JP5582401B2 - 中間転写ベルトと画像形成装置 - Google Patents
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Description
特に2次転写では転写率が低いと紙に転写しきれなかったトナーが中間転写ベルト上に残ってしまい、画像の不具合やフィルミングの原因となりやすい。
また、昨今普通紙だけでなく凹凸紙などへのプリント需要が増え、凹凸紙に対応した中間転写ベルトの開発もさかんになってきている。
一般的に凹凸紙へのプリントは普通紙に比べて2次転写率が下がる傾向にあり、その原因は中間転写ベルトが紙の凹部まで密着しないため、トナーが紙へ転写しきれず中間転写ベルト上に残ってしまうことが挙げられる。
この問題を解決するために、多層構成で、複数層のうちの少なくとも1つを弾性層とし、凹凸紙への追従性がよい中間転写ベルトの開発が盛んに行なわれている。
単層ベルトでは屈曲強度や引き裂き強度が高いことが重要であるため、ポリイミドやポリフェニレンサルファイドが用いられる。またそういった材料は光沢度が高く、硬度が高く表面のタック性が低い。
また、装置中で、中間転写ベルト上には、位置を検知したり、トナー濃度を調整するために光学センサが設けられているが、光沢度が低いと光が反射せずセンサが作動できない。
表面層のトナー離型性を上げるためにフッ素系材料を用いると光沢が落ちてしまうという問題があった。
また、シワがよると光沢度が落ちてしまうため、表面層の材料は、弾性層に追従する必要があり、使用初期と経時後での変化が少ないことが好ましい。
また特許文献3の特開2002−229345号公報のように、コーティング層としてウレタン系塗料、アクリル系塗料、アミド系塗料、エポキシ系塗料、シリコーン系塗料等を用い、適宜、フッ素系ルブリカントもしくはディスバージョンを配合し、表面抵抗を下げる方法が提案されている。
しかしながら、フッ素系材料を用いず、各種塗料だけでは良好な二次転写性は得られない。またフッ素系材料を用いると、表面の光沢は下がる傾向にある。
しかしながら、フッ素材料やシリコーン材料を充填すると、表面の光沢が低下してしまい、光学的反射濃度センサを搭載したシステムでは使用できないという問題点があった。
また、光沢度を上げるために硬度が高い樹脂を用いると、弾性層に追従することができず、しわやクラックが発生してしまうという問題があった。
そこで、特許文献5の特開2009−25421号公報のように、フッ素ゴムとPVDF樹脂を混合し、弾性層への追従性を持たせ、かつ光沢度を保つ方法が提案されている。
しかしながら、長期間使用していると摩耗によりフッ素ゴムが露出し、光沢度が低下する問題があった。
ジ又は3官能以上のポリイソシアネートは活性水素含有材料例えばジオールやアミンと反応しポリウレタン結合を作る。
ウレタン系樹脂には熱硬化性ポリウレタンと熱可塑性ポリウレタンがある。
熱硬化型ポリウレタンはウレタン結合による三次元架橋している。
一方熱可塑性ポリウレタンは分子鎖中にウレタン結合があるが各分子鎖同士はウレタン結合しておらず、分子鎖は線状であるため熱を加えると分子鎖の物理的架橋が離れることで溶融する。
またイソシアネートを熱可塑性ポリウレタン樹脂に添加した場合、イソシアネートと反応するOH基が分子鎖の両末端にしかないため、イソシアネートを添加しても密な三次元架橋は形成されず柔軟性を保つことができる。
本発明者らは、あえて密な三次元構造を作らないことで柔軟性を保ち、OH基と反応しなかったイソシアネート化合物が大気中の水分と反応し、硬化することにより表面硬度を上げることができる表面層を考案する。この反応は、容易な理解に資するため例を挙げ単純化し説明すれば、例えばMDIの場合、生成したカルバミド酸は不安定であり、つぎのように、炭酸ガスを放出して相当するアミン化合物を形成し、これがさらにイソシアネートと反応して、ウレア体(ω,ω’−の形の末端ジイソシアネート基を有するウレア体)を生成し、このウレア体はまた残余の水分と反応してさらに高次のジカルバミド酸を経由してアミン体を生成し、これと残余のMDIが反応してさらに高次のウレア体を形成するものと考えられる。そして、このような反応の反応性は、無論、生成物の分子量が増大するにつれて低下する。
また、上記ウレア体は、ジイソシアネート基(−NCO)の炭素原子以外にもウレア基中に酸性プロトンを持っているが、それらの活性は、出発物質であるフエノール性ヒドロキシ基との反応性よりも相対的に低い(より厳しい反応条件下では残余イソシアネートとの付加反応が進み、ビューレット体を生成する)ものと思われる。
また熱可塑性ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂はイソシアネートと反応するOH基が分子鎖の両末端にしかないため、イソシアネートを添加しても密な三次元架橋は形成されず柔軟性は保てる。
(1)「弾性層と表面層をもつ2層構成以上の中間転写ベルトにおいて、表面の光沢度が30以上(測定角20°)であり、弾性層の材料単体の微小マルテンス硬度HMdと弾性層上に積層する表面層の材料単体の微小マルテンス硬度HMhの関係がHMd<HMhであり、弾性層の材料単体の微小マルテンス硬度HMdが0.01N/mm2≦HMd≦10N/mm2であり、弾性層上に積層する表面層の材料単体の微小マルテンス硬度HMhが0.5N/mm2≦HMh≦300N/mm2であって、前記表面層が分子量10000以上の熱可塑性のウレタン系樹脂とイソシアネート化合物との混合物から形成されていることを特徴とする中間転写ベルト。」
(2)「弾性層の材料単体の微小マルテンス硬度HMdが0.01N/mm2<HMd≦2Nmm2であり、弾性層上に積層する表面層の材料単体の微小マルテンス硬度HMhが5N/mm2≦HMh≦100N/mm2であることを特徴とする前記(1)項に記載の中間転写ベルト。」
(3)「前記熱可塑性のウレタン系樹脂がウレタン変性ポリエステル共重合樹脂であることを特徴とする前記(1)項又は(2)項に記載の中間転写ベルト。」
(4)「前記イソシアネート化合物がポリメリックMDI(4,4’及び2,4’−Diphenylmethane diisocyanateを含むジアミノジフェニルメタンのホスゲン化による縮合生成物)であることを特徴とする前記(1)項乃至(3)項のいずれかに記載の中間転写ベルト。」
(5)「前記ポリメリックMDI(4,4’及び2,4’−Diphenylmethane diisocyanateを含むジアミノジフェニルメタンのホスゲン化による縮合生成物)が水分との反応によりウレア体を形成していることを特徴とする前記(4)項に記載の中間転写ベルト。」
(6)「光学的反射濃度センサを搭載し、前記(1)項乃至(5)項のいずれかに記載の中間転写ベルト上のトナーパターンを検知するシステムを備えることを特徴とする画像形成装置。」
熱可塑性ウレタン樹脂中にイソシアネート化合物を混合させることにより、イソシアネートが硬化し、表面層に適度な硬度を持たせることができ、表面硬度を上げることで二次転写時のトナー離型性を向上させることができる。
またフッ素系材料を用いないことで必要以上に表面エネルギーが下がらないため一次転写率を向上することができる。
4つの異なる色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のトナー像を形成するための4つの感光体ドラム(21BK)、(21Y)、(21M)、(21C)を備えた4ドラム型のデジタルカラープリンタの一構成例を示す。
画像信号を元に画像処理部で画像処理して画像形成用の黒(BK)、マゼンタ(M)、イエロー(Y),シアン(C)の各色信号に変換し、画像書込部(12)に送信する。画像書込部(12)は、例えば、レーザ光源と、回転多面鏡等の偏向器と、走査結像光学系、及びミラー群、からなるレーザ走査光学系であり、上記の各色信号に対応した4つの書込光路を有し、画像形成部の各色毎に設けられた像坦持体(感光体)(21BK)、(21M)、(21Y)、(21C)に各色信号に応じた画像書込を行なう。
この各色用の各感光体としては、通常OPC感光体が用いられる。各感光体(21BK)、(21M)、(21Y)、(21C)の周囲には、帯電装置、上記書込部(12)からのレーザ光の露光部、黒、マゼンタ、イエロー、シアンの各色用の現像装置(20BK)、(20M)、(20Y)、(20C)、1次転写手段としての1次転写バイアスローラ(23BK)、(23M)、(23Y)、(23C)、クリーニング装置(表示略)、及び図示しない感光体除電装置等が配設されている。なお、上記現像装置(20BK)、(20M)、(20Y)、(20C)には、2成分磁気ブラシ現像方式を用いている。ベルト構成部である中間転写ベルト(22)は、各感光体(21BK)、(21M)、(21Y)、(21C)と、各1次転写バイアスローラ(23BK)、(23M)、(23Y)、(23C)との間に介在し、各感光体上に形成された各色のトナー像が順次重ね合わせて転写される。
このベルトクリーニング装置(25)の下流側には、潤滑剤塗布装置(表示略)が配設されている。この潤滑剤塗布装置は、固形潤滑剤と、中間転写ベルト(22)に摺擦して固形潤滑剤を塗布する導電性ブラシとで構成されている。該導電性ブラシは、中間転写ベルト(22)に常時接触して、中間転写ベルト(22)に固形潤滑剤を塗布している。固形潤滑剤は、中間転写ベルト(22)のクリーニング性を高め、フィルミィングの発生を防止し耐久性を向上させる作用がある。
基層の樹脂の種類は例えば難燃性などを考慮して、PVDF、ETFEなどのフッ素系樹脂や、ポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂等が好ましく、機械強度(高弾性)や耐熱性の点から、特にポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂が好適である。また電気抵抗調整材としては、金属酸化物やカーボンブラック、イオン導電剤、導電性高分子材料などがある。金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素等が挙げられる。また、分散性をよくするため、前記金属酸化物に予め表面処理を施したものも挙げられる。
カーボンブラックとしては、例えば、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ガスブラック等が挙げられる。
イオン導電剤としては、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルサルフェート、グルセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエステル、アルキルベタイン、過塩素酸リチウム等が挙げられ、これらを併用して用いてもよい。
電気抵抗調整材は、好ましくは表面抵抗で1×108〜1×1013Ω/□、体積抵抗で1×106〜1×1012Ω・cmとなる量とされるが、機械強度の面から成形膜が脆く割れやすくならない範囲の量を選択して添加することが必要である。
弾性層は各種ゴムやエラストマーを用いることができる。具体的にはスチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、エピハロヒドリンゴム、フッ素系ゴム、シリコーン系ゴム、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエチレン酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。またゴムや樹脂の種類により、電気抵抗が異なる上記基層と同様に適宜、電気抵抗調整材で調整する必要がある。
紙への凹凸転写性を向上させるために、弾性層の微小マルテンス硬度(HMd)は0.01N/mm2<HMd≦10N/mm2が好ましく、そのなかでも0.01N/mm2<HMd≦2が好ましい。
弾性層の膜厚は、薄すぎると紙への凹凸転写性が向上しないため、50μm以上が好ましく、更には100μm以上が好ましい。また、ローラで加圧することを考えると、500μm以下が好ましい。
中間転写ベルトの表面層は柔軟性と光沢を兼ね備える材料であって、弾性層に追従し柔軟性もたせることができ、分子鎖中にイソシアネートと反応しうるOH基を持たないか、または多量に(水酸基価が5mgKOH/g以下)持たない熱可塑性樹脂か熱可塑性エラストマーとポリメリックイソシアネートとの混合物が好ましい。熱可塑性樹脂やエラストマーは酢酸ビニル系やポリアミド系など柔軟性や追従性、シワができても復元する材料であれば種類は問わないが、なかでもウレタン系樹脂が好ましく、その中でも、ウレタン変性ポリエステル共重合樹脂が好ましい。
本発明においては、イソシアネート材料の添加量は、使用するベース樹脂の種類や性質にもよるが、一般的にベース樹脂固形分量100重量部当り10〜30重量部であることが好ましい。溶剤は熱可塑性ポリウレタンが溶解可能であるメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トルエンなどを挙げることができるが、残留溶媒や作業性を考慮するとメチルエチルケトンが好ましい。乾燥条件はNCOの反応や、樹脂の融点、溶剤の揮発を考慮して120℃程度、30分の乾燥が好ましい。養生は湿度80%、で24〜48時間行うことが好ましい。
表面層の材料単体の微小マルテンス硬度HMhが0.5N/mm2≦HMh≦300N/mm2であることが好ましく中でも5N/mm2≦HMh≦100N/mm2であることが好ましい。
また弾性層の紙への凹凸追従性を失わないために、表面層の厚みは20μm以下が好ましく、中でも5μm以下が好ましい。
≪サンプル作製≫
<転写率,光沢度,屈曲シワ測定用サンプル作製>
下記に記した各塗工液を調製し、この塗工液を用いて表層を弾性層/基層上に塗工して中間転写ベルトとした。
ウレタン(ウレハイパー1627;DIC社製)100部に対し、N,N−ジメチルホルムアミド40部と混合し、弾性層塗工液とした後、ポリイミド基層上に塗工し、架橋させた。
・ベース樹脂液
ウレタン変性ポリエステル共重合樹脂;バイロンUR3210(東洋紡社製)をメチルエチルケトンで固形分5%に調整した。
ポリメリックMDI;ミリオネートMR100(日本ポリウレタン社製)をメチルエチルケトンで固形分5%に調整した。
上記ベース樹脂液50wt%とイソシアネート液を50wt%各割合で混合し、スプレーにて弾性層上に塗工し、120℃で30分加熱し、2日養生させて表面層とした。表面層は2μmとなるようにした。
上記ベース樹脂液95wt%とイソシアネート液を5wt%各割合で混合し、スプレーにて弾性層上に塗工し、120℃で30分加熱し、2日養生させて表面層とした。表面層は2μmとなるようにした。
上記ベース樹脂液を、スプレーにて弾性層上に塗工し、120℃で30分加熱し、2日養生させて表面層とした。表面層は2μmとなるようにした。
表層を積層せず、弾性層をそのまま用いた。
<微小硬度測定用サンプル作製>
なお、表面の微小硬度は表面層材料のみの硬度を測るため、上記実施例ならびに比較例で用いた溶液を50μmの厚みになるようにガラス板上に塗工し、120℃で30分乾燥させた。
<転写率測定>
2次転写率の評価は、実施例1〜2と比較例1〜4の中間転写ベルトを、1次転写、2次転写ができる単体機にてベタ画像を出力し、中間転写ベルトから紙へのトナー移動量を量ることで評価した。
<光沢度測定>
光沢度はグロスチェッカIG−331(堀場製作所社製)を用いて、測定角20°で測定した。
<屈曲シワ測定>
屈曲シワの測定は、MIT耐折疲労試験機(東洋精機社製)を用い、荷重1Kg、速度175CPM、屈曲角度45°、屈曲回数10回後のサンプルを目視で評価した。
<微小硬度測定>
微小硬度の測定は、超微小硬度計HM2000を用い、2mN/secの定荷重で測定した。
10 プリンタ本体
12 画像書込部
13 画像形成部
14 給紙部
15 定着装置
16 レジストローラ
20BK、20M、20Y、20C 現像装置
21BK、21M、21Y、21C 感光体
22 中間転写ベルト
23BK、23M、23Y、23C 1次転写バイアスローラ
25 ベルトクリーニング部材
26 ベルト駆動ローラ
27 ベルトクリーニング部材
28 光学センサ
50 転写搬送ベルト
60 2次転写バイアスローラ
70 除電ローラ
Claims (6)
- 弾性層と表面層をもつ2層構成以上の中間転写ベルトにおいて、表面の光沢度が30以上(測定角20°)であり、弾性層の材料単体の微小マルテンス硬度HMdと弾性層上に積層する表面層の材料単体の微小マルテンス硬度HMhの関係がHMd<HMhであり、弾性層の材料単体の微小マルテンス硬度HMdが0.01N/mm2≦HMd≦10N/mm2であり、弾性層上に積層する表面層の材料単体の微小マルテンス硬度HMhが0.5N/mm2≦HMh≦300N/mm2であって、前記表面層が分子量10000以上の熱可塑性のウレタン系樹脂とイソシアネート化合物との混合物から形成されていることを特徴とする中間転写ベルト。
- 弾性層の材料単体の微小マルテンス硬度HMdが0.01N/mm2<HMd≦2Nmm2であり、弾性層上に積層する表面層の材料単体の微小マルテンス硬度HMhが5N/mm2≦HMh≦100N/mm2であることを特徴とする請求項1に記載の中間転写ベルト。
- 前記熱可塑性のウレタン系樹脂がウレタン変性ポリエステル共重合樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の中間転写ベルト。
- 前記イソシアネート化合物がポリメリックMDI(4,4’及び2,4’−Diphenylmethane diisocyanateを含むジアミノジフェニルメタンのホスゲン化による縮合生成物)であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の中間転写ベルト。
- 前記ポリメリックMDI(4,4’及び2,4’−Diphenylmethane diisocyanateを含むジアミノジフェニルメタンのホスゲン化による縮合生成物)が水分との反応によりウレア体を形成していることを特徴とする請求項4に記載の中間転写ベルト。
- 光学的反射濃度センサを搭載し、請求項1乃至5のいずれかに記載の中間転写ベルト上のトナーパターンを検知するシステムを備えることを特徴とする画像形成装置。
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