JP4705723B2 - モータ用ステータの組立方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータ用ステータの組立方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
12に例示したように、従来のモータのステータ200は、等角度ピッチで配列する多数の突極201を備えている。そして、このステータ200の各突極201には、巻線機100を用いて電線103が巻着される。
巻線機100は、昇降可能でかつその軸線を中心として回動することができるノズルバー101と、このノズルバー101の上端部両側に突設した一対のノズル102とを備え、上記のノズル102の先端開口102aから電線103を繰出すように作用する。
【0003】
この巻線機100を用いた巻線作業では、上記ノズル102から電線103を繰出しながら上記ノズルバー101を昇降および往復回動させる。これにより、ノズル102の先端部は、ステータ200被巻線部であるステータ突極201の近傍で一定方向に周回移動され、その結果、該突極201に電線103が巻回される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のステータ200の構造によれば、上記巻線時に、その各突極201間に形成されたスロット202およびスロット開口部202aに上記ノズル102を通過させることになる。図13には、このスロット202おけるノズル102の通過域202bが斜線で示されている。
【0005】
上記通過域202bは、巻線が存在しないデッドゾーンになる。したがって、この従来のステータ200では、電線103の巻回数が制限を受けて、高出力、高効率のモータを作成することが困難になる。
また、スロット開口202a部の幅を上記ノズル102を通過させ得る大きさに設定しなければならないので、ロータへのステータの対向面積が減少することになり、これは高出力、高効率のモータを実現する上での支障になっている。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、巻線のデッドゾーンを激減して、高出力、高効率のモータを実現することが可能なモータ用ステータの組立方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係るモータ用ステータの組立方法は、所定の隙間をおいて円周上に配列する複数のコアブロックを、該各コアブロックの上端面に配した鋼板からなる第1の環状連結板と、前記各コアブロックの下端面に配した鋼板からなる第2の環状連結板とによって連結するステップと、前記各コアブロックに巻線を施すステップと、前記第1、第2の環状連結板における前記各コアブロックの隙間に位置する部位に形成された細幅部を該コアブロック側に折り曲げ、ついで、前記各コアブロックからなる環状体を縮径させるステップと、を含む。
本発明の好ましい実施例では、前記環状連結板の折り込み部分が前記コアブロックに形成した溝内に収容される
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の方法にしたがって組立てられたモータ用ステータの一例を示している。
このステータ10は、ステータコア20と、このステータコア20の上端面側および下端面側にそれぞれ配設したステータカバー30とを備えている。
ステータコア20は、環状に連接された複数(この例では、12個)のコアブロック21と、各コアブロック21の上端面および下端面に配した環状の連結板22とによって構成されている。また、ステータカバー30は、環状に連接された複数(コアブロック21と同数)のカバー部材31によって構成されている。
【0009】
図2は、各コアブロック21に電線40を巻回している状態を示している。この図2に示すように、この実施形態に係るステータ10では、各コアブロック21を径外方向に拡開した状態で巻線作業を実施し、その後、図1に示すように、該各コアブロック21を径内方向に縮閉する。なお、巻線作業の手順等については後述する。
【0010】
図2に示すように、各コアブロック21は、中間ブロック部21Aとこの中間ブロック部21Aを挟む端部コアブロック部21Bとを一体化したものである。この中間コアブロック部21Aおよび端部コアブロック部21Bは、図3に示すように、それぞれ略T字状の鋼板からなるコア片21aおよび21bを積み重ねた成層鉄心構造を有している。
【0011】
コア片21aとコア片21bは、該コア片21bがその外方側部分における両側端面の内方角部に切欠23を形成してある点を除き、同一の形状を有する。中間コアブロック部21Aの各コア片21a相互および端部コアブロック部21Bの各コア片21b相互は、カシメ嵌合等の手段によって一体結合され、また、各ブロック部21A,21B相互も同様の手段によって一体結合されている。
【0012】
前記環状連結板22は、ほぼコア片21bを環状に連接した形状を有し、コア片21bに形成した上記切欠23の上方に位置する部位に細幅部22aを形成してある。また、前記カバー部材31は、電気絶縁性材料からなり、図5に示すような形状を有する。図2に示すように、このカバー部材31は、前記コアブロック21の上下からそれぞれ挿着されて、前記電線40の巻枠を構成する。
【0013】
図6は図3のA矢視図であり、図7は図のB矢視図である。図6に示すように、上記端部コアブロック部21Bの切欠23は、上下に沿う段部を形成している。また、図7に示すように、各コアブロック21間には、広いスロット空間24が形成されているので、後述のノズル50を用いて斜線で示す領域まで電線40を巻くことができる。
【0014】
上記各コアブロック21に対しては、該コアブロック21が径外方向に拡開した図2の状態で巻線が施される。すなわち、図示していないノズルバーに支持されたノズル50を、カバー部材31の周りで周回運動させる。ノズル50は、上記周回運動に伴ってその先端から電線40を繰出すので、コアブロック21の被巻線部には上記カバー部材31を介して電線40が巻かれる。
【0015】
隣り合うコアブロック21が離間している状態で実施されるこの巻線作業では、ノズル50を周回させるための空間が十分に確保されるので、電線40を図7に示した広い領域に巻くことが可能である。
なお、あるコアブロック21に対する巻線が終了すると、上記ノズル50が隣接する他のコアブロック21まで旋回変位されて、この他のコアブロック21に対する巻線作業が実行される。
【0016】
全てのコアブロック21に対する巻線作業が終了すると、図8に示すポンチ60によって上記各環状連結板の細幅部22aが端部ブロック部21B側に折り曲げられ、ついで、図示していない加圧手段によって各コアブロック21からなる環状体が径内方向に加圧されて縮径される。
これにより、各コアブロック21の側端面が当接するとともに、前記端部コアブロック部21Bの切欠23(図3参照)によって形成された溝25内に上記折り曲げられた環状連結板の細幅部22aが折畳まれた状態ではめ込まれることになる。
なお、図4には、折畳まれた状態の環状連結板の細幅部22aと、上記加圧によって閉じ合わされた各中間コアブロック部21Aおよび各端部コアブロック部21Bとが示されている。
【0017】
図9は、図8のC矢視図である。この図9に示すように、上記加圧による各コアブロック21の当接によって、図7に示すスロット空間24よりも狭いスロット26が形成され、その結果、斜線で示す各巻線領域相互が極めて接近した状態になる。
【0018】
以上のようにようにして形成された巻線済みステータ10は、必要に応じて、図10に示すように、各コアブロック21の接合部がレーザ溶接、接着剤等の手段によって接着処理27される。そして、図11に示すように、円筒状のモータケース70に挿入され、いわゆる焼バメ処理によってこのモータケース70に固定される。
【0019】
上記実施形態に係るモータ用ステータ10の組立方法によれば、図2に示したように、各コアブロック21が拡げられた状態、換言すれば、各コアブロック21によって形成されるスロットおよびスロット開口部が拡大された状態で電線40を巻くことができる。従って、大きな巻線領域を確保して高密度な巻線を施すことができる。
【0020】
なお、ステータ10の構成要素である図3に示す環状結合板22と、中間コアブロック部21Aのコア片21aおよび端部コアブロック部21Bのコア片21bは、いわゆる順送り金型装置によって形成することができる。これらは、この金型装置のダイ内に順次抜き込まれ、その際、抜き込み圧力によって互いにカシメ結合される。したがって、上記ダイからは、環状結合板22と、中間コアブロック部21Aおよび端部コアブロック部21Bとが一体化された状態で取出されることになる。
【0021】
【発明の効果】
本発明のモータ用ステータの組立方法は、所定の隙間をおいて円周上に配列する複数のコアブロックを鋼板からなる環状の連結板によって連結するステップと、前記各コアブロックに巻線を施すステップと、前記環状連結板の前記各コアブロックの隙間に位置する部位を該隙間に折り込みながら前記各コアブロックからなる環状体を縮径させるステップとを含むので、各コアブロックが拡げられた状態で、換言すれば、各コアブロックによって形成されるスロットおよびスロット開口部を拡大した状態で電線を巻くことができる。
したがって、巻線デッドゾーンを激減して高密度な巻線を施すことが可能になり、その結果、より高出力、高効率のモータを実現することが可能になる。また、スロット開口部の狭幅化が可能になるので、ロータコアまたはロータマグネットとの対向面積を増大して、モータの出力アップおよび効率アップを図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る組立方法にしたがって組立てられたモータ用ステータの一例を示す斜視図。
【図2】コアブロックを径外方向に拡げた状態での巻線作業の態様を示す斜視図。
【図3】拡げられた状態のコアブロックを示す斜視図。
【図4】閉じられた状態のコアブロックを示す斜視図。
【図5】カバー部材の形状を示す斜視図。
【図6】図3のA矢視図。
【図7】図6のB矢視図。
【図8】環状結合板の細幅部を折畳み変形させた状態を示す部分図。
【図9】図8のC矢視図。
【図10】コアブロックの接着部を示す部分平面図。
【図11】ステータをモータケースに焼バメした状態をしめす断面図。
【図12】従来の巻線方法の実施形態を示す斜視図。
【図13】巻線デッドスペースを示す部分平面図。
【符号の説明】
10 ステータ
20 ステータコア
21 コアブロック
21A 中間コアブロック部
21B 端部コアブロック部
21a,21b コア片
22 連結板
22a 細幅部
23 切欠
25 溝
26 スロット
30 ステータカバー
31 カバー部材
40 電線
50 ノズル
60 ポンチ
70 モータケース

Claims (2)

  1. 所定の隙間をおいて円周上に配列する複数のコアブロックを、該各コアブロックの上端面に配した鋼板からなる第1の環状連結板と、前記各コアブロックの下端面に配した鋼板からなる第2の環状連結板とによって連結するステップと、
    前記各コアブロックに巻線を施すステップと、
    前記第1、第2の環状連結板における前記各コアブロックの隙間に位置する部位に形成された細幅部を該コアブロック側に折り曲げ、ついで、前記各コアブロックからなる環状体を縮径させるステップと、
    を含むモータ用ステータの組立方法。
  2. 前記環状連結板の折り込み部分を、前記コアブロックに形成した溝内に収容するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のモータ用ステータの組立方法。
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