキ
ャビティと連通するようにしたことを特徴とする成形用
金型である。請求項6に係る発明は、請求項2〜5のい
ずれかにおいて、キャビティ駒は、板状部材に複数の直
線状ピンを当該キャビティ駒の摺動移動方向に平行に突
設して構成し、これらピン同士間の間隙により前給気流
路および給気口を形成するとともに、これらのピンの先
端面を面一に揃えることにより非転写面を形成したこと
を特徴とする成形用金型である。請求項7に係る発明
は、請求項2〜6のいずれかにおいて、キャビティ駒の
給気口の口径が、0.05mm以下であることを特徴と
する成形用金型である。
【0021】請求項8に係る発明は、請求項2〜5のい
ずれかにおいて、キャビティ駒が多孔質材料からなる通
気性部材を備え、該通気性部材に形成された空孔により
給気流路および給気口が形成されていることを特徴とす
る成形用金型である。請求項9に係る発明は、請求項8
において、通気性部材の空孔の径が0.05mm以下で
あることを特徴とする成形用金型である。請求項10に
係る発明は、請求項2〜9のいずれかにおいて、キャビ
ティ駒に形成された給気流路を、温度・供給流量の少な
くとも一方が制御された圧縮気体を供給する圧縮気体供
給手段に連絡したとを特徴とする成形用金型である。
【0022】請求項11に係る発明は、請求項2〜10
のいずれかに記載の成形用金型を用いるプラスチックの
射出成形方法であって、溶融樹脂をその軟化温度未満に
加熱された金型に射出充填し、溶融樹脂を軟化温度未満
まで冷却する過程で、キャビティ駒を金型部材に対し摺
動移動させてキャビティから離隔させることにより、キ
ャビティ駒の非転写面とキャビティ内樹脂との間に空隙
を形成し、該空隙に給気口から圧縮気体を供給すること
により、非転写面に接触していた樹脂面を冷却し、冷却
後の気体を排気流路を介して金型外に排出することを特
徴とするプラスチックの成形方法である。
【0023】請求項12に係る発明は、転写面と非転写
面とによりキャビティを画成した成形用金型において、
先端面が非転写面を形成し、かつキャビティ内を冷却す
る機能を有するキャビティ駒を設け、さらに、転写面の
温度をキャビティへの樹脂充填直前の温度に維持するた
めの温度維持手段を適所に配備したことを特徴とする成
形用金型である。
【0024】請求項13に係る発明は、請求項12にお
いて、キャビティ駒を、金型部材に対し摺動移動させる
ことによりキャビティに対し接近・離隔自在(前進・後
退自在)としたことを特徴とする成形用金型である。請
求項14に係る発明は、請求項13において、キャビテ
ィ駒として、キャビティに臨む給気口が先端面に形成さ
れ該給気口に連なる圧縮気体の供給流路(以下、給気流
路)が形成されたものを設け、前記給気口からキャビテ
ィに供給された圧縮気体を当該金型外に排気する排気流
路を適所に形成したことを特徴とする成形用金型であ
る。
【0025】請求項15に係る発明は、請求項14にお
いて、キャビティ駒に形成された給気流路を、温度・流
量の少なくとも一方が制御された圧縮気体を供給する圧
縮気体供給手段(圧縮気体供給源と、これに連なる圧縮
気体の温度調節装置及び/又は圧縮気体の流量制御弁)
に連絡したことを特徴とする成形用金型である。請求項
16に係る発明は、請求項13において、キャビティ駒
内に冷却用媒体の流路を形成し、該流路を温度制御され
た冷却用媒体の供給手段に連絡したことを特徴とする成
形用金型である。請求項17に係る発明は、請求項13
〜16のいずれかにおいて、温度維持手段が電熱ヒータ
と、該電熱ヒータの発熱温度を所定温度に制御するヒー
タ制御手段とを備えていることを特徴とする成形用金型
である。請求項18に係る発明は、請求項17において
電熱ヒータが、個別に通電発熱する複数の発熱素子を配
列して構成されていることを特徴とする成形用金型であ
る。請求項19に係る発明は、請求項17または18に
おいて、転写面の近傍に電熱ヒータを複数、転写面を包
囲する形態で配備したことを特徴とする成形用金型であ
る。
【0026】請求項20に係る発明は、請求項13〜1
6のいずれかにおいて、温度維持手段が、金型部材内に
形成された加熱用媒体の流路と、該流路に温度制御され
た加熱用媒体を供給する加熱用媒体供給手段とを備えて
いることを特徴とする成形用金型である。請求項21に
係る発明は、請求項20において、加熱用媒体の流路を
金型部材内のキャビティ近傍部位に複数、転写面を包囲
する形態で配備したことを特徴とする成形用金型であ
る。請求項22に係る発明は、請求項13〜16のいず
れかにおいて、温度維持手段が、転写面を形成する金型
部材とキャビティ駒との間の適所に配備された、低熱伝
導性材料からなる保温部材であることを特徴とする成形
用金型である。請求項23に係る発明は、請求項13〜
16のいずれかにおいて温度維持手段が、転写面を形成
する金型部材とキャビティ駒との間の適所に形成された
空気層であることを特徴とする成形用金型である。
【0027】請求項24に係る発明は、請求項17〜2
1のいずれかに記載の成形用金型を用いるプラスチック
の射出成形方法であって、あらかじめ温度維持手段を作
動させておき、溶融樹脂をその軟化温度未満に加熱され
た金型に射出充填し、溶融樹脂を軟化温度未満まで冷却
する過程で、キャビティ駒を金型部材に対し摺動移動さ
せてキャビティから離隔させることにより、キャビティ
駒の非転写面とキャビティ内樹脂との間に空隙を形成
し、該空隙をキャビティ駒で冷却することにより、非転
写面に接触していた樹脂面を冷却することを特徴とする
プラスチックの成形方法である。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面を参照しながら説明する。なお、第1〜第3の実施の
形態は第1発明に係るものであり、第4〜第8の実施の
形態は第2発明に係るものである。
【0029】第1の実施の形態 図1は本発明によるプラスチック成形用金型および、こ
れによる成形方法を示す模式的断面図であり、(a)は
樹脂を射出充填した直後の状態を、(b)はキャビティ
駒離隔時の状態を示している。
【0030】金型1の本体10を、金型部材11〜15
で構成する。これらの金型部材は成形品の転写面を形成
するためのものである。キャビティ10aを、これら金
型部材11〜15の内面(転写面)と、キャビティ駒2
1の先端面すなわち非転写面21aとにより区画形成す
る。金型部材11内にキャビティ駒(可動入れ子)21
を、その内周面に摺動移動自在に設ける。金型部材1
4,15により互いに対向する転写面14a,15bを
形成する。非転写面21aの全体を、金型部材11の転
写面で環状に包囲した形態とするとともに、金型部材1
1の内周面に排気流路23を複数、キャビティ駒の摺動
移動方向に形成する。この排気流路23は、キャビティ
まで貫通させず、転写面の手前で終端させる。したがっ
て、金型が閉じた図1(a)の状態では、排気流路23
はキャビティ10aと連通していない。
【0031】金型部部材14,15はそれぞれ、前記転
写面のうち成形品の品質を左右する重要な上記転写面1
4a,15aを形成する。図1(a)と図15(a)と
の対比で明らかなように、この金型1が例えば、図15
(a)に示す光学レンズ200の成形用金型である場
合、転写面14a,15aの一方はレンズ面201を、
他方はレンズ面202をそれぞれ形成するためのもので
ある。したがって、これらレンズ面の形状精度を高くす
るとともに、これらレンズ面近傍の樹脂内の歪みを非常
に小さくすることが、レンズの品質を高めるために重要
となる。
【0032】キャビティ駒21内に圧縮気体(空気、窒
素ガスなど)の給気流路22を複数、その摺動移動方向
に形成する。これら給気流路の先端部をキャビティ10
a内に開口させることにより、キャビティ10aへの圧
縮気体供給口すなわち給気口22aとする。これらの給
気口は、キャビティ駒先端面の全体にわたって均等に分
布させた形態で形成する。
【0033】上記給気流路22を温度調節装置32およ
び流量制御弁33を介して、冷却用の圧縮気体を供給す
るための気体供給源34に連絡する。温度調節装置32
は、気体供給源34からの圧縮気体を所定温度に調節す
るためのものである。圧力制御装置31は、キャビティ
駒21を摺動移動させるためのものであると同時に、キ
ャビティ10aに溶融樹脂を充填する際に該樹脂の圧力
(射出圧力)でキャビティ駒21がキャビティから後退
しないようにこれに押圧力を付与するものである。
【0034】また、本実施の形態の金型では、(1)キ
ャビティ駒の先端面形状(輪郭線の形状)を、該先端面
を包囲する金型部材11の環状転写面の外側輪郭線の形
状とおおむね相似とし、かつ(2)キャビティ駒に形成
された複数の給気口22aの全体が内接する図形の形状
を、金型部材11の前記環状転写面の外側輪郭線の形状
とおおむね相似とする。キャビティ10aを上記(1)
のように構成することで、ひけの発生に起因する金型内
樹脂の移動が転写面劣化(転写面の転写精度低下)に与
える影響を防止することができ、高精度な成形品をより
確実に得ることができる。
【0035】また、キャビティ10aを上記(2)のよ
うに構成することにより、キャビティ内樹脂の非転写面
をより均一に冷却する(キャビティ駒後退で形成される
空隙を均一に冷却する)ことができ、高精度な成形品を
より確実に得ることができる。なお上記環状転写面の幅
は、図1(a)(b)において転写面14aと非転写面
21aとの距離および、転写面15aと非転写面21a
との距離に等しい。
【0036】プラスチックの成形に際しては溶融樹脂
を、その軟化温度以下に加熱された金型1のゲート(図
示せず)からキャビテイ10a内に射出充填する(図1
(a))。そして、充填された樹脂をその軟度温度未満
にまで冷却する過程において、キャビテイ駒21を樹脂
から離隔する方向に摺動移動させることで空隙40を形
成する(図1(b))。これにより、排気流路23が空
隙40と連通する。ついで、空隙内の気体に接する樹脂
面(非転写面)を冷却する。この場合、流量・温度が制
御された圧縮気体を給気口22aから空隙40に供給し
て空隙内を冷却し、冷却後の気体を排気流路23を介し
て大気中に排出する。以下、従来技術と同様にして、樹
脂全体の温度が金型内で均一、かつほぼ金型温度になる
まで冷却した後、金型から成形品を取り出す。図1
(a)(b)において、符号16は充填された溶融樹
脂、符号17は冷却中の樹脂である。
【0037】この成形工程では、キャビティ内の樹脂の
冷却が進み、樹脂圧力が所定値になったときに、キャビ
ティ駒10aを後退させることで、その先端面(非転写
面)と樹脂との間に空隙40を形成する。この空隙に対
面する部分の樹脂は、他の部分に比べて動きやすくなる
ため、冷却により生じる応力を吸収しながら凹状のひけ
を形成する。その結果、転写面において歪みの少ない成
形品を得ることができる。また、上記のように非転写面
21aを包囲する金型部材11の環状転写面を形成する
ことで、空隙形成時の成形品の変形が転写面14a,1
5aに及ぼす悪影響が軽減されるため、形状精度がより
高い成形品を得ることができる。
【0038】上記成形方法による場合の、成形品内の温
度測定結果を図2に示す。図2(a)において符号A1
は、冷却中の樹脂のうち、ひけが発生する側の面の上端
近傍部分、符号A2は同じく下端近傍部分である。符号
B1はA1と反対側の部分(金型部材のキャビティ形成
面と接触している部分)、符号B2はA2と反対側の部
分である。ひけが発生する側の面の温度分布、すなわ
ち、ひけ発生面側の樹脂位置と樹脂温度との関係およ
び、上記キャビティ形成面側の樹脂位置と樹脂温度との
関係は図2(b)のとおりとなる。この図において太い
実線はA1からA2までの範囲の温度分布曲線、細い実
線はB1からB2までの範囲の温度分布曲線である。こ
の図で明らかなように、ひけが発生する側の樹脂表面温
度の分布、これと反対側の樹脂表面温度の分布は均等で
あり、しかも双方の分布間に温度差は実質的に生じてい
ない。
【0039】このような結果が得られたのは、空隙40
を形成するキャビティ駒21の先端面全体にわたって給
気口22aを複数、均等に分布させて設けたことによ
り、樹脂面全体を均一に冷却することができるからであ
る。そのため、従来の成形金型で生じていた、空隙と接
する樹脂面の温度ムラを大幅に低減することができる。
また、圧縮気体の流量・温度を最適化することで、成形
品内の非対称な温度分布を防ぐことができ、成形品の形
状精度を更に向上させることができる。また、成形品が
光学レンズの場合には、内部歪みも非常い小さい高性能
な製品を得ることができる。
【0040】第2の実施の形態 図3は、成形用金型の構造を示す模式的断面図である。
この成形用金型1は、図1のキャビティ駒21とな異な
る特異構造のキャビティ駒51を配備して構成されてい
る。このキャビティ駒51は、その後端部を形成する板
状部材の先端面に、直線状のピン52を複数本、当該キ
ャビティ駒の摺動移動方向に平行に突設するとともに、
これらのピン52の先端面を面一に揃えたものである。
すなわち、複数のピン52同士間の間隙により、給気流
路53を複数、互いに平行(キャビティ駒の摺動移動方
向に平行)に形成し、ピン52の先端面によりキャビテ
ィの非転写面を形成するとともに、該先端面に給気口を
開口したものである。なお、符号54は金型部材に形成
した排気流路である。この金型のその他の構造は、図1
の金型1と同様である。
【0041】この金型による成形工程は図1の金型と同
様で、溶融樹脂をその軟化温度以下に加熱された金型1
のゲート(図示せず)から金型キャビテイ内に射出充填
した後、樹脂をその軟度温度未満にまで冷却する過程に
おいて、キャビテイ駒51を樹脂から離隔する方向に摺
動移動させて空隙40を形成する。その後、流量・温度
が制御された圧縮気体を供気口から空隙40を供給し、
排気流路54を介して大気中に排出することで、空隙内
の圧縮気体に接する樹脂面を冷却する。
【0042】上記成形方法による場合の、成形品内の温
度測定結果を図4に示す。図4(a)における符号A
1,A2,B1,B2の意味は、図2(a)について説
明したものと、図4(b)に示すグラフの意味は、図2
(b)について説明したものと、それぞれ同じである。
【0043】この図4(b)で明らかなように、ひけが
発生する側の樹脂表面温度の分布および、これと反対側
の樹脂表面温度の分布は均等であり、しかも双方の分布
間に温度差は実質的に生じていない。したがって、図3
の金型によれば、従来の金型で生じていた、空隙と接す
る側の樹脂面の温度ムラを大幅に低減することができ
る。また、圧縮気体の流量・温度を最適化することで、
成形品内の非対称な温度分布を防ぐことができ、形状精
度を更に向上させることができる。また、成形品が光学
レンズの場合には、内部歪みが非常い小さい高性能な成
形品を得ることができる。また、上記キャビティ駒51
では、上記のように互いに平行な複数のピン同士の間隙
により、冷却気体の給気流路および給気口を形成したの
で、部材に微細加工を施すことなく冷却気体を空隙40
に供給することができる。さらに、実験によれば給気口
の口径を0.05mm以下にすることでバリの発生や、
樹脂とキャビティ駒51先端面との密着力が大きくなる
ことに起因する成形品の変形を防止することができる。
【0044】第3の実施の形態 図5は、成形用金型の構造を示す模式的断面図である。
この成形用金型1は、図1のキャビティ駒21とな異な
る特異構造のキャビティ駒61を配備して構成したもの
である。このキャビティ駒61では、前半部に径が比較
的大きな凹部を形成し、この凹部内に多孔質材料かなる
通気性部材62を挿入固定して、その先端面により非転
写面を形成する。通気性部材62内には多数の空孔が該
部材全体にわたって均一に分布しており、通気性部材6
2の先端面および後端面には前記空孔が露出している。
したがって、圧縮気体の給気流路は、通気性部材内の空
孔によって多数形成され、給気口は通気性部材先端面に
露出する空孔により多数形成される。キャビティ駒61
の後半部に給気流路63を形成し、その一端部を前記凹
部に、他端部を圧縮気体の供給源(図略)にそれぞれ連
通させる。また、金型部材の内周面に排気流路64を、
キャビティ駒61の摺動移動方向に平行に複数本形成す
る。この金型のその他の構成は、図1と同様である。
【0045】この金型による成形工程は、図1の金型に
よる場合と同様で、流量・温度が制御された冷却用圧縮
気体を、給気流路63を介して上記多数の給気口から供
給する。このキャビティ駒61では、通気性部材62の
先端面に多数の給気口が、該先端面全体にわって均一に
分布形成されている。したがって、このキャビティ駒6
1によれば、樹脂の非転写面全体を極めて高い均等性を
もって冷却することができる。
【0046】上記成形方法による場合の、成形品内の温
度測定結果を図6に示す。この図で明らかなように、ひ
けが発生する側の樹脂表面温度の分布、これと反対側の
樹脂表面温度の分布は均等であり、しかも双方の分布間
に温度差は実質的に生じていない。その理由は、圧縮気
体が多孔質の通気性部材62から空隙40内に均等に供
給されるため、樹脂の非転写面全体を極めて均一に冷却
することができるからである。このため、本実施の形態
の金型によれば、第2の実施の形態に係る金型と同等ま
たは、これよりも優れた成形結果が得られ、成形品の形
状精度が著しく高く、しかも内部歪みが非常に小さい光
学レンズ等の精密プラスチック成形品を製造することが
できる。
【0047】通気性部材62の空孔径は0.05mm以
下が好ましく、これによりバリの発生や、樹脂とキャビ
ティ駒61先端面との密着力が大きくなることに起因す
る成形品の変形を防止することができる。通気性部材6
2を形成する材料としてはセラミッス、鋼鉄等が挙げら
れるが、その熱的性質(熱伝導率・比熱)および比重
が、この通気性部材62以外の金型構成部分の材料のそ
れと同等のものから適宜選択することが望ましい。この
ように、熱的性質および比重が同等の材料で金型を構成
することにより、特に高精度・高性能な成形品を得るこ
とができる。その理由は、キャビテイ駒61を摺動移動
させて空隙40を形成させる前に、キャビティ内の樹脂
温度に非対称な温度分布が発生するのを防止することが
できるからである。
【0048】第4の実施の形態 図7は、成形用金型1の構造を示す模式的断面図であ
り、(a)は樹脂を射出充填する直前の状態を、(b)
は樹脂充填後のキャビティ駒離隔時の状態をそれぞれ示
している。この金型1では、給気流路22をキャビティ
駒21内に一つまたは複数形成し、金型部材11の内周
面に排気流路23を複数形成する。この金型1の全体を
所定温度に保持するための温調手段(図示せず)を適所
に配備する。また、転写面14a,15aの温度をキャ
ビティへの樹脂充填直前の温度に維持するための温度維
持手段(加熱部材)として、電熱ヒータ(通電加熱型の
ヒータ)71を金型転写面近傍に複数配置する。これら
のヒータは、熱電対が検出する温度に応じて出力を制御
し、温度を一定に保つものである。なお、その他の金型
構成要素の構造は図1の金型と同様である。
【0049】プラスチックの成形に際しては溶融樹脂
を、その軟化温度未満の温度に加熱された金型のゲート
(図略)からキャビテイ10aに射出充填した後、樹脂
をその軟度温度未満にまで冷却する過程において、キャ
ビテイ駒21を樹脂から離隔する方向に移動させること
で空隙40を形成し、この空隙を金型部材11の排気流
路23(凹溝)と連通させる。この空隙40に圧縮気体
を供給流路22を介して供給し、排気流路23を介して
排出することで空隙40と接する樹脂面を冷却する。
【0050】従来の金型では、圧縮気体により樹脂を冷
却する際、金型の転写面も冷却されてしまう。これは、
金型が(熱伝導性の良い)金属材料からなるためであ
る。これに対し、本実施の形態の金型では、これを金属
材料で構成した場合でも、転写面14a,15aの近傍
に設けたヒータ71により、これら転写面の温度を空隙
40形成前と同じ温度に保つことができる。
【0051】図8(a)(b)に、成形品内および金型
の温度測定結果を示す。これらの図の意味は、図2につ
いての説明で明らかであるから、重複する説明は省略す
る。図8(b)から、空隙40を冷却する前後で成形品
内および金型の温度は殆ど変わらないことが分かる。こ
のように、本実施の形態によれば、従来の金型で生じて
いた転写面の温度低下を防ぐことができ、金型温度の低
下や金型温度ムラに起因する成形品の形状精度劣化を防
ぐことができ、形状精度を向上させることができる。ま
た、成形品が光学レンズの場合には、温度ムラが低減し
たことにより、内部歪みも非常い少ない高品質の成形品
を得ることができる。
【0052】第5の実施の形態 図9は金型1の構造を示す模式的断面図であり、キャビ
ティ駒離隔時の状態を示している。図1の金型が空隙冷
却用の手段として、圧縮気体を供給するように構成した
ものであるのに対し、図9の金型1は、キャビティ駒を
冷却することで、間接的に空隙を冷却するように構成す
る。すなわち、摺動自在のキャビテイ駒21内に水、油
などの冷却用媒体が流れる循環配管21bを挿入配備
し、この循環配管を、外部配管を介して冷却用媒体の温
調装置25に連結する。この温調装置25には冷却用媒
体の循環ポンプ(図略)を配備する。また、金型1全体
の温度を保持するための温調手段(図略)以外に、転写
面14a,15aの温度をキャビティへの樹脂充填直前
の温度に維持するための温度維持手段(加熱部材)とし
て、転写面近傍に加熱媒体として熱水、加熱油などの加
熱流体を流す加熱流体供給配管72を挿入配備する。そ
の他の部分の構成は、図7(a)と同様とする。
【0053】プラスチックの成形に際しては溶融樹脂
を、その軟化温度未満に加熱された金型のゲート(図示
せず)から金型キャビティ内に射出充填した後、樹脂を
その軟度温度未満にまで冷却する過程において、摺動可
能なキャビテイ駒21を樹脂から離隔する方向に移動さ
せ空隙40を形成する。ついで、キャビテイ駒21に冷
却用媒体を流すことにより空隙40を冷却し、この空隙
により樹脂面(非転写面)を冷却する。
【0054】従来の金型では、冷却媒体によりキャビテ
ィ駒を冷却して樹脂を冷却するようにしているが、この
ような構造では、金型材料が金属製で熱伝導性が良いた
め、金型の転写面も冷却されてしまう。これに対し、本
実施の形態の金型では、転写面近傍に加熱流体を流す配
管を配備したことにより、転写面の温度を空隙形成前と
同じ温度に保つことができる。
【0055】図10に示すように、本実施の形態の金型
によれば、従来の金型で生じていた転写面の温度低下を
防ぐことができ、金型温度の低下や、金型の温度ムラに
起因する成形品の形状精度劣化を防ぎ、形状精度を向上
させることができる。また、成形品が光学レンズの場合
には、温度分布が低減したことにより、内部歪みも非常
い小さい成形品を得ることができる。
【0056】第6の実施の形態 図11(a)は金型1の構造を示す模式的断面図であ
り、キャビティ駒離隔時の状態を示している。図11
(b)は図11(a)のC−C線断面図である。この金
型1では、摺動可能なキャビテイ駒21内に、外部の圧
縮気体供給源(図略)と連通する給気流路22を形成す
る。また、金型1全体の温度を保持するための温調手段
(図示せず)以外に、転写面14a,15aの温度をキ
ャビティへの樹脂充填直前の温度に維持するための温度
維持手段(加熱手段)として、転写面近傍に電熱ヒータ
(通電加熱を行うヒータ)73を複数、キャビティ21
の摺動方向に平行に、かつ上記C−C線断面図におい
て、キャビティを包囲する状態で設ける。その他の部分
の構造は図7と同様とする。
【0057】成形に際しては溶融樹脂を、その軟化温度
未満に加熱(手段は図略)された金型のゲート(図示せ
ず)から金型キャビティ内に射出充填した後、樹脂をそ
の軟度温度未満にまで冷却する過程において、摺動可能
なキャビテイ駒21を樹脂から離隔する方向に移動させ
空隙40を形成する。ついで、圧縮気体を給気流路22
から流入し、排気流路23から排出することで、空隙4
0と接する樹脂面を冷却する。転写面近傍に加熱手段と
して上記ヒータ73を上記態様で設けたことにより、成
形品が長尺かつ偏肉な形状の場合にも、成形品の長手方
向転写面の温度ムラを低減し、非常に高精度な成形品を
得ることが可能となる。
【0058】第7の実施の形態 図12(a)は金型1の構造を示す模式的断面図であ
り、キャビティ駒離隔時の状態を示している。図12
(b)は図12(a)のD−D線断面図である。この金
型1では、摺動可能なキャビテイ駒21内に、外部の圧
縮気体供給源(図略)と連通する給気流路22を一つま
たは複数形成する。また、金型1全体の温度を保持して
いる温調手段(図示せず)以外に、転写面14a,15
aの温度をキャビティへの樹脂充填直前の温度に維持す
るための温度維持手段(加熱手段)としてヒータ74を
転写面近傍に複数、かつキャビティ10aの長手方向に
沿って配備する。このヒータ74は、内部の発熱素子を
複数に分割し、個別に通電加熱を行うことができる構造
とする。
【0059】プラスチックの成形に際しては溶融樹脂
を、その軟化温度未満に加熱された金型のゲート(図示
せず)から金型キャビティ内に射出充填した後、樹脂を
その軟度温度未満にまで冷却する過程において、摺動可
能なキャビテイ駒21を樹脂から離隔する方向に移動さ
せ空隙40を形成させる。ついで、圧縮気体を給気流路
22から流入し、排気流路23から排出することで、空
隙40と接する樹脂面を冷却する。転写面近傍に加熱媒
体として、上記構造のヒータを上記態様で配備したの
で、成形品が長尺かつ偏肉な形状の場合にも、金型構造
を複雑にすることなく成形品の長手方向転写面の温度ム
ラを低減することができ、非常に高精度な成形品を得る
ことが可能となる。
【0060】第8の実施の形態 図13は金型1の構造を示す模式的断面図であり、キャ
ビティ駒離隔時の状態を示している。この金型1では、
摺動可能なキャビテイ駒21内に、外部の圧縮気体供給
源(図略)と連通する給気流路22を形成する。また、
転写面14a,15aの温度をキャビティへの樹脂充填
直前の温度に維持するための温度維持手段として、低熱
伝導性材料(例えばセラミックス材料)からなる伝熱抑
制部材である保温部材26を、転写面を形成する金型部
材11とキャビティ駒21との間に配備する。すなわち
上記保温部材26を、キャビティ駒21を包囲する形態
で、かつこの保温部材26の端部が空隙40に臨む形態
で設ける。図7の金型が上記温度維持手段として電熱ヒ
ータ71を設けたものであるのに対し、本実施の形態の
金型は、上記温度維持手段として保温部材26を配備し
た点で図7の金型と相違する。本実施の形態の金型のそ
の他の部分の構成は、図7と同様である。
【0061】プラスチックの成形に際しては溶融樹脂
を、その軟化温度未満に加熱された金型のゲート(図示
せず)から金型キャビティ内に射出充填した後、樹脂を
その軟度温度未満にまで冷却する過程において、摺動可
能なキャビテイ駒21を樹脂から離隔する方向に移動さ
せ空隙40を形成する。ついで、圧縮気体を給気流路2
2から供給し、排気流路23から排出することで、空隙
40と接する樹脂面を冷却する。
【0062】従来の金型では、この圧縮気体で樹脂を冷
却する際、転写面も冷却されてしまう。これに対し、本
実施の形態の金型では、保温部材26を上記態様で配備
したことにより、転写面の温度を空隙形成前と同じ温度
に保つことが可能となる。
【0063】図14に成形品内および金型の温度測定結
果を示す。この図で明らかなように、従来の金型で生じ
ていた非転写面の温度低下を防ぐことができ、形状精度
を向上させることができる。また、成形品が光学レンズ
の場合には、内部歪みも非常い小さい成形品を得ること
ができる。また、転写面の温度を維持する手段として、
保温部材26に替えて空気層(断熱層)を適所に形成す
ることも、非常に容易かつ有効な手段であり、空隙冷却
に伴う転写面の温度低下をこの空気層で抑えることがで
きる。
【0064】実施例および比較例 上記第1〜第3の実施の形態に係る成形用金型(実施
例)と、図16に示す成形用金型(比較例)とを用意
し、光学レンズを成形した。この場合、それぞれの金型
では同一形状・寸法のキャビティを形成して成形した。
図15(a)は光学レンズ各部の設計寸法(狙いの寸
法:単位mm)を示す説明図、図15(b)は、成形で
得られた光学レンズの寸法測定結果の説明図である。図
15(b)で明らかなように、本発明の実施例によれ
ば、転写面すなわちレンズ面201,202の形状・寸
法精度が比較例に比べて非常に高い成形品を得ることが
できる。
【0065】また、本発明の成形用金型によれば、通常
の射出成形法と同等の成形サイクルでプラスチック成形
品を得ることができるため生産性も高く、比較例低コス
トで高性能の成形品を提供することが可能となる。さら
に、これらのプラスチック成形品の製造方法で成形した
光学素子は形状精度が高いうえ、内部歪みが非常に少な
いため、この光学素子を用いた光学系は焦点位置ずれ
や、ビームスポット径の肥大化のない、高い光学性能を
得ることができる。
【0066】なお、上記実施の形態および実施例では、
排気流路を金型部材の内周面に形成したが、これに替え
てキャビティ駒の外周面に形成することもできる。ま
た、給気流路を金型部材の内周面に形成し、キャビティ
駒に排気流路を形成してもよい。さらに、キャビティ駒
内に給気流路を形成するとともに、キャビティ駒の外周
面および金型部材の内周面に排気流路を形成することも
できる。
【0067】また、キャビティに圧縮気体を供給するよ
うにしたが、これに替えて、真空ポンプで吸引した大気
をキャビティに供給するように構成することもできる。
また、上記実施の形態および実施例では、キャビティ駒
21をキャビティから後退させることで空隙40を形成
するようにしたが、キャビティ駒21を後退させず圧縮
気体をキャビティに供給し、それまで樹脂に密着してい
たキャビティ駒の先端面を、圧縮気体の圧力によって樹
脂面から剥がすことで空隙を形成することもできる。
【0068】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
係る成形用金型およびプラスチックの成形方法で成形し
たプラスチック成形品は、転写面の形状精度が非常に良
く、しかもこれらの金型および成形方法は、金型の加熱
昇温、溶融樹脂の射出充填、保圧・徐冷、成形品取出し
の工程を経る通常の射出成形金型の場合と同等の生産性
を有するものである。したがって、本発明の成形用金型
で成形された光学素子は、形状・寸法精度が非常に高い
うえ、内部歪みが非常に小さく、この光学素子を用いた
光学系では、焦点位置ずれやビームスポット径の肥大化
のない、高い光学性能を得ることができる。以下、請求
項別の効果についてまとめる。
【0069】請求項1(成形用金型)、請求項11の発
明(プラスチックの成形方法)では、キャビティ駒に形
成された複数の給気口から圧縮気体(冷却気体)を、樹
脂の非転写面とキャビティ駒の先端面とにより金型内に
形成される空隙全体に均等に供給して、樹脂の非転写面
側をムラなく冷却することにより、転写面全体を均一に
冷却することができるうえ、成形品の生産性も高い。こ
のため、転写面側の冷却ムラ(転写面の温度ムラ)が大
幅に低減でき、形状精度が高く、かつ内部歪みが非常に
小さい高品質のプラスチック成形品を低コストで提供す
ることができる。
【0070】請求項2の発明では、キャビティ駒をキャ
ビティから後退させることにより確実に空隙が形成され
るため、非転写面に凸状または凹凸状のひけを確実に誘
導することができるので、高精度の成形品を、より確実
に成形することができる。請求項3の発明によれば、ひ
けの発生に起因する金型内樹脂の移動が転写面劣化(転
写面の転写精度低下)に与える影響を防止することがで
き、高精度な成形品をより確実に得ることができる。請
求項4の発明によれば、キャビティ内樹脂の非転写面を
より均一に冷却する(キャビティ駒後退で形成される空
隙を均一に冷却する)ことができ、高精度な成形品をよ
り確実に得ることができる。
【0071】請求項5の発明では、キャビティ駒をキャ
ビティから後退(離隔移動)させたときに、キャビティ
・排気流路間の閉鎖が解かれるようにしたので、キャビ
ティへの樹脂充填時に樹脂が金型外に漏れないようにし
て成形することができるうえ、キャビティ駒後退後に空
隙内の圧縮気体を排気することができる。請求項6の発
明では、複数の直線状ピンを所定の態様で設けてキャビ
ティ駒を構成したので、該駒をより簡便・安価に提供す
ることができる。請求項7の発明では、キャビティ駒の
給気口の口径を0.05mm以下としたので、成形品の
バリ発生や、キャビティ駒離隔時の成形品変形を防止す
ることができる。
【0072】請求項8の発明では、キャビティ駒を多孔
質材料で構成し、その空孔により給気流路および給気口
を形成したので、キャビティ内樹脂の非転写面全体を圧
縮気体で均一に冷却することができ、高精度な成形品を
より容易に、かつ安定して得ることが可能となる。請求
項9の発明では、多孔質材料の空孔径を0.05mm以
下としたので、バリの発生や、樹脂と多孔質材料との密
着力が大きくなることに起因するキャビティ駒離隔時の
成形品変形を防止することができる。請求項10の発明
では、温度及び/又は流量が制御された圧縮気体をキャ
ビティ駒から供給するようにしたので、非常に高精度な
成形品を、より安定して成形することができる。
【0073】請求項12(成形用金型)、請求項24の
発明(プラスチックの成形方法)では、キャビティ内を
冷却する機能を有するキャビティ駒を設け、後退したキ
ャビティ駒と樹脂の非転写面との間に形成される空隙を
このキャビティ駒で冷却するように構成するとともに、
転写面の温度をキャビティへの樹脂充填直前の温度に維
持するための温度維持手段を適所に配備したので、空隙
冷却時の転写面温度の低下を防ぐことができ、かつ転写
面の温度のムラを防止することが可能となり、そのうえ
成形品の生産性も高い。このため、転写面の温度ムラが
大幅に低減され、形状精度が高く、内部歪みが非常に小
さい高品質のプラスチック成形品を低コストで提供する
ことができる。
【0074】請求項13の発明では、キャビティ駒をキ
ャビティから後退させることにより確実に空隙が形成さ
れるため、非転写面に凸状または凹凸状のひけを確実に
誘導することができるので、高精度の成形品を、より確
実に成形することができる。請求項14の発明では、上
記空隙をキャビティ駒からの圧縮気体で冷却するように
したので、樹脂の非転写面を非常に効率良く冷却するこ
とができ、高精度な成形品を、より確実に得ることがで
きる。請求項15の発明では、空隙に供給される圧縮気
体の温度及び/又は流量が制御されていることにより、
更に高精度な成形品を安定して得ることができる。
【0075】請求項16の発明では、キャビティ駒に冷
却用媒体を流すことで、上記空隙を冷却するようにした
ため、樹脂の非転写面を効率良く冷却することができ、
高精度な成形品を得ることができる。請求項17の発明
では、転写面を所定温度に維持するための温度維持手段
として、電熱ヒータを配備したので、空隙冷却時の転写
面の温度低下を、比較的簡易な金型構造で確実に防止す
ることができる。
【0076】請求項18の発明では電熱ヒータを、個別
に通電発熱する複数の発熱素子を配列して構成したの
で、また請求項19の発明では、転写面の近傍に電熱ヒ
ータを複数、転写面を包囲する形態で配備したので、電
熱ヒータによる加熱の精度が向上する。このため請求項
18,19の発明では、成形品が長尺かつ偏肉形状の場
合にも、成形品の長手方向転写面の温度分布を低減する
ことができ、非常に高精度な成形品を得ることができ
る。
【0077】請求項20の発明では、上記温度維持手段
が、金型部材内に形成された加熱用媒体の流路と、該流
路に温度制御された加熱用媒体を供給する加熱用媒体供
給手段とを備え、金型内が加熱用媒体で加熱されるよう
に構成したので、比較的簡易な金型構造で、空隙冷却時
の転写面の温度低下を防ぐことができる。請求項21の
発明では、加熱用媒体の流路を金型部材内のキャビティ
近傍部位に複数、転写面を包囲する形態で配備したの
で、空隙冷却時の転写面温度低下を、より高精度に防止
することができる。
【0078】請求項22の発明では温度維持手段が、転
写面を形成する金型部材とキャビティ駒との間の適所に
配備された、低熱伝導性材料からなる保温部材であるこ
とにより、また23の発明では温度維持手段が、転写面
を形成する金型部材とキャビティ駒との間の適所に形成
された空気層であることにより、それぞれ、加熱手段を
設けることなく簡易な金型構造で、空隙冷却時の転写面
の温度低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るプラスチック
成形用金型および、これによる成形方法を示す模式的断
面図である。
【図2】(a)は図1の成形方法による成形品内の温度
測定要領の説明図、(b)は温度測定結果を示すグラフ
である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係るプラスチック
成形用金型および、これによる成形方法を示す模式的断
面図である。
【図4】(a)は図3の成形方法による成形品内の温度
測定要領の説明図、(b)は温度測定結果を示すグラフ
である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係るプラスチック
成形用金型および、これによる成形方法を示す模式的断
面図である。
【図6】(a)は図5の成形方法による成形品内の温度
測定要領の説明図、(b)は温度測定結果を示すグラフ
である。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係るプラスチック
成形用金型および、これによる成形方法を示す模式的断
面図である。
【図8】(a)は図7の成形方法による成形品内および
金型の温度測定要領の説明図、(b)は温度測定結果を
示すグラフである。
【図9】本発明の第5の実施の形態に係るプラスチック
成形用金型および、これによる成形方法を示す模式的断
面図である。
【図10】(a)は図9の成形方法による成形品内およ
び金型の温度測定要領の説明図、(b)は温度測定結果
を示すグラフである。
【図11】本発明の第6の実施の形態に係るもので、
(a)プラスチック成形用金型および、これによる成形
方法を示す模式的断面図であり、(b)はそのC−C線
断面図である。
【図12】本発明の第7の実施の形態に係るもので、
(a)プラスチック成形用金型および、これによる成形
方法を示す模式的断面図であり、(b)はそのD−D線
断面図である。
【図13】本発明の第8の実施の形態に係るプラスチッ
ク成形用金型および、これによる成形方法を示す模式的
断面図である。
【図14】(a)は図13の成形方法による成形品内お
よび金型の温度測定要領の説明図であり、(b)は温度
測定結果を示すグラフである。
【図15】(a)は本発明の金型(実施例)および、従
来の金型(従来例)で成形しようとする光学レンズの概
略斜視図、(b)はこれら実施例と従来例との、成形結
果(成形品の形状精度)を比較して示すグラフである。
【図16】従来の成形用金型の構造および、これによる
成形工程を示す説明図である。
【図17】図16の成形用金型および成形工程の問題点
説明図である。
【符号の説明】
1 成形用金型 10 本体 10a キャビティ 11〜15 金型部材 14a 転写面 15a 転写面 16 溶融樹脂 17 冷却中の樹脂 21 キャビティ駒 21a 非転写面 21b 循環配管 22 給気流路 22a 給気口 23 排気流路 25 温調装置 26 保温部材 31 圧力制御装置 32 温度調節装置 33 流量制御弁 34 気体供給源 40 空隙 51 キャビティ駒 52 ピン 53 給気流路 54 排気流路 61 キャビティ駒 62 通気性部材 63 給気流路 64 排気流路 71 電熱ヒータ 72 加熱流体供給配管 73 ヒータ 74 ヒータ 100a 充填された溶融樹脂 100b 冷却中の樹脂 100c 成形品 100d ひけ 101 金型 101a キャビティ 102 キャビティ駒(可動入れ子) 103 転写面 104 転写面 105 非転写面 106 空隙 200 光学レンズ 201 レンズ面 202 レンズ面
フロントページの続き (72)発明者 原田 知広 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 4F202 AH74 AJ10 AJ12 AK02 AK09 CA11 CB01 CK11 CK52 CN01 CN05 CN18 CN22

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 転写面と非転写面とによりキャビティを
    画成した成形用金型において、キャビティに臨む給気口
    が先端面に複数形成され該給気口に連なる圧縮気体の供
    給流路(以下、給気流路)が形成されたキャビティ駒を
    設けるとともに、前記先端面により非転写面を形成し、
    前記給気口からキャビティに供給された圧縮気体を当該
    金型外に排気する排気流路を適所に複数形成したことを
    特徴とする成形用金型。
  2. 【請求項2】 キャビティ駒を、金型部材に対し摺動移
    動させることによりキャビティに対し接近・離隔とした
    ことを特徴とする請求項1に記載の成形用金型。
  3. 【請求項3】 キャビティ駒先端面による非転写面を、
    該キャビティ駒が摺動する相手の金型部材の環状転写面
    で包囲するとともに、前記非転写面の輪郭線形状を前記
    環状転写面の外側輪郭線の形状とおおむね相似としたこ
    とを特徴とする請求項2に記載の成形用金型。
  4. 【請求項4】 キャビティ駒先端面による非転写面を、
    該キャビティ駒が摺動する相手の金型部材の環状転写面
    で包囲するとともに、キャビティ駒に形成された複数の
    給気口の全体が内接する図形の形状を、前記環状転写面
    の外側輪郭線の形状とおおむね相似としたことを特徴と
    する請求項2または3に記載の成形用金型。
  5. 【請求項5】 キャビティ駒が摺動移動する金型部材に
    排気流路を形成するとともに、キャビティ駒によりキャ
    ビティを形成している状態では排気流路がキャビティ駒
    により閉鎖され、キャビティ駒をキャビティから離隔移
    動させたときには前記閉鎖が解かれて、排気流路がキャ
    ビティと連通するようにしたことを特徴とする請求項2
    〜4のいずれかに記載の成形用金型。
  6. 【請求項6】 キャビティ駒は、板状部材に複数の直線
    状ピンを当該キャビティ駒の摺動移動方向に平行に突設
    して構成し、これらピン同士間の間隙により前給気流路
    および給気口を形成するとともに、これらのピンの先端
    面を面一に揃えることにより非転写面を形成したことを
    特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の成形用金
    型。
  7. 【請求項7】 キャビティ駒の給気口の口径が、0.0
    5mm以下であることを特徴とする請求項2〜6のいず
    れかに記載の成形用金型。
  8. 【請求項8】 キャビティ駒が多孔質材料からなる通気
    性部材を備え、該通気性部材に形成された空孔により給
    気流路および給気口が形成されていることを特徴とする
    請求項2〜5のいずれかに記載の成形用金型。
  9. 【請求項9】 通気性部材の空孔の径が0.05mm以
    下であることを特徴とする請求項8に記載の成形用金
    型。
  10. 【請求項10】 キャビティ駒に形成された給気流路
    を、温度・供給流量の少なくとも一方が制御された圧縮
    気体を供給する圧縮気体供給手段に連絡したとを特徴と
    する請求項2〜9のいずれかに記載の成形用金型。
  11. 【請求項11】 請求項2〜10のいずれかに記載の成
    形用金型を用いるプラスチックの射出成形方法であっ
    て、溶融樹脂をその軟化温度未満に加熱された金型に射
    出充填し、溶融樹脂を軟化温度未満まで冷却する過程
    で、キャビティ駒を金型部材に対し摺動移動させてキャ
    ビティから離隔させることにより、キャビティ駒の非転
    写面とキャビティ内樹脂との間に空隙を形成し、該空隙
    に給気口から圧縮気体を供給することにより、非転写面
    に接触していた樹脂面を冷却し、冷却後の気体を排気流
    路を介して金型外に排出することを特徴とするプラスチ
    ックの成形方法。
  12. 【請求項12】 転写面と非転写面とによりキャビティ
    を画成した成形用金型において、先端面が非転写面を形
    成し、かつキャビティ内を冷却する機能を有するキャビ
    ティ駒を設け、さらに、転写面の温度をキャビティへの
    樹脂充填直前の温度に維持するための温度維持手段を適
    所に配備したことを特徴とする成形用金型。
  13. 【請求項13】 キャビティ駒を、金型部材に対し摺動
    移動させることによりキャビティに対し接近・離隔自在
    としたことを特徴とする請求項12に記載の成形用金
    型。
  14. 【請求項14】 キャビティ駒として、キャビティに臨
    む給気口が先端面に形成され該給気口に連なる圧縮気体
    の供給流路(以下、給気流路)が形成されたものを設
    け、前記給気口からキャビティに供給された圧縮気体を
    当該金型外に排気する排気流路を適所に形成したことを
    特徴とする請求項13に記載の成形用金型。
  15. 【請求項15】 キャビティ駒に形成された給気流路
    を、温度・流量の少なくとも一方が制御された圧縮気体
    を供給する圧縮気体供給手段に連絡したことを特徴とす
    る請求項14に記載の成形用金型。
  16. 【請求項16】 キャビティ駒内に冷却用媒体の流路を
    形成し、該流路を温度制御された冷却用媒体の供給手段
    に連絡したことを特徴とする請求項13に記載の成形用
    金型。
  17. 【請求項17】 温度維持手段が電熱ヒータと、該電熱
    ヒータの発熱温度を所定温度に制御するヒータ制御手段
    とを備えていることを特徴とする請求項13〜16のい
    ずれかに記載の成形用金型。
  18. 【請求項18】 電熱ヒータが、個別に通電発熱する複
    数の発熱素子を配列して構成されていることを特徴とす
    る請求項17に記載の成形用金型。
  19. 【請求項19】 転写面の近傍に電熱ヒータを複数、転
    写面を包囲する形態で配備したことを特徴とする請求項
    17または18に記載の成形用金型。
  20. 【請求項20】 温度維持手段が、金型部材内に形成さ
    れた加熱用媒体の流路と、該流路に温度制御された加熱
    用媒体を供給する加熱用媒体供給手段とを備えているこ
    とを特徴とする請求項13〜16のいずれかに記載の成
    形用金型。
  21. 【請求項21】 加熱用媒体の流路を金型部材内のキャ
    ビティ近傍部位に複数、転写面を包囲する形態で配備し
    たことを特徴とする請求項20に記載の成形用金型。
  22. 【請求項22】 温度維持手段が、転写面を形成する金
    型部材とキャビティ駒との間の適所に配備された、低熱
    伝導性材料からなる保温部材であることを特徴とする請
    求項13〜16のいずれかに記載の成形用金型。
  23. 【請求項23】 温度維持手段が、転写面を形成する金
    型部材とキャビティ駒との間の適所に形成された空気層
    であることを特徴とする請求項13〜16のいずれかに
    記載の成形用金型。
  24. 【請求項24】 請求項17〜21のいずれかに記載の
    成形用金型を用いるプラスチックの射出成形方法であっ
    て、あらかじめ温度維持手段を作動させておき、溶融樹
    脂をその軟化温度未満に加熱された金型に射出充填し、
    溶融樹脂を軟化温度未満まで冷却する過程で、キャビテ
    ィ駒を金型部材に対し摺動移動させてキャビティから離
    隔させることにより、キャビティ駒の非転写面とキャビ
    ティ内樹脂との間に空隙を形成し、該空隙をキャビティ
    駒で冷却することにより、非転写面に接触していた樹脂
    面を冷却することを特徴とするプラスチックの成形方
    法。
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