JP4706779B2 - 超高圧水銀ランプ - Google Patents

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Description

本発明は、点灯時の水銀蒸気圧が150気圧以上となるショートアーク型の超高圧水銀ランプに関し、例えばDMD(デジタルマイクロミラーデバイス:登録商標)を使用したDLP(デジタルライトプロセッシング:登録商標)、などのプロジェクタ装置のバックライトとして使う超高圧水銀ランプに関する。
投射型プロジェクタ装置は、矩形状のスクリーンに対して、均一にしかも十分な演色性をもって画像を照明させることが要求され、このため、光源としては、水銀を0.15mg/mm以上封入して高い水銀蒸気圧を持つランプが採用されている。
この種のランプは、例えば、石英ガラスからなる発光管に一対の電極を2mm以下の間隔で対向配置し、この発光管に0.15mg/mm以上の水銀とハロゲンを封入した超高圧水銀ランプが好適に使用されている。ハロゲンを封入する主目的は発光管の黒化防止であるが、これにより、いわゆるハロゲンサイクルも生じる。この種の放電ランプは、例えば、下記特許文献1,2等に記載されている。
しかしながら、この種の放電ランプは、電極間距離が極めて短く、始動時において大電流を投入する必要があり、その際の熱による電極変形や、電極構成物質の蒸発による発光管の黒化が発生しやすい。よって、このような問題に鑑み、電極構造を改良することによりランプ寿命を改善する試みがなされている。
図13を参照して、このような放電ランプの電極構造の一例を説明する。
図13は、交流点灯タイプの超高圧水銀ランプL2の基本構成を説明する管軸方向断面図である。同図において、ランプL2の発光管80は石英ガラスからなり、発光管部81とその両端にロッド状の封止管部82を備えている。発光管部81の内部にはタングステンからなる略円柱状の電極90が対向配置され、電極90の後方にはそれぞれ軸部91が連設されている。軸部91もまたタングステンよりなり、各々封止管部82の内部に埋設されることによって支持されている。この軸部91に不図示の導電性金属箔が溶接されて接続され、更に金属箔に外部リード棒が接続されることにより、電極が外部に導出されている。
電極90は、先端側には球状に成形された本体部分を構成する頭部92を備え、その先端には突起部92Aが形成されている。頭部92の後端には円柱状の胴部93を備えている。このような胴部93の周囲には、電極ランプL2の始動補助のためにタングステン製のコイルを巻きつけてから溶融して胴部93と一体化したコイル部94を備えることがある。このコイル部94はおもにランプ点灯時におけるグロー放電期間中には電極先端部を加熱し、温度上昇を促してアーク放電への移行を容易にするためものである。
特開2005−063817号公報 特開2006―079986号公報 特開2000−231903号公報
このような放電ランプは、始動時にコイル部94が集中的に加熱されるため、ここで発生した熱が電極胴部93を介して、電極軸部91を通じ、封止管部82側に逃げる構造となっている。そのため、始動時に高温に加熱された、その熱が封止管部82を構成する石英ガラスに伝わり、当該石英ガラスがその構造を変えてしまうほど過熱する。そして、このような石英ガラスの過熱状態が、ランプの点灯毎に繰り返されることにより、石英ガラスが変質し、これに伴い体積が周方向に不均一に変位(増大)することで、電極軸部91が偏った方向に圧力を受け、曲がりが生じるという事態に至る。
この結果、超高圧水銀ランプにおいて初期に設定された電極間距離が変位し、ランプ電圧が変わって所期のランプ機能が得られなかったり、電極の曲がりによって電極と発光管の管壁との距離が短くなった結果、発光管を構成する石英ガラスが黒色化して照度が急速に低下したりして、ランプ寿命が短くなる、といった問題が生じる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、封止管部を構成する石英ガラスの温度が過剰に上昇することを防止することによって、電極軸部の曲がりを防止し、使用寿命を延ばすことができる超高圧水銀ランプを提供することにある。
そこで本発明は、石英ガラスからなり、発光管部と当該発光管部に連設された封止管部とを有する発光管の内部に、0.15mg/mm以上の水銀を封入すると共に、一対の電極が、各々その軸部の基端部が前記封止管部に埋設されて保持されることにより対向配置されてなる超高圧水銀ランプにおいて、
前記一対の電極のうち陰極動作する電極は、その先端側に配置され、前記軸部よりも太い径を有する頭部と、この頭部の後端部に連設された筒部とを具備して構成され、
前記筒部は、前記電極軸部を包囲するよう軸方向に伸びると共に、その内周面が前記電極軸部から離間して形成されてなり、前記軸部と前記頭部とは一体的に形成されていることを特徴とする。
また、前記筒部の外周面上に異形部が形成されているのがよい。
また、易熱電子放出部となる前記異形部においては、筒部に溝および/または貫通穴が形成されることにより構成されるのがよい。
また、以上の超高圧水銀ランプにおいては、電極における筒部と頭部とは同一の材料により一体的に形成されているのがよい。
また、前記筒部と軸部の間に形成された環状の空間に、前記軸部と筒部とを接続して筒部を支持する支持部が形成されているのがよい。
ランプの点灯始動時に、陰極動作する電極において筒部が加熱されるが、筒部はその先端側において頭部に接続されているのみであって、電極軸部に接していないので、始動時の熱が筒部から直接的に電極軸部に伝わることがなく、軸部が埋設された封止管部が過熱することが抑制され、封止管部を構成する石英ガラスが変質するようなことがなくなる。この結果、電極軸部が封止管部のガラスによって曲げられることが回避され、電極間距離が変位したり、電極先端が発光管に接近することでガラスが黒化し、光透過性を損なうという問題が回避され、超高圧水銀ランプの使用寿命を延ばすことができる。
本発明にかかる超高圧水銀ランプの全体の構成を示す説明図であり、軸方向断面図である。 本発明の超高圧水銀ランプにおける電極の実施形態を示す(a)横方向から見た図、(b)断面図、(c)P−P断面図である。 図1のランプの始動時の動作状態を説明する図である。 (a)(b)本発明の超高圧水銀ランプにおける電極の、他の実施形態を説明する図である。 (a)(b)本発明の超高圧水銀ランプにおける電極の、他の実施形態を説明する図である。 (a)(b)(c)本発明の超高圧水銀ランプにおける電極の、他の実施形態を説明する側面図である。 (a)(b)本発明の超高圧水銀ランプにおける電極の、他の実施形態を説明する図である。 本発明の超高圧水銀ランプにおける電極の、他の実施形態を説明する図であり、(a)側面図、(b)断面図である。 (a)本発明にかかる電極を製作する工程を説明する図、(b)最終形状を示す側面図である。 (a)(b)本発明の超高圧水銀ランプにおける電極の他の実施形態を示す説明図である。 (a)(b)本発明の超高圧水銀ランプにおける電極の他の実施形態を示す説明図である。 ランプ点灯初期の光の照度を100%とした場合の、点灯回数の経過に伴う照度維持率の変化を示すグラフである。 従来の超高圧水銀ランプの構成を示す、要部を拡大して示す説明用断面図である。
以下、本発明の実施形態について図1〜3を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態にかかる超高圧水銀ランプの全体の構成を示す図であり、ランプの管軸に沿った断面で示す説明用断面図、図2は、図1で示した電極を拡大して示す、(a)側面方向から見た図、(b)電極の中心軸に沿った断面図、(c)(b)中の線分P−Pで切断した断面図である。また、図3はランプ始動時の動作を説明する図である。
超高圧水銀ランプL1(以下、簡単に「ランプ」ともいう)は、中央部に概略球形の発光管部11と、その両端部から外方に伸びるように形成されたロッド状の封止管部12a,12bとを有する発光管10を備えており、この発光管部11内に一対の電極20,30が対向して配置されている。
封止管部12a,12bの内部にはそれぞれ、通常モリブデンよりなる導電用金属箔13a,13bが、例えばシュリンクシールにより気密に埋設されており、一対の電極20,30における軸部23,33の後端部分にある基端部23A,33Aが金属箔13a,13bに溶接されて電気的に接続され、更に、この金属箔13a,13bの他端に、発光管10の外部に突出する外部リード14a,14bが溶接されている。
これら電極20,30は各々の後方に伸びる軸部23,33も含め、タングステンにより構成されている。
なお、この実施形態にかかる超高圧水銀ランプL1においては、定常点灯時は交流点灯方式で点灯されるものであり、電極20,30の構成は、定常点灯時における熱的設計を容易にする目的で、すべて同一の構成とされている。
発光管10は石英ガラスより構成されている。この発光管部11の内部に例えば、放電媒体としての水銀と、希ガスと、ハロゲンガスが封入され、放電空間Sが形成される。水銀は、必要な可視光波長、例えば、波長360〜780nmという放射光を得るためのものであり、0.15mg/mm以上封入されている。この封入量は、温度条件によっても異なるが、点灯時150気圧以上という極めて高い蒸気圧を形成するためのものである。また、水銀をより多く封入することで点灯時の水銀蒸気圧200気圧以上、300気圧以上という高い水銀蒸気圧の放電ランプを作ることができ、水銀蒸気圧が高くなるほどプロジェクタ装置に適した光源を実現することができる。
希ガスは、静圧で約10〜26kPa封入される。具体的には、アルゴンガスであり、このように希ガスを封入するのは、点灯始動性を改善するためである。
また、ハロゲンは、沃素、臭素、塩素などが水銀その他の金属との化合物の形態で封入され、ハロゲンの封入量は、10−6〜10−2μmol/mmの範囲から選択される。その機能は、ハロゲンサイクルを利用した長寿命化も存在するが、本発明の放電ランプのように極めて小型で高い内圧を有するものの場合、発光管10の黒化防止である。
なお、放電空間Sには、更に他の放電媒体としてハロゲン化金属を封入することもできる。
このような放電ランプについて具体的数値例を示すと、例えば、発光管部(11)の最大外径12mm、電極間距離1.2mm、発光管(10)内容積120mm、定格電圧85V、定格電力300Wであり、交流方式で点灯される。また、この種の放電ランプは、小型化するプロジェクタ装置に内蔵されるものであり、装置の全体寸法が極めて小型化される一方で高い光量が要求されることから、発光管部(11)内の熱的条件は極めて厳しいものとなり、ランプの管壁負荷値は0.8〜3.0W/mm、具体的には2.1W/mmとなる。このような高い水銀蒸気圧や管壁負荷値を有することにより、プロジェクタ装置等のプレゼンテーション用機器に搭載された場合に演色性の良い放射光を提供することができる。
図1および図2に示すように、この実施形態において始動時に陰極側動作する電極20は、全体が円柱状の電極軸部23と、当該軸部23よりも更に径が大きな頭部21と、当該頭部21の後端部に連設されてその外径が頭部21の径と概略同じであり、軸方向外方に向かって伸びる筒部22とを備えて構成されている。この実施形態において、軸部23には基端部23Aを有する後端部分においては比較的径の小さな小径部231を備え、一方の先端側にはそれよりも径の大きな大径部232を備えて構成されている。この軸部23の太径部232に接続された頭部21においては、その最大外径が軸部23の太径部232の径よりも大きいものとなっている。
この実施形態の例においては、電極20は、例えば一本のタングステンの棒材からレーザ加工、放電加工などにより、切削加工によって形成されたものであり、中実であって溶接等による継ぎ目を備えることなく一体的に構成されたものである。
特に、材料であるタングステンは、純度が4N以上の材料を用いるのがよく、その場合は放電空間Sに突出した電極軸部23および頭部21から放電空間S内に放出される不純物量を低減することができる。
以下、このような電極20について、詳細に説明する。
図2に示すように、頭部21の先端には、比較的小径の円錐台形状の突起部21Aが先端に配置され、この突起部21Aの大径側の端部から後方に向かうに従って径が大きく拡大するよう構成され、頭部21全体としては略円錐体形状となっている。頭部21の大きさは、放電アークによる熱的負荷によっても溶融、蒸発が容易に発生しないようある程度の熱容量を備える必要があり、そのための体積を確保する必要があるが、一方で、放電ランプのアークで発生した光が電極によって遮られないようにする必要があり、双方のバランスを取りつつ、可及的に小さいほうが望ましい。
筒部22は、例えば頭部21の最大外径部分と連続した側面を持つ円筒形状に構成されており、全長(後端面からの深さ)が1mm、最大外径部の外径がφ2mm、内径がφ1.6mm(すなわち、肉厚は0.2mm)である。
図2に示すように、筒部22は、軸部23の側面を包囲すると共に、電極軸部23から所定距離を隔てて平行に伸びる姿勢で配置されている。この筒部22においては、グロー放電の期間、放電を受け取るだけの長さが必要であり、短すぎると放電が軸部に達して軸部を加熱する可能性があると共に、筒部の熱が頭部に伝達する距離が短すぎて、軸部への温度障壁の程度が小さくなる。また長すぎると、筒端部で放電が生じた場合に発光管の内壁との距離が短すぎて、発光管に黒化などのダメージを与える可能性がある。このような観点から、実用上筒部の全長は0.3〜5mmであるのが好ましい。
また、本発明において筒部22は、タングステンから形成されたものであり、軸方向において連続的かつ一体的に形成されたものである。そのため、長期間使用して電極20に損耗が生じたとしても、筒部22は自己保持力を備えており、落下などの不具合が生じにくい構造となっている。例えば、外観が同じ筒状であるコイルにおいては、軸方向においては不連続であり、コイルの素線が切れた場合には落下する可能性がある。本発明において、筒部22は一体化した筒状のタングステンから構成されることでそのような不具合が生じることがなく、繰り返しの使用に十分耐える構造を備えている。
軸部23の小径部232においては、ランプの定格消費電電力や、封止管部12aに対する熱膨張差などのパラメータを勘案して設定されるものであり、好ましい形態としては、電極軸部23の外径は、頭部21の最大外径部における外径に対して20〜70%の範囲である。電極軸部23の外径がこの範囲を満たすことにより、頭部21から電極軸部23への熱伝達が阻害されるようになり、電極軸部23の温度上昇をより抑制することができる。
なお、この例にいては、軸部23は小径部231の先端側に大径部232を備えて構成されている。このように、軸部23の径を変えて電極の先端側に大径部232を形成した場合には、電極20の製造工程において同一材料をレーザ加工などで切削することによって、筒部22と軸部23との間に間隙(C)を形成する際に、切り出す部分を小さくでき、製造が容易になる、という利点がある。
無論、軸部23においては、径の大きさを変えずに一定径のロッド状に構成することも可能である。
本発明にかかる電極20においては、筒部22の内周面から軸部23までの離間距離Cは、10μm〜1mmの範囲であることが好ましい。このような離間距離を維持することにより、ランプ始動時に筒部22が加熱されて高温に至った場合でも、その熱の伝熱経路が、電極頭部21を経由することになるため、電極軸部23が直接的に加熱されずに済み、軸部23の過熱に伴って生じる封止管部12aの周囲Dの石英ガラスの変質を回避することができる。
以上の構成について図2を参照し具体的数値を挙げると、軸部23は径aがφ0.4mm、全長bが5mmである。また頭部21においては、最大外径部の直径cが2mm、全長dが1.5mmであり、筒部22においては、最大外径部の直径eが2mm、最大内径部の直径fが1.2mm、また全長gは1mmである。
続いて、この実施形態にかかる超高圧水銀ランプL1の始動時の動作について図3も参考にしながら説明する。なおここでは、直流領域を有する始動方式で始動させた場合の動作についてである。
なお、図3は、図1で示したランプL1の発光管部11と封止管部の境界部分Dの近傍を拡大して示す説明用断面図である。なお、同図においては図1、2で説明した構成については同符号を示して詳細説明を省略する。
(1)水銀アーク領域
不図示の始動用電源より高周波高圧電圧を印加すると、電極間において絶縁破壊が生じる。その後、直流領域で陰極動作側である電極20の表面から水銀が蒸発して放電が開始され、数十Vの水銀アークが形成される。
この水銀アーク放電により、電極20に付着した水銀が電極から熱をうけて蒸発が完了する。なおこの水銀アーク領域では電極は熱電子放出に十分な温度まで加熱されない。水銀が完全に蒸発して枯渇すると、数百Vのグロー放電が行われる。
(2)グロー放電領域(図3(a))
放電空間内の希ガス、水銀、及び電極材料であるタングステンのイオンが、概ね数百Vのグロー放電電圧の高い電圧で加速されて陰極に衝突してエネルギーを付与することによって行なわれる。グロー放電領域においては、アーク放電に比べて、電圧が高く、電流密度は低いが、放電断面積が増えることによって電流がまかなわれる。そのため、グロー放電の特徴としては、図3(a)に示すように陰極表面全体を覆うような放電形態をとる。肉厚が小さくて熱容量の小さい筒部22においては、このグロー放電の期間に加熱され、高温状態となる。
本発明にかかる電極20においては、筒部22は、その内周面が軸部23から離間した状態であって頭部21にのみ接続されているため、筒部22の熱は頭部21に移行するため頭部21もまた温度高い領域となる。
(3)熱アーク領域(図3(b))
電極20が電子を放出することが可能な温度にまで加熱されると、数十Vのランプ電圧を有するアーク放電に移行する。このとき、アーク放電は電極20のなかで高温状態となった任意の個所、例えば図3(b)の実線で示すように筒部22の外表面上から発生し、対向する電極側との距離が小さくなるよう移行して、破線で示すように最終的に先端にある突起部21Aに落ち着く。
本発明の放電ランプは、グロー放電時に筒部22が加熱されて当該筒部22が高温になったとしても、その熱は頭部21に伝わり、電極軸部23においては筒部22から直接熱が伝達されない構造になっている。言い換えると、筒部22と電極軸部23とが離間していることにより、筒部22から電極軸部23に至るまでの熱の伝達経路長が長くなって、軸部23が始動時の熱を直接的に受けることがなくなる。従って、軸部23が過剰に加熱されることがなく、封止管部12において電極軸部23の基端部が埋設される部分における温度上昇を緩やかにすることができる。
以上の、図1〜3において説明したランプ構造は、電極軸に対して3次元的にあらゆる方向から熱の授受の程度を均一にするために好ましい放熱構造の一形態である。しかしながら、本発明にかかる電極の形状としては、これに類似する形状を有していれば、本発明の作用、効果を奏することができることは言うまでもない。すなわち、本発明の効果自体は、ある特定の電極断面において、図2(b)軸方向断面図に模したあたかも矢印のような構造を用いることによって実現することができる。具体的にいうと、例えば、筒部においては後端部から頭部に至るまでの軸方向にわたる肉厚が一定である必要はなく、変化していても何ら問題ない。無論、周方向において肉厚が均一である必要もない。更には、筒部の構成が、円筒体であることに限定されず、断面において内周面および/または外周面に角部を有するものや、外観が角柱に類似するものであってもよい。要は、ランプの始動時に、電極は先端以外の比較的広範囲の部分が加熱されるが、その熱がより先端側の頭部を経由し、そこから軸部に伝わるような構造を有するものであれば足りる。
以上の構成により、電極20の筒部22から電極軸部23への熱伝達が抑制されるようになり、電極軸部23の温度が過剰に高くなることが抑制され、電極軸部23自身が熱によって変形して折れ曲がることを抑制できると共に、軸部23が埋設された封止管部12aを構成する石英ガラスを過剰に加熱するということがなくなる。従って、石英ガラスの変質を抑制することができて、石英ガラスの体積変化を確実に抑制することができ、この結果、電極軸部23が発光管10を構成する石英ガラスの体積膨張に伴って倒されることを防止でき、電極20に曲がりが生じるという不具合を抑制することができる。
従って本発明によれば、電極軸部の曲がりの発生が抑制されるため、電極間距離が大いに変位するようなことがなく、ランプ電圧が初期の状態から急激に変位してランプの機能が損なわれたり、電極と発光管の管壁との距離が短くなった結果、発光管を構成する石英ガラスが黒色化して照度が急速に低下する、といった不具合を回避することができ、照度維持率が良好で使用寿命の長い超高圧水銀ランプを提供することができる。
なお、ここでは定常点灯時において交流点灯方式の超高圧水銀ランプ(図1)を参照しながら説明を行ったが、直流点灯方式による場合においても始動時の動作は同じであるため、点灯方式に限定されず本発明を採用することが可能である。以下の、他の実施形態にかかる電極においても、交流、直流といった点灯方式、始動方式の相違によらず、適用することができる。
また更に、定常点灯時に交流方式で点灯されるランプにおいては、電極の熱設計を等価とする観点から両方同一構成とするのが好ましいが、無論、少なくとも始動時に陰極動作する電極に対して筒部を備えた構成とすればよく、この限りではない。すなわち、始動時に陰極側動作する電極が固定されている場合には、その電極に対してのみ、本発明の構成を適用すればよい。
以上、説明した超高圧水銀ランプにおいては、ランプ始動時、グロー放電からアーク放電に移行する際は、陰極動作側電極の表面の中においてアーク放電に遷移できる温度にまで上昇した箇所で、局所的にアーク放電が開始されることになる。このようなアーク放電の開始点となるような加熱点は、通常滑らかな面には発生しにくい。従って、筒部の外表面上にアーク放電を形成するための起点を何らかの手段で形成しておくことで、グロー放電からアーク放電への移行が速やかになり、更に頭部における突起部へのアーク移行を容易にすることができる。
そのための手段として、筒部の外表面上に異形部を設けることが好ましい。以下、このような異形部を設けた例について、図4〜図8を参照して説明する。
図4〜図8は本発明にかかる超高圧水銀ランンプの他の実施形態を説明する、電極構成を示す図である。これらの図において、先に図1〜3において説明した構成と同等の構成については同符号で示して詳細説明を省略する。なおここでは陰極動作側の電極先端側の部分を示すものであり、その他のランプ構成については上記実施形態に準ずる。
図4(a)に示すように、筒部22の外表面上には電極の軸方向に伸びる溝221が複数本形成されている。溝221はこの例においては4つであり円周方向に等間隔に配置されている。ここでは図4(b)からもわかるように断面V字形状の溝であるが、その他の形状でも構わない。
この溝221の外表面近傍のエッジ部分において、グロー放電期間に加熱、高温化し、熱電子の飛び出しやすくなってアーク放電に移行する。溝221の幅Hは例えば0.5mm以下、より望ましくは0.2mm以下であり、ある程度の深さを形成できるものであればその下限値は限定されるものではない。このような溝221を構成するタングステンの壁と壁の間に熱電子が飛び出し、放電に誘引されて対向する陽極側電極に向かって放出する。この実施形態においては、溝は電極の軸と平行に頭部に向かって伸びている形状であり、頭部21および突起部21Aへの移行が速やかに行われるようになる。
また更には、この例のように電極の軸の方向とほぼ平行に伸びてなる溝によった場合は、周方向において熱電子の形成箇所が溝の形成個所に大よそ限定されるため、放電開始位置を推定できるようになり、ランプを設計する上で優位になる。
なおこの例においては、この筒部外表面上の溝221は筒部22の後端面22Bにおいて開口するよう連続して伸びるものであってもよく、溝221の開口幅や長さも適宜である。また溝221を複数本形成する場合には、等間隔に形成されたものに限定されず適宜であるとともに、複数であることに限定されず、少なくとも1つあれば足りる。
更に別の実施形態を図5を参照して説明する。
この実施形態においては、上記と同じく溝を電極の軸と平行に形成した例である。溝は必要距離離間して2つ形成されたものであり、この例では細い幅の溝が筒部22の外周に対して傾斜した角度で形成されて筒部の肉厚内において互いに交差した形状を備えている。このような電極によれば、溝同士が交差することで、鋭利なエッジ形状および肉厚の小さい部分が形成され、温度が上昇しやすく、グローからアーク放電への遷移エネルギーを小さくできる。
続いて他の実施形態について説明する。上記図1〜図5で説明した実施形態は、いずれも溝を電極の軸に対して平行となるよう形成した例であったが、無論このようなものに限定されない。
すなわち、図6(a)のようにらせん形状ものや、図6(b)のように周方向(電極の軸に対して垂直方向)に伸びるものであっても良い。
このように、溝を筒部の全周にわたって連続的して形成した場合には、アークの発生ポイントが限定されないため、電極からスパッタが生じた場合に発光管部11が集中的に黒色化することが抑制されるようになる。
また、他の形態としては、図6(c)に示すように交差するように形成しても良い。このような溝によれば、交差した部分にエッジが形成されるため、このエッジ部分から熱電子の放出が容易になり、始動性を向上させる点で優位になる。無論、溝の本数や交差する角度またはその数についても、これに限定されるものではない。
上記において、筒部に易熱電子放射部となるような異形部を、溝により形成した例を説明したが、溝に限定されるものではなくその一部また全部を、筒部の肉厚部分を貫通させた状態に形成してもよい。
例えば図7(a)は、筒部22に略矩形形状の貫通穴222を形成した例である。異形部としてこのような貫通穴222を設けた場合、アーク放電に移行する際、貫通穴222が形成された筒部22の外表面と内周とのエッジ部分に電流が集中して局所的に加熱されることにより、熱電子放出部が形成されるようになる。
更に、図7(b)はこのような貫通穴の他の例であって、穴の形を円形に形成した例である。上述したように、貫通穴222の周囲においてはアーク放電に移行する際にエッジに電流が集中して熱的に不均一な分布を生じることがある。図7(b)で示すように、貫通穴(溝でもよい)の形状を円形にした場合は、穴の周囲が不均一に過熱されることがないため、グロー放電からアーク放電に移行する際に、電極が過剰に溶けることが抑制されるようになる。更に、円中心では近接する電極が全周囲にあるために空間電子密度が高く、いわゆるホロー効果を効果的に生みだすことができるため、始動性能が改善される。無論、穴の外観形状を円形とした効果は、当該穴が貫通した状態に限定されるものではなく、従って穴が貫通していなくてもよい。
なお円形の穴の内径は、始動性能と耐電流性との関係を調査した結果、φ0.01〜φ1mmであるのが好ましく、更にはφ0.05〜φ0.5が好ましい。始動性という観点からはφ0.1mmが最も望ましいが、耐電流性を加味した場合にはφ0.2〜0.3mmであることが望ましい。
なお、上述したような貫通穴(溝でもよい)222は、1つ以上であればよく、個数等は適宜である。なお、貫通穴(溝でもよい)222を複数設けた場合には、ランプの始動動作を繰り返す間にその損耗や消失が進んだとしても、望ましい形態の異形部を残存させることができるため、寿命末期に至るまで始動性を安定して確保することができる。すなわち、始動性に対する信頼性を向上させることができる。なお、このように貫通穴(溝でもよい)222などの異形部を複数設ける場合には、電極の軸中心を対称に形成することが好ましい。
以上においては筒部自体に切削加工を施す方法により異形部を形成する例について説明した。
このような実施形態によれば、電極本体の表面を加工することで筒部の外表面上に何も加工されていない場合より、始動性を改善することができ、優位になる。従来知られるような始動用のためのコイルを装着した場合には、コイルを構成するタングステンに粒成長が生じ、粒界破断して脱落することあるが、これらの実施形態によれば、コイルを使用していないため、その対策が不要になる。
筒部に設ける異形部としては、このような例の他にも、従来と同様の構造、例えば筒部の外周上にタングステン線を巻回してコイル状に異形部を形成する方法によってもよい。この場合、従来のコイルを備えた電極と同様の始動性を得ることができるため、始動時の信頼性が良好なものが得られる。その例について図8を参照して説明する。なお図8は、(a)電極を横方向からみた説明図、(b)電極の軸方向断面図である。
電極40は、先端に突起部41Aが形成された、円錐台形状の頭部41と、頭部41の後端に連設された筒部42と、頭部41後端面の中心位置に接続され、後方に伸びる軸部43により全体が構成されている。軸部43はこの例においては径が一定となるよう円柱状に形成されたものである。
筒部42は、軸部43の外周面と非接触に伸びるものであり、その先端部が頭部41にのみ接続されて構成されている。この筒部42の外周面上にはタングステン線44が巻回されて素線端部が溶融されることにより、筒部42と一体化して構成されている。
図8の構成にかかる電極について具体的数値を挙げると、電極頭部41の最大径部直径は1.0〜2.2mm、軸部の径は0.3〜1.0mmであり、筒部の外径は1.0〜2.2mm、内径は0.8〜2.0mmである。なお、筒部42と軸部43との間隔は、10μm〜1mmであって、筒部42の全長は0.5〜5mmである。タングステン線の線径は0.1〜0.3mmであり、1〜10ターン巻回される。
この例のように、電極筒部の外表面上にコイル状の異形部を設けることにより、熱電子の放出スポットを形成することも可能である。
以上、図4〜図8を参照して電極表面に形成する異形部について種々説明したが、いずれの場合も、異形部においては電極頭部の近傍に形成されているのが好ましい。これは、熱電子放出部が、電極頭部の近傍となる確率が高くなることにより、アーク放電の開始後において突起部へのアークの移行を容易にすることができるからである。
本発明の超高圧水銀ランプにかかる電極においては、単一の材料、すなわち一つのタングステン棒から削り出しにより製作することができるが、例えば、電極を幾つかの部品に分けて作製し、溶接等の手段によって一体化して製作することも可能である。
この例を図9を参照して説明する。図9(a)は本発明にかかる電極を製作する工程を説明する図、(b)最終形状を示す側面図である。
図9(a)において、先端に突起部51Aを備えた頭部51の後端部分には、その中心位置に軸部53が一体的に形成されており、軸方向後方に向かって伸びている。軸部53は、頭部51に連設されて形成された大径部532と、当該大径部532に連設され、大径部532よりも径が小さい小径部531とから構成されている。このような頭部51と軸部53とからなる構造体50Aは、タングステンの棒材を削りだして製作することができる。
一方、筒部材50Bは、筒部を構成するものであり、大よそ頭部の後端部の外径に適合した外径および内径を有するタングステン製の筒状体より構成される。このような筒部材50Bは、例えばパイプ状に加工されたタングステンを筒部の全長に合わせて切り出して製作したものである。
この筒部材50Bの中に構造体50Aの軸部を挿入し、頭部51の後端面と筒部材50Bの一端面を、軸が一致するように固定し、外側から溶接によって接合し、一体化すると、図9(b)に示すように、筒部52を備えた電極50が構成される。なお符号54は接合時に形成された溶接痕である。
このように溶接によって筒部52と頭部51とを一体化することによっても、ランプの始動時にグロー放電の期間、発生した熱を頭部51に向かって伝達することができる。
この電極50において、筒部52外表面上に異形部を設ける場合には、溶接して一体形成した後、レーザ加工等によって形成すればよい。
なお、本発明の電極においては、電極頭部と筒部との境界の近傍において、外周部の径が変位していてもよく、例えば、図10に示すように段状になっていても構わない。ここに、図10は、本発明の他の実施形態を示す電極を側面から見た図であり、図1〜3で示した構成については同符合で示している。なお同図では筒部と軸部との間隙を破線により仮想的に示したものである。
同図のように、筒部22の外径と頭部21の径の大小の関係においては、頭部側が小さくてもよいし筒部側が小さくてもよい。ここでは不図示としたがテーパ状に徐々に径が変わる構造であってもよい。
更に本発明の他の実施形態について説明する。図11は本発明の更に異なる実施形態を説明するための図であり、(a)電極を後方から見た様子を示す斜視図、(b)管軸方向断面図である。同図においては、先に図1〜3で示した構成については同符合で示して詳細説明を省略している。
上述したように、本発明にかかる超高圧水銀ランプによれば、電極20において筒部22から電極軸部23への熱伝達を抑制する構造を採用することで、電極軸部23から封止管部に熱が直接的に伝達されることを抑制し、電極軸部23が埋設された石英ガラスの過熱を抑制することが可能になる。
しかしながら、本発明に係る超高圧水銀ランプの電極は、筒部22を構成する構造上、軸部23の先端(すなわち頭部接続部)が電極先端に近く高温に曝されることになる。軸部23の径が極めて小さい、例えば1mmに満たない軸部である場合には、頭部21に近い部位において頭部21と筒部22の荷重を支えることが困難になり、変形が生じ易くなる。特に、電極の軸がほぼ水平方向となるように発光管を支持してランプを点灯する場合、軸部23は電極の頭部21と筒部22の荷重を支えなければならず、仮に軸部23に変形が発生した場合にはそこに応力が集中して折れ曲がりが発生することがある。このような現象は、ランプの寿命末期、始動時に陰極動作する側の電極において生じ易い。
そこで、この実施形態に係る超高圧水銀ランプにおいては、図11で示すように、筒部22と軸部23の間の環状空間の少なくとも一部に、両者を接続する支持部24を形成したことを特徴とする。このように支持部24を形成することで、ランプの寿命末期における軸部23の強度不足を補うことができ、仮に軸部23の一部に変形が生じたとしても当該部分に応力が集中してかかることを回避することができ、折れ曲がりが発生することを回避してランプの使用寿命を更に延ばすことができるようになる。
以下、本実施形態の内容を詳細に説明する。
図11に示す実施形態において、支持部24は筒部22の後端面に沿う部分に3箇所、等間隔に離間して形成されている。支持部24を複数かつ均等に設けることで、電極20の周方向において機械的強度のバランスを均一化することができる。
このような支持部24を備えた電極20は、頭部21、筒部22及び軸部23を備えて構成された電極とした状態で、筒部22と軸部23の間の隙間にレーザ溶接によって、頭部21側に空間Eを形成した状態で支持部24を設けることによって製作することができる。
また、一体のタングステン棒から切削加工により放電電極の全体形状を形成し、その後、放電加工によって作製することもできる。すなわち、1つの電極用の成形体から筒部22と軸部23の間に支持部24が微少範囲残留するように隙間を形成するという方法によってもよい。
支持部24は、筒部22から軸部23に伝達される熱を少なくするという観点では、筒部22の後端部にのみ形成されて支持部23の前方に空間Eを有することが望ましい。しかしながら、加工上の問題で、頭部21との間に空間Eを形成することが困難な場合がある。このようなときは支持部24を筒部22の長さ方向全体にわたり、連続的に細長いリブ状に形成することも可能である。
無論、どのような態様においても筒部22と電極軸部23との間の接触部が大きくなると軸部23に伝わる熱量が増大して再び軸部23のするため、両者のバランスを勘案し、寿命を長期化できて機械的強度を得るものとするのが望ましい。本発明の効果を発揮させる観点から言えば、支持部24においては軸部23の強度を補完できる範囲において可及的に小さく構成することが望ましい。
なお、支持部24を備えてなる電極20の構成においても、筒部外周面上に、溝や貫通穴等によって構成される異形部を設けることができることは言うまでもない。異形部を形成した場合には始動信頼性を高くすることができるようになる。
以上の構成により、電極20の筒部22から電極軸部23への熱伝達が抑制されるようになり、電極軸部23の温度が過剰に高くなることが抑制され、電極軸部23自身が熱によって変形して折れ曲がることを抑制でき、更に、電極軸部23に集中する荷重を分散する構造を備えることで、ランプの寿命末期頃の電極の疲労が蓄積された状態であっても軸部23が折れ曲がるできることを抑制することが可能になる。
この結果、更に長寿命の超高圧水銀ランプを提供することができるようになる。
以上、本発明について、電極構成を図面を参照して種々説明したが、これらの図の内容に限定されないということは言うまでもない。
本発明にかかる超高圧水銀ランプでは、定常点灯時に交流方式で点灯されるランプの場合、電極の熱設計を等しくする観点から一方と他方において両方同一構成とするのが好ましいが、発明自体は、少なくとも始動初期に陰極動作する電極に対して筒部を備えた構成とすればよく、従って、始動時に陰極側動作する電極が固定されている場合には、その電極に対してのみ、本発明の構成を適用すればよい。
なお図1では代表的に交流点灯方式で点灯されるランプを図示して説明したが、無論直流点灯方式の超高圧水銀ランプにおいても適用できることは言うまでもない。
[実施例]
以下、本発明にかかる超高圧水銀ランプ装置の実施例について具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例>
図4に示す構成と概略同様の構成の電極を作製し、電極構成を除く構成が図1で示したものと同様の、超高圧水銀ランプを作製した。以下に、この超高圧水銀ランプの仕様を示す。なおこのランプにおいては定常点灯時においては交流方式で動作するものであり、電極の構成は一方と他方において同様のものとして構成した。
<ランプ仕様>
発光管:材質;石英ガラス、発光管部の最大外径;12mm、全長;12mm、放電空間の内容積;100mm
電極:材質;タングステン、全長(頭部〜軸部を含めた長さ);7.0mm
頭部の最大外径部直径;2.0mm、長さ;0.2mm、
筒部の最大外径部直径;2.0mm、長さ;1.0mm、
軸部の大径部直径;0.8mm、小径部直径;0.4mm、長さ;4.0mm
電極間距離:1.4mm、
金属箔:材質;モリブデン、長さ15mm、幅2.0mm、厚み25μm、
封入物:水銀;0.2mg/mm、臭素ガス(ハロゲン);3.0×10−4μmol/mm、アルゴン(希ガス);13kPa、
ランプ安定点灯時における水銀蒸気圧:170気圧以上、
入力電力:275W
上記構成の電極の筒部の外表面上に、2本で1対となるよう互いに平行に伸びる溝を、円周方向に等間隔となるよう4箇所形成した。すなわち溝の数は8本であった。いずれの溝も、幅は50μm、深さは50μm、長さは0.8mmであった。なお、近接する2本の溝同士は間隔が0.1mmであった。
<比較例>
また、電極の構成が図13に示す構成に従って作製された電極であることの他は、上記のものと同様の構成を有する参照用の超高圧水銀ランプを作製した。
電極は
これらの超高圧水銀ランプについて、以下に示す点灯試験を行うことにより、照度維持率データを取得した。
〔点灯試験〕
上述した実施例にかかる超高圧水銀ランプ3個、参照用ランプにかかる超高圧水銀ランプ3個について、点灯試験を行った。ランプを5分間点灯した後5分間消灯する点灯動作を1サイクルとして点灯動作を繰り返して行い、約500サイクルごとに、電極軸部の曲がりを顕微鏡観察により確認すると共に、照度を測定した。ランプ点灯初期の光の照度を100%とした場合の時間経過に伴う照度維持率の変化を調べた。この照度維持率の結果を図11に示す。
上記点灯試験の結果、実施例にかかる超高圧水銀ランプにおいては、いずれのランプにも電極曲がりが確認されず、封止管部を構成する石英ガラスが結晶化した痕跡も確認されなかった。また、4000回点灯後の始動電圧を確認したところ、上昇幅はいずれも約10V以下であって電極間距離に変位が少ないことが確認された。
一方、比較例にかかる超高圧水銀ランプにおいては、ランプ個体の特性にばらつきがあるが、約2000時間点灯を超えると電極曲がりが生じ、電極間距離が変わった結果、始動電圧が20〜40Vも上昇してランプ始動性が悪くなった。
以上の結果から明らかなように、実施例にかかる超高圧水銀ランプによれば、いずれのものも、電極の軸部が折れ曲がるといった現象が発生することが抑制され、電極間距離が変動が少なく、始動性が良好であると共に、電極が発光管に近接することにより生じる黒色化も抑制され、照度維持率が良好で、長寿命のランプとすることができると確認された。
L1 超高圧水銀ランプ
10 発光管
11 発光管部
12a,12b 封止管部
13a,13b 金属箔
14a,14b 外部リード棒
20 電極
21 頭部
21A 突起部
22 筒部
221 溝
222 貫通穴
23,33 軸部
23A,33A 基端部
231 小径部
232 大径部
24 支持部
30 電極
40 電極
41 頭部
42 筒部
43 軸部
44 タングステン線
50A 構造体
51A 突起部
53 筒部
53 軸部
531 小径部
532 大径部
50B 筒部材

Claims (5)

  1. 石英ガラスからなり、発光管部と当該発光管部に連設された封止管部とを有する発光管の内部に、0.15mg/mm以上の水銀を封入すると共に、一対の電極が、各々その軸部の基端部が前記封止管部に埋設されて保持されることにより対向配置されてなる超高圧水銀ランプにおいて、
    前記一対の電極のうち陰極動作する電極は、前記軸部よりも太い径を有する頭部と、この頭部の後端部に連設された筒部とを具備して構成され、
    前記筒部は、前記電極軸部を包囲するよう軸方向に伸びると共に、その内周面が前記軸部から離間して形成されてなり、
    前記軸部と前記頭部とは一体的に形成されている
    ことを特徴とする超高圧水銀ランプ。
  2. 前記筒部の外周面上に易熱電子放出部となる異形部が形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の超高圧水銀ランプ。
  3. 前記異形部は、溝および/または貫通穴よりなる
    ことを特徴とする請求項2に記載の超高圧水銀ランプ。
  4. 前記電極における筒部と頭部とは同一の材料により一体的に形成されている
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の超高圧水銀ランプ。
  5. 前記筒部の後端部に、前記軸部に接続されて当該筒部を支持する支持部が形成されている
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の超高圧水銀ランプ。
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