JP4337649B2 - 半導電性シームレスベルト - Google Patents

半導電性シームレスベルト Download PDF

Info

Publication number
JP4337649B2
JP4337649B2 JP2004186409A JP2004186409A JP4337649B2 JP 4337649 B2 JP4337649 B2 JP 4337649B2 JP 2004186409 A JP2004186409 A JP 2004186409A JP 2004186409 A JP2004186409 A JP 2004186409A JP 4337649 B2 JP4337649 B2 JP 4337649B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
base layer
parts
layer
resin
seamless belt
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004186409A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006008803A (ja
Inventor
圭輔 所
明彦 加地
成輝 神田
智志 鈴木
洋介 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Riko Co Ltd filed Critical Sumitomo Riko Co Ltd
Priority to JP2004186409A priority Critical patent/JP4337649B2/ja
Priority to DE200510009796 priority patent/DE102005009796A1/de
Priority to US11/070,334 priority patent/US7662481B2/en
Priority to CN2005100531656A priority patent/CN1664718A/zh
Publication of JP2006008803A publication Critical patent/JP2006008803A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4337649B2 publication Critical patent/JP4337649B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Electrostatic Charge, Transfer And Separation In Electrography (AREA)

Description

本発明は、低コストで、耐久性に優れ、優れた画質が得られる半導電性シームレスベルトに関するものであり、詳しくはフルカラーLBP(レーザービームプリンター)やフルカラーPPC(プレーンペーパーコピア)等の電子写真技術を採用した電子写真機器において、中間転写ベルトや紙転写搬送ベルト等に用いられる半導電性シームレスベルトに関するものである。
一般に、フルカラーLBPやフルカラーPPC等の電子写真技術を採用した電子写真機器において、トナー像の転写用,紙転写搬送用,感光体基体用等の用途に、シームレスベルト(無端ベルト)が多用されている。このようなシームレスベルトとしては、例えば、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等のフッ素系樹脂,ポリカーボネート樹脂,ポリイミド樹脂等に、導電性カーボンブラックを配合したものを、ディッピング法,押出成形法,遠心成形法等の成形方法により、筒状フィルムに形成したものが用いられている(特許文献1〜3参照)。
しかし、上記フッ素系樹脂製ベルトは、電気特性には優れるものの、弾性率等のベルト物性が低く、コストが高くなるという難点がある。また、上記ポリカーボネート樹脂製ベルトは、コストが安いという利点はあるものの、通常、押出成形により形成されるため、電気抵抗のばらつきが大きく、屈曲性等のベルト物性に劣るという難点がある。また、上記ポリイミド樹脂製ベルトは、ベルト物性については特に問題はないものの、電気特性においてロット毎のばらつきが大きく、コストも高いという難点がある。そして、このようなベルト物性の低さ、電気抵抗のばらつきは、複写画像の画質の低下原因となる。
そこで、これらの問題を解決するため、ポリアミドイミド樹脂にカーボンブラックを含有させてなる半導電性管状ポリアミドイミドを、画像形成装置用転写ベルトに用いることが提案されている(特許文献4参照)。
特開2001−162691号公報 特開平10−10880号公報 特開2000−355432号公報 特開2003−261768号公報
しかしながら、上記特許文献4に記載のポリアミドイミド樹脂は、剛直な分子構造で構成されているため、剛性が高く、破断伸びが小さい。したがって、このようなポリアミドイミド樹脂を用いてなる画像形成装置用転写ベルトは、耐屈曲性が悪いため、耐久性に劣るという難点がある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、破断伸びが大きく、耐久性に優れた半導電性シームレスベルトの提供をその目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明の半導電性シームレスベルトは、少なくとも基層を備えた半導電性シームレスベルトであって、上記基層が、下記の(A)〜(C)を共重合させてなる変性ポリアミドイミド樹脂と、ポリエーテルスルホン樹脂とのブレンド材料を用いて形成されているという構成をとる。
(A)芳香族イソシアネート化合物。
(B)芳香族系多価カルボン酸の無水物。
(C)カルボン酸両末端ポリマー。
本発明者らは、破断伸びが大きく、耐久性に優れている半導電性シームレスベルトを得るため、鋭意研究を重ねた。その研究の過程で、芳香族イソシアネート化合物と、芳香族系多価カルボン酸の無水物と、カルボン酸両末端ポリマーとを共重合させてなる変性ポリアミドイミド樹脂を作製し、この変性ポリアミドイミド樹脂を用いて基層(ベース層)を形成すると好結果が得られることを突き止めた。すなわち、基層のみからなる単層、もしくは基層を含む2層以上の層からなる複層の半導電性シームレスベルトにおいて、上記カルボン酸両末端ポリマーを共重合させた変性ポリアミドイミド樹脂を用いて上記基層を形成すると、上記カルボン酸両末端ポリマーがソフトセグメント的な役割を果たして、ポリアミドイミド樹脂に柔軟性を付与するため、これを用いた半導電性シームレスベルトは、破断伸びが大きく、耐久性に優れることを見いだし、この半導電性シームレスベルトについて、先に特許出願した(特願2004−60740号)。本発明者らは、この特願2004−60740号の内容についてさらに改良を図るため研究を続けた結果、上記特定の変性ポリアミドイミド樹脂と、ポリエーテルスルホン樹脂とのブレンド材料を用いて上記基層を形成すると、破断伸びが大きく、耐久性に優れ、電気特性のばらつきが小さく、しかもカール癖特性に優れた半導電性シームレスベルトが得られることを見出し、本発明に到達した。
このように、本発明の半導電性シームレスベルトは、基層のみからなる単層、もしくは基層を含む2層以上の層からなる複層の半導電性シームレスベルトにおいて、上記基層が、上記変性ポリアミドイミド樹脂とポリエーテルスルホン樹脂とのブレンド材料を用いて形成されているため、破断伸びが大きく、耐久性に優れ、電気特性のばらつきが小さく、しかもカール癖特性にも優れるという効果が得られる。
また、上記基層の外周に、直接または他の層を介して、特殊な表層を形成すると、トナーによる傷つきや割れ等によるフィルミングの発生を防止できるとともに、転写効率の向上を図ることができる。
そして、上記基層の表面に、直接または他の層を介して、熱可塑性樹脂層もしくは表層を形成し、多層構造にすると、基層と、熱可塑性樹脂層もしくは表層とによって、表面抵抗と体積抵抗とを別々に制御することが可能となり、電気特性の制御が容易となるため、転写効率が向上する。
また、上記基層と表層との間に、ゴム弾性層を形成すると、柔軟性が向上するとともに、トナー量や紙の表面性に追従しやすくなり、トナーの転写効率がさらに向上する。
つぎに、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の半導電性シームレスベルトは、例えば、図1に示すように、基層1の外周面に表層2が直接形成されて構成されている。
本発明においては、半導電性シームレスベルトの基層1が、下記の(A)〜(C)を共重合(反応)させて得た変性ポリアミドイミド(PAI)樹脂と、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂とのブレンド材料を用いて形成されているのであって、これが最大の特徴である。
(A)芳香族イソシアネート化合物。
(B)芳香族系多価カルボン酸の無水物。
(C)カルボン酸両末端ポリマー。
ここで、本発明の半導電性シームレスベルトにおける「半導電性」とは、基層1の体積電気抵抗率が、104 〜1016Ω・cmの範囲内、好ましくは105 〜1013Ω・cmの範囲内にあることを意味する。なお、上記体積電気抵抗率は、Hiresta-UP MCP-HT450(三菱化学社製)と、HRSプロープ(三菱化学社製)とを用いて、100Vの電圧を印加した場合の値を示す。
上記変性ポリアミドイミド(PAI)樹脂の形成に用いる、上記(A)の芳香族系イソシアネート化合物としては、分子構造中に芳香族環を有する化合物であれば特に限定はないが、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、反応性、コスト、溶解性の点で、MDI、TODIが好適に用いられる。
また、上記(B)の芳香族系多価カルボン酸の無水物としては、分子構造中に芳香族環を有し、上記(A)の芳香族系イソシアネート化合物と縮合反応するものであれば特に限定はないが、例えば、トリメリット酸の無水物(無水トリメリット酸)や、ナフタレン−1,2,4−トリカルボン酸の無水物の他、ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸(ピロメリット酸)、ベンゾフェノン−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、ビフェニル−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸、ビフェニル−2,2′,3,3′−テトラカルボン酸、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸、ナフタレン−1,2,4,5−テトラカルボン酸、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、デカヒドロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸、2,6−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、2,7−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、2,3,6,7−テトラクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、フェナントレン−1,3,9,10−テトラカルボン酸、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、プロピレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)のような芳香族系多価カルボン酸の二無水物等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、反応性、コスト、溶解性等の点から、トリメリット酸の無水物(無水トリメリット酸)が好適に用いられる。なお、本発明においては、上記芳香族系多価カルボン酸の無水物とともに、芳香族系多価カルボン酸を併用しても差し支えない。
つぎに、上記(C)のカルボン酸両末端ポリマーは、例えば、ポリマーの末端にカルボン酸をそれぞれ1個有するものであれば特に限定はなく、例えば、カルボン酸両末端ポリブタジエン、カルボン酸両末端水素添加ポリブタジエン、カルボン酸両末端ポリエステル、カルボン酸両末端ポリアミド等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記ポリマーの両末端にカルボン酸を導入するために用いるカルボン酸としては、特に限定はなく、例えば、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記脂肪族カルボン酸としては、例えば、アジピン酸、セバシン酸、スベリン酸、シュウ酸、コハク酸、コルク酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等があげられる。また、上記芳香族カルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、クロルフタル酸、ニトロフタル酸等があげられる。
上記(C)のカルボン酸両末端ポリマーは、通常の製法に従って合成したポリブタジエン、水素添加ポリブタジエン、ポリエステル、ポリアミド等のポリマーの両末端に、上記のようなカルボン酸を導入することにより得ることができる。なお、上記ポリブタジエン、水素添加ポリブタジエン、ポリエステル、ポリアミド等のポリマーの合成法は、特に限定するものではない。例えば、ポリエステルやポリアミドは、第4版 実験化学講座28 高分子合成(日本化学会編、1992年、丸善株式会社発行)の第208頁〜第231頁および第252頁〜第287頁に記載の方法に準じて作製することができる。
上記(C)のカルボン酸両末端ポリマーのうち、カルボン酸両末端ポリエステルは、例えば、つぎのようにして作製することができる。すなわち、加熱装置、攪拌装置、還流装置、水分離器、蒸留塔および温度計を備えた反応槽に、アジピン酸やセバシン酸等のジカルボン酸と、メチルペンタンジオール,ノナンジオール,メチルオクタンジオール等のジオールとを仕込み、所定温度(例えば、220℃)まで所定時間(例えば、1時間)かけて昇温する。さらに所定温度(例えば、220℃)で縮重合反応を続けた後、所定温度(例えば、室温)まで冷却することにより、所望のカルボン酸両末端ポリエステルを得ることができる。
なお、他のカルボン酸両末端ポリマーも、上記製法に準じて適宜作製することができる。
このようにして得られるカルボン酸両末端ポリマーの酸価は、15〜150mgKOH/gの範囲内が好ましく、特に好ましくは45〜110mgKOH/gの範囲内である。
また、上記カルボン酸両末端ポリマーの数平均分子量(Mn)は、750〜7500の範囲内が好ましく、特に好ましくは数平均分子量(Mn)が1000〜2500の範囲内である。
上記(C)から誘導される構造単位の含有割合は、上記変性ポリアミドイミド樹脂全体の5〜30重量%の範囲内であることが好ましく、特に好ましくは15〜25重量%の範囲内である。すなわち、5重量%未満であると、耐久性が悪くなる傾向がみられ、逆に30重量%を超えると、クリープ率が悪化する傾向がみられるからである。
上記(A)の芳香族イソシアネート化合物のイソシアネート基の総モル数(a)と、(B)の芳香族系多価カルボン酸の無水物の酸無水物基とカルボキシル基との総モル数(b)、および(C)のカルボン酸両末端ポリマーのカルボキシル基の総モル数(c)の合計総モル数〔(b)+(c)〕とのモル混合比は、(a)/〔(b)+(c)〕=90/100〜130/100の範囲内が好ましく、特に好ましくは(a)/〔(b)+(c)〕=100/100〜120/100の範囲内である。すなわち、(a)/〔(b)+(c)〕の値が、上記上限または下限の範囲から外れると、ポリアミドイミド樹脂の分子量を高くすることが困難となり、耐久性が悪化する傾向がみられるからである。
ここで、上記(A)〜(C)を共重合させてなる変性PAI樹脂は、例えば、つぎのようにして調製することができる。すなわち、撹拌機、窒素導入管、温度計、冷却管を備えた反応容器を準備し、上記芳香族イソシアネート化合物と、無水トリメリット酸等の芳香族系多価カルボン酸の無水物と、カルボン酸両末端ポリエステル等のカルボン酸両末端ポリマーとを所定量配合し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP),N,N−ジメチルホルムアミド(DMF),N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC),γ−ブチロラクトン等の極性溶剤とを仕込み、窒素気流下、撹拌しながら所定時間(好ましくは、1〜3時間)かけて所定温度(好ましくは、130〜150℃)まで昇温する。つぎに、所定温度(好ましくは、130〜150℃)で所定時間(好ましくは、約3〜5時間)反応させた後、反応を停止することにより、変性PAI樹脂を調製することができる。
このようにして得られる変性PAI樹脂は、数平均分子量(Mn)が5,000〜100,000の範囲内が好ましく、特に好ましくはMnが10,000〜50,000の範囲内である。すなわち、PAI樹脂のMnが5,000未満であると、引き裂き強度が低くなり、耐久性が悪化し、逆にPAI樹脂のMnが100,000を超えると、溶液粘度が高くなり加工性が悪化する傾向がみられるからである。なお、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により測定することができる。
つぎに、上記特定の変性PAI樹脂とともに用いられるポリエーテルスルホン(PES)樹脂としては、芳香族環が、スルホニル基(−SO2 −)またはエーテル基(−O−)を介して結合された構造単位を繰り返し単位とするものであれば特に限定はない。上記PES樹脂は、このような構造単位を繰り返し単位として高分子化した固形ポリマーであって、熱によって可塑化し、押出成形等によってフィルム状に成形可能な高分子量体である。この熱による可塑化温度(軟化温度)は、重合度(n)により若干の差はあるものの、通常、200〜270℃程度の範囲内にある。
上記構造単位としては、特に限定はないが、下記の化学式(1)〜(3)で表される構造単位が好適に用いられる。上記PES樹脂としては、上記化学式(1)〜(3)で表される構造単位の1種を単独で繰り返し単位とするものに限定されず、上記化学式(1)〜(3)で表される構造単位の2種以上を繰り返し単位とするものであっても差し支えない。
上記化学式(1)で表される構造単位を繰り返し単位とするPES樹脂は、例えば、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホンと、4,4′−ジクロロジフェニルスルホンとの当モルを、有機極性溶媒中で混合し、通常、150〜350℃の加熱下で、縮合重合することによって合成することができる。
また、上記化学式(2)で表される構造単位を繰り返し単位とするPES樹脂は、4,4′−ジクロロフェニルスルホンと、1,4−ジヒドロキシフェニルとの当モルを、有機極性溶媒中で混合し、通常、150〜350℃の加熱下で、縮合重合することによって合成することができる。
さらに、上記化学式(3)で表される構造単位を繰り返し単位とするPES樹脂は、4,4′−ジクロロフェニルスルホンと、4,4−ジヒドロキシジフェニルとの当モルを、有機極性溶媒中で混合し、通常、150〜350℃の加熱下で、縮合重合することによって合成することができる。
上記有機極性溶媒としては、特に限定はないが、出発原料および合成したPES樹脂の双方を溶解可能であるものが好ましく、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等があげられる。
なお、上記化学式(3)で表される構造単位は、2つのフェニル基が直結されているものに限定されず、アルキレン基等を介して、2つのフェニル基が結合されていても差し支えない。
上記PES樹脂の数平均分子量(Mn)は、10,000〜500,000の範囲内が好ましく、特に好ましくは20,000〜400,000の範囲内である。
上記PES樹脂と、特定の変性PAI樹脂との混合比は、重量比で、PES樹脂/変性PAI樹脂=99/1〜1/99の範囲内が好ましく、特に好ましくはPES樹脂/変性PAI樹脂=90/10〜10/90の範囲内である。すなわち、PES樹脂と変性PAI樹脂との混合比は、この範囲内で要求特性に応じて最適な比率に設定され、例えば、小径ローラを配置したり、曲がり角が大きいベルトユニットに用いる場合には、カール癖特性が良くなるように、PES樹脂の割合が高くなるような比率に設定され、一方、耐久性が重視される場合には、靱性に富み、高引き裂き力が得られるように、変性PAI樹脂の割合が高くなるような比率に設定される。
なお、上記基層1の形成に用いる材料(基層用材料)としては、上記変性PAI樹脂およびPES樹脂とともに、導電性充填剤やリン含有ポリエスル系樹脂等を用いても差し支えない。また、上記基層用材料には、上記各成分とともに、DMF,DMAC,トルエン,アセトン,NMP等の有機溶剤や、炭酸カルシウム等の通常の充填剤を、必要に応じて含有させることも可能である。
上記導電性充填剤としては、特に限定はないが、例えば、カーボンブラック,グラファイト等の導電性粉末、アルミニウム粉末,ステンレス粉末等の金属粉末、導電性酸化亜鉛(c−ZnO),導電性酸化チタン(c−TiO2 ),導電性酸化鉄(c−Fe3 4 ),導電性酸化錫(c−SnO2 )等の導電性金属酸化物、第四級アンモニウム塩,リン酸エステル,スルホン酸塩,脂肪族多価アルコール,脂肪族アルコールサルフェート塩のようなイオン性導電剤等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
また、上記リン含有ポリエスル系樹脂としては、リン含有量がリン含有ポリエスル系樹脂全体の3〜15重量%の範囲内にあるものが好ましく、特に好ましくはリン含有量が5〜10重量%の範囲内にあるものである。上記リン含有量がこのような範囲内にあると、難燃性が向上するため好ましい。
上記基層用材料は、例えば、前記変性PAI樹脂と、PES樹脂と、導電性充填剤と、有機溶剤と、充填剤とを必要に応じて適宜に配合し、撹拌羽根で混合した後、リングミル,ボールミル,サンドミル等を用いて分散させることにより調製することができる。
つぎに、基層1の外周面に形成される表層2用材料としては、特に限定はないが、表層2の鉛筆硬度がB〜5Hの範囲内にあり、かつ、純水の接触角が80〜120°の範囲内にあるような材料が好ましく、より好ましくは鉛筆硬度がF〜2Hの範囲内で、かつ、純水の接触角が100〜120°の範囲内にある材料が用いられる。すなわち、表層2の鉛筆硬度がB未満であると、トナーが表層2を傷つけ、フィルミングが発生し、逆に鉛筆硬度が5Hを超えると、表層2が割れ易くなり、割れた部分からフィルミングが発生するおそれがあるからである。また、純水の接触角が80°未満であると、2次転写後クリーニング不良が発生するからであり、逆に接触角が120°を超えると、1次転写の転写効率が悪化するからである。
なお、上記鉛筆硬度は、JIS K5600−5−4の鉛筆ひっかき値に準じて測定した値である。また、上記接触角は、JIS R3257に準じて測定した値である。
なお、上記表層2の厚みは、0.1〜20μmの範囲内が好ましく、特に好ましくは0.5〜10μmの範囲内である。すなわち、表層2の厚みが0.1μm未満であると、表層2の機能が充分に発揮されず、基層1にキズがつきやすくなり、逆に表層2の厚みが20μmを超えると、変形(ロールの曲率)に追従できず、表層2が割れ易くなり、フィルミングが発生するおそれがあるからである。
このような表層2用材料としては、具体的には、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、通常作業性を考慮して、液状または溶剤可溶タイプが好適に用いられる。また、汚れ防止、塗膜強度、あるいは密着性を向上させる目的で、前記樹脂材料を変性したものを用いてもよく、例えば、変性アクリル系樹脂があげられる。この変性アクリル系樹脂としては、アクリル樹脂の分子構造を母体とし、他の樹脂ないし樹脂成分で変性されたものであれば特に限定はないが、シリコーン変性アクリル系樹脂が好適に用いられる。
上記シリコーン変性アクリル系樹脂としては、例えば、シリコーングラフトアクリル系樹脂があげられる。このシリコーングラフトアクリル系樹脂としては、アクリル系樹脂(主鎖)にシリコーン系樹脂がグラフト重合したものであれば特に限定するものではない。このシリコーングラフトアクリル系樹脂の具体例としては、東亞合成社製のサイマックUS−380等があげられる。
なお、上記表層用材料としては、前記樹脂材料に対して、イソシアネート樹脂,アミノ樹脂,フェノール樹脂,キシレン樹脂等の樹脂架橋剤を用いて、樹脂架橋を施した材料や、感光性モノマーまたはポリマーに光重合開始剤を混合した紫外線硬化型材料を用いても差し支えない。
上記表層用材料は、例えば、変性アクリル系樹脂と、DMF,トルエン,アセトン等の有機溶剤とを適宜に配合し、撹拌羽根で混合することにより調製することができる。なお、各層を精度良く形成するためには、隣接する層の形成材料に用いる有機溶剤は、互いに異なった種類のものを使用することが好ましい。すなわち、表層用材料に用いる有機溶剤と、基層用材料に用いる有機溶剤とは、互いに異なった種類のものを使用することが好ましい。
ここで、前記図1に示した、本発明の半導電性シームレスベルトは、例えばつぎのようにして作製することができる。すなわち、前記と同様にして、基層用材料を調製し、これを金型(円筒形基体)の表面にスプレーコーティングする。ついで、これを150〜300℃で3〜6時間乾燥することにより、金型の表面に基層1を形成する。つぎに、この基層1の表面に、前記と同様にして調製した表層用材料を、ディッピング法にてコーティングし乾燥した後、基層1と円筒形基体との間にエアーを吹き付けることにより、円筒形基体を抜き取り、基層1の表面に、表層2が形成されてなる2層構造のシームレスベルト(図1参照)を作製することができる。
また、本発明の半導電性シームレスベルトは、例えばつぎのようにして作製することもできる。すなわち、前記と同様にして、基層1用材料(基層1用塗料)を調製するとともに、金型となる円筒形基体と、ノズルとを準備する。つぎに、上記円筒形基体を周方向に回転させながら、上記円筒形基体の外周面に近接させたノズルから、上記円筒形基体に向かって基層1用塗料を吐出する。これにより、円筒形基体の外周面上に、らせん状塗膜の連続による全体塗膜からなる基層1を形成する。つぎに、この基層1の表面に、前記と同様にして調製した表層2用材料を、ディッピング法にてコーティングし乾燥した後、基層1と円筒形基体との間にエアー吹き付け等することにより、円筒形基体を抜き取り、基層1の表面に、表層2が形成されてなる2層構造のシームレスベルト(図1参照)を作製することができる。
なお、本発明の半導電性シームレスベルトの基層1は、上記製法に限定されるものではなく、例えば、押出成形法、インフレーション法、ブロー成形法、ディッピング法、遠心成形法等により、作製することも可能である。また、本発明の半導電性シームレスベルトの表層2も、上記製法に限定されるものではなく、例えば、ノズルを用いてらせん状にコーティングする方法、スプレーコーティング法、押出成形法、インフレーション法、ブロー成形法、遠心成形法等により、作製することも可能である。そして、上記表層2の形成を省略することにより、基層1のみからなる単層構造のシームレスベルトを作製することができる。
本発明の半導電性シームレスベルトの各層の厚みは、ベルトの用途に応じて適宜に設定されるが、基層1の厚みは、通常、30〜300μmの範囲内であり、好ましくは50〜200μmの範囲内である。また、表層2の厚みは、0.1〜20μmの範囲内が好ましく、特に好ましくは0.5〜10μmの範囲内である。また、本発明の半導電性シームレスベルトは、内周長が90〜1500mmで、幅が100〜500mm程度のものが好ましい。すなわち、上記寸法の範囲内に設定すると、電子写真複写機等に組み込んで使用するのに適した大きさとなるからである。
なお、本発明の半導電性シームレスベルトは、少なくとも基層1を備えた構造であればよく、前記図1に示したような、基層1の外周面に表層2を直接形成した2層構造に限定されるものではない。本発明の半導電性シームレスベルトは、例えば、基層1のみからなる単層構造、基層1と表層2との間に、熱可塑性樹脂層もしくはゴム弾性層を介在させた3層構造、基層1と表層2との間に、熱可塑性樹脂層およびゴム弾性層の双方を介在させた4層構造等であっても差し支えない。ただし、これらの場合において、上記基層1は、前述の変性PAI樹脂とPES樹脂とのブレンド材料を用いて形成されている必要がある。
この場合、上記基層1と表層2との間に介在させる熱可塑性樹脂層用材料としては、特に限定はないが、熱可塑性樹脂とともに、必要に応じて、メチルエチルケトン(MEK),トルエン等の溶剤等が用いられる。なお、この熱可塑性樹脂層用材料中にも、先に述べたような、導電性充填剤を配合しても差し支えない。
また、上記熱可塑性樹脂としては、特に限定はなく、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF),テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA),エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート(PC)系樹脂、ポリアミド系樹脂、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)系樹脂、EEA(エチレン−アクリル酸エチル共重合体)系樹脂等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、難燃性に優れる点で、PVDF等のフッ素系樹脂を用いることが好ましい。
そして、上記基層1と表層2との間に、熱可塑性樹脂層が形成されてなる3層構造の半導電性シームレスベルトは、例えば、つぎのようにして作製することができる。すなわち、前記と同様にして、基層1を形成した後、上記熱可塑性樹脂層用材料をスプレーコーティング等する。ついで、これを加熱乾燥して、溶剤を除去し、基層1の表面に熱可塑性樹脂層を形成する。つぎに、この熱可塑性樹脂層の表面に、前記と同様にして、表層2を形成することにより、基層1の表面に熱可塑性樹脂層が形成され、さらにその表面に表層2が形成されてなる3層構造のシームレスベルトを作製することができる。
上記熱可塑性樹脂層の厚みは、通常、10〜200μmの範囲内であり、好ましくは10〜100μmの範囲内である。
また、上記基層1と表層2との間に介在させるゴム弾性層用材料としては、ゴム材および加硫剤とともに、必要に応じて、加硫促進剤、溶剤、加工助剤、老化防止剤等が用いられる。なお、このゴム弾性層用材料中にも、先に述べたような、導電性充填剤を配合しても差し支えない。
上記ゴム材としては、特に限定はないが、難燃性の観点から、塩素化ポリエチレンゴム(CPE)、クロロプレンゴム(CR)等が用いられる。これらのなかで、各中間転写ベルトに要求される電気特性、弾力性、耐久性に合わせて最適材料が選定される。
そして、上記基層1と表層2との間に、ゴム弾性層が形成されてなる3層構造の半導電性シームレスベルトは、例えば、つぎのようにして作製することができる。すなわち、前記と同様にして、基層1を形成した後、ゴム弾性層用材料をスプレーコーティング等して、基層1の表面にゴム弾性層を形成する。つぎに、このゴム弾性層の表面に、前記と同様にして、表層2を形成することにより、基層1の表面にゴム弾性層が形成され、さらにその表面に表層2が形成されてなる3層構造のシームレスベルトを作製することができる。
上記ゴム弾性層の厚みは、通常、10〜200μmの範囲内であり、好ましくは10〜100μmの範囲内である。
また、上記基層1と表層2との間に、熱可塑性樹脂層およびゴム弾性層が順次形成されてなる4層構造の半導電性シームレスベルトは、例えば、つぎのようにして作製することができる。すなわち、前記と同様にして、基層1を形成した後、上記熱可塑性樹脂層用材料をスプレーコーティング等する。ついで、これを加熱乾燥して、溶剤を除去し、基層1の表面に熱可塑性樹脂層を形成する。つぎに、この熱可塑性樹脂層の表面に、ゴム弾性層用材料をスプレーコーティング等して、ゴム弾性層を形成する。つぎに、このゴム弾性層の表面に、前記と同様にして、表層2を形成することにより、基層1の表面に熱可塑性樹脂層が形成され、その表面にゴム弾性層が形成され、さらにその表面に表層2が形成されてなる4層構造のシームレスベルトを作製することができる。
本発明の半導電性シームレスベルトは、フルカラーLBPやフルカラーPPC等の電子写真技術を採用した電子写真機器において、トナー像の転写用,紙転写搬送用,感光体基体用等の用途に好適に用いられるが、これに限定するものではなく、例えば、フルカラーではない、単色の電子写真複写機の転写ベルト等にも使用することができる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
〔実施例1〕
〔基層用材料の調製〕
(a) PAI−NMP溶液の調製
撹拌機、窒素導入管、温度計、冷却管を備えた反応容器に、MDI(日本ポリウレタン工業社製、ミリオネートMT、Mn:250.06)22重量部(以下「部」と略す)と、TODI(日本曹達社製、TODI/R203、Mn:264.29)29部と、無水トリメリット酸(Mn:192.12)36部と、カルボン酸両末端ポリブタジエン(日本曹達社製、C−1000、酸価:52mgKOH/g、Mn:2158)20部と、NMP溶剤250部とを仕込み、窒素気流下、撹拌しながら1時間かけて130℃まで昇温し、そのまま130℃で約5時間反応させた後反応を停止し、PAI−NMP溶液(固形分濃度:26重量%)を調製した。
(b) 前記化学式(1)で表される構造単位を繰り返し単位とするPES樹脂(PES粉末)を準備した。
(c) 導電剤分散液の調製
リングミル内にNMP溶剤100部を入れ、攪拌しながらカーボンブラック(三菱化学社製、♯5110B)10部を少量ずつ添加した。そして、カーボンブラックを全量投入した後、分散を開始し、約10時間分散を行い、導電剤分散液を調製した。
(d) 基層用材料の混合調製
上記PAI−NMP溶液(固形分濃度:26重量%)308部(PAIを固形分で80部)と、上記PES樹脂(PES粉末)20部と、上記導電剤分散液50部と、NMP溶剤100部とを配合し、約5時間撹拌羽根で混合した後、ボールミル分散させて基層用材料を調製した。
〔表層用材料の調製〕
シリコーングラフトアクリル系樹脂(東亞合成社製、サイマックUS−380)100部と、トルエン溶剤500部とを配合し、撹拌羽根で混合して、表層用材料を調製した。
〔シームレスベルトの作製〕
金型(円筒形基体)を準備し、この表面に上記基層用材料をスプレーコーティングして、金型の表面に基層を形成し、250℃で2時間加熱処理をした。つぎに、この基層の表面に、上記表層用材料をディッピング法にてコーティングし、乾燥した後、基層と円筒形基体との間にエアーを吹き付けることにより、円筒形基体を抜き取り、基層(厚み:80μm)の表面に、表層(厚み:1μm)が形成されてなる2層構造のシームレスベルトを作製した。
〔実施例2〕
上記PAI−NMP溶液(固形分濃度:26重量%)の配合量を192部(PAIを固形分で50部)に変更するとともに、前記化学式(1)で表される構造単位を繰り返し単位とするPES樹脂(PES粉末)の配合量を50部に、NMP溶剤の配合量を180部に変更する以外は、実施例1と同様にして、基層用材料を調製した。そして、この基層用材料を用いる以外は、実施例1と同様にして、シームレスベルトを作製した。
〔実施例3〕
上記PAI−NMP溶液(固形分濃度:26重量%)の配合量を77部(PAIを固形分で20部)に変更するとともに、前記化学式(1)で表される構造単位を繰り返し単位とするPES樹脂(PES粉末)の配合量を80部に、NMP溶剤の配合量を270部に変更する以外は、実施例1と同様にして、基層用材料を調製した。そして、この基層用材料を用いる以外は、実施例1と同様にして、シームレスベルトを作製した。
〔実施例4〕
無水トリメリット酸の配合量を35部に変更するとともに、カルボン酸両末端ポリブタジエン(日本曹達社製、C−1000)に代えて、カルボン酸両末端水素添加ポリブタジエン(日本曹達社製、CI−1000、酸価:59mgKOH/g、Mn:1902)を用いる以外は、実施例1と同様にして、基層用材料を調製した。そして、この基層用材料を用いる以外は、実施例1と同様にして、シームレスベルトを作製した。
〔実施例5〕
無水トリメリット酸の配合量を34部に変更するとともに、カルボン酸両末端ポリブタジエン(日本曹達社製、C−1000)に代えて、カルボン酸両末端ポリエステル(日本化成社製、クロバックス300−8S、酸価:103mgKOH/g、Mn:1089)を用いる以外は、実施例1と同様にして、基層用材料を調製した。そして、この基層用材料を用いる以外は、実施例1と同様にして、シームレスベルトを作製した。
〔実施例6〕
カルボン酸両末端ポリブタジエン(日本曹達社製、C−1000)に代えて、C36のダイマー酸(C18の不飽和脂肪酸の2量体を主成分とする)と、ヘキサメチレンジアミンとからなるカルボン酸両末端ポリアミド(酸価:38.0mgKOH/g、分子量:2953)を用いる以外は、実施例1と同様にして、基層用材料を調製した。そして、この基層用材料を用いる以外は、実施例1と同様にして、シームレスベルトを作製した。
〔実施例7〕
〔基層用材料の調製〕
(a) PAI−NMP溶液の調製
撹拌機、窒素導入管、温度計、冷却管を備えた反応容器に、MDI(日本ポリウレタン工業社製、ミリオネートMT、Mn:250.06)22部と、TODI(日本曹達社製、TODI/R203、Mn:264.29)29部と、無水トリメリット酸37部と、カルボン酸両末端ポリエステル(日本化成社製、クロバックス300−8S、酸価:103mgKOH/g、Mn:1089)5部と、NMP溶剤220部とを仕込み、窒素気流下、撹拌しながら1時間かけて130℃まで昇温し、そのまま130℃で約5時間反応させた後反応を停止し、PAI−NMP溶液(固形分濃度:26重量%)を調製した。
(b) 前記化学式(1)で表される構造単位を繰り返し単位とするPES樹脂(PES粉末)を準備した。
(c) 導電剤分散液の調製
リングミル内にNMP溶剤100部を入れ、攪拌しながらカーボンブラック(三菱化学社製、♯5110B)10部を少量ずつ添加した。そして、カーボンブラックを全量投入した後、分散を開始し、約10時間分散を行い、導電剤分散液を調製した。
(d) 基層用材料の混合調製
上記PAI−NMP溶液(固形分濃度:26重量%)308部(PAIを固形分で80部)と、上記PES樹脂(PES粉末)20部と、上記導電剤分散液50部と、NMP溶剤100部とを配合し、約5時間撹拌羽根で混合した後、ボールミル分散させて基層用材料を調製した。
〔シームレスベルトの作製〕
上記基層用材料を用いる以外は、実施例1と同様にして、基層(厚み:80μm)の表面に、表層(厚み:1μm)が形成されてなる2層構造のシームレスベルトを作製した。
〔実施例8〕
〔基層用材料の調製〕
(a) PAI−NMP溶液の調製
撹拌機、窒素導入管、温度計、冷却管を備えた反応容器に、MDI(日本ポリウレタン工業社製、ミリオネートMT、Mn:250.06)22部と、TODI(日本曹達社製、TODI/R203、Mn:264.29)29部と、無水トリメリット酸31部と、カルボン酸両末端ポリエステル(日本化成社製、クロバックス300−8S、酸価:103mgKOH/g、Mn:1089)35部と、NMP溶剤280部とを仕込み、窒素気流下、撹拌しながら1時間かけて130℃まで昇温し、そのまま130℃で約5時間反応させた後反応を停止し、PAI−NMP溶液(固形分濃度:26重量%)を調製した。
(b) 前記化学式(1)で表される構造単位を繰り返し単位とするPES樹脂(PES粉末)を準備した。
(c) 導電剤分散液の調製
リングミル内にNMP溶剤100部を入れ、攪拌しながらカーボンブラック(三菱化学社製、♯5110B)10部を少量ずつ添加した。そして、カーボンブラックを全量投入した後、分散を開始し、約10時間分散を行い、導電剤分散液を調製した。
(d) 基層用材料の混合調製
上記PAI−NMP溶液(固形分濃度:26重量%)308部(PAIを固形分で80部)と、前記化学式(1)で表される構造単位を繰り返し単位とするPES樹脂(PES粉末)20部と、上記導電剤分散液50部と、NMP溶剤100部とを配合し、約5時間撹拌羽根で混合した後、ボールミル分散させて基層用材料を調製した。
〔シームレスベルトの作製〕
上記基層用材料を用いる以外は、実施例1と同様にして、基層(厚み:80μm)の表面に、表層(厚み:1μm)が形成されてなる2層構造のシームレスベルトを作製した。
〔実施例9〕
〔基層用材料の調製〕
(a) PAI−NMP溶液の調製
撹拌機、窒素導入管、温度計、冷却管を備えた反応容器に、MDI(日本ポリウレタン工業社製、ミリオネートMT、Mn:250.06)22部と、TODI(日本曹達社製、TODI/R203、Mn:264.29)29部と、無水トリメリット酸34部と、カルボン酸両末端ポリエステル(日本化成社製、クロバックス300−8S、酸価:103mgKOH/g、Mn:1089)20部と、NMP溶剤270部とを仕込み、窒素気流下、撹拌しながら1時間かけて130℃まで昇温し、そのまま130℃で約5時間反応させた後反応を停止し、PAI−NMP溶液(固形分濃度:26重量%)を調製した。
(b) 前記化学式(1)で表される構造単位を繰り返し単位とするPES樹脂(PES粉末)を準備した。
(c) 導電剤分散液の調製
リングミル内にNMP溶剤100部を入れ、攪拌しながらカーボンブラック(三菱化学社製、♯5110B)10部を少量ずつ添加した。そして、カーボンブラックを全量投入した後、分散を開始し、約10時間分散を行い、導電剤分散液を調製した。
(d) リン含有ポリエステルの調製
ジメチルフタレート65部、エチレングリコール290部および下記の構造式(4)で表されるホスフィン酸誘導体125部、触媒としてジメチルテレフタレートおよびホスフィン酸誘導体に対し0.1重量%の酢酸マンガン、0.5重量%の酢酸リチウムおよび0.03重量%の三酸化アンチモンを混合し、常圧で160〜220℃で3時間加熱してエステル交換反応を行い、ほぼ理論量のメタノールを留去し、ついで系の温度を250℃とし、圧力を徐々に減じ133Pa以下にし、6時間反応させて重量平均分子量9000、リン含有量5.5重量%のリン含有ポリエステルを得た。
(e) 基層用材料の混合調製
上記PAI−NMP溶液(固形分濃度:26重量%)308部(PAIを固形分で80部)と、上記PES樹脂(PES粉末)20部と、上記導電剤分散液50部と、上記リン含有ポリエステル(リン含有量5.5重量%)8部と、NMP溶剤130部とを配合し、約5時間撹拌羽根で混合した後、ボールミル分散させて基層用材料を調製した。
〔シームレスベルトの作製〕
上記基層用材料を用いる以外は、実施例1と同様にして、基層(厚み:80μm)の表面に、表層(厚み:1μm)が形成されてなる2層構造のシームレスベルトを作製した。
〔実施例10〕
〔基層用材料の調製〕
(a) PAI−NMP溶液の調製
撹拌機、窒素導入管、温度計、冷却管を備えた反応容器に、MDI(日本ポリウレタン工業社製、ミリオネートMT、Mn:250.06)22部と、TODI(日本曹達社製、TODI/R203、Mn:264.29)29部と、無水トリメリット酸37部と、カルボン酸両末端ポリエステル(日本化成社製、クロバックス300−8S、酸価:103mgKOH/g、Mn:1089)3部と、NMP溶剤220部とを仕込み、窒素気流下、撹拌しながら1時間かけて130℃まで昇温し、そのまま130℃で約5時間反応させた後反応を停止し、PAI−NMP溶液(固形分濃度:25重量%)を調製した。
(b) 前記化学式(1)で表される構造単位を繰り返し単位とするPES樹脂(PES粉末)を準備した。
(c) 導電剤分散液の調製
リングミル内にNMP溶剤100部を入れ、攪拌しながらカーボンブラック(三菱化学社製、♯5110B)10部を少量ずつ添加した。そして、カーボンブラックを全量投入した後、分散を開始し、約10時間分散を行い、導電剤分散液を調製した。
(d) 基層用材料の混合調製
上記PAI−NMP溶液(固形分濃度:26重量%)308部(PAIを固形分で80部)と、前記化学式(1)で表される構造単位を繰り返し単位とするPES樹脂(PES粉末)20部と、上記導電剤分散液50部と、NMP溶剤100部とを配合し、約5時間撹拌羽根で混合した後、ボールミル分散させて基層用材料を調製した。
〔シームレスベルトの作製〕
上記基層用材料を用いる以外は、実施例1と同様にして、基層(厚み:80μm)の表面に、表層(厚み:1μm)が形成されてなる2層構造のシームレスベルトを作製した。
〔実施例11〕
〔基層用材料の調製〕
(a) PAI−NMP溶液の調製
撹拌機、窒素導入管、温度計、冷却管を備えた反応容器に、MDI(日本ポリウレタン工業社製、ミリオネートMT、Mn:250.06)20部と、TODI(日本曹達社製、TODI/R203、Mn:264.29)25部と、無水トリメリット酸34部と、カルボン酸両末端ポリエステル(日本化成社製、クロバックス300−8S、酸価:103mgKOH/g、Mn:1089)20部と、NMP溶剤240部とを仕込み、窒素気流下、撹拌しながら1時間かけて130℃まで昇温し、そのまま130℃で約5時間反応させた後反応を停止し、PAI−NMP溶液(固形分濃度:26重量%)を調製した。
(b) 前記化学式(1)で表される構造単位を繰り返し単位とするPES樹脂(PES粉末)を準備した。
(c) 導電剤分散液の調製
リングミル内にNMP溶剤100部を入れ、攪拌しながらカーボンブラック(三菱化学社製、♯5110B)10部を少量ずつ添加した。そして、カーボンブラックを全量投入した後、分散を開始し、約10時間分散を行い、導電剤分散液を調製した。
(d) 基層用材料の混合調製
上記PAI−NMP溶液(固形分濃度:26重量%)308部(PAIを固形分で80部)と、上記PES樹脂(PES粉末)20部と、上記導電剤分散液50部と、NMP溶剤100部とを配合し、約5時間撹拌羽根で混合した後、ボールミル分散させて基層用材料を調製した。
〔シームレスベルトの作製〕
上記基層用材料を用いる以外は、実施例1と同様にして、基層(厚み:80μm)の表面に、表層(厚み:1μm)が形成されてなる2層構造のシームレスベルトを作製した。
〔実施例12〕
〔基層用材料の調製〕
(a) PAI−NMP溶液の調製
撹拌機、窒素導入管、温度計、冷却管を備えた反応容器に、MDI(日本ポリウレタン工業社製、ミリオネートMT、Mn:250.06)29部と、TODI(日本曹達社製、TODI/R203、Mn:264.29)37部と、無水トリメリット酸34部と、カルボン酸両末端ポリエステル(日本化成社製、クロバックス300−8S、酸価:103mgKOH/g、Mn:1089)20部と、NMP溶剤300部とを仕込み、窒素気流下、撹拌しながら1時間かけて130℃まで昇温し、そのまま130℃で約5時間反応させた後反応を停止し、PAI−NMP溶液(固形分濃度:26重量%)を調製した。
(b) 前記化学式(1)で表される構造単位を繰り返し単位とするPES樹脂(PES粉末)を準備した。
(c) 導電剤分散液の調製
リングミル内にNMP溶剤100部を入れ、攪拌しながらカーボンブラック(三菱化学社製、♯5110B)10部を少量ずつ添加した。そして、カーボンブラックを全量投入した後、分散を開始し、約10時間分散を行い、導電剤分散液を調製した。
(d) 基層用材料の調製
上記PAI−NMP溶液(固形分濃度:26重量%)308部(PAIを固形分で80部)と、上記PES樹脂(PES粉末)20部と、上記導電剤分散液50部と、NMP溶剤100部とを配合し、約5時間撹拌羽根で混合した後、ボールミル分散させて基層用材料を調製した。
〔シームレスベルトの作製〕
上記基層用材料を用いる以外は、実施例1と同様にして、基層(厚み:80μm)の表面に、表層(厚み:1μm)が形成されてなる2層構造のシームレスベルトを作製した。
〔実施例13〕
〔表層用材料の調製〕
シリコーン樹脂(東レ社製、SR2410)100部と、n−ヘキサン400部とを配合し、撹拌羽根で混合して、表層用材料を調製した。
〔シームレスベルトの作製〕
上記表層用材料を用いる以外は、実施例1と同様にして、基層(厚み:80μm)の表面に、表層(厚み:1μm)が形成されてなる2層構造のシームレスベルトを作製した。
〔実施例14〕
シリコーン樹脂(東レ社製、SR2316)100部と、n−ヘキサン400部とを配合し、撹拌羽根で混合して、表層用材料を調製した。
〔シームレスベルトの作製〕
上記表層用材料を用いる以外は、実施例1と同様にして、基層(厚み:80μm)の表面に、表層(厚み:1μm)が形成されてなる2層構造のシームレスベルトを作製した。
〔実施例15〕
〔表層用材料の調製〕
シリコーン樹脂(信越化学工業社製、X−41−7001)を固形分で100部と、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート22部と、酸化チタン10部と、純水500部とを配合し、撹拌羽根で混合して、表層用材料を調製した。
〔シームレスベルトの作製〕
上記表層用材料を用いる以外は、実施例1と同様にして、基層(厚み:80μm)の表面に、表層(厚み:1μm)が形成されてなる2層構造のシームレスベルトを作製した。
〔実施例16〕
〔表層用材料の調製〕
フッ素系共重合体樹脂(旭硝子社製、ルミフロン200)を固形分で100部と、四フッ化エチレン樹脂(ダイキン工業社製、ルブロン−5)15部と、トルエン500部とを配合し、撹拌羽根で混合して、表層用材料を調製した。
〔シームレスベルトの作製〕
上記表層用材料を用いる以外は、実施例1と同様にして、基層(厚み:80μm)の表面に、表層(厚み:1μm)が形成されてなる2層構造のシームレスベルトを作製した。
〔実施例17〕
〔熱可塑性樹脂層用材料の調製〕
PVDF樹脂(ダイキン工業社製、VT−100)100部と、カーボンブラック(三菱化学社製、♯5110B)10部と、アセトン溶剤500部とを配合して撹拌羽根で混合し、ボールミルを用いて分散させた後、再度アセトン溶剤を追加して熱可塑性樹脂層用材料を調製した。
〔シームレスベルトの作製〕
実施例1と同様にして基層を形成した後、上記熱可塑性樹脂層用材料をスプレーコーティングした。ついで、これを加熱乾燥して、溶剤を除去し、基層の表面に熱可塑性樹脂層を形成した。つぎに、この熱可塑性樹脂層の表面に、実施例1と同様にして、表層を形成し、基層(厚み:70μm)の表面に熱可塑性樹脂層(厚み:20μm)が形成され、さらにその表面に表層(厚み:1μm)が形成されてなる3層構造のシームレスベルトを作製した。
〔実施例18〕
〔弾性層用材料の調製〕
クロロプレンゴム(電気化学工業社製、デンカクロロプレンA−30)100部と、加硫剤(三新化学工業社製、サンセラー22C)1.5部と、カーボンブラック(ケッチェンブラックインターナショナル社製、ケッチェンEC)2部とを混練りした後、MEK溶剤に溶解し、弾性層用材料を調製した。
〔シームレスベルトの作製〕
実施例1と同様にして基層を形成した後、上記弾性層用材料をスプレーコーティングし、基層の表面に弾性層を形成した。つぎに、この弾性層の表面に、実施例1と同様にして、表層を形成し、基層(厚み:70μm)の表面に弾性層(厚み:20μm)が形成され、さらにその表面に表層(厚み:1μm)が形成されてなる3層構造のシームレスベルトを作製した。
〔実施例19〕
〔熱可塑性樹脂層用材料の調製〕
PVDF樹脂(ダイキン工業社製、VT−100)100部と、カーボンブラック(三菱化学社製、♯5110B)10部と、アセトン溶剤500部とを配合して撹拌羽根で混合し、ボールミルを用いて分散させた後、再度アセトン溶剤を追加して熱可塑性樹脂層用材料を調製した。
〔弾性層用材料の調製〕
クロロプレンゴム(電気化学工業社製、デンカクロロプレンA−30)100部と、加硫剤(三新化学工業社製、サンセラー22C)1.5部と、カーボンブラック(ケッチェンブラックインターナショナル社製、ケッチェンEC)2部とを混練りした後、MEK溶剤に溶解し、弾性層用材料を調製した。
〔シームレスベルトの作製〕
実施例1と同様にして基層を形成した後、上記熱可塑性樹脂層用材料をスプレーコーティングした。ついで、これを加熱乾燥して、溶剤を除去し、基層の表面に熱可塑性樹脂層を形成した。つぎに、この熱可塑性樹脂層の表面に、上記弾性層用材料をスプレーコーティングし、熱可塑性樹脂層の表面に弾性層を形成した。つぎに、この弾性層の表面に、実施例1と同様にして、表層を形成した。このようにして、基層(厚み:70μm)の表面に熱可塑性樹脂層(厚み:20μm)が形成され、その表面に弾性層(厚み:20μm)が形成され、さらにその表面に表層(厚み:1μm)が形成されてなる4層構造のシームレスベルトを作製した。
〔実施例20〕
上記PAI−NMP溶液(固形分濃度:26重量%)の配合量を381部(PAIを固形分で99部)に変更するとともに、前記化学式(1)で表される構造単位を繰り返し単位とするPES樹脂(PES粉末)の配合量を1部に、NMP溶剤の配合量を40部に変更する以外は、実施例1と同様にして、基層用材料を調製した。そして、この基層用材料を用いる以外は、実施例1と同様にして、シームレスベルトを作製した。
〔実施例21〕
上記PAI−NMP溶液(固形分濃度:26重量%)の配合量を約4部(PAIを固形分で約1部)に変更するとともに、前記化学式(1)で表される構造単位を繰り返し単位とするPES樹脂(PES粉末)の配合量を99部に、NMP溶剤の配合量を320部に変更する以外は、実施例1と同様にして、基層用材料を調製した。そして、この基層用材料を用いる以外は、実施例1と同様にして、シームレスベルトを作製した。
〔比較例1〕
〔基層用材料の調製〕
カルボン酸両末端ポリマーを配合しない以外は、実施例に準じて、基層用材料を調製した。すなわち、撹拌機、窒素導入管、温度計、冷却管を備えた反応容器に、MDI(日本ポリウレタン工業社製、ミリオネートMT、Mn:250.06)22部と、TODI(日本曹達社製、TODI/R203、Mn:264.29)29部と、無水トリメリット酸37部と、NMP溶剤200部とを仕込み、窒素気流下、撹拌しながら1時間かけて130℃まで昇温し、そのまま130℃で約5時間反応させた後反応を停止し、PAI−NMP溶液(固形分濃度:26重量%)を調製した。つぎに、このPAI−NMP溶液に、カーボンブラック(三菱化学社製、♯5110B)4部を配合し、撹拌羽根で混合した後、ボールミル分散させて基層用材料を調製した。
〔シームレスベルトの作製〕
上記基層用材料を用いる以外は、実施例1と同様にして、基層(厚み:80μm)の表面に、表層(厚み:1μm)が形成されてなる2層構造のシームレスベルトを作製した。
〔比較例2〕
〔基層用材料の調製〕
(a) 導電剤分散液の調製
リングミル内にNMP溶剤100部を入れ、攪拌しながらカーボンブラック(三菱化学社製、♯5110B)10部を少量ずつ添加した。そして、カーボンブラックを全量投入した後、分散を開始し、約10時間分散を行い、導電剤分散液を調製した。
(b) 基層用材料の調製
前記化学式(1)で表される構造単位を繰り返し単位とするPES樹脂(PES粉末)100部と、上記導電剤分散液50部と、NMP溶剤320部とを配合し、約5時間撹拌羽根で混合した後、ボールミル分散させて基層用材料を調製した。
〔シームレスベルトの作製〕
上記基層用材料を用いる以外は、実施例1と同様にして、基層(厚み:80μm)の表面に、表層(厚み:1μm)が形成されてなる2層構造のシームレスベルトを作製した。
このようにして得られた実施例および比較例のシームレスベルトを用い、下記の基準に従って各特性の評価を行った。これらの結果を後記の表1〜表4に併せて示した。なお、芳香族イソシアネート化合物のイソシアネート基の総モル数(a)と、芳香族系多価カルボン酸の無水物の酸無水物基とカルボキシル基との総モル数(b)、およびカルボン酸両末端ポリマーのカルボキシル基の総モル数(c)の合計総モル数〔(b)+(c)〕を、表中に記載した。
〔カルボン酸両末端ポリマーの含有量〕
各実施例および比較例で得たPAI樹脂中の、カルボン酸両末端ポリマーの含有量を求めた。すなわち、芳香族イソシアネート化合物(A)と、芳香族系多価カルボン酸の無水物(B)と、カルボン酸両末端ポリマー(C)を共重合させてなるポリアミドイミド樹脂中の、上記(C)から誘導される構造単位の含有割合(重量%)を計算した。
〔PAI(Mn)〕
各実施例および比較例で得たPAI樹脂のTHF希釈溶液を調製し、GPCによる分子量(ポリスチレン換算)を測定した。
〔電気抵抗の均一性〕
周方向に等分したシームレスベルトの内周側8箇所の体積電気抵抗率を、JIS K6911に準じて測定し、その最大値と最小値のばらつきを桁で表示した。印加電圧は10Vであった。評価は、ばらつきが0.5桁以下のものを○、ばらつきが0.5桁を超えて1桁以下のものを△とした。
〔開き角度〕
図2に示すように、シームレスベルトを25mm×150mmの大きさに切断して、短冊状のテストピース20を作製した。このテストピース20を、直径13mmの金属製パイプ21に巻き付けた後、テストピース20の端部どうしを重ね合わせ、ここに0.5kgのオモリ(図示せず)をかけて吊るし、50℃×95%の環境下、24時間放置した。ついで、オモリを外し、図3に示すように、重ね合わせたテストピース20の両端を開放した後、テストピース20の円弧状部分を中心に、これを挟む左右のテストピース20の表面を上方に延長させたと仮想し、その左右仮想延長部23で作った角度θを、開き角度θとして測定した。この開き角度θが180°に近い方が、曲がり癖(カール癖)が少ないことを示しており、開き角度θが50°以上であれば画像に影響しない。
〔引張弾性率、破断伸び〕
JIS K7127に準じて、シームレスベルトの引張弾性率および破断伸びを測定した。なお、引張速度は、毎分10±2.0mmとした。
〔クリープ率〕
シームレスベルトを20mm×180mmの大きさに切断して、短冊状のテストピースを作製した。このテストピースの一端に、250±5gの荷重をかけて吊るし、50℃×95%の環境下、24時間放置した後の伸び率を計算した。
〔耐屈曲性〕
各シームレスベルトを用いて、サンプル(厚み80μm)を作製した。そして、JIS P8115に準じて、Folding Endurancetester MIT−D(東洋精機社製)を用いて、荷重9.8Nの条件下、耐屈曲性(MIT回数)を測定した。
〔ベンチ耐久試験〕
直径13mmの金属製ローラーを2本準備し、2本の金属製ローラー間にシームレスベルト(幅150mm)を張架した状態で、一方の金属製ローラーをテーブル上に固定した。ついで、テーブルに固定していない他方の金属製ローラーがテーブルの端部になるように配置し、金属製ローラーの両端にオモリを2kgずつ吊り下げ(総荷重4kg)、ラボ環境(25℃×40%)下で、シームレスベルトを回転駆動させた。そして、シームレスベルトに亀裂が確認できるまでの累積回転数を測定した。
〔難燃性〕
各シームレスベルトの基層用材料を用いて、UL−94に準拠して難燃性の評価試験を行った。なお、難燃性の評価は、「VTM−1」よりも「VTM−0」の方が難燃性に優れていることを示す。
上記結果から、いずれの実施例品も、電気抵抗が均一で、開き角度が大きく、引っ張り弾性率および破断伸びが高く、しかもクリープ率が低く、耐久性に優れていた。
これに対し、比較例1品は、カルボン酸両末端ポリマーを共重合させていないPAIを用いて基層を形成しているため、破断伸びが小さく、耐久性に劣るとともに、PES樹脂をブレンドしていないため、開き角度が小さく、カール癖特性に劣っていた。また、比較例2品は、PES樹脂を単独で用い、特定の変性PAIをブレンドしていないため、耐久性に劣っていた。
本発明の半導電性シームレスベルトは、フルカラーLBP(レーザービームプリンター)やフルカラーPPC(プレーンペーパーコピア)等の電子写真技術を採用した電子写真機器において、中間転写ベルトや紙転写搬送ベルト等に好適に用いられる。
本発明の半導電性シームレスベルトの一例を示す部分断面図である。
半導電性シームレスベルトの開き角度の測定方法を示す説明図である。
測定する開き角度を示す説明図である。
符号の説明
1 基層
2 表層

Claims (5)

  1. 少なくとも基層を備えた半導電性シームレスベルトであって、上記基層が、下記の(A)〜(C)を共重合させてなる変性ポリアミドイミド樹脂と、ポリエーテルスルホン樹脂とのブレンド材料を用いて形成されていることを特徴とする半導電性シームレスベルト。
    (A)芳香族イソシアネート化合物。
    (B)芳香族系多価カルボン酸の無水物。
    (C)カルボン酸両末端ポリマー。
  2. 上記基層の外周に、直接または他の層を介して、表層が形成され、この表層は、鉛筆硬度がB〜5Hの範囲内に設定され、かつ、純水の接触角が80〜120°の範囲内に設定されている請求項1記載の半導電性シームレスベルト。
  3. 上記基層と表層との間に、熱可塑性樹脂層が形成されている請求項2記載の半導電性シームレスベルト。
  4. 上記基層と表層との間に、ゴム弾性層が形成されている請求項2記載の半導電性シームレスベルト。
  5. 上記基層とゴム弾性層との間に、熱可塑性樹脂層が形成されている請求項4記載の半導電性シームレスベルト。
JP2004186409A 2004-03-04 2004-06-24 半導電性シームレスベルト Expired - Fee Related JP4337649B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004186409A JP4337649B2 (ja) 2004-06-24 2004-06-24 半導電性シームレスベルト
DE200510009796 DE102005009796A1 (de) 2004-03-04 2005-03-03 Endloser Gurt für elektrofotografische Vorrichtung
US11/070,334 US7662481B2 (en) 2004-03-04 2005-03-03 Endless belt for electrophotographic apparatus
CN2005100531656A CN1664718A (zh) 2004-03-04 2005-03-04 电子照相器材用无缝带

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004186409A JP4337649B2 (ja) 2004-06-24 2004-06-24 半導電性シームレスベルト

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006008803A JP2006008803A (ja) 2006-01-12
JP4337649B2 true JP4337649B2 (ja) 2009-09-30

Family

ID=35776407

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004186409A Expired - Fee Related JP4337649B2 (ja) 2004-03-04 2004-06-24 半導電性シームレスベルト

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4337649B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4529729B2 (ja) * 2005-02-24 2010-08-25 東海ゴム工業株式会社 電子写真機器用無端ベルトの製法
JP5314371B2 (ja) * 2008-09-17 2013-10-16 東海ゴム工業株式会社 電子写真機器用無端ベルト
JP2014170053A (ja) * 2013-03-01 2014-09-18 Ricoh Co Ltd 画像形成装置、及び、画像形成装置に用いるベルト部材の製造方法
JP6155178B2 (ja) * 2013-11-29 2017-06-28 住友理工株式会社 無端ベルトおよびその製造方法
JP6277978B2 (ja) * 2014-03-28 2018-02-14 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 像担持体、及びこれを備えた画像形成装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006008803A (ja) 2006-01-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7662481B2 (en) Endless belt for electrophotographic apparatus
JP4561369B2 (ja) 電子写真機器用無端ベルト
JP4622584B2 (ja) 電子写真機器用無端ベルトおよびその製法
JP4525384B2 (ja) 電子写真機器用無端ベルト
JP4529729B2 (ja) 電子写真機器用無端ベルトの製法
JP4832925B2 (ja) 電子写真機器用無端ベルト
JP4337649B2 (ja) 半導電性シームレスベルト
JP5314313B2 (ja) 電子写真機器用無端ベルト
JP4475050B2 (ja) 電子写真機器用無端ベルト
JP4127179B2 (ja) 半導電性シームレスベルト
JP4810086B2 (ja) 半導電性シームレスベルト
JP4534696B2 (ja) 半導電性シームレスベルト
JP5314371B2 (ja) 電子写真機器用無端ベルト
JP2007316272A (ja) 中間転写体、画像形成方法
JP4832935B2 (ja) 電子写真機器用無端ベルト
JP4525377B2 (ja) 電子写真機器用無端ベルト
JP4265523B2 (ja) 電子写真機器用無端ベルト
JP5268403B2 (ja) 電子写真機器用無端ベルトおよびその製法
JP4751592B2 (ja) 半導電性シームレスベルト
JP2010066305A (ja) 電子写真機器の無端ベルト用樹脂組成物およびそれを用いた電子写真機器用無端ベルト
JP4433980B2 (ja) 電子写真機器用無端ベルト
JP5314373B2 (ja) 電子写真機器用無端ベルト
JP4407426B2 (ja) シームレス中間転写ベルトおよびその製法
JP2004310016A (ja) 半導電性シームレスベルト
JP4414787B2 (ja) 変性ポリアミドイミド樹脂

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060823

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090609

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090622

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4337649

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120710

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120710

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130710

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees