JP4706253B2 - シームレスベルト及びそれを用いた画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明はシームレスベルト及びそれを用いた画像形成装置に関する。更に詳しくは複写機、ファクシミリ、プリンタ等の電子写真方式により画像を形成する画像形成装置の高画質、高速化に対応できる中間転写体及び画像形成装置を提供することが可能である。
ファクシミリ、プリンタ等の電子写真方式により画像を形成する画像形成装置はオフィスにおいて事務作業を行なうのに必須の装置となっており、近年では時代の要請からフルカラー化が進み、さらには高画質、高速化の方向にある。
画像形成装置は、画像の担持体として感光体に形成された静電画像を帯電粒子であるトナーで現像する湿式の装置と中間転写体とを備えており、トナー濃度を高めに設定した高濃度・高粘度の現像剤を用いた装置である。また、トナーに固体の乾式現像剤を用いる乾式の装置と中間転写体もある。これらの画像形成装置では、像担持体として感光体ドラムに形成されたトナー像を中間転写体として例えば、中間転写ベルトに1回、或いは複数回転写し(1次転写)、上記中間転写ベルト上のトナー像を転写材に一括転写する(2次転写)。
これらの中間転写体に用いられる樹脂としてフッ素系樹脂を用いたものが開示されている(例えば特許文献1)。しかし、フッ素系樹脂は耐熱性が不十分で長期の機械的ストレスに弱いという欠点がある。この問題を改良するためにポリイミド樹脂を用いたものが開示されている(例えば特許文献2)。
このポリイミド樹脂は機械的ストレスにも強く、現在の画像形成装置のトレンドである高速化にも十分耐えうるものである。しかし、表面が堅いためトナーが接触した際にトナーが砕けてしまい画像が乱れることや、表面が荒れた紙の場合均等に2次転写が出来ず画像の中抜けが起きるといった問題がある。一方、柔らかい素材にすると機械的ストレスに耐えることが出来ないため高速化に対応することが出来ない。
これらの問題を解決するために導電性のフッ素ゴムやシリコーンゴムの弾性層を用いたものが開示されている(例えば特許文献3)。しかし、これらの弾性層をポリイミド樹脂に積層した場合、密着性が悪いという問題がある。このように、高速化と高画質化を両立するのは困難であり、これらを両立する中間転写体が求められている。
特開平6−228335号公報 特開2000−248086号公報 特開平8−30117号公報
本発明の目的は、中間転写体の高速化と高画質化を両立出来るシームレスベルトや中間転写体及びそれを用いた画像形成装置を提供することにある。
本発明は上記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。即ち本発明は、二層以上の層構造を有するシームレスベルトにおいて、基材層外側に硬度が40以上98未満のポリイミド系樹脂からなる層が形成されていることを特徴とするシームレスベルトである。
また、上記記載されたシームレスベルトを中間転写体として用いた画像形成装置である。
本発明は高速化と高画質化を両立出来る中間転写体及びそれを用いた画像形成装置を提供することが出来る。
以下本発明を詳細に説明する。本発明は二層以上の層構造を有するシームレスベルトにおいて、基材層外側に硬度が40以上98未満のポリイミド系樹脂からなる層が形成されていることを特徴とするシームレスベルトである。硬度が98以上の場合、トナーと接触した時にトナーが砕ける恐れがあり、40未満の場合、トナーがこの層から離形しにくくなり画質が低下する恐れがある。硬度は好ましくは50以上95以下であり、更に好ましくは60以上85以下である。なお、本発明で言う「硬度」は50μmのフィルムサンプルを空気が入らないように重ねて、厚さ3mmにした後、サンプルをガラス板の上に置き硬度計(高分子計器製作所製JA型)を用いて測定する値とする。測定は25℃60%RHの雰囲気下で行い、数値は指示直後の値を採用する。
ポリイミド系樹脂層を形成するポリイミド系樹脂は、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド等のイミド基を主骨格に有するものであり、更に硬度を低くするためにソフトセグメントを共重合することが好ましい。ソフトセグメントとしてはポリエーテル、ポリカーボネートジオール、反応性シリコーンおよびポリエステルからなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。ポリエーテルとしてはポリプロピレングリコーン、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックあるいはランダム共重合体等が挙げられる。またポリカーボネートジオールとしては炭素鎖が4から8のジオールから誘導されるカーボネートジオールが挙げられる。反応性シリコーンとしては末端に官能基があるシリコーンであり、末端には水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基を持つポリジメチルシロキサン、あるいはポリフェニルメチルシロキサンが挙げられる。ポリエステルとしては芳香族系、脂肪族系のポリエステルが挙げられる。この中で反応性シリコーン、ポリエステルが好ましく、更に好ましくは反応性シリコーン或いは脂肪族系のポリエステルである。また、最も好ましくは反応性シリコーンであり相溶性、低硬度化の観点から末端に官能基を有するポリフェニルメチルシリコーンであり具体的にはX−22−1660B−3(信越化学工業製)である。また、硬度を下げるために硬度の高いポリイミド系樹脂に硬度の低いポリイミド系樹脂をブレンドすることにより低硬度化しても良い。
ソフトセグメントの共重合量は樹脂全重量の30%重量以上90%重量であることが好ましい。ソフトセグメントが30重量%未満の場合、硬度が低くならないため高画質化出来ない恐れがあり、90重量%以上の場合、硬度が低くなりその結果トナーが離形しにくくなり画質が低下する恐れがある。ソフトセグメントの量は好ましくは40重量%以上80重量%以下であり、更に好ましくは50重量%以上75重量%以下である。更にソフトセグメントの数平均分子量は500以上10000以下であることよい。数平均分子量が500未満の場合官能基濃度が高くなり、その結果硬度が高くなる恐れがある。また、10000以上の場合、樹脂同士の相溶性が悪くなり、イミド系樹脂の骨格とソフトセグメントが分離する、或いは重合が困難になる恐れがある。分子量は好ましくは1000以上8000以下であり、更に好ましくは1500以上6000以下である。
また、本発明はシームレスベルトの基材がポリイミド系樹脂であることが好ましい。基材のポリイミド系樹脂はポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド等のイミド基を主骨格に有するものである。基材に用いるポリイミド系樹脂は硬度が100を示し、ヤング率が2GPa以上8GPa以下、引裂き強度が3N/mm以上が好ましい。硬度が100未満、ヤング率が2GPa以下、引裂き強度2.5N/mm未満の場合,機械的なストレスに耐えることが出来なくなり、その結果、画像形成装置の高速化に対応できない恐れがある。また、ヤング率が8GPa以上の場合、中間転写体の走行性が悪くなるため高画質化に対応できない恐れがある。ヤング率は好ましくは2.5GPa以上7GPa以下、より好ましくは3GPa以上6GPa以下である。引裂き強度は好ましくは3N/mm以上である。また、基材に用いるポリイミド系樹脂のガラス転移温度は200℃以上が好ましい。200℃以下であると機械的ストレスに耐えられないため高速化に支障をきたす。一方、外側層を形成するポリイミド系樹脂に関してはガラス転移温度が−150℃以上250℃以下が好ましく、更に好ましくは−100℃以上200℃以下であり、最も好ましくは−100℃以上150℃以下である。250℃を超えると硬度を低くすることが困難になる可能性がある。また、−150℃未満の場合、硬度が低くなりすぎる恐れがある。
本発明に用いられる外側層を形成するポリイミド系樹脂、基材に用いるポリイミド系樹脂あるいはその前駆体の対数粘度は0.15dl/g以上4.0dl/gであり、好ましくは0.2dl/g以上3.0dl/g、更に好ましくは0.3dl/g以上2.0dl/g以下である。0.15dl/g未満では樹脂が脆くなりシームレスベルトに成形しても脆いためクラックが入り使用できない恐れがある。また4.0dl/gを超えると樹脂溶液の粘度が高くなりハンドリングが困難になる。尚、前駆体とはポリイミド系樹脂を脱水閉環反応により生成し得るポリアミック酸を指す。
ポリイミド系樹脂の製造方法は酸成分とイソシアネート成分から製造するイソシアネート法、或は酸クロリドとアミンから製造する酸クロリド法、酸成分とアミン成分からアミック酸を経由して製造する方法などの公知の方法で製造される。
本発明で使用するポリイミド系樹脂の合成に用いられる酸成分としてトリメリット酸、ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ビフェニルスルホンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸、エチレングリコールビストリメリテート、プロピレングリコールビストリメリテート等のテトラカルボン酸及びこれらの無水物、シュウ酸、アジピン酸、マロン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、ジカルボキシポリブタジエン、ジカルボキシポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)、ジカルボキシポリ(スチレン−ブタジエン)等の脂肪族ジカルボン酸。1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂環族ジカルボン酸。テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。これらの中ではトリメリット酸無水物、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸及びその無水物が機械的物性、コストの面から好ましい。
また、酸成分の一部をグリコールに置き換えてウレタン結合を分子内に導入することもできる。グリコールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等のアルキレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコールや上記ジカルボン酸の1種又は2種以上と上記グリコールの1種又は2種以上とから合成される末端水酸基のポリエステル等が挙げられる。
本発明で使用するポリイミド系樹脂の合成に用いられるジアミン(ジイソシアネート)成分としては、フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、キシリレンジアミン、トリレンジアミン、トリジン等の芳香族ジアミン及びこれらのジイソシアネート、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン及びこれらのジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン等の脂環族ジアミン及びこれらのジイソシアネートが挙げられる。これらの中では耐熱性、反応性の点からフェニレンジアミン、トルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、トリジン、ナフタレンジアミン、イソホロンジアミン等のジアミン及びこれらのジイソシアネートが好ましく、更に好ましくは4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ナフタレンジアミン、トリジン及びこれらのジイソシアネートである。また、低硬度のポリアミドイミド樹脂の場合、硬度を低くする観点から4,4’−ジアミノジフェニルメタン、トルエンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン及びこれらのジイソシアネートが好ましい。
本発明で使用するポリイミド系樹脂をイソシアネート法で製造する場合、溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、γ−ブチロラクトン等のラクトン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等のイミダゾール系溶剤、ジグライム等のエーテル系溶剤中でイソシアネート成分と酸成分等イソシアネートと反応する成分の当量比が0.95〜1.05なるように反応器に仕込み60〜200℃に加熱しながら攪拌することで容易に製造することができる。この場合、必要に応じてトリエチルアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンジアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等のアミン類、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等のハロゲン化金属、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等の有機塩基、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの無機塩基を触媒として用いることもできる。また、イソシアネート法で製造する場合、原料の仕込みに制限はないが
(1)酸、イソシアネートの一括仕込み
(2)過剰の酸、イソシアネートを仕込んだ後、更にイソシアネートを添加する。
(3)酸、過剰のイソシアネートを仕込んだ後、更に酸を添加する。
方法が挙げられる。
また、アミック酸を経由して製造する場合、溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、γ−ブチロラクトン等のラクトン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等のイミダゾール系溶剤、ジグライム等のエーテル系溶剤中で、ジアミン成分とテトラカルボン酸成分の当量比が0.95〜1.05なるように反応器に仕込み、溶媒中で反応させることにより行なう。好ましくは、反応容器中にジアミン成分を溶媒に分散または溶解させ、テトラカルボン酸成分を粉末、或いは溶媒に溶解または分散させて反応する。反応温度はポリアミック酸を得る場合、−10〜60℃、1〜24時間程度である。また、実質的に完全にイミド化したポリイミドシリコーンを得る場合は、120〜200℃、より好ましくは、140〜180℃の範囲で、1〜24時間程度加熱すればよい。120℃以下では転化速度が遅く、200℃以上であっても良いが特に利益はない。また、ポリアミック酸の閉環を促進するための触媒を添加しても良い。また分子量の調整のため反応途中に酸無水物、或いはジアミンを追加しても良く、反応開始時からフタル酸無水物等の末端封止剤を共存させても良い。更にポリアミック酸の安定性を高めるためにポリアミック酸のカルボン酸のエステル化、シリル化等、ポリアミック酸誘導体に変換しても良い。
ソフトセグメントの共重合方法に特に制限は無いが、ソフトセグメントを他原料と一括で仕込む方法、ソフトセグメントを先に反応させてから他原料を仕込む方法、反応末期にソフトセグメントを添加して共重合する方法が挙げられる。
次にシームレスベルトの製造方法について説明する。シームレスベルトは中間転写体として使用することができ半導電性を有することが好ましい。このため基材層および/または外側層に導電性を付与するために導電性材料を添加する。この半導電性は表面抵抗率で示すと105〜1014Ω/□であることが好ましい。この半導電性は導電性の材料を添加することにより付与することが出来る。導電性の材料としてはカーボンブラックやポリチオフェン、ポリアニリン等が挙げられ、性能、コストの面からカーボンブラックが好ましい。またカーボンブラックとしては、例えばチャンネルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等が挙げられ、これらは単独使用することもでき、または複数種のカーボンブラックを併用してもよい。これらのカーボンブラックの種類は、目的とする導電性により適宜選択することができ、その用途によっては酸化処理、グラフト処理等の酸化劣化を防止したものや溶媒への分散性を向上させたものを用いると好ましい。また添加量は以下の条件を満足することが好ましい。
3≦{導電性の材料/(導電性材料の重量+樹脂の重量)}×100≦40
導電性材料が3%未満の場合、導電性が低くトナーを担持できなくなり、また、40%を超えると樹脂が脆くなり機械的なストレスに耐えられなくなる恐れがある。導電性材料の量は好ましくは10重量%以上30重量%以下であり、更に好ましくは15重量%以上25重量%以下である。
導電性材料の分散方法には公知の分散方法を適用でき、たとえば、ボールミル、サンドミル、バスケットミル、三本ロールミル、プラネタリーミキサー、ビーズミル、超音波分散等の方法が挙げられ、これらの分散方法を適宜選択して分散作業を行う。
前記導電性材料の分散性を高めるために分散剤をさらに添加することができる。分散剤としては、本発明の目的にかなうものであれば特に限定されない分散剤としてはドデシルベンゼンスルホン酸、レシチン、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ(N,N’−ジエチルアクリルアジド)、ポリ(N−ビニルホルムアミド)、ポリ(N−ビニルアセトアミド)、ポリ(N−ビニルフタルアミド)、ポリ(N−ビニルコハク酸アミド)、ポリ(N−ビニル尿素)、ポリ(N−ビニルピぺリドン)、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)、ポリ(N−ビニルオキサゾリン)等が挙げられ、単独又は複数の分散剤を添加することができる。また、この他に本発明の目的の範囲内で、高分子材料、界面活性剤、無機塩等の分散安定化剤を用いることもできる。
これら導電性材料の分散状態を調べる方法は、特に制限されないが、例えば顕微鏡にて目視観察する方法、表面光沢を測定する方法等が挙げられる。
導電性材料は基材層、外側層のいずれか一方の層または両層に含まれており、異なる半導電性を有していてもよい。
本発明のシームレスベルトは、例えばコーティング法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、遠心成形法等公知の方法で製造することができる。本発明のシームレスベルトの具体的な製造方法を例示すると、遠心成形法で円筒金型の内側に硬度の低い層を形成したのちポリイミド系樹脂層を形成して一度にあるいは逐次乾燥する方法、あるいは遠心成形法でポリイミド系樹脂層を形成し金型から外した後、又は円筒金型の外側にポリイミド系樹脂層を形成した後、硬度の低い層をスプレー塗装、溶融押し出し等の方法が例示される。
本発明のシームレスベルトには、トナーの離形性を更に良くするために、硬度が40以上98未満のポリイミド系樹脂からなる外側層のさらに外側に四フッ化エチレン重合体(PTFE)、四フッ化エチレン−パーフロロアルコキシエチレン共重合体(PFA)及びフッ化エチレン−プロピレン共重合体(PFEP)等のフッ素系樹脂やシリコーン系樹脂をコーティングしても良い。
以下、実施例で本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例で制限されるものではない。実施例で示される評価は以下の方法で測定した。
1.対数粘度
ポリイミド系樹脂0.5gを100mlのN−メチル−2−ピロリドンに溶解した溶液を用いて、ウベローデ粘度管で25℃において測定した。
2.ガラス転移温度
ポリイミド系樹脂溶液をポリエステルフイルム(東洋紡績製E5001)、或いはポリプロピレンフイルム(東洋紡績製パイレン−OT)に流延して熱風乾燥機(ヤマト科学製DH42)で100℃20分半乾燥させ半乾燥フィルムを得た。その半乾燥フィルムを基材から剥がし300mm×200mmの金枠に張付け同じ熱風乾燥機を用いて250℃で1時間乾燥し50μmのポリイミド系樹脂フィルムを得た。このフィルムから幅4mm×長さ21mmのフィルムをサンプリングして各3mmずつをチャックに挟み、測定長15mmで動的粘弾性測定装置(アイティー計側制御製DVA−220)を用い、周波数110Hz、昇温速度4℃/分の条件で測定した時の保存弾性率(E’)の変曲点をガラス転移温度とした。
3.機械的物性
2で作成したサンプルからサンプルサイズ10mm×80mmのものを切り出し、引張り試験機(オリエンテック製RTM−100)のサンプル固定チャックに上下20mmずつ挟み固定し、チャック間距離40mm、引張り速度20mm/分、温度25℃60RH%の条件で測定し、S−S曲線より、弾性率、伸度を測定した。
4.硬度
フィルムサンプルを空気が入らないように重ねて、厚さ3mmにした後、サンプルをガラス板の上に置き硬度計(高分子計器製作所製JA型)を用いて測定した。測定は25℃60%RHの雰囲気下で行い、数値は指示直後の値を採用した。
5.画質、位置ズレ
実施例、比較例で得られた中間転写体をフルカラー電子写真装置に装着し、80g/m2の紙にフルカラー画像を印画して目視により画質、顕微鏡観察により位置ズレを評価した。
合成例A
窒素導入管と冷却装置の付いた反応容器に無水トリメリット酸1モル、o−トリジンジイソシアネート0.8モル、コロネートT100(日本ポリウレタン工業製)0.2モル、触媒として1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン0.02モル、溶剤としてN−メチル−2−ピロリドンを仕込み固形分濃度20%で100℃2時間反応させた後、150℃で3時間反応させた。冷却し、固形分濃度が14%となるようN−メチル−2−ピロリドンで希釈してポリイミド系樹脂を得た。評価結果は表1の通り。
合成例B
窒素導入管と冷却装置の付いた反応容器にオキシジアニリン1モル、N−メチル−2−ピロリドンを3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸1モルを添加した後に固形分濃度が15%になるように仕込んだ。20℃で3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸1モルを粉末状のまま添加して反応させて対数粘度2.3dl/gのポリアミック酸を得た。評価結果は表1の通り。
合成例C
窒素導入管と冷却装置と攪拌器の付いた反応容器にX−22−1660B−3末端ジアミン変性フェニルメチルシロキサン 数平均分子量4400)0.2モル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル0.8モル、N−メチル−2−ピロリドンをピロメリット酸無水物を加えて固形分濃度で25%になるように仕込み、室温で攪拌して溶解した。10℃に冷却してピロメリット酸二無水物1.0モルを粉末の状態で添加し反応させた。添加後、反応系は反応熱で25℃程度まで上昇した。30分後冷却を止め、室温で1時間攪拌し、ソフトセグメントを70重量%共重合したポリイミド系樹脂前駆体溶液を得た。評価結果は表1の通り。
合成例D
窒素導入管と冷却装置と攪拌器の付いた反応容器にX−22−1660B−3(信越化学工業製 末端ジアミン変性フェニルメチルシロキサン 数平均分子量4400)0.3モル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル0.7モル、N−メチル−2−ピロリドンをピロメリット酸無水物を加えて固形分濃度で30%になるように仕込み、室温で攪拌して溶解した。10℃に冷却してピロメリット酸二無水物1.0モルを粉末の状態で添加し反応させた。添加後、反応系は反応熱で20℃程度まで上昇した。30分後冷却を止め、室温で1時間攪拌し、ソフトセグメントを77重量%共重合したポリイミド系樹脂前駆体溶液を得た。評価結果は表1の通り。
合成例E
窒素導入管と冷却装置の付いた反応容器にミリオネートMT(日本ポリウレタン工業製)1モルと全ての原料を入れたときの固形分濃度が30%になるようにN−メチル−2−ピロリドンを入れ溶解させた。その中にX−22−1660B−3(信越化学工業製 末端ジアミン変性フェニルメチルシロキサン 数平均分子量4400)0.16モルをゆっくりと加えた。30分室温で攪拌した後、無水トリメリット酸0.84モル、触媒として1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(ナカライテスク製)0.02モルを仕込み、120℃2時間反応させた後、150℃で3時間反応させソフトセグメントを68重量%共重合したポリイミド系樹脂を得た。評価結果は表1の通り。
合成例F
窒素導入管と冷却装置の付いた反応容器に無水トリメリット酸0.80モル、プラクセル220(ダイセル化学工業製ポリカプロラクトンジオール数平均分子量2000)0.20モル、ミリオネートMT(日本ポリウレタン工業製)1モル、フッ化カリウム0.02モル、N−メチル−ピロリドンを入れ固形分濃度30%とした。120℃で1.5時間反応させた後、150℃で3時間反応させソフトセグメントを61重量%共重合したポリイミド系樹脂を得た。評価結果は表1の通り。
実施例、比較例
上記合成例A〜Hにカーボンブラック(ConductexSC Ultra;キャボット製)を樹脂固形分100重量部に対し400重量部加えボールミルで1時間(25℃)十分混合しカーボンブラックのマスターバッチを得た。これに分散に用いた樹脂と同じものを加え表面抵抗が1010Ω/□になるよう調整した(カーボンブラック量は全重量中の16〜20%)。このカーボンブラック含有ワニスを以下の手順でシームレスベルトにした。円筒状のシリンダーで内周面が鏡面仕上げされたものと円筒状シリンダーの幅に相対する長さのスリット状出口を持つ塗工機を用意した。シリンダーをゆっくり回転させながら、その内周面にカーボンブラック含有ワニスを供給した。ワニスの供給が終わってから、シリンダーの回転速度を上げ全体を均一にした後100℃〜120℃で30分乾燥させた。加熱を停止し、常温に冷却し回転を止めた。この段階で有機溶媒は60〜80重量%程度蒸発除去され、残りの20〜40重量%程度を含有するシームレスベルトを得た。この時の厚みは40ミクロンであった。このシームレスベルトの上に、更にカーボンブラック含有ワニスを前記同様の条件で塗布−加熱−冷却し、二層からなる自己支持性のあるシームレスベルトを遠心成形した。この時の有機溶媒の含有量は20〜40重量%程度であった。最後に、この無端ベルト状物を該シリンダーから剥離し、次いで該ベルト状物の内径より約3%小さい外径を有する棒体を該ベルト状物に挿入した後、別の加熱装置に入れて、徐々に温度を上げながら180乃至200℃で40分間、240乃至270℃で60〜120分間加熱した。この段階では残存する有機溶媒を上昇せしめつつ、ポリアミック酸の場合は閉環、イミド化も同時に進行し、目的とする2層構成のシームレスベルトを得た。このものの厚みはトータルで100ミクロンであった。これらの画質と位置ズレの評価結果を表2に示す。
Figure 0004706253
Figure 0004706253
本発明は高速化と高画質化を両立出来る中間転写体及びそれを用いた画像形成装置を提供することが出来る。

Claims (5)

  1. 二層以上の層構造を有するシームレスベルトにおいて、基材層外側に硬度が40以上98未満のポリイミド系樹脂からなる層が形成されており、該ポリイミド系樹脂はソフトセグメントとして反応性シリコーンおよびポリエステルからなる群より選ばれる1種以上を有しており、前記ソフトセグメントは樹脂全重量の30%重量以上90%重量以下共重合されているポリイミド系樹脂であることを特徴とするシームレスベルト。
  2. 基材がポリイミド系樹脂であることを特徴とする請求項に記載のシームレスベルト。
  3. 基材層および/または外側層が、導電性材料と樹脂成分を含み、かつ以下の条件を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載のシームレスベルト。
    3≦{導電性材料の重量/(導電性材料の重量+樹脂の重量)}×100≦40
  4. 導電性材料がカーボンブラックであることを特徴とする請求項に記載のシームレスベルト。
  5. 請求項1からのいずれかに記載されたシームレスベルトを中間転写体として用いた画像形成装置。
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