JP4710555B2 - 鋼板の調質圧延機におけるタッチマーク防止装置及びタッチマーク防止方法 - Google Patents
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この溶接部通過作業は、以下のようにして行われている。
(1)溶接部が調質圧延機の入側に到達した時に圧下装置を操作してワークロール間のギャップを広げる。(2)溶接部がその広げたギャップを通過し、調質圧延機の出側に到達した時にギャップを狭める。
このような鋼板の調質圧延機では、表面性状と機械的性質を所望とするため、ワークロールと鋼板との間に冷却と潤滑作用をもつ液体(普通、スキンパス液と称される)を供給せず、ドライで圧延する場合がある。鋼板をドライで圧延する鋼板の調質圧延機では、調質圧延距離が長くなった場合に、図5に示すように板道から若干内側に入ったワークロール1A、1Bの胴部にタッチマークMが発生することがあった。
一方、特許文献2には、ワークロールに焼付き疵が発生するのを防止しつつ、ワークロールに形成されるサーマルクラウンをコントロールする板圧延における形状制御方法が提案されている。
また、特許文献2に記載の形状制御方法は、冷間圧延において、クーラントヘッダーを設け、冷却と潤滑を行うための圧延油(クーラント)を噴射することで、サーマルクラウンに起因する形状不良の発生を防止する技術である。従って、特許文献2に記載の方法は、鋼板をドライで圧延する鋼板の調質圧延機には適用することができない。
本発明は、以下のとおりである。
1.鋼板をドライで圧延する鋼板の調質圧延機において、ワークロールの板道外の表面部分に向けて温度10〜50℃のロール冷却用エアーを吹き付ける気体ノズルを、前記ロール冷却用エアーが前記ワークロールの軸芯に対して垂直方向から外向きとなるようにヘッダに設置したことを特徴とする鋼板の調質圧延機におけるタッチマーク防止装置。
図1は、本発明に係るタッチマーク防止装置を設置した調質圧延機を入側から見た概略正面図であり、図2(a)は、図1のタッチマーク防止装置の要部を示す概略平面図である。また同図2(b)は、ロール冷却用気体を吹き出す気体ノズル2の先端部形状を示す概略図である。なお、調質圧延機は、1基の圧延スタンドからなるものとして説明する。
前記気体ノズル2は、上のワークロール1Aの胴長方向に沿って差し渡されたヘッダ3Aの2箇所に取り付けられている。ヘッダ3Aは、調質圧延機の入側に鋼板Sと気体ノズル2とが干渉しないように上方に設置されている。また下のワークロール1Bに対しても、上のワークロール1Aの場合と同様、気体ノズル2がヘッダ3Bを介して調質圧延機の入側に設置されている。
図3に本発明に係るタッチマーク防止装置の作用を示した。このワークロールの表面温度は、鋼板の圧延をドライで行った調質圧延距離が100kmを超えた場合の測定結果である。この図からワークロールの表面部分を気体により冷却しつつ、鋼板をドライで圧延することによって本発明適用前に比べ、板道相当部での温度上昇を抑制できている。
ここで、ロール冷却用気体をエアーとするのが、入手が容易でかつ安価であるので好ましい。またロール冷却用エアーの温度は、10〜50℃とするのが経済的でかつ効果的である。ロール冷却用エアーの温度が10℃未満であると、この温度にするためのエアーコストが高くなり、一方、エアーの温度が50℃を超えると、ワークロールを冷やす冷却能が低くなるからである。
すなわち、本発明に係るタッチマーク防止方法は、ワークロールの板道外の表面部分に向けて冷却用気体を吹き付け、ワークロールを冷却しつつ、溶接部で接続された先行材と後行材をドライで圧延することを繰り返す。そして、溶接部通過作業を行う際には、溶接部が調質圧延機の入側に到達した時に圧下装置を操作してワークロール間のギャップを広げる。次いで、前記溶接部が広げたギャップを通過して調質圧延機の出側に到達した時にギャップを狭める。
気体ノズル2の先端は、6mmの銅管を潰して扁平に形成した(図2(b)参照)。ロール冷却用エアーの圧力は、開閉弁6と冷却器兼除塵・除湿器5の間の配管に取り付けた圧力計でのエアー圧で5kg/cm2とした。
(インライン調質圧延機12の構成)
2基の圧延スタンド15からなる調質圧延機(図8参照)
ワークロール1A、1Bの寸法:胴長が1400mm、胴部の直径が500mm
(圧延材)
板厚が0.22mm、板幅が1050mmの溶接部Wで接続された缶用鋼板
表面仕上:ブライト仕上げ(タッチマークが転写した場合、目立ちやすい)
上記のインライン調質圧延機12に本発明を適用する前では、調質圧延距離が150kmを少し過ぎたところで、溶接部通板作業を行うと、板道から若干内側に入ったワークロールのDr側にタッチマークが出はじめていた。これに対し、本発明を適用した以降では、調質圧延距離が208km(定期組み替えを行う圧延距離200km)のところで、溶接部通板作業を従来と同様にして行っているが、タッチマークがワークロールに発生していない。
W 溶接部
M タッチマーク
1A、1B ワークロール
2 気体ノズル
3A、3B ヘッダ
4A、4B フレキシブルホース
5 冷却器兼除塵・除湿器
6 開閉弁
7 エアー配管
8 鋼板搬送方向
9 払出装置
10 溶接機
11 連続焼鈍炉
12 インライン調質圧延機
13 せん断装置
14 巻取装置
15 圧延スタンド
16 入側テンションロール群
17 出側テンションロール群
Claims (2)
- 鋼板をドライで圧延する鋼板の調質圧延機において、ワークロールの板道外の表面部分に向けて温度10〜50℃のロール冷却用エアーを吹き付ける気体ノズルを、前記ロール冷却用エアーが前記ワークロールの軸芯に対して垂直方向から外向きとなるようにヘッダに設置したことを特徴とする鋼板の調質圧延機におけるタッチマーク防止装置。
- 鋼板をドライで圧延する鋼板の調質圧延機におけるタッチマーク防止方法であって、ワークロールの板道外の表面部分に向けて温度10〜50℃、圧力0.1〜0.5MPaのロール冷却用エアーを前記ワークロールの軸芯に対して垂直方向から外向きとなるように吹き付け、ワークロールを冷却しつつ、溶接部で接続された先行材と後行材をドライで圧延することを繰り返し、溶接部通過作業を行う際には、前記溶接部が調質圧延機の入側に到達した時に圧下装置を操作してワークロール間のギャップを広げ、前記溶接部が調質圧延機の出側に到達した時に前記ギャップを狭めることを特徴とする鋼板の調質圧延機におけるタッチマーク防止方法。
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JP2005325084A JP4710555B2 (ja) | 2005-11-09 | 2005-11-09 | 鋼板の調質圧延機におけるタッチマーク防止装置及びタッチマーク防止方法 |
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Patent Citations (5)
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