JP4697820B2 - 醸造酒の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、容器に充てんされた醸造酒の溶存酸素が特定の濃度範囲である、醸造酒の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から醸造酒、特に清酒において好ましくない香りである老香の発生や着色が、清酒成分の酸化に由来することが知られている。更には、充てん時に火入れ処理を行わない生酒においては、通常の火入れ酒に比べて二倍程度の溶存酸素を含んでおり、品質の劣化も火入れ酒に比べて早いことが知られている。該酸化は清酒中の溶存酸素濃度を低減することで抑制され、製造時の好ましい品質を長期間持続させることができる(特開平6−141840号公報)ことが知られている。また、こうした効果を得るためには清酒中の溶存酸素濃度は出来るだけ低く、例えば約0.5ppm以下であることが望ましいとされるが、清酒中の溶存酸素濃度と好ましい品質の保存性の相関について、具体的に比較検討されたデータは示されてない。
【0003】
一方で醸造酒、特に清酒を日光や蛍光灯の光の中で保存すると、日光臭と呼ばれる異臭の発生や日光着色が起こり、飲用に適さなくなる。このことは、近年清酒に限らず酒類の販売方式が変わり、明るいディスプレイの中で視覚的に購買意欲をそそるような展示販売の機会の多い状況において、光照射下での品質の劣化は商品イメージにもかかわることであり重大である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、醸造酒において発生する日光臭や日光着色を抑制することは近年重要な課題のひとつとなっている。
本発明の目的は、従来知られていた老香の発生や着色といった酒類の品質低下と共に日光臭や渋味の発生といった異なる性質の品質低下をも共に抑制し、製造時の好ましい品質を維持した醸造酒を消費者に提供していくことにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、脱酸素工程を含む生酒を含む清酒の製造方法において、インラインミキサーを用いて連続的な流れの中で不活性ガスを混合して溶存酸素を低減させる脱酸素工程を経て容器に充てんして24時間後平衡状態になった醸造酒中の溶存酸素濃度が、火入れ清酒の場合には1.5〜2.7ppmの範囲であり、火入れしない生酒の場合には1.6〜3.1ppmの範囲であることを特徴とする日光臭、渋味、えぐ味の発生の抑制された生酒を含む清酒の製造方法に関する。
【0006】
本発明者らは、従来酸化抑制という観点からのみ検討されていた、溶存酸素の低減方法に着目して鋭意検討を行った。その結果、後述するように容器に充てん後の溶存酸素濃度を1.0ppm以下にまで低減させた清酒を光照射下で保存すると、老香の発生や着色といった酸化由来の品質の劣化は抑制されるが渋味やえぐ味といった好ましくない味覚の発生に加え、日光臭も発生することが認められた。一方、火入れしない生酒では溶存酸素濃度が火入れ酒に比べて二倍程度含まれること、容器に充てんされた醸造酒中の溶存酸素を、火入れをしない生酒の場合には1.1から4.0ppm、火入れ酒の場合には1.1ppmから2.9ppmの濃度範囲に調整することで、前述の酸化由来の品質の劣化が抑制され、日光臭の発生や渋味、えぐ味といった好ましくない香味の発生をも抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明に用いられる醸造酒には、生酒を含む清酒、ワイン、あるいは老酒がある。該醸造酒のうち、例えば清酒は原料処理、仕込み、糖化・発酵、上槽、精製及び充てん工程を経て製品となる。該製品中に火落ち菌が存在すると、保存中に該火落ち菌が繁殖し、清酒が腐敗(火落ち)する事が知られているので、該火落ちを防ぐために充てん時に清酒を加熱処理して火落ち菌を殺菌した清酒(以下「火入れ清酒」、又は単に「清酒」と呼ぶ)、あるいは加熱処理を行わずに低温で精密ろ過を行って該火落ち菌を除菌した清酒(以下「生酒」と呼ぶ)が製造されている。ワインは原料処理(圧搾)、発酵、熟成、精製及び充てん工程を経て製品となる。老酒は原料処理、仕込み、糖化・発酵、精製、熟成及び充てん工程を経て製品となる。
【0008】
本発明方法によって調製される醸造酒の溶存酸素濃度は、醸造酒の種類や、容器の形状、保存温度にもよるが、容器に充てんの後平衡に達する時間、通常24時間後の値が生酒の場合には1.1〜4.0ppm、より好ましくは1.6〜3.1ppm、火入れ清酒の場合には1.1〜2.9ppm、より好ましくは1.5〜2.7ppmの範囲であればよく、これより高ければ保存中に老香や雑味の発生の可能性があり、また着色が起こりやすい。前記範囲より低い濃度に調整すると、老香や雑味の発生や着色といった品質の劣化は抑制されるが、渋味の発生や光照射の条件で日光臭の発生の恐れがある。
【0009】
醸造酒中の溶存酸素を低減させる方法は、容器に充てん後の醸造酒の溶存酸素濃度を前述の範囲に調整できる方法であればいかなる方法を用いても良く、例えば不活性ガスをバブリングさせながら醸造酒に封入することにより、溶存酸素を目的とする濃度範囲に低減させても良い。あるいは膜脱気装置を用いて醸造酒中の溶存酸素を減圧脱気してもよいし、インラインミキサーを用いて連続的な流れの中で不活性ガスを混合して溶存酸素を低減させても良い。
更には、醸造酒を容器に充てん後の容器のヘッドスペースを不活性ガス置換して、充てんされた醸造酒が実質的に目的とする溶存酸素濃度になるよう、脱酸素してもよいし、前述の各種溶存酸素低減方法と組合せても良い。通常は溶存酸素を低減させた醸造酒を容器に充てんする工程で、空気中の酸素を巻込んで溶存酸素濃度の回復がみられるので、容器に充てんした醸造酒の溶存酸素濃度を前述の濃度範囲に調整するためには、いずれかの溶存酸素除去方法とヘッドスペースガス置換方法の併用が望ましい。あるいは除去すべき酸素の絶対量に対応する量の脱酸素剤がキャップ中蓋内に透気性包装材料を介して埋込まれた特殊栓を使用して、醸造酒を容器に充てん、密栓後平衡に達したときに実質的に目的とする溶存酸素濃度になるよう、脱酸素剤を利用してもよい。
【0010】
本発明品の製造の為に必要に応じて用いられる不活性ガス、例えばバブリング処理やインラインミキサーによる混合脱気処理及び/又はヘッドスペースガス置換を行う場合に用いられる不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴン又はこれらの混合ガス等が挙げられ、適宜選択出来るが、不活性ガスに要する費用を考慮すると、高純度窒素ガスの使用が望ましい。また、ヘッドスペースガス置換の際の吹込み方法としては、醸造酒を充てんする前の容器に予め吹込んでから醸造酒を充てんしてもよく、充てん後のヘッドスペースに吹込んでも良い。
【0011】
本発明において、醸造酒を充てんする容器には特に制限はないが、ガラスビン、缶、紙容器、レトルトパウチ、成形容器、中空成形容器(ペットボトル等)〔缶びん詰・レトルト食品事典、第220〜265頁、発行所(株)朝倉書店、1995年4月20日第6刷(1984年2月10日初版第1刷)〕、ステンレス製タンク、壷等通常の液体充てん用に用いられるものの中から、密栓可能なものを適宜選択できる。
また、本発明において、醸造酒を充てんする容器のヘッドスペース容量比(充てんする醸造酒の容量に対するヘッドスペース容量の比)に制限されない。ヘッドスペース容量比が大きい容器(例えば、紙容器)を用いる場合は、ヘッドスペース容量比に応じて、ヘッドスペースあるいは醸造酒中の脱酸素、ガス置換を行い酸素含有率を調整することが好ましく、充てんされた醸造酒が実質的に目的とする溶存酸素濃度になるように製造すればよい。
【0012】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0013】
実施例1
本発明の醸造酒の一例として火入れ清酒の製造方法を説明する概略図を図1に示す。
図1において、符号1は原液タンク、2はポンプ、3はインラインミキサー、4は受タンク、5はポンプ、6はプレートヒーター、7は充てん機、8はライン状に整列された製品容器、9は打栓機を意味する。
インラインミキサー[商品名:ノリタケスタティックミキサー、(株)ノリタケカンパニーリミテド製、サニタリー配管内径3インチ、4ユニット]を用い、溶存酸素濃度を低減した清酒の製造を行った。また、目的とする清酒の溶存酸素濃度が2.0ppm以下の場合には、インラインミキサー処理後の清酒を充てんしたビン上部ヘッドスペースの空気を窒素で置換した。以下に工程を詳細に示す。あらかじめインラインミキサー以降のライン、受タンク、プレートヒーター、充てん機を窒素置換しておき、原液タンクより清酒を供給し、インラインミキサー中で窒素ガスと混合した。清酒流量は430リットル/分、窒素ガス流量は100リットル/分であった。なお、窒素ガスの体積は標準状態(0℃、1気圧)での値で示した。
【0014】
窒素を混合した清酒を受タンクに移し、受タンクで窒素ガスと酸素ガスを揮散させた後、プレートヒーターで約65℃に加温し火入れを行った。火入れ後の清酒は、充てん機によって1.8リットルの褐色ビンに充てんされた。各種条件下で充てんを行い、打栓して24時間経過後に測定した製品の溶存酸素濃度及びヘッドスペース酸素濃度を表1に示す。表1においてサンプル1は窒素ガスを通気せずにインラインミキサー処理を行い、ヘッドスペースガス置換なしに充てん、打栓したサンプル、サンプル2はインラインミキサー処理による脱酸素後サンプル1同様充てん、打栓したサンプルである。またサンプル3、4については充てん直後に窒素ガスをビン口から吹込み、ビン上部のヘッドスペースの空気を窒素と置換しすぐに打栓して製品とした。なお窒素ガス置換の効率を上げるため、窒素ガス吹込み部周辺をカバーで被い、充てんから打栓までの間を窒素ガス雰囲気下で行い、かつ、サンプル3と4とでガス吹込み部のカバーの形状が異なり、4では3よりも窒素ガス置換効率が良く、空気の混入の少ないカバーを用いた。サンプル5については、清酒を充てん機で充てんする直前にビン内を窒素ガス置換したビンに充てんし、更にサンプル4同様ヘッドスペースガス置換後直ちに打栓して製造した。
【0015】
【表1】
Figure 0004697820
【0016】
表1の結果により、同一の溶存酸素濃度の清酒を用いて充てん時のヘッドスペース又は容器の窒素ガス置換の条件を変えることにより、溶存酸素濃度の異なる清酒を製造することができた。
【0017】
実施例2
1.8リットルビンに充てんされた市販の清酒を用い、当該清酒のヘッドスペース中の空気を窒素ガスで置換する方法により、本発明品を製造した。
市販の1.8リットルビン入り清酒を購入し、溶存酸素濃度を測定したところA社製品は4.8ppm、B社製品は4.3ppmであった。これらの製品の王冠を開け、ヘッドスペースに窒素ガスを吹込んでヘッドスペースの空気を充分窒素ガスに置換し、直ちに打栓した。得られた1.8リットルビンを常温で24時間放置して、清酒中とヘッドスペース中の酸素濃度を平衡化させた後、再び栓を開け、溶存酸素濃度を測定したところA社製品は2.2ppm、B社製品は2.0ppmとなり、本発明品の濃度範囲に調整することができた。
なお、それぞれのヘッドスペース中の酸素含有率はA社製品5.5%、B社製品5.0%であった。
【0018】
実施例3
実施例1に記載の方法で製造した、異なる溶存酸素濃度の清酒を用いて保存試験を行った。本実施例では通常の製造方法により製造した対照品を対照品1、溶存酸素濃度1.1〜2.9ppmの範囲に含まれる清酒を本発明品、溶存酸素濃度1.1ppm未満の清酒を対照品2と称する。個々の溶存酸素濃度の清酒は1.8リットルの褐色ビンに充てんしたものを用いた。保存は40℃、30日間連続して蛍光灯の照明にさらされ、昼間は窓からの日光が当る光照射区と、窓をふさぎ蛍光灯を消して遮光した遮光区の2条件で行った。官能評価は34名のパネラーで行い、対照品1と比較して品質のよいものを1、対照品1と同等のものを2、対照品1よりも品質の悪いものを3として評価した。各パネラーによる官能評価の結果の平均値、及び各サンプルの判定結果を表2に示す。
【0019】
【表2】
Figure 0004697820
【0020】
表3に光照射区、表4に遮光区についての官能評価で得られた各サンプルについてのコメントを示す。
【0021】
【表3】
Figure 0004697820
【0022】
【表4】
Figure 0004697820
【0023】
表2〜表4に示すように、40℃、30日間の光照射の条件で、対照品1では着色の増加、雑味の発生、老香の発生がみられた。また、対照品2では、渋味が感じられた。本発明品では溶存酸素濃度が減少するに従い、着色、老香の発生が抑えられ、僅かに渋味が現れた。総合的にみて本発明品が対照品1、2と比較して官能的に良好な評価が得られた。
【0024】
実施例4
実施例1に準じてインラインミキサー処理により清酒の溶存酸素除去を行い、更にヘッドスペースの窒素ガス置換による酸素除去と組合せて異なる溶存酸素濃度の清酒を製造し、各濃度とも3種類の1.8リットル有色ビンに充てんして保存試験を行った。本実施例における各評価品の名称も実施例3に準ずる。ビンの色は褐色、黒色、緑色の3種類、保存試験は40℃、12日間連続して蛍光灯の照明にさらした上、昼間は窓から日光が当る光照射条件で実施した。官能評価は25名のパネラーで行い、対照品1と比較して品質のよいものを1、対照品1と同等のものを2、対照品1よりも品質の悪いものを3として評価した。各パネラーの官能評価結果の平均値を表5、各サンプルについてのコメントを表6〜表8に示す。表中の溶存酸素濃度は打栓後24時間を経過した時点で測定した平衡後の濃度を示す。
【0025】
【表5】
Figure 0004697820
【0026】
【表6】
Figure 0004697820
【0027】
【表7】
Figure 0004697820
【0028】
【表8】
Figure 0004697820
【0029】
対照品1ではどの有色ビンでも40℃、12日間、光照射の条件で、老香の発生、雑味の発生が感じられた。一方、対照品2の場合には、渋味やえぐ味が感じられ、緑色ビンにおいては日光臭の発生が認められた。本発明品では溶存酸素濃度が減少するに従い、老香及び雑味の発生が抑えられ、香り、味ともにバランスがよく官能的に良好な評価が得られた。
【0030】
実施例5
実施例4と同様にして、インラインミキサー処理により生酒の溶存酸素除去を行い、更にヘッドスペースの窒素ガス置換による酸素除去と組合せて異なる溶存酸素濃度の生酒を製造し、各サンプルとも300ミリリットルの褐色ビンに充てんして保存試験を行った。本実施例では、溶存酸素除去操作をしない通常製造方法により製造した対照品を対照品1、対照品1よりは溶存酸素濃度は低いが本発明品の濃度範囲に達しないものを対照品2、溶存酸素濃度が1.1〜4.0ppmの濃度範囲に含まれる生酒を本発明品、溶存酸素濃度1.1ppm未満のものを対照品3と称する。保存試験は遮光下で40℃、30日間の加速条件で行い、6日目と30日目に色度の分析並びに官能評価試験を実施した。官能評価は14名のパネラーで行い、実施例4と同様の数値評価で行った。各パネラーの官能評価結果の平均値を表9、各サンプルについての30日間保存後の色度並びにコメントを表10に示す。表中の溶存酸素濃度は打栓後24時間を経過した時点で測定した平衡後の濃度を示す。
【0031】
【表9】
Figure 0004697820
【0032】
【表10】
Figure 0004697820
【0033】
溶存酸素濃度の高い対照品1及び対照品2については、いずれも老香の発生が感じられ、溶存酸素濃度の低い対照品3については、渋味や荒さが感じられ、いずれも官能的に好ましくないと判定された。本発明品については、すっきり、きれい、まるいといった好ましい官能評価が得られ、特に溶存酸素濃度1.6〜3.1ppmの範囲において高い評価が得られた。
【0034】
実施例6
紙容器入り清酒を製造した。実施例1に準じて、インラインミキサー処理〔清酒流量は120リットル/分、窒素ガス流量は120リットル/分〕により清酒の溶存酸素除去を行った。また、窒素を混合した清酒を受タンクに移し、受タンクで窒素ガスと酸素ガスを揮散させた後、プレートヒーターで約65℃に加温し火入れを行った。火入れ後の清酒は、充てん機によって1.8リットルを市販の1.8リットル用の紙パック容器に充てんされた。各種条件下で充てんを行い、シールして24時間経過後に測定した紙容器製品の溶存酸素濃度及びヘッドスペース酸素濃度を表11に示す。表11において、サンプル1は紙容器内とヘッドスペースの窒素ガス置換なしに充てん、シールしたサンプルである。サンプル2、3、4、5は紙容器内の窒素ガス置換なしで、紙容器に清酒を充てんし、ヘッドスペースの窒素ガス置換〔窒素ガス流量は各々100、200、300、400リットル/分〕後、直ちにシールしたサンプルである。またサンプル6、7、8、9、10は、清酒を充てん機で充てんする直前に紙容器内を窒素ガス置換〔窒素ガス流量は100リットル/分〕した紙容器に清酒を充てんし、更にヘッドスペースの窒素ガス置換〔窒素ガス流量は各々100、200、300、400、500リットル/分〕後、直ちにシールしたサンプルである。
【0035】
【表11】
Figure 0004697820
【0036】
表11の結果より、紙容器内とヘッドスペースの窒素ガス置換を行っていないサンプル1の溶存酸素濃度は3.5ppmとなった。紙容器内の窒素ガス置換を行っていないが、ヘッドスペースの窒素ガス置換を行っているサンプル2、3、4、5の溶存酸素濃度は、各々1.8、1.8、1.7、1.7ppmであり、本発明の濃度範囲の清酒を製造することができた。また、紙容器内とヘッドスペースの窒素ガス置換を行ったサンプル6、7、8、9、10の溶存酸素濃度は、各々1.8、2.0、1.8、1.7、1.6ppmであり、本発明の濃度範囲の清酒を製造することができた。
【0037】
実施例7
実施例6に準じて紙パック容器入り清酒を製造した。インラインミキサー処理〔清酒流量は130リットル/分、窒素ガス流量は130リットル/分〕により清酒の溶存酸素除去、火入れ、充てんを行い、更にヘッドスペースの窒素ガス置換〔窒素ガス流量は140リットル/分〕、シールを行い、1.8リットルの紙容器入り清酒を製造した。該紙容器入り清酒の溶存酸素濃度は1.8ppm(シール後24時間を経過した時点で測定した平衡後の濃度)であり、本発明の濃度範囲の清酒を製造することができた。また、窒素ガスを通気せずにインラインミキサー処理を行い、火入れ、ヘッドスペースガス置換なしに充てん、シールを行い、1.8リットルの紙容器入り清酒を製造し、対照品とした。次に、保存試験を行った。保存試験は、40℃(14日間、28日間)の条件で実施した。官能評価は、20名のパネラーで対照品をオープンで、先にきき酒を行い、これを標準品質とした上で、対照品をサンプルA、本発明品をサンプルBとしブラインドで評価をした。標準品質より優れているものを1、標準品質と同等のものを2、標準品質より劣るものを3として評価した。各パネラーの官能評価の結果の平均値、及びコメントを表12に示す。
【0038】
【表12】
Figure 0004697820
【0039】
溶存酸素濃度の高い対照品については、老香の発生、雑味が感じられ、官能的に好ましくないと判定された。本発明品については、まるい、きれいといった好ましい官能評価が得られた。
【0040】
【発明の効果】
上述のごとく、本発明における醸造酒は、醸造酒に含まれる溶存酸素の濃度が最適化されていることにより、光照射下あるいは遮光下での保存における着色、老香及び/又は雑味の発生、並びに渋味、えぐ味及び/又は日光臭の発生をも抑制可能で、得られた醸造酒は長期間貯蔵後も充てん時の良好な品質が維持されており、フレッシュ感に満ちた味わいが保たれるなど、産業上利用効果が大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の醸造酒を製造するための溶存酸素除去方法の1例を説明する概略図である。
【符号の説明】
1:原液タンク、2:ポンプ、3:インラインミキサー、4:受タンク、5:ポンプ、6:プレートヒーター、7:充てん機、8:ライン状に整列された製品容器、9:打栓機、

Claims (1)

  1. 脱酸素工程を含む生酒を含む清酒の製造方法において、インラインミキサーを用いて連続的な流れの中で不活性ガスを混合して溶存酸素を低減させる脱酸素工程を経て容器に充てんして24時間後平衡状態になった醸造酒中の溶存酸素濃度が、火入れ清酒の場合には1.5〜2.7ppmの範囲であり、火入れしない生酒の場合には1.6〜3.1ppmの範囲であることを特徴とする日光臭、渋味、えぐ味の発生の抑制された生酒を含む清酒の製造方法。
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