JP6545045B2 - コンミテータ、減速機付きモータおよびコンミテータの製造方法 - Google Patents
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Description
また、同電位となるセグメントと均圧線との電気的接続を確保しつつ、一方で異なる電位となるセグメントに接続される均圧線との絶縁を確保するために、ライザ付近では巻線機の動作が複雑になる。そのため管理工程が煩雑化するという問題があった。更に均圧線の原材料である銅量の増加により、製造コストが増大するという課題があった。
また、コンミテータ本体の成形工程で気泡が発生しやすい均圧板同士の間が予めユニット本体により覆われるため、コンミテータ本体の成形工程での樹脂の充填不良を抑えることができる。
また、均圧板ユニットのコンミテータへの組み付けを容易に行うことができる。
また、電気的接続部と凹部が軸方向の一端側で嵌め合うため、レーザ溶接の際に、片方向からすべての接合部にレーザ照射が可能となり、溶接作業を簡略化することができる。
また、軸方向外側に樹脂が回り込み、樹脂圧によってユニット本体を介して電気的接続部がセグメントに押圧される。また金型の上型と下型とが合わさることによっても電気的接続部がセグメントに押圧される。そのため、セグメントと均圧板とを確実に接触させることができる。
また、均圧線同士が間隔をあけて配置されるため、短絡を防止することができる。
また、均圧板ユニットによりコンミテータ本体の成形時に樹脂の流れを阻害することがなく、ショートショットなどの成形不良を抑えることができる。
図1は、本発明の実施形態における減速機付きモータ1の構成を示す一部断面図である。
同図に示すように、減速機付きモータ1は、例えば車両に搭載される電装品(例えば、ワイパ、パワーウインドウ、サンルーフ、電動シート等)の駆動源となるものであって、直流モータ2と直流モータ2の回転軸3に連結されたウォームギア減速機4とを備えている。
直流モータ2は、有底円筒形状のヨーク5内に、アーマチュア6(図1において不図示)を回転自在に配置したものである。ヨーク5の内周面には周方向に分割された瓦状の永久磁石(不図示)が6つ等間隔に固定されている。これら永久磁石は、希土類磁石、例えば、ネオジ焼結磁石を用いて形成されている。
ウォームギア減速機4は、ギヤハウジング7の他に、このギヤハウジング7内に収納されるウォーム8と、このウォーム8に噛合うウォームホイール9と、ウォームホイール9に接続され、回転動力を出力する出力プレート11とを有している。ウォーム8は、軸受10とギヤハウジング7との内壁に支持された回転軸3に形成されており、直流モータ2の回転に伴い一体回転する。そして、ウォーム8からウォームホイール9に伝達された回転動力によって出力プレート11が駆動される。
図2は、本発明の実施形態におけるアーマチュア6の構成を示す斜視図である。
同図に示すように、アーマチュア6は、回転軸3に固定されたアーマチュアコア12と、アーマチュアコア12に巻回されたアーマチュアコイル13と、アーマチュアコア12より軸受10側で回転軸3に固定されたコンミテータ14とから構成されている。アーマチュアコア12は、例えば金属板15を軸方向に複数枚積層したものである。
次に図3〜図5に基づいて、コンミテータ14について説明する。
図3は、コンミテータ14をアーマチュアコア12側から見た斜視図である。
図4は、コンミテータ14を、ウォームギア減速機4側から見た斜視図である。
図3、図4に示すように、コンミテータ14は、円柱状のコンミテータ本体19と、コンミテータ本体19の外周摺動面に配置された板状の9つのセグメント17と、コンミテータ本体19に埋設された均圧板ユニット22と、を備えている。
また、9つのセグメント17の内側には、長手方向に亘ってV溝状のアンカ32(図11参照)が3条形成されている。アンカ32は、コンミテータ本体19を構成する樹脂が食い込むことにより、セグメント17とコンミテータ本体19との固着力を高め、剥離を防止するためのものである。
同図に示すように、均圧板ユニット22は、樹脂により成形された平面視略円環状のユニット本体31と、銅板材を加工して製造された3つの均圧板21と、を備えている。3つの均圧板21(第1均圧板21a、第2均圧板21b、第3均圧板21c)は中心を軸方向に重ね合わせた状態で、ユニット本体31と一体に成形される。ここで、ユニット本体31の内部には、均圧板21の電気的接続部28(28a、28b、28c)以外の部分が埋設されている。各均圧板21の電気的接続部28a、28b、28cはユニット本体31から9か所に放射状に延出するように配置されている。
図6は、均圧板21の構成を示す外観図であって、(a)は、第1均圧板21aを示し、(b)は、第2均圧板21bを示し、(c)は、第3均圧板21cを示す。
3つの均圧板21は、同電位となるセグメント17同士を短絡するためのものである。これら3つの均圧板21は重ね合わせても互いに絶縁を確保できるようにするため、一部の形状が異なるように設定されている。
以下、同図に基づき、第1均圧板21a、第2均圧板21b、第3均圧板21cについて説明する。
同図に示すように、これら第1均圧板21a、第2均圧板21b、第3均圧板21cは回転軸3に沿う方向を中心軸として、第1電気的接続部28a、第2電気的接続部28b、第3電気的接続部28cが同一平面上に位置するように重ね合わせられている。ここで、第2中間部27bの長さLbの寸法は少なくとも第1均圧板21aの厚さよりも大きく、第3中間部27cの長さLcの寸法は少なくともLbに第2均圧板21bの厚さを加えた長さよりも大きく設定されている。そのため、これら第1均圧板21a、第2均圧板21b、第3均圧板21cは、軸方向に間隔をあけて配置されている。
同図に示すように、均圧板ユニット22はセグメント17の軸方向の一端に配置され、9か所の電気的接続部28は対応するセグメント17の凹部29と嵌め合うように固定される。これにより、同電位となる3つのセグメント17同士と均圧板21とが接続され、電気的に導通する。一方で、同電位となるセグメント以外のセグメント同士を接続する均圧板21同士は間隔をあけて配置されるため、互いに絶縁されている。
ここで、上述のように、均圧板ユニット22とセグメント17が接続され、同電位となるセグメント同士が電気的に導通すると、セグメント17に摺接するブラシから供給される電流は、均圧板21を通じて他の同電位となるセグメント17に供給される。そして、これらセグメント17に供給された電流は、更に巻線24を通じて各々の対応するアーマチュアコイル13に供給される。
続いて、コンミテータ14を製造する方法について説明する。
まず、図7に示すように、第1均圧板21a、第2均圧板21b、第3均圧板21cを、それぞれ第1環状部26a、第2環状部26b、第3環状部26cの中心が同軸上に位置し、全ての第1電気的接続部28a、第2電気的接続部28b、第3電気的接続部28cが周方向に等間隔をあけて径方向外側に延出するように配置する。そして、重ね合わされた複数の均圧板21は、開かれた状態の金型(不図示)のキャビティ内の所定の位置に、位置決め機構などを利用してセットされる。ここで、第1電気的接続部28a、第2電気的接続部28b、第3電気的接続部28cの先端は樹脂で構成されるユニット本体31から径方向外側に露出させるため、金型内の樹脂が充填されるキャビティの外側に位置するように金型にセットされる。
このようにして、樹脂により構成されるユニット本体31は、均圧板21の環状部26と、中間部27と、電気的接続部28の径方向内側の一部とを覆い、一方で電気的接続部28の径方向外側の端部は、ユニット本体31から露出するように成形され、均圧板ユニット22が完成する(一次成形工程)。
図10は、一次成形により完成した均圧板ユニット22が金型にセットされた状態を示す断面斜視図である。図11は、複数のセグメント17が筒状に配置された状態を示す斜視図である。図12は、コンミテータ本体19を透過し、ユニット本体31を二点鎖線で表示し、均圧板ユニット22とセグメント17の配置をライザ18と反対側の軸方向一端から見た平面図である。
図10〜図12に示すように、まず、一次成形工程により製造された均圧板ユニット22を、開かれた状態の金型内のキャビティの一端に、位置決め機構などを利用してセットする。ここで、均圧板ユニット22は、樹脂が充填されるゲート位置とは軸方向反対側の一端側に、電気的接続部28が端面側に位置するようにセットされる。
図13は、コンミテータ14の図12の矢印の位置での断面図である。
金型セット工程で均圧板ユニット22および複数のセグメント17を金型にセットした後、金型を閉じ、例えば射出成形機のスクリュー圧により金型内に溶解した樹脂を充填することにより、コンミテータ本体19を成形する。ここで、樹脂は図13に示すように均圧板ユニット22が位置する一端と軸方向反対側に位置するゲートより充填される。そのため、均圧板ユニット22により樹脂の流動が阻害されることなく、金型内にまんべんなく樹脂を行き渡らせることができる。そして、樹脂が硬化することにより、均圧板ユニット22と、複数のセグメント17と、コンミテータ本体19と、を一体に成形することができる。
そして、樹脂が硬化し、成形が完了した後に金型を開き、エジェクタピンなどの取り出し機構によってコンミテータ本体19と均圧板ユニット22とセグメント17とを一体成型したコンミテータ14を成形機より取り出す(二次成形工程)。
なお、セグメント17の内側には、アンカ32(図11、12参照)が形成されているので、樹脂充填時にV溝状のアンカ32に樹脂が流れ込み、樹脂が硬化した状態でアンカ32が樹脂に食い込み、セグメント17とコンミテータ本体19との固着力が高まる。
図14は、レーザ照射の方向を示すコンミテータ14の斜視図である。
同図に示すように、二次成形工程により製造されたコンミテータ14に対しては、電気的接続部28とセグメント17が当接する接合部34にレーザ光を照射して溶接をおこなう。この溶接工程により、セグメント17と均圧板21を電気的に導通させる。このとき、図14に示すように、全ての接合部34が位置するコンミテータ14のライザ18と反対側の端面に向けて矢印の方向にレーザ光を照射する。そのため、全ての接合部34の溶接を一方向からのレーザ照射のみで行う(溶接工程)。
したがって、均圧線の巻回作業をなくすことができるため、製造時間を短縮し、巻線機の動作を単純化し、管理工程を簡略化することで製造コストを抑えたコンミテータを提供することができる。また、均圧板ユニット22がコンミテータ本体19よりも軸方向外側に配置されることがなく、コンミテータの軸長化を抑えることができる。
したがって、コンミテータ本体19の成形工程で気泡が発生しやすい均圧板21同士の間が予めユニット本体31により覆われるため、コンミテータ本体19の成形工程での樹脂の充填不良を抑えることができる。
したがって、均圧板ユニット22のコンミテータ14への組み付けを容易に行うことができる。
したがって、電気的接続部28と凹部29が軸方向の一端側で嵌め合うため、レーザ溶接の際に、片方向からすべての接合部34にレーザ照射が可能となり、溶接作業を簡略化することができる。
したがって、軸方向外側に樹脂が回り込み、樹脂圧と金型圧力によってユニット本体31を介して電気的接続部28がセグメント17の凹部29に押圧される。そのため、セグメント17と均圧板21とを確実に接触させることができる。
したがって、均圧板同士が間隔をあけて配置されるため、短絡を防止することができる。
したがって、均圧板ユニット22によりコンミテータ本体19の成形時に樹脂の流れを阻害することがなく、ショートショットなどの成形不良を抑えることができる。
したがって、均圧板ユニット22を二次成形工程と同時にコンミテータ本体19に組み付けることが可能となり、製造時間を短縮することができる。また、均圧板ユニット22を金型にセットする際にセグメント17に対する位置決めができるため、組合工程を簡易にし、管理工程を簡略化することができる。また、均圧板ユニット22とセグメント17の接合部34が全て軸方向の一端側に配置されるため、片側からのレーザ溶接が可能となり、製造時間を短縮することができる。よって、製造コストを抑えたコンミテータの製造方法を提供することができる。
3…回転軸
4…ウォームギア減速機(減速機構)
12…アーマチュアコア
13…アーマチュアコイル
13a…第1アーマチュアコイル(アーマチュアコイル)
13b…第2アーマチュアコイル(アーマチュアコイル)
13c…第3アーマチュアコイル(アーマチュアコイル)
14…コンミテータ
17…セグメント
18…ライザ
19…コンミテータ本体
21…均圧板
21a…第1均圧板(均圧板)
21b…第2均圧板(均圧板)
21c…第3均圧板(均圧板)
22…均圧板ユニット
26…環状部
26a…第1環状部(環状部)
26b…第2環状部(環状部)
26c…第3環状部(環状部)
27…中間部
27b…第2中間部(中間部)
27c…第3中間部(中間部)
28…電気的接続部
28a…第1電気的接続部(電気的接続部)
28b…第2電気的接続部(電気的接続部)
28c…第3電気的接続部(電気的接続部)
29…凹部
31…ユニット本体
Claims (3)
- 互いに周方向に間隔をあけて筒状に配置される複数の導電性のセグメントと、
複数の前記セグメントの内側に絶縁部材により成形され、回転軸に外嵌固定されるコンミテータ本体と、
前記コンミテータ本体に埋設され、複数の前記セグメントのうち、同電位となるセグメント同士を接続する均圧板ユニットと、
を備え、
前記均圧板ユニットは、
複数の前記セグメントのうち、同電位となるセグメント同士を接続する複数の均圧板と、
絶縁部材により成形され、複数の前記均圧板を一体化するユニット本体と、
を備え、
前記均圧板は、
前記回転軸に沿う方向を中心軸とした環状部と、
前記環状部から前記回転軸の軸方向に沿うように延出する中間部と、
前記中間部から径方向外側に延び、前記セグメントに接続される電気的接続部と、
を含み、
前記ユニット本体は、前記環状部の内周側を露出させるように前記環状部と前記中間部とが、絶縁部材である樹脂によって覆うように形成されており、
前記セグメントの前記回転軸の軸方向一端側に、前記ユニット本体が配置されていると共に、前記電気的接続部と嵌め合いされる凹部が形成されており、
複数の前記均圧板は、各々前記環状部が前記回転軸の軸方向に間隔をあけて同軸上に配置されていると共に、各々前記電気的接続部が同一平面上となるように形成されており、
複数の前記セグメントにおける前記回転軸の軸方向他端側に、前記樹脂の流入口を設定すると共に、前記回転軸の軸方向一端側に、前記均圧板ユニットが配置されており、
前記コンミテータ本体は、前記ユニット本体と前記電気的接続部の一部とを軸方向外側から覆うように、かつ複数の前記セグメントの内側に前記樹脂とは異なる他の樹脂を充填することにより成形されていることを特徴とするコンミテータ。 - 請求項1に記載のコンミテータと、
前記コンミテータを回転自在に支持する回転軸と、
前記回転軸に前記コンミテータと隣接して設けられ、アーマチュアコイルが巻かれたアーマチュアコアと、
前記回転軸に連結される減速機構と、
を備えたことを特徴とする減速機付きモータ。 - 請求項1に記載のコンミテータを製造するためのコンミテータの製造方法であって、
複数の前記均圧板を前記ユニット本体により一体に成形し、前記均圧板ユニットを形成する一次成形工程と、
金型に、複数の前記セグメントを筒状になるようセットすると共に、複数の前記セグメントにおける前記回転軸の一端側に、前記均圧板が当接するように前記均圧板ユニットをセットする金型セット工程と、
複数の前記セグメントの内側に樹脂を充填して前記コンミテータ本体を成形する二次成形工程と、
前記均圧板の上からレーザを照射して前記均圧板と前記セグメントとを溶接により電気的に導通させる溶接工程と、
を有することを特徴とするコンミテータの製造方法。
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