JP4529761B2 - Ni基合金の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高温水環境で長期間にわたり使用しても、Niの溶出が少ないNi基合金の製造方法に係り、特に、原子力プラント用部材等の用途に好適なNi基合金の製造方法に関する。
Ni基合金は、機械的性質に優れているので種々の部材として使用されている。特に原子炉の部材は高温水に曝されるので、耐食性に優れたNi基合金が使用されている。例えば、加圧水型原子炉(PWR)の蒸気発生器には60%Ni−30%Cr−10%Fe合金などが使用される。
これらの部材は、数年から数10年の間、原子炉の炉水環境である300℃前後の高温水の環境で用いられることになる。Ni基合金は、耐食性に優れており腐食速度は遅いものの、長期間の使用により微量のNiが母材から溶出する。
溶出したNiは、炉水が循環する過程で、炉心部に運ばれ燃料の近傍で中性子の照射を受ける。Niが中性子照射を受けると核反応により放射性Coに変換する。この放射性Coは、半減期が非常に長いため、放射線を長期間放出し続ける。従って、Niの溶出量が多くなると、定期検査などをおこなう作業者の被曝線量が増大する。
被曝線量を少なくすることは、軽水炉を長期にわたり使用していく上で非常に重要な課題である。従って、これまでにも材料側の耐食性の改善や原子炉水の水質を制御することによりNi基合金中のNiの溶出を防止する対策が採られてきた。
特許文献1にはNi基合金伝熱管を10-2〜10-4 Torrという真空度の雰囲気で、400〜750℃の温度域で焼鈍してクロム酸化物を主体とする酸化被膜を形成させ、耐全面腐食性を改善する方法が開示されている。
特許文献2にはNi基析出強化型合金の溶体化処理後に、10-3Torr〜大気圧空気下の酸化雰囲気で時効硬化処理及び酸化被膜形成処理の少なくとも一部を兼ねて行なう加熱処理を施す原子力プラント用部材の製造方法が開示されている。
特許文献3にはNi基合金製品を露点が-60℃〜+20℃である水素または水素とアルゴンの混合雰囲気中で熱処理するNi基合金製品の製造方法が開示されている。
特許文献4にはNiとCrとを含有する合金ワークピースを、水蒸気と少なくとも1種の非酸化性ガスとのガス混合物に曝して、クロム富化層を形成させる方法が開示されている。
特開昭64−55366号公報 特開平8-29571号公報 特開2002-121630号公報 特開2002-322553号公報
しかし、特許文献1に開示の方法によって形成される被膜は、その厚さが不十分であるため、長期間の使用により被膜が損傷するなどして、溶出防止効果が失われてしまうという問題がある。
特許文献2に開示の方法には、酸化したNiが被膜中に取り込まれやすく、使用中にこのNiが溶出するという問題がある。
そして、特許文献3および4に開示の方法のように、水蒸気量(露点)を制御して酸化被膜を形成させる方法では、水蒸気の入側と出側とで均一な酸化被膜を形成することが困難である。これは下記の理由による。
例えば、長尺管の酸化被膜の様な連続処理の場合、生成する酸化被膜の厚さは、酸素ポテンシャルだけでなく、被処理材の表面における酸化性ガスの濃度境界層を通しての拡散性に律速される。ここで、濃度境界層とは、被処理材の表面と表面から離れた箇所(例えば、管内側の中心軸付近)とにおけるガスの濃度分布の境界層をいう。この拡散性は、ガスの拡散係数、動粘性係数等の物理的性質およびガスの濃度、流速等の酸化処理条件による影響を受ける。水蒸気(H2O)は、上記の拡散性がCO2等の他の酸化性ガスに対して大きいので、水蒸気雰囲気下での酸化処理を施す場合、水蒸気の入側と出側とで均一な酸化被膜を形成することが困難となる。
本発明は、これらの問題を解決するためになされたものであり、安価で、かつ均一にクロム酸化物をNi基合金の表面に形成させることができるNi基合金の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、下記(1)〜(7)に示すNi基合金の製造方法を要旨とする。
(1)Crを含むNi基合金を、二酸化炭素ガスならびに一酸化炭素ガス、窒素ガスおよび炭化水素ガスの中から選択される少なくとも1種のガスと、5Vol.%以下の酸素ガスとからなる混合ガス雰囲気下で加熱してNi基合金表面にクロム酸化物からなる酸化被膜を形成させることを特徴とするNi基合金の製造方法。
(2)混合ガス雰囲気の二酸化炭素ガスの濃度が、0.0001〜50Vol.%であることを特徴とする上記(1)に記載のNi基合金の製造方法。
(3)質量%で、C:0.15%以下、Si:1.00%以下、Mn:2.0%以下、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Cr:10.0〜40.0%、Fe:15.0%以下、Ti:0.5%以下、Cu:0.50%以下およびAl:2.00%以下を含有し、残部がNiおよび不純物からなるNi基合金を、二酸化炭素ガスならびに一酸化炭素ガス、窒素ガスおよび炭化水素ガスの中から選択される少なくとも1種のガスからなる混合ガス雰囲気下で加熱してNi基合金表面にクロム酸化物からなる酸化被膜を形成させることを特徴とするNi基合金の製造方法。
(4)前記Ni基合金が、Niの一部に代えて、質量%で、Nbおよび/またはTaをいずれか単体または合計で3.15〜4.15%含有することを特徴とする上記(3)に記載のNi基合金の製造方法。
(5)前記Ni基合金が、Niの一部に代えて、質量%で、Moを8〜10%含有することを特徴とする上記(3)または(4)に記載のNi基合金の製造方法。
(6)混合ガス雰囲気が、更に5Vol.%以下の酸素ガスを含むことを特徴とする上記(3)から(5)までのいずれかに記載のNi基合金の製造方法。
(7)混合ガス雰囲気の二酸化炭素ガスの濃度が、0.0001〜50Vol.%であることを特徴とする上記(3)から(6)までのいずれかに記載のNi基合金の製造方法。
(8)前記Ni基合金が原子力プラント用部材として用いられることを特徴とする上記(1)から(7)までのいずれかに記載のNi基合金の製造方法。
なお、「クロム酸化物からなる酸化被膜」とは、Cr23を主体とする酸化被膜を意味し、Cr23以外の酸化物、例えば、MnCr24、TiO2、Al23、SiO2などの酸化物が含まれていてもよい。また、Ni基合金の表面にクロム酸化物からなる酸化被膜を有するのであれば、クロム酸化物層の上層(外側の層)および/または下層(内側の層)に他の酸化物層が形成されていてもよい。
本発明によれば、安価で、かつ均一にクロム酸化物をNi基合金の表面に形成させることができるので、高温水環境、例えば、原子力発電プラントにおける高温水環境で長時間にわたり使用してもNiの溶出が極めて少ないNi基合金を製造することができる。従って、このNi基合金は、蒸気発生器管(Steam Generator tubing)、および高温水中で使用されるスペーサースプリング・コイルスプリング・フィンガスプリング・チャンネルファスナ、蓋用管台などの原子力プラント用部材に最適である。
1.混合ガス雰囲気について
本発明のNi基合金の製造方法においては、Crを含むNi基合金を、二酸化炭素ガスならびに一酸化炭素ガス、窒素ガスおよび炭化水素ガスの中から選択される少なくとも1種のガスからなる混合ガス雰囲気下で加熱して合金表面にクロム酸化物からなる酸化被膜を形成させることを最大の特徴とする。
二酸化炭素ガスは、高温環境下でNi基合金の表面にクロム酸化物からなる酸化皮膜を形成させる作用を有する。即ち、二酸化炭素ガスからなる雰囲気下では、下記の式に反応式に示すように、Ni基合金にCO2が吸着し、CO2から直接O(酸素)がNi基合金に取り込まれ、クロム酸化物が生成する。
CO2 + Metal → CO + Metal−O
二酸化炭素ガスは、加熱雰囲気中で酸化性ガスとして作用し、微量でも含まれておれば、上記のクロム酸化物を形成する。従って、二酸化炭素ガス濃度の下限は定めないが、その効果が顕著となるのは0.0001Vol.%以上である。一方、二酸化炭素ガス濃度の上限についても特に限定しないが、製造コストを低減させる観点からは、50Vol.%以下とするのが好ましく、10Vol.%以下とするのが更に好ましい。このとき、非酸化性ガス濃度を高めて、二酸化炭素ガス濃度を下げればよい。
前述のように、特許文献3および4には水蒸気雰囲気下での加熱により酸化皮膜を形成させる方法が開示されているが、この方法では水蒸気の入側と出側とで均一な酸化皮膜を形成することが困難である。
しかし、二酸化炭素は水蒸気よりも拡散性が小さいため、形成される酸化皮膜の厚さが供給されるガス濃度、流量等の酸化処理条件による影響を受けにくい。このため、従来の水蒸気雰囲気下で行なう酸化処理よりも均一な酸化皮膜を合金表面に形成させることができるのである。二酸化炭素ガスを用いるメリットとしては、従来の露点発生装置で水分濃度を制御していた方法よりも安価に所望の酸化処理雰囲気を作ることができる点も挙げられる。
混合ガス雰囲気は、二酸化炭素ガスのほかに、一酸化炭素ガス、窒素ガスおよび炭化水素ガスの中から選択される少なくとも1種のガスが含まれる。これらのガスは、Cr酸化物の形成に寄与しない非酸化性ガスであり、これらの濃度を調整することで、二酸化炭素ガスの濃度を適宜調整できる。
混合ガス雰囲気は、上記のガスのほか、5Vol.%以下の酸素ガスが含まれていてもよい。酸素ガスもCr酸化物の形成に寄与するからである。しかし、酸素ガスを多量に含有させると酸化被膜の形成を促進して母材中のCr濃度を低下させ、耐食性を劣化させる。このため酸素ガスを存在させる場合には、その濃度を5Vol.%に制限するのが望ましい。
2.加熱処理温度および加熱処理時間について
加熱温度:500〜1250℃
加熱温度は、適切な酸化被膜の厚さおよび組成ならびに合金の強度特性を得ることができる範囲であればよい。具体的には、加熱温度が500℃未満の場合、クロムの酸化が不十分となる場合があるが、1250℃を超えると、Ni基合金材の強度を確保できなくなるおそれがある。従って、加熱温度は500〜1250℃の範囲とするのが望ましい。
加熱時間:10秒〜35時間
加熱時間は、適切な酸化被膜の厚さと組成を得ることができる範囲で設定すればよい。即ち、クロム酸化物を主体とする酸化被膜を形成するためには、10秒以上加熱することが望ましいが、35時間を超えて加熱しても、酸化被膜はほとんど生成しなくなる。従って、加熱時間は10秒〜35時間の範囲とするのが望ましい。
加熱時間は、加熱温度が高いほど短くできるので、例えば、加熱温度を1000〜1200℃の範囲とする場合には加熱時間を10秒〜60分の範囲とすればよい。
以上、加熱温度および加熱時間ならびにガス濃度条件を適宜調整することにより、被膜の厚さおよび組成の調整が可能である。
3.処理対象となる Ni基合金について
本発明の製造方法に供されるNi基合金としては、例えば、質量%で、C:0.15%以下、Si:1.00%以下、Mn:2.0%以下、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Cr:10.0〜40.0%、Fe:15.0%以下、Ti:0.5%以下、Cu:0.50%以下およびAl:2.00%以下を含有し、残部がNiおよび不純物からなるNi基合金がある。各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
C:0.15%以下
Cは、0.15%を超えて含有させると、耐応力腐食割れ性が劣化するおそれがある。従って、Cを含有させる場合には、その含有量を0.15%以下にするのが望ましい。更に望ましいのは、0.06%以下である。なお、Cは、合金の粒界強度を高める効果を有する。この効果を得るためには、Cの含有量は0.01%以上とするのが望ましい。
Si:1.00%以下
Siは製錬時の脱酸材として使用され、合金中に不純物として残存する。このとき、1.00%以下に制限する必要がある。その含有量が0.50%を超えると合金の清浄度が低下することがあるため、Si含有量は0.50%以下に制限するのが望ましい。
Mn:2.0%以下
Mnは、2.0%を超えると合金の耐食性を低下させるので、2.0%以下とするのが望ましい。Mnは、Crと比べ酸化物の生成自由エネルギーが低く、加熱によりMnCr24として析出する。また、拡散速度も比較的早いため、通常は、加熱により母材近傍にCr23が優先的に生成し、その外側に上層としてMnCr24が形成される。MnCr24層が存在すれば、使用環境中においてCr23層が保護され、また、Cr23層が何らかの理由で破壊された場合でもMnCr24によりCr23の修復が促進される。このような効果が顕著となるのは、0.1%以上含有させた場合である。従って、望ましいMn含有量は0.1〜2.0%であり、更に望ましいのは、0.1〜1.0%である。
P:0.030%以下
Pは合金中に不純物として存在する元素である。その含有量が0.030%を超えると耐食性に悪影響を及ぼすことがある。従って、P含有量は0.030%以下に制限するのが望ましい。
S:0.030%以下
Sは合金中に不純物として存在する元素である。その含有量が0.030%を超えると耐食性に悪影響を及ぼすことがある。従って、S含有量は0.030%以下に制限するのが望ましい。
Cr:10.0〜40.0%
Crは、クロム酸化物からなる酸化被膜を生成させるために必要な元素である。合金表面にそのような酸化被膜を生成させるためには、10.0%以上含有させるのが望ましい。しかし、40.0%を超えると相対的にNi含有量が少なくなり、合金の耐食性が低下するおそれがある。従って、Crの含有量は10.0〜40.0%が望ましい。特に、Crを14.0〜17.0%含む場合には、塩化物を含む環境での耐食性に優れ、Crを27.0〜31.0%含む場合には、更に、高温における純水やアルカリ環境での耐食性にも優れる。
Fe:15.0%以下
Feは、15.0%超えるとNi基合金の耐食性が損なわれるおそれがある。そのため、15.0%以下とする。また、Niに固溶し高価なNiの一部に替えて使用できる元素であるので、4.0%以上含有させることが望ましい。Feの含有量は、NiとCrのバランスから決めればよく、Crを14.0〜17.0%含む場合には、6.0〜10.0%とし、Crを27.0〜31.0%含む場合には、7.0〜11.0%とするのが望ましい。
Ti:0.5%以下
Tiは、その含有量が0.5%を超えると、合金の清浄性を劣化させるおそれがあるので、その含有量は0.5%以下とするのが望ましい。更に望ましいのは、0.4%以下である。但し、合金の加工性向上および溶接時における粒成長の抑制の観点からは、0.1%以上の含有させることが望ましい。
Cu:0.50%以下
Cuは合金中に不純物として存在する元素である。その含有量が0.50%を超えると合金の耐食性が低下することがある。従って、Cu含有量は0.50%以下に制限するのが望ましい。
Al:2.00%以下
Alは製鋼時の脱酸材として使用され、合金中に不純物として残存する。残存したAlは、合金中で酸化物系介在物となり、合金の清浄度を劣化させ、合金の耐食性および機械的性質に悪影響を及ぼすおそれがある。従って、Al含有量は2.00%以下に制限するのが望ましい。
上記のNi基合金は、上記の元素を含み、残部はNiおよび不純物からなるものであればよいが、耐食性、強度などの性能の向上を目的として、Nb、Ta、Moを適量添加してもよい。
Nbおよび/またはTa:いずれか単体または合計で3.15〜4.15%
NbおよびTaは、炭化物を形成しやすいので、合金の強度を向上させるのに有効である。また、合金中のCを固定するので、粒界のCr欠乏を抑制し、粒界の耐食性を向上させる効果もある。従って、これらの元素の一方または両方を含有させてもよい。上記の効果は、いずれか一方の元素を含有させる場合にはその単体の含有量、両方の元素を含有させる場合にはその合計の含有量が3.15%以上で顕著となる。
しかし、Nbおよび/またはTaの含有量が過剰な場合には、熱間加工性および冷間加工性を損なうとともに、加熱脆化に対する感受性が高くなるおそれがある。従って、いずれか一方の元素を含有させる場合にはその単体の含有量、両方の元素を含有させる場合にはその合計の含有量が4.15%以下とするのが望ましい。従って、NbおよびTaの一方または両方を含有させる場合の含有量は、単体または合計で3.15〜4.15%とするのが望ましい。
Mo:8〜10%
Moは、耐孔食性を向上させる効果があり、必要に応じて含有させてもよい。上記の効果は8%以上で顕著となるが、10%を超えると、金属間化合物が析出して耐食性を劣化させるおそれがある。従って、Moを含有させる場合の含有量は8〜10%とするのが望ましい。
上記Ni基合金として代表的なものは、以下の二種類である。
(a) C:0.15%以下、Si:1.00%以下、Mn:2.0%以下、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Cr:14.0〜17.0%、Fe:6.0〜10.0%、Ti:0.5%以下、Cu:0.50%以下およびAl:2.00%以下を含有し、残部がNiおよび不純物からなるNi基合金。
(b) C:0.06%以下、Si:1.00%以下、Mn:2.0%以下、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Cr:27.0〜31.0%、Fe:7.0〜11.0%、Ti:0.5%以下、Cu:0.50%以下およびAl:2.00%以下を含有し、残部がNiおよび不純物からなるNi基合金。
上記(a)の合金は、Crを14.0〜17.0%含み、Niを75%程度含むため塩化物を含む環境での耐食性に優れる合金である。この合金においては、Ni含有量とCr含有量のバランスの観点からFeの含有量は6.0〜10.0%とするのが望ましい。
上記(b)の合金は、Crを27.0〜31.0%含み、Niを60%程度含むため、塩化物を含む環境のほか、高温における純水やアルカリ環境での耐食性にも優れる合金である。この合金においてもNi含有量とCr含有量のバランスの観点からFeの含有量は7.0〜11.0%とするのが望ましい。
表1に示す合金A〜Gを用いて、直径20mm、肉厚1.5mmの管を作製し、これらの管を200mmの長さに切断して供試材とした。これらの供試材に、表2に示す条件の熱処理を実施した。熱処理は、石英管の中に供試材をセットした後、石英管内に所定の濃度のガスを一定流量で通気させ、石英管外周に設置したヒータにより加熱して行なった。
熱処理後の供試材の両端を切り出し、EDX(Energy Dispersive X-ray micro-analyzer)にて管内面側の被膜組成を調査したところ、クロム酸化物からなる酸化被膜が形成されていることが判明した。その横断面を走査型電子顕微鏡(SEM ;Scanning Electron Microscope)で観察して管内面側の酸化被膜の厚さを測定し、ガス上流側の酸化被膜の厚さをtin、ガス下流側の酸化被膜の厚さをtoutとして、両厚さのバラツキを│tin-tout│/tinとして評価した。表2には、0.5以下の場合を「○」、0.5を超える場合を「×」として示した。
Figure 0004529761
Figure 0004529761
表2に示すように、酸化性ガスとして二酸化炭素ガスまたは更に酸素ガスを用いた条件で形成された酸化被膜は、管長手方向での酸化被膜厚さのバラツキは小さかった。これに対し、酸化性ガスとして水蒸気を用いた条件で形成された酸化被膜は、バラツキがかなり大きかった。
本発明によれば、安価で、かつ均一にクロム酸化物をNi基合金の表面に形成させることができるので、高温水環境、例えば、原子力発電プラントにおける高温水環境で長時間にわたり使用してもNiの溶出が極めて少ないNi基合金を製造することができる。従って、このNi基合金は、例えば、蒸気発生器管(Steam Generator tubing)、および高温水中で使用されるスペーサースプリング・コイルスプリング・フィンガスプリング・チャンネルファスナ、蓋用管台などの原子力プラント用部材に最適である。

Claims (8)

  1. Crを含むNi基合金を、二酸化炭素ガスと、一酸化炭素ガス、窒素ガスおよび炭化水素ガスの中から選択される少なくとも1種のガスと、5Vol.%以下の酸素ガスとからなる混合ガス雰囲気下で加熱してNi基合金表面にクロム酸化物からなる酸化被膜を形成させることを特徴とするNi基合金の製造方法。
  2. 混合ガス雰囲気の二酸化炭素ガスの濃度が、0.0001〜50Vol.%であることを特徴とする請求項1に記載のNi基合金の製造方法。
  3. 質量%で、C:0.15%以下、Si:1.00%以下、Mn:2.0%以下、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Cr:10.0〜40.0%、Fe:15.0%以下、Ti:0.5%以下、Cu:0.50%以下およびAl:2.00%以下を含有し、残部がNiおよび不純物からなるNi基合金を、二酸化炭素ガスならびに一酸化炭素ガス、窒素ガスおよび炭化水素ガスの中から選択される少なくとも1種のガスからなる混合ガス雰囲気下で加熱してNi基合金表面にクロム酸化物からなる酸化被膜を形成させることを特徴とするNi基合金の製造方法。
  4. 前記Ni基合金が、Niの一部に代えて、質量%で、Nbおよび/またはTaをいずれか単体または合計で3.15〜4.15%含有することを特徴とする請求項3に記載のNi基合金の製造方法。
  5. 前記Ni基合金が、Niの一部に代えて、質量%で、Moを8〜10%含有することを特徴とする請求項3または請求項4に記載のNi基合金の製造方法。
  6. 混合ガス雰囲気が、更に5Vol.%以下の酸素ガスを含むことを特徴とする請求項3から請求項5までのいずれかに記載のNi基合金の製造方法。
  7. 混合ガス雰囲気の二酸化炭素ガスの濃度が、0.0001〜50Vol.%であることを特徴とする請求項3から請求項6までのいずれかに記載のNi基合金の製造方法。
  8. 前記Ni基合金が原子力プラント用部材として用いられることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかに記載のNi基合金の製造方法。
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