JP4936935B2 - プラスチック製光学素子の樹脂成形装置、及び樹脂成形方法 - Google Patents
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そこで、高い成形精度が必要な転写面以外の任意の箇所に選択的、局所的に「ひけ」による凹部を非転写面に発生させることによって、低圧成形条件下で転写面の転写性が高められるようにする樹脂成形方法及び樹脂成形装置の一例が特開平2001−079876号公報に記載されている。
また、上記のような樹脂成形品を高精度に成形するには、樹脂成形品に変形を起こさせないで、円滑に金型から取り出すことが重要である。
樹脂成形品の突き出しは、成形収縮によってキャビティ内面に密着した樹脂を金型から離脱させるものであり、離型抵抗の大きい所に突き出し位置が選定される。
前記空間部形成手段が、成形品突き出し面を押圧する金型の突き出し機構部内に設けられており、成形品突き出し面内に空間部を形成し、当該空間部の容積を、金型の突き出し機構部の移動量によって制御する制御手段を備えていることである。
(1)請求項1の発明の効果
請求項1の発明によれば、圧縮気体を非転写面の樹脂部に圧入することにより「ひけ」が誘導され、空間部が形成されるようにする空間部形成手段を有する樹脂成形装置において、空間部形成手段が、成形品突き出し面を押圧する金型の突き出し機構部内に設けられていることから、別途、圧縮気体圧入用の通気孔を有する入れ子駒を設ける必要がなく、金型構成を複雑化(金型部品数の増加)させることなしに、容易に低圧ひけ誘導成形を実現することができる。
また、成形品突き出し面内に形成される空間部の容積を、金型の突き出し機構部の移動量によって制御する制御手段を備えていることから、容易に「ひけ量」を的確に制御することができ、最適な低圧ひけ誘導成形を実現することができる。
その結果、転写面の高転写性を確保しつつ、内部歪みが少ない高精度なプラスチック成形品を成形することができる。
請求項2の発明によれば、非転写面である成形品突き出し面内に形成された空間部を包囲する領域に、気体封止手段が設けられ、この気体封止手段が突き出し機構部先端に設けられたシール部材であることから、極めて簡単な構造で気体漏れを防ぎ、転写面にまで「ひけ」が及ぶことによる成形品精度の悪化を防止することができる。
請求項3の発明によれば、非転写面である成形品突き出し面内に形成された空間部を包囲する領域に、気体封止手段が設けられ、この気体封止手段が金型成形面の環状溝によって成形品と一体で形成される凸形状部であることから、極めて簡単な構造で、気体漏れを防ぎ、転写面にまで「ひけ」が及ぶことによる成形品精度の悪化を防止することができる。
請求項4の発明によれば、樹脂を成型する樹脂成形方法であって、樹脂成形装置には、圧縮気体を非転写面の樹脂部に圧入することにより、非転写面に空間部を形成する空間部形成手段が、成形品突き出し面を押圧する金型の突き出し機構部内に設けられており、成形品突き出し面内に空間部を形成し、当該空間部の容積を、金型の突き出し機構部の移動量によって制御することから、圧縮気体圧入用の通気孔を有した摺動可能な入れ子駒を特別に設ける必要はなく、金型構成を複雑化(金型部品数の増加)させることなく、容易に「ひけ量」を的確に制御することができ、最適な低圧ひけ誘導成形を実現することができる。その結果、転写面の高転写性を確保しつつ、内部歪みが少ない高精度なプラスチック成形品を成形することができる。
請求項5の発明によれば、請求項4に記載の樹脂成形方法において、突き出し機構部による成形品突き出し時に、突き出し面内に形成された空間部に、圧縮気体を圧入することにより、成形品を金型から離型させて取り出すことから、突き出し機構部(エジェクタピン)によるメカニカルな突き出しと、エアーエジェクトとの併用により、成形品を確実にバランス良く突き出すことができる。その結果、転写面の高転写性を確保しつつ、内部歪みが少ない高精度なプラスチック成形品を成形することができる。
この実施例の樹脂成形装置は、コア入れ子1及び可動側受け板2と、可動側受け板2に固定された可動側型板3、樹脂成形品4の突き出し面5を押圧する突き出し機構部6とからなる可動金型と、キャビティ入れ子7及び固定側受け板8と、固定側受け板8に固定された固定側型板9からなる固定金型とで構成されており、キャビティ入れ子7には、射出成形機の射出部10から溶融樹脂を成形キャビティ内に射出充填する複数のゲート11がある。
図2に示す気体封止手段16は、突き出し機構部6のエジェクタピン6aの先端に設けた耐熱樹脂製のOリング又は同等の形状、機能を有するシール部材16aで構成されているものである。
図3に示す気体封止手段16は、樹脂成形品4の突き出し面5に対向する金型成形面の周囲に環状溝が設けられ、この環状溝に溶融樹脂が侵入して充填され、上記環状溝に充填された樹脂による環状凸部16bが樹脂成形品4に形成され、この環状凸部16bが気体封止機能を奏することになる。
図2の例、図3の例のいずれも、極めて簡単な構造であり、これによって、圧入された気体漏れが防がれ、非転写面である突き出し面5のみに確実に「ひけ」が誘導される。その結果、転写面15の転写性が向上され、樹脂成形品の形状精度が向上される。
本発明では、一定温度に保持された金型のキャビテイ内に溶融樹脂を低圧充填する。樹脂充填後、空間部形成手段13(気体供給装置13a)を用いて、突き出し機構部6のエジェクタピン6aの中心部に形成された通気孔12を介して、非転写面である突き出し面5の一部に圧縮気体を導入する。
これによって、圧縮気体を導入した部分の樹脂と金型との密着力が解除された状態となり、この部分に選択的に「ひけ」を発生させることができる。一度「ひけ」が発生すると、その部分は、金型からの冷却が阻害されるため、金型と接している部分よりも相対的に温度が高く、樹脂粘度が低く、このため、その表層がより動きやすくなり、この部分でひけが進行するので、この「ひけ」によって空間部14が形成される。この空間部14が形成されることによって、その分だけ、転写させたい部分が肉厚部の熱収縮で引っ張られることが少なくなり、その収縮変形(熱歪みの残留)が防止される。
この手法によって、「ひけ量」を的確に制御することが可能であり、最適な低圧ひけ誘導による樹脂成形を実現することができる。
すなわち、エジェクタピンの後退時期を早めに設定するなど適宜調整し、後退移動量を大きくすることによって、空間部14の容積が増大される。
突き出し機構部6のエジェクタピン6aによるメカニカルな突き出しと、エアー突き出しとの併用により、樹脂成形品4を確実にバランス良く突き出すことができ、その結果、微細面形状や光学面等の転写面15の高転写性を確保しつつ、内部歪みが少ない高精度な樹脂成形品4が製作される。
図6(a)の樹脂成形品4aの突き出し面5に凹形状部16cが形成されており、これは、突き出し機構部がエジェクタピン6aの先端に設けられたシール部材16a(気体封止手段16)によって形成されたものである。
他方、図6(b)の樹脂成形品4bの突き出し面5に凸形状部(環状凸部)16bが形成されており、これは、金型成形面に形成された環状溝に樹脂が侵入して形成されたものである。
2:可動側受け板
3:可動側型板
4:樹脂成形品
5:突き出し面
6:突き出し機構部
6a:エジェクタピン
7:キャビティ入れ子
8:固定側受け板
9:固定側型板
10:射出成形機射出部
11:ゲート
12:通気孔
13a:気体供給装置
13:空間部形成手段
14:空間部
15:転写面
16:気体封止手段
16a:シール部材
16b:環状凸部
Claims (5)
- 樹脂成形装置であって、
圧縮気体を非転写面の樹脂部に付与することにより、この非転写面に空間部を形成する空間部形成手段が、成形品突き出し面を押圧する金型の突き出し機構部内に設けられており、
上記成形品突き出し面内に空間部を形成し、当該空間部の容積を、上記金型の突き出し機構部の移動量によって制御する制御手段を備えることを特徴とする樹脂成形装置。 - 非転写面である成形品突き出し面内に形成された空間部を包囲する領域に、気体封止手段が設けられ、当該気体封止手段が突き出し機構部先端に設けられたシール部材からなることを特徴とする請求項1の樹脂成形装置。
- 非転写面である成形品突き出し面内に形成された空間部を包囲する領域に、気体封止手段が設けられ、当該気体封止手段が金型成形面の環状溝によって成形品と一体で形成された凸形状部であることを特徴とする請求項1の樹脂成形装置。
- 樹脂を成型する樹脂成形方法であって、
樹脂成形装置には、圧縮気体を非転写面の樹脂部に付与することにより、非転写面に空間部を形成する空間部形成手段が、成形品突き出し面を押圧する金型の突き出し機構部内に設けられており、
成形品突き出し面内に空間部を形成し、当該空間部の容積を、金型の突き出し機構部の移動量によって制御することを特徴とする樹脂成形方法。 - 請求項4に記載の樹脂成形方法であって、
突き出し機構部による成形品突き出し時に、突き出し面内に形成された空間部に、圧縮気体を圧入することにより、成形品を金型から離型させて取り出すことを特徴とする樹脂成形方法。
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