JP5582401B2 - 中間転写ベルトと画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、コピー機・プリンタ等の画像形成装置に装備されるシームレスベルトの製造方法及びそれを用いた画像形成装置、特にフルカラー画像形成に好適な中間転写ベルト及びそれを用いた画像形成装置に関する。
従来から、電子写真装置においては様々な用途でシームレスベルトが部材として用いられている。特に近年のフルカラー電子写真装置においては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色の現像画像を一旦中間転写媒体上に色重ねし、その後一括して紙などの転写媒体に転写する中間転写ベルト方式が用いられている。
このような中間転写ベルト方式は、1つの感光体に対して4色の現像器を用いるシステムで用いられていたがプリント速度が遅いという欠点があった。そのため、高速プリントとしては、感光体を4色分並べ、各色を連続して紙に転写する4連タンデム方式が用いられている。しかし、この方式では紙の環境による変動などもあり、各色画像を重ねる位置精度を合わせることが非常に困難であり、色ずれ画像を引き起こしていた。そこで近年では、4連タンデム方式に中間転写方式を採用することが主流になってきている。
このような情勢の中で中間転写ベルトにおいても、従来よりも要求特性(高速転写、位置精度)が厳しいものとなっており、これらの要求に対応する特性を満足することが必要となってきている。
中間転写ベルトは像担持体からトナーを受け取る1次転写と紙へトナーを受け渡す2次転写の機能を持つが、共に転写率の向上が求められる。
特に2次転写では転写率が低いと紙に転写しきれなかったトナーが中間転写ベルト上に残ってしまい、画像の不具合やフィルミングの原因となりやすい。
また、昨今普通紙だけでなく凹凸紙などへのプリント需要が増え、凹凸紙に対応した中間転写ベルトの開発もさかんになってきている。
一般的に凹凸紙へのプリントは普通紙に比べて2次転写率が下がる傾向にあり、その原因は中間転写ベルトが紙の凹部まで密着しないため、トナーが紙へ転写しきれず中間転写ベルト上に残ってしまうことが挙げられる。
普通紙対応の中間転写ベルトと同様、凹凸紙に対応した中間転写ベルトにおいてもベルト上にトナーが固着(フィルミング)するとトナー樹脂の薄膜ができてしまい画像の劣化につながる。
この問題を解決するために、多層構成で、複数層のうちの少なくとも1つを弾性層とし、凹凸紙への追従性がよい中間転写ベルトの開発が盛んに行なわれている。
単層ベルトでは屈曲強度や引き裂き強度が高いことが重要であるため、ポリイミドやポリフェニレンサルファイドが用いられる。またそういった材料は光沢度が高く、硬度が高く表面のタック性が低い。
一方、多層弾性ベルトでは、基層は上記と同様の強度の高い材料が用いられ、その上に弾性層を積層している。弾性層は一般的にゴム系材料が用いられることが多く、弾性層は紙へ対する追従性はよいものの、トナーと接触する表面が未処理のままでは表面にタック感があり、トナーの離型性が悪く、二次転写率が下がってしまう問題があった。
また、装置中で、中間転写ベルト上には、位置を検知したり、トナー濃度を調整するために光学センサが設けられているが、光沢度が低いと光が反射せずセンサが作動できない。
表面層のトナー離型性を上げるためにフッ素系材料を用いると光沢が落ちてしまうという問題があった。
また、シワがよると光沢度が落ちてしまうため、表面層の材料は、弾性層に追従する必要があり、使用初期と経時後での変化が少ないことが好ましい。
上記を解決する手段として、特許文献1の特許第3248455号公報や特許文献2の特開2000−010417号公報には、弾性層にヤング率の高い弾性材料を用い、トナーと接触する表面にフッ素材料やシリコーン系材料を添加し、表面エネルギーを下げてトナー離型性を上げる方法が提案されている。
また特許文献3の特開2002−229345号公報のように、コーティング層としてウレタン系塗料、アクリル系塗料、アミド系塗料、エポキシ系塗料、シリコーン系塗料等を用い、適宜、フッ素系ルブリカントもしくはディスバージョンを配合し、表面抵抗を下げる方法が提案されている。
しかしながら、フッ素系材料を用いず、各種塗料だけでは良好な二次転写性は得られない。またフッ素系材料を用いると、表面の光沢は下がる傾向にある。
また、ベルトを屈曲させても弾性層と表面層に剥離シワが発生しない方法として、特許文献4の特開2009−69455号公報のように、表面層にフッ素ゴムを用い、引張応力の掛かった状態で成形する方法が提案されていた。
しかしながら、フッ素材料やシリコーン材料を充填すると、表面の光沢が低下してしまい、光学的反射濃度センサを搭載したシステムでは使用できないという問題点があった。
また、光沢度を上げるために硬度が高い樹脂を用いると、弾性層に追従することができず、しわやクラックが発生してしまうという問題があった。
そこで、特許文献5の特開2009−25421号公報のように、フッ素ゴムとPVDF樹脂を混合し、弾性層への追従性を持たせ、かつ光沢度を保つ方法が提案されている。
しかしながら、長期間使用していると摩耗によりフッ素ゴムが露出し、光沢度が低下する問題があった。
本発明の目的は、光沢度を維持したまま、弾性層の表面タックを消し、一次転写、二次転写ともに満足する適度なトナー離型性を持ち、弾性層に追従し、屈曲させてもシワやクラックが発生しない表面層を有する中間転写ベルト及びこのベルトを備えた画像形成装置を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、熱可塑性のウレタン変性共重合ポリエステル樹脂とイソシアネート化合物を混合した塗膜から表面層を弾性層上に形成させることにより、上記課題が解決されることを見出した。
ジ又は3官能以上のポリイソシアネートは活性水素含有材料例えばジオールやアミンと反応しポリウレタン結合を作る。
ウレタン系樹脂には熱硬化性ポリウレタンと熱可塑性ポリウレタンがある。
熱硬化型ポリウレタンはウレタン結合による三次元架橋している。
一方熱可塑性ポリウレタンは分子鎖中にウレタン結合があるが各分子鎖同士はウレタン結合しておらず、分子鎖は線状であるため熱を加えると分子鎖の物理的架橋が離れることで溶融する。
またイソシアネートを熱可塑性ポリウレタン樹脂に添加した場合、イソシアネートと反応するOH基が分子鎖の両末端にしかないため、イソシアネートを添加しても密な三次元架橋は形成されず柔軟性を保つことができる。
本発明者らは、あえて密な三次元構造を作らないことで柔軟性を保ち、OH基と反応しなかったイソシアネート化合物が大気中の水分と反応し、硬化することにより表面硬度を上げることができる表面層を考案する。この反応は、容易な理解に資するため例を挙げ単純化し説明すれば、例えばMDIの場合、生成したカルバミド酸は不安定であり、つぎのように、炭酸ガスを放出して相当するアミン化合物を形成し、これがさらにイソシアネートと反応して、ウレア体(ω,ω’−の形の末端ジイソシアネート基を有するウレア体)を生成し、このウレア体はまた残余の水分と反応してさらに高次のジカルバミド酸を経由してアミン体を生成し、これと残余のMDIが反応してさらに高次のウレア体を形成するものと考えられる。そして、このような反応の反応性は、無論、生成物の分子量が増大するにつれて低下する。
また、上記ウレア体は、ジイソシアネート基(−NCO)の炭素原子以外にもウレア基中に酸性プロトンを持っているが、それらの活性は、出発物質であるフエノール性ヒドロキシ基との反応性よりも相対的に低い(より厳しい反応条件下では残余イソシアネートとの付加反応が進み、ビューレット体を生成する)ものと思われる。
Figure 0005582401
このようなイソシアネートと水分との反応により生成される硬質セグメントは、軟質発泡ポリウレタンの製造においては障害物として問題視されるが、本発明においては逆に、硬度を上げることで、フッ素系材料を用いなくても、二次転写時のトナー離型性を向上させることができる。
また熱可塑性ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂はイソシアネートと反応するOH基が分子鎖の両末端にしかないため、イソシアネートを添加しても密な三次元架橋は形成されず柔軟性は保てる。
而して、本発明は、以下の(1)〜(6)の中間転写ベルトおよび画像形成装置を包含する。
(1)「弾性層と表面層をもつ2層構成以上の中間転写ベルトにおいて、表面の光沢度が30以上(測定角20°)であり、弾性層の材料単体の微小マルテンス硬度HMdと弾性層上に積層する表面層の材料単体の微小マルテンス硬度HMhの関係がHMd<HMhであり、弾性層の材料単体の微小マルテンス硬度HMdが0.01N/mm≦HMd≦10N/mmであり、弾性層上に積層する表面層の材料単体の微小マルテンス硬度HMhが0.5N/mm≦HMh≦300N/mmであって、前記表面層が分子量10000以上の熱可塑性のウレタン系樹脂とイソシアネート化合物との混合物から形成されていることを特徴とする中間転写ベルト。」
(2)「弾性層の材料単体の微小マルテンス硬度HMdが0.01N/mm<HMd≦2Nmmであり、弾性層上に積層する表面層の材料単体の微小マルテンス硬度HMhが5N/mm≦HMh≦100N/mmであることを特徴とする前記(1)項に記載の中間転写ベルト。」
(3)「前記熱可塑性のウレタン系樹脂がウレタン変性ポリエステル共重合樹脂であることを特徴とする前記(1)項又は(2)項に記載の中間転写ベルト。」
(4)「前記イソシアネート化合物がポリメリックMDI(4,4’及び2,4’−Diphenylmethane diisocyanateを含むジアミノジフェニルメタンのホスゲン化による縮合生成物)であることを特徴とする前記(1)項乃至(3)項のいずれかに記載の中間転写ベルト。」
(5)「前記ポリメリックMDI(4,4’及び2,4’−Diphenylmethane diisocyanateを含むジアミノジフェニルメタンのホスゲン化による縮合生成物)が水分との反応によりウレア体を形成していることを特徴とする前記(4)項に記載の中間転写ベルト。」
(6)「光学的反射濃度センサを搭載し、前記(1)項乃至(5)項のいずれかに記載の中間転写ベルト上のトナーパターンを検知するシステムを備えることを特徴とする画像形成装置。」

フッ素樹脂などを添加していないために長期間使用しても光沢を保つ。また熱可塑性ウレタンは分子鎖の両末端のみしかイソシアネートと反応しないため密な三次元架橋が起きず、熱可塑性樹脂自体の柔軟性は失われることがなく、弾性ゴムに対する追従性を保つことができ、屈曲をさせてもシワやクラックが発生しない。
熱可塑性ウレタン樹脂中にイソシアネート化合物を混合させることにより、イソシアネートが硬化し、表面層に適度な硬度を持たせることができ、表面硬度を上げることで二次転写時のトナー離型性を向上させることができる。
またフッ素系材料を用いないことで必要以上に表面エネルギーが下がらないため一次転写率を向上することができる。
本発明の画像形成装置の一構成例を示す要部模式図である。
図1は、本発明に係るシームレスベルトからなる1つの中間転写ベルトに沿って複数の感光体ドラムが並設されている画像形成装置の一構成例を示す要部模式図である。
4つの異なる色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のトナー像を形成するための4つの感光体ドラム(21BK)、(21Y)、(21M)、(21C)を備えた4ドラム型のデジタルカラープリンタの一構成例を示す。
図1において、プリンタ本体(10)は電子写真方式によるカラー画像形成を行なうための、画像書込部(12)、画像形成部(13)、給紙部(14)、から構成されている。
画像信号を元に画像処理部で画像処理して画像形成用の黒(BK)、マゼンタ(M)、イエロー(Y),シアン(C)の各色信号に変換し、画像書込部(12)に送信する。画像書込部(12)は、例えば、レーザ光源と、回転多面鏡等の偏向器と、走査結像光学系、及びミラー群、からなるレーザ走査光学系であり、上記の各色信号に対応した4つの書込光路を有し、画像形成部の各色毎に設けられた像坦持体(感光体)(21BK)、(21M)、(21Y)、(21C)に各色信号に応じた画像書込を行なう。
画像形成部(13)は黒(BK)用、マゼンタ(M)用、イエロー(Y)用、シアン(C)用の各像坦持体である感光体(21BK)、(21M)、(21Y)、(21C)を備えている。
この各色用の各感光体としては、通常OPC感光体が用いられる。各感光体(21BK)、(21M)、(21Y)、(21C)の周囲には、帯電装置、上記書込部(12)からのレーザ光の露光部、黒、マゼンタ、イエロー、シアンの各色用の現像装置(20BK)、(20M)、(20Y)、(20C)、1次転写手段としての1次転写バイアスローラ(23BK)、(23M)、(23Y)、(23C)、クリーニング装置(表示略)、及び図示しない感光体除電装置等が配設されている。なお、上記現像装置(20BK)、(20M)、(20Y)、(20C)には、2成分磁気ブラシ現像方式を用いている。ベルト構成部である中間転写ベルト(22)は、各感光体(21BK)、(21M)、(21Y)、(21C)と、各1次転写バイアスローラ(23BK)、(23M)、(23Y)、(23C)との間に介在し、各感光体上に形成された各色のトナー像が順次重ね合わせて転写される。
一方、転写紙(P)は、給紙部(14)から給紙された後、レジストローラ(16)を介して、ベルト構成部である転写搬送ベルト(50)に坦持される。そして、中間転写ベルト(22)と転写搬送ベルト(50)とが接触するところで、上記中間転写ベルト(22)上に転写されたトナー像が、2次転写手段としての2次転写バイアスローラ(60)により2次転写(一括転写)される。これにより、転写紙(P)上にカラー画像が形成される。このカラー画像が形成された転写紙(P)は、転写搬送ベルト(50)により定着装置(15)に搬送され、この定着装置(15)により転写された画像が定着された後、プリンタ本体外に排出される。
なお、上記2次転写時に転写されずに上記中間転写ベルト(22)上に残った残留トナーは、ベルトクリーニング装置(25)によって中間転写ベルト(22)から除去される。
このベルトクリーニング装置(25)の下流側には、潤滑剤塗布装置(表示略)が配設されている。この潤滑剤塗布装置は、固形潤滑剤と、中間転写ベルト(22)に摺擦して固形潤滑剤を塗布する導電性ブラシとで構成されている。該導電性ブラシは、中間転写ベルト(22)に常時接触して、中間転写ベルト(22)に固形潤滑剤を塗布している。固形潤滑剤は、中間転写ベルト(22)のクリーニング性を高め、フィルミィングの発生を防止し耐久性を向上させる作用がある。
潤滑剤はステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛等が挙げられ、高級脂肪酸としては、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等が挙げられるが、脂肪酸金属塩が好ましく、更にはステアリン酸亜鉛が最も好ましい。
また、位置検知用マークが中間転写ベルト(22)の外周面あるいは内周面に図示しない位置検知用マークが設けられる。ただし、中間転写ベルト(22)の外周面側については位置検知用マークがベルトクリーニング装置(25)の通過域を避けて設ける工夫が必要であり、配置上の困難さを伴うことがあるので、その場合には位置検知用マークを中間転写ベルト(22)の内周面側に設けてもよい。マーク検知用センサとしての光学センサ(28)は、2次転写バイアスローラ(60)とベルト駆動ローラ(26)との間の位置に設けられる。位置検知は中間転写ベルト表面からの光反射を検知することによって行なっている。よって、中間転写ベルト表面の光沢度が低下する、または不均一になると検出が安定しない。本発明の中間転写ベルトを用いることで表面光沢度の低下を抑制でき、検出を安定化することができる。
なお、本発明におけるシームレスベルトは、上述したような中間転写ベルト(22)を装備した中間転写ベルト方式の画像形成装置に好適に適用できる他、該中間転写ベルト(22)の代りに転写搬送ベルトを装備した転写搬送ベルト方式の画像形成装置にも適用できる。さらに、転写搬送ベルト方式の画像形成装置の場合においても、前記1感光体ドラム方式あるいは4感光体ドラム方式の何れにも適用可能である。
本発明を実施する形態としては、少なくとも弾性層、表層を含む2層以上の構成であるが、機械的特性を考慮すると、機械的強度の強い基層の上に弾性層、さらにその上に表面層という構成が好ましい。
(基層)
基層の樹脂の種類は例えば難燃性などを考慮して、PVDF、ETFEなどのフッ素系樹脂や、ポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂等が好ましく、機械強度(高弾性)や耐熱性の点から、特にポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂が好適である。また電気抵抗調整材としては、金属酸化物やカーボンブラック、イオン導電剤、導電性高分子材料などがある。金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素等が挙げられる。また、分散性をよくするため、前記金属酸化物に予め表面処理を施したものも挙げられる。
カーボンブラックとしては、例えば、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ガスブラック等が挙げられる。
イオン導電剤としては、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルサルフェート、グルセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエステル、アルキルベタイン、過塩素酸リチウム等が挙げられ、これらを併用して用いてもよい。
電気抵抗調整材は、好ましくは表面抵抗で1×10〜1×1013Ω/□、体積抵抗で1×10〜1×1012Ω・cmとなる量とされるが、機械強度の面から成形膜が脆く割れやすくならない範囲の量を選択して添加することが必要である。
(弾性層)
弾性層は各種ゴムやエラストマーを用いることができる。具体的にはスチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、エピハロヒドリンゴム、フッ素系ゴム、シリコーン系ゴム、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエチレン酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。またゴムや樹脂の種類により、電気抵抗が異なる上記基層と同様に適宜、電気抵抗調整材で調整する必要がある。
紙への凹凸転写性を向上させるために、弾性層の微小マルテンス硬度(HMd)は0.01N/mm<HMd≦10N/mmが好ましく、そのなかでも0.01N/mm<HMd≦2が好ましい。
弾性層の膜厚は、薄すぎると紙への凹凸転写性が向上しないため、50μm以上が好ましく、更には100μm以上が好ましい。また、ローラで加圧することを考えると、500μm以下が好ましい。
(表面層)
中間転写ベルトの表面層は柔軟性と光沢を兼ね備える材料であって、弾性層に追従し柔軟性もたせることができ、分子鎖中にイソシアネートと反応しうるOH基を持たないか、または多量に(水酸基価が5mgKOH/g以下)持たない熱可塑性樹脂か熱可塑性エラストマーとポリメリックイソシアネートとの混合物が好ましい。熱可塑性樹脂やエラストマーは酢酸ビニル系やポリアミド系など柔軟性や追従性、シワができても復元する材料であれば種類は問わないが、なかでもウレタン系樹脂が好ましく、その中でも、ウレタン変性ポリエステル共重合樹脂が好ましい。
また、イソシアネートは4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)のような2つのイソシアネート基を持ったものが好ましく、その重合体であるポリメリックMDIが好ましい。
本発明においては、イソシアネート材料の添加量は、使用するベース樹脂の種類や性質にもよるが、一般的にベース樹脂固形分量100重量部当り10〜30重量部であることが好ましい。溶剤は熱可塑性ポリウレタンが溶解可能であるメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トルエンなどを挙げることができるが、残留溶媒や作業性を考慮するとメチルエチルケトンが好ましい。乾燥条件はNCOの反応や、樹脂の融点、溶剤の揮発を考慮して120℃程度、30分の乾燥が好ましい。養生は湿度80%、で24〜48時間行うことが好ましい。
表面層の材料単体の微小マルテンス硬度HMhが0.5N/mm≦HMh≦300N/mmであることが好ましく中でも5N/mm≦HMh≦100N/mmであることが好ましい。
また弾性層の紙への凹凸追従性を失わないために、表面層の厚みは20μm以下が好ましく、中でも5μm以下が好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これら実施例によって制限されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限りこれらの実施例を適宜改変したものも本件の発明の範囲内である。
下記に記した各塗工液を調製し、この塗工液を用いて表層を弾性層/基層上に塗工して中間転写ベルトとした。
≪サンプル作製≫
<転写率,光沢度,屈曲シワ測定用サンプル作製>
下記に記した各塗工液を調製し、この塗工液を用いて表層を弾性層/基層上に塗工して中間転写ベルトとした。
(弾性層)
ウレタン(ウレハイパー1627;DIC社製)100部に対し、N,N−ジメチルホルムアミド40部と混合し、弾性層塗工液とした後、ポリイミド基層上に塗工し、架橋させた。
(表層)
・ベース樹脂液
ウレタン変性ポリエステル共重合樹脂;バイロンUR3210(東洋紡社製)をメチルエチルケトンで固形分5%に調整した。
・イソシアネート液
ポリメリックMDI;ミリオネートMR100(日本ポリウレタン社製)をメチルエチルケトンで固形分5%に調整した。
上記ベース樹脂液90wt%とイソシアネート液を10wt%各割合で混合し、スプレーにて弾性層上に塗工し、120℃で30分加熱し、2日養生させて表面層とした。表面層は2μmとなるようにした。
上記ベース樹脂液80wt%とイソシアネート液を30wt%各割合で混合し、スプレーにて弾性層上に塗工し、120℃で30分加熱し、2日養生させて表面層とした。表面層は2μmとなるようにした。
[比較例1]
上記ベース樹脂液50wt%とイソシアネート液を50wt%各割合で混合し、スプレーにて弾性層上に塗工し、120℃で30分加熱し、2日養生させて表面層とした。表面層は2μmとなるようにした。
[比較例2]
上記ベース樹脂液95wt%とイソシアネート液を5wt%各割合で混合し、スプレーにて弾性層上に塗工し、120℃で30分加熱し、2日養生させて表面層とした。表面層は2μmとなるようにした。
[比較例3]
上記ベース樹脂液を、スプレーにて弾性層上に塗工し、120℃で30分加熱し、2日養生させて表面層とした。表面層は2μmとなるようにした。
[比較例4]
表層を積層せず、弾性層をそのまま用いた。
<微小硬度測定用サンプル作製>
なお、表面の微小硬度は表面層材料のみの硬度を測るため、上記実施例ならびに比較例で用いた溶液を50μmの厚みになるようにガラス板上に塗工し、120℃で30分乾燥させた。
≪測定方法≫
<転写率測定>
2次転写率の評価は、実施例1〜2と比較例1〜4の中間転写ベルトを、1次転写、2次転写ができる単体機にてベタ画像を出力し、中間転写ベルトから紙へのトナー移動量を量ることで評価した。
<光沢度測定>
光沢度はグロスチェッカIG−331(堀場製作所社製)を用いて、測定角20°で測定した。
<屈曲シワ測定>
屈曲シワの測定は、MIT耐折疲労試験機(東洋精機社製)を用い、荷重1Kg、速度175CPM、屈曲角度45°、屈曲回数10回後のサンプルを目視で評価した。
<微小硬度測定>
微小硬度の測定は、超微小硬度計HM2000を用い、2mN/secの定荷重で測定した。
Figure 0005582401
実施例1〜2と比較例1〜3からポリメリックイソシアネートを加えると硬度が上昇していることがわかる。硬度の上昇に伴い、2次転写率が向上していることがわかる。またポリメリックイソシアネートの添加量が多すぎると、塗膜が硬くなりすぎてシワが発生してしまう。また、イソシアネートを添加しても光沢度は下がらなかった。
P 転写紙
10 プリンタ本体
12 画像書込部
13 画像形成部
14 給紙部
15 定着装置
16 レジストローラ
20BK、20M、20Y、20C 現像装置
21BK、21M、21Y、21C 感光体
22 中間転写ベルト
23BK、23M、23Y、23C 1次転写バイアスローラ
25 ベルトクリーニング部材
26 ベルト駆動ローラ
27 ベルトクリーニング部材
28 光学センサ
50 転写搬送ベルト
60 2次転写バイアスローラ
70 除電ローラ
特許第3248455号公報 特開2000−010417号公報 特開2002−229345号公報 特開2009−69455号公報 特開2009−25421号公報

Claims (6)

  1. 弾性層と表面層をもつ2層構成以上の中間転写ベルトにおいて、表面の光沢度が30以上(測定角20°)であり、弾性層の材料単体の微小マルテンス硬度HMdと弾性層上に積層する表面層の材料単体の微小マルテンス硬度HMhの関係がHMd<HMhであり、弾性層の材料単体の微小マルテンス硬度HMdが0.01N/mm≦HMd≦10N/mmであり、弾性層上に積層する表面層の材料単体の微小マルテンス硬度HMhが0.5N/mm≦HMh≦300N/mmであって、前記表面層が分子量10000以上の熱可塑性のウレタン系樹脂とイソシアネート化合物との混合物から形成されていることを特徴とする中間転写ベルト。
  2. 弾性層の材料単体の微小マルテンス硬度HMdが0.01N/mm<HMd≦2Nmmであり、弾性層上に積層する表面層の材料単体の微小マルテンス硬度HMhが5N/mm≦HMh≦100N/mmであることを特徴とする請求項1に記載の中間転写ベルト。
  3. 前記熱可塑性のウレタン系樹脂がウレタン変性ポリエステル共重合樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の中間転写ベルト。
  4. 前記イソシアネート化合物がポリメリックMDI(4,4’及び2,4’−Diphenylmethane diisocyanateを含むジアミノジフェニルメタンのホスゲン化による縮合生成物)であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の中間転写ベルト。
  5. 前記ポリメリックMDI(4,4’及び2,4’−Diphenylmethane diisocyanateを含むジアミノジフェニルメタンのホスゲン化による縮合生成物)が水分との反応によりウレア体を形成していることを特徴とする請求項4に記載の中間転写ベルト。
  6. 光学的反射濃度センサを搭載し、請求項1乃至5のいずれかに記載の中間転写ベルト上のトナーパターンを検知するシステムを備えることを特徴とする画像形成装置。
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