JP4713984B2 - 複屈折フィルムおよび液晶表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複屈折フィルムおよびそれを用いた液晶表示装置に関する。
従来、液晶表示装置において、正の誘電率異方性を有する液晶を、相互に対向する基板間に水平配向した、いわゆるTNモードが主として使われていた。しかし、TNモードは、その駆動特性上、黒表示をしようとしても基板近傍の液晶分子により複屈折が生じる結果、光漏れが生じ、完全な黒表示を行うことが困難であった。一方、電圧非印加状態に置いて液晶分子が略垂直に配向しているVAモードがある。VAモードでは、光が、偏光面をほとんど変化させること無く液晶層を通過するため、基板の上下に偏光板を配置することにより非駆動状態(電圧非印加状態)で、ほぼ完全な黒色表示が可能である。
しかしながら、VAモードでは、パネル法線方向においてはほぼ完全な黒色表示ができるものの、法線方向から外れた方向(斜め方向)からパネルを観察すると、液晶の複屈折の影響を受け、光漏れが発生する。この結果、VAモードにおいて、視野角が狭くなるという問題があった。この問題を解決するために、nx=ny>nzの屈折率異方性を有する位相差板を、液晶層と偏光板の間の少なくとも一方に配置することで、前記液晶の複屈折を補償することが提案されている(特許文献1)。前記nx、nyおよびnzは、それぞれ、前記位相差板における、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の屈折率を示す。前記X軸方向は、前記位相差板の面内方向において最大の屈折率を示す軸方向であり、前記Y軸方向は、前記面内における前記X軸方向に対して垂直な軸方向であり、前記Z軸方向は、前記X軸方向および前記Y軸方向に垂直な厚み方向を示す。しかし、液晶層の複屈折を補償しても、偏光板の光軸から外れた方位においては、偏光板による光漏れが生じ、コントラストの低下が生じてしまうという問題があった。基本的に、PVA系フィルムにヨウ素等の二色性物質等を吸着させた偏光子同士でクロスニコル状態を得ても、その光軸からずれた方位において法線方向から視角を傾けていくと光漏れは必然的に生じてしまうからである。
これに対して、nx>ny=nzとなる正の屈折率異方性を有する第1の位相差板と、nx=ny>nzとなる負の屈折率異方性を有する第2の位相差板とを併用することにより、偏光板の光軸からずれた方位においても光漏れを低減させ、視野角特性を向上する方法が提案されている(特許文献2)。ここでnx>ny=nzとなる正の屈折率異方性を有する第1の位相差板を正のAプレート、nx=ny>nzとなる負の屈折率異方性を有する第2の位相差板を負のCプレートと称する事とする。しかしながら、この方法では、コントラストの視野角特性の改善、すなわち視感度の一番高い550nm付近の光に対して漏れ量を低減させているのみであり、カラーシフトに関しては解決方法が示されていない。視野角特性という点では、550nm付近の光に対してだけでなく他の波長、例えば、青や赤の光に対しても漏れ量を同様に低減させる必要があり、それが不十分である場合には、黒が、青若しくは赤みがかったりするという、カラーシフト現象が生じてしまう。すなわち、コントラストの視野角特性改善においては、カラーシフト現象の問題も考慮する必要がある。
また、nx>ny>nzの光学的に二軸の位相差板を用いることにより、VAモードの液晶表示装置の視野角特性を向上することが提案されている(特許文献3)。しかし、これも上記と同様に、カラーシフトの点は不十分である。
一方、最近の研究において、上記のような特定の2種類の位相差フィルムを組み合わせることにより上記課題を解決できる理由としては以下のように考えている。正のAプレートは主として偏光板の見かけの軸ずれを補償し、負のCプレートは一対の偏光フィルム間に存在する厚み方向位相差を補償する。ここで、偏光板の見かけの軸ずれを広い波長領域にわたって補償するためには、波長に依存せず等しい角度の位相差(deg)を偏光に与えることが好ましい。つまりこのことは、この位相差をnm単位で表記した場合には、短波長になるほど位相差が小さくなる特性を持つことを意味する。このような特徴を有する正のAプレートを負のCプレートと合わせて作製したVAモードの液晶表示装置では、黒表示でのカラーシフト現象が、特に短波長側において少し改善できることが報告されている(非特許文献1)。しかし、この方法でもカラーシフトの点では不十分である。
さらに、高い波長分散値を有する負のCプレートを使用することで前記黒表示でのカラーシフト現象を抑制できることが提案されている(特許文献4)。しかしこの場合に用いられる負のCプレートの具体的な波長分散値の範囲が定義されておらず、十分なカラーシフト抑制効果があるとは言えない。
特開昭62−210423号公報 特許第3027805号公報 特許第3330574号公報 特開2004−326089号公報 ワイ.オノ(Y.Ono)外,VA−LCDにおける位相差フィルムの波長分散効果(Wavelength Dispersion Effects of Retardation Films on VA-LCD),「アイディーダブリュー02 プロシーディングス(IDW'02 Proceedings)」,エスアイディー ジャパン(SID Japan),2002年,p.525
本発明は、前記のような事情に鑑みなされたもので、広範囲にわたり高いコントラスト比を有し、カラーシフトが抑制されたVAモードの液晶パネルの提供を目的とする。
すなわち、本発明の第1は、下記式[1]の屈折率異方性を有し、かつ下記式[2]〜[4]を満たす複屈折フィルムである。
式[1] nx1≧ny1>nz1
式[2] 0nm≦Re1≦100nm
式[3] 50nm≦Rth1≦500nm
式[4] 1.00<D1<1.40
(ただし、式[1]において、nx1、ny1およびnz1は、それぞれ、複屈折フィルムにおける、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の屈折率を示す。前記X軸方向は、複屈折フィルムの面内方向において最大の屈折率を示す軸方向であり、前記Y軸方向は、面内におけるX軸方向に対して垂直な軸方向であり、前記Z軸方向は、前記X軸方向および前記Y軸方向に垂直な厚み方向を示す。式[2]のRe1および式[3]のRth1は、それぞれ式[5]および式[6]で定義される値であり、dはフィルムの膜厚を表す。また、式[4]において、D1は式[7]で定義される値であり、複屈折フィルムの450nmおよび590nmの各波長の光で測定した法線方向のリターデーション(Rth)の比である。)
式[5] Re1=(nx1−ny1)d
式[6] Rth1=(nx1−nz1)d
式[7] D1=Rth1(450nm)/Rth1(590nm)
Rth1(450nm):波長450nmの光で測定したRth
Rth1(590nm):波長590nmの光で測定したRth
本発明の第2は、前記複屈折フィルムがカイラルネマチック液晶相を形成する液晶性化合物または液晶性組成物からなることを特徴とする本発明の第1に記載の複屈折フィルムである。
本発明の第3は、前記液晶性組成物が液晶性高分子化合物と非液晶性光学活性ポリエステルとからなる液晶性高分子組成物であることを特徴とする本発明の第2に記載の複屈折フィルムである。
本発明の第4は、前記液晶性化合物または液晶性高分子化合物が、オルソ置換芳香族単位を含む液晶性ポリエステルからなることを特徴とする本発明の第2又は第3に記載の複屈折フィルムである。
本発明の第5は、前記液晶性化合物または液晶性高分子化合物が、下記構造単位をさらに含むことを特徴とする本発明の第2〜第4のいずれかに記載の複屈折フィルムである。
Figure 0004713984
本発明の第6は、前記非液晶性光学活性ポリエステルが、少なくとも下記構造単位A〜Dから構成される高分子化合物であることを特徴とする本発明の第3に記載の複屈折フィルムである。
[構造単位A]
Figure 0004713984
[構造単位B]
Figure 0004713984
[構造単位C]
以下のいずれか1単位。
Figure 0004713984

[構造単位D]
Figure 0004713984
で表される直鎖または分岐の脂肪族ジオール単位(ただし、nは2〜14の整数)。
本発明の第7は、前記複屈折フィルムが、液晶性化合物または液晶性組成物を液晶状態においてカイラルネマチック配向させ、その状態から冷却することにより該配向をガラス固定化した液晶フィルムであることを特徴とする本発明の第1〜第6に記載の複屈折フィルムである。
本発明の第8は、前記複屈折フィルムが、液晶性化合物または液晶性組成物を液晶状態においてカイラルネマチック配向させ、光または熱による架橋反応により該配向を固定化した液晶フィルムであることを特徴とする本発明の第1〜第6に記載の複屈折フィルムである。
本発明の第9は、2枚の偏光板の間に液晶セルが配置され、該液晶セルと偏光板の間に本発明の第1〜第8のいずれかに記載した複屈折フィルムと下記式[8]を満たす延伸フィルムとが配置された液晶表示装置である。
式[8] nx2≧ny2>nz2
(ただし、式[8]において、nx2、ny2およびnz2は、それぞれ延伸フィルムにおけるX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の屈折率を示す。前記X軸方向は、延伸フィルムの面内方向において最大の屈折率を示す軸方向であり、前記Y軸方向は、面内におけるX軸方向に対して垂直な軸方向であり、前記Z軸方向は、前記X軸方向および前記Y軸方向に垂直な厚み方向を示す。)
本発明の第10は、前記延伸フィルムのRe2、Rth2、D2値が下記式[9]〜[11]を満たす本発明の第9に記載の液晶表示装置である。
式[9] 50nm≦Re2≦500nm
式[10] 0nm≦Rth2≦200nm
式[11] 0.70≦D2≦1.05
(ただし、式[9]のRe2および式[10]のRth2は、それぞれ式[12]および式[13]で定義される値であり、dはフィルムの膜厚を表す。また式[11]において、D2は式[14]に示すように延伸フィルムの450nmおよび590nmの各波長光で測定したリターデーション(Re)の比である。)
式[12] Re2=(nx2−ny2)d
式[13] Rth2=(nx2−nz2)d
式[14] D2=Re2(450nm)/Re2(590nm)
Re(450nm):波長450nmの光で測定したRe
Re(590nm):波長590nmの光で測定したRe
本発明の第11は、前記延伸フィルムとしてフルオレン骨格を有するポリカーボネートフィルムを用いたことを特徴とする本発明の第9または第10に記載の液晶表示装置である。
本発明の第12は、前記液晶セルが垂直配向モードの液晶層を有することを特徴とする本発明の第9〜第11のいずれかに記載の液晶表示装置である。
本発明の第13は、前記液晶セルが下記式[15]を満たす本発明の第9〜第12のいずれかに記載の液晶表示装置である。
式[15] D3≦D1
(ただし、式[15]において、D3は式[16]で定義される値であり、450nmおよび590nmの各波長の光で測定した液晶セルの法線方向のリターデーション(Rth)の比である。)
式[16] D3=Rth3(450nm)/Rth3(590nm)
Rth3(450nm):波長450nmの光で測定したRth
Rth3(590nm):波長590nmの光で測定したRth
以下、発明を詳細に説明する。
本発明の複屈折フィルムは、下記式[1]の屈折率異方性を有し、かつ下記式[2]〜[4]を満たすものである。
式[1] nx1≧ny1>nz1
式[2] 0nm≦Re1≦100nm
式[3] 50nm≦Rth1≦500nm
式[4] 1.00<D1<1.40
ただし、前記式[1]において、nx1、ny1およびnz1は、それぞれ、複屈折フィルムにおける、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の屈折率を示す。前記X軸方向は、前記複屈折フィルムの面内方向において最大の屈折率を示す軸方向であり、前記Y軸方向は、面内におけるX軸方向に対して垂直な軸方向であり、前記Z軸方向は、前記X軸方向および前記Y軸方向に垂直な厚み方向を示す。また、前記式[2]のRe1および式[3]のRth1は、それぞれ下記式[5]および式[6]で定義される値であり、dはフィルムの膜厚を表す。また、前記式[4]において、D1は下記式[7]で定義される値であり、複屈折フィルムの450nmおよび590nmの各波長の光で測定した法線方向のリターデーション(Rth)の比である。
式[5] Re1=(nx1−ny1)d
式[6] Rth1=(nx1−nz1)d
式[7] D1=Rth1(450nm)/Rth1(590nm)
Rth1(450nm):波長450nmの光で測定したRth
Rth1(590nm):波長590nmの光で測定したRth
本発明の複屈折フィルムは、例えば、垂直配向モード(VAモード)の液晶表示装置において、偏光板の光軸から外れた方位における偏光板による光漏れと斜め方向から見た場合に液晶分子の等方性が崩れることにより視野角度特性が悪化する原因を取り除く機能を有する。これら2つの機能を実現するためには前記のように定義される複屈折フィルムにおけるnx1、ny1、nz1が上記式[1]記載のnx1≧ny1>nz1なる関係を満たすことが必要である。
また、偏光板の光軸から外れた方位における偏光板による光漏れを取り除くため、上記式[5]のように定義されるRe1値を0nm〜100nmの範囲とすることが重要である。この範囲外では偏光板による光漏れが生じ、コントラストの低下が発生する。
また、斜め方向から見た場合に液晶分子の等方性が崩れることにより視野角度特性が悪化する原因を取り除くため、上記式[6]のように定義されるRth1値を50nm〜500nmとすることが重要であり、好ましくは60nm〜400nm、より好ましくは70nm〜300nmの範囲である。この範囲外では膜厚方向の位相差に過不足が生じ、斜め方向から見たときの液晶分子の等方性の崩れを改善することが出来ず、視野角特性の改善が望めない。
また、カラーシフトが抑制されたVAモードの液晶パネルを提供するため、上記式[7]のように定義されるD1値が1.00を超え、1.40未満の範囲とすることが重要であり、好ましくは1.15〜1.25の範囲である。この範囲外では黒表示時のカラーシフトの抑制が不十分となり、ディスプレイとして不自然な色付きが発生する。
特に本発明の複屈折フィルムにおいて比較的高いD1値を実現するための方法としては、芳香族環を有するモノマーをできるだけ多く含有する液晶性ポリマーから得られるフィルムが好ましく、特に以下に示す液晶性化合物単独、もしくは液晶性高分子化合物と非液晶性光学活性ポリエステルとから得られる液晶性高分子組成物を、適宜カイラルネマチック配向させた後、該配向状態を必要により、ガラス固定化、あるいは光照射および/または加熱処理して架橋することにより当該配向状態を固定化することがより好ましい。
前記液晶性化合物としては、例えば、光学活性基と重合性官能基を有するモノマー、もしくはモノマー単位を含む液晶性を有する低分子化合物もしくは高分子化合物が挙げられる。本発明において使用される光学活性基としては、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘプタンジオール、1,7−オクタンジオール、2−クロロ−1,4−ブタンジオール、2−フルオロ−1,4−ブタンジオール、2−ブロモ−1,4−ブタンジオール、2−エチル−1,4−ブタンジオール、2−プロピル−1,4−ブタンジオール、2−メトキシ−1,4−ブタンジオール、2−エトキシ−1,4−ブタンジオール、2−プロポキシ−1,4−ブタンジオール、リンゴ酸、乳酸、イソソルビド、イソマンニド、ビナフトール、またはこれらのジアセトキシ化合物誘導体、ジメトキシ化合物誘導体、ジエトキシ化合物誘導体、ジプロポキシ化合物誘導体、ジメチルエステル化合物誘導体、ジエチルエステル化合物誘導体、ジプロピルエステル化合物誘導体から誘導される単位を用いることができる。用いられるジオール類はR体、S体のいずれでも良く、またR体およびS体の混合物であっても良い。本発明において使用される重合性官能基としては、アミノ基、カルボン酸基、エステル基、ヒドロキシル基、チオール基、ポリスルフィド基、アクリル基、メタクリル基、アリル基、ビニル基、エポキシ基等を有する化合物単位を用いることができる。
前記非液晶性光学活性ポリエステルにおける構造単位Aは、ジカルボン酸から誘導される下記で示される構造単位である。
Figure 0004713984
構造単位Aは、後述する液晶性高分子組成物を得る際、ベースとなるネマチック液晶性高分子化合物との相溶性を良好にするための構造単位である。
構造単位Bは、ジカルボン酸から誘導される下記で示される構造単位である。
Figure 0004713984
構造単位Bは、構造単位Aによる溶媒への溶解性の悪さや結晶性が強すぎることを緩和するための単位である。
構造単位Cは、ジオールから誘導される下記で示されるいずれか一つの構造単位である。
Figure 0004713984
構造単位Cは、光学活性単位であり、3つの異性体のうちのいずれかである。この中で、入手性まで含め最も好ましいのは、イソソルビド単位である。
構造単位Dは、直鎖または分岐の脂肪族ジオールから誘導される下記で示される構造単位である。
Figure 0004713984
ただし、nは、2〜14の整数を表す。
構造単位Dは、構造単位Cを溶融重縮合で高分子化合物中に導入するうえで有用な単位である。
構造単位Dは本発明において用いられる非液晶性の光学活性ポリエステル(以下、非液晶性光学活性ポリエステルという。)の構成単位であると同時に、構造単位Cのもととなるジオール(以下、構造単位Cの原料ジオールという。)のみでは重合中に構造単位Cの原料ジオールの揮発(反応物中から揮発してリアクター上部などの低温度位置に析出しやすい)が起きやすいが、構造単位Dの原料である脂肪族ジオールが反応系内にあることにより、構造単位Cの原料ジオールの揮発を抑え、非液晶性光学活性ポリエステル中への構造単位Cの導入が容易になる。
構造単位Dのアルキレン基部分の炭素数は2以上14以下であることが必要であり、好ましくは2以上10以下、特に好ましくは2以上7以下である。アルキレン基の炭素数が14より大きい場合は、非液晶性光学活性ポリエステルの軟化点が低くなりすぎ、組成物となるもう一方の液晶性高分子化合物に配合したとき、組成物として熱的安定性を低下させる恐れがある。また、構造単位Dは構造単位Cの導入を主目的としているので、構造単位Dの重量が増えることは構造単位Cを希釈することにもなるので好ましい方向とはいえない。
また、構造単位Cの原料ジオールの揮発防止の観点からは、いかなる脂肪族ジオールも一定の効果が見られるが、1級のヒドロキシキル基からのみなるジオールの場合、反応性がイソソルビドよりも高いため、構造単位Aや構造単位Bの原料と先に反応してしまい、ポリマーが不均一になったりし、構造単位Cがポリマー中に導入されない恐れがある。そのため、ジオール類は反応性の低い2級のヒドロキシル基を有するジオール類、もしくは1級のヒドロキシル基のみを持つものとしては例外的にエチレングリコールが好ましく、2級のヒドロキシル基を有するジオール類が特に好ましい。
かかる2級のヒドロキシキル基を有するジオール類としては、例えば、1,2−ペンタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオールなどを挙げることが出来る。これらのジオールの中には、不斉炭素を有するものもあるが、光学活性は構造単位Cに基づくので、ラセミ体で一向に差し支えない。
これらの4つの構造単位が非液晶性光学活性ポリエステル中に占める割合としては、構造単位Aは、5〜45モル%、より好ましくは15〜40モル%であり、構造単位Bは、5〜45モル%、より好ましくは10〜35モル%であり、構造単位Cは、3〜45モル%、より好ましくは3〜40モル%であり、構造単位Dは、5〜40モル%、より好ましくは10〜30モル%である。
また、非液晶性光学活性ポリエステルはポリエステルであるので、構造単位Aと構造単位Bの合計のモル数と、構造単位Cと構造単位Dの合計のモル数は、概略等しくなる。ただし、分子量を制御する上で、意図的にカルボン酸単位とジオール単位のバランスを微妙にずらすことも可能である。すなわち、(構造単位A+構造単位B)/(構造単位C+構造単位D)は、通常0.7〜1.4であり、好ましくは0.8〜1.2、特に好ましいのは概略1である。
また、非液晶性光学活性ポリエステルは、少なくとも構造単位A〜Dを含む必要があるが、これ以外の構造単位を導入することもできる。その場合は、導入する構造単位を含め、カルボン酸単位とジオール単位のバランスが前記範囲となるようにすればよい。
構造単位A〜D以外の構造単位としては、各種ジカルボン酸、各種オキシカルボン酸、各種脂肪族ジオール等を非液晶性光学活性ポリエステルの性状を大きく損なわない範囲で導入することは可能である。ただし、以下に述べる合成法の観点から、フェノール性のヒドロキシル基をもつような化合物の導入はあまり好ましいとはいえない。
非液晶性光学活性ポリエステルの合成方法としては、溶液中での重合も出来なくはないが、工業的に製造するためには溶融重縮合法をとることが好ましい。構造単位Aと構造単位Bの構造単位に相当する原料としては、相当するジカルボン酸のメチルエステルやエチルエステルなどのエステルを用い、構造単位Cと構造単位Dのジオール単位に相当する原料は、ジオールの形でそのまま反応に供される。重合時の触媒は、エステル交換反応を促進する公知の触媒が使用でき、例えば、各種金属の酢酸塩、アルコキシド、酸化物などを用いることが出来る。金属としては、Zn、Cd、Pb、Ti、Sbなどが代表的である。
触媒の添加量は、特に制限されないが、通常10質量ppm〜1000質量ppmの範囲が好ましい。重縮合は、反応物と触媒の混合物を加熱下、攪拌しながら行う。初期の反応は、用いるジオール類の沸点以下の温度で行うことが好ましく、通常150℃から200℃の範囲内の温度にて反応を開始させて、重縮合が進むにつれ順次昇温していくのがよい。最終的な温度としては、通常200℃から300℃の範囲内の温度、より好ましくは210℃から260℃の範囲内の温度である。重縮合の終盤においては、重縮合の促進や未反応モノマーの留去を目的に、反応系内を減圧にする操作を行ってもよい。
その後抜き出して得られるポリマーはそのままでもよいし、一旦溶媒に溶解させた後、貧溶媒に投入して析出させる再沈操作を行ってもよい。
得られるポリマーの分子量は、例えば、フェノール/テトラクロロエタン(質量比60/40)混合溶媒中、30℃で測定した対数粘度を指標とした場合、0.03〜2.0dl/gが好ましく、0.05〜1.0dl/gがより好ましく、0.1〜0.5dl/gが特に好ましい。0.03dl/gより小さい場合は、分子量が低いため、目的とする液晶性高分子組成物の強度が弱くなる恐れがあり好ましくない。また、2.0dl/gより大きい場合は、流動性が悪化し液晶の均一な配向を妨げる恐れがあり好ましくない。
このようにして得られる光学活性ポリエステルは液晶性を示さない。これは液晶性の発現にとって不利な構造単位Cの単位を多量に含むためである。しかしながら、この非液晶性光学活性ポリエステルを、液晶性組成物を構成する液晶性高分子化合物に適当量添加することにより、強いねじれ力を発揮する。液晶性を発現させるために、構造単位Cの量を減らしたり、別の構造単位を多量に導入することは、液晶性高分子化合物との相溶性の観点からは有利ではあるが、らせん構造の誘起能はむしろ低下させる恐れがあるので好ましいとはいえない。本発明において用いる非液晶性光学活性ポリエステルが有するらせん構造の誘起能をねじれ力(HTP:Helical Twisting Power=1/(P×C))は、通常10以上であり、好ましくは20以上、さらに好ましくは30以上である。ここで、Pは螺旋ピッチ(μm)、Cは後述する液晶性高分子組成物全体の質量を1としたときの当該非液晶性光学活性ポリエステルの質量割合を意味する。
なお、ポリエステル製造時の重縮合の様式としては、上記の方法のほか、アルコール類のアシル化物とカルボン酸との反応が挙げられるが、構造単位Cと構造単位Dが脂肪族であるのでアシル化による活性化はあまり有効ではなく、適用は困難である。
本発明の複屈折フィルムは、好ましくは前記したカイラルネマチック層を形成する液晶性化合物、または非液晶性光学活性ポリエステルを液晶性高分子化合物に含有させて成る光学活性な液晶性高分子組成物から構成される。
かかる液晶性高分子組成物において、液晶性高分子化合物としては組成物とした際に相分離等生じることなく、かつ当該組成物を液晶状態にした際に均一なモノドメイン配向を形成できるものであれば特に制限はなく、主鎖型液晶性高分子化合物および側鎖型液晶性高分子化合物のいずれの化合物も用いることができる。
主鎖型液晶性高分子化合物としては、主鎖中にエステル結合(−COO−)を多量に含むものを挙げることができ、エステル結合のほかに、アミド結合(−CONH−)、イミド結合(−CO−N(−)−CO−)、エーテル結合(−O−)など他の結合を同時に主鎖中に有する化合物も本発明では使用することができる。
側鎖型液晶性高分子化合物は、ポリマー主鎖を構成する骨格とそこからペンダント状にぶら下がる液晶性を発現する側鎖から構成される液晶性高分子化合物である。側鎖型液晶性高分子化合物としては、側鎖にエステル結合を有するものが好ましい。
本発明においては、主鎖にエステル結合を多量に含む主鎖型液晶性高分子化合物、具体的には液晶性ポリエステルを用いることが最も望ましい。
液晶性ポリエステルを構成する単位としては、ジカルボン酸単位、ジオール単位、オキシカルボン酸単位に大別でき、具体的に以下のような構造単位を例示できる。
ジカルボン酸単位としては、例えば、以下の構造のものが挙げられる。
Figure 0004713984
ジオール単位としては、例えば、以下の構造のものが挙げられる。
Figure 0004713984
(Rは、水素または炭素数1から4のアルキル基若しくはアルコキシ基を表す。)
オキシカルボン酸単位としては、例えば、以下の構造のものが挙げられる。
Figure 0004713984
本発明において用いる液晶性化合物または液晶性高分子化合物としては、上記の構造単位から適宜選択して得られる液晶性ポリエステルを好ましく用いることができる。
さらには、本発明において用いる液晶性化合物および液晶性高分子化合物としては構造単位に少なくともオルソ置換芳香族単位を含むものがより好ましい。オルソ置換芳香族単位を導入することにより結晶性を抑制することができる。かかる、オルソ置換芳香族単位としては以下のようなものが例として挙げられる。
Figure 0004713984
本発明においては、液晶性ポリエステルとして、ジカルボン酸単位、ジオール単位およびオキシカルボン酸単位からなるものが好ましく用いられる。これらの組成比としては、ジカルボン酸単位とジオール単位の比はモル比で通常0.8:1.2〜1.2:0.8、より好ましくは概略1:1である。ただし、オキシカルボン酸単位は、無添加の場合から単独ポリマーの場合まで、全構造単位中に占める割合は任意の値をとりうる。オルソ置換芳香族単位は、必ずしも必須ではないが、好ましくは全構成単位に対し、好ましくは5〜50モル%、より好ましくは10〜45モル%、特に好ましくは15〜40モル%の範囲である。
また本発明においては、液晶性化合物または液晶性高分子化合物中にスチルベン基単位を含むものがより好ましい。スチルベン基を導入することにより液晶性化合物または液晶性高分子化合物自体の、つまり複屈折フィルムのD1値を上昇させることができる。ただし、スチルベン基単位は、無添加の場合から単独ポリマーの場合まで、全構造単位中に占める割合は任意の値をとりうる。スチルベン基単位は、必ずしも必須ではないが、好ましくは全構成単位に対し、好ましくは2〜50モル%、より好ましくは5〜45モル%、特に好ましくは5〜40モル%の範囲である。
かかる、スチルベン基単位としては以下のようなものが例として挙げられる。
Figure 0004713984
液晶性ポリエステル等のエステル結合を有する液晶性化合物または液晶性高分子化合物は、公知の重縮合法により合成することができる。液晶性化合物または液晶性高分子化合物の種類、構造単位の組合せ等によっては、溶液法により合成することも可能であるが、工業的な観点からは溶融重縮合法の方が好ましいといえる。
溶融重縮合法としては、カルボン酸とフェノール性のヒドロキシル基のアセチル化物との脱酢酸反応により行うことができる。ここでフェノール性ヒドロキシル基はあらかじめアセチル化しておいても良い。またフリーなヒドロキシル基から出発して、反応器内で無水酢酸によりアセチル化を行う方法を採用してもよい。
このような方法によって得ることができる液晶性ポリエステルとしては、具体的には以下のようなものを例示として挙げることができる。ただし各構造単位の組成比は示していない。
Figure 0004713984
本発明における非液晶性光学活性ポリエステルと液晶性高分子化合物からなる光学活性な液晶性高分子組成物は、単純に両者を単に混合する事によっても得られるが、両者の相溶性をより向上させる目的で、次に述べる溶融状態での混練工程を行うことが好ましい。混練は、攪拌機を備えたリアクター中で、加熱下、攪拌して両者を混ぜ合わせる。
非液晶性光学活性ポリエステルと液晶性高分子化合物の混合割合は、用途にもよるので一概にはいえないが、非液晶性光学活性ポリエステル:液晶性高分子化合物が、通常1〜80質量%:99〜20質量%、好ましくは2〜60質量%:98〜40質量%、さらに好ましくは5〜40質量%:95〜60質量%である。非液晶性光学活性ポリエステルが1質量%より少ない場合は、得られる液晶性高分子組成物のねじれのピッチが十分に短くならない恐れがあり、非液晶性光学活性ポリエステルが80質量%よりも多い場合は、得られる液晶性高分子組成物が液晶性を示さないこともあり、組成物全体としての液晶性が不十分になる恐れがある。
液晶性化合物における光学活性基の割合、または非液晶性光学活性ポリエステルと液晶性高分子化合物の混合割合を適宜調整することにより、カイラルネマチック配向を実現させ、その際のカイラルネマチック相におけるらせんピッチが700nm以下、好ましくは250nm以下、さらに好ましくは200nm以下のコレステリック配向を得ることができる。ここでカイラルネマチック配向における選択反射波長の中心波長でいうと、1200nm程度以下、450nm程度以下、350nm程度以下にあたる。なお、選択反射波長が、例えば吸収を起こすことにより観測できない場合は、ブラッグ反射の原理に基づき、カイラルネマチック配向のらせんピッチ長にらせんに垂直な方向の平均屈折率(波長分散は無視し、可視域の一波長における代表値)を乗じた値を、吸収が無ければ起きたであろう選択反射波長の値と本発明においては考える。
前記液晶性組成物の混練時の温度としては、通常200℃から350℃の温度範囲が好ましく、より好ましくは230℃以上300℃以下である。200℃未満の場合、両者の相溶性が十分に高まらない恐れがあり、350℃より高い場合、非液晶性光学活性ポリエステルあるいは液晶性高分子化合物の分解がおこる恐れがある。混練する時間としては、通常15分以上100時間以下、より好ましくは30分以上20時間以内、特に好ましくは1時間以上10時間以内である。15分未満であると両者の相溶性が十分に高まらない恐れがあり、100時間より長いと混練中に高分子化合物の分解や変性がおこる恐れがあり、また生産性も悪い。なお混練中は、リアクター内の酸素を排除した、窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気にしておくことが好ましい。
以上の如くして得られる光学活性な液晶性化合物または液晶性高分子組成物は、液晶性高分子化合物の種類によっては液晶状態においてカイラルネマチック相以外にカイラルスメクチック相などの液晶相を呈することもある。また当該液晶相におけるねじれ構造は、光学活性の単位によって、その強度(ねじれ力)に寄与することが可能であり、さらには屈折率異方性、選択反射、干渉の光学的特性を示すものとなる。
次に、本発明の複屈折フィルムの製造方法について説明する。複屈折フィルム製造の方法としてはこれらに限定されるものではないが、前述の液晶性化合物または液晶性高分子組成物を後述の配向基板上に適宜な手段を用いて展開し、当該液晶性化合物または液晶性高分子組成物をカイラルネマチック配向させた後、必要により、ガラス固定化、あるいは光照射および/または加熱処理して架橋することにより当該配向状態を固定化することにより製造することができる。
液晶性化合物または液晶性高分子組成物を配向基板上に展開してカイラルネマチック配向させ複屈折を有する層を形成する方法としては、液晶性化合物または液晶性高分子組成物を溶融状態で直接配向基板上に塗布する方法や、液晶性化合物または液晶性高分子組成物の溶液を配向基板上に塗布後、塗膜を乾燥して溶媒を留去させる方法が挙げられる。
溶液の調製に用いる溶媒に関しては、液晶性化合物または液晶性高分子組成物を溶解でき適当な条件で留去できる溶媒であれば特に制限はなく、一般的に、アセトン、メチルエチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン類、ブトキシエチルアルコール、ヘキシルオキシエチルアルコール、メトキシ−2−プロパノールなどのエーテルアルコール類、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル類、酢酸エチル、乳酸エチルなどのエステル類、フェノール、クロロフェノールなどのフェノール類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類、クロロホルム、テトラクロロエタン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン系などやこれらの混合系が好ましく用いられる。また、配向基板上に均一な塗膜を形成するために、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤などを溶液に添加してもよい。
液晶性化合物または液晶性高分子組成物を直接塗布する方法でも、溶液を塗布する方法でも、塗布方法については、塗膜の均一性が確保される方法であれば、特に限定されることはなく公知の方法を採用することができる。例えば、スピンコート法、ダイコート法、カーテンコート法、ディップコート法、ロールコート法などが挙げられる。
液晶性化合物または液晶性高分子組成物の溶液を塗布する方法では、塗布後に溶媒を除去するための乾燥工程を入れることが好ましい。この乾燥工程は、塗膜の均一性が維持される方法であれば、特に限定されることなく公知の方法を採用することができる。例えば、ヒーター(炉)、温風吹きつけなどの方法が挙げられる。
続いて、配向基板上に形成された液晶性化合物または液晶性高分子組成物層を、熱処理などの方法で液晶配向を形成し、必要により当該配向を固定化する。固定化の方法としては、液晶性化合物または液晶性高分子組成物のガラス転移を利用して、熱処理により配向を形成させ、その状態で冷却することによりガラス状態で固定化することができる。また、液晶性化合物または液晶性高分子組成物が重合性の官能基を有する場合には、光照射および/または加熱処理による架橋反応を行って配向を固定化することもできる。
配向は、液晶性化合物または液晶性高分子組成物の液晶相発現温度範囲に加熱することで、該液晶性化合物または液晶性高分子組成物が本来有する自己配向能により液晶を配向させる。熱処理の条件としては、用いる液晶性化合物または液晶性高分子組成物の液晶相挙動温度(転移温度)により最適条件や限界値が異なるため一概には言えないが、通常10℃〜250℃、好ましくは30℃〜160℃の範囲であり、該液晶性化合物または液晶性高分子組成物のガラス転移点(Tg)以上の温度、さらに好ましくはTgより10℃以上高い温度で熱処理するのが好ましい。あまり低温では、液晶配向が充分に進行しないおそれがあり、また高温では液晶性化合物または液晶性高分子組成物や配向基板に悪影響を与えるおそれがある。また、熱処理時間については、通常3秒〜30分、好ましくは10秒〜10分の範囲である。3秒より短い熱処理時間では、液晶配向が充分に完成しないおそれがあり、また60分を超える熱処理時間では、生産性が極端に悪くなるため、どちらの場合も好ましくない。熱処理などにより液晶配向が完成したのち、当該配向を固定化することができる。
配向基板としては平滑な平面を有するものが好ましく、有機高分子材料からなるフィルムやシート、ガラス板、金属板などを挙げることができる。コストや連続生産性の観点からは有機高分子からなる材料を用いることが好ましい。有機高分子材料の例としては、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、トリアセチルセルロース等が例示できる。
なお、配向基板として、光学的に等方でない、あるいは得られる液晶フィルムが最終的に目的とする使用波長領域において不透明である、もしくは配向基板の膜厚が厚すぎて実際の使用に支障を生じるなどの問題がある場合、配向基板上で形成された形態から、光学的に等方な、あるいは得られる複屈折フィルムが最終的に目的とする使用波長領域において透明なフィルム、もしくは複屈折フィルムを液晶セルなどに貼合するまでの間、仮に支持しておくためのフィルムに転写した形態も使用しうる。転写方法としては公知の方法を採用することができる。例えば、特開平4−57017号公報や特開平5−333313号公報に記載されているように複屈折フィルム層を粘着剤もしくは接着剤を介して、配向基板とは異なる基板を積層した後に、必要により粘着剤もしくは接着剤の硬化処理を施し、該積層体から配向基板を剥離することで複屈折フィルムのみを転写する方法等を挙げることができる。転写先の基板としては、例えば、フジタック(富士写真フィルム社製品)、コニカタック(コニカ社製品)などのトリアセチルセルロースフィルム、TPXフィルム(三井化学社製品)、アートンフィルム(JSR社製品)、ゼオネックスフィルム(日本ゼオン社製品)、アクリプレンフィルム(三菱レーヨン社製品)などの透明フィルムや、シリコン処理を施したり、表面に易剥離層を設けたりしたポリエチレンテレフタレートフィルムなどが挙げられる。また必要によっては、偏光フィルムに直接転写することも可能である。
本発明は、2枚の偏光板の間に液晶セルが配置され、該液晶セルと偏光板の間に本発明の複屈折フィルムと下記式[8]を満たす延伸フィルムとが配置された液晶表示装置に関するものである。
式[8] nx2≧ny2>nz2
ただし、前記式[8]において、nx2、ny2およびnz2は、それぞれ延伸フィルムにおけるX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の屈折率を示す。前記X軸方向は、前記延伸フィルムの面内方向において最大の屈折率を示す軸方向であり、前記Y軸方向は、面内におけるX軸方向に対して垂直な軸方向であり、前記Z軸方向は、前記X軸方向および前記Y軸方向に垂直な厚み方向を示す。
すなわち、本発明の液晶表示装置は、例えば垂直配向モード(VAモード)の液晶表示装置において、斜め方向から見た場合に液晶分子の等方性が崩れることにより視野角度特性が悪化する原因を取り除くための本発明の複屈折フィルムと、斜め方向から見た場合に直交ニコル状態の偏光板が見掛け上直交状態でなくなることにより視野角特性が悪化する原因を取り除くための延伸フィルムとを組み合わせて用いるものである。
この延伸フィルムは垂直配向モード(VAモード)の液晶表示装置において、斜め方向から見た場合に直交ニコル状態の偏光板が見掛け上直交状態でなくなることにより視野角特性が悪化する原因を取り除くための正のAプレートとして用いる。
前記延伸フィルムのRe2、Rth2、D2値は下記式[9]〜[11]を満たす。
式[9] 50nm≦Re2≦500nm
式[10] 0nm≦Rth2≦200nm
式[11] 0.70≦D2≦1.05
ただし、前記式[9]のRe2および式[10]のRth2は、それぞれ下記式[12]および式[13]で定義される値であり、dはフィルムの膜厚を表す。また式[11]において、D2は下記式[14]に示すように延伸フィルムの450nmおよび590nmの各波長光で測定したリターデーション(Re)の比である。
式[12] Re2=(nx2−ny2)d
式[13] Rth2=(nx2−nz2)d
式[14] D2=Re2(450nm)/Re2(590nm)
Re(450nm):波長450nmの光で測定したRe
Re(590nm):波長590nmの光で測定したRe
延伸フィルムとしては、フルオレン骨格を有するポリカーボネートフィルム、フィルム化して延伸して作製したセルロースアセテートフィルム、正の波長分散特性を有する芳香族ポリエステルポリマーと逆の波長分散特性を有する芳香族ポリエステルポリマーとの混合物をフィルム化して延伸して作製したフィルム、異なる波長分散特性の高分子を形成するモノマー単位を含む共重合体からなる高分子をフィルム化して延伸して作製したフィルム、波長分散特性の異なる2枚の延伸フィルムを積層した複合フィルム等が用いられる。
このような延伸フィルムを用いると、カラーシフトが軽減できるのは、延伸フィルムは、波長板と同様の使い方をされているので、上記のリターデーションR(λ)(=Δn・d)を波長λで割った位相差が波長に因らずに略フラットになること、すなわち、広波長帯域で一定の位相差の波長板と見なせるようになるからであると解釈することができる。したがってカラーシフトを抑制するための上記のように定義されるD2値は0.70から1.05、好ましくは0.75から1.05の範囲である。この範囲外では広波長帯域で一定の位相差の波長板とはならず、カラーシフトの改善が望めない。
本発明の複屈折フィルムと式[8]を満たす延伸フィルムを、液晶セルと偏光板の間に配置する場合の態様としては、液晶セルと一方の偏光板の間に複屈折フィルムを配置し、液晶セルと他方の偏光板の間に延伸フィルムを配置してもよいし、液晶セルと一方の偏光板の間に複屈折フィルムと延伸フィルムの積層体を配置してもよいし、また液晶セルと両方の偏光板の間に複屈折フィルムと延伸フィルムの積層体を配置してもよい。
液晶表示装置に用いられる液晶セルとしては特に制限されず、電極を備える一対の透明基板で液晶層を狭持したもの等の一般的な液晶セルが使用できる。
液晶セルを構成する前記透明基板としては、液晶層を構成する液晶性を示す材料を特定の配向方向に配向させるものであれば特に制限はない。具体的には、基板自体が液晶を配向させる性質を有している透明基板、基板自体は配向能に欠けるが、液晶を配向させる性質を有する配向膜等をこれに設けた透明基板等がいずれも使用できる。また、液晶セルの電極は、公知のものが使用できる。通常、液晶層が接する透明基板の面上に設けることができ、配向膜を有する基板を使用する場合は、基板と配向膜との間に設けることができる。
液晶層を形成する液晶性を示す材料としては、特に制限されず、各種の液晶セルを構成し得る通常の各種低分子液晶物質、高分子液晶物質およびこれらの混合物が挙げられる。また、これらに液晶性を損なわない範囲で色素やカイラル剤、非液晶性物質等を添加することもできる。
液晶セルは、前記電極基板および液晶層の他に、後述する各種の方式の液晶セルとするのに必要な各種の構成要素を備えていても良い。
液晶セルの方式としては、TN(Twisted Nematic)方式、STN(Super Twisted Nematic)方式、ECB(Electrically Controlled Birefringence)方式、IPS(In-Plane Switching)方式、VA(Vertical Alignment)方式、OCB(Optically Compensated Birefringence)方式、HAN(Hybrid Aligned Nematic)方式、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell)方式、ハーフトーングレイスケール方式、ドメイン分割方式、あるいは強誘電性液晶、反強誘電性液晶を利用した表示方式等の各種の方式が挙げられる。
液晶表示装置に用いる液晶セルの中で、特に液晶分子が負の誘電率異方性を有し、電圧無印加状態において該液晶分子が基板に対して垂直に配向して黒表示を実現するVA(Vertical Alignment)方式において、斜め方向から見た場合に液晶分子の等方性が崩れることにより視野角度特性が悪化する原因を取り除くことにより効果的に対応することが可能である。好ましくは液晶セルと複屈折フィルムが積層された状態で、さらに好ましくは以下に定義する液晶セル内の液晶分子のD3値が前述の複屈折フィルムのD1値とD3≦D1なる条件を満たす場合にカラーシフトが大きく改善される。この条件を満たさない場合、液晶セルと複屈折フィルムの膜厚方向の複合位相差が短波長となるごとに大きくなる、いわば正の波長分散となり、波長毎にカラーシフト改善効果を示さない。なお、D3は下記に示すように、450nmおよび590nmの各波長の光で測定した液晶セルの法線方向のリターデーション(Rth)の比である。
D3=Rth3(450nm)/Rth3(590nm)
Rth3(450nm):波長450nmの光で測定したRth
Rth3(590nm):波長590nmの光で測定したRth
以上のように本発明の複屈折フィルムを用いた液晶表示装置は、広範囲にわたりコントラスト比が高く、しかもカラーシフトを効果的に抑制できる。
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例で用いた各分析方法は以下の通りである。
(1)顕微鏡観察
オリンパス光学社製BH2偏光顕微鏡で液晶の配向状態を観察した。
(2)複屈折フィルムのパラメータ測定
王子計測機器(株)製自動複屈折計KOBRA21ADHを用いた。
(3)ReおよびRthの算出
日本分光(株)製の商品名「エリプソメータM−220」を使用し、550nmの波長にて、0〜40°までサンプルを傾斜させて位相差を測定し、Re及びRthを求めた。
(4)視野角特性
液晶表示装置の視野角特性は、ELDIM社製の商品名「EZ−Contrast」を用いて測定した。
(実施例1)
4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジメチル27.0g(100mmol)、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル24.4g(100mmol)、イソソルビド14.6g(100mmol)、および1,2−プロパンジオール7.6g(100mmol)
を少量のオルトチタン酸テトラn−ブチルの存在下、500mlのフラスコ中で攪拌しつつ溶融重縮合を行った。反応温度は、190℃で2時間、200℃で2時間、および220℃で5時間反応させた後、1.33kPa(10mmHg)の減圧下で30分反応させて、式(1)の光学活性なポリマー(ポリマー1)を得た。ポリマー1は液晶相を有さず、加熱状態では粘ちょうな淡黄色の透明な濁りのない液体で、冷却するとガラス状態に変化した。
Figure 0004713984
上記で得られたポリマー1と式(2)のネマチック液晶性のポリマー(ポリマー2)を、それぞれ20gと80gを秤とり、フラスコ中で250℃に加熱して両ポリマーを溶融させ、この温度で5時間攪拌しつつ混練して組成物1を得た。該組成物1はコレステリック液晶相を有していた。
Figure 0004713984
組成物1を用い、コレステリック液晶性のフィルムを作製した。組成物1の8質量%クロロホルム溶液を調製し、表面にラビング処理を施した厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの上に、スピンコート法により塗布し、50℃のホットプレート上で乾燥させた。次いで200℃で10分熱処理し、次いで冷却して、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にコレステリック液晶相をガラス固定化した液晶フィルム1を得た。液晶フィルム1の膜厚は2.1μmであった。ポリエチレンテレフタレートフィルムは複屈折を有し好ましくないため、液晶フィルム1を紫外線硬化型の接着剤を介して、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TAC)に転写し、複屈折フィルムを得た。転写後のフィルムの断面を電子顕微鏡で観察したところ、液晶層部分に明暗の縞模様が70nmの周期で見られ、このことからコレステリックのらせん周期は140nmであることがわかった。
得られたTAC上の液晶フィルム1の複屈折率Δn(=|ne −no|、ne:異常光屈折率、no:常光屈折率)の波長依存性は図1に示す通りであり、リターデーションR(λ)(=Δn・d)は正の波長分散特性を持ち、nx1=1.660、ny1=1.659、nz=1.520、Re1=2nm、Rth1=280nm、D1値は1.20であった。
負の誘電異方性を持つ液晶MLC−6608(メルク社製)を注入して得られるVAモード液晶表示装置に、上記でTAC上の液晶フィルム1と、Re=95nm、Rth=0nm、D2=0.83である帝人(株)製の商品名「ピュアエースWR」(延伸フィルム)を、図2に示したような構成でVAモードの液晶セルに貼りあわせて液晶表示装置を得た。
(実施例2)
実施例1で得られた複屈折フィルムと帝人(株)製の商品名「ピュアエースWR」との積層フィルムを実施例1で用いたVAモード液晶表示装置の両側に1枚ずつ計2枚張り合わせ、図3に示す液晶表示装置を得た。
(実施例3)
実施例1において、帝人(株)製の商品名「ピュアエースWR」に替えて、日本ゼオン(株)製の商品名「ゼオノア」フィルムを175℃で1.2倍に縦一軸延伸し、Re=97nm、Rth=0nm、D2値が1.00のフィルムを用いた以外は実施例1と同様に各フィルムを貼り合わせて、図2に示すのと同様のフィルム配置を有する液晶表示装置を得た。
(比較例1)
実施例1において、複屈折フィルムに替えて、日本ゼオン(株)製の商品名「ゼオノア」フィルムを175℃で2倍縦横逐次二軸延伸し、Re=0nm、Rth=280nm、D値が1.00となるフィルムを用いる以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を得た。
(比較例2)
実施例1において、複屈折フィルムに替えて、日本ゼオン(株)製の商品名「ゼオノア」フィルムを195℃で2倍縦横逐次二軸延伸し、Re=0nm、Rth=280nmD1値が1.40となるフィルムを用いる以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を得た。
(比較例3)
実施例1において、複屈折フィルムに替えて日本ゼオン(株)製の商品名「ゼオノア」フィルムを175℃で2倍縦横逐次二軸延伸し、Re=0nm、Rth=280nmであり、D値が1.00であるフィルムを、また帝人(株)製の商品名「ピュアエースWR」に替えて日本ゼオン(株)製の商品名「ゼオノア」フィルムを175℃で1.2倍縦一軸延伸し、Re=97nm、Rth=0nmであり、D2値が1.00であるフィルムをそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を得た。
このようにして得られた実施例1〜3および比較例1〜3で作製した液晶表示装置について、その視野角特性および黒表示時の透過スペクトルを調べた。その結果を、図4〜15に示す。
図4〜15からわかるように、本発明の液晶表示装置は、コントラストに優れ、カラーシフトも効果的に抑制できた。これに対し、比較例の液晶表示装置はややコントラストには優れるものの、カラーシフトを抑制することができなかった。
以上のように、本発明の液晶表示装置は、広範囲にわたりコントラスト比が高く、しかもカラーシフトを効果的に抑制できる。したがって、本発明の複屈折フィルムを用いた液晶表示装置は、その表示品位が優れたものになる。
実施例1で得られた複屈折フィルムの複屈折率の波長依存性を示す図である。 実施例1で用いた液晶表示装置の概念図を示す。 実施例2で用いた液晶表示装置の概念図を示す。 実施例1で用いた液晶表示装置の視野角特性を示す図である。 実施例1で用いた液晶表示装置を黒表示時に方位角40°、極角70°方向から観測したときの透過スペクトルを示す。 実施例2で用いた液晶表示装置の視野角特性を示す図である。 実施例2で用いた液晶表示装置を黒表示時に方位角40°、極角70°方向から観測したときの透過スペクトルを示す。 実施例3で用いた液晶表示装置の視野角特性を示す図である。 実施例3で用いた液晶表示装置を黒表示時に方位角40°、極角70°方向から観測したときの透過スペクトルを示す。 比較例1で用いた液晶表示装置の視野角特性を示す図である。 比較例1で用いた液晶表示装置を黒表示時に方位角40°、極角70°方向から観測したときの透過スペクトルを示す。 比較例2で用いた液晶表示装置の視野角特性を示す図である。 比較例2で用いた液晶表示装置を黒表示時に方位角40°、極角70°方向から観測したときの透過スペクトルを示す。 比較例3で用いた液晶表示装置の視野角特性を示す図である。 比較例3で用いた液晶表示装置を黒表示時に方位角40°、極角70°方向から観測したときの透過スペクトルを示す。
符号の説明
1P:第1の偏光フィルム
A:延伸フィルム
L:VA液晶セル
C:複屈折フィルム
2P:第2の偏光フィルム

Claims (11)

  1. 下記式[1]の屈折率異方性を有し、かつ下記式[2]〜[4]を満たすカイラルネマチック液晶相を形成する液晶性組成物からなる複屈折フィルムであって、前記液晶性組成物が液晶性高分子化合物と非液晶性光学活性ポリエステルとからなる液晶性高分子組成物であることを特徴とする複屈折フィルム。
    式[1] nx1≧ny1>nz1
    式[2] 0nm≦Re1≦100nm
    式[3] 50nm≦Rth1≦500nm
    式[4] 1.00<D1<1.40
    (ただし、式[1]において、nx1、ny1およびnz1は、それぞれ、複屈折フィルムにおける、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の屈折率を示す。前記X軸方向は、複屈折フィルムの面内方向において最大の屈折率を示す軸方向であり、前記Y軸方向は、面内におけるX軸方向に対して垂直な軸方向であり、前記Z軸方向は、前記X軸方向および前記Y軸方向に垂直な厚み方向を示す。式[2]のRe1および式[3]のRth1は、それぞれ式[5]および式[6]で定義される値であり、dはフィルムの膜厚を表す。また、式[4]において、D1は式[7]で定義される値であり、複屈折フィルムの450nmおよび590nmの各波長の光で測定した法線方向のリターデーション(Rth)の比である。)
    式[5] Re1=(nx1−ny1)d
    式[6] Rth1=(nx1−nz1)d
    式[7] D1=Rth1(450nm)/Rth1(590nm)
    Rth1(450nm):波長450nmの光で測定したRth
    Rth1(590nm):波長590nmの光で測定したRth
  2. 記液晶性高分子化合物が、オルソ置換芳香族単位を含む液晶性ポリエステルからなることを特徴とする請求項に記載の複屈折フィルム。
  3. 記液晶性高分子化合物が、下記構造単位をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の複屈折フィルム。
    Figure 0004713984
  4. 前記非液晶性光学活性ポリエステルが、少なくとも下記構造単位A〜Dから構成される高分子化合物であることを特徴とする請求項記載の複屈折フィルム。
    [構造単位A]
    Figure 0004713984
    [構造単位B]
    Figure 0004713984
    [構造単位C]
    以下のいずれか1単位。
    Figure 0004713984
    [構造単位D]
    Figure 0004713984
    で表される直鎖または分岐の脂肪族ジオール単位(ただし、nは2〜14の整数)。
  5. 前記複屈折フィルムが、液晶性組成物を液晶状態においてカイラルネマチック配向させ、その状態から冷却することにより該配向をガラス固定化した液晶フィルムであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の複屈折フィルム。
  6. 前記複屈折フィルムが、液晶性組成物を液晶状態においてカイラルネマチック配向させ、光または熱による架橋反応により該配向を固定化した液晶フィルムであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の複屈折フィルム。
  7. 2枚の偏光板の間に液晶セルが配置され、該液晶セルと偏光板の間に請求項1〜のいずれかに記載した複屈折フィルムと下記式[8]を満たす延伸フィルムとが配置された液晶表示装置。
    式[8] nx2≧ny2>nz2
    (ただし、式[8]において、nx2、ny2およびnz2は、それぞれ延伸フィルムにおけるX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の屈折率を示す。前記X軸方向は、延伸フィルムの面内方向において最大の屈折率を示す軸方向であり、前記Y軸方向は、面内におけるX軸方向に対して垂直な軸方向であり、前記Z軸方向は、前記X軸方向および前記Y軸方向に垂直な厚み方向を示す。)
  8. 前記延伸フィルムのRe2、Rth2、D2値が下記式[9]〜[11]を満たすことを特徴とする請求項記載の液晶表示装置。
    式[9] 50nm≦Re2≦500nm
    式[10] 0nm≦Rth2≦200nm
    式[11] 0.70≦D2≦1.05
    (ただし、式[9]のRe2および式[10]のRth2は、それぞれ式[12]および式[13]で定義される値であり、dはフィルムの膜厚を表す。また式[11]において、D2は式[14]に示すように延伸フィルムの450nmおよび590nmの各波長光で測定したリターデーション(Re)の比である。)
    式[12] Re2=(nx2−ny2)d
    式[13] Rth2=(nx2−nz2)d
    式[14] D2=Re2(450nm)/Re2(590nm)
    Re(450nm):波長450nmの光で測定したRe
    Re(590nm):波長590nmの光で測定したRe
  9. 前記延伸フィルムとしてフルオレン骨格を有するポリカーボネートフィルムを用いたことを特徴とする請求項又はに記載の液晶表示装置。
  10. 前記液晶セルが垂直配向モードの液晶層を有することを特徴とする請求項のいずれかに記載の液晶表示装置。
  11. 前記液晶セルが下記式[15]を満たすことを特徴とする請求項10のいずれかに記載の液晶表示装置。
    式[15] D3≦D1
    (ただし、式[15]において、D3は式[16]で定義される値であり、450nmおよび590nmの各波長の光で測定した液晶セルの法線方向のリターデーション(Rth)の比である。)
    式[16] D3=Rth3(450nm)/Rth3(590nm)
    Rth3(450nm):波長450nmの光で測定したRth
    Rth3(590nm):波長590nmの光で測定したRth
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