JP4702096B2 - 含Crニッケル基合金管の製造方法 - Google Patents

含Crニッケル基合金管の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高温水環境で長期間にわたり使用しても、Niの溶出が少ない含Crニッケル基合金管の製造方法に係り、特に、原子力プラント用部材等の用途に好適な含Crニッケル基合金管の製造方法に関する。
ニッケル基合金は、機械的性質に優れているので種々の部材として使用されている。特に原子炉の部材は高温水に曝されるので、耐食性に優れたニッケル基合金が使用されている。例えば、加圧水型原子炉(PWR)の蒸気発生器には60%Ni−30%Cr−10%Fe合金などが使用される。
これらの部材は、数年から数10年の間、原子炉の炉水環境である300℃前後の高温水の環境で用いられることになる。ニッケル基合金は、耐食性に優れており腐食速度は遅いものの、長期間の使用により微量のNiが母材から溶出する。
溶出したNiは、炉水が循環する過程で、炉心部に運ばれ燃料の近傍で中性子の照射を受ける。Niが中性子照射を受けると核反応により放射性Coに変換する。この放射性Coは、半減期が非常に長いため、放射線を長期間放出し続ける。従って、Niの溶出量が多くなると、定期検査などをおこなう作業者の被曝線量が増大する。
被曝線量を少なくすることは、軽水炉を長期にわたり使用していく上で非常に重要な課題である。従って、これまでにも材料側の耐食性の改善や原子炉水の水質を制御することによりニッケル基合金中のNiの溶出を防止する対策が採られてきた。
特許文献1にはニッケル基合金伝熱管を10-2〜10-4 Torrという真空度の雰囲気で、400〜750℃の温度域で焼鈍してクロム酸化物を主体とする酸化被膜を形成させ、耐全面腐食性を改善する方法が開示されている。
特許文献2にはニッケル基析出強化型合金の溶体化処理後に、10-3Torr〜大気圧空気下の酸化雰囲気で時効硬化処理及び酸化被膜形成処理の少なくとも一部を兼ねて行なう加熱処理を施す原子力プラント用部材の製造方法が開示されている。
特許文献3にはニッケル基合金製品を露点が-60℃〜+20℃である水素または水素とアルゴンの混合雰囲気中で熱処理するニッケル基合金製品の製造方法が開示されている。
特許文献4にはNiとCrとを含有する合金ワークピースを、水蒸気と少なくとも1種の非酸化性ガスとのガス混合物に曝して、クロム富化層を形成させる方法が開示されている。
特許文献5には、ニッケル基合金管の内表面に、高温水環境でNiの溶出を抑制する2層構造の酸化被膜を確実かつ高能率に生成させる熱処理方法として、連続式熱処理炉の出側に少なくとも2基のガス供給装置を設けるか、出側および入側にそれぞれ1基のガス供給装置を設け、これらのガス供給装置のうちの1基と炉内を貫通するガス導入管とを用いて、熱処理炉に装入する前のワーク管の内部に、その進行方向の先端側から露点が-60℃から+20℃までの範囲内にある水素または水素とアルゴンの混合ガスからなる雰囲気ガスを供給しつつ管を炉に装入して650〜1200℃で1〜1200分保持する際、管の先端が炉の出側に到達した後に、管の内部への雰囲気ガスの供給を他のガス供給装置からの供給に切り替える操作を繰り返す熱処理方法が開示されている。
特開昭64−55366号公報 特開平8-29571号公報 特開2002-121630号公報 特開2002-322553号公報 特開2003-239060号公報
特許文献1に開示の方法によって形成される被膜は、その厚さが不十分であるため、長期間の使用により被膜が損傷するなどして、溶出防止効果が失われてしまうという問題がある。
特許文献2に開示の方法には、酸化したNiが被膜中に取り込まれやすく、使用中にこのNiが溶出するという問題がある。
そして、特許文献3および4に開示の方法のように、水蒸気量(露点)を制御して酸化被膜を形成させる方法、特許文献5に開示の方法のように、雰囲気ガスとして露点を制御した水素ガスまたは水素とアルゴンガスを用いる熱処理方法では、水蒸気の入側と出側とで均一な酸化被膜を形成することが困難である。これは下記の理由による。
例えば、長尺管の酸化被膜の様な連続処理の場合、生成する酸化被膜の厚さは、酸素ポテンシャルだけでなく、被処理材の表面における酸化性ガスの濃度境界層を通しての拡散性に律速される。ここで、濃度境界層とは、被処理材の表面と表面から離れた箇所(例えば、管内側の中心軸付近)とにおけるガスの濃度分布の境界層をいう。この拡散性は、ガスの拡散係数、動粘性係数等の物理的性質およびガスの濃度、流速等の酸化処理条件による影響を受ける。水蒸気(H2O)は、上記の拡散性がCO2等の他の酸化性ガスに対して大きいので、水蒸気以外に酸化性ガスが存在しない雰囲気下での酸化処理を施す場合、水蒸気の入側と出側とで均一な酸化被膜を形成することが困難となる。
本発明は、これらの問題を解決するためになされたものであり、安価で、かつ均一にクロム酸化物を含Crニッケル基合金管の表面に形成させることができる含Crニッケル基合金管の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、下記の(A)〜(K)に示す含Crニッケル基合金管の製造方法を要旨とする。
(A)含Crニッケル基合金からなるワーク管を連続式熱処理炉で加熱保持しつつ、連続式熱処理炉の出側にワーク管の進行方向に移動自在に設けた少なくとも2基のガス供給装置により、ワーク管の内部に雰囲気ガスを供給して、ワーク管の内面にクロム酸化物被膜を形成させる含Crニッケル基合金管の製造方法であって、下記の(1)〜(3)の工程を有することを特徴とする含Crニッケル基合金管の製造方法。
(1)連続式熱処理炉に装入する前のワーク管の内部に、1基のガス供給装置と、連続式熱処理炉内を貫通するように配置されたガス導入管とを用いて、その進行方向の先端側から、二酸化炭素ガスおよび水蒸気からなる雰囲気ガスを供給する工程、
(2)ワーク管を、その内部に二酸化炭素ガスおよび水蒸気からなる雰囲気ガスを供給しつつ、連続式熱処理炉内に装入する工程、
(3)ワーク管の先端が連続式熱処理炉の加熱帯の出側に到達した後に、ワーク管の内部への二酸化炭素ガスおよび水蒸気からなる雰囲気ガスの供給を他のガス供給装置からの供給に切り替える工程。
(B)含Crニッケル基合金からなるワーク管を連続式熱処理炉で加熱保持しつつ、連続式熱処理炉の入側および出側それぞれに、ワーク管の進行方向に移動自在に設けたガス供給装置により、ワーク管の内部に雰囲気ガスを供給して、ワーク管の内面にクロム酸化物被膜を形成させる含Crニッケル基合金管の製造方法であって、下記の(1)〜(3)の工程を有することを特徴とする含Crニッケル基合金管の製造方法。
(1)連続式熱処理炉に装入する前のワーク管の内部に、連続式熱処理炉の入側に設けたガス供給装置と、ワーク管よりも長くかつ連続式熱処理炉内を貫通するように配置されるガス導入管とを用いて、その進行方向の先端側から、二酸化炭素ガスおよび水蒸気からなる雰囲気ガスを供給する工程、
(2)ワーク管を、その内部に二酸化炭素ガスおよび水蒸気からなる雰囲気ガスを供給しつつ、連続式熱処理炉内に装入する工程、
(3)ワーク管の先端が連続式熱処理炉の加熱帯の出側に到達した後に、ワーク管の内部への二酸化炭素ガスおよび水蒸気からなる雰囲気ガスの供給を連続式熱処理炉の出側に設けたガス供給装置からの供給に切り替える工程。
(C)雰囲気ガスが、二酸化炭素ガスの一部に代えて、5Vol.%以下の酸素ガスを含むことを特徴とする上記(A)または(B)に記載の含Crニッケル基合金管の製造方法。
(D)雰囲気ガスが、二酸化炭素ガスの一部に代えて、非酸化性ガスを含むことを特徴とする上記(A)から(C)までのいずれかに記載の含Crニッケル基合金管の製造方法。
(E)非酸化性ガスが、水素ガス、希ガス、一酸化炭素ガス、窒素ガスもしくは炭化水素ガスまたはこれらの混合物からなることを特徴とする上記(D)に記載の含Crニッケル基合金管の製造方法。
(F)雰囲気ガスの二酸化炭素ガスの濃度が、50Vol.%以下であることを特徴とする上記(A)から(E)までのいずれかに記載の含Crニッケル基合金管の製造方法。
(G)雰囲気ガスの水蒸気の濃度が、0.01〜7.5Vol%であることを特徴とする上記(A)から(F)までのいずれかに記載の含Crニッケル基合金管の製造方法。
(H)含Crニッケル基合金管が、質量%で、C:0.15%以下、Si:1.00%以下、Mn:2.0%以下、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Cr:10.0〜40.0%、Fe:15.0%以下、Ti:0.5%以下、Cu:0.50%以下およびAl:2.00%以下を含有し、残部がNiおよび不純物からなることを特徴とする上記(A)から(G)までのいずれかに記載の含Crニッケル基合金管の製造方法。
(I)含Crニッケル基合金管が、Niの一部に代えて、質量%で、Nbおよび/またはTaをいずれか単体または合計で3.15〜4.15%含有することを特徴とする上記(H)に記載の含Crニッケル基合金管の製造方法。
(J)含Crニッケル基合金管が、Niの一部に代えて、質量%で、Moを8〜10%含有することを特徴とする上記(H)または(I)に記載の含Crニッケル基合金管の製造方法。
(K)含Crニッケル基合金管が原子力プラント用部材として用いられることを特徴とする上記(A)から(J)までのいずれかに記載の含Crニッケル基合金管の製造方法。
なお、「クロム酸化物被膜」とは、Cr23を主体とする酸化被膜を意味し、Cr23以外の酸化物、例えば、MnCr24、TiO2、Al23、SiO2などの酸化物が含まれていてもよい。また、含Crニッケル基合金の表面にクロム酸化物からなる酸化被膜を有するのであれば、クロム酸化物層の上層(外側の層)および/または下層(内側の層)に他の酸化物層が形成されていてもよい。
本発明によれば、含Crニッケル基合金管の内面に、安価で、かつ均一にクロム酸化物被膜を形成させることができる。本発明方法により製造された含Crニッケル基合金管は、高温水環境、例えば、原子力発電プラントにおける高温水環境で長時間にわたり使用してもNiの溶出が極めて少ないから、蒸気発生器管(Steam Generator tubing)等の高温水中で使用される部材、特に原子力プラント用部材に最適である。
1.雰囲気ガスの供給方法について
1−1.請求項1に係る発明(第1発明)における雰囲気ガス供給方法について
図1は、第1発明に係る含Crニッケル基合金管の製造方法の一実施態様の例を示す平面図(炉内部分は炉中の平面図)である。図1(a)は先行の熱処理中のワーク管群1aと後続の熱処理前のワーク管群1bに対する管の内部への雰囲気ガスの供給態様を示す。図1(b)は熱処理中の先行ワーク管群1aと後続ワーク管群1bに対する管の内部への雰囲気ガスの供給態様を示す。図1(c)は熱処理中の後続ワーク管群1bに対する管の内部への雰囲気ガスの供給切り替え態様を示す。図2は、図1におけるガス導入管およびヘッダーを示す拡大平面図である。
図1において、連続式熱処理炉(以下、単に熱処理炉という)5は、加熱帯5aと冷却帯5bとを備えている。この熱処理炉5の炉内雰囲気は水素ガス雰囲気で、大気が流入しないように大気圧よりも若干高い炉圧に設定されている。
熱処理炉5の出側(図中の右方)には、2基のガス供給装置4a、4bが設けられている。このガス供給装置4a、4bは、いずれも、白抜き矢印の方向に搬送されるワーク管群1a、1bと同じ方向へ進退可能に設けられている。なお、図示例のガス供給装置4aと4bは、干渉しないように、紙面に対して垂直な方向に位置をずらして配置されている。
図2の拡大平面図に示すように、先行のワーク管群1aと後続のワーク管群1bとは、いずれもガス導入管3が並設されたヘッダー2の先細のノズル2aにその先端部が差し込まれている。ここで、ヘッダー2とガス導入管3は導通していない。
図1に示す方法においては、雰囲気ガスを、熱処理中の先行のワーク管群1aの管の内部にはガス供給装置4aから供給し、熱処理前の後続のワーク管群1bの管の内部には先行のワーク管群1aのヘッダー2に併設されたガス導入管3を介してガス供給装置4bから供給する(同図(a)参照)。
次いで、上記の状態を保持したまま、先行のワーク管群1aと後続のワーク管群1bを白抜き矢印の方向に搬送して、熱処理炉5に装入して、両群のワーク管を熱処理する(同図(b)参照)。
そして、後続のワーク管群1bの先端が熱処理炉5の加熱帯5aの出側に到達した後、ワーク管の内部への雰囲気ガスの供給を他のガス供給装置からの供給に切り替える。即ち、次の(1)〜(5)の操作を行う。
(1) 先行のワーク管群1aのヘッダー2とガス供給装置4aの接続を解除する。
(2) 先行のワーク管群1aのガス導入管3と後続のワーク管群1bのヘッダー2の接続を解除する。
(3) 後続のワーク管群1bのヘッダー2とガス供給装置4aを接続する。即ち、後続のワーク管群1bの接続をガス供給装置4bからガス供給装置4aに切り替える。
(4) 先行のワーク管群1aのガス導入管3とガス供給装置4bの接続を解除する。
(5) ガス供給装置4bを次の後続のワーク管群1cの管内部へ雰囲気ガスを供給するために、ワーク管群1cのガス導入管3に接続すべく待機させる(同図(c)参照)。
1−2.請求項2に係る発明(第2発明)における雰囲気ガス供給方法について
図3は、第2発明の含Crニッケル基合金管の製造方法の一実施態様の例を示す平面図(炉内部分は炉中の平面図)である。図3(a)は熱処理前の先行のワーク管群1aに対する管の内部への雰囲気ガスの供給態様を示す。図3(b)は熱処理中の先行のワーク管群1aの管の内部への雰囲気ガスの供給切り替え態様を示す。図3(c)は熱処理中の先行のワーク管群1aと後続のワーク管群1bの管の内部への雰囲気ガスの供給態様を示す。図4は、図3におけるガス導入管およびヘッダーを示す拡大平面図である。なお、図3において、熱処理炉5は図1の場合と同じである。
この方法では、図1の場合と異なり、熱処理炉5の入側(図中の左方)と出側(図中の右方)に、それぞれガス供給装置4aと4bが設けられている。このガス供給装置4a、4bは、図1の場合と同様に、いずれも、白抜き矢印の方向に搬送されるワーク管群1a、1bと同じ方向へ進退可能に設けられている。
図4に示すように、熱処理前の先行のワーク管群1aおよび後続のワーク管群1bは、いずれも長手方向の中央部に設けられ、その右端部に開閉可能な栓体2bが装着された突起部2cを有するヘッダー2の先細のノズル2aにその先端部が差し込まれている。また、ガス導入管3は、ヘッダー2の長手方向の中央部に位置する先細のノズル2aにその先端部が差し込まれている。ここで、ガス導入管3の左端部の内部には、矢印方向へのガス流れのみを許容する逆止弁(図示省略)が装着されているのがよい。但し、逆止弁はなくてもよい。
この図3に示す方法においては、ガス導入管3と栓体2bで閉じられたヘッダー2を介してガス供給装置(連続式熱処理炉の入側に設けられたガス供給装置)4aから前記と同じ雰囲気ガスを熱処理前の先行のワーク管群1aの管の内部に供給する(同図(a)参照)。
次いで、ガス供給装置4aによる雰囲気ガスの供給を保持したまま、先行のワーク管群1aを白抜き矢印の方向に搬送して、熱処理炉5の装入し、熱処理する。そして、ワーク管群1aの先端が熱処理炉5の加熱帯5aの出側に到達した後、その管の内部への雰囲気ガス供給を入側のガス供給装置4aから出側のガス供給装置4bからの供給に切り替え、入側のガス供給装置4aを後続のワーク管群の管の内部への雰囲気ガス供給に備えさせる(同図(b)参照)。この時、ヘッダー2の突起部2cの右端部に装着された栓体2bは当然のことながら「開」とされる。
図3の(c)は、前述したように、入側のガス供給装置4aからの雰囲気ガス供給を受けた後続のワーク管群1bと、出側のガス供給装置4bからの雰囲気ガス供給を受けた先行のワーク管群1aとの同時熱処理態様を示している。
なお、図1および図3に示す方法において、ワーク管の長さが極端に短い場合には、2本以上のワーク管をその管端部が内嵌する継手部材を用いて接続し、その長さを長くしてワーク管群1a(1b、1c)を構成する各ワーク管としてもよい。
上記図1および図3に示す方法においては、ヘッダー2とガス導入管3のセットは、これを循環使用することはいうまでもない。また、ヘッダー2の形状は、図1〜4に示すような、ガス供給装置からの雰囲気ガスを分岐した複数の管を通して各ワーク管の内部に流す形状にしてもよいし、各ワーク管へより均一な流量でガスを供給できるように、ヘッダー2をBOX形状にしてもよい。
上記のように、熱処理炉に入る前のワーク管の内部に雰囲気ガスを流すことにより、管内部の空気がパージされる。従って、熱処理中に管の内表面に目標とするCr酸化物被膜が形成される。雰囲気ガスは、常にワーク管の進行方向の先端側から供給されるので、熱処理炉内でも管の進行方向とは逆方向に管内を流れる。これにより、洗浄後で熱処理前の管内面残留物は、熱処理の高温部で気化し、管外に放出させる。
なお、気化した管内面残留物は、管内のガス流れで移動して未加熱部に達した所で再凝縮し、管内表面に再付着することもあるが、管内のガス流れを上記の方向とすることによって、たとえ再付着してもその後昇温され再気化するので、最終的には全て管内から排出される。その結果、EP管のように事前の電解研磨等を行わなくても、その内表面に所望の性能を有する均一な酸化被膜が形成される。
2.管内に供給する雰囲気ガスについて
本発明の含Crニッケル基合金管の製造方法では、含Crニッケル基合金管を、従来酸化性ガスとして用いられてきた水蒸気と、二酸化炭素ガスとからなる雰囲気ガス、更に5Vol.%以下の酸素ガスを含む雰囲気ガス、または更に、非酸化性ガスを含む雰囲気ガスで加熱することにより、含Crニッケル基合金管内面にクロム酸化物被膜を形成させることを最大の特徴とする。
二酸化炭素は、微量でも含まれておれば、クロム酸化物を形成するため、特に下限を定めないが、0.0001Vol.%以上含まれる場合にその効果が顕著となる。好ましくは0.01Vol%以上、より好ましくは0.1%Vol%以上である。二酸化炭素ガスの濃度の上限については、特に限定しないが、製造コストを低減させる観点からは、50Vol.%以下とするのが好ましく、10Vol.%以下とするのが更に好ましい。更には薄い緻密な被膜を形成するには4Vol%以下がより好ましい。なお、この場合、二酸化炭素ガスの一部を非酸化性ガスに置き換えればよい。
酸素ガスも二酸化炭素ガスと同様に、クロム酸化物を形成するため、二酸化炭素ガスの一部に代えて、雰囲気ガスに含まれていても良い。しかし、酸素ガスを多量に含有させると、クロム酸化物被膜の形成を促進して母材中のCr濃度を低下させ、耐食性を劣化させる。このため、酸素ガスを含有させる場合には、その濃度を5Vol.%以下とするのがよい。酸素は、微量でも含まれておれば、上記の効果を有するため、特に下限を定めないが、その効果が顕著となるのは、0.0001Vol.%以上含まれる場合である。
なお、二酸化炭素ガスの一部に代えて酸素ガスを含有させる場合には、必要に応じて、非酸化性ガスを含有させると良い。
このように、本発明においては、従来、酸化性ガス用いられてきた水蒸気と、二酸化炭素ガスとからなる雰囲気ガスまたは更に酸素ガスを含む雰囲気ガスを供給して、含Crニッケル基合金管内面の酸化処理を行なうと、水蒸気がCr酸化物を生成させるだけでなく、二酸化炭素ガスまたは更に酸素ガスが含Crニッケル基合金に吸着され、含Crニッケル基合金に取り込まれた酸素が直接Cr酸化物を生成させるのである。
二酸化炭素は、水蒸気よりも拡散性が小さいため、形成される酸化皮膜の厚さが供給されるガス濃度、流量等の酸化処理条件による影響を受けにくい。このため、従来の水蒸気および非酸化性ガスの雰囲気下で行なう酸化処理よりも均一な酸化皮膜を合金表面に形成させることができるのである。
雰囲気ガスの水蒸気の濃度は、特に限定しないが、0.01Vol.%未満ではNi溶出の抑制に有効なクロム酸化被膜が十分に形成されない場合があり、7.5Vol%を超えると、Niの酸化が起こりやすくなり、被膜中のNi濃度が増加し、使用環境中においてNiが溶出するおそれがある。このため、雰囲気ガスの水蒸気の濃度は、0.01〜7.5Vol.%の範囲(露点で表すと、概ね−40〜+40℃の範囲)とするのが好ましい。より好ましいのは、0.1〜2.5Vol.%の範囲(露点で表すと、概ね−20〜+20℃の範囲)である。
雰囲気ガスは、水蒸気の濃度および二酸化炭素ガスの濃度、または更に酸素ガスの濃度を調整するために、Cr酸化物の形成に寄与しない非酸化性ガスが含まれていてもよい。非酸化性ガスとしては、例えば、水素ガス、希ガス(Ar、He等)、一酸化炭素ガス、窒素ガス、炭化水素ガスなどが挙げられる。これらの非酸化性ガスのうち、一酸化炭素ガス、窒素ガス、炭化水素ガスを用いた場合は、浸炭や窒化の懸念があるため、水素ガスおよび希ガスの少なくとも1種が含まれるのが好ましい。これらの非酸化性ガスのガス濃度を調整することで、水蒸気および二酸化炭素ガス、または更に酸素ガスの濃度を適宜調整できる。
なお、水素ガスは、工業的に熱処理の雰囲気ガスとしてよく利用されており、これを二酸化炭素ガスの希釈に用いれば、製造コストを下げることができる。よって、雰囲気ガスを二酸化炭素ガスおよび水素ガスからなるガス雰囲気として熱処理をすることが最も好ましい。
雰囲気ガスの濃度は、水蒸気および二酸化炭素ガスの濃度、更には酸素ガスの濃度、または更に非酸化性ガスの濃度を調整した後、露点管理により水蒸気濃度を調整することにより管理できる。また、非酸化性ガスを用いて露点を調整した後、二酸化炭素ガスまたは更に酸素ガスを添加してもよい。
なお、雰囲気ガスは、酸素ガスを水素ガスまたは炭化水素ガスと混合する場合は、安全上の観点から、爆発が起きないように配慮する必要がある。そのため、水素ガスまたは炭化水素ガスを用いる場合は、水蒸気および二酸化炭素ガスまたは更に非酸化性ガスの混合ガス雰囲気下で加熱処理を行なうのが望ましい。
3.加熱処理温度および加熱処理時間について
加熱温度:500〜1250℃
加熱温度は、適切な酸化被膜の厚さおよび組成ならびに合金の強度特性を得ることができる範囲であればよい。具体的には、加熱温度が500℃未満の場合、クロムの酸化が不十分となる場合があるが、1250℃を超えると、含Crニッケル基合金材の強度を確保できなくなるおそれがある。従って、加熱温度は500〜1250℃の範囲とするのが望ましい。
加熱時間:10秒〜35時間
加熱時間は、適切な酸化被膜の厚さと組成を得ることができる範囲で設定すればよい。即ち、クロム酸化物を主体とする酸化被膜を形成するためには、10秒以上加熱することが望ましいが、35時間を超えて加熱しても、酸化被膜はほとんど生成しなくなる。従って、加熱時間は10秒〜35時間の範囲とするのが望ましい。
加熱時間は、加熱温度が高いほど短くできるので、例えば、加熱温度を1000〜1200℃の範囲とする場合には加熱時間を10秒〜60分の範囲とすればよい。
以上、加熱温度および加熱時間ならびにガス濃度条件を適宜調整することにより、被膜の厚さおよび組成の調整が可能である。
4.含Crニッケル基合金の素管の化学組成について
本発明の製造方法に供される含Crニッケル基合金の素管の化学組成としては、例えば、質量%で、C:0.15%以下、Si:1.00%以下、Mn:2.0%以下、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Cr:10.0〜40.0%、Fe:15.0%以下、Ti:0.5%以下、Cu:0.50%以下およびAl:2.00%以下を含有し、残部がNiおよび不純物からなるものである。各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
C:0.15%以下
Cは、0.15%を超えて含有させると、耐応力腐食割れ性が劣化するおそれがある。従って、Cを含有させる場合には、その含有量を0.15%以下にするのが望ましい。更に望ましいのは、0.06%以下である。なお、Cは、合金の粒界強度を高める効果を有する。この効果を得るためには、Cの含有量は0.01%以上とするのが望ましい。
Si:1.00%以下
Siは製錬時の脱酸材として使用され、合金中に不純物として残存する。このとき、1.00%以下に制限する必要がある。その含有量が0.50%を超えると合金の清浄度が低下することがあるため、Si含有量は0.50%以下に制限するのが望ましい。
Mn:2.0%以下
Mnは、2.0%を超えると合金の耐食性を低下させるので、2.0%以下とするのが望ましい。Mnは、Crと比べ酸化物の生成自由エネルギーが低く、加熱によりMnCr24として析出する。また、拡散速度も比較的早いため、通常は、加熱により母材近傍にCr23が優先的に生成し、その外側に上層としてMnCr24が形成される。MnCr24層が存在すれば、使用環境中においてCr23層が保護され、また、Cr23層が何らかの理由で破壊された場合でもMnCr24によりCr23の修復が促進される。このような効果が顕著となるのは、0.1%以上含有させた場合である。従って、望ましいMn含有量は0.1〜2.0%であり、更に望ましいのは、0.1〜1.0%である。
P:0.030%以下
Pは合金中に不純物として存在する元素である。その含有量が0.030%を超えると耐食性に悪影響を及ぼすことがある。従って、P含有量は0.030%以下に制限するのが望ましい。
S:0.030%以下
Sは合金中に不純物として存在する元素である。その含有量が0.030%を超えると耐食性に悪影響を及ぼすことがある。従って、S含有量は0.030%以下に制限するのが望ましい。
Cr:10.0〜40.0%
Crは、クロム酸化物からなる酸化被膜を生成させるために必要な元素である。合金表面にそのような酸化被膜を生成させるためには、10.0%以上含有させるのが望ましい。しかし、40.0%を超えると相対的にNi含有量が少なくなり、合金の耐食性が低下するおそれがある。従って、Crの含有量は10.0〜40.0%が望ましい。特に、Crを14.0〜17.0%含む場合には、塩化物を含む環境での耐食性に優れ、Crを27.0〜31.0%含む場合には、更に、高温における純水やアルカリ環境での耐食性にも優れる。
Fe:15.0%以下
Feは、15.0%超えると含Crニッケル基合金の耐食性が損なわれるおそれがある。そのため、15.0%以下とする。また、Niに固溶し高価なNiの一部に替えて使用できる元素であるので、4.0%以上含有させることが望ましい。Feの含有量は、NiとCrのバランスから決めればよく、Crを14.0〜17.0%含む場合には、6.0〜10.0%とし、Crを27.0〜31.0%含む場合には、7.0〜11.0%とするのが望ましい。
Ti:0.5%以下
Tiは、その含有量が0.5%を超えると、合金の清浄性を劣化させるおそれがあるので、その含有量は0.5%以下とするのが望ましい。更に望ましいのは、0.4%以下である。但し、合金の加工性向上および溶接時における粒成長の抑制の観点からは、0.1%以上の含有させることが望ましい。
Cu:0.50%以下
Cuは合金中に不純物として存在する元素である。その含有量が0.50%を超えると合金の耐食性が低下することがある。従って、Cu含有量は0.50%以下に制限するのが望ましい。
Al:2.00%以下
Alは製鋼時の脱酸材として使用され、合金中に不純物として残存する。残存したAlは、合金中で酸化物系介在物となり、合金の清浄度を劣化させ、合金の耐食性および機械的性質に悪影響を及ぼすおそれがある。従って、Al含有量は2.00%以下に制限するのが望ましい。
上記の含Crニッケル基合金は、上記の元素を含み、残部はNiおよび不純物からなるものであればよいが、耐食性、強度などの性能の向上を目的として、Nb、Ta、Moを適量添加してもよい。
Nbおよび/またはTa:いずれか単体または合計で3.15〜4.15%
NbおよびTaは、炭化物を形成しやすいので、合金の強度を向上させるのに有効である。また、合金中のCを固定するので、粒界のCr欠乏を抑制し、粒界の耐食性を向上させる効果もある。従って、これらの元素の一方または両方を含有させてもよい。上記の効果は、いずれか一方の元素を含有させる場合にはその単体の含有量、両方の元素を含有させる場合にはその合計の含有量が3.15%以上で顕著となる。
しかし、Nbおよび/またはTaの含有量が過剰な場合には、熱間加工性および冷間加工性を損なうとともに、加熱脆化に対する感受性が高くなるおそれがある。従って、いずれか一方の元素を含有させる場合にはその単体の含有量、両方の元素を含有させる場合にはその合計の含有量が4.15%以下とするのが望ましい。従って、NbおよびTaの一方または両方を含有させる場合の含有量は、単体または合計で3.15〜4.15%とするのが望ましい。
Mo:8〜10%
Moは、耐孔食性を向上させる効果があり、必要に応じて含有させてもよい。上記の効果は8%以上で顕著となるが、10%を超えると、金属間化合物が析出して耐食性を劣化させるおそれがある。従って、Moを含有させる場合の含有量は8〜10%とするのが望ましい。
上記含Crニッケル基合金の素管の組成として代表的なものは、以下の二種類である。
(a) C:0.15%以下、Si:1.00%以下、Mn:2.0%以下、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Cr:14.0〜17.0%、Fe:6.0〜10.0%、Ti:0.5%以下、Cu:0.50%以下およびAl:2.00%以下を含有し、残部がNiおよび不純物からなる含Crニッケル基合金。
(b) C:0.06%以下、Si:1.00%以下、Mn:2.0%以下、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Cr:27.0〜31.0%、Fe:7.0〜11.0%、Ti:0.5%以下、Cu:0.50%以下およびAl:2.00%以下を含有し、残部がNiおよび不純物からなる含Crニッケル基合金。
上記(a)の合金は、Crを14.0〜17.0%含み、Niを75%程度含むため塩化物を含む環境での耐食性に優れる合金である。この合金においては、Ni含有量とCr含有量のバランスの観点からFeの含有量は6.0〜10.0%とするのが望ましい。
上記(b)の合金は、Crを27.0〜31.0%含み、Niを60%程度含むため、塩化物を含む環境のほか、高温における純水やアルカリ環境での耐食性にも優れる合金である。この合金においてもNi含有量とCr含有量のバランスの観点からFeの含有量は7.0〜11.0%とするのが望ましい。
6.含Crニッケル基合金の素管の製造方法
本発明が対象とする含Crニッケル基合金の素管の製造方法としては、所定の化学組成の含Crニッケル基合金を溶製してインゴットとした後、通常、熱間加工−焼きなましの工程、または、熱間加工―冷間加工―焼きなましの工程で製造される。さらに、母材の耐食性を向上させるため、TT処理(Thermal Treatment)と呼ばれる特殊熱処理が施されることもある。
本発明の熱処理方法は、上記の焼きなましの後に行ってもよく、また焼きなましを兼ねて行ってもよい。焼きなましを兼ねて行えば、従来の製造工程に加えて酸化被膜形成のための熱処理工程を追加する必要がなくなり、製造コストが嵩まない。また、前述したように、焼きなまし後にTT処理を行う場合は、これを酸化被膜形成の熱処理と兼ねて行ってもよい。さらには、焼きなましとTT処理の両者を酸化被膜形成の処理としてもよい。
実験に供する素管は、下記の製造方法により製造した。まず、表1に示す化学組成の合金を真空中で溶解、鋳造し、インゴットを得た。このインゴットを熱間鍛造してビレットにした後、熱間押出製管法により管に成形した。このようにして得た管をコールドピルガーミルによる冷間圧延により、外径23.0mm、肉厚1.4mmとした。次いで、この冷間圧延後の管を1100℃の水素雰囲気中で焼きなました後、冷間抽伸法により製品寸法が外径16.0mm、肉厚1.0mm、長さ18000mm(断面減少率=50%)の管に仕上げた。その後、各管の内外面をアルカリ性脱脂液およびリンス水で洗い、さらに内面をアセトン洗浄した。このようにして得た素管に対し、表2に示す条件の熱処理を実施した。
Figure 0004702096
Figure 0004702096
なお、管の内部への雰囲気ガスの供給は、図3に示す方法により行った(21本同時処理)。ただし、No.17、20、23および26については、ヘッダー2を管の進行方向に対して後端側(即ち、本発明方法とは反対側)に設置し、雰囲気ガスを供給した。また、雰囲気ガスの供給量は、いずれの場合も21本に対して合計で7Nm3/hとした。
熱処理後の管の両端を切り出し、EDX(Energy Dispersive X-ray micro-analyzer)にて被膜組成を調査したところ、クロム酸化物からなる酸化被膜が形成されていることが判明した。その横断面を走査型電子顕微鏡(SEM ;Scanning Electron Microscope)で観察して酸化被膜の厚さを測定し、ガス上流側の酸化被膜の厚さをtin、ガス下流側の酸化被膜の厚さをtoutとして、両厚さのバラツキを│tin-tout│/tinとして評価した。そして、表2には、0.50以下の場合を「◎」、0.50より大きく1.00以下の場合を「○」、1.00を超える場合を「×」として示した。
また、熱処理後の各管から試験片を採取して溶出試験に供した。溶出試験では、オートクレープを使用し、原子炉一次系模擬水中でNiイオンの溶出量を測定した。その際、試験片の内表面にTi製ロックを用いて原子炉一次系模擬水を封じ込めることにより、冶具等から溶出してくるイオンにより試験液が汚染するのを防いだ。試験温度は320℃とし、1000時間原子炉一次系模擬水である500ppmB+2ppmLi+30ccH2/kgH2O(STP)中に潰漬した。試験終了後、直ちに溶液を高周波プラズマ溶解法(ICP)により分析し、Niイオンの溶出量を調べた。以上の結果を、表2に併せて示す。0.05ppm以下の場合を「◎」、0.05ppmより大きく0.30ppm以下の場合を「○」、0.30ppmを超える場合を「×」として示した。
表2に示すように、本発明で規定される条件を満足する方法で熱処理を行ったNo.1〜14、18、19、21、22、24および25では、管内面にクロム酸化物被膜は、管長手方向での酸化被膜厚さのバラツキは小さく、Ni溶出量は0.30ppm以下の範囲で少ない。
これに対し、酸化性ガスとして水蒸気のみを用いたNo.15および16、ならびに雰囲気ガスは本発明で規定される条件を満たすものの、雰囲気ガスの供給方向が本発明とは逆であるNo.17、20、23および26では、管長手方向での酸化被膜厚さのバラツキが大きく、Ni溶出量も0.30ppmを超えていた。
本発明によれば、含Crニッケル基合金管の内面に、安価で、かつ均一にクロム酸化物被膜を形成させることができる。本発明方法により製造された含Crニッケル基合金管は、高温水環境、例えば、原子力発電プラントにおける高温水環境で長時間にわたり使用してもNiの溶出が極めて少ないから、蒸気発生器管(Steam Generator tubing)等の高温水中で使用される部材、特に原子力プラント用部材に最適である。
第1発明に係る含Crニッケル基合金管の製造方法の一実施態様の例を示す平面図(炉内部分は炉中の平面図)である。(a)は先行の熱処理中のワーク管群1aと後続の熱処理前のワーク管群1bに対する管の内部への雰囲気ガスの供給態様を示す。(b)は熱処理中の先行ワーク管群1aと後続ワーク管群1bに対する管の内部への雰囲気ガスの供給態様を示す。(c)は熱処理中の後続ワーク管群1bに対する管の内部への雰囲気ガスの供給切り替え態様を示す。 図1におけるガス導入管およびヘッダーを示す拡大平面図である。 第2発明の含Crニッケル基合金管の製造方法の一実施態様の例を示す平面図(炉内部分は炉中の平面図)である。(a)は熱処理前の先行のワーク管群1aに対する管の内部への雰囲気ガスの供給態様を示す。(b)は熱処理中の先行のワーク管群1aの管の内部への雰囲気ガスの供給切り替え態様を示す。(c)は熱処理中の先行のワーク管群1aと後続のワーク管群1bの管の内部への雰囲気ガスの供給態様を示す。 図3におけるガス導入管およびヘッダーを示す拡大平面図である。
符号の説明
1a、1b、1c:ワーク管(含Crニッケル基合金管)群、
2:ヘッダー、
2a:ノズル、
2b:栓体、
2c:突起部、
3:ガス導入管、
4a、4b:ガス供給装置、
5:連続式熱処理炉、
5a:加熱帯、
5b:冷却帯、

Claims (11)

  1. 含Crニッケル基合金からなるワーク管を連続式熱処理炉で加熱保持しつつ、連続式熱処理炉の出側にワーク管の進行方向に移動自在に設けた少なくとも2基のガス供給装置により、ワーク管の内部に雰囲気ガスを供給して、ワーク管の内面にクロム酸化物被膜を形成させる含Crニッケル基合金管の製造方法であって、下記の(1)〜(3)の工程を有することを特徴とする含Crニッケル基合金管の製造方法。
    (1)連続式熱処理炉に装入する前のワーク管の内部に、1基のガス供給装置と、連続式熱処理炉内を貫通するように配置されたガス導入管とを用いて、その進行方向の先端側から、二酸化炭素ガスおよび水蒸気からなる雰囲気ガスを供給する工程、
    (2)ワーク管を、その内部に二酸化炭素ガスおよび水蒸気からなる雰囲気ガスを供給しつつ、連続式熱処理炉内に装入する工程、
    (3)ワーク管の先端が連続式熱処理炉の加熱帯の出側に到達した後に、ワーク管の内部への二酸化炭素ガスおよび水蒸気からなる雰囲気ガスの供給を他のガス供給装置からの供給に切り替える工程。
  2. 含Crニッケル基合金からなるワーク管を連続式熱処理炉で加熱保持しつつ、連続式熱処理炉の入側および出側それぞれに、ワーク管の進行方向に移動自在に設けたガス供給装置により、ワーク管の内部に雰囲気ガスを供給して、ワーク管の内面にクロム酸化物被膜を形成させる含Crニッケル基合金管の製造方法であって、下記の(1)〜(3)の工程を有することを特徴とする含Crニッケル基合金管の製造方法。
    (1)連続式熱処理炉に装入する前のワーク管の内部に、連続式熱処理炉の入側に設けたガス供給装置と、ワーク管よりも長くかつ連続式熱処理炉内を貫通するように配置されるガス導入管とを用いて、その進行方向の先端側から、二酸化炭素ガスおよび水蒸気からなる雰囲気ガスを供給する工程、
    (2)ワーク管を、その内部に二酸化炭素ガスおよび水蒸気からなる雰囲気ガスを供給しつつ、連続式熱処理炉内に装入する工程、
    (3)ワーク管の先端が連続式熱処理炉の加熱帯の出側に到達した後に、ワーク管の内部への二酸化炭素ガスおよび水蒸気からなる雰囲気ガスの供給を連続式熱処理炉の出側に設けたガス供給装置からの供給に切り替える工程。
  3. 雰囲気ガスが、二酸化炭素ガスの一部に代えて、5Vol.%以下の酸素ガスを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の含Crニッケル基合金管の製造方法。
  4. 雰囲気ガスが、二酸化炭素ガスの一部に代えて、非酸化性ガスを含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の含Crニッケル基合金管の製造方法。
  5. 非酸化性ガスが、水素ガス、希ガス、一酸化炭素ガス、窒素ガスもしくは炭化水素ガスまたはこれらの混合物からなることを特徴とする請求項4に記載の含Crニッケル基合金管の製造方法。
  6. 雰囲気ガスの二酸化炭素ガスの濃度が、50Vol.%以下であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の含Crニッケル基合金管の製造方法。
  7. 雰囲気ガスの水蒸気の濃度が、0.01〜7.5Vol%であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかに記載の含Crニッケル基合金管の製造方法。
  8. 含Crニッケル基合金管が、質量%で、C:0.15%以下、Si:1.00%以下、Mn:2.0%以下、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Cr:10.0〜40.0%、Fe:15.0%以下、Ti:0.5%以下、Cu:0.50%以下およびAl:2.00%以下を含有し、残部がNiおよび不純物からなることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかに記載の含Crニッケル基合金管の製造方法。
  9. 含Crニッケル基合金管が、Niの一部に代えて、質量%で、Nbおよび/またはTaをいずれか単体または合計で3.15〜4.15%含有することを特徴とする請求項8に記載の含Crニッケル基合金管の製造方法。
  10. 含Crニッケル基合金管が、Niの一部に代えて、質量%で、Moを8〜10%含有することを特徴とする請求項8または請求項9に記載の含Crニッケル基合金管の製造方法。
  11. 含Crニッケル基合金管が原子力プラント用部材として用いられることを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれかに記載の含Crニッケル基合金管の製造方法。
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