本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本発明のロール状媒体支持機構の第1の実施形態を示す分解斜視図、図2(A)、(B)及び図3(A)、(B)は、図1のロール状媒体支持機構を組み立てたときの第1の斜視図及び平面図、図4(A)、(B)及び図5(A)、(B)は、図1のロール状媒体支持機構を組み立てたときの第2の斜視図及び平面図である。尚、このロール状媒体支持機構200は、同一形状のものが2つで1組であり、中空の2インチもしくは3インチの紙管の両端にそれぞれ嵌め込まれてロール紙(ロール状媒体)を支持するようになっている。図1に示すように、ロール状媒体支持機構200は、プラスチックで成るボス部材(支持部材)210、フランジ部材(当接部材)220、羽根部材(拡開当接部材)230及びノブ部材(開閉部材)240を備えている。
ボス部材210は、2インチの紙管の径よりも若干小さい径で略中空円筒状に形成されており、紙管に端部側から挿入されて紙管の内周面を支持する。このボス部材210の周面には、4つの羽根部材230が等角度(90°)で配置可能なように、矩形状の4つの窓部211が等角度(90°)で設けられている。そして、各窓部211におけるボス部材210の軸方向に延びる縁部に設けられているピン取付部212には、羽根部材230の一端側を軸支するピン213が、ボス部材210の軸方向を向くように取り付けられている。
フランジ部材220は、このボス部材210と同軸となる略円形皿状に一体形成されており、紙管及びロール紙の端面と当接する。このフランジ部材220の端面中央には、ノブ部材240の軸部241を挿入するためにあけられた円形状の穴と4つの羽根部材230が径方向に拡開する際に干渉しないようにあけられた勾玉状の穴で成る切欠き部221が設けられている。そして、フランジ部材220の外周は多角形状(この例では12角形状)に形成されており、ロール紙がセットされた状態で床等に載置されたときの転動を防止することができる。
羽根部材230は、中央部が折れ曲げられた弾性作用を有する略矩形板状に形成されており、一端側にはボス部材210のピン213が挿入されるピン穴231が穿孔され、一側面中央部にはピン穴231と平行に延びるカムピン(カム機構)232が一体形成されている。この羽根部材230は、4つがボス部材210の各ピン213に軸支されて各窓部211内にて拡開自在となるように配置される。
ノブ部材240は、略円形皿状に形成されており、図示右端面側には回転させる際の摘みとなる略円筒状の取っ手部241が一体形成されている。そして、このノブ部材240の端面であって取っ手部241の周囲には、各羽根部材230のカムピン232の先端が挿入されて各羽根部材230の拡開を案内するカム穴(カム機構)242が等角度で穿孔されている。更に、ノブ部材240の他端面側であってカム穴242の間には、フランジ部材220の切欠き部221からボス部材210内に差し込まれて回転軸となる軸部241が一体形成されている。
以上のような構成の各部材を組み立てるときは、先ず、ボス部材210の各ピン213を、ボス部材210のピン取付部212から一旦外し、各羽根部材230を、ボス部材210の各窓部211に配置する。そして、ボス部材210の各ピン213を、ボス部材210のピン取付部212から各羽根部材230のピン穴231に挿入して固定する。そして、ノブ部材240の軸部241を、フランジ部材220の切欠き部221からボス部材210内に差し込み、各羽根部材230のカムピン232の先端を、ノブ部材240の各カム穴242から突き出させる。以上により図2及び図3に示す組立完成品となる。
ここで、ノブ部材240の各カム穴242は、図3(B)等に示すように、内周側から外周側に向かう長穴状に形成されているため、各羽根部材230のカムピン232は、図2(B)及び図3(B)に示す各カム穴242の内周側の位置と、図4(B)及び図5(B)に示す各カム穴242の外周側の位置との間を案内されることになる。従って、各羽根部材230は、ノブ部材240の左右の回転により、図2(A)及び図3(A)に示すように、ボス部材210の各窓部211を略塞いでボス部材210の外周面を形成する状態と、図4(A)及び図5(A)に示すように、ボス部材210の各ピン213を中心にボス部材210の外側へ所定角度旋回した状態との間で拡開自在となる。このような構成において、その使用方法を図を参照して説明する。
図6及び図7は、上記ロール状媒体支持機構200の使用方法を説明するための左側面図、A―A線断面図及び右側面図である。図2及び図3に示すように、使用前の状態では、各羽根部材230は、ノブ部材240の左回転により、ボス部材210の各窓部211を略塞いだ状態にあるが、折れ曲がり部が各窓部211から外側に多少盛り上がった状態にある。よって、このときの各羽根部材230を含むボス部材210の径は、2インチの紙管の径よりも若干大きい径となるが、各羽根部材230が片持ち梁状であるため各窓部211の内側に撓み易くなっており、2インチの紙管であっても3インチの紙管であっても容易に挿入することができる。
図6に示すように、ロール状媒体支持機構200を2インチの紙管P1に装着する場合は、使用前の状態のままでボス部材210を紙管P1に端部側から挿入し、フランジ部材220を紙管P1及びロール紙Rの端面に当接させる。上述したように、各羽根部材230は、各窓部211の内側に一旦撓んで2インチの紙管P1内に挿入されるため、その撓みの弾性力により紙管P1の内周面を支持することになるので、ロール状媒体支持機構200は、2インチの紙管P1を有するロール紙Rを支持することができる。そして、このときの各羽根部材230のカムピン232は、ノブ部材240のカム穴242の内周側端部と、フランジ部材220の切欠き部221における各扇状の穴の内周側角部とに挟まれて固定されているので、各羽根部材230の拡開も規制されている。尚、2インチの紙管P1の径にばらつきがあっても各羽根部材230の撓みにより吸収してロール紙Rを支持することができる。
図7に示すように、ロール状媒体支持機構200を3インチの紙管P2に装着する場合は、使用前の状態のままでボス部材210を紙管P2に端部側から挿入し、フランジ部材220を紙管P2及びロール紙Rの端面に当接させ、ノブ部材240を右に回転させる。これにより、各羽根部材230はボス部材210の外側に向かって拡開するが、各羽根部材230が3インチの紙管P2の内周面に当接した後もノブ部材240が止まるまで右に回転させる。これにより、各羽根部材230は撓むことになるが、このときの各羽根部材230のカムピン232は、ノブ部材240のカム穴242の外周側端部と、フランジ部材220の切欠き部221における各扇状の穴の外周側角部とに挟まれて固定されているので、各羽根部材230は拡開した状態が維持される。従って、各羽根部材230の撓みの弾性力により紙管P2の内周面を支持することになるので、ロール状媒体支持機構200は、3インチの紙管P2を有するロール紙Rを支持することができる。尚、3インチの紙管P2の径にばらつきがあってもバネ部材250により吸収してロール紙Rを支持することができる。
そして、ロール状媒体支持機構200を2インチの紙管もしくは3インチの紙管から取り外す場合は、ノブ部材240を右に回転させて各羽根部材230を閉じる。そして、上述したように各羽根部材230は片持ち梁状であるため各窓部211の内側に撓み易くなっているので、2インチの紙管であっても3インチの紙管であってもロール状媒体支持機構200を容易に抜き取ることができる。
上記一対のフランジ部220は、2インチの紙管P1もしくは3インチの紙管P2の両端面に当接して紙管P1、P2を位置決めすることができると共に、2インチの紙管P1もしくは3インチの紙管P2に巻回されたロール紙Rを送り出す際にロール紙Rの両側縁を案内してロール紙Rの蛇行を防止することができる。また、各羽根部材230は、2インチの紙管P1もしくは3インチの紙管P2の端部側の内周面に当接するので、2インチの紙管P1もしくは3インチの紙管P2の両端部分を保持することができ、従来のように長尺の軸を用いる必要が無く、セッティングの作業性を高めることができる。
尚、上述した実施形態では、4つの羽根部材230を設けて紙管を4箇所で支持するように構成したが、これに限定されるものではなく、任意の複数の羽根部材230を設けて紙管を任意の複数箇所で支持するように構成しても良い。また、ノブ部材240の各カム穴242とフランジ部材220の切欠き部221の形状に例えば複数の段部を設けることにより、羽根部材230の拡開を段階的に規制することができるので、更に異なる径を持つ紙管に対しても対応可能となる。
図8は、本発明のロール状媒体支持機構の第2の実施形態を示す分解斜視図、図9(A)、(B)は、その主要部を示す平面図、図10は、図8のロール状媒体支持機構を組み立てたときの斜視図である。尚、このロール状媒体支持機構300も、同一形状のものが2つで1組であり、中空の2インチもしくは3インチの紙管の両端にそれぞれ嵌め込まれてロール紙を支持するようになっている。
図8に示すように、ロール状媒体支持機構300は、プラスチックで成るボス部材(支持部材)310、フランジ部材(当接部材)320、羽根部材(拡開当接部材)330、羽根係止部材(開閉部材)340、カムレバー部材(開閉部材)350、楔状部材(ロック部材)360、バネ部材(ロック部材)370、スライダ部材(ロック部材)380、カバー部材390、カム部材(セットレバー部材)400及びセットレバー部材410を備えている。
ボス部材310は、2インチの紙管の径よりも若干小さい径で略中空円筒状に形成されており、紙管の端部に挿入されて紙管の内周面を支持する。このボス部材310の周面には、4つの羽根部材330が等角度(90°)で配置可能なように、矩形状の4つの窓部311が等角度(90°)で設けられている。そして、各窓部311における図示左端側縁部には、羽根部材330の図示左端側の支持ピン331を軸支するピン穴312が、ボス部材310の軸方向を向くように設けられている。フランジ部材320は、ボス部材310と同軸となる略円形皿状に一体形成され、中央にボス部材310へ繋がる中央穴321が設けられており、ボス部材310側の端面が、紙管及びロール紙の端面と当接する。
羽根部材330は、略直方体状に形成されており、図示左端側には、ボス部材310のピン穴312に挿入される支持ピン331が突設されている。そして、図示右端側には、羽根係止部材340のピン穴341に挿入される支持ピン332と、羽根係止部材340のガイド穴(カム機構)342とカムレバー部材350のガイド穴(カム機構)351に挿入されるガイドピン(カム機構)333とが突設されている。更に、側面330aから側面330bに掛けて、楔状部材360の楔部(楔)361と当接する略L字状の突起部(突起)334が突設されている。4つの羽根部材330は、ボス部材310の各ピン穴312と羽根係止部材340の各ピン穴341に両側から軸支される。そして、羽根係止部材340の各ガイド穴342とカムレバー部材350の各ガイド穴351にガイドピン333が案内されて、ボス部材310の各窓部311内にて拡開自在となるように配置される。
羽根係止部材340は、円板状に形成されており、中央には、楔状部材360が貫装される中央穴343が穿設され、その中央穴343の周囲には、4つの羽根部材330の各支持ピン332が挿入される4つのピン穴341が等角度(90°)で穿設されている。そして、各ピン穴341の周囲を囲むように、4つの羽根部材330の各ガイドピン333が挿入される4つの勾玉状のガイド穴342が穿設されている。更に、外周縁近傍には、カムレバー部材350の2つのガイド穴353に挿入される2つのガイドピン344が等角度(180°)で突設されている。
カムレバー部材350は、円板状に形成されており、中央には、楔状部材360が貫装される中央穴352が穿設され、その中央穴352の周囲には、4つの羽根部材330の各ガイドピン333が挿入される4つの勾玉状のガイド穴351が穿設されている。そして、外周縁近傍には、羽根係止部材340の2つのガイドピン344が挿入される2つの勾玉状のガイド穴353が等角度(180°)で穿設されている。更に、外周の1箇所から外側径方向に向かって、側面視L字状のカムレバー354が突設されている。
楔状部材360は、略円筒状の本体部362と、本体部362の周面の軸方向略中央に等角度(90°)で軸方向に延びるように一体形成された略テーパ状の楔部361を備えており、フランジ部材320の図示右端面側からボス部材310の内部に挿入配置される。この楔状部材360の楔部361は、本体部362の図示左端側から図示右端側に向かうに従って徐徐に高くなるように形成されており、羽根部材330の突起部334と当接する。この羽根部材330の突起部334は、側面330aから側面330bに掛けて略L字状に形成されているので、羽根部材330の拡開前後において楔状部材360の楔部361と当接可能となっている。
楔状部材360と羽根部材330について更に詳述すると、図9(A)、(B)に示すように、楔状部材360の楔部361の傾斜面361aの傾斜角θは、ロール状媒体支持機構300を構成可能な限度で小さく形成されている。一方、羽根部材330の長さw、厚さb及び突起部334からの高さhは、ロール状媒体支持機構300を構成可能な限度で大きく形成されている。
このように、楔状部材360の楔部361の傾斜面361aの傾斜角θが小さくなることにより、楔状部材360の楔部361が移動して羽根部材330の突起部334と当接したときの当接力が増大する。更に、羽根部材330の長さwと厚さbが大きくなることにより、羽根部材330がロール紙の紙管の内周面と当接する面積が増加してせん断力も増大する。このため、ロール紙のロール状媒体支持機構300からのすっぽ抜けを防止することができる。また、羽根部材330の長さw、厚さb及び突起部334からの高さhが大きくなることにより、羽根部材330の剛性が高まり、部品公差が小さくなるので、ロール紙の紙管に対する羽根部材330の偏心精度を高めることができる。
バネ部材370は、圧縮コイルバネであり、フランジ部材320の図示右端面側からボス部材310の内部に挿入配置される。スライダ部材380は、図示左端面が開放された略円筒状の本体部381と、本体部381の内側図示右端面から開放図示左端面を抜けて軸方向に延びるように一体形成された略棒状のガイドバー382を備えており、楔状部材360の本体部361の図示右端側から内部に形成されているガイド溝363に沿って挿入配置される。そして、本体部381の外周面には、カム部材400のピン溝穴401に嵌め込まれる2本のガイドピン383が等角度(180°)で径方向に突設されている。
カバー部材390は、円板状に形成されており、中央にはスライダ部材380が貫装されて案内される略円筒状のガイド壁391が立設され、そのガイド壁391の両側にはセットレバー部材410を取り付けるための直方体状の2つの取付壁392が対向して立設されている。ガイド壁391には、スライダ部材380のガイドピン383を軸方向に案内する2つのガイド溝393が対向して設けられている。取付壁392には、セットレバー部材410の2つの旋回軸411が嵌め込まれる2つの軸穴394が対向して穿設されている。
カム部材400は、棒状に形成されており、一端側には、スライダ部材380のガイドピン383が嵌め込まれるピン溝穴401が設けられ、側面略中央には、セットレバー部材410のピン溝穴412に嵌め込まれるピン402が突設されている。2つのカム部材400が、スライダ部材380とセットレバー部材410の間に配置される。セットレバー部材410は、コ字状に形成されており、コ字状両先端部の外側には、カバー部材390の軸穴394に嵌め込まれる旋回軸411が一体形成され、コ字状両先端部の内側には、2つのカム部材400のピン402が嵌め込まれるピン溝穴412が対向して穿設されている。
以上のような構成の各部材を組み立てるときは、先ず、各羽根部材330を、フランジ部材320の中央穴321からボス部材310内に挿入し、各羽根部材330の支持ピン331を、ボス部材310の各ピン穴312に差し込む。そして、羽根係止部材340の各ピン穴341を、フランジ部材320の中央穴321から突出している各羽根部材330の支持ピン332に嵌め込むと共に、羽根係止部材340の各ガイド穴342を、フランジ部材320の中央穴321から突出している各羽根部材330のガイドピン333に嵌め込む。続いて、カムレバー部材350の各ガイド穴351を、羽根係止部材340の各ガイド穴342から突出している各羽根部材330のガイドピン333に嵌め込むと共に、カムレバー部材350の各ガイド穴353を、羽根係止部材340の各ガイドピン344に嵌め込む。
次に、バネ部材370及び楔状部材360を、カムレバー部材350の中央穴352及び羽根係止部材340の中央穴343からフランジ部材320の中央穴321を通してボス部材310内に挿入する。そして、カバー部材390を、フランジ部材320に嵌め込み、スライダ部材380のガイドバー382を、カバー部材390のガイド壁391内に挿入する。そして、スライダ部材380のガイドピン383を、ガイド壁381のガイド溝393に嵌め込んで、スライダ部材380のガイドバー382を、楔状部材360のガイド溝363に沿って内部に挿入する。次に、2つのカム部材400のピン溝穴401を、スライダ部材380の各ガイドピン383に嵌め込む。一方、セットレバー部材410の各旋回軸411を、カバー部材390の各軸穴394に嵌め込む。そして、セットレバー部材410の各ピン溝穴412を、2つのカム部材400のピン402に嵌め込む。以上により図10に示す組立完成品となる。
図11(A)、(B)及び図12(A)、(B)は、上記カムレバー部材350の作用を説明するための平面図と側面図である。羽根係止部材340の各ガイド穴342とカムレバー部材350の各ガイド穴351は、図11(B)及び図12(B)に示すように、内周側から外周側に向かう勾玉状に形成され、かつ内周端と外周端が一致するように配置されているため、羽根部材330の各ガイドピン333は、図11(B)に示す各ガイド穴342の内周側の位置と、図12(B)に示す各ガイド穴342の外周側の位置との間を案内されることになる。従って、各羽根部材330は、図11(B)及び図12(B)に示すカムレバー部材350の左右の旋回により、図11(A)に示すように、ボス部材310の各窓部311を略塞いでボス部材310の外周面を形成する状態と、図12(A)に示すように、ボス部材310の各ピン穴312と羽根係止部材340の各ピン穴341とを結ぶ旋回軸を中心に、ボス部材310の外側へ所定角度旋回した状態との間で拡開自在となる。
図13(A)、(B)及び図14(A)、(B)は、上記セットレバー部材410の作用を説明するための平面図と断面図である。ここで、図10に示すように、セットレバー部材410は、フランジ部材320に嵌め込まれたカバー部材390の各軸穴394を中心に図示a方向に旋回自在となる。このため、図13(A)に示すように、セットレバー部材410がフランジ部材320の端面に対し略90°の角度で起きると、カム部材400がスライダ部材380と共にセットレバー部材410に引っ張られてカバー部材390のガイド壁391から突出する。同時に、図13(B)に示すように、楔状部材360がバネ部材370に押圧されてスライダ部材380と共にフランジ部材320側に移動するので、楔状部材360の楔部361は羽根部材330の突起部334から離間する。
一方、図14(A)に示すように、セットレバー部材410がフランジ部材320の端面に対し平行に倒れると、カム部材400がスライダ部材380と共にセットレバー部材410に押圧されてカバー部材390のガイド壁391内に押し込まれる。同時に、図14(B)に示すように、楔状部材360がバネ部材370の復元力に反してスライダ部材380に押圧されてボス部材310側に移動するので、楔状部材360の楔部361は羽根部材330の突起部334に当接して径方向に押し広げる。以上の羽根部材330の突起部334に対する楔状部材360の楔部361の当接・離間は、各羽根部材330が開状態であっても閉状態であっても作用する。
このように、セットレバー部材410をフランジ部材320の端面に対し略90°の角度で起こすと、楔状部材360の楔部361は羽根部材330の突起部334から離間する方向に移動するので、ユーザは軽い力でセットレバー部材410を起こすことができる。一方、セットレバー部材410をフランジ部材320の端面に対し平行に倒すと、楔状部材360の楔部361は羽根部材330の突起部334に当接する方向に移動するので、ユーザは強い力でセットレバー部材410を倒す必要がある。このため、各羽根部材330をロール紙の紙管の内周面に隙間無く密着させることができる。更に、セットレバー部材410をゆっくりと力を込めて倒す必要があるので、セットレバー部材410とフランジ部材320との間に物等を不用意に挟み込んでしまうような事態を防止することができる。以上のような構成において、その使用方法を図を参照して説明する。
図15(A)、(B)及び図16(A)、(B)は、上記ロール状媒体支持機構300の使用方法を説明するための側面図と断面図である。ロール状媒体支持機構300が使用される前の状態は、図13(A)に示すように、セットレバー部材410は、フランジ部材320の端面に対し略90°の角度で起きた状態にあり、カム部材400は、スライダ部材380と共にセットレバー部材410に引っ張られてカバー部材390のガイド壁391から突出している。従って、図13(B)に示すように、楔状部材360は、バネ部材370に押圧されてスライダ部材380と共にフランジ部材320側に移動しているので、楔状部材360の楔部361は、羽根部材330の突起部334から離間して位置している。よって、このときの各羽根部材330は、カムレバー部材350により拡開自在となるので、2インチの紙管であっても3インチの紙管であっても対応することができる。
図15(A)、(B)に示すように、ロール状媒体支持機構300を2インチの紙管P1に装着する場合は、図11(B)に示すようにカムレバー部材350のカムレバー354を操作して羽根部材330を閉じた状態にする。そして、ボス部材310を紙管P1に端部側から挿入し、フランジ部材320を紙管P1及びロール紙Rの端面に当接させる。このときの各羽根部材330を含むボス部材310の径は、2インチの紙管の径よりも若干大きい径となっているが、各羽根部材330はボス部材310に対し遊びを持って取り付けられているため、ボス部材310を紙管P1にスムーズに挿入することができる。そして、セットレバー部材410をフランジ部材320の端面に対し平行になるように倒す。これにより、カム部材400がスライダ部材380と共にセットレバー部材410に押圧されてカバー部材390のガイド壁391内に押し込まれる。同時に、楔状部材360がバネ部材370の復元力に反してスライダ部材380に押圧されてボス部材310側に移動するので、楔状部材360の楔部361は羽根部材330の突起部334に当接して羽根部材330を径方向に押し広げる。
従って、各羽根部材330の側面が、楔状部材360の楔部361の当接力により紙管P1の内周面を支持することになるので、ロール状媒体支持機構300は、2インチの紙管P1を有するロール紙Rを支持することができる。このとき、2インチの紙管P1の径にばらつきがあっても楔状部材360の楔部361が斜面に形成されており、この斜面の任意の位置に突起部334が当接するので、ばらつきを吸収してロール紙Rを支持することができる。そして、セットレバー部材410をフランジ部材320の端面に対し平行になるまで倒してロックする。尚、ボス部材310とフランジ部材320は、窓部311の箇所以外は一体化されており、特にボス部材310の先端は閉じた袋状に形成されているため強度上の優位性を保った形状となっているので、重量のあるロール紙Rであっても十分に支持することができる。
図16(A)、(B)に示すように、ロール状媒体支持機構300を3インチの紙管P2に装着する場合は、図12(B)に示すようにカムレバー部材350のカムレバー354を操作して羽根部材330を開いた状態にする。そして、ボス部材310を紙管P2に端部側から挿入し、フランジ部材320を紙管P2及びロール紙Rの端面に当接させる。このときの各羽根部材330を含むボス部材310の径は、3インチの紙管の径よりも若干大きい径となっているが、各羽根部材330はボス部材310に対し遊びを持って取り付けられているため、ボス部材310を紙管P2にスムーズに挿入することができる。そして、セットレバー部材410をフランジ部材320の端面に対し平行になるように倒す。これにより、カム部材400がスライダ部材380と共にセットレバー部材410に押圧されてカバー部材390のガイド壁391内に押し込まれる。同時に、楔状部材360がバネ部材370の復元力に反してスライダ部材380に押圧されてボス部材310側に移動するので、楔状部材360の楔部361は羽根部材330の突起部334に当接して羽根部材330を径方向に押し広げる。
従って、各羽根部材330の側面が、楔状部材360の楔部361の当接力により紙管P2の内周面を支持することになるので、ロール状媒体支持機構300は、3インチの紙管P2を有するロール紙Rを支持することができる。このとき、3インチの紙管P2の径にばらつきがあっても楔状部材360の楔部361が斜面に形成されており、この斜面の任意の位置に突起部334が当接するので、ばらつきを吸収してロール紙Rを支持することができる。そして、セットレバー部材410をフランジ部材320の端面に対し平行になるまで倒してロックする。尚、ボス部材310とフランジ部材320は、窓部311の箇所以外は一体化されており、特にボス部材310の先端は閉じた袋状に形成されているため強度上の優位性を保った形状となっているので、重量のあるロール紙Rであっても十分に支持することができる。
一方、ロール状媒体支持機構300を2インチの紙管もしくは3インチの紙管から取り外す場合は、セットレバー部材410をフランジ部材320の端面に対し起こしてロック解除し、更に略90°の角度になるまで起こす。これにより、カム部材400は、スライダ部材380と共にセットレバー部材410に引っ張られてカバー部材390のガイド壁391から突出する。従って、楔状部材360は、バネ部材370に押圧されてスライダ部材380と共にフランジ部材320側に移動するので、楔状部材360の楔部361は、斜面に沿って徐々に羽根部材330の突起部334から離間して位置する。よって、このときの各羽根部材330はボス部材310に対し遊びを持って取り付けられているので、2インチの紙管もしくは3インチの紙管を容易に抜き取ることができる。
上記一対のフランジ部320は、2インチの紙管P1もしくは3インチの紙管P2の両端面に当接して紙管P1、P2を位置決めすることができると共に、2インチの紙管P1もしくは3インチの紙管P2に巻回されたロール紙Rを送り出す際にロール紙Rの両側縁を案内してロール紙Rの蛇行を防止することができる。また、各羽根部材330は、2インチの紙管P1もしくは3インチの紙管P2の端部側の内周面に当接するので、2インチの紙管P1もしくは3インチの紙管P2の両端部分を保持することができ、従来のように長尺の軸を用いる必要が無く、セッティングの作業性を高めることができる。
尚、上述した実施形態では、4つの羽根部材330を設けて紙管を4箇所で支持するように構成したが、これに限定されるものではなく、任意の複数の羽根部材330を設けて紙管を任意の複数箇所で支持するように構成しても良い。また、羽根係止部材340のガイド穴342とカムレバー部材350のガイド穴351の形状に例えば複数の段部を設けることにより、羽根部材330の拡開を段階的に規制することができるので、更に異なる径を持つ紙管に対しても対応可能となる。
図17は、上記ロール状媒体支持機構200(300)が適用可能な記録装置の1つであるインクジェット式プリンタの構成例を示す斜視図であり、図18は、そのインクジェット式プリンタの主要部の内部構成例を示す斜視図、図19は、ロール状媒体支持機構200(300)で支持されたロール紙がセットされるロール紙ホルダを示す斜視図である。このインクジェット式プリンタ100は、例えばJIS規格のA1判やJIS規格のB1判といった比較的大型のサイズの記録用紙にまで記録できる大型のプリンタである。
このインクジェット式プリンタ100は、図17に示すように、ロール状媒体支持機構200で支持されたロール紙がセットされる給紙部110、記録・搬送部120、排紙部130、脚部140がこの順で上部から配設された構成となっている。即ち、最上部に配置された給紙部110から給紙されるロール紙は、下部にて傾斜して配置された記録・搬送部120及び排紙部130の間を斜め下方に向かって搬送されて、最下部に配置された脚部140の間に配置される図示しない排紙受けに排紙されるようになっている。記録・搬送部120と排紙部130は本体として一体化されており、給紙部110及び脚部140とそれぞれ分離可能に構成されている。
給紙部110は、図17に示すように、本体120、130の上部後方に突き出るように設けられている。そして、給紙部110の内部には、図18に示すように、1本のロール紙Rがセット可能なロール紙ホルダ111が設けられ、給紙部110の前面には、図17及び図18に示すように、跳ね上げ式の開閉可能なロール紙カバー112がロール紙ホルダ111を覆うように取り付けられている。このロール紙カバー112により、ロール紙ホルダ111に保持されているロール紙Rの汚染を防止することができると共に、ユーザの安全を確保することができる。
ロール紙ホルダ111は、図19に示すように、固定支持機構受け113、可動支持機構受け114及びガイドレール115を備えている。固定支持機構受け113は、給紙部110の一方の側壁側に固定して配設されており、ロール紙Rに装着された一方のロール状媒体支持機構200を回転可能に軸支持する。可動支持機構受け114は、給紙部110の他方の側壁側に可動自在に配設されており、ロール紙Rに装着された他方のロール状媒体支持機構200を回転可能に軸支持する。ガイドレール115は、固定支持機構受け113と可動支持機構受け114の間に配設されており、可動支持機構受け114のスライドを案内する。
そして、ロール紙Rの両端に装着されたロール状媒体支持機構200は、両端が固定支持機構受け113と可動支持機構受け114に嵌め込まれて支持されるようになっている。尚、可動支持機構受け114は、ガイドレール115に沿ってスライド自在であるので、図示一点鎖線で示すサイズが異なるロール紙Rであっても支持することができる。ロール紙カバー112は、図17及び図18に示すように、全体が回動可能に支持されており、ユーザが下部を持って持ち上げ、あるいは押し下げることにより開閉するようになっている。ユーザは、ロール紙カバー112の開閉を容易に行うことができ、ロール紙Rの交換作業時間等を短縮させることができる。
記録・搬送部120は、図18に示すように、記録ヘッド121を搭載したキャリッジ122、記録ヘッド121と記録を実行するための図示しない制御部とを電気的に接続するフレキシブルフラットケーブル(以下、FFCという)123、記録ヘッド121とインクが入ったインクカートリッジ10とを繋ぐインクチューブ124等を備えている。更に、記録・搬送部120は、対向配置された接触・離間可能な図示しない紙送りローラ及び従動ローラ、キャリッジ122に搭載された記録ヘッド121と対向配置された図示しないプラテン等を備えている。そして、記録・搬送部120の上面及び前面には、図17及び図18に示すように、上蓋125及び前蓋126が記録ヘッド121やキャリッジ122等を覆うように取り付けられている。
記録ヘッド121は、ブラックインクを吐出するブラックインク用記録ヘッドと、ライトイエロー、イエロー、ライトシアン、シアン、ライトマゼンタ、マゼンタ等の各色のインクを吐出する複数のカラーインク用記録ヘッドとを備えている。そして、記録ヘッド121は、圧力発生室とそれに繋がるノズル開口が設けられており、圧力発生室内にインクを貯留して所定圧で加圧することにより、ノズル開口からロール紙に向けてコントロールされた大きさのインク滴を吐出するようになっている。キャリッジ122は、図18に示すように、主走査方向に設けられているレール127にコロを介して吊り下げられ、キャリッジベルト128に連結されており、図示しないキャリッジ駆動装置によってキャリッジベルト128が作動すると、キャリッジベルト128の動きに連行され、レール127に案内されて往復移動するようになっている。
FFC123は、図18に示すように、一端が制御部のコネクタに接続され、他端が記録ヘッド121のコネクタに接続されており、記録信号を制御部から記録ヘッド121に送るようになっている。インクチューブ124は、上記各色のインク用が配設されており、図示しないインク加圧供給手段を介して各一端が対応する各色のインクカートリッジ10につながれ、各他端が対応する各色の記録ヘッド121につながれている。前蓋126は、図17及び図18に示すように、下部が回動可能に支持されており、ユーザが上部を持って押し下げ、あるいは押し上げることにより開閉するようになっている。
紙送りローラは、1本の長尺のローラとして形成されており、両端がサイドフレームに軸受を介して軸支持されており、紙送りモータからプーリ及びベルトを介して伝達される駆動力により正逆回転駆動するようになっている。従動ローラは、複数個の短尺のローラとして形成されており、紙送りローラの上方で軸方向に複数並設された従動ローラ支持部材に回動自在に軸支持されている。プラテンは、記録可能な最大用紙幅より若干大きい長さの矩形平板状に形成されて紙送りローラの搬送下流側の直近に配設されている。
排紙部130は、図17及び図18に示すように、ロール紙を副走査方向に搬送する経路の一部を成す排紙ガイド131と、ロール紙を副走査方向に搬送する図示しない排紙ローラを備えている。脚部140は、図17及び図18に示すように、移動用のコロ141を有する2本の支持柱142と、これらの支持柱142の間に掛け渡されている補強棒143を備えている。そして、支持柱142の上部に給紙部110及び本体120、130が載置されネジ止め固定されるようになっている。
更に、本体120、130の前面側から見て左側には、図17及び図18に示すように、各色のインクカートリッジ10を収納保持するホルダ本体151とその前面を覆うカバー152を有するインクカートリッジホルダ150が配設されている。また、本体120、130の前面側から見て右側上部には、図17及び図18に示すように、ユーザが記録制御等を操作するための操作パネル160が配設されている。この操作パネル160は、図示しない制御部と電気的に接続された液晶画面と各種ボタンが配設されており、ユーザが液晶画面を見て確認しながらボタン操作できるようになっている。
以上のように、本実施形態のロール状媒体支持機構200によれば、紙管の径に応じてボス部材210に軸支された一端側のピン213を中心に拡開自在な複数の羽根部材230を有しているので、異なる径の芯部材に対して別部品で対応する必要が無く、羽根部材230を変位させるのみで良いので、簡易な構成であって取扱いが容易となる。また、羽根部材230は、ボス部材210に設けたノブ部材240の回転動作により拡開するので、拡開機構を簡易なものとすることができる。
また、羽根部材230は、羽根部材230に設けたカムピン232とノブ部材240に設けたカム穴242により所定角度内で拡開するので、羽根部材230同士の干渉を防止することができる。また、羽根部材230は、羽根部材230に設けたカムピン232とノブ部材240に設けたカム穴242により段階的に拡開するので、異なる径の芯部材に対して適切な支持が可能となる。また、フランジ部材220の外周が多角形状に形成されているので、ロール状媒体支持機構200が装着されたロール紙を安定した状態で水平に載置することができる。
また、本実施形態のロール状媒体支持機構300によれば、紙管の径に応じてボス部材310と羽根係止部材340に軸支された支持ピン331、332を中心に拡開自在な複数の羽根部材330を有しているので、異なる径の芯部材に対して別部品で対応する必要が無く、羽根部材330を変位させるのみで良いので、簡易な構成であって取扱いが容易となる。また、羽根部材330は、ボス部材310に設けたカムレバー部材350の回転動作により拡開するので、拡開機構を簡易なものとすることができる。
また、羽根部材330は、羽根部材330に設けたガイドピン333と羽根係止部材340に設けたガイド穴342とカムレバー部材350に設けたガイド穴351により所定角度内で拡開するので、羽根部材330同士の干渉を防止することができる。また、羽根部材330は、羽根部材330に設けたガイドピン333と羽根係止部材340に設けたガイド穴342とカムレバー部材350に設けたガイド穴351により段階的に拡開するので、異なる径の芯部材に対して適切な支持が可能となる。
また、羽根部材330は、芯部材の内周面に当接した状態が、ボス部材310に設けたセットレバー部材410に連動する楔状部材360によりロックされる。即ち、楔状部材360に設けられた楔部361が、羽根部材330に設けられた突起部334に当接してロックするので、芯部材の内周面に対し、羽根部材330を強固に当接させることができる。また、フランジ部材320の外周が多角形状に形成されているので、ロール状媒体支持機構300が装着されたロール紙を安定した状態で水平に載置することができる。
100 インクジェット式プリンタ、110 給紙部、120 記録・搬送部、130 排紙部、140 脚部、150 インクカートリッジホルダ、200、300 ロール状媒体支持機構、210、310 ボス部材、213 ピン、220、320 フランジ部材、230、330 羽根部材、240 ノブ部材、340 羽根係止部材、350 カムレバー部材、360 楔状部材、370 バネ部材、380 スライダ部材、390 カバー部材、400 カム部材、410 セットレバー部材