JP2011070786A - 超高圧放電ランプ - Google Patents

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Abstract

【課題】 優れた点灯始動性が安定して得られると共に、長い使用寿命が得られる超高圧放電ランプを提供すること。
【解決手段】
発光部および当該発光部の両端に連設された封止部を有する発光管内に、それぞれ基端部分が前記封止部に埋設されて保持された棒状の軸部および当該軸部の先端に連続する大径部を有する一対の電極が対向配置されてなる超高圧放電ランプにおいて、少なくとも一方の電極における大径部には、その外周面に開口を有する円形または楕円形の傾斜穴が形成されており、当該傾斜穴は、当該傾斜穴の中心軸を含む電極の中心軸に沿った断面において、開口周縁部の先端側エッジ部分の角度が鈍角であり、開口周縁部の後端側エッジ部分の角度が鋭角となる状態で、形成されている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、例えばショートアーク型の超高圧放電ランプに関し、詳しくは、例えばDMD(デジタルマイクロミラーデバイス:登録商標)を使用したDLP(デジタルライトプロセッシング:登録商標)などのプロジェクタ装置のバックライトや、半導体素子や液晶表示基板の製造用の露光装置などに使用される超高圧放電ランプに関する。
例えば、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス:登録商標)を使用したDLP(デジタルライトプロセッシング:登録商標)などのプロジェクタ装置のバックライトや、半導体素子や液晶表示基板の製造用の露光装置などにおける光源として、例えば、石英ガラスからなる発光管の内部に、一対の電極が例えば2mm以下の間隔で対向配置されると共に水銀とハロゲンとが封入されてなる超高圧放電ランプが好適に用いられており、このような超高圧放電ランプとしては、これまでに種々の構成のものが提案されている(例えば特許文献1、2、3、4参照)。超高圧放電ランプにおいて、ハロゲンを封入する主目的は、発光管の黒化防止であるが、これにより、いわゆるハロゲンサイクルも生じる。
しかしながら、上記構成の超高圧放電ランプは、電極間距離が極めて短く、ランプ始動時において大電流を投入する必要がある構成とされていることから、ランプ始動時における熱による電極変形や、電極構成物質の蒸発による発光管の黒化が発生しやすい、という問題がある。
このような問題に鑑み、電極構造を改良して点灯始動性を改善することによりランプ寿命を改善する試みがなされており、特許文献1〜3には、例えば、始動時においてグロー放電からアーク放電への移行を容易にするために、電極先端の近傍にコイルが放電空間に露出して設けられた構成とすることが提案されている。
図6は、従来における交流点灯タイプの超高圧放電ランプの一例における基本構成の概略を、ランプの中心軸に沿った断面で示す拡大断面図である。
この超高圧放電ランプ80における発光管81は、例えば石英ガラスからなり、放電空間Sを形成する発光部82とその両端に連続するロッド状の封止部83を備えている。
発光部82の内部には、各々タングステンからなる略円柱状の一対の電極90が対向配置され、当該電極90における軸部91の基端部分が封止部83によって支持された状態で封止部83の内部に気密に埋設された不図示の導電性金属箔の一端部に溶接されて接続されている。そして、先端部分が導電性金属箔の他端部に溶接されて接続されたロッド状の外部リード(図示せず)が封止部83の外端より軸方向外方に突出して伸びるよう導出されている。
各々の電極90は、先端に向かうに従って小径となる形状を有する頭部92と、この頭部92の後端に連続して軸方向後方に伸びる円柱状の胴部93とを備えており、頭部92の先端には、突起部92Aが形成されている。
胴部93の外周面には、超高圧放電ランプの始動補助のため(ランプ始動時においてグロー放電からアーク放電への移行を容易にするため)のコイル部94が胴部93と一体に設けられている。このコイル部94は、例えば、タングステン製の線材を胴部93にコイル状に巻きつけてから溶融することにより形成されたものであって、ランプ始動時におけるグロー放電期間中において、電極90の先端部を加熱することにより温度上昇を促し、これにより、アーク放電への移行を容易にする機能を有する。
特開2005−063817号公報 特開2006−079986号公報 特開2000−231903号公報 特開2006−278907号公報
しかしながら、上記構成の超高圧放電ランプ80に電圧を印加して点灯する場合、グロー放電時に高温状態となってアーク放電に移行する起点となるコイル部94が特に加熱されて過熱状態となることがあり、その結果、コイル部94を構成するタングステンに粒成長(結晶化)が生じて粒界破断し、コイル部94が脱落することがある。
本発明は、以上のような問題を解決するためになされたものであって、優れた点灯始動性を安定して得ることができると共に、長い使用寿命を有する超高圧放電ランプを提供することを目的とする。
本発明の超高圧放電ランプは、発光部および当該発光部の両端に連設された封止部を有する発光管内に、それぞれ基端部分が前記封止部に埋設されて保持された棒状の軸部および当該軸部の先端に連続する大径部を有する一対の電極が対向配置されてなる超高圧放電ランプにおいて、
少なくとも一方の電極における大径部には、その外周面に開口を有する円形または楕円形の傾斜穴が形成されており、
当該傾斜穴は、当該傾斜穴の中心軸を含む電極の中心軸に沿った断面において、開口周縁部の先端側エッジ部分の角度が鈍角であり、開口周縁部の後端側エッジ部分の角度が鋭角となる状態で、形成されていることを特徴とする。
本発明の超高圧放電ランプにおいては、前記傾斜穴は、軸方向後方に向かって斜めに伸びるよう形成されており、当該傾斜穴の中心軸の、前記大径部の外周面の垂線に対する傾き角度が10〜60°の範囲内である構成とされていることが好ましい。
また、本発明の超高圧放電ランプにおいては、前記傾斜穴の深さが当該傾斜穴の直径の1.4倍以上の大きさである構成とされていることが好ましい。
さらにまた、本発明の超高圧放電ランプは、電極の先端から傾斜穴の開口中心位置までの距離をl(mm)、傾斜穴の直径をφ(mm)、傾斜穴の中心軸の、電極における大径部の外周面の垂線に対する垂線に対する傾き角度をθ(°)、傾斜穴の直径φの、電極の先端から傾斜穴の開口中心位置までの距離lに対する比φ/lをxとしたとき、
式(1) x<1
式(2) 40x1/3 <θ<60x1/3
を共に満たす構成とされていることが好ましい。
本発明の超高圧放電ランプによれば、電極の大径部における傾斜穴が、その中心軸を含む電極の中心軸に沿った断面において、傾斜穴の開口周縁部における先端側エッジ部分の角度が鈍角であり、傾斜穴の開口周縁部における後端側エッジ部分の角度が鋭角となる状態で、形成されていることにより、エッジ部分の、傾斜穴の開口縁の周方向における電界強度分布において、電界強度が最も高くなる箇所と電界強度が最も低くなる箇所との差を可及的に小さくすることができるので、エッジ部分の一箇所のみが過剰に加熱されることを防止することできる結果、点灯を繰り返した場合においても、傾斜穴の開口周縁部におけるエッジ部分の形状を維持することができ、従って、グロー放電からアーク放電への移行をスムーズに行うことができて、点灯を繰り返すと立消えが起こりやすくなるという不具合が生ずることなく、優れた点灯始動性を安定して得ることができると共に、特定箇所に対する電流集中に起因する電極損耗による発光管の黒化を確実に防止することができて長い使用寿命を得ることができる。
本発明の超高圧放電ランプの一例における構成の概略を、ランプの中心軸に沿った断面で示す説明用断面図である。 図1に示す超高圧放電ランプにおける電極の一部を拡大して示す、(a)側面方向から見た図、(b)電極の中心軸に沿った断面図である。 超高圧放電ランプの発光部と封止部の境界部分の近傍を拡大して示す拡大断面図であって、(a)グロー放電領域を示す図、(b)熱アーク領域を示す図である。 電極の中心軸に対して垂直方向(径方向)に穴が形成された電極の構成を、電極の中心軸に沿った断面で示す説明用断面図である。 実験例における電極の耐久性試験の結果を示すグラフである。 従来における交流点灯タイプの超高圧放電ランプの一例における基本構成の概略を、ランプの中心軸に沿った断面で示す拡大断面図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の超高圧放電ランプの一例における構成の概略を、ランプの中心軸に沿った断面で示す説明用断面図、図2は、図1に示す超高圧放電ランプの電極の一部を拡大して示す、(a)側面方向から見た図、(b)電極の中心軸に沿った断面図である。
この超高圧放電ランプ(以下、簡単に「放電ランプ」という。)10は、放電空間Sを形成する略球形状の発光部12と、その両端部に連設されて軸方向外方に伸びるロッド状の封止部13A,13Bとを有する、例えば石英ガラスよりなる発光管11を備えており、発光部12内に一対の電極20,30が対向して配置されている。
この実施形態にかかる放電ランプ10は、例えば定常点灯時において交流点灯されるものであり、電極20,30の構成は、定常点灯時における熱的設計を容易にする目的で、すべて同一の構成とされている。
電極20,30の構成について具体的に説明すると、電極20(30)は、例えばタングステンにより構成されており、基端部21A(31A)が封止部13A(13B)に埋設されて保持されたランプ中心軸CL に沿って伸びる棒状の軸部21(31)と、軸方向先端側に向かうに従って大径となるテーパ部22(32)を介して軸部21(31)の先端に連続する軸部21(31)より直径の大きい円柱状の大径部23(33)と、この大径部23(33)の先端に連続する先端に向かうに従って小径となる頭部24(34)とを有する。
そして、頭部24(34)の先端には、先端側に向かうに従って小径となる円錐台形状の突起部24A(34A)が形成されている。
各々の封止部13A,13Bの内部には、それぞれ、例えばモリブデンよりなる導電用金属箔15A,15Bが、例えばシュリンクシールにより気密に埋設されており、一対の電極20,30における軸部21,31の基端部21A,31Aが導電用金属箔15A,15Bの一端側部分に溶接されて電気的に接続され、更に、この導電用金属箔15A,15Bの他端側部分に、基端側部分が封止部13A,13Bの外端より軸方向外方に突出して伸びるロッド状の外部リード18A,18Bの先端部が溶接されて電気的に接続されている。
発光部12の内部には、例えば、放電媒体としての水銀と、希ガスと、ハロゲンが封入されている。
水銀は、必要な可視光波長、例えば360〜780nmという放射光を得るためのもので、点灯時における水銀蒸気圧が100気圧以上となるように0.10mg/mm3 以上封入されている。水銀の封入量は、温度条件によっても異なるが、所望の水銀蒸気圧に応じて適宜変更することができ、水銀をより多く封入することで点灯時の水銀蒸気圧が200気圧以上、あるいは300気圧以上という極めて高い放電ランプを得ることができ、水銀蒸気圧が高くなるほどプロジェクタ装置に適した光源を実現することができる。
希ガスは、点灯始動性を改善するためのもので、例えば、アルゴンガスが静圧で約10〜26kPa封入されている。
ハロゲンは、沃素、臭素、塩素などが水銀およびその他の金属との化合物の形態または単体で封入され、その封入量は、例えば10-6〜10-2μmol/mm3 の範囲内で設定される。その機能は、ハロゲンサイクルを利用した長寿命化も存在するが、本発明の放電ランプのように極めて小型で高い内圧を有するものにおいては、発光管11の黒化防止を主な目的としている。
而して、上記放電ランプ10においては、少なくとも一方の電極、例えばランプ始動初期時に直流電流を流して点灯させた場合において陰極側動作する電極の大径部に、その外周面に開口を有する傾斜穴が形成されている。
この実施例においては、例えば4つの傾斜穴40が大径部23(33)の周方向における等間隔毎に離間した位置、すなわち、傾斜穴40の中心軸CH を含む電極の中心軸CE に沿った断面において、互いに向かい合う2つの傾斜穴40が電極の中心軸CE に対して対向する位置に、互いに貫通することなしに、軸方向後方側に向かって斜めに直線状に伸びるよう形成されており、従って、各々の傾斜穴40の開口周縁部における、先端側エッジ部分41Aの角度(傾斜穴40の先端側に位置される内面が大径部23の外周面に対してなす角)α1が鈍角で、後端側エッジ部分41Bの角度(傾斜穴40の後端側に位置される内面が大径部23の外周面に対してなす角)α2が鋭角となる状態とされている。
各々の傾斜穴40は、その中心軸CH に垂直な断面における断面形状が円形または楕円形とされており、深さ方向において均一な直径を有する。ここに、傾斜穴40の断面形状が例えば四角形状などの角を有するものである場合には、傾斜穴の開口周縁部におけるエッジ部分の角部において電界が集中することとなり、点灯動作を何度も繰り返し行うと、当該エッジ部分の形状が滑らかになってしまい、立消えを起こりやすくなってしまう。
このような傾斜穴40は、例えばレーザ加工により形成することができる。
電極20における各々の傾斜穴40は、電極20の先端(突起部24Aの先端)から傾斜穴40の開口中心位置までの距離をl(mm)、傾斜穴40の直径をφ(mm)、傾斜穴の中心軸CH の、電極20における大径部23の外周面の垂線(傾斜穴40の開口中心位置における電極の中心軸CE に対する垂線)PL に対する傾き角度(以下、単に「傾斜穴40の傾き角度」という。)をθ(°)、傾斜穴40の直径φの、電極20の先端から傾斜穴40の開口中心位置までの距離lに対する比φ/lをxとしたとき、
式(1) x<1
式(2) 40x1/3 <θ<60x1/3
の関係を満足する状態とされる。
ここに、傾斜穴40の直径φ(mm)は、例えば傾斜穴40が楕円形である場合には短径をいうものとする。
傾斜穴40が上記式(1)および式(2)を共に満足する状態で形成されていることにより、エッジ部分41の一箇所のみが過剰に加熱されることを確実に防止することできて、点灯を繰り返した場合においても、傾斜穴の開口周縁部におけるエッジ部分の形状を維持することができ、優れた点灯始動性を安定して得ることができる。
x(=φ/l)の値が1以上となる傾斜穴40の場合には、テーパ部22に十分な角度が取れず、始動後にアークの位置が安定しないという問題が起こりやすくなる。
傾斜穴40の直径φが過小である場合には、始動時に傾斜穴40のエッジ部分で電流密度が高くなりすぎるために電極構成材料であるタングステンが多量に蒸発してしまい黒化が生ずる、という問題が生ずることがあり、逆に、傾斜穴40の直径φが過大である場合には、十分なホロー効果を得るのが難しくなり始動性が悪化する、という問題が生ずることがある。
また、突起部24Aの先端から傾斜穴40の開口中心位置までの距離lが過小であれば、点灯中に放電を電極先端の突起部24Aに安定させることが困難となってフリッカーを起こす、という問題が生ずることがあり、逆に、突起部24Aの先端から傾斜穴40の開口中心位置までの距離lが過大である場合には、電極20と発光管11の接触部付近の発光管内面に黒化が発生する、という問題が生ずることがある。
従って、上記式(1)を満足する状態において、傾斜穴40の直径φは、例えば0.1〜0.5mmの範囲内で設定されることが好ましく、突起部24Aの先端から傾斜穴40の開口中心位置までの距離lは、例えば0.5〜2.5mmの範囲内で設定されることが好ましい。
また、傾斜穴40の傾き角度θが上記式(2)の下限値より小さい場合には、傾斜穴40のエッジ部分のうち電極先端側(先端側エッジ部分41A)が損耗するという問題が生ずることがあり、一方、傾斜穴40の傾き角度θが上記式(2)の上限値より大きい場合には、傾斜穴40のエッジ部分のうち電極後端側(後端側エッジ部分41B)が損耗するという問題が生ずることがある。
傾斜穴40の傾き角度θは、実際上、例えば10°〜60°の範囲内となるよう設定されていることが好ましい。
また、傾斜穴40の深さdは、傾斜穴40の直径φの1.4倍以上の大きさであることが好ましく、より好ましくは傾斜穴40の直径φの1.4倍以上であって、貫通しない範囲内の大きさであり、傾斜穴40の深さdが傾斜穴40の直径φの例えば3倍以上であることによりホロー効果を確実に得ることができる。
傾斜穴40の深さdが傾斜穴40の直径φに対して過大である場合には、傾斜穴40が電極20を貫通し、傾斜穴40の反対側では傾斜穴40の傾きが逆になるという問題が生ずることがあり、過小である場合には、十分なホロー効果を得ることができず、始動性が悪くなるという問題が生ずることがある。
従って、傾斜穴40の深さdは、例えば0.1〜1.0mmの範囲内であることが好ましい。
上記放電ランプ10についての具体的な一構成例を示すと、例えば、発光部12の最大外径が11.5mm、発光部12の内容積90mm3 、電極間距離が1.2mm、電極20の最大外径DE が1.6mm、軸部21,31を除く電極20,30の全長が2.5mm、大径部23,33の軸方向長さが1.5mm、定格電圧が85V、定格電力が300Wである。
また、上記放電ランプ10における管壁負荷は例えば0.8〜3.0W/mm2 、具体的一例では2.1W/mm2 である。このような高い水銀蒸気圧や管壁負荷値を有することにより、小型化と光出力の向上が強く要求されるプロジェクタ装置等のプレゼンテーション用機器に搭載された場合において演色性のよい放射光を提供することができる。
以下、上記放電ランプ10を、直流領域を有する始動方式で始動させた場合における始動時の動作について図3を参照して説明する。
先ず、不図示の始動用電源より高周波高電圧を放電ランプ10に印加すると、電極20,30間において絶縁破壊が生じる。その後、直流領域で陰極動作側である例えば一方の電極20の表面から水銀が蒸発して放電が開始され、数十Vの水銀アークが形成される(水銀アーク領域)。
この水銀アーク放電により、一方の電極20に付着した水銀が当該一方の電極20から熱をうけて蒸発し、水銀が完全に蒸発して枯渇すると、数百Vのグロー放電Gdが行われる(グロー放電領域)。なお、この水銀アーク領域では、一方の電極20は熱電子放出に十分な温度まで加熱されない。
<グロー放電領域>
グロー放電Gdは、放電空間S内の希ガス、水銀、および、電極材料であるタングステンのイオンが、概ね数百Vのグロー放電電圧の高い電圧で加速されて陽極動作側である他方の電極30に衝突してエネルギーを付与することによって行われる。
グロー放電領域においては、アーク放電に比べて、電圧が高く、電流密度が低い状態であるが、放電断面積が増えることによって電流がまかなわれる。そのため、グロー放電Gdの特徴としては、図3(a)に示すように、一方の電極(陰極側動作)20の表面全体を覆うような放電形態をとる。
そして、ランプ電流がさらに増加していくと、ランプ電流は、ホロー効果によって空間電子密度が高い傾斜穴40の部分、特に電界強度の高い傾斜穴40のエッジ部分41からの電流供給が多くなり、やがてエッジ部分41に放電が集中する。エッジ部分41は熱拡散され難いため、加熱され温度が上がりやすく、一方の電極20が電子を放出することが可能な温度にまで加熱されると、数十Vのランプ電圧を有するアーク放電に移行する(熱アーク領域)。
<熱アーク領域>
上記放電ランプ10においては、図3(b)に示すように、アーク放電Adは、電極20のなかで高温となる大径部23における傾斜穴40の開口周縁部のエッジ部分41で発生し(図3(b)において実線で示す)、対向電極との距離が小さくなる方向(先端側)に移行して、最終的には、破線で示すように、電極先端の突起部24Aにおいて安定する。
以上のように、放電ランプ10を始動するに際して、直流電流を印加して始動する場合には、陰極となる電極が固定され、固定された電極が優先的に暖められるので、交流始動のように交互にグロー放電を担う陰極として機能するいずれか一方の電極が暖められる場合より、グロー放電時間を短くすることができるが、本発明においては、このような始動方式に限らず、交流始動させてもよい。
而して、上記放電ランプ10においては、上述のように、数百Vの高い電圧状態となるグロー放電Gdにより陰極側動作する一方の電極20が十分に加熱されると、当該一方の電極20からの熱電子の放出が容易となり、他方の電極30との間で数十ボルトの熱アーク放電Adに移行するが、グロー放電領域において、電極20,30の周囲に強い電界が発生し、特に傾斜穴40の開口周縁部におけるエッジ部分41の電界強度が非常に高くなり、FOWLER−NORDHEIM(FN)則によると、電界強度の大きいエッジ部分41から大きな電界放出電流が流れること、すなわち、エッジ部分41に電流が集中することになる。ここに、FN則は、金属表面の電界強度のみにより電界放出電流の大きさが決まるというものである。
しかしながら、一方の電極20における大径部23に単に穴を形成する構成としただけでは、エッジ部分に電流が集中することにより熱的に不均等な部分が生じ、エッジ部分が過剰に加熱されて溶けてしまうという問題がある。例えば、図4に示すように、一方の電極20における大径部23に、大径部23の外周面(電極の中心軸CE )に垂直な方向(径方向)に伸びる垂直穴40A(θ=0°)が形成された構成のものであれば、当該垂直穴40Aの開口周縁部における先端側エッジ部分41Aの電界強度が比較的大きくなるので、電極形成直後においては、グロー放電からアーク放電へ移行しやすいものとなるものの、点灯動作を何度も繰り返し行うと、先端側エッジ部分41Aが電流集中により過熱されて溶けて、当該先端側エッジ部分41Aが滑らかになってしまい、その結果、エッジ部分41全体にかかる電界強度が低くなり、グロー放電からアーク放電へ移行しにくくなり、立消えを起こしやすくなってしまう。
また、傾斜穴が、開口周縁部における先端側エッジ部分41Aの角度が鋭角であり、開口周縁部における後端側エッジ部分41Bの角度が鈍角となる状態で、形成された構成である場合には、先端側エッジ部分への電界集中が助長されることとなり、上記問題が一層顕著に生ずるようになる。
然るに、傾斜穴40が、その中心軸CH を含む電極の中心軸CE に沿った断面において、開口周縁部における先端側エッジ部分41Aの角度α1が鈍角であり、開口周縁部における後端側エッジ部分41Bの角度α2が鋭角となるよう、形成された構成、換言すれば、軸方向後方に向かって斜めに直線状に伸びるよう形成された構成とされることにより、本発明の放電ランプ10によれば、周囲の電位が比較的高い先端側エッジ部分41Aの電界強度が高くなりすぎないよう制限されると共に周囲の電位が比較的低くなる後端側エッジ部分41Bの電界強度が高められ、エッジ部分41における傾斜穴40の開口縁の周方向における電界強度分布において、電界強度が最も高くなる先端側エッジ部分41Aと電界強度が最も低くなる後端側エッジ部分41Bとの差を可及的に小さくすること(エッジ部分41全体の電界強度を実質的に均等化すること)ができるので、エッジ部分41の一箇所、例えば先端側エッジ部分41Aに電流が集中して過剰に加熱されることを防止することできる結果、点灯を繰り返した場合においても、傾斜穴40の開口周縁部におけるエッジ部分41の形状を維持することができ、従って、グロー放電からアーク放電への移行をスムーズに行うことができて、点灯を繰り返すと立消えが起こりやすくなるという不具合が生ずることなく、優れた点灯始動性を安定して得ることができると共に、局所的な電流集中による電極損耗に起因する発光管の黒化を確実に防止することができて所期の使用寿命を得ることができる。
以下、本発明の効果を確認するために行った実験例について説明する。
<実験例1>
図1および図2に示す構成に従って、電極の大径部における傾斜穴を下記表1および表2に示す構成で形成した超高圧放電ランプを作製した。これらの超高圧放電ランプの各々の基本構成は、次に示す通りである。ここに、表1および表2において、lは電極先端から傾斜穴の開口中心位置までの距離(mm)、φは傾斜穴の直径(mm)、θは傾斜穴の傾き角度(deg)、dは傾斜穴の深さ(mm)である。
<超高圧放電ランプの基本構成>
発光管は、全長が60mmの石英ガラスからなり、発光部の最大内径が5mm、発光部の最大外径が11.5mm、発光部11の内容積が90mm3 である。
電極を構成する大径部の最大外径が1.6mm、大径部の軸方向長さが1.5mm、電極の全長(先端から箔溶接部までの長さ)が7.7mmであり、電極間距離が1.2mmである。
電極の大径部には、各々断面形状が楕円形である4つの傾斜穴を、大径部の円周方向における等間隔毎に離間した位置において互いに貫通することのない状態で、レーザ加工により形成した。
発光部内には、0.17mg/mm3 の水銀、13kPaのアルゴンガス、2.15×10-4μmol/mm3 の臭素を封入した。
Figure 2011070786
Figure 2011070786
上記超高圧放電ランプの各々について、5分間点灯後5分間消灯する点滅点灯動作を2000回繰り返して行う点灯試験を行い、4つの傾斜穴の、電極の中心軸方向における開口径の長さの平均値の、初期値に対する変化量を測定し、初期値に対する傾斜穴の開口径の変化(増加)が10%以下であるものを「○」、10%より大きいものを「×」として、電極の耐久性についての評価を行った。結果を図5に示す。
以上の点灯試験において、ランプ始動に際しては、アーク放電に移行するまでの間は、最大で1.5Aに制限された直流電流を供給し、アーク放電への移行後において、5秒間をかけて3.6Aまで電流を上昇させる電流制御を行った。
以上の結果より、図5において実線で示す境界線θmin(=40x1/3 )、および、破線で示す境界線θmax(=60x1/3 )により囲まれた領域内に位置される構成の超高圧放電ランプにおいては、点灯動作が繰り返し行われた場合であっても、傾斜穴の開口周縁部におけるエッジ部分の形状を維持することができることが確認され、エッジ部分の電界強度分布において、先端側エッジ部分と後端側エッジ部分との電界強度の差が可及的に小さくなる状態とすることができたものと考えられる。
これに対して、θの大きさが40x1/3 より小さい構成(破線で示す境界線よりも下方側の領域に位置される構成)の超高圧放電ランプにおいては、対向電極側に位置される傾斜穴の開口周縁部における先端側エッジ部分が削られている(損耗する)ことが確認され、θの大きさが60x1/3 より大きい構成(実線で示す境界線よりも上方側の領域に位置される構成)の超高圧放電ランプにおいては、逆に、軸部側に位置される傾斜穴の開口周縁部における後端側エッジ部分が削られている(損耗する)ことが確認された。この理由は、傾斜穴の開口周縁部におけるエッジ部分の特定箇所に電流集中が生じてタングステンの蒸発が多くなったためであると考えられる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば、一の電極に形成される傾斜穴の数は特に制限されるものではなく、また、傾斜穴の構成は、上記式(1)および式(2)を共に満足する状態であれば、互い異なっていてもよい。
また、上記実施例においては、交流点灯型の超高圧放電ランプについて説明したが、本発明は直流点灯型のものにも適用することができ、この場合には、陰極にのみ傾斜穴を形成すればよい。
10 超高圧放電ランプ
11 発光管
12 発光部
13A,13B 封止部
15A,15B 導電用金属箔
18A,18B 外部リード
20 一方の電極
30 他方の電極
21,31 軸部
21A,31A 基端部
22,32 テーパ部
23,33 大径部
24,34 頭部
24A,34A 突起部
40 傾斜穴
40A 垂直穴
41 エッジ部分
41A 先端側エッジ部分
41B 後端側エッジ部分
S 放電空間
L ランプ中心軸
H 傾斜穴の中心軸
E 電極の中心軸
Gd グロー放電
Ad アーク放電
α1 先端側エッジ部分の角度
α2 後端側エッジ部分の角度
L 大径部の外周面の垂線
80 超高圧放電ランプ
81 発光管
82 発光部
83 封止部
90 電極
91 軸部
92 頭部
92A 突起部
93 胴部
94 コイル部

Claims (4)

  1. 発光部および当該発光部の両端に連設された封止部を有する発光管内に、それぞれ基端部分が前記封止部に埋設されて保持された棒状の軸部および当該軸部の先端に連続する大径部を有する一対の電極が対向するよう配置されてなる超高圧放電ランプにおいて、
    少なくとも一方の電極における大径部には、その外周面に開口を有する円形または楕円形の傾斜穴が形成されており、
    当該傾斜穴は、当該傾斜穴の中心軸を含む電極の中心軸に沿った断面において、開口周縁部の先端側エッジ部分の角度が鈍角であり、開口周縁部の後端側エッジ部分の角度が鋭角となる状態で、形成されていることを特徴とする超高圧放電ランプ。
  2. 前記傾斜穴は、軸方向後方に向かって斜めに伸びるよう形成されており、当該傾斜穴の中心軸の、前記大径部の外周面の垂線に対する傾き角度が10〜60°の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の超高圧放電ランプ。
  3. 前記傾斜穴の深さが当該穴の直径の1.4倍以上の大きさであることを特徴とする請求項2に記載の超高圧放電ランプ。
  4. 電極の先端から傾斜穴の開口中心位置までの距離をl(mm)、傾斜穴の直径をφ(mm)、傾斜穴の中心軸の、電極における大径部の外周面の垂線に対する垂線に対する傾き角度をθ(°)、傾斜穴の直径φの、電極の先端から穴の開口中心位置までの距離lに対する比φ/lをxとしたとき、
    式(1) x<1
    式(2) 40x1/3 <θ<60x1/3
    を共に満たすことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の超高圧放電ランプ。
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