JP4702551B2 - カバー体を備える記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、インクによって被記録媒体に記録を実行するインクジェット式記録装置などの記録装置に関するものである。
特許文献1に示すような従来のインクジェット式プリンタは、複数枚の用紙を給紙部のスタッカに積層しておき、自動給紙機構により最上部の用紙から一枚ずつ記録部へ給送している。このような給紙部を有するプリンタでは、用紙の長手方向の長さが長い場合に端部を支持するためのペーパーサポートがスタッカに着脱可能にあるいは伸縮可能に設けられている。更に、給紙部の給紙口等を防塵目的で覆うカバー体が開閉可能に設けられたものがある。
通常、従来のインクジェットプリンタは、補助机など所定の場所に固定して使用されるため、前記ペーパーサポートやカバー体が通路等に延びるような状態で使用されることは考えにくかった。しかし近年、モバイルタイプのプリンタのニーズが高まる中では、プリンタを床に置いたり、屋外で使用する場合を想定してプリンタの開発をしなければならなくなった。特に、モバイルタイプのプリンタでは、ペーパーサポートやカバー体は不使用時には収納状態や折り畳み状態とし、使用時には本体部分から回動式に開放状態にするので、使用中のプリンタの近くを人が歩く場合、人がペーパーサポートやカバー体に衝突する事態が想定される。この場合、ペーパーサポートやカバー体に大きな負荷が掛かり、回動部が破損するおそれがある。
特開2005−104137号公報
本発明の目的は、カバー体等に大きな負荷が掛かった場合に、回動部が破損する前にカバー体等が本体部分から外れるようにしたカバー体を備える記録装置を提供することにある。
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様に係るカバー体を備える記録装置は、記録装置本体の一面に対して設けられて閉鎖時には前記一面を覆うカバー体を備える記録装置であって、前記カバー体は回動軸を備え、前記記録装置本体の前記一面の一側には前記回動軸の入口部と前記回動軸を保持する受入保持部とを有する回動軸受けが形成されており、該回動軸受け近傍に前記カバー体の一部に当接してカバー体の開放状態を維持するストッパが形成されており、カバー体の前記回動軸の直径は、前記回動軸受けの前記入口部の受入長さより小さいが、前記カバー体の開放状態においてカバー体を更に開放する方向に一定以上の負荷が掛かった場合に、前記ストッパが支点となり前記カバー体が更なる開放方向に回動することで、前記回動軸が前記入口部をその弾性力に抗して拡げて前記回動軸受けから脱着可能になっていることを特徴とするものである。
本発明の第1の態様によれば、カバー体を急激に開けたり、あるいはカバー体の開放状態において人がカバー体に衝突した場合など、カバー体を更に開放する方向に一定以上の負荷が掛かった場合に、カバー体の回動部が破損する前にカバー体自体が記録装置本体側から外れる。これによりカバー体の回動部の破損を回避することができる。また、本発明が適用される記録装置の対象機種をモバイルタイプした場合には、机やテーブルに置いて使用されるより、むしろ室内や屋外で手軽に移動して種々の場所で使用されることが想定されるが、このような場合に開放状態のカバー体に人が衝突する可能性が高まるので、特にこのような構成は有効である。
また、本発明の第2の態様に係るカバー体を備える記録装置は、上記第1の態様において、前記カバー体はその開放時にはペーパーサポートとして機能し、前記入口部の受入長さ及び入口部の開閉方向への弾性率が、少なくとも前記ペーパーサポートに被記録媒体を最大量の載置した際にペーパーサポートに加わる最大負荷に対しては前記回動軸が前記回動軸受けから脱着しない大きさに設定されていることを特徴とするものである。
ここで、「最大量」とは、ペーパーサポートに載置される被記録媒体が、想定される最大負荷を与えることになる被記録媒体の量を意味し、被記録媒体1枚当たりの重量と枚数によって決まるが、現実的には最大負荷を予め安全範囲で設定して決めるのが簡単である。
本態様によれば、ペーパーサポートに載置可能な最大量の被記録媒体の重量も考慮されているから、被記録媒体がペーパーサポート上に載置されている場合に容易にペーパーサポートが外れてしまうことを防止できる。
また、本発明の第3の態様に係るカバー体を備える記録装置は、上記第1の態様または第2の態様において、前記カバー体の開放状態においてカバー体を更に開放する方向に一定以上の負荷が掛かった場合に、前記ストッパを支点として前記カバー体が更に開放方向に回動しようとするときに、前記回動軸が移動しようとする方向に前記入口部が形成されていることを特徴とするものである。
本態様によれば、ストッパを支点としてカバー体が更に開放方向に回動しようとしたときに、回動軸が受入保持部の面に当接して回動軸が受入保持部内に留まってしまうことがないように当該入口部が配置されているから、カバー体に一定以上の負荷が掛かった場合に直ちにカバー体が脱着されるようになる。
また、本発明の第4の態様に係るカバー体を備えた記録装置は、上記第1の態様または2の態様において、前記支点としてのストッパより後方に別の支点が形成されており、前記カバー体の開放状態においてカバー体に前記一定以上の負荷が掛かるまでは前記ストッパにカバー体の一部が当接してカバー体の開放状態が維持され、前記カバー体に前記一定以上の負荷が掛かったときはカバー体が更なる開放方向に僅かに回動することでカバー体の他の一部が前記別の支点に当接するようになっており、前記別の支点を中心にして前記カバー体が更に開放方向に回動しようとするときに、前記回動軸が移動しようとする方向に前記入口部が形成されていることを特徴とするものである。
本態様によれば、カバー体の開放状態において、カバー体に一定以上の負荷が掛かるまではストッパにストッパ受け部が当接してカバー体の開放状態が維持される。一方、カバー体に一定以上の負荷が掛かったときは、カバー体が更に開放方向に僅かに回動することでカバー体の別の部位が別の支点に当接するようになる。そして、別の支点を中心にしてカバー体が更に開放方向に回動しようとするときに、回動軸が移動しようとする方向に入口部が形成されているから、てこの原理で回動軸がより容易に回動軸受けから外れやすくなる。
また、本発明の第5の態様に係るカバー体を備えた記録装置は、上記第1の態様から第4の態様のいずれかにおいて、前記受入保持部の前記入口部とは反対側に中空部が形成されており、前記中空部と前記受入保持部との間には弾性変形可能な軸受接続部が形成されており、前記受入保持部に前記入口部側への一定以上の力成分が作用したとき、前記軸受接続部は前記入口部の受入長さが拡がるように弾性変形することを特徴とする。
本態様によれば、カバー体に一定以上の負荷が掛かったときには、カバー体が更なる開放方向に回動しようとすることで受入保持部においては入口部側へ一定以上の力成分が作用する。このとき軸受接続部にも同方向の力成分が作用して弾性変形し、入口部の受入長さが拡がる結果、回動軸がより容易に回動軸受けから外れやすくなる。
また、本発明の第6の態様に係るカバー体を備えた記録装置は、上記第1の態様から第5の態様のいずれかにおいて、当該記録装置はモバイルタイプのものであり、持ち運び用のハンドルを備えていることを特徴とするものである。既述のように、モバイルタイプした場合には、室内や屋外で手軽に移動して種々の場所で使用されることが想定される。このような場合に開放状態のカバー体に人が衝突する可能性が高まるので、特にこのような構成は有効である。
以下、本願発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係るカバー体を備えるインクジェット式記録装置(以下、単に記録装置という)の正面側の斜視図であり、図2は同記録装置の背面側の斜視図であり、図3はカバー体が開放状態の記録装置を示す斜視図であり、図4は記録装置の天面の平面図である。また図5の(A)はカバー体の着脱構造を示す分解斜視図、(B)は同断面図であり、図6は排出スタッカの開放状態の同記録装置を示す斜視図であり、図7は排出スタッカの自動開放構造の分解斜視図である。更に図8は排出スタッカの自動開放構造の開放動作前の状態を示し、図9は排出スタッカの自動開放構造の開放動作時の状態を示す。
図10の(A)は一定以上の負荷がカバー体に掛かる前の説明図であり、(B)は一定以上の負荷がカバー体に掛かった後の説明図であり、図11は本発明の他の実施形態を示すカバー体部分の要部側断面図である。また図12は本発明の更に他の実施形態を示すカバー体部分の要部側断面図であり、図13(A)は本発明の更に他の実施形態を示すカバー体部分の軸受接続部の変形前の状態を示し、(B)は軸受接続部の変形後の状態を示す。
なお、本発明についての以下の説明において、正面側とは記録装置の使用時に使用者が向かう側であり、背面側とは正面側の反対側である。また方向をより簡単に表すため、正面側を前側、その反対方向を後側という場合もある。
図1に示す記録装置1は、ほぼ直方体形状の記録装置本体3を主体とし、記録装置本体3は、正面5、背面7、左側面9、右側面11、天面13及び底面15を有する。記録装置本体3の天面13には、カバー体17が背面7側に回動して天面13が開放可能となるように設けられている。また、記録装置本体3の天面13には、操作パネル19及び被記録媒体の給送部21が設けられ、正面5には排出スタッカ23が設けられ、左右の側面9、11の間にはハンドル25が上方へ回動可能に設けられている。
ここで、記録装置1の内部構造について記録工程とともに簡単に説明する。給送部21には複数枚の被記録媒体Pをセットすることが可能であり、図示しないホッパ及び搬送ローラによりセットされた被記録媒体Pの最上部から一枚ずつ記録部(図示せず)に給送される。記録部には、被記録媒体Pにインクを吐出して記録を行う記録ヘッド(図示せず)が設けられ、また被記録媒体Pに対して記録ヘッドを主走査方向Xに走査させるためのキャリッジ(図示せず)を備えている。被記録媒体Pが記録部に給送されてくると、インクカートリッジ(図示せず)から記録ヘッドへ各色のインクが供給され、記録ヘッドは主走査方向Xへ往復動し、ヘッド面に多数配置されているノズルから搬送される被記録媒体Pへインクが吐出されて記録が実行される。記録が完了した被記録媒体Pは、排出ローラ(図示せず)によって副走査方向Yへ搬送され、最終的に開状態の排出スタッカ23上に排出される。なお、上記の構成は従来のインクジェットプリンタと同様な構造であるので、ここでは詳細な説明は省略する。
図4に示す如く、記録装置本体3の天面13に設けられる操作パネル19には、電源スイッチ27、電源インジケータ28、液晶表示画面29、液晶表示画面29の操作用の左右移動ボタン31、液晶表示画面29のメニュー選択ボタン33、用紙選択ボタン35、用紙選択表示部37、記録実行ボタン39、全て記録実行ボタン41、液晶表示画面29において選択を実行するOKボタン43、キャンセルボタン45及び排出スタッカ開放ボタン47が設けられている。排出スタッカ開放ボタン47の作用については後述する。
カバー体17は、記録装置本体3の天面13のほぼ全体を覆う大きさであり、その閉鎖時には操作パネル19の全体がカバー体17によって覆われる。これにより、不使用時に液晶表示画面29に埃が溜まって見にくくなったり、操作パネル19上のボタンの隙間に埃が入り込み、故障の原因となることを防止できる。また、操作パネル19に物が落下した場合等による衝撃から操作パネル19を物理的に保護することができる。更に、本発明が適用される記録装置1の対象機種をモバイルタイプした場合には、机やテーブルに置いて使用されるより、むしろ室内や屋外で手軽に移動して種々の場所で使用される事態が想定される。このような場合に、操作パネル19の全体がカバー体17によって覆われていることで、移動時に不用意にスイッチがONになることを防止できる。
図1に示す如く、カバー体17の閉鎖時における記録装置1の正面側には、カバー体を開閉するときに指をかける係止部49を備えている。また、カバー体17の中央には、カバー体を閉鎖しているときでも使用者が液晶表示画面29の表示を確認できるようにするための窓部51を備え、背面側にはカバー体17の回動軸53(図4、図5等参照)が設けられている。カバー体17の回動軸53は、記録装置本体3の天面13の背面側に形成された回動軸受け55と組み合わさることによりカバー体17の回動部57を構成している。
即ち図5に示す如く、カバー体17の回動軸53は一定の直径を有し、一方回動軸受け55は断面C型で、その入口部59が回動軸53の直径より小さい受入長さ54(図10(A)参照)を有し、受入保持部61が回動軸53の直径とほぼ同じか若干大きめの内径寸法を有する。カバー体17を記録装置本体3に取り付ける際には、回動軸53を回動軸受け55の入口部59に臨ませた状態で、回動軸53を回動軸受け55の入口部59から受入保持部61の方向へ押し込む。これにより断面C型の入口部59が一時的に弾性的に拡がり、両方の回動軸53が受入保持部61内に入り込むことができる。一旦回動軸53が受入保持部61内に入り込むと、回動軸53は受入保持部61内で回転自在であるから、カバー体17は記録装置本体3に対して回動軸53を中心として回動可能となる。
回動軸53の近傍にはストッパ63(図5(A)(B)参照)が形成されており、このストッパ63は、カバー体17が図3に示す角度の位置まで回動したときに回動軸受け55の入口部59の上側に形成されたストッパ受け部65に当接し、カバー体17がそれ以上回動しないようにしている。このような位置までカバー体17が回動したとき、図3に示す如く、カバー体17は天面13に対してほぼ120度の角度で保持された状態となり、カバー体17の裏面側がペーパーサポート67として機能する。つまり、A4などの比較的長めの被記録媒体Pに記録を行う場合、ペーパーサポート67は、複数枚の被記録媒体Pのほぼ上半分側を支持するように機能する。因みにこのようにカバー体17自体がペーパーサポート67としても機能するから、従来のようにペーパーサポートを記録装置とは別個の部材として管理する手間が必要なくなる。
カバー体17を急激に開けたり、或いはカバー体17の開放状態(図10(A)参照)で、人がカバー体17に衝突した場合など、カバー体17を更に開放する方向(図10(B)中、矢印72で示す)に一定以上の負荷が掛かった場合には、ストッパ63が支点となりカバー体17が更に開放方向に回動する(図10(B)の仮想線参照)。これにより回動軸53が入口部59内に入り込み、入口部59の弾性力に抗して受入長さ54よりも入口部59を一時的に拡げて、受入保持部61から回動軸53が脱着可能になっている。従って上記のような衝撃があった場合、回動軸53や回動軸受け55自体が破損することを防止できる。
入口部59の受入長さ54及び入口部59の開閉方向への弾性率は、少なくとも前記ペーパーサポート67に被記録媒体Pを最大量の載置した際にペーパーサポート67に加わる最大負荷に対しては前記回動軸53が前記回動軸受け55の受入保持部61から脱着しない大きさに設定されている。
[カバー体部分の他の実施形態]
また、図11(A)(B)に示す如く、本発明のカバー体部分の他の実施形態では、カバー体17の開放状態においてカバー体17を更に開放する方向72に一定以上の負荷が掛かった場合に、ストッパ63を支点としてカバー体17が更に開放方向72に回動しようとするときに、回動軸53が移動しようとする方向(図11中、符号74で示す)に、入口部59が開口しているように構成されている。入口部59の位置が、このように規定されることにより、図11(B)に示したように、回動軸53が移動しようとする際の回動円弧の接線方向に入口部59が形成されていることになるから、回動軸53がより容易に受入保持部61から外れやすくなる。
[カバー体部分の更に他の実施形態]
図12(A)(B)には本発明のカバー体部分の更に他の実施形態を示す。この実施形態では、支点としてのストッパ63より後方に別の支点117が形成されている。図12(A)に示す如く、カバー体17の開放状態において、カバー体17に一定以上の負荷が掛かるまではストッパ63にストッパ受け部65が当接してカバー体17の開放状態が維持される。一方、カバー体17に一定以上の負荷が掛かったときは、カバー体17が更に開放方向72に僅かに回動することでカバー体17の別の支点117が回動軸受け55側の別の部位119に当接するようになる。
そして、図12(B)に示す如く、別の支点117を中心にしてカバー体17が更に開放方向72に回動しようとするときに、回動軸53が移動しようとする方向(符号121で示す)に入口部59が開口して形成されている。このような構成により、カバー体17に一定以上の負荷が掛かるまでは回動軸53が受入保持部61から誤って外れにくいが、カバー体17に一定以上の負荷が掛かると、回動軸53が移動しようとする際の回動円弧の接線方向に入口部59が形成されていることになるから、回動軸53がより容易に受入保持部61から外れやすくなる。
[カバー体部分の更に他の実施形態]
次に、図13(A)(B)を参照しながら本発明の更に他の実施形態について説明する。本実施形態では、受入保持部61および入口部59は図5に示す実施形態と同様であるが、受入保持部61の入口部59とは反対側に比較的大きな中空部78が形成されており、また中空部78と受入保持部61との間には弾性変形可能な軸受接続部80が形成されている点で異なる。そして、受入保持部61に入口部59側への一定以上の力成分が作用したとき、軸受接続部80は入口部59の受入長さ54が拡がるように弾性変形可能の構成されている。
このような実施形態では、カバー体17の開放状態においてカバー体17に一定の負荷(図13(A)に示すベクトルf1)が掛かるが、軸受接続部80は変形せず、図13(A)に示す如く中空部78は高さhに維持される。また、このとき入口部59の受入長さ54は回動軸53の直径より小さいため、回動軸53が入口部59から出ることができない。
一方、カバー体17に一定以上の負荷が掛かったときには、カバー体17が更に開放方向72に僅かに回動することに伴い、図13(B)に示すベクトルf2(f2>f1)が増加して弾性変形可能な軸受接続部80が入口部59側へ僅かに変形し、中空部78は高さh’(h’>h)となる。そして軸受接続部80の上方への変形に伴い、図13(B)に矢印123で示す如く、入口部59の受入長さ54が拡がり、その結果、回動軸53がより容易に受入保持部61から外れやすくなる。
図3、図4に戻り、記録装置本体3の天面13には突起状の電源オフスイッチ68が設けれている。この電源オフスイッチ68は、記録装置の電源がオンの状態のままカバー体17を閉鎖したときに、カバー体17の部位が電源オフスイッチ68を押し込んで記録装置の電源をオフの状態にする機能を有する。
次に、排出スタッカ23の構造について説明する。図1に示す如く、排出スタッカ23は、不使用時には記録装置本体3の正面5と面一となるように収納されている。また、使用時には、図6に示す如く、正面5の下端に設けられた回動軸69の周りで回動することにより、ほぼ水平な状態まで回動可能である。なお回動軸69には図示しないダンパー構造が適用されており、排出スタッカ23は開放速度が制御された状態で比較的ゆっくりと開放可能である。また、図6に示す如く、排出スタッカ23を開放した状態では、記録後の被記録媒体Pが排出されてくるための排出口66と、メモリーカード用スロット70やメモリーカード取り出し用ボタン等が形成された面が現れるようになる。
図7に示す如く、排出スタッカ23を開放するために、上述したように排出スタッカ開放ボタン47が排出スタッカ開放機構71の構成部品として記録装置本体3の天面13に設けられている。排出スタッカ開放機構71は、基部73及び延長部75から構成される本体枠76と、基部73内に上下方向に移動可能であり上部に排出スタッカ開放ボタン47が形成されているボタン構成部材77と、ボタン構成部材77の内部に組み込まれ前後方向(正面と背面の方向)に移動可能な摺動部材79と、摺動部材79の一端に回動接続部81を介して回動自在に接続され、他端側には本体枠76の延長部75方向へ延びるアーム部83が形成されている開放作用アーム85と、延長部75の先端付近に収容されている磁石87とを備えて成る。
ボタン構成部材77の互いに対向する両側面89には、背面側上方から正面側下方にかけて斜めに形成されたスリット91が形成されている。ボタン構成部材77の内側にはコイルバネ93が上下方向に圧縮状態で固定されており、コイルバネ93の作用によりボタン構成部材77は常時上方へ付勢されている。
摺動部材79の正面側下端からはボタン構成部材77及び本体枠76の基部73を貫通して延びる前側延長部95が形成され、一方摺動部材79の背面側からはボタン構成部材77及び本体枠76の基部73を貫通して延びる後側延長部97が形成されている。また摺動部材79の両側面99にはバー101が貫通しており、このバー101がボタン構成部材77の両側面89に形成された2つのスリット91を貫通している。更に、バー101は、本体枠76の基部73の両側面103に形成された切り欠き105を貫通している。そして、上述したようにコイルバネ93の作用によりボタン構成部材77は常時上方に付勢されているため、バー101は両方の切り欠き105の上辺107に常時当接状態にあり、バー101が前後方向へ移動する際には、切り欠き105の上辺107によって案内されるようになっている。
摺動部材79の前側延長部95には上述の回動接続部81を介して開放作用アーム85が接続されており、開放作用アーム85は本体枠76の基部73と延長部75との境界付近に位置する回動支点109を中心にして回動可能である。開放作用アーム85のアーム部83はほぼ弓形に湾曲しており、その先端には開放作用端111が形成されている。アーム部83は、本体枠76の延長部75に形成された切り欠き部113内で前後方向に移動可能であり、前側(正面側)に移動したとき開放作用端111が本体枠76の延長部75の正面側から大きく突出するようになっている。
なお上記の構成によれば、排出スタッカ開放ボタン47が記録装置本体3の天面13に設けられており、不使用時にはカバー体17によって覆われているから、例えば運搬時などに誤って排出スタッカ23が開放してしまうことを防止できる。また排出スタッカ23を開放するための取っ手やツマミなどを排出スタッカ23に設ける必要がないから、排出スタッカ23の閉鎖時に排出スタッカ23と記録装置本体3の正面5を面一にすることができ、記録装置全体をすっきりとしたデザインにするために貢献できる。
次に、このような排出スタッカ開放機構71により排出スタッカ23を開放する際の作用について説明する。排出スタッカ23の上部には鉄等の磁性部材115が表面に露呈しない状態で設けられており、排出スタッカ23の閉鎖時には、磁性部材115が延長部75の磁石87に吸着されて排出スタッカ23の閉鎖状態が維持されるようになっている。この状態で使用者が排出スタッカ開放ボタン47を押すと、バー101が斜めに形成されたスリット91および切り欠き105の上辺107に沿って背面側へ移動する。これに伴い摺動部材79も背面側へ移行する。そして開放作用アーム85が図7の時計回りに回動することで、開放作用端111が排出スタッカ23を前方へ押し込み、磁石87と磁性部材115との吸着力に打ち勝って排出スタッカ23を前方側へ開放させることができる。また、排出スタッカ23を閉鎖する場合には、使用者が排出スタッカ23を垂直になる方向に回動させることで磁性部材115と磁石87とが吸着して閉鎖状態が維持されるようになる。
なお、排出スタッカ23が閉鎖している状態で誤って記録が行われることを防止するために、排出スタッカ開放ボタン47を押す動作がトリガーになって被記録媒体Pの給送および記録の実行が行えるようにしてもよい。
本発明に係るカバー体を備える記録装置の正面側の斜視図。 同記録装置の背面側の斜視図。 カバー体が開放状態の同記録装置を示す斜視図。 同記録装置の天面の平面図。 (A)は同記録装置のカバー体の着脱構造を示す分解斜視図、(B)は同要部断面図。 排出スタッカの開放状態の同記録装置を示す斜視図。 同記録装置の排出スタッカの自動開放構造の分解斜視図。 同記録装置の排出スタッカの自動開放構造の開放動作前の状態を示す側面図(A)と平面図(B)。 同記録装置の排出スタッカの自動開放構造の開放動作時の状態を示す側面図(A)と平面図(B)。 同記録装置のカバー体部分の要部側断面図で、(A)は一定以上の負荷がカバー体に掛かる前の説明図であり、(B)は一定以上の負荷がカバー体に掛かった後の説明図。 本発明の他の実施形態を示すカバー体部分の要部側断面図で、(A)は一定以上の負荷がカバー体に掛かる前の説明図であり、(B)は一定以上の負荷がカバー体に掛かった後の説明図。 本発明の更に他の実施形態を示すカバー体部分の要部側断面図で、(A)は一定以上の負荷がカバー体に掛かる前の説明図であり、(B)は一定以上の負荷がカバー体に掛かった後の説明図。 本発明の更に他の実施形態を示すカバー体部分の要部側断面図で、(A)は一定以上の負荷がカバー体に掛かる前の軸受接続部の変形前の状態であり、(B)は一定以上の負荷がカバー体に掛かった後の軸受接続部の変形後の状態を示す。
符号の説明
1 記録装置、3 記録装置本体、5 正面、7 背面、9 側面、11 側面、13 天面、15 底面、17 カバー体、19 操作パネル、21 給送部、23 排出スタッカ、25 ハンドル、27 電源スイッチ、28 電源インジケータ、29 液晶表示画面、31 左右移動ボタン、33 メニュー選択ボタン、35 用紙選択ボタン、37 用紙選択表示部、39 記録実行ボタン、41 全て記録実行ボタン、43 OKボタン、45 キャンセルボタン、47 排出スタッカ開放ボタン、49 把持部、51 窓部、53 回動軸、54 受入長さ、55 回動軸受け、57 回動部、59 入口部、61 受入保持部、63 ストッパ、65 ストッパ受け部、67 ペーパーサポート、66 排出口、68 電源オフスイッチ、69 回動軸、70 メモリーカード用スロット、71 排出スタッカ開放機構、72 矢印、73 基部、74 回動軸が移動しようとする方向、75 延長部、76 本体枠、77 ボタン構成部材、78 中空部、79 摺動部材、80 軸受接続部、81 回動接続部、83 アーム部、85 開放作用アーム、87 永久磁石、89 ボタン構成部材の側面、91 スリット、93 コイルバネ、95 前側延長部、97 後側延長部、99 摺動部材の側面、101 バー、103 基部の側面、105 切り欠き、107 切り欠きの上辺、109 回動支点、111 開放作用端、113 切り欠き部、115 磁性部材、117 別の支点、119 カバー体の別の部位、121 回動軸が移動しようとする方向、123 矢印、P 被記録媒体、X 主走査方向、Y 副走査方向

Claims (5)

  1. 記録装置本体の一面に対して設けられて閉鎖時には前記一面を覆うカバー体を備える記録装置であって、
    前記カバー体は回動軸を備え、
    前記記録装置本体の前記一面の一側には前記回動軸の入口部と前記回動軸を保持する受入保持部とを有する回動軸受けが形成されており、該回動軸受け近傍に前記カバー体の一部に当接してカバー体の開放状態を維持するストッパが形成されており、
    カバー体の前記回動軸の直径は、前記回動軸受けの前記入口部の受入長さより大きいが、前記カバー体の開放状態においてカバー体を更に開放する方向に一定以上の負荷が掛かった場合に、前記ストッパが支点となり前記カバー体が更なる開放方向に回動することで、前記回動軸が前記入口部をその弾性力に抗して拡げて前記回動軸受けから脱着可能になっており、
    前記支点としてのストッパより後方に別の支点が形成されており、前記カバー体の開放状態においてカバー体に前記一定以上の負荷が掛かるまでは前記ストッパにカバー体の一部が当接してカバー体の開放状態が維持され、前記カバー体に前記一定以上の負荷が掛かったときはカバー体が更なる開放方向に僅かに回動することでカバー体の他の一部が前記別の支点に当接するようになっており、前記別の支点を中心にして前記カバー体が更に開放方向に回動しようとするときに、前記回動軸が移動しようとする方向に前記入口部が形成されていることを特徴とするカバー体を備える記録装置。
  2. 請求項1に記載された記録装置において、前記カバー体はその開放時にはペーパーサポートとして機能し、前記入口部の受入長さ及び入口部の開閉方向への弾性率が、少なくとも前記ペーパーサポートに被記録媒体を最大量の載置した際にペーパーサポートに加わる最大負荷に対しては前記回動軸が前記回動軸受けから脱着しない大きさに設定されていることを特徴とするカバー体を備える記録装置。
  3. 請求項1または2に記載された記録装置において、前記カバー体の開放状態においてカバー体を更に開放する方向に一定以上の負荷が掛かった場合に、前記ストッパを支点として前記カバー体が更に開放方向に回動しようとするときに、前記回動軸が移動しようとする方向に前記入口部が形成されていることを特徴とするカバー体を備える記録装置。
  4. 請求項1からのいずれか1項に記載された記録装置において、前記受入保持部の前記入口部とは反対側に中空部が形成されており、前記中空部と前記受入保持部との間には弾性変形可能な軸受接続部が形成されており、前記受入保持部に前記入口部側への一定以上の力成分が作用したとき、前記軸受接続部は前記入口部の受入長さが拡がるように弾性変形することを特徴とするカバー体を備える記録装置。
  5. 請求項1からのいずれか1項に記載された記録装置おいて、当該記録装置はモバイルタイプのものであり、持ち運び用のハンドルを備えていることを特徴とする記録装置。
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