JP5314371B2 - 電子写真機器用無端ベルト - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真機器用無端ベルトに関するものであり、詳しくはフルカラーLBP(レーザービームプリンター)やフルカラーPPC(プレーンペーパーコピア)等の電子写真技術を採用した電子写真機器において、中間転写ベルトや紙転写搬送ベルト等に用いられる電子写真機器用無端ベルトに関するものである。
一般に、フルカラーLBPやフルカラーPPC等の電子写真技術を採用した電子写真機器において、トナー像の転写用,紙転写搬送用,感光体基体用等の用途に、中間転写ベルト等の無端ベルト(シームレスベルト)が多用されている。特に、高画質化を求める中間転写ベルトには、寸法精度の点から膜厚均一性、電気特性の点から表面側表面抵抗、表面性の点から光沢度等の機能の向上が要求される。
従来、無端ベルトとしては、膜厚精度と物性の点から、ポリイミド樹脂やポリアミドイミド樹脂に、導電剤(カーボンブラック等)を含有させてなる材料を遠心成形してなる単層構造のものが用いられている。しかし、単層構造では、例えば、体積抵抗と表面抵抗を個別に制御できないため、電気特性の点で問題がある。一般に、電気特性の制御は、導電剤量で調整するが、単層構造の場合、体積抵抗と表面抵抗はある一定の関係を保って連動しており、かつ、ベルト表裏の表面抵抗は略同等の抵抗を発現する。単層構造の場合は、導電剤の種類や添加剤等の変更により、電気特性の関係を若干変更することができる程度である。また、上記単層構造のベルトは、製法が遠心成形であるため、金型面がトナー転写面となる。そのトナー転写面は、成形時に金型面であるため、摩擦係数制御が困難であり、遠心力によって導電剤がベルトの表面側に偏在するため、抵抗測定機では測定できないが、ミクロ的に見ると導電経路が多く、転写チリが発生しやすい。中間転写ベルトには、1次転写域での転写電界を確保するための電流を流すベルト裏面の表面抵抗特性と、転写チリをなくし、残留電荷を残さないベルト表面の表面抵抗特性と、残留電荷を残さない体積抵抗特性といったような個別の特性が必要であるが、これらの全ての要求特性を単層構造で実現するには、現実的には困難であり、耐圧性や摩耗係数の面を周辺部品にて調整しているのが実情である。
そこで、基層(ベース層)の表面に、高抵抗の表層を設けることが提案されているが、光沢度が低下して、トナーの有無を検知する感度が低下する。このような問題に対して、基層表面をラビング処理した後に、表層を設けた無端ベルトが提案されている(特許文献1)。
特開2004−251978号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載のものは、ラビング処理が必要なため、工程数が増加するという難点がある。また、最近では、高画質化、高速化のために、上記膜厚均一性,表面側表面抵抗,光沢度等の要求特性の向上が求められ、特に光沢度の向上が求められているが、上記特許文献1に記載のものは、これらの点で改良の余地がある。
また、無端ベルトを中間転写ベルト等として電子写真機器に組み込んで使用する場合、ベルト自身の機械的強度が劣ると、ベルトに割れが発生し、電子写真機器としての機能を果たせなくなるという難点がある。さらに、電子写真機器内にベルトを装着し、トナーを転写させる際、ベルト上のトナー濃度を光学センサーの反射で読み取みっているが、その際、ベルト軸方向に多数センサーを配置し、ベルト自身の光沢と比較して濃度補正を行うため、ベルト表面における光沢度が均一でないと、読み取りに異常が生じ、画質に影響を及ぼす等の難点もある。
このように、充分な光沢度を持ち、ベルト表面における光沢度の均一化を図ることができ、機械的強度(屈曲耐久性)およびトナー転写性に優れた電子写真機器用無端ベルトは存在しないのが実情であり、これらを全て満たす電子写真機器用無端ベルトの出現が待望されている。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、充分な光沢度を持ち、ベルト表面における光沢度の均一化を図ることができ、機械的強度(屈曲耐久性)およびトナー転写性に優れた、電子写真機器用無端ベルトの提供をその目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明の電子写真機器用無端ベルトは、基層の外周面に表層が形成されてなる電子写真機器用無端ベルトであって、上記基層が、下記の(A)〜(C)を用いてなる変性ポリアミドイミド樹脂を含有するとともに、上記表層が、下記の(D)〜(F)を含有する表層用材料からなり、下記の(α)および(β)の特性を満たすという構成をとる。
(A)芳香族イソシアネート化合物。
(B)芳香族系多価カルボン酸の無水物。
(C)カルボン酸両末端ポリマー。
(D)少なくとも2種類のアクリル樹脂。
(E)フッ素樹脂、変性アクリル樹脂およびシリコーン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一つ。
(F)カーボンブラック。
(α)上記(D)と(E)との混合比が、重量比で、(D)/(E)=80/20〜97/3の範囲である。
(β)上記各アクリル樹脂(D)のガラス転移点と、上記(D)と(E)との合計量全体に占める各アクリル樹脂(D)の含有割合との積の和が、2500〜5000の範囲に設定されている。
すなわち、本発明者らは、充分な光沢度を持ち、ベルト表面における光沢度の均一化を図ることができ、機械的強度(屈曲耐久性)およびトナー転写性に優れた、電子写真機器用無端ベルトを得るため、鋭意研究を重ねた。そして、変性ポリアミドイミド樹脂を含有する基層の外周面に表層が形成されてなる電子写真機器用無端ベルトについて、表層用材料を中心に研究を続けた。その結果、少なくとも2種類のアクリル樹脂(D成分)と、フッ素樹脂、変性アクリル樹脂およびシリコーン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一つ(E成分)と、カーボンブラック(F成分)とを含有する表層用材料であって、上記D成分の重量比を高く設定するとともに、上記各アクリル樹脂(D成分)のガラス転移点と、各アクリル樹脂(D成分)の含有割合との積の和を、2500〜5000の範囲に設定すると、所期の目的が達成できることを見いだし、本発明に到達した。すなわち、上記表層用材料のベースポリマーとして、少なくとも2種類のアクリル樹脂(D成分)を用いるとともに、この重量比を高く設定することにより、カーボンブラック(F成分)との相溶性・分散性が向上して、表層の光沢度が向上するとともに、ベルト表面における光沢度の均一化を図ることができるようになる。そして、上記各アクリル樹脂(D成分)のガラス転移点Tg(℃)と、各アクリル樹脂(D成分)の含有割合W(重量%)との積(Tg×W)の和を、2500〜5000の範囲に設定することにより、表層の柔軟性が最適化され、機械的強度(屈曲耐久性)およびトナー転写性(トナー転写効率)を両立することができる。また、上記フッ素樹脂、変性アクリル樹脂およびシリコーン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一つ(E成分)を併用することによって、トナー転写性がより向上する。
このように、本発明の電子写真機器用無端ベルトは、上記表層用材料のベースポリマーとして、少なくとも2種類のアクリル樹脂(D成分)を用い、この重量比を高く設定することにより、カーボンブラック(F成分)との相溶性、分散性が向上して、表層の光沢度が向上するとともに、ベルト表面における光沢度の均一化を図ることができ、良好な画像を得ることができるようになる。そして、上記各アクリル樹脂(D成分)のガラス転移点Tg(℃)と、各アクリル樹脂(D成分)の含有割合W(重量%)との積(Tg×W)の和を、2500〜5000の範囲に設定することにより、表層の柔軟性が最適化され、機械的強度(屈曲耐久性)およびトナー転写性(トナー転写効率)を両立することができる。また、上記フッ素樹脂、変性アクリル樹脂およびシリコーン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一つ(E成分)を併用することにより、トナー転写性がより向上する。また、芳香族イソシアネート化合物(A成分)と、芳香族系多価カルボン酸の無水物(B成分)と、カルボン酸両末端ポリマー(C成分)とを共重合してなる変性ポリアミドイミド樹脂を用いて基層を形成しているため、上記カルボン酸両末端ポリマー(C成分)がソフトセグメント的な役割を果たして、ポリアミドイミド樹脂に柔軟性を付与することかできる。そのため、本発明の電子写真機器用無端ベルトは、破断伸びが大きく、耐久性に優れている。
また、上記カーボンブラックが、表面にポリマーがグラフトまたは被覆されてなるカーボンブラックであると、光沢度およびベルト表面における光沢度の均一化の点で、より優れた効果が得られる。
また、上記表層が、架橋剤を含有する表層用材料からなると、塗膜の架橋密度が上がり、耐屈曲性、耐摩耗性等がより一層向上する。
つぎに、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の電子写真機器用無端ベルトは、例えば、図1に示すように、基層1の外周面に表層2が直接形成されて構成されている。
本発明においては、上記基層1が、下記の(A)〜(C)を用いてなる変性ポリアミドイミド樹脂を含有するとともに、上記表層が、下記の(D)〜(F)を含有する表層用材料からなり、下記の(α)および(β)の特性を満たすのであって、これらが最大の特徴である。
(A)芳香族イソシアネート化合物。
(B)芳香族系多価カルボン酸の無水物。
(C)カルボン酸両末端ポリマー。
(D)少なくとも2種類のアクリル樹脂。
(E)フッ素樹脂、変性アクリル樹脂およびシリコーン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一つ。
(F)カーボンブラック。
(α)上記(D)と(E)との混合比が、重量比で、(D)/(E)=80/20〜97/3の範囲である。
(β)上記各アクリル樹脂(D)のガラス転移点と、上記(D)と(E)との合計量全体に占める各アクリル樹脂(D)の含有割合との積の和が、2500〜5000の範囲に設定されている。
上記基層1を形成する材料(基層用材料)として用いられる、変性ポリアミドイミド(PAI)樹脂は、芳香族イソシアネート化合物(A成分)と、芳香族系多価カルボン酸の無水物(B成分)と、カルボン酸両末端ポリマー(C成分)とを共重合することにより得ることができる。この変性ポリアミドイミド樹脂を主成分とする基層用材料を用いて基層1を形成すると、上記カルボン酸両末端ポリマー(C成分)がソフトセグメント的な役割を果たして、ポリアミドイミド樹脂に柔軟性を付与するため、これを用いた電子写真機器用無端ベルトは、破断伸びが大きく、耐久性に優れている。
上記芳香族系イソシアネート化合物(A成分)としては、分子構造中に芳香族環を有する化合物が用いられ、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、反応性、コスト、溶解性の点で、MDI、TODIが好適に用いられる。
また、上記芳香族系イソシアネート化合物(A成分)とともに用いられる芳香族系多価カルボン酸の無水物(B成分)としては、分子構造中に芳香族環を有し、上記芳香族系イソシアネート化合物(A成分)と縮合反応するものが好ましく、例えば、芳香族系多価カルボン酸無水物(B1)、芳香族系多価カルボン酸二無水物(B2)等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。なお、本発明においては、上記芳香族系多価カルボン酸の無水物(B成分)とともに、芳香族系多価カルボン酸を併用しても差し支えない。
上記芳香族系多価カルボン酸無水物(B1)としては、例えば、トリメリット酸無水物(無水トリメリット酸)、ナフタレン−1,2,4−トリカルボン酸無水物等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、反応性、コスト、溶解性等の点から、トリメリット酸無水物(無水トリメリット酸)が好適に用いられる。
また、上記芳香族系多価カルボン酸二無水物(B2)としては、例えば、ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物(ピロメリット酸二無水物)、ベンゾフェノン−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテル−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−2,2′,3,3′−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、デカヒドロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、フェナントレン−1,3,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、プロピレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、反応性、コスト、溶解性等の点から、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)が好適に用いられる。
本発明における芳香族系多価カルボン酸の無水物(B成分)としては、上記芳香族系多価カルボン酸無水物(B1)と、芳香族系多価カルボン酸二無水物(B2)とを併用することが好ましく、両者を併用すると、変性PAI樹脂中のイミド基の比率が高くなるため、吸水性が低下し、無端ベルトの曲がり癖を改善することができるようになる。
上記芳香族系多価カルボン酸無水物(B1)と、芳香族系多価カルボン酸二無水物(B2)とのモル混合比は、B1/B2=90/10〜50/50の範囲が好ましく、特に好ましくはB1/B2=80/20〜60/40の範囲である。このような割合でB1/B2とを併用すると、無端ベルトの耐屈曲性の悪化が少なく、曲がり癖を改善することができるため好ましい。
つぎに、上記A成分およびB成分とともに用いられるカルボン酸両末端ポリマー(C成分)としては、ポリマーの末端にカルボン酸をそれぞれ1個有するものが好ましく、例えば、カルボン酸両末端ポリブタジエン、カルボン酸両末端水素添加ポリブタジエン、カルボン酸両末端ポリエステル、カルボン酸両末端ポリアミド等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
上記ポリマーの両末端にカルボン酸を導入するために用いるカルボン酸としては、例えば、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
上記脂肪族カルボン酸としては、例えば、アジピン酸、セバシン酸、スベリン酸、シュウ酸、コハク酸、コルク酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等があげられる。また、上記芳香族カルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、クロルフタル酸、ニトロフタル酸等があげられる。
上記カルボン酸両末端ポリマー(C成分)は、例えば、ポリブタジエン、水素添加ポリブタジエン、ポリエステル、ポリアミド等のポリマーの両末端に、上記のようなカルボン酸を導入することにより得ることができる。
上記カルボン酸両末端ポリマー(C成分)のうち、カルボン酸両末端ポリエステルは、例えば、つぎのようにして作製することができる。すなわち、加熱装置、攪拌装置、還流装置、水分離器、蒸留塔および温度計を備えた反応槽に、アジピン酸やセバシン酸等のジカルボン酸と、メチルペンタンジオール,ノナンジオール,メチルオクタンジオール等のジオールとを仕込み、所定温度(例えば、220℃)まで所定時間(例えば、1時間)かけて昇温する。さらに所定温度(例えば、220℃)で縮重合反応を続けた後、所定温度(例えば、室温)まで冷却することにより、所望のカルボン酸両末端ポリエステルを得ることができる。
また、上記カルボン酸両末端ポリエステルは、例えば、攪拌機、窒素導入管、温度計、冷却管を備えた反応容器に、分子構造中に水酸基を2個以上有するエステル系ポリオールと、無水フタル酸等の二塩基酸の無水物と、NMP溶剤等の有機溶剤とを仕込み、窒素気流下、攪拌しながら所定温度(例えば、130℃)まで所定時間(例えば、1時間)かけて昇温し、そのまま所定温度(例えば、130℃)で所定時間(例えば、3時間程度)反応させた後、所定温度(例えば、室温)まで冷却することにより作製することもできる。
なお、カルボン酸両末端ポリブタジエン等のカルボン酸両末端ポリマー(C成分)も、上記カルボン酸両末端ポリエステルの製法に準じて適宜作製することができる。
このようにして得られるカルボン酸両末端ポリマー(C成分)の酸価は、15〜150mgKOH/gの範囲が好ましく、特に好ましくは45〜110mgKOH/gの範囲である。
また、上記カルボン酸両末端ポリマー(C成分)の数平均分子量(Mn)は、750〜7500の範囲が好ましく、特に好ましくは数平均分子量(Mn)が1000〜2500の範囲である。
上記カルボン酸両末端ポリマー(C成分)から誘導される構造単位の含有割合は、上記変性ポリアミドイミド樹脂全体の5〜30重量%の範囲であることが好ましく、特に好ましくは15〜25重量%の範囲である。すなわち、少なすぎると、耐久性が悪くなる傾向がみられ、逆に多すぎると、クリープ率が悪化する傾向がみられるからである。
ここで、上記芳香族イソシアネート化合物(A成分)のイソシアネート基の総モル数(a)と、芳香族系多価カルボン酸の無水物(B成分)の酸無水物基とカルボキシル基との総モル数(b)、およびカルボン酸両末端ポリマー(C成分)のカルボキシル基の総モル数(c)の合計総モル数〔(b)+(c)〕とのモル混合比は、(a)/〔(b)+(c)〕=90/100〜130/100の範囲が好ましく、特に好ましくは(a)/〔(b)+(c)〕=100/100〜120/100の範囲である。すなわち、(a)/〔(b)+(c)〕の値が、上記上限または下限の範囲から外れると、PAI樹脂の分子量を高くすることが困難となり、耐久性が悪化する傾向がみられるからである。
上記A成分とB成分とC成分とを共重合させてなる変性PAI樹脂は、例えば、つぎのようにして調製することができる。すなわち、攪拌機、窒素導入管、温度計、冷却管を備えた反応容器を準備し、上記芳香族イソシアネート化合物(A成分)と、無水トリメリット酸等の芳香族系多価カルボン酸の無水物(B成分)と、カルボン酸両末端ポリエステル等のカルボン酸両末端ポリマー(C成分)とを所定量配合し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP),N,N−ジメチルホルムアミド(DMF),N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC),γ−ブチロラクトン等の極性溶剤を仕込み、窒素気流下、攪拌しながら所定時間(好ましくは、1〜3時間)かけて所定温度(好ましくは、130〜150℃)まで昇温する。つぎに、所定温度(好ましくは、130〜150℃)で所定時間(好ましくは、約3〜5時間)反応させた後、反応を停止することにより、変性PAI樹脂を調製することができる。
上記変性PAI樹脂は、数平均分子量(Mn)が5,000〜100,000の範囲が好ましく、特に好ましくはMnが10,000〜50,000の範囲である。すなわち、PAI樹脂のMnが小さすぎると、引き裂き強度が低くなり、耐久性が悪化し、逆にPAI樹脂のMnが大きすぎると、溶液粘度が高くなり加工性が悪化する傾向がみられるからである。なお、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により測定することができる。
なお、上記基層1の形成に用いる材料(基層用材料)としては、上記変性PAI樹脂とともに、導電性充填剤、難燃剤、有機溶剤(DMF,DMAC,トルエン,アセトン,NMP等)、充填剤(炭酸カルシウム等)、レベリング剤(離型剤)等を必要に応じて適宜含有させることも可能である。
上記導電性充填剤としては、例えば、カーボンブラック,グラファイト等の導電性粉末、アルミニウム粉末,ステンレス粉末等の金属粉末、導電性酸化亜鉛(c−ZnO),導電性酸化チタン(c−TiO2 ),導電性酸化鉄(c−Fe3 4 ),導電性酸化錫(c−SnO2 )等の導電性金属酸化物、第四級アンモニウム塩,リン酸エステル,スルホン酸塩,脂肪族多価アルコール,脂肪族アルコールサルフェート塩のようなイオン性導電剤等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
また、上記難燃剤としては、例えば、リン含有樹脂(リン含有ポリエスル系樹脂等)等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
上記基層用材料は、例えば、PAI樹脂と、導電性充填剤と、有機溶剤と、充填剤とを必要に応じて適宜に配合し、攪拌羽根で混合した後、リングミル,ボールミル,サンドミル等を用いて分散させることにより調製することができる。
つぎに、上記表層2の形成に用いる材料(表層用材料)としては、少なくとも2種類のアクリル樹脂(D成分)と、フッ素樹脂、変性アクリル樹脂およびシリコーン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一つ(E成分)と、カーボンブラック(F成分)とが用いられる。なお、本発明において、アクリル樹脂(D成分)と、変性アクリル樹脂(E成分)とは、異なる成分を表す。
上記アクリル樹脂(D成分)は、カーボンブラック(F成分)との相溶性に優れたものが好ましい。上記アクリル樹脂(D成分)の構造単位であるアクリル系単量体(モノマー)としては、アクリル酸およびその誘導体のみならず、メタクリル酸およびその誘導体、さらにはそれらを重合させて得られる共重合体等があげられる。このようなアクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸2,2−ジメチルプロピル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−2−tert−ブチルフェニル、アクリル酸2−ナフチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸4−メトキシフェニル、アクリル酸2−メトキシカルボニルフェニル、アクリル酸2−エトキシカルボニルフェニル、アクリル酸2−クロロフェニル、アクリル酸4−クロロフェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−シアノベンジル、アクリル酸4−シアノフェニル、アクリル酸p−トリル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシブチル、アクリル酸2−シアノエチル、アクリル酸3−オキサブチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸2,2−ジメチルプロピル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸−2−tert−ブチルフェニル、メタクリル酸2−ナフチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸4−メトキシフェニル、メタクリル酸2−メトキシカルボニルフェニル、メタクリル酸2−エトキシカルボニルフェニル、メタクリル酸2−クロロフェニル、メタクリル酸4−クロロフェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−シアノベンジル、メタクリル酸4−シアノフェニル、メタクリル酸p−トリル、メタクリル酸イソノニル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−シアノエチル、メタクリル酸3−オキサブチル、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリルアミド、ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ピペリジルアクリルアミド、メタクリルアミド、4−カルボキシフェニルメタクリルアミド、4−メトキシカルボキシフェニルメタクリルアミド、メチルクロロアクリレート、エチル−α−クロロアクリレート、プロピル−α−クロロアクリレート、イソプロピル−α−クロロアクリレート、メチル−α−フルオロアクリレート、ブチル−α−ブトキシカルボニルメタクリレート、ブチル−α−シアノアクリレート、メチル−α−フェニルアクリレート、イソボニルアクリレート、イソボニルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等のラジカル重合性単量体があげられる。
上記アクリル樹脂(D成分)の具体例としては、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸n−ブチル、ポリメタクリル酸イソブチル、ポリアクリル酸n−ブチル、ポリアクリル酸イソブチル等があげられる。本発明においては、少なくとも2種類のアクリル樹脂を用いる必要があり、3種類以上であっても差し支えない。なお、材料の混合性、生産性の点から、好ましくは2種類である。
本発明においては、上記各アクリル樹脂(D)のガラス転移点Tgと、上記(D)と(E)との合計量全体に占める各アクリル樹脂(D)の含有割合Wとの積(Tg×W)の和が、2500〜5000の範囲に設定されており〔特性(β)〕、好ましくは2750〜4050の範囲である。すなち、上記積(Tg×W)の和が小さすぎると、トナー転写性(トナー転写効率)が悪化し、逆に上記積(Tg×W)の和が大きすぎると、機械的強度(屈曲耐久性)の悪化と、ベルト表面における光沢度の低下および均一性が悪化するからである。
上記特性(β)について、アクリル樹脂(D1)とアクリル樹脂(D2)との2種類のアクリル樹脂を用いる場合について具体的に説明する。すなわち、上記アクリル樹脂(D1)のガラス転移点Tg1 が90℃で、含有割合W1 が21重量%、上記アクリル樹脂(D2)のガラス転移点Tg2 が18℃で、含有割合W2 が70重量%であるとすると、Tg1 ×W1 +Tg2 ×W2 =(90×21)+(18×70)=3150が、上記特性(β)に相当する積の和となる。
上記アクリル樹脂(D成分)は、耐屈曲性、離型性等の点から、ガラス転移点(Tg)が−20〜110℃の範囲が好ましく、特に好ましくは0〜100℃の範囲である。すなわち、Tgが低すぎると、離型性が悪化し、逆にTgが高すぎると、表面割れが発生する傾向がみられるからである。なお、上記ガラス転移点は、DSC測定により求めることができる。
また、上記アクリル樹脂(D成分)は、平滑性、耐屈曲性、耐摩耗性等の点から、数平均分子量(Mn)が10,000〜1,200,000の範囲が好ましく、特に好ましくは20,000〜1,000,000の範囲である。すなわち、Mnが低すぎると、表面が割れやすく、さらに摩耗しやすくなり、逆にMnが高すぎると、平滑性が悪化する傾向がみられるからである。
本発明においては、上記少なくとも2種類のアクリル樹脂(D成分)とともに、フッ素樹脂、変性アクリル樹脂およびシリコーン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一つ(E成分)を用いることが特徴である。
上記フッ素樹脂(E成分)としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体〔P(VDF−TFE)〕、ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロプロピレン共重合体〔P(VDF−HFP)〕、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTEF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
上記変性アクリル樹脂(E成分)は、上記アクリル樹脂(D成分)とは異なるものであり、アクリル樹脂の分子構造を母体とし、他の樹脂もしくは樹脂成分で変性されたものをいう。上記変性アクリル樹脂(E成分)としては、例えば、シリコーングラフトアクリル樹脂、フッ素グラフトアクリル樹脂等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
また、上記シリコーン樹脂(E成分)としては、例えば、ジメチルシリコーン樹脂、メチルフェニルシリコーン樹脂、メチル水素シリコーン樹脂、アルキル変性シリコーン樹脂、ポリエーテル変性シリコーン樹脂、アミノ変性シリコーン樹脂、エポキシ変性シリコーン樹脂、カルボキシル変性シリコーン樹脂、アルコール変性シリコーン樹脂等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
本発明においては、上記少なくとも2種類のアクリル樹脂(D成分)と、フッ素樹脂、変性アクリル樹脂およびシリコーン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一つ(E成分)との混合比は、重量比で、D成分(各アクリル樹脂の合計量)/E成分(フッ素樹脂,変性アクリル樹脂もしくはシリコーン樹脂の合計量)=80/20〜97/3の範囲であり、好ましくはD成分/E成分=85/15〜91/9の範囲である。すなわち、D成分の重量比が少なすぎる(E成分の重量比が多すぎる)と、カーボンブラック(F成分)との相溶性、分散性が悪くなり、光沢度の向上や光沢度の均一化を図ることができなくなり、機械的強度(耐屈曲性)も悪化するからであり、逆にD成分の重量比が多すぎる(E成分の重量比が少なすぎる)と、トナー転写性(トナー転写効率)が悪化するからである。
つぎに、上記D成分およびE成分とともに用いられるカーボンブラック(F成分)は、広義のカーボンブラックを意味し、ファーネス法や衝撃法によって製造される全てのものを含む趣旨であり、具体的には、ファーネスブラック、ランプブラック(直燃式ブラック)、サーマルブラック(不活性ブラック)、アセチレンブラック、硬質ブラック、軟質ブラック、チャンネルブラック(活性ブラック)、ローラーブラック、ディスクブラック、粒状ブラック、デンスブラック、ペレットブラック等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
上記カーボンブラック(F成分)のなかでも、表面にポリマーがグラフトされてなるカーボンブラック(以下、「ポリマーグラフトカーボン」と略す)、または表面にポリマーが被覆されてなるカーボンブラック(以下、「ポリマー被覆カーボン」と略す)が好ましい。
上記ポリマーグラフトカーボンは、カーボンブラック表面に存在するカルボキシル基,ヒドロキシル基,カルボニル基等の官能基に対して、それと反応する反応性基を有するポリマーがグラフト(付加、結合)されてなる構造のものである。
上記ポリマーグラフトカーボンの原料となる、ポリマーグラフト前のカーボンブラックとしては、カーボンブラック表面にカルボキシル基,ヒドロキシル基等の官能基を有するものが好ましいが、ポリマーとの反応効率等を考慮すると、pHが5以下のカーボンブラックを用いることが好ましい。すなわち、カーボンブラックのpHが高すぎると、カーボンブラック表面に目的とするポリマーがグラフトされ難くくなり、そのために分散性が改良されず、凝集粒子が残り、荒れた表層が形成されるようになるとともに、電気抵抗の制御性も低く、制御が困難となる問題が生じやすくなるからである。
また、上記カーボンブラックの表面にグラフトされるポリマーとしては、カーボンブラック表面の官能基に対して反応性を有し、それと結合し得る反応性基を有するものが好ましく、例えば、ポリシロキサン系、ポリアクリル系、ポリメタクリル系、スチレン−アクリル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリイミド系、エポキシ系等の各種のポリマーがあげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。なお、このようなカーボンブラック表面におけるグラフトされたポリマーは、そのようなポリマーを与えるモノマーを、カーボンブラック表面の官能基に付加、結合させ、そこを起点に重合させることによっても形成することができ、本発明においては、そのようなモノマーの重合によって形成されるポリマーグラフトカーボンも同様に用いることができる。
そして、そのようなカーボンブラック表面に所定のポリマーがグラフトされてなるポリマーグラフトカーボンにおいて、ポリマーのグラフト割合は、目的とする作用・効果が得られるように適宜に決定されることとなるが、本発明の目的を有利に達成する上において、そのグラフトされたポリマーとカーボンブラックとの割合は、重量比にて0.2〜1.0の範囲内とすることが好ましい。すなわち、重量比が0.2未満であると、活性なカーボンブラック表面をポリマーで充分に覆うことができず、カーボンブラックの分散性の改善効果が実現されにくくなるからである。逆に、重量比が1.0を超えると、ポリマーの量が多すぎるため、ポリマーの特性が表層に出現し、変形を受けたときに表層の割れ等の不具合が発生するおそれや、カーボンブラックのもっている導電性が発現しにくくなるからである。
上記ポリマーグラフトカーボンは、例えば、特開平9−59331号公報や特開平9−272706号公報に記載された方法によって得ることができる。すなわち、一般に、そのようなグラフト化反応は、ポリマーの種類により適宜に選択された分散媒体(溶剤)中において実施され、具体的には、分散媒体として、水、メチルアルコール,エチルアルコール等のアルコール類、アセトン,メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチル,酢酸エチル等のエステル類、セロソルブ類等が、反応装置の種類等に応じて、適宜の使用量において用いられることとなる。
また、グラフト化反応は、カーボンブラックとポリマーと分散媒体(溶剤)とを所定の反応装置に仕込み、加熱下において分散、混合させることにより行われることとなるが、その際の反応装置としては、例えば、二本ロール、三本ロール、ニーダー等の混練機、あるいはボールミル、ビーズミル等の分散機等が用いられ、そして、それらに加熱装置を付けて、温度制御可能な装置として使用される。なお、このような反応装置を用いたグラフト化反応において、反応温度は、通常50〜200℃程度、好ましくは70〜150℃の範囲であり、処理(反応)時間は、通常1〜10時間、好ましくは1〜5時間の範囲である。
つぎに、前記ポリマー被覆カーボンは、カーボンブラックの表面をポリマーで被覆処理することにより得られるものである。なお、その表面に、高分子量分散剤等の添加剤を付着させてもよい。ここで、上記付着は、上記添加剤がポリマー被覆カーボンの表面に吸着することによりなされる。以下、これについて詳しく説明する。
上記カーボンブラックとしては、ポリマーを用いて被覆処理する点を考慮して、表面官能基(水酸基、カルボキシル基、カルボニル基等)が多いカーボンブラックが好適である。
そして、上記カーボンブラックの平均一次粒子径は、10〜300nmの範囲が好ましく、特に好ましくは15〜100nmである。すなわち、上記範囲内でないと、分散性や導電性の低下等を招くおそれがあるからである。
また、上記カーボンブラックの比表面積は、通常、10〜500m2 /gの範囲が好ましく、特に好ましくは50〜300m2 /gである。なお、上記比表面積は、BET法によって測定した値である。すなわち、低温窒素吸着法によりカーボンブラックの窒素吸着量を測定し、これからBETの式を用い多点法により算出した値である。
さらに、上記カーボンブラックの揮発分は、1.0%以上が好ましく、特に好ましくは1.0〜10%である。すなわち、このような揮発分を示すものであれば、カーボンブラックの官能基(−OH,=CO,−COOH等)を一定量以上含有することとなり、これらの官能基がポリマーに作用し、カーボンブラック表面への被覆を助けるからである。
そして、上記カーボンブラックのDBP吸収量は、40〜250ml/100gの範囲が好ましく、特に好ましくは45〜200ml/100gである。すなわち、上記範囲内でないと、電子写真材料の粘度が高くなり塗布時の作業性が悪くなる等のおそれがあるからである。なお、上記DBP吸収量は、JIS K6221(A法)によって測定した値である。
つぎに、上記カーボンブラックを被覆するポリマーとしては、例えば、ポリシロキサン系、ポリアクリル系、ポリメタクリル系、スチレン−アクリル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリイミド系、エポキシ系等の各種のものを用いることができる。なかでも、多官能エポキシ樹脂が好適である。ここで、多官能エポキシ樹脂とは、1分子中のエポキシ基の総数が2個以上のエポキシ樹脂をいう。このような多官能エポキシ樹脂としては、例えば、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、トリフェニルグリシジルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルグリシジルメタン型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂、ジアミドジフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾール型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂等があげられる。なお、被覆ポリマーは、常法に従って、各種の硬化剤、硬化促進剤、有機溶剤とともに使用される。そして、被覆ポリマーは二種以上のポリマーを任意の割合で併用してもよい。
そして、被覆ポリマーの使用割合は、上記カーボンブラックと被覆ポリマーの合計量の5〜40重量%の範囲が好ましく、特に好ましくは5〜20重量%である。すなわち、5重量%未満では、未処理のカーボンブラックと同等の分散性や分散安定性しか得られないおそれがあるからであり、逆に40重量%を超えると、ポリマー被覆したカーボンブラックと組み合わせるバインダーの物性やトナー離型性、低摩擦性といった物性を損ねるおそれがあるからである。
さらに、上記ポリマー被覆カーボンには、高分子量分散剤等の適宜の添加剤を配合してもよい。上記高分子量分散剤としては、重量平均分子量が1,000〜50,000の分散剤であって、例えば、カーボンブラック用として通常用いられる各種の分散剤があげられる。具体例としては、ポリエステル系分散剤、ポリウレタン系分散剤、ポリアクリレート系分散剤等があげられ、これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
そして、上記高分子量分散剤の配合割合は、上記ポリマー被覆カーボンと高分子量分散剤の合計量全体の0.1〜40重量%の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは5〜30重量%である。すなわち、少なすぎると分散剤として有効に働かず、逆に多すぎると物性が悪くなったり、経時的にブリードアウトが生じるおそれがあるからである。
上記ポリマー被覆カーボン、例えば、エポキシ樹脂被覆の場合は、つぎのようにして作製することができる。すなわち、まず、スクリュー型攪拌機付き容器内に、予め調製しておいたカーボンブラックの水スラリーを装填し、所定の攪拌条件下にエポキシ樹脂溶液を少量ずつ添加する。これにより、水中に分散していたカーボンブラックが、エポキシ樹脂溶液側に移行する。そして、水切り工程を経由させた後、真空乾燥を行って、水等を除去することにより、粒子状のエポキシ樹脂被覆カーボンブラックが得られる。ついで、上記エポキシ樹脂被覆カーボンブラックと、高分子量分散剤等の添加剤とを、所定の割合で配合し、例えば、ビーズミル等の分散機を用いて分散する。これにより、エポキシ樹脂被覆カーボンブラックの表面に上記添加剤が付着し、その結果、上記添加剤処理済のエポキシ樹脂被覆カーボンブラックが得られる。
上記カーボンブラック(F成分)の配合量は、上記D成分およびE成分の合計100重量部(以下「部」と略す)に対して、5〜100部の範囲が好ましく、特に好ましくは10〜80部の範囲である。すなわち、F成分が少なすぎると、導電性の発現が不充分となり、逆にF成分が多すぎると、カーボンが高充填とされることで、塗膜の高硬度化につながり、塗膜割れのおそれがあるからである。
なお、上記表層用材料には、上記D〜F成分に加えて、架橋剤や、アミノ樹脂,フェノール樹脂,キシレン樹脂等の樹脂架橋剤、レベリング剤、有機溶剤等を適宜配合してもよい。
上記架橋剤としては、例えば、イソシアネート化合物等があげられる。
上記イソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、カルボジイミド変性MDI、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、クルードMDI等があげられる。
上記架橋剤の配合量は、前記D成分およびE成分の合計100部に対して、1〜100部の範囲が好ましく、特に好ましくは5〜50部の範囲である。すなわち、上記架橋剤が少なすぎると、摩耗性が劣り、光沢度低下につながり、逆に上記架橋剤が多すぎると、塗膜の高硬度化につながり、塗膜割れのおそれがあるからである。
上記表層用材料は、例えば、前記D成分と、E成分と、F成分と、有機溶剤等とを適宜に配合し、攪拌羽根で混合することにより調製することができる。なお、各層を精度良く形成するためには、隣接する層の形成材料に用いる有機溶剤は、互いに異なった種類のものを使用することが好ましい。すなわち、表層用材料に用いる有機溶剤と、基層用材料に用いる有機溶剤とは、互いに異なった種類のものを使用することが好ましい。
上記有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、n−ブタノール、キシレン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、トルエン、アセトン等があげられ、単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
本発明の電子写真機器用無端ベルトは、例えばつぎのようにして作製することができる。すなわち、まず、金型(円筒形基体)を準備し、この表面に上記基層材料をスプレーコーティングし、金型の表面に基層1を形成する。つぎに、この基層1の表面に、上記表層材料をディッピング法にてコーティングした後、基層1と円筒形基体との間にエアーを吹き付けることにより、円筒形基体を抜き取り、基層1の表面に、表層2が形成されてなる2層構造の電子写真機器用無端ベルト(シームレスベルト)を作製することができる。
なお、本発明の電子写真機器用無端ベルトの基層1および表層2の製法は、上記製法に限定されるものではなく、押出成形法、インフレーション法、ブロー成形法等により、作製することも可能である。
本発明の電子写真機器用無端ベルトは、光沢度が80以上であることが好ましく、特に好ましくは90以上である。すなわち、光沢度が小さすぎると、前述のように、トナー濃度センサー読み取りのばらつきが大きくなる傾向がみられるからである。
本発明において、光沢度とは、JIS Z 8741−1997に記載の「鏡面光沢度」のことをいう。上記光沢度は、例えば、日本電色社製のハンディグロスメーターPG−1Mを用いて測定することができる。
本発明の電子写真機器用無端ベルトは、ベルト表面の表面抵抗率(ρS1)が1×109 〜1×1014Ω/□の範囲が好ましく、特に好ましくは1×1010〜1×1014Ω/□の範囲である。すなわち、ベルト表面の表面抵抗率(ρS1)が低すぎると、耐圧が劣る傾向がみられ、逆にベルト表面の表面抵抗率(ρS1)が高すぎると、電荷減衰が遅く、トナー転写しなかったり、電荷が残り残像がでる傾向がみられるからである。また、本発明の電子写真機器用無端ベルトは、ベルト裏面の表面抵抗率(ρS2)が1×106 〜1×1012Ω/□の範囲が好ましく、特に好ましくは1×108 〜1×1012Ω/□の範囲である。
ここで、上記ベルト表面の表面抵抗率(ρS1)とは、電子写真機器用無端ベルトの最外周面の表面抵抗率をいい、ベルト裏面の表面抵抗率(ρS2)とは、電子写真機器用無端ベルトの最内周面の表面抵抗率をいう。
また、本発明の電子写真機器用無端ベルトは、下記の式(1)で表されるベルトの表面抵抗率の表裏差が0.2〜2.0桁の範囲が好ましく、特に好ましくは0.4〜2.0桁の範囲である。すなわち、表面抵抗率の表裏差が小さすぎると、転写域以外へ電荷が流れやすく、転写チリが発生し、逆に表面抵抗率の表裏差が大きすぎると、ベルト表面の電荷減衰速度が遅く、残像現象を発生する傾向がみられるからである。
Figure 0005314371
本発明の電子写真機器用無端ベルトの基層1の厚みは、30〜300μmの範囲が好ましく、特に好ましくは50〜200μmの範囲である。また、表層2の厚みは、1〜10μmの範囲が好ましく、特に好ましくは1〜5μmの範囲である。すなわち、表層2が薄膜すぎると、耐圧が劣る傾向がみられ、逆に表層2が厚膜すぎると、電荷が残り、残像(ゴースト)が生じたり、また、柔軟性が劣る傾向がみられるからである。また、本発明の電子写真機器用無端ベルトは、内周長が500〜2500mmで、幅が150〜600mm程度のものが好ましい。すなわち、上記寸法の範囲に設定すると、電子写真複写機等に組み込んで使用するのに適した大きさとなるからである。
上記基層1および表層2の膜厚は、例えば、走査電子顕微鏡,マイクロメーター等を用いて測定することができる。
本発明の電子写真機器用無端ベルトは、フルカラーLBPやフルカラーPPC等の電子写真技術を採用した電子写真機器において、トナー像の転写用,紙転写搬送用,感光体基体用等の用途に好適に用いられるが、これに限定するものではなく、例えば、フルカラーではない、単色の電子写真複写機の転写ベルト等にも使用することができる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
(基層用材料の調製)
攪拌機、窒素導入管、温度計、冷却管を備えた反応容器に、MDI(A成分)(日本ポリウレタン工業社製、ミリオネートMT、Mn:250.06)22部と、TODI(A成分)(日本曹達社製、TODI/R203、Mn:264.29)29部と、芳香族系多価カルボン酸無水物(B成分)である無水トリメリット酸(Mn:192.12)36部と、カルボン酸両末端ポリブタジエン(C成分)(日本曹達社製、C−1000、酸価:52mgKOH/g、Mn:2158)20部と、NMP溶剤250部とを仕込み、窒素気流下、攪拌しながら1時間かけて130℃まで昇温し、そのまま130℃で約5時間反応させた後反応を停止し、PAI−NMP溶液(固形分濃度:26重量%)を調製した。つぎに、このPAI−NMP溶液に、カーボンブラック(昭和キャボット社製、ショウブラックN220)4部を配合し、攪拌羽根で混合した後、ボールミル分散させて基層用材料を調製した。この基層用材料の粘度は、15000mPa・s(B型粘度計の測定値)に調整した。
(表層用材料の調製)
後記の表1に示す材料を同表に示す割合で配合し、混練した後、攪拌羽根で混合して、表層用材料を調製した。この表層用材料の粘度は、10mPa・s(B型粘度計の測定値)に調整した。
(無端ベルトの作製)
金型(円筒形基体)を準備し、この表面に上記基層材料をスプレーコーティングし、金型の表面に基層を形成した。つぎに、この基層の表面に、上記表層材料をディッピング法にてコーティングした後、基層と円筒形基体との間にエアーを吹き付けることにより、円筒形基体を抜き取り、基層(厚み:80μm)の表面に、表層(厚み:3μm)が形成されてなる2層構造の無端ベルト(シームレスベルト)を作製した。
〔実施例2〜10、比較例1〜8〕
表層用材料の配合組成を、下記の表1〜表3に示すように変更する以外は、実施例1と同様にして、表層用材料を調製した。そして、この表層用材料を用いる以外は、実施例1に準じて、基層の表面に表層が形成されてなる2層構造の無端ベルトを作製した。
Figure 0005314371
Figure 0005314371
Figure 0005314371
なお、上記表1〜表3に示した材料は、下記のとおりである。
〔アクリル樹脂A(D成分)〕
ポリメタクリル酸メチル(PMMA)(三菱レイヨン社製、ダイヤナールBR−75、Tg:90℃、Mn:85,000)
〔アクリル樹脂B(D成分)〕
ポリメタクリル酸メチル(PMMA)(根上工業社製、パラクロンW−197C DR、Tg:18℃、Mn:400,000)
〔アクリル樹脂C(D成分)〕
ポリメタクリル酸メチル(PMMA)(根上工業社製、パラクロンAW−4500H、Tg:−8℃、Mn:320,000)
〔フッ素樹脂(E成分)〕
ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロプロピレン共重合体〔P(VDF−HFP)〕(アルケマ社製、カイナー2821)
〔変性アクリル樹脂(E成分)〕
シリコーングラフトアクリル樹脂(東亞合成社製、サイマックUS−350)
〔シリコーン樹脂(E成分)〕
ジメチルシリコーンオイル(東レダウコーニングシリコーン社製、SH−200)
〔カーボンブラックA(F成分)
ファーネスブラック(キャボットジャパン社製、ショウブラックN220)
〔カーボンブラックB(F成分)(ポリマーグラフトカーボン)〕
カーボンブラック(種類:LFF、平均粒子径:24nm、DBP吸収量:57ml/100g、pH:3)231部に、スチレン−アクリル系ポリマー69部および分散媒体としてメチルイソブチルケトン700部を仕込み、ビーズミルを用いて均一に分散、混合し、110℃で3時間処理することによりグラフト化反応を進行させ、ポリマーグラフトカーボンを得た(グラフト化率:0.3%)。
〔カーボンブラックC(F成分)(ポリマー被覆カーボン)〕
平均一次粒子径24nm、比表面積134m2 /g、pH値3.0、DBP吸収量65ml/100gのカーボンブラックを準備し、このカーボンブラックと純水とをホモミキサーにより6,000rpmで30分間混合処理してスラリーを調製した。一方、アミノフェノール型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、エピコート630)をトルエンに溶解してエポキシ樹脂溶液を調製した。そして、スクリュー型攪拌機付き容器に上記スラリーを移し、約1,000rpmの攪拌条件下、上記アミノフェノール型エポキシ樹脂がカーボンブラックとアミノフェノール型エポキシ樹脂の合計量の10重量%の割合となるように上記エポキシ樹脂溶液を少量ずつ添加した。約15分経過後、水に分散していたカーボンブラックは、全量トルエン側に移行し大径の粒となった。そして、60メッシュの金網で水切りを行った後、真空乾燥機により70℃で7時間乾燥し、水とトルエンとを除去した。このようにして、粒子状のエポキシ樹脂被覆カーボンブラックを得た。さらに、このエポキシ樹脂被覆カーボンブラックに対し、高分子量分散剤(ゼネカ社製、ソルスパースS24000GR)の配合割合が、エポキシ樹脂被覆カーボンブラックと高分子量分散剤との合計量の18重量%の割合となるように配合し、ビーズミルで分散することにより、エポキシ樹脂被覆カーボンブラックに対し分散剤処理を行い、エポキシ樹脂被覆カーボンブラック(ポリマー被覆カーボン)を得た。
〔イソシアネート(架橋剤)〕
HDI(日本ポリウレタン社製、コロネートHX)
前述のようにして得られた実施例および比較例の無端ベルトを用い、下記の基準に従って各特性の評価を行った。これらの結果を上記表1〜表3に併せて示した。なお、D成分とE成分との混合比(D/E)、および各アクリル樹脂(D成分)のガラス転移点Tgと、各アクリル樹脂(D成分)の含有割合W(重量%)との積(Tg×W)の和も、併せて示した。
〔光沢度〕
日本電色社製のハンディグロスメーターPG−1Mを用いて、表層の光沢度を測定した。なお、光沢度は、80以上が好ましい。
〔光沢度のばらつき〕
各無端ベルトにおける光沢度のばらつきを評価した。すなわち、無端ベルトを軸方向に3ヶ所×周方向に4ヶ所の計12ヶ所を、日本電色社製のハンディグロスメーターPG−1Mを用いて測定し、その平均値を光沢度とし、測定値の最大値と最小値の差を光沢度のばらつきとして評価した。なお、光沢度のばらつきは、20未満が好ましい。
〔トナー転写性〕
無端ベルトを、複写機(リコー社製、イマジオMPC2500に組み込んで印刷した。評価は、画像に転写不良がないものを○、転写不良があるものを×とした。
〔機械耐久性(耐屈曲性)〕
JIS P8115に準じて、F olding Endurancetester MIT−D(東洋精機社製)を用い、荷重9.8Nの条件下、無端ベルトのMIT回数を測定した。このMIT回数は機械耐久性(耐屈曲性)の評価の指標となるものであり、このMIT回数が多いほど機械耐久性に優れていることを示す。評価は、MIT回数が15000回以上のものを○、MIT回数が15000回未満のものを×とした。
上記表1〜表3の結果から、いずれの実施例品も、充分な光沢度を持ち、ベルト表面における光沢度の均一化を図ることができ、機械的強度(屈曲耐久性)およびトナー転写性に優れていた。
これに対し、比較例1,4,5品は、積(Tg×W)の和が2500未満であるため、トナー転写性が劣っていた。比較例2,6,7品は、アクリル樹脂の含有比が小さいため、光沢度が小さく、光沢度のばらつきが大きかった。比較例3品は、アクリル樹脂の含有比が小さく、積(Tg×W)の和が5000を超えるため、光沢度のばらつきが大きく、機械耐久性も劣っていた。比較例8品は、アクリル樹脂の含有比が大きいため、トナー転写性が劣っていた。
本発明の電子写真機器用無端ベルトは、フルカラーLBP(レーザービームプリンター)やフルカラーPPC(プレーンペーパーコピア)等の電子写真技術を採用した電子写真機器において、中間転写ベルトや紙転写搬送ベルト等に好適に用いられる。
本発明の電子写真機器用無端ベルトの一例を示す部分断面図である。
符号の説明
1 基層
2 表層

Claims (3)

  1. 基層の外周面に表層が形成されてなる電子写真機器用無端ベルトであって、上記基層が、下記の(A)〜(C)を用いてなる変性ポリアミドイミド樹脂を含有するとともに、上記表層が、下記の(D)〜(F)を含有する表層用材料からなり、下記の(α)および(β)の特性を満たすことを特徴とする電子写真機器用無端ベルト。
    (A)芳香族イソシアネート化合物。
    (B)芳香族系多価カルボン酸の無水物。
    (C)カルボン酸両末端ポリマー。
    (D)少なくとも2種類のアクリル樹脂。
    (E)フッ素樹脂、変性アクリル樹脂およびシリコーン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一つ。
    (F)カーボンブラック。
    (α)上記(D)と(E)との混合比が、重量比で、(D)/(E)=80/20〜97/3の範囲である。
    (β)上記各アクリル樹脂(D)のガラス転移点と、上記(D)と(E)との合計量全体に占める各アクリル樹脂(D)の含有割合との積の和が、2500〜5000の範囲に設定されている。
  2. 上記(F)のカーボンブラックが、表面にポリマーがグラフトまたは被覆されてなるカーボンブラックである請求項1記載の電子写真機器用無端ベルト。
  3. 上記表層が、架橋剤を含有する表層用材料からなる請求項1または2記載の電子写真機器用無端ベルト。
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