JP4697838B2 - 油圧緩衝器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のサスペンションとして使用され、特にピストンの低速域においてピストンロッドに一定のフリクションを付与する油圧緩衝器に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に自動車等のサスペンションとして使用される油圧緩衝器はシリンダの端部にロッドガイドとオイルシールとを設け、又シリンダ内にはピストンを介してピストンロッドが移動自在に挿入され、当該ピストンロッドは上記ロッドガイドの内周とオイルシールの内周とに摺接しながら外部に導出している。ロッドガイドはピストンロッドをピストンと協働して軸方向に案内し、オイルシールはシリンダ内の油が外部に洩れるのを防止している。オイルシールの外周にはバンドが設けられており、このバンドの締付力とオイルシール自体の弾性とでオイルシールの内周とピストンロッドの外周との間に一定のフリクションが発生するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一般にピストン速度の低速域ではピストン等に設けたオリフィス又は減衰バルブに流動抵抗がほとんど発生せず、従って減衰力が発生しないが、オイルシールとピストンロッドとの間のフリクションはピストンロッドの摺動性に影響を与え、従って車両の乗心地にも影響がある。
【0004】
この為、油圧緩衝器の設計時にはオイルシールとピストンロッドとの間のフリクションの大きさを計算し、この計算に基づいてピストンロッドの外周にオイルシールを組付け、ピストンの低速域においても一定のフリクションが発生するようにしている。
【0005】
しかしながら、長期間の使用中にはくり返しオイルシールがピストンロッドと摺接するとこのオイルシールが劣化することが考えられる。この場合にはオイルシールのピストンロッドに対するフリクションが所定通り効かなくなリ、その結果ピストンの低速域において、ピストンとピストンロッドの微細な振動を抑制しにくくなり、例えば悪路走行時に発生する大きな振動後に微細な上下方向の振動が残っていつまでも続くと、車体がいつまでも小さく振動し乗心地を悪くする不具合が起り得る。
【0006】
そこで、本発明の目的は、オイルシールに関係なくピストンの微低速域において常にピストンロッドに一定のフリクションを付与できる油圧緩衝器を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の手段は、シリンダの端部にロッドガイドとオイルシールとを設け、シリンダ内にピストンを介して移動自在に挿入したピストンロッドが上記オイルシールの内周を摺接して外部に導出している油圧緩衝器に於いて、ロッドガイドの内周にピストン速度の微低速時にピストンロッドに対して一定のフリクションを付与するブッシュを嵌合し、当該ブッシュを非弾性体からなる円筒状のブッシュ本体と、ブッシュ本体の外周に設けた円筒状の弾性体と、弾性体の外周に設けた芯金とで構成させ、更に、上記弾性体の上部にピストンロッドの外周に摺接する斜め上向きのチェック弁を一体に連設させたことを特徴とするものである。
【0008】
同じく、他の手段は、シリンダの端部にロッドガイドとオイルシールとを設け、シリンダ内にピストンを介して移動自在に挿入したピストンロッドが上記オイルシールの内周を摺接して外部に導出している油圧緩衝器に於いて、ロッドガイドの内周にピストン速度の微低速時にピストンロッドに対して一定のフリクションを付与するブッシュを嵌合し、当該ブッシュを非弾性体からなる円筒状のブッシュ本体と、ブッシュ本体の外周に設けた円筒状の弾性体と、弾性体の外周に設けた芯金とで構成させ、更に、ブッシュ本体を耐熱耐摩擦性の良い材料で成形された円筒体と円筒体の外周に積層したカラーとで構成し、上記カラーの上部外周に上記弾性体と上記芯金とを配設し、上記弾性体の下方に於いて上記カラー外周と上記ロッドガイド内周との間に微小隙間又は他の弾性体を設けていることを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図にもとづいて説明する。
【0011】
本発明の各実施の形態に係る車両用サスペンションとして使用される油圧緩衝器は、図1,図2に示すように、シリンダ1の端部にロッドガイド2とオイルシール3とを設け、シリンダ1内にピストンを介して移動自在に挿入したピストンロッド4が上記オイルシール3の内周を摺接して外部に導出している。そして、本発明では、ロッドガイド2の内周にピストン速度の微低速時にピストンロッド4に対して一定のフリクションを付与するブッシュ6を嵌合し、当該ブッシュ6を非弾性体からなる円筒状のブッシュ本体20又30と、ブッシュ本体20又は30の外周に設けた円筒状の弾性体21又は31と、弾性体21又は31の外周に設けた芯金22又は32とで構成させたことを基本構造としている。
【0012】
この基本構造に於て、図1の実施の形態では、弾性体21の上部にピストンロッド4の外周に摺接する斜め上向きのチェック8弁が一体に連設されている。
【0013】
同じく図2の実施の形態では、ブッシュ本体30が耐熱耐摩擦性の良い材料で成形された円筒体30aと円筒体30aの外周に積層したカラー30bとからなり、カラー30bの上部外周に弾性体31と芯金32とを配設し、弾性体31の下方に於てカラー30bとロッドガイド2との間に微小隙間33又は他の弾性体を設けているものである。
【0014】
以下、更に詳しく説明する。
【0015】
図1に示すように、シリンダ1と同芯にアウターシェル9が配設され、シリンダ1とアウターシェル9の上端部にはロッドガイド2が固定されている。
【0016】
ロッドガイド2の上方たる外部側にはバンド11で付勢された上下のリップからなるオイルシール3が設けられ、このオイルシール3は支持金具12を介してロッドガイド2の支持突起13に支持され、又アウターシェル9のカシメ部9aと支持板14とで保持されている。
【0017】
オイルシール3はピストンロッド4の外周と摺接し、ロッドガイド2の油溜室15に溜った油とエアはロッドガイド2に形成した油路16を介してアウターシェル9内側のリザーバ17に回収されるようになっている。
【0018】
ブッシュ6の内周はピストンロッド4に摺接し、ピストンの低速域において、一定のフリクションをピストンロッド4に付与するようになっている。
【0019】
シリンダ1内にはピストンで区画された油室18を有し、この油室18内の油と混入したエアはブッシュ6の内周とチェック弁8を介してブッシュ6上方への流れは許容するが、ブッシュ6上方に流出した油とエアはチェック弁8によって逆流が防止され、これらは必ず油溜り室15よりリザーバ17に回収されるようになっている。ブッシュ6は後述するように外周側に芯金22を有し、この芯金22がロッドガイド2の内周に当接し、ブッシュ6自体の弾性でブッシュ6のピストンロッド4に対するフリクションを付与している。
【0020】
ブッシュ6は図1に示すように、円筒状の芯金22と、芯金22の内側に設けた円筒状の弾性体21と、弾性体21の内側に設けた非弾性体からなるテフロン等の円筒状のブッシュ本体20とで構成され、弾性体21の上部にはピストンロッド4の外周に摺接する斜め上向きのチェック弁8を一体に連設している。
【0021】
芯金22は銅等の金属板からなるものでも良く、あるいは弾性材からなるもので反発力を発生させるものでも良い。弾性体21はNBR等のゴムあるいはウレタン樹脂等の弾性材で成形され、その他耐久性と弾性に富む複合材で成形されるのが好ましく、その弾性でブッシュ本体20を押圧してピストンロッド4に対するフリクションを与えている。この場合、弾性体21はピストンロッド4の起動時に若干その下部が上下に伸縮して起動摩擦を増やすようにしている。
【0022】
ブッシュ本体20の内周とピストンロッド4の外周との間にはわずかな隙間25が形成されて油とエアの流出を許容しているが、上方に流出したエアはチェック弁8によって油室18への逆流を防止している。チェック弁8は弾性体21の上端から上方に一体に起立した円錐状のリップ8bからなっている。このリップ8bはピストンロッド4の外周に任意の締代で接触している。チェック弁8はいわゆるダッグビル型に成形しても良い。
【0023】
上記の実施の形態に係る油圧緩衝器によれば、ピストンの微低速域において、ピストンロッド4の移動初期には弾性体21の下部が若干上下に移動することによりブッシュ本体20もこれにつられて若干動く。その後ピストンロッド4はブッシュ本体20によるフリクションを受け、オイルシール3によるフリクションに関係なくブッシュ6によってピストンロッド4に一定のフリクションを付与できる。この為、車両の走行中、悪路走行によって大きな振動が車体に発生し、その後微細な振動が残っても、この微振動はブッシュ6のピストンロッド4に対するフリクションでピストンロッド4の上下動が抑制されることにより解消される。いいかえれば、ピストン速度の微低速域での車体の微振動がフリクションで抑制され、乗心地を向上できる。
【0024】
図2は、本発明の他の実施の形態に係り、これらはブッシュの構造を変更したものである。それ以外の構造,作用,効果は、図1の場合と同じであり、同一の構造は同一の符号を付すことで詳細は省略する。
【0025】
即ち、図2に示すブッシュ6は、先に述べたようにブッシュ本体30と弾性体31と、芯金32と、微小隙間33とを有し、ブッシュ本体を円筒体30aとカラー30bとで構成したものである。
【0026】
この場合も図1の場合と同じく弾性体31でブッシュ本体30を押圧してピストンロッド4にフリクションを付与する。弾性体31は若干ピストンロッド4の移動初期に上下に動き、これによりブッシュ本体30も若干上下動し、その後、動摩擦力を発生させる。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、次の効果がある。
【0028】
(1) 各請求項の発明によれば、ロッドガイドの内周にブッシュを嵌合し、このブッシュでピストンロッドに対してピストンの微低速域で一定のフリクションを付与しているので、例えば、車体が大きな振動後に微細な振動が残ってもこの振動は上記のフリクションで抑制され、いつまでも微振動が続くのが防止される。
その結果、車体が安定し乗心地が向上する。
【0029】
(2) 同じく、弾性体はブッシュ本体をピストンロッド側に押圧してブッシュ本体にフリクションを付与している。しかも微低速域の初期には弾性体の一部が上下に伸縮することによりブッシュ本体を上下に若干移動させて起動摩擦を押え、その後ブッシュ本体で動摩擦を増やすことができる。
【0030】
(3) 同じく、ブッシュでオイルシール等に関係なくフリクションを発生できるから、オイルシールが劣化しても常にピストンロッドに対するフリクションを効かせることができる。
【0031】
(4) 同じく、ブッシュ本体が芯金で補強されているのでブッシュ本体の耐久性を向上できる。
【0032】
(5)請求項1の発明によれば、ブッシュには逆流防止用のチェック弁を連設したのでシリンダ内の油とエアがシリンダの油室から洩れるのを許容するが、逆にエアが油室側に逆流するのを防止でき、ピストン等に設けたポート又は減衰バルブ等の減衰力発生機構における減衰力を安定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る油圧緩衝器の一部拡大縦断正面図である。
【図2】他の実施の形態に係る油圧緩衝器の一部拡大縦断正面図である。
【符号の説明】
1 シリンダ
2 ロッドガイド
3 オイルシール
4 ピストンロッド
6 ブッシュ
8 チェック弁
8b リップ
20,30 ブッシュ本体
21,31 弾性体
22,32 芯金
30a 円筒体
30b カラー
33 隙間
Claims (2)
- シリンダの端部にロッドガイドとオイルシールとを設け、シリンダ内にピストンを介して移動自在に挿入したピストンロッドが上記オイルシールの内周を摺接して外部に導出している油圧緩衝器に於いて、ロッドガイドの内周にピストン速度の微低速時にピストンロッドに対して一定のフリクションを付与するブッシュを嵌合し、当該ブッシュを非弾性体からなる円筒状のブッシュ本体と、ブッシュ本体の外周に設けた円筒状の弾性体と、弾性体の外周に設けた芯金とで構成させ、更に、上記弾性体の上部にピストンロッドの外周に摺接する斜め上向きのチェック弁を一体に連設させたことを特徴とする油圧緩衝器。
- シリンダの端部にロッドガイドとオイルシールとを設け、シリンダ内にピストンを介して移動自在に挿入したピストンロッドが上記オイルシールの内周を摺接して外部に導出している油圧緩衝器に於いて、ロッドガイドの内周にピストン速度の微低速時にピストンロッドに対して一定のフリクションを付与するブッシュを嵌合し、当該ブッシュを非弾性体からなる円筒状のブッシュ本体と、ブッシュ本体の外周に設けた円筒状の弾性体と、弾性体の外周に設けた芯金とで構成させ、更に、ブッシュ本体を耐熱耐摩擦性の良い材料で成形された円筒体と円筒体の外周に積層したカラーとで構成し、上記カラーの上部外周に上記弾性体と上記芯金とを配設し、上記弾性体の下方に於いて上記カラー外周と上記ロッドガイド内周との間に微小隙間又は他の弾性体を設けていることを特徴とする油圧緩衝器。
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2001
- 2001-08-21 JP JP2001249990A patent/JP4697838B2/ja not_active Expired - Fee Related
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