(第1の実施形態)
以下、本発明によるディスクカートリッジの第1の実施形態を説明する。
図1(a)は、ディスク100を収納し、第1のディスク収納部201および第2のディスク収納部301を開放した状態のディスクカートリッジ11を上方から見た斜視図であり、図1(b)は、第1のディスク収納部201および第2のディスク収納部301を閉塞した状態のディスクカートリッジ11を上方から見た斜視図である。
図2(a)は、ディスク100を収納し、第1のディスク収納部201および第2のディスク収納部301を開放した状態のディスクカートリッジ11を情報記録面100A側から見た斜視図であり、図2(b)は第1のディスク収納部201および第2のディスク収納部301を閉塞した状態のディスクカートリッジ11を情報記録面100A側から見た斜視図である。
図3(a)はディスク100を収納し、第1のディスク収納部201および第2のディスク収納部301を開放した状態のディスクカートリッジ11の上平面図であり、図3(b)は第1のディスク収納部201と第2のディスク収納部301を閉塞した状態のディスクカートリッジ11の上平面図である。
図4(a)はディスク100を収納し、第1のディスク収納部201と第2のディスク収納部301を開放した状態のディスクカートリッジ11の底面図であり、図4(b)は第1のディスク収納部201と第2のディスク収納部301を閉塞した状態のディスクカートリッジ11の底面図である。
これらの図に示すようにディスクカートリッジ11は、第1のディスク収納部201、第2のディスク収納部301および支持ベース部材400を備え、ディスク100を収納する。
ディスク100は、第1および第2の面を備えており、図1(a)、図3(a)では、第1の面であり、通常ディスクのラベル等が描かれている面が示されており、ディスク100の第2の面である情報記録面100Aは、裏面として示されている。また、図2(a)、図4(a)では、第2の面であり、情報記録面100Aの面が示されている。なお、第1および第2の面の両方に情報記録面100Aが設けられているディスクをディスクカートリッジ11に収納することも可能である。また、一般に、ディスク100を収納したディスクカートリッジ11全体を単にディスクあるいは情報記録媒体と呼ぶ場合がある。
図5は、ディスク100を収納せずに、第1のディスク収納部201と第2のディスク収納部301を開放した状態のディスクカートリッジ11の上面図である。図5に示したように、外部からディスク100を回転させるためのスピンドルモータのチャッキング部材が侵入できるよう開口したチャッキング開口部701と、ディスク100の情報記録面100Aに対して情報の再生および記録の少なくとも一方を行うヘッドが侵入し、アクセスできるよう開口したヘッド開口部702とが第1のディスク収納部201と第2のディスク収納部301との間に形成される。これらの開口部は、第1のディスク収納部201および第2のディスク収納部301が開放した状態において、第1のディスク収納部201および第2のディスク収納部301の間に形成される略扇型の開口領域内に位置する。
このとき、第1のディスク収納部201および第2のディスク収納部301の一部は、側面10h、10gで規定されるディスクカートリッジ11の幅よりも外側に突出した状態をとる。このため、ディスク100を含めたディスクカートリッジ11のディスク100と平行な面への投影面積は第1のディスク収納部201および第2のディスク収納部301が閉塞した状態に比べて開放した状態のほうが大きくなる。
本実施形態では、ディスク100にはセンターホール102が設けられており、たとえば、スピンドルモータのチャッキング部材として、ボス部を有するターンテー部がディスク100に接近し、ボス部がセンターホール102に挿入されるようにターンテーブルに載置される。ボス部にはディスクが容易に脱落しないように爪が設けられている。爪の代わり、クランパがターンテーブルとは反対側からディスク100にアクセスし、ターンテーブルに載置されたディスクを保持してもよい。また、ディスク装置にディスク100を装着するための金属等のクランプ(図示せず)がディスク100に設けられていてもよい。
図6は、ディスクカートリッジ11の構造を示す分解斜視図である。上述したようにディスクカートリッジ11は、第1のディスク収納部201および第2のディスク収納部301を備えている。支持ベース部材400は、支持ベース部材上体401および支持ベース部材下体402によって構成されている。また、ディスクカートリッジ11は、第1のロック部材501および第2のロック部材601をさらに備える。
図7(a)および図7(b)は、支持ベース部材上体401を取り除いた残りの部分の構造を示す平面図であって、図7(a)はディスク100を収納し、第1のディスク収納部201および第2のディスク収納部301を開放した状態のディスクカートリッジ11を上方から見た平面図であり、図7(b)は第1のディスク収納部201および第2のディスク収納部301を閉塞した状態のディスクカートリッジ11を上方から見た平面図である。
図6に示すように、第1のディスク収納部201および第2のディスク収納部301は、互いに接合することによりディスク100を収納する。より具体的には、第1および第2のディスク収納部201、301のそれぞれは、ディスク100の一部を収納する扁平な袋状の空間を有し、それぞれの空間の開口の縁部分を合わせるように第1および第2のディスク収納部201、301が閉塞することによって、ディスク100全体を収納する空間が形成される。
なお、ディスク100を外部に対して開放もしくは閉塞する機能は、例えば第1および第2のディスク収納部201、301のみでも原理的には実現する。しかしながら、第1および第2のディスク収納部201、301のみを備える構造では、閉塞している状態でディスク100と垂直な方向、つまり回転軸103方向に働く外乱の力が第1のディスク収納部201および第2のディスク収納部301に互いに逆向き作用した場合、ねじれの力が発生し、大きな変形や破壊が生じる可能性がある。
この問題を解決するため、ディスクカートリッジ11は、支持ベース部材400を備え、支持ベース部材400の少なくとも一部は、第1のディスク収納部201および第2のディスク収納部301がディスク100と垂直な方向へ移動するのを抑制するように第1のディスク収納部201および第2のディスク収納部301と重なっている。具体的には、支持ベース部材400を構成する支持ベース部材上体401および支持ベース部材下体402の一部は、第1および第2のディスク収納部201、301の一部を、ディスク100の回転軸103方向において挟むように支持する。これにより、第1および第2のディスク収納部201、301にねじれの力が加わっても、少なくとも支持ベース部材400に挟持された部分において、第1および第2のディスク収納部201、301の変形を防止することができる。これにより、ディスクカートリッジ11全体の堅牢性を向上させることができる。また、以下において詳細に説明するように、第1および第2のディスク収納部201、301が閉塞した状態でこれらの回転を防止するロック構造を設けることができる。
また、開放および閉塞するに対して支持ベース部材400は静止している構成要素であるため、カートリッジ11をディスクドライブ装置へ挿入する場合において、操作者が手で持つホルダ部分として重要や役割を果たす。支持ベース部材上体401には、ディスク100に記録されている情報の内容表示ラベル紙を貼付できるラベル凹部407を設けることが可能であり、これにより、カートリッジ11に収納されたディスク100の情報の内容を表示することができる。
支持ベース部材400と第1および第2のディスク収納部201、301とが重なる領域が大きいほど、ディスクカートリッジ11の堅牢性は高まる。しかし、閉塞した状態の第1および第2のディスク収納部201、301に収納されるディスク100の中心を超えてヘッド開口部側にまで支持ベース部材400が伸びると、第1および第2のディスク収納部201、301が開放した時に形成する開口を覆ってしまうことになる。このため、支持ベース部材400は、閉塞した状態の第1および第2のディスク収納部201、301に収納されるディスク100の中心よりも第1および第2のディスク収納部201、301の回転軸403、404側のみを覆っていることが好ましい。
図1(b)および図2(b)に示すように、第1および第2のディスク収納部201、301の支持ベース部材400と重なっていない部分では、ディスク100が露出しないように、第1および第2のディスク収納部201、301がディスク100を覆っている。
図2(a)および図6に示すように、支持ベース部材下体402は、ディスクドライブ装置の一対のカートリッジ位置決めピン17と嵌合してディスクドライブ装置に対するディスクカートリッジ11の位置決めを行う一対の位置決め孔410および411を有する。支持ベース部材下体402は、ディスク100の情報記録面100A側に設けられている。
支持ベース部材上体401および支持ベース部材下体402は、それぞれの外縁部もしくは一対の位置決め孔41211の外縁上端部410a、411a、第1のディスク収納部201と第2のディスク収納部301の回転軸403、404の上端部、第1のロック部材501と第2のロック部材601の回転軸412、413の上端部ならびにディスク100の位置決め部408、409の外縁上端部で互いに接着もしくは溶着されて支持ベース部材400を構成している。
第1のディスク収納部201および第2のディスク収納部301の内壁面には、閉塞している状態でディスク100の情報記録領域より内周側および外周側に位置している領域と当接する突起部を有し、情報記録領域が内壁面と接触しないようにディスク100を保持してもよい。あるいは第1のディスク収納部201および第2のディスク収納部301の内壁をディスク100の外側面か外側面端部のエッジ部分に当接させ、閉塞時に情報記録領域が内壁面と接触しないようにディスク100を保持してもよい。
図1(b)に示すように、ディスクカートリッジ11は、以下において詳述するように、外部から第1のディスク収納部201と第2のディスク収納部301を開放した場合に、ヘッド開口部702(図5)が設けられる方向である側面10eがディスクドライブ装置の挿入口に対向するよう、矢印1Aで示す方向でディスクドライブ装置に装填される。本実施形態では、側面10eを凸状の曲面によって構成している。これにより、ディスク100の回転軸103に垂直な方向から見たディスクカートリッジの外形を小さくし、ディスクカートリッジ11が装填されるディスクドライブ装置自体も小型化することができる。また、側面10fおよび他の対向する側面10gおよび10hを平面によって構成することによって、ディスクカートリッジ11の挿入方向1Aをディスクカートリッジ11の外形から容易に判断することが可能となる。このため、操作者がディスクカートリッジ11に記された挿入方向を確認しなくても、誤りなくディスクドライブ装置へ挿入することができる。
図8は、ディスク100を収納したディスクカートリッジ11がディスク装置に装填された状態を示す断面図であり、第1のディスク収納部201および第2のディスク収納部301を開放した状態で外側面10h側からディスクカートリッジ11を見た断面図である。
図8および図1(a)、図1(b)、図2(a)、図2(b)、図6に示すように、第1および第2のディスク収納部201、301は、それぞれ、ディスク100の第1の面側に外形面201f、301fを有し、情報記録面100A側に外形面201g、301gを有している。第1および第2のディスク収納部201、301の回転軌道である曲面201w、301(図6)とそれに沿うように設けられた支持ベース部材上体401の曲面401wを境界面にして、外形面201f、301fと支持ベース部材上体401の外形面401fとは同じ高さに位置している。
これにより、第1および第2のディスク収納部201、301が閉塞している状態において、ディスクカートリッジ11の上面に段差が生じず、全体としてデザイン的に優れた均一な上面にすることができる。さらに、第1および第2のディスク収納部201、301の外形面201f、301fを構成している部分の厚さを、支持ベース部材上体401の厚さに相当分だけ増大させることが可能となり、ディスク装置の高さに影響することなく、第1および第2のディスク収納部201、301の強度を向上させ、堅牢なディスクカートリッジを構成できる。
一方、情報記録面100A側の外形面201g、301gと支持ベース部材下体の外形面402gは同一の高さには位置しておらず、曲面402wを境界面にして段差を設けている。これにより、ディスク収納部201、301の外形面201g、301gを構成している部分の厚さを、支持ベース部材下体402の厚さに相当する分だけ薄くすることが可能となる。これにより、図8に示すように、第1および第2のディスク収納部201、301の外形面201g、301gの下方の空間を支持ベース部材下体402の厚さに相当する分だけ高くすることができ、ディスク100にアクセスするヘッド70の高さ方向の設計領域を大きく確保することができる。その結果、ヘッド70の設計自由度が拡大するとともに、ドライブ装置全体の厚さを支持ベース部材下体402の厚さに相当する分だけ薄くすることができる。
以下において詳述するように、支持ベース部材上体401および支持ベース部材下体402は、外部から第1のディスク収納部201と第2のディスク収納部301を開放した場合に設けられるチャッキング開口部701を内径とするリングの一部を切り取ったような形状の外縁部405、406を備えている。
図6に最もよく示すように、第1および第2のディスク収納部201、301は回転孔202、302を有し、支持ベース部材下体402においてディスク100の回転軸103と平行に設けられた回転支持部である回転軸403、404にそれぞれ挿入されている。また、第1および第2のディスク収納部201、301は互いに噛み合う連動部203、303をそれぞれ有する。図7(a)および図7(b)に示すように、第1および第2のディスク収納部201、301は、連動部203、303が互いに噛み合うことによって、回転軸403、404に対して互いに逆方向に同期して回転する。
図7(a)に示すように、回転軸403、404を、ディスク100の回転軸103方向に投影されるディスク100の投影領域以外の支持ベース部材下体402に設けことにより、ディスク100と回転軸403、404とがディスクカートリッジ11の厚さ方向に重なるのを避けることができ、ディスクカートリッジ11を薄くすることができる。
また、第1および第2のディスク収納部201、301の回転軸403、404を異ならせ、連動部203、303をギアによって構成することによって、簡単な構造で第1および第2のディスク収納部201、301を同期して逆回転させることができる。第1および第2のディスク収納部201、301を連動させる目的は、後述するように、閉塞状態をロックする機能を高め、ディスクカートリッジ11の堅牢性を向上させることにある。
さらに、第1および第2のディスク収納部201、301が重なる部分が生じるのを回避できるため、ディスクカートリッジ11を薄くできる。ただし、第1および第2の収納部201、301を共有した1つの回転軸で回転支持することも可能である。この場合、回転軸を一致させることより生じる空間をロック機構などの構造に利用することができる。
図6、図7(a)および図7(b)に示すように、第1のロック部材501と第2のロック部材601はそれぞれ回転孔505、605を有し、支持ベース部材下体402に設けられた回転支持部である回転軸412、413に回転孔505、605が挿入されることにより、回転軸412、413に回転支持される。
第1のロック部材501と第2のロック部材601は、係止レバー部502、602、付勢部である弾性部503、603とロック解除レバー部504、604、規制面506、606とを含んでいる。図8(a)および(b)に示すように、外部から第1および第2のディスク収納部201、301が閉塞した状態では、係止レバー部502、602は第1および第2のディスク収納部201、301に設けられた係止部205、305と当接し、かつ規制面506、606は支持ベース部材下体402の一部と当接している。
回転軸412、413と回転軸403、404との距離は、係止部205、305と回転軸403、404との距離と等しいかまたは短くなっている。このため、第1および第2のディスク収納部201、301が開く際に回転する方向と同じ方向501p、601pに第1および第2のロック部材501、601が回転するのが制限される。これにより第1および第2のディスク収納部201、301を閉塞した状態において、それぞれの回転を独立してロックすることができる。
またロック解除レバー部504、604を押し下げることによって、第1のロック部材501および第2のロック部材601をロックする場合とは逆の方向に回転させ、第1および第2のディスク収納部201、301の係止部205、305と係止レバー部502、602との当接を解除する。これにより、第1および第2のディスク収納部201、301のロックが解除され、回転可能になる。
図6、図7(a)および図7(b)に示すように、支持ベース部材下体402には、位置決め部408、409が設けられている。位置決め部408、409は、以下において詳述するように、外部から第1および第2のディスク収納部201、301を開放した状態では、ヘッド開口部702の領域に存在するディスク装置の規制部材18と位置決め部408、409によりディスク100の外側面の位置を規制してディスク100の中心位置の位置決めを精度良く行い、センターホール102に対してスピンドルモータを確実にチャッキングさせることが可能となる。このように、ディスク装置に対するディスクカートリッジ11の位置決めを位置決め孔41211によって行い、さらに位置決め部408、409によってディスク100の位置決めを行うため、ディスク100の位置決め精度を高めることができる。
ディスクカートリッジ11は位置決め部408、409の代わりに他の位置決め部を備えていてもよい。図9は、支持ベース部材上体401を取り除いた残りの部分の構造を示す平面図であって、ディスクカートリッジ11に位置決め部212、312が設けられている。
図9に示すように、第1および第2のディスク収納部201、301に設けられた位置決め部212、312は、外部によって第1および第2のディスク収納部201、301を開放させる動作に伴い、ディスク100の回転軸103の方向においてお互いにねじれの関係で交錯しながらディスク100の外側面に当接してディスク100を矢印1A方向に移動させ、ディスク装置の規制部材18とディスク100の外側面とを当接させることによって、ディスク100の位置決めを行う。これによりディスク100は、ディスク装置側に設けられた規制部材18を基準としたディスク100の中心位置の位置決めが可能となり、位置決め精度をドライブ装置側に完全に依存させることができる。
なお、第1および第2のディスク収納部201、301が閉塞した状態では、第1および第2のディスク収納部201、301の内面にディスク100の外側面に軽く当接させてディスクの位置を規制し、保持するか、もしくは、内面とディスク100との距離を短くし、ディスク100の動きを規制させることが好ましい。
第1および第2のディスク収納部201、301に設けられた突起部206、306は、開放または閉塞する場合に支持ベース部材上体401と当接しながら摺動し、回転摩擦による負荷抵抗を低減することができる。同様の突起部は情報記録面100A側の支持ベース部材下体402に当接する第1および第2のディスク収納部201、301にも設けられている(図示せず)。これら突起部は、支持ベース部材上体401および支持ベース部材下体402の第1および第2のディスク収納部201、301に当接しながら摺動する面に設けても同様な効果を得られる。
図7(b)に示すように、第1および第2のディスク収納部201、301を閉じ、チャッキング開口部701とヘッド開口部702を外部に対して閉塞する状態では、ディスク100は、位置決め部408、409と第1および第2のディスク収納部201、301の収納内壁(図示せず)により、ディスク100の回転軸103に垂直な方向への動きが規制された状態で保持される。
また、第1および第2のディスク収納部201、301の係止部205、305が、矢印501p方向および矢印601p方向への回転を制限された第1および第2のロック部材501、601の係止レバー部502、602とそれぞれ係止されロックされている。これにより、第1および第2のディスク収納部201、301は、第1および第2のロック部材501、601を介して支持ベース部材400にそれぞれ回転をロックされることになり、ディスク100の回転軸103に対して垂直な方向の剛性が向上している。
図6、図7(a)および図7(b)に示すように、第1および第2のディスク収納部201、301のディスク100を収納する空間の開口を規定している縁部に、端部に互いに重なり合う凸形状の重畳部204および凹形状の重畳部304がそれぞれ設けられている。なお、これらの図ではディスク100の第1の面側に設けられた重畳部204および重畳部304が示されているが、第1および第2のディスク収納部201、301のディスク100の情報記録面100A側にも同様の重畳部が形成されている。
重畳部204および重畳部304を第1および第2のディスク収納部201、301に設けることによって、第1および第2のディスク収納部201、301が閉塞した状態において、密着している部分から埃などがディスク100の情報記録面100A側へ侵入することを防止し、防塵性を向上させている。また、第1および第2のディスク収納部201、301の密着する部分を重畳させることにより、ディスク100の回転軸103方向の剛性を大幅に向上させることができ、耐衝撃性に優れた堅牢なディスクカートリッジ11を実現できる。
また、第1および第2のディスク収納部201、301の一部が支持ベース部材上体401および支持ベース部材下体402の一部と重なり、挟みこむ構造を採用しているため、ディスクカートリッジ11の厚さ方向の強度が高められ、ディスクカートリッジ11が変形して情報記録面100Aに傷などが付くのを防止することができる。また、支持ベース部材400は第1および第2のディスク収納部201、301が閉塞した状態にあるとき、これらの接合部分の一部を覆っているため、防塵性も高められる。
ディスクカートリッジ11を組み立てる場合、まずディスク100を収納した状態で、連動部203、303を噛み合わせ、第1および第2のディスク収納部201、301を閉塞した状態に配置する。次に、第1および第2のディスク収納部201、301を支持ベース部材下体402に取り付け、続いて第1および第2のロック部材501、601を支持ベース部材下体402に装着する。最後に支持ベース部材上体401を支持ベース部材下体402と接着もしくは溶着する。これにより組み立ては、すべて一方向から部品を配置することが可能となり、組み立てが簡単になる。
次にカートリッジ11をディスクドライブ装置に挿入した場合における第1および第2のディスク収納部201、301の開放・閉塞動作を説明する。
図1(b)に示すように、矢印1Aで示す方向でカートリッジ11をディスクドライブ装置内に挿入した場合、図7(b)に示すように、ディスクドライブ装置に設けられた一対のロック解除用突起部(図示せず)が、ロック解除レバー部504、604に同時に当接して押下することによって、第1および第2のロック部材501、601が矢印501p、矢印601pと逆方向へ弾性部503、603を変形させながら回転する。この動作により、第1および第2のディスク収納部201、301の係止部205、305と当接していた第1および第2のロック部材501、601の係止レバー部502、602は係止を同時に解除され、第1および第2のディスク収納部201、301は回転可能となる。
さらにカートリッジ11を矢印1A方向へ挿入すると、図4(b)に示すようにディスクドライブ装置内に設けられた一対の開閉レバー19が、第1および第2のディスク収納部201、301に設けられた駆動用係合部208、308に係合する。図4(b)に示すように、駆動係合部208、308は、それぞれ、ディスクドライブ装置に対向する側面10e側に開口を有し、開口から矢印1A方向に平行に伸び、その後カートリッジ11の中心から外側へ向かうように伸びた溝である。溝が外側に向かうことによって第1および第2のディスク収納部201、301の回転を開始する際、一対の開閉レバー19から受ける力が第1および第2のディスク収納部201、301の回転の接線方向に働き易くなる。また、溝の終端部の側面を円弧状にすることによって、第1および第2のディスク収納部201、301の回転状態によらず、開閉レバー19から受ける力の第1および第2のディスク収納部201、301の回転の接線方向成分を第1および第2のディスク収納部201、301が受け取りやすくなる。これにより、開閉レバー19による第1および第2のディスク収納部201、301の開放がスムーズになる。
開閉レバー19が駆動用係合部208、308の溝と係合すると、開閉レバー19が固定されているため、溝に沿って開閉レバー19が相対的に移動するため、開閉レバー19が第1および第2のディスク収納部201、301を開放させる方向、つまり、図7(a)の矢印201pおよび矢印301p方向に回転移動させる。
第1および第2のディスク収納部201、301は、互いに噛み合う連動部203、303によって連動し、同期しながら逆方向に回転するため、開閉レバーは一対である必要はなく、駆動用係合部208、308の一つだけでも同様の開閉動作を実現できる。しかし、一対の駆動用係合部208、308を設けることにより、ディスクドライブ装置に挿入する場合の矢印1Aに対するカートリッジ11の挿入直進性が確保でき、安定した挿入・排出動作を実現できる。
次に、第1および第2のディスク収納部201、301は、図5で示したチャッキング開口部701およびヘッド開口部702が外部に対して完全に開放されるまで回転する。この状態でディスクドライブ装置内に設けられた一対のカートリッジ挿入位置検知レバー(図示せず)が支持ベース部材下体402に設けられた切り欠き部414、415に係合することにより、カートリッジ11の挿入位置を固定する。この状態において、前述したようにヘッド開口部702の領域に存在するディスクドライブ装置の規制部材18と位置決め部408、409とはディスク100の外側面を規制し、ディスク100の中心位置の位置決めを精度良くおこなう。
最後にディスクドライブ装置に設けられた一対のカートリッジ位置決めピン17とスピンドルモータ(図示せず)およびヘッド(図示せず)がディスク100の情報記録面100Aに近接するよう上方へ移動し、ディスクカートリッジ11の位置決めをおこなうとともにディスク100のセンターホール102に対してスピンドルモータを確実にチャッキングさせ、ヘッドを情報記録面100Aに対して所望の高さ位置と平面位置に固定する。
また、第1および第2のディスク収納部201、301が、それぞれ矢印201p方向と矢印301p方向に回転移動する場合に、位置決め部408、409との干渉を避けるため、第1および第2のディスク収納部201、301には切れ込み部207、307が設けられている。また、第1および第2のディスク収納部201、301に設けられた回転規制部209、309を支持ベース部材下体に当接させることで、開放している状態において、ディスク100がカートリッジ11から脱落しないように矢印201p、301p方向の第1および第2のディスク収納部201、301の回転制限を与えている。
なお、駆動用係合部208、308は、情報記録面100Aが片面にあるディスク100の場合において第1および第2のディスク収納部201、301の外形面201g、301gに形成され、ディスクカートリッジ11の上下面を逆にしてディスク装置へ挿入した場合に、装置内に設けられた開閉レバーが第1および第2のディスク収納部201、301の側面10eに干渉して誤挿入を防止している。
第1および第2の面の両面に情報記録面があるディスクにおいては、表裏の区別はないため、この駆動用係合部を外形面201f、301fまで貫通させることによって、開閉レバーと側面10eの干渉をなくし、かつ切欠き部414、415を401fまで貫通させることにより、第1および第2の面の両面での開閉動作を実現できる。
ロック解除の動作についてさらに説明する。図10(a)および図10(b)は、支持ベース部材上体401を取り除いた残りの部分の構造を示す平面図であって、図10(a)は2つのロック部材のうち一方のロックを解除した状態を示しており、図10(b)は、両方のロック部材のロックを解除した状態を示している。
図10(a)に示すように、第1および第2のディスク収納部201、301が閉塞した状態で、第1のロック部材501および第2のロック部材601のうち第2のロック部材601のみを解除する。具体的には、第2のロック部材601のロック解除レバー部604を押圧し、弾性部603を変形させながら、第2のロック部材601を回転方向601sに回転させる。これにより、第2のロック部材601の係止レバー部602は、第2のディスク収納部301に設けられた係止部305と離間して係止状態は解除される。しかし、第1のディスク収納部201は第1のロック部材501でロックされており、第1および第2のディスク収納部201、301は連動部203、303で連動している。その結果、第1および第2のディスク収納部201、301を開放させることはできない。つまり、第1および第2のロック部材501、601のいずれか一つが外部よりロック解除される場合では、第1および第2のディスク収納部201、301を開放することはできない。
一方、図10(b)に示すように、第1および第2のディスク収納部201、301を閉塞した状態で、第1のロック部材501および第2のロック部材601の両方を解除する。具体的には、外部によりロック解除レバー部504、604を同時に押圧し、弾性部503、603を同時に変形させながら、第1および第2のロック部材501、601をそれぞれ回転方向501s、601sに回転させる。この場合、第1および第2のロック部材501、601の係止レバー部502、602は第1および第2のディスク収納部201、301に設けられた係止部205、305とそれぞれが離間して係止状態は解除される。したがって、第1および第2のロック部材501、601を同時に解除する場合にのみ第1および第2のディスク収納部201、301を開放させることができる。これにより、操作者が不注意に、あるいは意図的に、ディスクカートリッジ11の第1および第2のディスク収納部201、301を開放させることが困難となり、操作者による不注意のあるいは意図的なディスク100の損傷を防止することができる。ただし、上述したように、第1および第2のロック部材501、601のいずれかの1つのロック部材を備えていれば、収納部をロックすることが可能である。したがって、ディスクカートリッジ11は1つのロック部材のみを備えていてもよく、この場合には、構成部品の数を低減することができるというメリットがある。
図1(a)、図1(b)、図2(a)および図2(b)に示すように、支持ベース部材400の側面10gおよび10hには、それぞれディスクカートリッジ11の挿入方向1Aと平行に伸びるスリット400cおよび400dが設けられている。
図11(a)、図11(b)は支持ベース部材上体401と支持ベース部材下体402からなる支持ベース部材400を側面10fの方向から見た側面図である。図11(a)、図11(b)に示すようにスリット400c、400d内にロック解除レバー部504、604が突出している。スリット400c、400dは、図11(a)に示すように、支持ベース部材400の厚さ方向の中央の高さに位置していてもよいし、図11(b)に示すように、スリット400c、400dは中央から高い側あるいは低い側にオフセットした位置に設けられていてもよい。
ディスクカートリッジ11がディスクドライブ装置内に挿入される際、ディスクドライブ装置に設けられた一対のロック解除用突起部(図示せず)はスリット400d、400cに干渉することなく挿入される。ディスクカートリッジ11の挿入にともなって、このロック解除用突起部は、相対的にスリット400d、400cを移動し、ロック解除レバー部504、604を同時に当接して押下することにより、ロックを解除する。
図11(a)に示したように、支持ベース部材400の厚み方向の中心位置にスリット400d、400cがそれぞれ設けられている場合は、第1および第2の面の両方に情報記録面100Aが設けられているディスク100を収納したカートリッジ11に適用する。カートリッジ11を上下逆さまにしてディスクドライブ装置内に挿入した場合でも、ロック解除用突起部が正しくスリット400d、400cに挿入され、ロックを解除することができる。
一方、図11(b)に示したように、支持ベース部材400の厚さ方向の中心位置から片側オフセットした位置にスリット400d、400cがそれぞれ設けられている場合は、第2の面のみに情報記録面100Aが設けられているディスク100を収納したカートリッジ11にのみ適合する。
カートリッジ11を上下逆さまにしてディスクドライブ装置内に挿入した場合、ロック解除用突起部はスリット400d、400cに挿入されず、ロック解除用突起部が支持ベース部材400が干渉する。その結果、ディスクカートリッジ11をディスクドライブ装置に挿入することができず、カートリッジ11の誤挿入を防止する。なお、駆動用係合部208、308を用いて、誤挿入を防止する場合には、スリット400d、400cは、支持ベース部材400の厚さ方向の中心位置に対してオフセットさせて設ける必要はない。
以上、説明したように、本実施形態によれば、2つのディスク収納部は互いに連動して逆方向に回転する。このため、開放している状態で大きな開口を生じさせることができる。このような構造により、大径ディスクカートリッジと同等以上のヘッド開口部を形成することができる。したがって、大径ディスクカートリッジで使用されるヘッドを用いても、本実施形態のディスクカートリッジに収納されたディスクにアクセスすることが可能となる。
また、本実施形態によれば、第1および第2のディスク収納部201、301が開放された場合、ディスク100と第1および第2のディスク収納部201、301と支持ベース部材400とによるディスク100の回転軸103方向の投影領域は、第1および第2のディスク収納部201、301が閉塞している状態に比べて大きくなる。このため、ディスクドライブ装置へ装着した場合にディスクカートリッジ11の占有する面積は増大する。しかし直径の小さいディスクを収納するディスクカートリッジであればその増大量は小さい。一方、本実施形態によればヘッド開口部702を大きくでき、かつヘッド開口部702には、ディスクカートリッジの開閉操作部等がまったく存在しない。このため、ディスクドライブ装置のヘッドがアクセスしても干渉せず、ヘッドの設計自由度が大幅に向上するという利点が大きく勝っている。
また、本実施形態によれば、第1および第2のロック部材501、601を同時に解除させることによってのみ、第1および第2のディスク収納部201、301を開放させることができる。このような解除動作は、特殊であり、操作者が容易に実行できるものではないため、本実施形態のディスクカートリッジに対応したディスクドライブ装置の外部において情報記録面を露出させるのが困難となる。したがって、ディスクに傷や埃、指紋などがつき難く、高い信頼性と安全性を備えたディスクカートリッジが実現する。
また、本実施形態によれば、第1および第2のディスク収納部201、301を開放した状態で、ディスク装置側の規制部材と支持ベース部材400の位置決め部によりディスクの中心位置の位置決め精度を向上することが可能となる。また、第1および第2のディスク収納部201、301を閉塞した状態では、ディスクを保持させるか、もしくは微小な距離を隔ててディスクの動きを規制させることができ、カートリッジを持ち運び等した場合においてもディスクのガタツキによる損傷を防止することができる。
また、本実施形態によれば、シャッタ機能を兼ねた剛性の高い2つのディスク収納部でディスクを収納するため、部品点数を削減でき、かつ堅牢で防塵性の高いディスクカートリッジを実現できる。
また、従来の小さな直径のディスクを収納するディスクカートリッジにおいて広く用いられていた薄い板金製シャッタが不用になるため大幅にコストを低減することが可能となる。このため、特に、大型のディスクカートリッジにも対応するようなヘッドでもアクセスが可能であり、防塵性・堅牢性に優れ、安価で製造できる小径用のディスクカートリッジに好適に用いられる。
(第2の実施形態)
以下、本発明によるディスクカートリッジの第2の実施形態を説明する。
図12(a)は、ディスク100を収納し、第1のディスク収納部201および第2のディスク収納部301を開放した状態のディスクカートリッジ12を上方から見た斜視図であり、図12(b)は、第1のディスク収納部201および第2のディスク収納部301を閉塞した状態のディスクカートリッジ12を上方から見た斜視図である。
図13(a)は、ディスク100を収納し、第1のディスク収納部201および第2のディスク収納部301を開放した状態のディスクカートリッジ12を情報記録面100A側から見た斜視図であり、図13(b)は第1のディスク収納部201および第2のディスク収納部301を閉塞した状態のディスクカートリッジ12を情報記録面100A側から見た斜視図である。
図14(a)はディスク100を収納し、第1のディスク収納部201および第2のディスク収納部301を開放した状態のディスクカートリッジ12の上平面図であり、図14(b)は第1のディスク収納部201と第2のディスク収納部301を閉塞した状態のディスクカートリッジ12の上平面図である。
図15(a)はディスク100を収納し、第1のディスク収納部201と第2のディスク収納部301を開放した状態のディスクカートリッジ12の底面図であり、図15(b)は第1のディスク収納部201と第2のディスク収納部301を閉塞した状態のディスクカートリッジ12の底面図である。
これらの図に示すようにディスクカートリッジ12は、第1のディスク収納部201、第2のディスク収納部301および支持ベース部材400を備え、ディスク100を収納する。
図16は、第1のディスク収納部201と第2のディスク収納部301を開放した状態のディスクカートリッジ12の底面図である。第1の実施形態と同様、外部からディスク100を回転させるためのスピンドルモータのチャッキング部材が侵入できるよう開口したチャッキング開口部701と、ディスク100の情報記録面100Aに対して情報の再生および記録の少なくとも一方を行うヘッドが侵入し、アクセスできるよう開口したヘッド開口部702とが第1のディスク収納部201と第2のディスク収納部301との間に形成される。これらの開口部は、第1のディスク収納部201および第2のディスク収納部301が開放した状態において、第1のディスク収納部201および第2のディスク収納部301の間に形成される略扇型の開口領域内に位置する。
本実施形態ではディスク100にセンターホール102が開いており、支持ベース部材上体801に、ディスク装置でディスク100をクランプするためのクランプ孔810が設けられている。しかし、ディスク100を装着するための金属等のクランプ(図示せず)がディスク100もしくはカートリッジ12に設けられていてもよい。この場合、支持ベース部材上体801にクランプ孔810を設ける必要はない。
図17は、ディスクカートリッジ12の構造を示す分解斜視図である。図17に示すように、ディスクカートリッジ12において、支持ベース部材400は支持ベース部材下体802および支持ベース部材上体801によって構成される。また、ディスクカートリッジ12は、第1のディスク収納部201および第2のディスク収納部301に加えて、第1のロック部材501および第2のロック部材601を備えている。
図18は、ディスク100を収納し、第1のディスク収納部201と第2のディスク収納部301を開放した状態のディスクカートリッジ12を外側面10h側から見た断面図である。
これらの図において第1の実施形態と同じ構成要素には同じ参照符号を付している。本実施形態のディスクカートリッジ12が第1の実施形態のディスクカートリッジ11と大きく異なっている点は、支持ベース部材上体801と支持ベース部材下体802の形状、これらの接合方法およびヘッド開口部902の形状である。
図12(a)および図12(b)に示すように、支持ベース部材上体801は、ディスク100と平行な面内において、クランプ孔810によって露出する部分を除く、閉塞時の第1および第2のディスク収納部201、301のすべて覆う。クランプ孔810は、図示しないクランパがディスク100にアクセスし、クランプするために設けられている。
また、開放している状態で第1および第2のディスク収納部201、301が干渉しないように支持ベース部材上体801の両側面には、切り欠き820、821が設けられている。
図13(a)および図13(b)に示すように、支持ベース部材下体802は、閉塞状態にある第1および第2のディスク収納部201、301の一部を覆っている。支持ベース部材802には、外部からディスク100をチャッキングするためのチャッキング開口孔831とヘッド開口孔830が設けられている。これらの開口孔は第1および第2のディスク収納部201、301が開放した状態において、第1および第2のディスク収納部201、301との間に形成される開口に含まれるように位置している。このため、図16に示すように第1および第2のディスク収納部201、301が開放している状態において、チャッキング開口部701およびヘッド開口部902が形成される。第1および第2のディスク収納部201、301との間に形成される扇型の開口に一致させ、ヘッド開口部702を略扇形状にしてもよい。
また、カートリッジ12を矢印1Aの方向へ移動させてディスクドライブ装置内に挿入する際、一対の開閉レバー(図示せず)が、第1および第2のディスク収納部201、301に設けられた駆動用係合部208、308に係合することができるように切り欠き822、823が支持ベース部材下体802に設けられている。
図17に示すように、支持ベース部材上体801と支持ベース部材下体802とは、外縁部もしくは一対の位置決め孔410、411の外縁上端部410a、411a、第1のディスク収納部201と第2のディスク収納部301の回転軸403、404の上端部、第1のロック部材501および第2のロック部材601の回転軸412、413の上端部とディスク100の位置決め部408、409の外縁上端部に加えて、支持ベース部材下体802に設けられた接合部841とで、接着もしくは溶着されて支持ベース部材400を構成している。第1の実施形態より支持ベース部材上体801と支持ベース部材下体802との接合面積を増加させることが可能となり、さらに堅牢な支持ベース部材400を実現している。
また、図18に示すように、ディスク100を覆うように第1および第2のディスク収納部201、301と支持ベース部材上体および下体801、802とから構成される完全な2重隔壁構造を実現できる。その結果、第1の実施形態に比べて、極めて堅牢で踏み付け等の外部からの大きな力に対して安全性の高いカートリッジを提供することができる。
第1および第2のディスク収納部201、301の開放・閉塞動作および閉塞状態をロックする第1および第2のロック部材501、601の動作は、第1の実施形態のディスクカートリッジ11の対応する構成要素と同様である。
図19(a)および図19(b)は支持ベース部材400にロック機能を設けたディスクカートリッジ12’の斜視図であって、図19(a)は、第1のディスク収納部201および第2のディスク収納部301を開放した状態を支持ベース部材上体801側から見た図であり、図19(b)は第1のディスク収納部201と第2のディスク収納部301を閉塞した状態を支持ベース部材下体802側から見た図である。
図19(a)に示すように、支持ベース部材上体801は、両側面の切り欠き820、821近傍部分にU字状の切り欠き807、808を設けることにより支持ベース部材上体801の一部が弾性部として機能する弾性ロック部材805、806を有している。
図19(b)に示すように、第1および第2のディスク収納部201、301が閉塞している状態では、弾性ロック部材805、806に設けられた突起部805a、806aが駆動用係合部208、308と係合し、ディスク収納部201、301が開放されるのを防止する。
この状態で、矢印1Aで示すようにディスクカートリッジ12’をディスクドライブ装置内に挿入した場合、ディスクドライブ装置に設けられた一対の開閉レバー(図示せず)が、ディスク100と垂直な方向に突起部805a、806aを同時に押し上げ、突起部805a、806aと駆動用係合部208、308との係合を解除する。続いて、開閉レバーが、駆動用係合部208、308と係合し、第1および第2のディスク収納部201、301を開放する。この開放動作中では、弾性ロック部材805、806の突起部805a、806aは、弾性変形しながら第1および第2のディスク収納部201、301の外形面201f、301fに当接しながら摺動する。
第1および第2のディスク収納部201、301を閉塞する場合は、開放と逆の動作により開閉レバーと係合した第1および第2のディスク収納部201、301が閉塞すると、弾性ロック部材805、806の突起部805a、806aと駆動用係合部208、308とが係合してロックを完了する。
これにより、一対の開閉レバーで第1および第2のディスク収納部201、301の開放・閉塞とそのロックの解除を行うことができる。その結果、ディスクドライブ装置にロック解除レバーを設ける必要がなく、カートリッジ12’においてロック部材として別部品を設ける必要がなくなる。したがって、ロック機能による高い安全性を確保しつつ、ドライブ装置ならびにディスクカートリッジ12を低コストで製造することが可能となる。
なお、上述した弾性ロック部材を備える場合、第1および第2のディスク収納部201、301が開放された状態では弾性ロック部材805、806は変形した状態が維持される。このため、弾性ロック部材805、806がクリープによる変形を引き起こすのを防止するため、突起部805a、806aに当接する位置の外形面201f、301fに弾性変形を解除する凹部(図示せず)をそれぞれ設けてもよい。
(第3の実施形態)
以下、本発明によるディスクカートリッジの第3の実施形態を説明する。図20(a)および図21(a)は、ディスクカートリッジ13から支持ベース部材上体401と第1および第2のロック部材501、601を取り除き、第1および第2の収納部210、301を開放させた状態の構造を示す斜視図および平面図である。図20(b)および図21(b)は、ディスクカートリッジ13から支持ベース部材上体401取り除き、第1および第2の収納部210、301を開放させた状態の構造を示す斜視図および平面図である。
これらの図において、第1の実施形態と同じ構成要素には同じ参照符号を付している。
ディスクカートリッジ13は、ディスク100を収納した状態で第1および第2のディスク収納部201、301を開放し、チャッキング開口部およびヘッド開口部を形成する第1の開放状態に加え、支持ベース部材上体401と第1および第2のロック部材501、601を取り除くことによってディスク100を挿入可能なように第1および第2のディスク収納部201、301をより大きく開放させる第2の開放状態をとることができる。
図20(a)および図21(a)に示すように、支持ベース部材下体402に第1および第2のディスク収納部201、301を取り付けた状態において、第1および第2のディスク収納部201、301の回転規制は、支持ベース部材下体402に設けられたディスク100の位置決め部420、421と、第1および第2のディスク収納部201、301に設けられた第2の回転規制部210、310とを当接させることにより行われる。
一方、図20(b)および図21(b)に示すように、第1および第2のロック部材501、601を支持ベース部材下体402に取り付けた状態において、第1および第2のディスク収納部201、301の回転規制は、第1および第2のロック部材501、601に設けられた係止レバー部502、602と第1および第2のディスク収納部201、301に設けられた第1の回転規制部211、311とを当接させることにより行われる。
第1の実施形態のディスクカートリッジ11の組み立て手順では、ディスク100を収納し、かつ第1のディスク収納部201と第2のディスク収納部301とを閉塞した状態で支持ベース部材下体402に装着していた。これに対して、本実施形態では、まずディスク100の着脱可能な回転角度で第1のディスク収納部201と第2のディスク収納部301を支持ベース部材下体402に装着し、次にディスク100を収納する。その後、第1および第2のディスク収納部201、301を閉塞し、第1および第2のロック部材501、601を取り付ける。最後に支持ベース部材上体401を支持ベース部材下体402に接着もしくは溶着することによりディスクカートリッジ13が完成する。
本実施形態によれば、ディスク100を挿入する前に第1および第2のディスク収納部201、301を支持ベース部材下体402に取り付けるため、組み立て時にディスク100を収納し、連動部203、303を噛み合わせた上で第1および第2のディスク収納部201、301を閉塞させるという正しく保持することが容易ではない状態をとる必要がない。このため、組立工程を簡略化することができる。
(第4の実施形態)
以下、本発明によるディスクカートリッジの第4の実施形態を説明する。図22は、ディスクカートリッジ14の分解斜視図である。これらの図において第1および第2の実施形態と同じ構成要素には同じ参照符号を付している。ディスクカートリッジ14は、支持ベース部材上体401と支持ベース部材下体402とが連結部430fで連結されている点が第2の実施形態のディスクカートリッジ12と異なっている。
部材430において、支持ベース部材上体401と支持ベース部材下体402とは連結部430fによって連結されている。このため、第ディスクカートリッジ14の組み立ては容易である。図22に示すように、まずディスク100の着脱可能な回転角度で第1のディスク収納部201と第2のディスク収納部301を第1の支持ベース部材430の支持ベース部材下体402に装着し、次にディスク100を収納する。その後に第1および第2のディスク収納部201、301を閉塞し、さらに第1および第2のロック部材501、601を装着する。
最後に支持ベース部材430を連結部430fで矢印401A方向へ折り曲げ、支持ベース部材上体401と支持ベース部材下体402とを接着もしくは溶着することによりディスクカートリッジ14が完成する。
また、図23に示すように、支持ベース部材上体401と支持ベース部材下体402と第1および第2のロック部材501、601とが連結された部材440を用いてディスクカートリッジ14を作製してもよい。
図23に示すように、部材440において、支持ベース部材上体401と支持ベース部材下体402とが図22で示すように連結されており、さらに第1および第2のロック部材501、601が、連結部440f、440gによって支持ベース部材下体402に連結されている。
ディスカートリッジ14を作製するためには、まずディスク100の着脱可能な回転角度で第1のディスク収納部201と第2のディスク収納部301を第1の支持ベース部材430の支持ベース部材下体402に装着し、次にディスク100を収納する。その後に第1および第2のディスク収納部201、301を閉塞する。
次に、第1および第2のロック部材501、601を連結部440f、440gにおいて矢印501A、矢印601A方向へ折り曲げて装着した後、連結部440f、440gを切断する。最後に、支持ベース部材440を連結部440hで矢印401A方向へ折り曲げ、支持ベース部材上体401と支持ベース部材下体402とを接着もしくは溶着することによりディスクカートリッジ14’が完成する。
このような工程によって組み立てを行うために、部材430、440は、折り曲げ工程に適した破断伸びが200%以上である例えばプリプロピレンあるいはポリエチレン等の樹脂材料から成形されていることが好ましい。また、第1および第2のディスク収納部201、301は剛性の高い例えばPBSからなり、部材430、440とは異なる材料によって成形されていることが好ましい。
このように、このように本実施形態によれば、支持ベース部材上体と支持ベース部材下体を連結させることにより、部品点数を削減し組み立て工程を簡素化することができる。さらに、支持ベース部材上体と支持ベース部材下体と第1と第2のロック部材とを連結させることにより、部品点数の大幅な削減と組み立て工程のさらなる簡素化が実現できる。
(第5の実施の形態)
以下、本発明によるディスクカートリッジの第5の実施の形態を説明する。
図24は、ディスクカートリッジ15の分解斜視図である。図24に示すように、ディスクカートリッジ15は、第1および第2のディスク収納部920、930、支持ベース部材下体940、支持ベース部材上体970および第1および第2のロック部材960、970を備え、ディスク100を収納する。
第1および第2のディスク収納部920、930によりディスク100を収納し、開放状態においてヘッド開口部およびチャッキング開口部を形成する機能は第1の実施形態のディスクカートリッジ11と同じである。また、第1の実施形態と同様、支持ベース部材下体940および支持ベース部材上体970とからなる支持ベース部材940が、第1および第2のディスク収納部920、930を回動支持し、ディスク100と垂直な方向への変形を防止する機能を有する。
以下、まず、図25から図27を参照しながら、ディスクカートリッジ15を組み立てる手順を説明しながらディスクカートリッジ15の構造を合わせて説明する。
図25に示すように、まず、支持ベース部材下体940に第1および第2のディスク収納部920、930が組み込まれる。このとき、第1および第2のディスク収納部920、930が、支持ベース部材下体940に設けられた第1および第2の回転支持部943A、943Bに対して回動可能となるよう、第1および第2の回転支持部943A、943Bをそれぞれ第1および第2のディスク収納部920、930の回動孔922、932に挿入する。
支持ベース部材下体940には、ディスクカートリッジ全体の剛性および強度を向上させるために、後述する、支持ベース部材上体970まで達して接合される第1および第2の支柱944Aおよび944Bが設けられており、第1および第2のディスク収納部920および930には、回動時を含めてこれらを回避するための第1および第2の支柱逃げ923および933が設けられている。
また、支持ベース部材下体940には、後述する第1および第2のディスク収納部920および930の閉塞状態における回動をロックするのに寄与する部位である第1および第2の係止凸部948Aおよび948Bが設けられており、第1および第2のディスク収納部920および930には、ロック解除後の回動時にこれらを回避するための第1および第2の回避部928および938が設けられている。
また、支持ベース部材下体940には、第1および第2のディスク収納部920、930の閉塞状態において、第1および第2のロック部材950、960の離脱を阻止するための、第1および第2のロック部材制止部949A、949Bが設けられており、第1および第2のディスク収納部920、930には、ロック解除後の回動時にこれらを回避するための第1および第2のロックストッパ逃げ929、939が設けられている。
さらに、支持ベース部材下体940には、本実施の形態におけるディスクカートリッジにデータを記録および/または再生する際に使用するディスク装置に設けられた位置決めピン(不図示)が嵌合する第1および第2の本体位置決め穴A941AA、941BAと、第1および第2の本体位置決め穴B941AB、941BBが設けられている。
また、支持ベース部材下体941には、第1および第2のディスク収納部920および930が回動する際に接触する特定の基準面として設定された、下体収納部基準面942が設けられている。
次に、図26に示すように支持ベース部材上体970を、支持ベース部材下体940に固定支持する。このとき、支持ベース部材上体970に設けられた第1、第2、第3および第4の位置決め穴977A1、977A2、977A3、977A4を、支持ベース部材下体940に設けられた第1、第2、第3および第4の位置決め突起947A1、947A2、947A3、947A4に嵌合させることにより、位置決めを行う。固定支持するためには、これらの位置決め穴と位置決め突起の部分、もしくはそれ以外の平坦な部分に接着剤を塗布して接着することが可能である。また、支持ベース部材下体940および支持ベース部材上体970が樹脂材料により構成されている場合には、支持ベース部材下体940の支持ベース部材上体970に対向した端面である本体端面945と、支持ベース部材上体970とを超音波溶着することも可能である。このときには、別途溶着しろを設ける必要があるが、図26においては図示していない。
第1および第2の回転支持部は、支持ベース部材上体970に設けられた第1および第2の回動支持穴973A、973Bと嵌合し、第1および第2の支柱944A、944Bは第1および第2の支柱支持穴974A、974Bと嵌合する。この嵌合部分については接着されなくても、単に嵌合するだけで確実に位置決めがされれば良い。より強固な固定が必要な場合には接着されることが望ましい。
次に、図27に示すように、第1および第2のロック部材950、960を装着する。このとき、支持ベース部材上体970を除去して表した図28に示すように、第1および第2のロック部材950、960にそれぞれ設けられた、第1および第2の被ロックガイド部B955B、965Bが、それぞれ矢印D95A方向および矢印D96A方向へ、第1および第2のディスク収納部920、930に設けられた第1および第2の逆止部位924、934を押し広げながら、第1および第2の開放部921、931に対して挿入される。挿入された後には第1および第2の逆止部位924、934により、第1および第2の被ロックガイド部B955B、965Bの排出が阻止された状態で保持される。このとき、第1および第2のロック部材950、960は、第1および第2のディスク収納部920、930に対して、矢印D95AおよびD96A方向にスライド可能な状態である。
このようにして、ディスクカートリッジ15の構成部品が全て組み込まれる。なお、図28において、第1および第2の被ロックガイド部A955A、965Aは、第1および第2のロック部材950および960が矢印D95A方向および矢印D96A方向へさらに挿入された際、第1および第2の被ロックガイド部B955B、965Bと共に、第1および第2のロック部材950、960を第1および第2のディスク収納部920、930に対してガイドする。
また、付勢部959、969は板バネ状の形状を有し、第1および第2のロック部材950、960を、ロック解除状態の位置からロック状態の位置へ復帰させる。
第1のガイド斜面A954A、964Aおよび第2のガイド斜面B954B、964Bは、第1および第2のロック部材を、図28に示す状態に組み込んだ後、さらに矢印D95A方向および矢印D95B方向へ移動させる際に、動作を円滑に行うための誘いとなる。第1および第2のガイド斜面A954A、964A、第1および第2のガイド斜面B954B、964Bの詳細の機能は後述する。
図29は、この時点において組み込まれた部品の位置関係を、支持ベース部材下体940を除いた状態で、図27における矢印P1方向側から見た斜視図である。
図29において、位置決め接触面957A、957B、および967A、967Bは、第1および第2のロック部材950、960の支持ベース部材下体940に対向している。後述するように、第1および第2のロック部材950、960がロック解除状態であるときに、第1および第2の係止凸部948A、948Bは第1および第2の通過部953、963を通過する。また、第1および第2のロック解除斜面958、968は、第1および第2のディスク収納部920、930が第1の開放状態から閉塞状態へ回動する際、第1および第2のロック部材950および960をいったん、図28に示す矢印D95A方向およびD96A方向へ移動させるために、第1および第2の係止凸部948A、948Bに当接する。
第1の収納部位置決め穴927は、ディスクカートリッジ15がディスクドライブ装置に装填される際、第1の本体位置決め穴A941AAとともに同時にディスクドライブ装置の位置決めピン(不図示)に嵌合し、支持ベース部材940および第1のディスク収納部920を同時に位置決めする。同様に、第2の収納部位置決め穴937は、ディスクカートリッジ15がディスクドライブ装置に装填される際、第2の本体位置決め穴A941BAとともに同時にディスクドライブ装置の位置決めピン(不図示)に嵌合し、支持ベース部材940および第2のディスク収納部930を同時に位置決めする。
次に、構成部品が全て組み込まれたディスクカートリッジ15に、ディスク100を収納する工程を、図30から図34を参照して説明する。図30から図34は、全ての構成部品が組み込まれ、種々の開放状態にあるディスクカートリッジ15の図27に示す断面線S1−S1より下部分を示している。
図30から図34に示すように、第1および第2のディスク収納部920、930の、閉塞状態を除く全ての状態において、第1および第2の支柱944A、944Bは、第1および第2の支柱逃げ923、933により第1および第2のディスク収納部920、930との干渉が回避されている。また第1および第2の係止凸部948A、948Bは、第1および第2の回避部928、938により第1および第2のディスク収納部920、930との干渉が回避されている。さらに第1および第2のロック部材制止部949A、949Bは、第1および第2のロックストッパ逃げ929、939により、第1および第2のディスク収納部920、930との干渉が回避されている。
図30は、第1および第2のディスク収納部920、930が、全構成部品の組み込まれたディスクカートリッジ15にディスク100を収納可能となる第2の開放状態となっている様子を示す。
図30に示すように、第2の開放状態では、第1のディスク収納部920および第2のディスク収納部930は、ディスク100が矢印D10A方向に挿入されるのに十分な開口部を確保している。このとき第1のディスク収納部920は、第1の収納部位置決め穴927と第1の本体位置決め穴B941ABとが一致する位置となるように開放されている。同様に、第2のディスク収納部930は、第2の収納部位置決め穴937と第2の本体位置決め穴B941BBとが一致する位置となるように開放されている。
これにより、ディスク100をディスクカートリッジに収納する工程において使用するベース部材(不図示)に、ディスクカートリッジを固定保持する際に、第1および第2のディスク収納部920および930は確実に第2の開放状態となり、かつ、ベース部材に対して正確に位置決めされる。
第1および第2のディスク収納部920、930には、第1および第2のロック部材950、960より付勢力を受ける部位である第1および第2のバネ係止部926、936が設けられている。しかし、図30に示す状態においては、第1の付勢部位959に設けられた第1の付勢部位端部959A、および第2の付勢部位969に設けられた第2の付勢部位端部969Aは、第1および第2のバネ係止部926、936には当接していない。
なお図30に示す状態では、第1および第2のロック部材920、930は、第1および第2のガイド斜面A954A、964Aが、支持ベース部材下体940に設けられた第1および第2の回動ストッパ946A、946Bに当接して制止されることにより、開放角度が制限される。しかし、第1および第2の本体位置決め穴B941AB、941BBと、第1および第2の収納部位置決め穴927、937とが一致する状態においては、当接せずクリアランスを有している。このため、第1および第2のディスク収納部920、930は、矢印D92A方向および矢印D93A方向に、若干の回動が可能である。
図30に示す状態にてディスク100を収納した後、図31に示すように、第1および第2のディスク収納部920、930を矢印D92B、D93B方向へ回動させると共に、第1および第2のロック部材950、960を、矢印D95A、D96A方向へ回動させる。この際、第1および第2のロック部材950、960を回動させるのに、第1および第2のロック操作部956、966を矢印D95A、D96A方向に付勢することができる。
このとき、第1および第2のディスク収納部920、930と第1および第2のロック部材950、960の回動動作に伴い、第1および第2のガイド斜面A954A、964Aが、支持ベース部材下体940に設けられた第1および第2の回動ストッパ946A、946Bに当接する可能性のある位置関係となる。しかし、互いの当接面同士が、回動動作に支障を及ぼさないような斜面形状となっている。
さらに続けて図32に示すように、第1および第2のディスク収納部920、930を矢印D92B、D93B方向へ回動させると共に、第1および第2のロック部材950、960を、矢印D95A、D96A方向へ回動させると、第1および第2のガイド斜面B954B、964Bが、第1および第2の回動ストッパ946A、46Bに当接する可能性のある位置関係となる。しかし、この場合も同様に、互いの当接面同士が、回動動作に支障を及ぼさないような斜面形状となっている。
このあとさらに図33に示すように、第1および第2のディスク収納部920、930を矢印D92B、D93B方向へ回動させると共に、第1および第2のロック部材950、960を、矢印D95A、D96A方向へ回動させ、第1および第2のガイド斜面A954A、964Aの全領域が第1および第2の回動ストッパ946A、946B部分の通過を完了する。この通過が完了するまでの間、第1および第2のロック部材950、960は、第1および第2の係止凸部と干渉することのないような寸法関係となっている。
そして図34に示すように、第1および第2のディスク収納部920、930は、閉塞した状態となり、ディスク100の収納が完了する。
なお図33に示す状態から図34に示す状態に至る過程においては、図33に示す第1および第2のロック解除斜面958、968が、第1および第2の凸部斜面948AA、948BAに当接し、矢印D95A、D96A方向に付勢されることにより、第1および第2のロック部材950、960に設けられた第1および第2の通過部953、963は、第1および第2の係止凸部948Aおよび948Bを通過する。これにより、第1および第2のディスク収納部920、930は、第1および第2の係止凸部948A、948Bにより係止されることなく、閉塞することが可能となる。
また、第1および第2のロック部材950、960が矢印D95A、D96A方向へ付勢されることにより、第1および第2の付勢部位端部959A、969Aは、第1および第2のバネ係止部926、936に当接し、さらに第1および第2の付勢部位959A、969Aが撓んで弾性変形する。これにより、第1および第2のロック部材950、960自身が矢印D95B、D96B方向へ移動する力を発生する。
この結果、図34に示すように第1および第2のロック部材950、960は、第1および第2のディスク収納部920、930を閉塞状態で拘束するように、第1および第2の係止凸部948A、948Bと、第1および第2の回避部928、938との間を遮断する。
また第1および第2のディスク収納部920、930が閉塞した状態では、図28に示す第1および第2のロック部材950、960に設けられた第1および第2の被ロックガイドA955A、965Aは、十分に矢印D95A、D96A方向に移動しており、第1および第2の逆止部位924、934により係止され、矢印D95B、D96B方向への排出が阻止される。
図35は、閉塞した第1および第2のディスク収納部920、930と第1および第2のロック部材950、960とを図27のP1側から見た斜視図である。第1および第2のロックガイド部925、935は、第1および第2のロック部材950、960を矢印D95、D96方向へ移動可能にガイドする。
上述した通り、第1および第2の被ロックガイド部A955A、965A、および第1および第2の被ロックガイド部B955B、965Bは、第1および第2の逆止部位924、934により、矢印D95B、D96B方向への排出が阻止された状態にある。これらは、第1および第2のディスク収納部920、930の周囲に沿って溝状に形成された第1および第2のロックガイド部925および935に嵌挿されて、この方向にガイドされる。
図36は、第1および第2のディスク収納部920、930に第1および第2のロック部材950、960が組み込まれた状態を図27のP1側から見た斜視図である。図36では、支持ベース部材下体940が除かれた状態で示されている。
図36に示すように、支持ベース部材上体970には、第1および第2のディスク収納部920、930が回動する際に接触する基準面として支持ベース部材上体970から突出した上体収納部基準面975が設けられている。
また、支持ベース部材940には、図34に示すように第1および第2のディスク収納部920、930が閉塞した状態で、第1および第2のロック部材950、960が矢印D95B、D96B方向に移動しないように、第1および第2のロック部材制止部949A、949Bが設けられている。これにより、第1および第2のディスク収納部920、930の閉塞した状態における、第1および第2のロック部材950、960の矢印D95B、D96B方向への移動の阻止力が、さらに強固なものになる。
このとき、さらに図37に示すように、第1のロック部材制止部949Aと、これに対向する第1のロック部材950に設けられた第1の制止当接部956Aとを当接させ、第1の逆止部位924と、これに対向する第1の逆止部位当接部955AAとは当接させないように寸法関係を設定し、第1の逆止部位924と第1の逆止部位当接部955AAとの間に間隙G92を設ける。この場合、第1のディスク収納部920が閉塞した状態では、第1のロック部材920が矢印D95B方向に排出しようとする力は、常時必ず第1のロック部材制止部949Aで受けていることになる。これにより、第1の被ロックガイド部955Aが排出する力を第1の逆止部位924により保持する場合に比べ、安定度の高い第1のロック部材制止部949Aに主たる制止機能をもたせることになり、より高い保持性能を確保することが可能となる。
次に、ディスク100が収納されたディスクカートリッジ15をディスクドライブ装置(不図示)に装填する場合の動作を図38および図39を参照して説明する。
図38および図39は、ディスクカートリッジ15の図27に示す断面線S1−S1における断面図である。
第1および第2のディスク収納部920、930が閉塞した状態でディスクドライブ装置に挿入されると、ディスク装置に設けられた操作機構(不図示)により、第1および第2のロック部材950、960に設けられた第1および第2のロック操作部956、966が、矢印D95D、D96D方向に押圧され、これにより、第1および第2のロック部材950、960が矢印D95A、D96A方向へ回動する。
図38に示すように、第1および第2のロック部材950、960は、矢印D95A、D96A方向に回動することにより、第1および第2のバネ係止部926、936により第1および第2の付勢部位端部959A、969Aが係止され、第1および第2の付勢部位959、969が弾性変形し、矢印D95CおよびD96C方向へ湾曲して撓む。
このように、第1および第2のディスク収納部920、930が矢印D92A、D93A方向へ回動する際、第1および第2の通過部953、963が第1および第2の係止凸部948Aおよび948Bとの干渉を回避できる角度まで、第1および第2のロック部材950、960を、矢印D95A、D96A方向に回動させる。これにより、第1および第2のディスク収納部920および930のロックが解除される。
こうしてロック状態が解除された後、第1および第2のディスク収納部920、930が矢印D92A、D93A方向へ回動すると、ディスクカートリッジは、ディスク装置(不図示)にて実際にデータを記録および/または再生が可能な、図39に示す、第1の開放状態となる。
このとき第1および第2のロック部材950、960に設けられた第1および第2の通過部953、963は、第1および第2の係止凸部948A、948Bを通過し終わっており、またこの時点でディスク装置に設けられた操作機構(不図示)による押圧が解除されるよう設定されておいる。このため第1および第2の付勢部位959、969は、弾性により発生する付勢力で、図38に示す撓んだ状態から、図39に示す状態に戻る。このときにおける、第1および第2のロック部材950、960の、第1および第2のディスク収納部920、930に対する相対位置は、閉塞状態で第1および第2のロック部材950、960が図38における矢印D95D、D96D方向へ押圧する前の状態、すなわち、図34に示す状態における相対位置と同じである。
なお、支持ベース部材下体に設けられた第1および第2のロック部材制止部949A、949Bは、矢印D92A、D93A方向への第1および第2のディスク収納部920および930の回動に際し、回動による第1および第2のロック部材950、960の回動軌跡から外れており、干渉しない。
また、ディスクカートリッジ15は、図39に示すように第1の開放状態となっても、第1および第2のロック部材950、960が第1および第2の回動ストッパ946A、46Bに当接することはない。
ただし、第1および第2のロック部材950、960の、第1および第2のディスク収納部920、930に対する相対位置が図39に示す状態の時には、第1および第2のディスク収納部920、930は上述した第2の開放状態まで開放することもない。また、この相対位置の状態では、第1および第2の被ロックガイド部Aの、矢印D95B、D96B方向への移動は、第1および第2の逆止部位924、934により、強力な排出力でなければ阻止できる。したがって、一度、ディスク100がディスクカートリッジ内に収納されて、第1および第2のロック部材950、960が第1および第2のディスク収納部920、930に組み込まれると、ディスク100を矢印D10B方向へ取り出すことはできない。その結果、不用意にディスク100が取り出されることにより、ディスク100が汚染されたり傷められたりすることを回避することが可能となる。なお、矢印D10B以外の方向にもディスク100を取り出すことはできない。
また、図39に示す状態においては、第1のディスク収納部920は、第1の収納部位置決め穴927と第1の本体位置決め穴Aである941AAとが一致する位置となるように開放されている。同様に、第2のディスク収納部930は、第2の収納部位置決め穴937と第2の本体位置決め穴Aである941BAとが一致する位置となるように開放されている。
これにより、ディスクドライブ装置(不図示)にて実際にデータを記録および/または再生する際において、ディスクドライブ装置(不図示)にディスクカートリッジを固定保持する際、第1および第2のディスク収納部920、930を確実に位置決めピン(不図示)にて第1の開放状態にして、かつ、ディスク装置に対して正確に位置決めすることが可能となる。
ディスクカートリッジ15をディスクドライブ装置から排出する場合、図39に示す状態から図38に示す状態をとる。この場合、ディスクカートリッジ15は第1および第2のロック部材950、960が組み込まれた第2の開放状態からディスク100を収納するまでの過程における、上述した、図33に示す状態から図34に示す状態に至る際の動作と同様に動作する。具体的には、第1および第2のディスク収納部920、930を矢印D92B、D93B方向へ回動させると、図10に示す第1および第2のロック解除斜面958、968が、第1および第2の凸部斜面948AA、948BAに当接して矢印D95A、D96A方向に付勢されることにより、第1および第2のロック部材950、960に設けられた第1および第2の通過部953、963は、第1および第2の係止凸部948A、948Bを通過することが可能となる。
なお、本実施形態では、第1および第2のディスク収納部920、930と支持ベース部材下体400の位置決めを、第1の開放状態と第2の開放状態とで、異なる位置にある位置決めピン(不図示)を用い行っていた。具体的には、支持ベース部材下体940と第1および第2のディスク収納部920、930とを同時に位置決めする際、第1および第2のディスク収納部920、930の第1の開放状態では、第1および第2の本体位置決め穴A941AA、941BAと、第1および第2の収納部位置決め穴927、937を使用し、第2の開放状態では、第1および第2の本体位置決め穴B941AB、941BBと、第1および第2の収納部位置決め穴927、937を使用していた。
これにより、ディスクドライブ装置にて使用する際の第1の開放状態と、ディスク100をディスクカートリッジに収納する工程における第2の開放状態とで、使用する位置決めピンの位置を異ならせることにより、第1の状態にあるディスクカートリッジを誤ってディスク100を収納する工程に用いたり、第2の状態にあるディスクカートリッジを誤ってディスクドライブ装置で使用することを回避することが可能となるという効果があった。
しかし、第1および第2のディスク収納部920、930と支持ベース部材下体400の位置決めを、第1の開放状態と第2の開放状態とで、同じ位置にある位置決めピン(不図示)を用い行ってもよい。図40はこのようなディスクカートリッジ15’の支持ベース部材下体940と第1および第2のディスク収納部920および930を示す分解斜視図である。
ディスクカートリッジ15’は、第1および第2のディスク収納部920、930に、第1および第2の収納部位置決め穴A927A、937Aと、第1および第2の収納部位置決め穴B927B、937Bがそれぞれ設けられている点、および、支持ベース部材下体940に第1および第2の本体位置決め穴941A、941Bのみが設けられている点で第5の実施形態のディスクカートリッジ15とは異なっている。
なお、第1および第2の収納部位置決め穴A927A、937Aおよび第1および第2の収納部位置決め穴B927B、937Bは、第1および第2の収納部920、930の支持ベース部材下体940側に設けられており、図40で示す視点からは実際には見えない。このため、図40において、第1および第2の収納部920、930の一部を破れ線で示すように切り取ってこれらを図示している。
ディスクカートリッジ15’によれば、第1の開放状態では、第1および第2の本体位置決め穴941A、941Bおよび第1および第2の収納部位置決め穴A927A、937Aを使用し位置決めを行い、第2の開放状態では、第1および第2の本体位置決め穴941A、941Bおよび第1および第2の収納部位置決め穴Bである927B、937Bを使用して位置決めを行う。
これにより、ディスドライブ装置内に設けられる位置決めピンの位置と、ディスク100をディスクカートリッジ15’に収納する工程において使用するベース部材(不図示)に設けられる位置決めピンの位置とを、共通に設計にすることが可能となる。ことにより、設計工数、あるいは部品の共通化を図ることが可能となる。
なお、本実施形態では、図28に示すように、支持ベース部材下体940、第1および第2のディスク収納部920、930および支持ベース部材上体970を組み立てた後、第1および第2のロック部材950、960を組み込むように説明した。しかし、第1および第2のロック部材950、960は、第1および第2のディスク収納部920、930に予め仮固定し、支持ベース部材下体940に組み込むことも可能である。
また、支持ベース部材下体940、支持ベース部材上体970、第1および第2のディスク収納部920、930、第1および第2のロック部材950、960は、樹脂をはじめ、ディスクカートリッジに使用される公知の材料を用いて形成することができる。第1および第2の付勢部位959、969が弾性変形する期間はロックが解除されてから第1および第2のディスク収納部920、930が開放するまでの間だけであり、弾性変形した状態で連続時間使用されることがない。このため、この部分にも樹脂材料を使用しても、クリープ変形を生じるという問題が生じる可能性はほとんどない。
また、第1および第2の付勢部位959、969は、第1および第2のロック部材950、960と一体的に構成しているが、特にバネ性とロック時の強靱性がそれぞれ必要である。このため、一体の部品ではその両立が困難な場合、それぞれの性能を満たすことのできる材料で個別に構成し、接合したものを使用してもよい。
第1および第2のロック部材950、960は、付勢部位959、969の部分と第1のバネ係止部926、936との間で繋がり、第1および第2のディスク収納部920、930と一体的に構成されたものであってよい。
第1および第2の回避部928、938は、図35あるいは図36に示すように第1および第2の回動孔922、932を中心とした円弧状に形成している。しかし、第1および第2の係止凸部948A、948Bを回避可能な形状であれば、特にその形状は円弧状でなくてもよい。
第1および第2のロックストッパ逃げ929、939は、図35あるいは図35に示すように、第1および第2の回動孔922、932を中心とした円弧状に形成している。しかし、第1および第2のロック部材制止部949A、949Bを回避可能な形状であれば、特にその形状は円弧状でなくてもよい。
第1および第2の係止凸部948A、948Bは、図24あるいは図25に示すように、第1および第2の回転支持部943A、943Bを中心とした円弧状に形成している。しかし、第1および第2のディスク収納部920、930を拘束可能な形状であれば、特にその形状は円弧形状の一部でなくともよい。
第1および第2の本体位置決め穴A941AA、941BAは、図35あるいは図34に示すようにいずれも真円形である。しかし、いずれかの穴は、両者の中心同士を結ぶ直線に平行な方向に伸延し、短軸方向で位置決めピンに対する位置が決まる長円形状であってもよい。
第1および第2の本体位置決め穴Bである941AB、941BBは、図24あるいは図25に示すようにいずれも真円形である。しかし、いずれかの穴は、両者の中心同士を結ぶ直線に平行な方向に伸延し、短軸方向で位置決めピンに対する位置が決まる長円穴形状であってもよい。
また、第1および第2の本体位置決め穴941A、941Bは、図40に示すようにいずれも真円形である。しかし、いずれかの穴は、両者の中心同士を結ぶ直線に平行な方向に伸延し、短軸方向で位置決めピンに対する位置が決まる長円形状であってもよい。
また、第1および第2の収納部位置決め穴927、937は、図35あるいは図36に示すようにいずれも真円形である。しかし、いずれかの穴は、両者の中心同士を結ぶ直線に平行な方向に伸延し、短軸方向で位置決めピンに対する位置が決まる長円形状であってよい。
また、第1および第2の収納部位置決め穴A927A、937Aは、図40に示すようにいずれも真円形である。しかし、いずれかの穴は、両者の中心同士を結ぶ直線に平行な方向に伸延し、短軸方向で位置決めピンに対する位置が決まる長円形状であってもよい。
また、第1および第2の収納部位置決め穴B927B、937Bは、図140に示すようにいずれも真円形である。しかし、いずれかの穴は、両者の中心同士を結ぶ直線に平行な方向に伸延し、短軸方向で位置決めピンに対する位置が決まる長円形状であってもよい。
以上、説明したように、本発明のディスクカートリッジによれば、カートリッジ外形を規定していた従来のハウジングをなくし、カートリッジ外形を規定し、かつシャッタ機能も有する一対のディスク収納部を備える。この一対のディスク収納部を支持ベース部材に対してお互いを反対に回転させることにより、小型のカートリッジにおいても大きなヘッド開口部とチャッキング開口部を外部に対して閉塞・開放させることができる。
また、従来のディスクカートリッジには、シャッタを開放または閉塞させるための移動ガイド部をヘッド開口部に設ける必要があるため、ヘッドの高さが制限されていた。しかし、本発明では一対のディスク収納部が開放して、移動ガイド部が存在しない大きなヘッド開口部を構成できる。従って小型カートリッジにおいても大型カートリッジと同等のヘッド開口部を設けることができるとともに、光ヘッドの設計上の高さ制限事項を大きく緩和することができる。
また、一対のディスク収納部が開放している場合に、ディスクの中心位置の位置決めは、支持ベース部材側のみで規制されるのではなく、一部をディスク装置側の位置決め部材で規制することができる。その結果、従来必要とされていた支持ベース部材の位置決め精度が緩和され、かつディスク装置内におけるディスクの位置決め精度は逆に大きく向上する。
さらに一対のディスク収納部が閉塞している状態では、従来必要とされていた位置決めの許容空間をなくしディスクをディスク収納部の内壁で完全に保持することも可能である。これにより、ディスクのガタツキ衝突による不快な音やディスクの情報記録面への埃等の付着も防止できる。
また、一対のディスク収納部でシャッタ機能とディスク収納機能を兼ね備えることができるため、構造の簡素化と部品点数の大幅な削減で、カートリッジのコストを低下させることができる。
さらに、シャッタ機能とディスク収納機能を兼ね備えることで、ドライブ装置を含めた許容高さの配分設計を考えれば、ディスク収納部の厚さを従来よりも厚くし得る。したがって、ディスクカートリッジの密閉性と堅牢性を大きく向上させることが可能となる。
また、一対のディスク収納部はお互い連動して反対に回転し、かつそれぞれに対して開放する方向の回転動作を拘束するロック部材を設けている。このため、外部から1つのロック部材を解除した場合においても、ディスク収納部は回転させることはできない。これにより、一対のロック部材をまったく同時に解除した場合のみディスク収納部を開放させることが可能となり、ユーザによる不必要なディスク収納部の開放を防ぐぎ、ディスク表面への不慮の指紋付着をほぼ完全に抑制できる高い信頼性を確保できる。
また、シャッタ機能を有するディスク収納部と支持ベース部材は、全てが積層された二重構造もしくは一部が積層された二重構造を構成できるため、従来のカートリッジに比べて、極めて堅牢な構造を取り得る。
従って、携帯用の小型ディスクカートリッジには不可欠な条件である搬送時での落下衝撃や踏みつけ等の厳しい外乱条件に対して、従来にない優れた耐衝撃特性を実現できる。
また、直径が小さいディスクを収納するカートリッジにおいて、ディスクに金属製のクランプ板を装着した状態でカートリッジに収納する場合があるが、本発明によれば、ディスクの上下面に同等のチャッキング開口部を原理上簡単に設けることができるため、クランプ板をカートリッジに内蔵する必要がない。従って、クランプ機能をディスク装置側に実現でき、金属部品が全くないディスクカートリッジとしてより安価な構成を実現できる。
加えて、シャッタ機能とディスク収納機能を兼ね備えた一対のディスク収納部とディスク収納部を回転支持する支持ベース部材からなる構造は、従来にない極めて独創的なカートリッジデザインを提供することができる。
したがって、本発明によれば、カートリッジ投影面積に対してヘッド開口部を大きく設計することができ、ヘッド設計への高さ制限を緩和することができるとともに、ディスク装置内におけるディスクの位置決め精度を向上し、かつ部品点数の削減で安価にすることができ、高い防塵性、信頼性と堅牢な構造で耐衝撃性に優れる。さらに従来にない独創的なデザインを実現可能であり、ディスクビデオカメラを含めた種々の小型ディスクドライブ装置に使用可能な携帯用に適したディスクカートリッジを提供することができる。
また、データ記録用媒体とし、ディスクカートリッジの構成部品の製造、およびこれらの組立と、ディスクそのものの製造とは、工法あるいは検査工程などに大きな差があるため、これらの製造工程を完全に分離することが好ましい。本発明のディスクカートリッジによれば、ディスクを除くディスクカートリッジのみを構成する構成部品が全て組み立てられた状態でディスクをカートリッジ内部に挿入することが可能となる。これにより、ディスクカートリッジのみを完成状態まで組み立てる工程と、ディスクを挿入する工程とを完全に分離することができ、製造コストを大幅に削減することが可能となる。
また本発明のディスクカートリッジによれば、ロック部材が回転可動な各ディスク収納部側に移動可能に保持されることにより、ロック部材の位置および各ディスク収納部の回転移動量の制約が少なくなり、設計自由度を高くすることが可能となる。
また本発明のディスクカートリッジによれば、各ディスク収納部の閉塞かつロック状態、ロック解除状態、第1の開放状態、および、第2の開放状態の4種類の状態において、ロック部材は各々異なるロック部材位置をとり得ることにより、各状態ごとに個別の機能を果たすことが可能となる。
また本発明のディスクカートリッジによれば、第3のロック部材位置におけるロック部材の各ディスク収納部に対するロック部材の相対位置が、第1のロック部材位置における相対位置と同じとなることにより、第1の開放状態から第2の開放状態へ各ディスク収納が回転する間以外では、ロック部材が安定した元の状態に復帰することが可能となる。
また本発明のディスクカートリッジによれば、第4のロック部材位置でのみ第2の開放状態となることにより、ディスクを外部へ取り出すための特定のロック部材位置以外ではディスクの取り出しができないため、不用意にディスクが外部へ排出することを防止することが可能となる。
また本発明のディスクカートリッジによれば、第3のロック部材位置で、固定部材である支持ベース部材により各ディスク収納部の、第1の開放状態から前記第2の開放状態への回転がより強固に阻止される。
また本発明のディスクカートリッジによれば、係止凸部と各ディスク収納部の間にロック部材が介在して各ディスク収納部の回転を阻止する構成とすることにより、各ディスク収納部の閉塞状態を保持するためのロック機構を、簡便、かつ、省スペースで構成できるとともに、強靭なロック機能を実現することが可能となる。
また本発明のディスクカートリッジによれば、係止凸部が、各ディスク収納部の回転動作領域内に設けられるため、各ディスク収納部の回転軸方向へのディスクカートリッジの投影面積を小さくでき、全体の小型化を実現することが可能となる。
また本発明のディスクカートリッジによれば、各ディスク収納部に、係止凸部の干渉を回避する回避部が設けられることにより、各ディスク収納部の回転軸に直交する面内で係止凸部を回避することが可能であるため、ディスクカートリッジの回転中心軸に平行な方向の寸法、すなわち厚さ寸法を抑えることが可能となる。
また本発明のディスクカートリッジによれば、ロック部材がロック解除状態からロック状態へ移行するための付勢部位を備えることにより、ロック部材は、外部より操作することなく自発的に第2のロック部材位置から第1のロック部材位置へ戻ることができる。
また本発明のディスクカートリッジによれば、付勢部位は、ロック解除時以外は各ディスク収納部または支持ベース部材に対して付勢力を与えないため、例えば樹脂材料のような、クリープ変形を起こす可能性のある材料などにより、付勢部位、各ディスク収納部または支持ベース部材を構成した場合においても、不具合を発生することを回避できる。
また本発明のディスクカートリッジによれば、各ディスク収納部が第1または第2の開放状態から閉塞状態へ回転する動作に同期して、ロック部材が第3のロック部材位置から第2のロック部材位置へ移動することが可能となるため、閉塞時に外部からロック部材を操作して移動させる必要がない。
また本発明のディスクカートリッジによれば、ロック部材の一部と、支持ベース部材の一部とが当接することにより、各ディスク収納部の閉塞動作に同期してロック部材が第3のロック部材位置から第2のロック部材位置へ移動可能な構成とすることにより、新たな部品を加えることなく簡便な構成で、確実にロック部材を連動して移動させることが可能となる。
また本発明のディスクカートリッジによれば、ロック部材が各ディスク収納部に対してスライド可能に保持されることにより、ロック機構を省スペースで簡便に構成することが可能となる。
また本発明のディスクカートリッジによれば、前記支持ベース部材に組み込まれた各ディスク収納部に、ロック部材を装着することが可能な構成とすることにより、各ディスク収納部が支持ベース部材に組み込まれた後の安定な状態でロック部材を組み込むことが可能であるため、組立作業性を向上することが可能となる。
また本発明のディスクカートリッジによれば、支持ベース部材に組み込まれた各ディスク収納部にロック部材を組み込むための、明確な開放部がロックガイド部に設けられることにより、組立作業をより正確に行うことが可能となる。
また本発明のディスクカートリッジによれば、ロックガイド部に設けられた開放部に、ロック部材が組み込まれた後に離脱するのを阻止する逆止部位を設けることにより、特にロック部材の組み込み作業後などにおける不用意な離脱を防止することが可能となる。
また本発明のディスクカートリッジによれば、ロック部材制止部を支持ベース部材に設けることにより、ロック部材の離脱を防止する機能が、逆止部位にさらに追加され、二重の離脱防止機能を有する。これにより各ディスク収納部が閉塞された状態、すなわちディスクカートリッジが使用されるディスク装置から取り出される可能性のある状態で、例えばディスクカートリッジが衝撃力を受けた場合など、逆止部位による阻止能力を越える離脱力が発生した際においても、各ロック部材が各ディスク収納部から離脱するのを回避することが可能となる。このため、ディスクカートリッジがディスク装置から取り出された際において、ロック部材が不用意に離脱して各ディスク収納部が開放してしまうことを、さらに確実に防止できる。
また本発明のディスクカートリッジによれば、各ディスク収納部が閉塞状態である時のみ、ロック部材制止部の制止の機能が有効となるため、この時以外の各ディスク収納部の開放状態で、ロック部材が第4のロック部材位置となることが可能となり、設計自由度が向上する。
また逆止部位は、ロック部材をロックガイド部へ挿入する際の挿入性と、離脱に対する阻止性が両立される構成であり、逆止部位の阻止性は必然的にロック部材制止部の阻止性に劣るものとなる。本発明のディスクカートリッジによれば、ロックガイド部からのロック部材の主たる離脱阻止機能を逆止部位に持たせるのではなく、離脱を阻止する機能のためだけに設けられたロック部材制止部に持たせることにより、さらに確実かつ強固に、各ロック部材が各ディスク収納部から外れるのを回避することが可能となる。
また本発明のディスクカートリッジによれば、本体位置決め穴と、同じ位置決めピンで位置決め可能な収納部位置決め穴Aを設けることにより、第1の開放状態でディスクカートリッジに収納されるディスクをディスク装置にて使用する際には、各ディスク収納部と支持ベース部材を第1の開放状態で確実に保持し、かつディスク装置に対して確実に位置決めすることが可能となる。
また本発明のディスクカートリッジによれば、本体位置決め穴と、同じ位置決めピンで位置決め可能な収納部位置決め穴Bを設けることにより、第2の開放状態でディスクカートリッジへディスクを挿入する工程において、各ディスク収納部と支持ベース部材を第2の開放状態で確実に保持し、かつディスク挿入工程時のベース部材に対して確実に位置決めすることが可能となる。
また、各カートリッジ収納部の第1の開放状態と第2の開放状態で、支持ベース部材に設けた同じ本体位置決め穴を使用して、各々、ディスク装置およびディスク挿入工程時のベースに位置決めするため、双方に設ける位置決めのためのピンを共通位置にすることができ、この他の検査設備等も含めて、共通設計にすることが可能となる。特に、ディスクそのものの検査を行う際にはディスク装置そのものを検査設備の一部として使用する場合に有効である。
また本発明のディスクカートリッジによれば、各収納部位置決め穴と、同じ位置決めピンで位置決め可能な本体位置決め穴Aを設けることにより、第1の開放状態でディスクカートリッジに収納されるディスクをディスク装置にて使用する際には、各ディスク収納部と支持ベース部材を第1の開放状態で確実に保持し、かつディスク装置に対して確実に位置決めすることが可能となる。
また本発明のディスクカートリッジによれば、各収納部位置決め穴と、同じ位置決めピンで位置決め可能な本体位置決め穴Bを設けることにより、第2の開放状態でディスクカートリッジへディスクを挿入する工程において、各ディスク収納部と支持ベース部材を第2の開放状態で確実に保持し、かつディスク挿入工程時のベース部材に対して確実に位置決めすることが可能となる。
また、各カートリッジ収納部の第1の開放状態と第2の開放状態で、支持ベース部材に設けられた各々異なる本体位置決め穴Aおよび本体位置決め穴Bを使用して、各々、ディスク装置での使用時およびディスク挿入工程時のベースに位置決めがされるため、第1の開放状態でディスク装置にて使用する場合に誤って第2の開放状態となっていたり、第2の開放状態でディスク挿入工程を行う場合に誤って第1の開放状態となっていたりするという、誤作業を防止することが可能となる。
また本発明のディスクカートリッジによれば、付勢部位を板状バネで構成することにより、第2のスライド状態から第1のスライド状態へ戻すための付勢機能を簡便な構成で実現することが可能となる。
また本発明のディスクカートリッジによれば、付勢部位をロック部材と一体化することにより、部品点数を削減することが可能となる。
また本発明のディスクカートリッジによれば、各ロック部材を樹脂材料とすることにより、低コストで形状自由度を高く構成することが可能となる。
また本発明のディスクカートリッジによれば、ロックガイド部を両ディスク収納部に収納されたディスクと同心状に形成されることにより、各ロック部材の動作ガイドを省スペースで構成することが可能となる。
また本発明のディスクカートリッジによれば、各ディスク収納部が閉塞した状態から開放状態となることを阻止するロック部材を、各ディスク収納部の各々に対して設けることにより、外乱に強く確実にロック機能を果たすことが可能となる。
また本発明のディスクカートリッジによれば、回避部を、回転支持部を中心とした円弧状の切り欠きとすることにより、必要最小限の領域で効率よく構築できる。
また本発明のディスクカートリッジによれば、係止凸部を、回転支持部を中心とした円弧状のリブの一部とすることにより、必要最小限の領域で効率よく構築できる。