JP3695101B2 - モータ用整流子及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、モータ用整流子及びその製造方法に関し、詳しくは整流子を構成する複数のセグメントのうち、各々対向するセグメント同士を短絡させる技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のモータ用整流子として特開昭49−12522号公報や実公昭58−56578号公報に記載されているものが知られている。従来の整流子1′を備えたモータ7の一例を図13に示す。図13において、整流子1′を備えた直流モータ7は、ケース20の内周面に4極のマグネット21が筒形に設置され、マグネット21の内側に3極のロータ鉄心22が回転自在に設置され、ロータ鉄心22の軸23に固定された整流子1′にカーボンブラシ24が摺動自在に接触している。整流子1′は、複数のセグメント3に分割されており、図14に示すように、コイル等の渡り線90の端部をセグメント3のライザ部40に接続固定することによって、各々対向するセグメント3間を短絡させている。図中の25は軸受、26は鉄心コイル、27はファン、28はワッシャー、29はブラシホルダである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来のように整流子1′の外部で、渡り線90を用いて対向するセグメント3同士を短絡させる方法にあっては、渡り線90を鉄心コイル26と整流子1′との間を通さなければならず、このとき渡り線90同士、或いは鉄心コイル26と渡り線90とが接触してレアショートが発生するという品質上の問題があり、また、渡り線90の線処理及び接合工数が多くなり、作業に長時間を要するという問題もある。さらに、ロータ鉄心22と整流子1′との間に渡り線90の配線スペースを確保しなければならず、モータ7のサイズが大きくなるという問題もあった。
【0004】
なお、他の従来例として、例えば特開平8−331812号公報に平板整流子を用いて短絡させる構造が知られているが、この場合、平板の表面又は裏面を利用してセグメント間を短絡させることは可能であるが、しかしながら、直流モータに用いる整流子にあっては、セグメントの裏面には通常金属製の軸が通っており、導電性の渡り線を配置することができないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記従来例に鑑みてなされたもので、セグメント間の線処理及び接合工数を削減して、作業時間を大幅に短縮できると共に、レアショートの発生防止を図ることができ、さらにモータのサイズを小さくできるモータ用整流子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、2n個(nは2以上の整数)のセグメント3を筒状に配置して、各々対向するセグメント3同士を短絡部材4により短絡させて成るモータ用整流子であって、2n個のセグメントを備えたセグメント母材から短絡部材を切り起こしにより形成して、各々対向するセグメント3同士をセグメント3の内側で短絡させて成ることを特徴としている。このように2n個のセグメントを備えたセグメント母材から短絡部材を切り起こしにより形成したから、セグメント母材の切り起こし加工によって対向する2個のセグメント同士の短絡をより簡単に行うことができる。また対向するセグメント3,3間を短絡部材4を用いてセグメント3内部で短絡させることにより、従来のような渡り線を用いて整流子1の外部で配線する場合と比較して、セグメント3間の線処理及び接合作業が容易となり、しかも短絡部材4と鉄心コイルとの間でのレアショートの発生を防止できる。
【0007】
また本発明に係るモータ用整流子の製造方法は、2n個(nは2以上の整数)のセグメント3を備えたセグメント母材2と、各々対向するセグメント3,3間を短絡させる短絡部材4と、絶縁材9とでモータ用整流子を製造する方法であって、先端部4aが自由端となった複数の短絡部材4をセグメント母材2に一体に形成し、次に、短絡部材4をセグメント3の内側に折り曲げた後にこの短絡部材4の先端部4aをセグメント母材2に溶接する工程を各短絡部材4ごとに繰り返した後に、セグメント母材2の内部に絶縁材9を充填することを特徴としている。このように対向するセグメント3,3間を短絡部材4を用いてセグメント3内部で容易に短絡させることができ、しかも、短絡部材4はセグメント3と一体形成されているので、分割された対向するセグメント3が予め短絡された構造となり、セグメント3間の線処理及び接合工数を削減できる。さらに、絶縁材9を充填する前に、短絡部材4の先端部4aの1箇所だけをセグメント母材2に溶接すればよいので、溶接箇所が減り、作業時間をより短縮できる。
【0008】
また本発明に係るモータ用整流子の製造方法は、2n個(nは2以上の整数)のセグメント3を備えたセグメント母材2と、各々対向するセグメント3,3間を短絡させる短絡部材4と、絶縁材9とでモータ用整流子を製造する方法であって、短絡部材4をセグメント母材2の内面に圧入により仮止めした後にこの短絡部材4を溶接する工程を各短絡部材4ごとに繰り返した後に、セグメント母材2の内部に絶縁材9を充填することを特徴としている。従って、対向するセグメント3,3間を短絡部材4を用いてセグメント3内部で容易に短絡させることができ、しかも短絡部材4はセグメント3と一体形成されているので、分割された対向するセグメント3が予め短絡された構造となり、セグメント3,3間の線処理及び接合工数を削減できるうえに、セグメント3を形成した後に、セグメント3に短絡部材4を後付けにより接続できるので、製造工程を一層簡略化できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態の一例として、コイルが巻かれるロータ鉄心に対向してマグネットが配設されてなる直流モータであって、ロータ鉄心の軸に給電用ブラシが摺動する整流子1を固定した構造を説明する。
整流子1は、図1に示すように、6個のセグメント3に分割されており、各々対向するセグメント3,3間を整流子1の内部に配した短絡部材4により短絡させてある。なお、セグメント3の数は6個に限られず、2n(nは2以上の整数)であればよい。図1中の11は鉄心コイルに接続されるライザ部、80は絶縁材9に係止されるフック部である。
【0010】
上記短絡部材4は導電材から成り、図2(a)に示すように、対向する2つのセグメント3の上端部に突設された一対の接合部5と、接合部5同士を連結する帯状の連結部6とで一体的に形成されている。図2(b)は、短絡部材4をセグメント3の内面に沿って折り曲げた場合を示しており、図2(c)は短絡部材4の高さH1 ,H2 ,H3 を異ならせた3つのセグメントブロック12を示している。
【0011】
ここで、フープ材(セグメント母材)を打ち抜いて、2個のセグメント3を短絡部材4で一体に接続したセグメントブロック12を3つ形成し、その後、短絡部材4をセグメント3の内面に折り曲げて対向する2つのセグメント3を互いに向かい合うようにして、3つのセグメントブロック12を60°毎にずらして金型内にセットし、成形材料を用いて同時成形を行うことにより、セグメント基台10に3つのセグメントブロック12が一体化された整流子1を得ることができる。なお、セグメントブロック12を支持するセグメント基台10を予め成形しておき、これに3個のセグメントブロック12を挿入設置して、リング(図示せず)により圧入固定するような組立て方法を採用することも可能である。
【0012】
上記のように、対向するセグメント3,3間を短絡させる短絡部材4をセグメント3の内面側に配置したことによって、対向するセグメント3,3間をセグメント3内部で短絡させることができる。従って、従来のような渡り線を整流子1の外部で線処理する必要がなく、しかも、短絡部材4を曲げ加工して、高さ方向に寸法差を設けることによって、セグメントブロック12間での短絡部材4同士が接触するのを防止でき、さらに、短絡部材4と鉄心コイルとの接触を防止できるので、レアショートが生じるという品質上の問題もなくなる。しかも、2つのセグメント3と短絡部材4とを一体的に形成してセグメントブロック12を構成したことにより、分割された対向するセグメント3を予め短絡させることができ、セグメント3間の線処理及び接合工数をより削減でき、作業時間を大幅に短縮(従来比50%)することができる。さらに、短絡部材4をセグメント3内部に配置したことで、従来のようにロータ鉄心と整流子1との間に渡り線スペースを確保したりする必要もないので、モータのサイズを小さくできるという効果も得られる。
【0013】
また本実施形態では、セグメント母材2に一体に形成された帯状の短絡部材4をセグメント3の内側に折り曲げて、薄板状のセグメント母材2をカーリング曲げするようにしたから、セグメント3の内側に短絡部材4を配した構造でありながら、セグメント3が外側に大きく膨らむのを防止できる。また、短絡部材4でつながれた2つのセグメント3を打ち抜きによって一体的に形成することで、セグメントブロック12を容易に作製できるという利点もある。
【0014】
図3は他の実施形態を示しており、6個のセグメント3を備えたセグメント母材2に短絡部材4を切り起こしにより形成してある。図3(a)に示す実施形態では、径方向に展開されたフープ材の打ち抜き時に、対向する2つのセグメント3同士を短絡させるための短絡部材4を切り起こしにより同時形成した場合を示している。図中の13は給電用ブラシが摺動するブラシ摺動面、14はスリットの形成部位である。図3(b)は切り起こし形成された3つの短絡部材4がそれぞれセグメント3の内部に位置するように、セグメント母材2をカーリング曲げ加工した後で、スリットを形成した場合を想定したものである。このように、対向する2つのセグメント3同士を短絡させる短絡部材4を切り起こしにより形成したことによって、2つのセグメント3同士の短絡を1回の工程で簡単に行うことができ、作業時間をより短縮できる。さらに前記図2の実施形態では、3つのセグメントブロック12をそれぞれ金型内に挿入する必要があったが、本実施形態では、6個のセグメント3が一体に形成されているので、金型への挿入作業が1回で済み、作業時間を更に削減できるという利点もある。
【0015】
図4は、更に他の実施形態を示しており、6個のセグメント3を備えたセグメント母材2に短絡部材4を打ち抜きにより形成した場合を示している。図4(a)に示す実施形態では、フープ材のセグメント部として使用しない両端部の2箇所を打ち抜いて短絡部材4を形成し、この短絡部材4を介して対向する2つのセグメント3を短絡させた場合を示しており、図4(b)は短絡部材4をセグメント3の内側に折り曲げた状態を示している。しかして、本実施形態ではフープ材のセグメント部として使用しない両端部の2箇所を打ち抜いて短絡部材4を形成したことによって、図3のようにセグメント部として使用する部分に短絡部材4を形成した場合と比較して、セグメント3の上下長を短くでき、セグメント3の材料の使用量を少なくでき、材料コストの低減を図ることができる。尚本実施形態では、3つ必要な短絡部材のうち、2つの短絡部材4をセグメント母材2に一体形成しているため、短絡部材4で短絡されていない残りの対向する2個のセグメント3同士はコイル等の渡り線によって短絡させる必要がある点で、図3の実施形態の場合とは異なる。
【0016】
図5は更に他の実施形態を示しており、6個のセグメント3を備えたセグメント母材2と短絡部材4とを別部材で構成した場合を示している。本実施形態では、カーリング曲げされたセグメント母材2にスリット14を形成した後に、セグメント3の内側において、対向する2個のセグメント3同士を導電性の別部材、例えばコイルのような柔軟な線材15を用いて短絡させるものである。このようにセグメント3を形成後に線材15にてセグメント3同士を短絡させることによって、短絡部材4を後付けにより接続でき、製造工程をより簡略化することができる。
【0017】
図6は更に他の実施形態を示している。本実施形態では、6個のセグメント3を備えたセグメント母材2を絞り加工で形成したものである。前記図3〜図5の各実施形態では、打ち抜き、曲げ加工によってセグメント3を形成していたが、図6(a)に示す実施形態では、先ず図6(a)のようにフープ材に絞り加工を施してカップ状のセグメント母材2を形成し、その後、打ち抜きによって短絡部材4を形成した場合を示している。なお、短絡部材4の打ち抜きは図3又は図4の実施形態と同様にして行うことができる。図6(b)はカップ状のセグメント母材2に打ち抜き、曲げ加工を施した場合を示しており、図6(c)はセグメント3を金型内にセットして成形材で同時成形した後にスリット加工を行った状態を示している。このように、6個のセグメント3を備えたセグメント母材2を形成するにあたって、フープ材をカップ状に絞り加工する方法を採用したことによって、セグメント3の面振れ、面粗さを改善できるようになり、従って、後述の外径切削工程(図7)を削減することができ、製造工程を一層簡略化できるようになる。
【0018】
次に、前記各実施形態では、セグメント3を支持するセグメント基台10が合成樹脂で構成されているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、セグメント基台10を耐熱性の高いセラミックで構成してもよいものである。この場合、セグメント基台10の耐熱性が高められ、大電流の流れる発熱の大きい用途のモータにも最適に使用可能となる。
【0019】
図7は整流子1の製造工程の一例を示している。図7において、プレス加工によって得られたセグメント母材及び短絡部材にメッキ加工を施した後に短絡部材の折り曲げ加工、メッキ加工、溶接等を経てセグメント組立品を得、これを金型内にセットして合成樹脂を同時成形した後に、外径切削加工等を施すものである。なお、図7の製造工程の変形例として、各短絡部材をセグメントの内側に折り曲げた後にこの折り曲げた短絡部材の先端部をセグメント母材にそれぞれ溶接し、その後、セグメント母材の内部に絶縁材を充填するようにしてもよいものであり、さらに他の方法として、先端部が自由端となった短絡部材をセグメントの内側に折り曲げた後にこの短絡部材の先端部をセグメント母材に仮止めする工程を各短絡部材ごとに繰り返した後に、セグメント母材の内部に絶縁材を充填し、その後、各短絡部材の先端部とセグメントとを溶接するようにしてもよいものである。これら製造工程の一例を図8〜図11に示す。
【0020】
図8は、自由端となった3つの短絡部材4をセグメント母材2に一体に形成し、次に、短絡部材4をセグメント3の内側に折り曲げた後にこの短絡部材4の先端部4aをセグメント母材2に溶接する工程を各短絡部材4ごとに繰り返した後に、セグメント母材2の内部に絶縁材を充填する場合の一例を示しており、図9は完成品である整流子1を示している。図8において、短絡部材4は、対向する2個のセグメント3にそれぞれ接合される2つの接合部5とこの2つの接合部5同士を連結する連結部6とが一体に形成されている。連結部6はリング状に形成されており、接合部5は連結部6の相対向する2箇所からそれぞれ立設されており、接合部5の上端部は外側に向けてそれぞれ屈曲形成されている。2つの接合部5のうち、一方の接合部5は折曲部16を介して一方のセグメント3の上端部に連続形成されており、他方の接合部5は他方のセグメント3の上端部に設けた凹部3aに嵌め込まれた後に溶接されるものである。なお、短絡部材4は高さ方向に寸法差が設けられている点は図1、図3の実施形態と同様である。しかして、先端部4aが自由端となった短絡部材4をセグメント母材2の上端縁の3箇所に一体に形成し、次に、短絡部材4を折曲部16から内側に折り曲げた後に短絡部材4の先端部4aをセグメント母材2に溶接する工程をすべての短絡部材4において同様に繰り返すことにより、3つの短絡部材4をセグメント母材2に容易に固定でき、各々対向する2つのセグメント3同士を容易に短絡させることができる。その後、セグメント母材2の内部に絶縁材9を充填することにより、図9に示す整流子1が得られる。このように、各短絡部材4の一方の接合部5に折曲部16を設け、この折曲部16を介してセグメント3に連続形成したから、短絡部材4の溶接箇所は他方の接合部5のみとなり、溶接箇所が1/2となり、溶接に時間がかからず、接合作業を短縮することができる。
【0021】
図10及び図11は、短絡部材4とセグメント3とを別体で構成した場合を示しており、高さ方向に寸法差を持った3つの短絡部材4(4A,4B,4C)の外径D1 をセグメント母材2の内径D2 よりも若干大きめにそれぞれ設定し、各短絡部材4をセグメント母材2の内面に圧入によりそれぞれ仮止めするようにしたものである。しかして、3つの短絡部材4を60°毎にずらして且つ高さ方向に間隔をおいて、セグメント母材2の内面に圧入して仮止めすることにより、短絡部材4の溶接作業を容易に行うことができ、溶接精度を高めることができる。しかも3つの短絡部材4を同じ形状に構成できるので、短絡部材形成用の金型を共通使用でき、金型コストの削減を図ることができるものである。なお、上記のように仮止めした後で、セグメント母材2の内部に成形材料を充填し、その後、短絡部材4の接合部5を溶接する方法、或いは仮止めした後に溶接し、その後、セグメント母材2の内部に絶縁材9を充填する方法のいずれであってもよい。
【0022】
図12は、高さ方向に寸法差を持った短絡部材4(4A,4B,4C)を用いて、対向するセグメント3を接合する場合において、セグメント母材2と短絡部材4とを銅を主成分とする材料(例えば100%の純銅、或いは5%の銀入り銅等)で構成し、セグメント母材2と短絡部材4にニッケルめっきを施した後に、短絡部材4の仮止めを行い、その後、両者の境界部50にYAGレーザー装置にてレーザーを照射して、セグメント母材2と短絡部材4のそれぞれの銅部分を溶融させて接合する場合を示している。ここで、銅/銅のレーザー溶接では、銅の反射率が約90%と高く、つまりエネルギーの吸収が悪く、高エネルギーが必要となるが、ニッケルめっきを施すことによって、反射率を90%から約72%程度に落とすことができる。つまり、反射率が低くなりレーザー溶接が容易となる。また、抵抗溶接の場合は圧接による接合であるのに対して、レーザー溶接では銅同士の溶融となるので、接合部5の信頼性の向上につながる。さらに整流子1のライザ部11(図1)と鉄心コイルとを接合する場合にも、ライザ部11にニッケルめっきが施されていることによって、レーザー溶接を応用することができ、ライザ部11−鉄心コイルの接合の信頼性を高めることができるものである。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のうち請求項1記載の発明は、2n個(nは2以上の整数)のセグメントを筒状に配置して、各々対向するセグメント同士を短絡部材により短絡させて成るモータ用整流子であって、2n個のセグメントを備えたセグメント母材に短絡部材を切り起こしにより形成したから、セグメント母材の切り起こし加工によって対向する2個のセグメント同士の短絡をより簡単に行うことができる。また、各々対向するセグメント同士をセグメントの内側で短絡させて成るから、従来のような渡り線を用いて整流子の外部で配線する場合と比較して、短絡部材を用いてセグメント間の線処理及び接合作業を容易に行うことができると共に、短絡部材と鉄心コイルとの間でのレアショートの発生も防止できる。また、従来のようにロータ鉄心と整流子との間に渡り線スペースを確保したりする必要もないので、モータのサイズを小さくできるという効果も得られる。
【0027】
また請求項2記載の発明は、2n個(nは2以上の整数)のセグメントを備えたセグメント母材と、各々対向するセグメント間を短絡させる短絡部材と、絶縁材とでモータ用整流子を製造する方法であって、先端部が自由端となった複数の短絡部材をセグメント母材に一体に形成し、次に、短絡部材をセグメントの内側に折り曲げた後にこの短絡部材の先端部をセグメント母材に溶接する工程を各短絡部材ごとに繰り返した後に、セグメント母材の内部に絶縁材を充填するものであるから、対向するセグメント間を短絡部材を用いてセグメント内部で容易に短絡させることができ、従来のような渡り線を整流子の外部で線処理する必要がなく、しかも短絡部材と鉄心コイルとの接触を防止できるので、レアショートの発生防止を図ることができる。また、従来のようにロータ鉄心と整流子との間に渡り線スペースを確保する必要もないので、モータのサイズを小さくできる。さらに、短絡部材はセグメントと一体形成されているので、分割された対向するセグメントが予め短絡された構造となり、セグメント間の線処理及び接合工数を削減でき、そのうえ先端部が自由端となった複数の短絡部材をセグメント母材に一体に形成してあるので、短絡部材の先端部の1箇所だけをセグメント母材に溶接すればよいので、溶接箇所が減り、従って、短絡部材とセグメントとの接合に時間がかからず、接合作業にかかる時間を大幅に削減することができる。
【0028】
また請求項3記載の発明は、2n個(nは2以上の整数)のセグメントを備えたセグメント母材と、各々対向するセグメント間を短絡させる短絡部材と、絶縁材とでモータ用整流子を製造する方法であって、先端部が自由端となった複数の短絡部材をセグメント母材に一体に形成し、次に、各短絡部材をセグメントの内側に折り曲げた後にこの折り曲げた短絡部材の先端部をセグメント母材にそれぞれ溶接し、その後、セグメント母材の内部に絶縁材を充填するものであるから、請求項8記載の同様な効果が得られ、さらに絶縁材を充填する前に各短絡部材をセグメントにそれぞれ固定でき、絶縁材である成形材料の注入時の圧力等で各短絡部材が位置ずれするのを確実に防止でき、整流子の品質向上を図ることができる。
【0029】
また請求項4記載の発明は、2n個(nは2以上の整数)のセグメントを備えたセグメント母材と、各々対向するセグメント間を短絡させる短絡部材と、絶縁材とでモータ用整流子を製造する方法であって、先端部が自由端となった複数の短絡部材をセグメント母材に一体に形成し、次に、短絡部材をセグメントの内側に折り曲げた後にこの短絡部材の先端部をセグメント母材に仮止めする工程を各短絡部材ごとに繰り返した後に、セグメント母材の内部に絶縁材を充填し、その後、各短絡部材の先端部とセグメント母材とを溶接するものであるから、請求項8記載の同様な効果が得られ、さらに、短絡部材の先端部をセグメント母材に仮止めすることで絶縁材の充填時に短絡部材の位置ずれを防止でき、溶接作業を容易に行うことができると同時に溶接精度を高めることができる。
【0030】
また請求項5記載の発明は、2n個(nは2以上の整数)のセグメントを備えたセグメント母材と、各々対向するセグメント間を短絡させる短絡部材と、絶縁材とでモータ用整流子を製造する方法であって、短絡部材をセグメント母材の内面に圧入により仮止めした後にこの短絡部材を溶接する工程を各短絡部材ごとに繰り返した後に、セグメント母材の内部に絶縁材を充填するものであるから、対向するセグメント間を短絡部材を用いてセグメント内部で容易に短絡させることができ、従来のような渡り線を整流子の外部で線処理する必要がなく、しかも短絡部材と鉄心コイルとの接触を防止できるので、レアショートの発生防止を図ることができ、また、従来のようにロータ鉄心と整流子との間に渡り線スペースを確保する必要もないので、モータのサイズを小さくできる。さらに、短絡部材をセグメントに後付けにより接続できるので、製造工程を一層簡略化できる。
【0031】
また請求項6記載の発明は、2n個(nは2以上の整数)のセグメントを備えたセグメント母材と、各々対向するセグメント間を短絡させる短絡部材と、絶縁材とでモータ用整流子を製造する方法であって、各短絡部材をセグメント母材の内面に圧入により仮止めし、次に、これら短絡部材をセグメント母材にそれぞれ溶接した後に、セグメント母材の内部に絶縁材を充填するものであるから、請求項11と同様な効果が得られ、さらに、短絡部材をセグメントに溶接する前に、短絡部材をセグメント母材に仮止めすることで、溶接作業が容易となると共に、溶接精度を高めることができる。
【0032】
また請求項7記載の発明は、請求項2乃至請求項6のいずれかに記載の効果に加えて、セグメント母材と短絡部材とが銅を主成分とする材料で構成され、セグメント母材と短絡部材にニッケルめっきを施した後に両者をレーザ溶接するものであるから請求項8乃至請求項12のいずれかに記載のモータ用整流子の製造方法。銅を主成分とするセグメント母材と短絡部材とをレーザー溶接することにより、銅/銅同士の溶融となるので、接合部の信頼性の向上につながる。また、レーザー溶接の場合には、銅の反射率が高く、つまりエネルギーの吸収が悪くて、高エネルギーが必要となるが、ニッケルめっきを施すことによって、反射率を低くできレーザー溶接を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の一例を示し、(a)は整流子の平面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【図2】(a)は同上のセグメントブロックを展開した正面図、(b)は短絡部材の曲げ加工の説明図、(c)は3つのセグメントブロックの短絡部材の高さを異ならせた場合を説明する分解斜視図である。
【図3】(a)(b)は他の実施形態の短絡部材が切り起こし形成されているセグメント母材を展開した平面図及び正面図、(c)はセグメントを曲げ加工した後の斜視図である。
【図4】(a)は更に他の実施形態の短絡部材が抜き加工されたセグメント母材を展開した正面図、(b)はセグメントを曲げ加工した後の斜視図である。
【図5】(a)は更に他の実施形態の導電性の線材で短絡されセグメント母材を展開した正面図、(b)はセグメントを曲げ加工した後の斜視図である。
【図6】(a)は更に他の実施形態のセグメント母材の斜視図、(b)はセグメント母材を抜き、曲げ加工した後の斜視図、(c)はスリット加工後の斜視図である。
【図7】同上の整流子の製造工程図である。
【図8】(a)は同上の短絡部材が一体形成されたセグメント母材の平面図、(b)は(a)のB−B線断面図、(c)は短絡部材の正面図である。
【図9】更に他の実施形態を示し、(a)はセグメントと短絡部材の接合状態を説明する図、(b)は整流子の下面図、(c)は(b)のC−C線断面図である。
【図10】更に他の実施形態を示し、(a)はセグメント母材の平面図、(b)は下面図、(c)は(b)のD−D線断面図である。
【図11】(a)は図10の短絡部材の平面図、(b)〜(d)は高さの同じ短絡部材の側面図である。
【図12】更に他の実施形態を示し、(a)は短絡部材の平面図、(b)〜(d)は高さが異なる短絡部材の側面図、(e)は短絡部材をセグメントに接合した状態を説明する平面図である。
【図13】(a)は従来の整流子を備えた直流モータの側面断面図、(b)は(a)のF−F線断面図である。
【図14】従来の渡り線の線処理を説明する図である。
【符号の説明】
1 整流子
2 セグメント母材
3 セグメント
4 短絡部材
4a 先端部
9 絶縁材
Claims (7)
- 2n個(nは2以上の整数)のセグメントを筒状に配置して、各々対向するセグメント同士を短絡部材により短絡させて成るモータ用整流子であって、2n個のセグメントを備えたセグメント母材から短絡部材を切り起こしにより形成して、各々対向するセグメント同士をセグメントの内側で短絡させて成ることを特徴とするモータ用整流子。
- 2n個(nは2以上の整数)のセグメントを備えたセグメント母材と、各々対向するセグメント間を短絡させる短絡部材と、絶縁材とでモータ用整流子を製造する方法であって、先端部が自由端となった複数の短絡部材をセグメント母材に一体に形成し、次に、短絡部材をセグメントの内側に折り曲げた後にこの短絡部材の先端部をセグメント母材に溶接する工程を各短絡部材ごとに繰り返した後に、セグメント母材の内部に絶縁材を充填することを特徴とするモータ用整流子の製造方法。
- 2n個(nは2以上の整数)のセグメントを備えたセグメント母材と、各々対向するセグメント間を短絡させる短絡部材と、絶縁材とでモータ用整流子を製造する方法であって、先端部が自由端となった複数の短絡部材をセグメント母材に一体に形成し、次に、各短絡部材をセグメントの内側に折り曲げた後にこの折り曲げた短絡部材の先端部をセグメント母材にそれぞれ溶接し、その後、セグメント母材の内部に絶縁材を充填することを特徴とするモータ用整流子の製造方法。
- 2n個(nは2以上の整数)のセグメントを備えたセグメント母材と、各々対向するセグメント間を短絡させる短絡部材と、絶縁材とでモータ用整流子を製造する方法であって、先端部が自由端となった複数の短絡部材をセグメント母材に一体に形成し、次に、短絡部材をセグメントの内側に折り曲げた後にこの短絡部材の先端部をセグメント母材に仮止めする工程を各短絡部材ごとに繰り返した後に、セグメント母材の内部に絶縁材を充填し、その後、各短絡部材の先端部とセグメント母材とを溶接することを特徴とするモータ用整流子の製造方法。
- 2n個(nは2以上の整数)のセグメントを備えたセグメント母材と、各々対向するセグメント間を短絡させる短絡部材と、絶縁材とでモータ用整流子を製造する方法であって、短絡部材をセグメント母材の内面に圧入により仮止めした後にこの短絡部材を溶接する工程を各短絡部材ごとに繰り返した後に、セグメント母材の内部に絶縁材を充填することを特徴とするモータ用整流子の製造方法。
- 2n個(nは2以上の整数)のセグメントを備えたセグメント母材と、各々対向するセグメント間を短絡させる短絡部材と、絶縁材とでモータ用整流子を製造する方法であって、各短絡部材をセグメント母材の内面に圧入により仮止めし、次に、これら短絡部材をセグメント母材にそれぞれ溶接した後に、セグメント母材の内部に絶縁材を充填することを特徴とするモータ用整流子の製造方法。
- セグメント母材と短絡部材とが銅を主成分とする材料で構成され、セグメント母材と短絡部材にニッケルめっきを施した後に両者をレーザー溶接することを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれかに記載のモータ用整流子の製造方法。
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