JP4695998B2 - 画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
また、このような有機感光体に対して、表面を帯電させ(主帯電工程)、静電潜像を形成した後(露光工程)、この静電潜像を現像バイアス電圧が印加された状態でトナー現像し(現像工程)、さらに形成されたトナー像を、反転現像方式により転写紙に転写し(転写工程)、それを加熱定着して、所定の画像形成を行うという画像形成プロセスが実施されている。
そして、有機感光体上の残留トナーについては、クリーニングブレードを用いて除去され(クリーニング工程)、有機感光体上の残留電荷については、LED等により消去されるプロセス(除電工程)が実施されている。
しかしながら、このような有機感光体においては、当該有機感光体を回転させて使用するため、前周回において露光された部分の電位(明電位)が残留して、次の周における帯電工程を経ても、かかる部分においては所望する帯電電位(暗電位)を得ることができない現象(露光メモリ)が見られた。
このため、露光メモリのある部分と無い部分とでは画像濃度が変わってしまい、良好な画像が得られないという問題が見られた。
そこで、本発明の発明者らは鋭意検討した結果、接触帯電方式の画像形成装置に使用する正帯電単層型電子写真感光体において、正孔輸送剤のイオン化ポテンシャルと、電荷発生剤のイオン化ポテンシャルとの差を所定範囲内の値に制御するとともに、接触帯電の際の、直流電圧と交流電圧の重畳時における表面電位を所定値とすることにより、帯電ムラの発生を効率的に抑制できることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、正帯電単層型の電子写真感光体を用いた場合であっても、電荷発生剤と、正孔輸送剤との間のイオン化ポテンシャルの値の差を、所定範囲内の値とすることによって、露光メモリの発生が少なく、安定的に画像形成可能な画像形成装置を提供することができる。
なお、接触帯電方式の帯電手段を備えた画像形成装置であることから、非接触帯電方式に比べて全体構成が簡易であり、オゾン等の有害物質の発生もないことから、環境特性にも優れていると言える。
また、露光メモリの発生が少ないことから、光除電レスシステムを採用した場合であっても、安定的な画像形成が可能となる。
さらに、接触帯電方式の帯電手段を備えた画像形成装置に適用する正帯電単層型電子写真感光体であることから、非接触帯電方式に比べて全体構成が簡易であり、オゾン等の有害物質の発生もないことから、環境特性にも優れていると言える。
このように構成することにより、正孔輸送剤のイオン化ポテンシャルと、電荷発生剤のイオン化ポテンシャルとの差の調整が容易となる。また、無金属フタロシアニンであれば、感光層における分散性にも優れるため、露光メモリの発生を、より効果的に抑制できる。
このように構成することにより、正孔輸送剤のイオン化ポテンシャルと、電荷発生剤のイオン化ポテンシャルとの差の調整がより容易となるばかりか、優れた感度を得ることができる。
なお、一般式(1)〜一般式(3)における置換基としてのアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基などの炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。また、置換基としてのアルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシなどの炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられる。
このように実施することにより、感光層内において、光除電手段からの露光に起因した残留電荷の発生を防止することができる。したがって、より安定的な帯電が可能となる。
また、かかる光除電手段を省略することによって、画像形成装置の小型化や、製造コストの削減ができる。
このように実施することにより、安定的な帯電特性を保持しつつも、露光メモリの影響を効率的に排除することができる。
本発明の第1の参考実施形態は、接触帯電方式の帯電手段を備えた画像形成装置に適用する正帯電単層型電子写真感光体であって、基体上に、少なくとも電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、結着樹脂と、を含む最表面層としての感光層を有し、正孔輸送剤が、一般式(1)〜(3)で表わされる化合物の少なくとも一つであり、電子輸送剤が、式(10)〜(13)で表わされる化合物(ETM−A〜D)の少なくとも一つであり、電荷発生剤が無金属フタロシアニンであり、正孔輸送剤のイオン化ポテンシャルをIP1(eV)とし、電荷発生剤のイオン化ポテンシャルをIP2(eV)としたときに、IP1−IP2で表される数値を0.1〜0.4(eV)の範囲内の値とするとともに、正帯電単層型電子写真感光体における接触帯電の際の、直流電圧450Vと交流電圧(周波数700Hz)とを重畳印加し、ピーク間電圧を1800〜2000Vに変化させた場合における最小の表面電位を300V以上の値とすることを特徴とする正帯電単層型電子写真感光体である。
以下、第1の参考実施形態の正帯電単層型電子写真感光体について、各構成要件に分けて説明する。
図2(a)に示すように、単層型感光体11は、基体(導電性基体)11b上に、単一の感光体層11aを設けたものである。かかる感光層11aは、電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤、及び結着樹脂を同一の層に含有することを特徴とする。
この理由は、同一感光層に対して、正孔輸送剤と電子輸送剤の両方を含有させることによって、露光時において電荷発生剤から発生する電荷を、効率的に輸送することができるためである。
また、図2(b)に示すように、導電性基体11bと感光層11aとの間に、感光体の特性を阻害しない範囲でバリア層11cが形成されている感光体11´でもよい。
(1)種類
本発明としての電子写真感光体に用いられる電荷発生剤として、無金属フタロシアニンを用いることを特徴とする。
この理由は、無金属フタロシアニンであれば、そのイオン化ポテンシャルと、後述する正孔輸送剤のイオン化ポテンシャルとの差を、所定の範囲内に調整することが容易となるためである。
すなわち、かかるイオン化ポテンシャルの差を所定の範囲内とすることによって、感光層における露光メモリの抑制、感度の向上ばかりでなく、帯電特性についても向上させることができるためである。
なお、電荷発生剤のイオン化ポテンシャルと、正孔輸送剤のイオン化ポテンシャルとの差を、所定の範囲内とすることについてのより具体的な説明は、後述する正孔輸送剤の項において記載する。
また、無金属フタロシアニンであれば、感光層における分散性にも優れるため、露光メモリの発生を、より効果的に抑制することができるためである。
すなわち、感光層において、無金属フタロシアニンを均一に分散させることができるため、露光に対して効率的に電荷を発生することができるとともに、電荷輸送剤との間での電荷の移動も効率的に行うことができるためである。
また、かかる無金属フタロシアニンの具体例としては、下記式(4)で表される化合物が好適に用いられる。
また、電荷発生剤におけるイオン化ポテンシャルの値を5.0〜5.5eVの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるイオン化ポテンシャルの値が5.0eV未満の値となると、後述する正孔輸送剤におけるイオン化ポテンシャルの値との差が過度に大きくなるため、効率的な電荷輸送が困難となる場合があるためである。そして、その結果、感光体における感度の低下及び露光メモリの原因となるためである。一方、かかるイオン化ポテンシャルの値が5.5eVを超えた値となると、後述する正孔輸送剤におけるイオン化ポテンシャルの値との差が過度に小さくなるため、感光体における帯電特性が低下する場合があるためである。
したがって、かかる無金属フタロシアニンにおけるイオン化ポテンシャルの値を5.0〜5.4eVの範囲内の値とすることがより好ましく、5.0〜5.2eVの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、イオン化ポテンシャルの測定方法は、後の実施例において記載する。
また、電荷発生剤の添加量としては、全体量に対して、0.6〜3.0重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、電荷発生剤の添加量をかかる範囲内の値とすることによって、感光体への露光をした際に、当該無金属フタロシアニンが効率的に電荷を発生することができるとともに、電荷輸送剤との間における電荷輸送も効率的に行われるためである。
すなわち、かかる電荷発生剤の添加量が、0.6重量%未満の値となると、電荷発生量が不十分となり、感光体上に所定の静電潜像を形成することが困難となる場合があるためである。一方、かかる電荷発生剤の添加量が3重量%を超えた値となると、感光層用塗布液中に均一に分散することが困難になる場合があるためである。
よって、電荷発生剤の添加量を、全体量に対して、0.8〜2.8重量%の範囲内の値とすることがより好ましい。
(1)イオン化ポテンシャル
また、正孔輸送剤として、当該正孔輸送剤におけるイオン化ポテンシャル(eV)の値を5.1〜6.0eVの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる正孔輸送剤におけるイオン化ポテンシャル(eV)の値を5.1〜6.0eVの範囲内の値とすることによって、次項において詳述するように、正孔輸送剤におけるイオン化ポテンシャル(eV)の値から無金属フタロシアニンにおけるイオン化ポテンシャル(eV)の値を引いた値を所定の範囲内に調整することが容易となるためである。したがって、かかる正孔輸送剤におけるイオン化ポテンシャル(eV)の値を5.2〜5.8eVの範囲内の値とすることがより好ましく、5.3〜5.7の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、正孔輸送剤におけるイオン化ポテンシャル(eV)の値が電荷発生剤としての無金属フタロシアニンにおけるイオン化ポテンシャル(eV)の値よりも0.1〜0.4eV大きい正孔輸送剤を使用することによって、感光層における露光メモリの抑制、感度の向上ばかりでなく、帯電特性についても向上させることができるためである。
すなわち、かかる正孔輸送剤のイオン化ポテンシャル(eV)と、無金属フタロシアニンにおけるイオン化ポテンシャル(eV)との差が0.1eV未満の値となると、正孔輸送剤におけるイオン化ポテンシャルと無金属フタロシアニンにおけるイオン化ポテンシャルとの差が過度に小さくなるため、感光体における帯電特性が低下する場合があるためである。
したがって、かかる正孔輸送剤のイオン化ポテンシャル(eV)と、無金属フタロシアニンにおけるイオン化ポテンシャル(eV)との差を0.12〜0.35eVの範囲内の値とすることがより好ましく、0.15〜0.3eVの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、正孔輸送剤におけるイオン化ポテンシャルの測定方法は、後の実施例において記載する。
また、本発明において使用する正孔輸送剤としては、上述した一般式(1)〜(3)で表される化合物の少なくとも一つであることを特徴とする。
この理由は、かかる特定の構造を有する化合物であれば、正孔輸送剤のイオン化ポテンシャルと、電荷発生剤のイオン化ポテンシャルとの差の調整が容易となるばかりか、優れた感度を得ることができるためである。
すなわち、一般式(1)〜(3)で表される構造を有する化合物であれば、そのイオン化ポテンシャルと、電荷発生剤としての無金属フタロシアニンのイオン化ポテンシャルとの差が、所定の範囲内となり易いためである。したがって、感光層における露光メモリの抑制及び帯電特性を向上させることができるためである。
また、一般式(1)〜(3)で表される構造を有する化合物であれば、正孔輸送能に優れるため、電荷の移動が効率的となり、感光体の感度をさらに向上させることができるためである。
また、正孔輸送剤の添加量としては、結着樹脂100重量部に対して、20〜500重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる正孔輸送剤の添加量が20重量部未満の値となると、感光層における正孔輸送機能が低下し、画像特性に悪影響を与える場合があるためである。一方、かかる正孔輸送剤の添加量が500重量部を超えた値となると、分散性が低下し、結晶化し易くなる場合があるためである。
したがって、正孔輸送剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して30〜200重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、40〜100重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(1)種類
電子輸送剤としては、下記式(10)〜(13)で表わされる電子輸送剤(ETM−A〜D)を用いることを特徴とする。
また、電子輸送剤の添加量としては、結着樹脂100重量部に対して20〜500重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる電子輸送剤の添加量が20重量部未満の値となると、感度が低下して、実用上の弊害が生じる場合があるためである。一方、かかる電子輸送剤の添加量が500重量部を超えた値となると、電子輸送剤が結晶化しやすくなり、感光層としての適正な膜形成が困難となる場合があるためである。したがって、かかる電子輸送剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して30〜200重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、40〜100重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
結着樹脂としては、例えばスチレン系重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル系重合体、スチレン−アクリル系共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、アルキッド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、及びポリエーテル樹脂などの熱可塑性樹脂や、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、及びその他架橋性の熱硬化性樹脂、さらにエポキシ−アクリレート、及びウレタン−アクリレートなどの光硬化性樹脂などがあげられる。これら結着樹脂は単独で使用できるほか、2種以上を併用することもできる。
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、好ましい結着樹脂の一つとして、下記式(14)で示すZ型ポリカーボネート樹脂を挙げることができる。
また、感光層には、上述の各成分の他に、例えば増感剤、フルオレン系化合物、紫外線吸収剤、可塑剤、界面活性剤、レベリング剤などの種々の添加剤を添加することもできる。また感光体の感度を向上させるために、例えばターフェニル、ハロナフトキノン類、及びアセナフチレンなどの増感剤を、電荷発生剤と併用してもよい。
上述した感光層が形成される基体としては、導電性を有する種々の材料を使用することができる。例えば、鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、及び真鍮などの金属にて形成された導電性基体や、上述の金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料からなる基体、あるいはヨウ化アルミニウム、酸化スズ、及び酸化インジウムなどで被覆されたガラス製の基体などが例示される。
すなわち、基体自体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を有していればよい。また、基体は、使用に際して、充分な機械的強度を有するものが好ましい。
また、基体の形状は使用する画像形成装置の構造に合わせて、シート状、及びドラム状などのいずれであってもよい。
(1)感光層の膜厚
感光層の膜厚を5.0×10-6〜1.0×10-4mの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる感光層における膜厚を5.0×10-6〜1.0×10-4mの範囲内の値とすることによって、実用性に優れた感光体を得ることができるためである。
すなわち、かかる感光層における膜厚が5.0×10-6m未満の値となると、感光体としての機械的強度が不十分となる場合があるためである。一方、かかる感光層における膜厚が1.0×10-4mを超えた値となると、基体から剥離し易くなる場合があるためである。
したがって、かかる感光層における膜厚を1.0×10-5〜8.0×10-5mの範囲内の値とすることがより好ましく、2.0×10-5〜4.0×10-5mの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
正帯電単層型電子写真感光体における感光層を接触帯電させる際の、直流電圧と交流電圧の重畳時における表面電位を300V以上の値とすることを特徴とする。
より具体的には、直流電圧450Vと交流電圧(周波数700Hz)とを重畳印加し、ピーク間電圧を1800〜2000Vに変化させた場合における最小の表面電位を300V以上の値とすることを特徴とする。
すなわち、図1に示すように、交流電圧を徐々に重畳していくと、本発明(実施例1)に対応したラインAでも、本発明の比較例1に対応したラインBであっても、1.5kV程度までは、感光体の表面電位が直線的に上昇していく傾向がある。そして、ラインAの場合には、交流電圧が1.5kVを越えて2.5kV程度までは、感光体の表面電位の値は、少なくとも350V前後で飽和して、一定値を示している。
ところが、ラインBの場合には、交流電圧が1.5kVを越えると、感光体の表面電位の値は急激に低下し、1.7kVを超えると、100V程度まで降下している。この場合、感光体の表面電位が100Vになると、安定的に画像形成できないことは言うまでもない。
したがって、本発明において、感光層を接触帯電させる際の、直流電圧と交流電圧の重畳時における表面電位を300V以上の値とすべく、重畳する交流電圧を1.5〜2.5kVの範囲内の値とすることが好ましく、1.7〜2.3kVの範囲内の値とすることがより好ましく、1.8〜2.2kVの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、単層型感光体を製造するにあたり、結着樹脂と、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、を溶媒に添加して、分散混合し、感光層用塗布液とする。すなわち、単層型感光体を塗布方法により形成する場合には、電荷発生剤としてのフタロシアニン、正孔輸送剤、電子輸送剤、及び結着樹脂等を適当な溶剤とともに、公知の方法、例えばロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、及び超音波分散機等を用いて分散混合して分散液を調整し、これを公知の手段により塗布して乾燥させればよい。
また、感光層用塗布液を作るための溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、トルエン、1、4−ジオキサン、及び1−メトキシ−2−プロパノール等の1種または2種以上が挙げられる。
さらに、感光層用塗布液中に、電荷輸送剤や電荷発生剤の分散性や感光体層表面の平滑性を良好なものとするために、界面活性剤やレベリング剤等を添加してもよい。
本発明の第2の実施形態は、正帯電単層型電子写真感光体の周囲に、接触帯電方式の帯電手段と、現像手段と、転写手段と、が順次配置された画像形成装置において、正帯電単層型電子写真感光体が、基体上に、少なくとも電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、結着樹脂と、を含む最表面層としての感光層を有し、正孔輸送剤が、上記一般式(1)〜(3)で表わされる化合物の少なくとも一つであり、電子輸送剤が、上記式(10)〜(13)で表わされる化合物(ETM−A〜D)の少なくとも一つであり、電荷発生剤が無金属フタロシアニンであり、正孔輸送剤のイオン化ポテンシャルをIP1(eV)とし、電荷発生剤のイオン化ポテンシャルをIP2(eV)としたときに、IP1−IP2で表される数値を0.1〜0.4(eV)の範囲内の値とするとともに、正帯電単層型電子写真感光体における接触帯電の際の、直流電圧450Vと交流電圧(周波数700Hz)とを重畳印加し、ピーク間電圧を1800〜2000Vに変化させた場合における最小の表面電位を300V以上の値とすることを特徴とする画像形成装置である。
以下、第1の参考実施形態において既に説明した内容は省略し、第2の実施形態として、第1の参考実施形態と異なる点を中心に説明する。
まず、画像形成装置100の感光体111を、矢印Aで示す方向に所定のプロセススピード(周速度)で回転させた後、その表面を接触帯電方式の帯電手段112によって所定電位に帯電させる。この接触帯電方式の帯電手段112としては、帯電ロールを用いている。
次いで、露光手段113により、画像情報に応じて光変調されながら反射ミラー等を介して、感光体111の表面を露光する。この露光により、感光体111の表面に静電潜像が形成される。
次いで、この静電潜像に基づいて、現像手段114により潜像現像が行われる。この現像手段114の内部にはトナーが収納されており、このトナーが感光体111表面の静電潜像に対応して付着することで、トナー像が形成される。
また、記録紙120は、所定の転写搬送経路に沿って、感光体下部まで搬送される。このとき、感光体111と転写手段115との間に、所定の転写バイアスを印加することにより、記録材120上にトナー像を転写することができる。
一方、トナー像転写後の感光体111はそのまま回転を続け、転写時に記録紙120に転写されなかった残留トナー(付着物)が感光体111の表面から、クリーニング装置117によって除去される。また、感光体111の表面に残留した電荷は、除電手段102により消去され、次の画像形成に供されることになる。
したがって、露光メモリの発生が少なく、安定的に画像形成可能な画像形成装置を得ることができる。また、接触帯電方式の帯電手段を備えた画像形成装置であることから、非接触帯電方式に比べて全体構成が簡易であり、オゾン等の有害物質の発生もないことから、環境特性にも優れていると言える。
この理由は、除電手段102として光除電手段を用いないことによって、感光層において、光除電手段からの露光に起因した残留電荷の発生を防止することができ、その結果、より安定的な帯電が可能となるためである。
この理由は、感光体における安定的な帯電特性を保持しつつも、露光メモリの影響を効率的に排除することができるためである。
すなわち、光除電手段のように、感光層において電荷を発生させる方式ではないため、残留電荷の発生を防止して、安定的な帯電特性を保持することができるためである。一方、除電ブラシによって電圧を印加するだけであっても、本発明に用いられる特定の感光体であれば、十分に露光メモリの発生を抑制することができるためである。
1.電子写真感光体の作成
イオン化ポテンシャルが5.15eVである式(4)で表される無金属フタロシアニン3重量部と、式(5)で表される正孔輸送剤(HTM−A)45重量部と、式(12)で表される電子輸送剤(ETM−C)30重量部と、結着樹脂としての粘度平均分子量20,000である式(14)で表されるZ型ポリカーボネート(Resin−A)(帝人化成(株)製、TS2020)100重量部とを、800重量部のテトラヒドロフランとともにボールミルを用いて50時間、混合分散させて感光層用塗布液を作成した。
次いで、この感光層用塗布液を、導電性基体としての直径30mm、全長254mmのアルミニウム製のドラム状支持体に対し、ディップコート法にて塗布した。その後、100℃、40分間の条件で、熱風乾燥して、膜厚2.5×10-5mの単層型感光層を有する電子写真感光体を作成した。
また、使用した無金属フタロシアニン及び正孔輸送剤におけるそれぞれのイオン化ポテンシャルは、大気雰囲気型紫外線光電子分析装置(理研計器(株)製、AC−1)を用いて測定した。得られた結果は表1に示す。
(1)画像評価
また、得られた電子写真感光体を用いて画像形成を行った際の露光メモリ画像の評価を、以下の条件で実施した。
すなわち、得られた電子写真感光体を、除電ランプを省略した、プリンタ(京セラミタ(株)製 レーザビームプリンタFS1050の改造機)に搭載し、印写試験を実施した。かかる印写試験においては、5%濃度の文字原稿を1000枚印字後、目視により露光メモリ画像が発生しているか否かを判断した。より具体的には、印写試験において、図4に示すような原稿を使用し、黒ベタ部分のゴースト画像がグレー部に発生しているかどうかを判断した。また、かかる判断結果を下記基準に準じて評価した。得られた結果を表1に示す。
◎:メモリ画像が観察されない。
○:メモリ画像がわずかに観察される。
△:メモリ画像が観察される。
×:メモリ画像が顕著に観察される。
また、得られた電子写真感光体の表面電位を以下の条件で測定した。
すなわち、得られた電子写真感光体を、帯電ローラが装着された画像形成装置(京セラミタ(株)製 レーザビームプリンタFS1050の改造機)に電子写真感光体を搭載し、現像位置に電子写真感光体の表面に表面電位測定器を設置した。次いで、電子写真感光体を、外周速度80mm/秒の周速で回転させて、感光体表面と帯電ローラとの間に直流電圧450Vと交流電圧(周波数700Hz)を重畳印加し、ピーク間電圧を1800〜2000Vに変化させた。そして、かかる帯電環境下における最小の表面電位(V)を感光体の表面電位(V)として測定した。得られた結果を表1に示す。
また、得られた電子写真感光体の露光メモリ電位を以下の条件で測定した。
すなわち、得られた電子写真感光体を、帯電ローラが装着され、かつ、除電ランプを省略した画像形成装置(京セラミタ(株)製レーザビームプリンタFS1050の改造機)に搭載した。次いで、5%濃度の文字原稿を1000枚印字後に、未露光部分(形成画像における白紙部分に対応)の表面電位、及び露光部分(形成画像における黒ベタ部分に対応)の帯電工程実施後の表面電位を測定し、その差を露光メモリ電位として、下記基準に準じて評価した。得られた結果を表1に示す。
◎:メモリ電位が30(V)未満の値である。
○:メモリ電位が30〜50(V)未満の値である。
×:メモリ電位が50(V)以上の値である。
実施例2〜3および参考例4〜5においては、感光体を作成する際に、式(6)〜(9)で表される正孔輸送剤(HTM−B〜E)を使用したほかは、それぞれ実施例1と同様に感光体の作成を行い、評価した。得られた結果を表1に示す。
比較例1〜3においては、実施例1で使用した正孔輸送剤(HTM−A)のかわりに、それぞれ下記式(15)〜(17)で表される正孔輸送剤(HTM−F〜H)をそれぞれ使用したほかは、それぞれ実施例1と同様に感光体の作成を行い、評価した。得られた結果を表1に示す。
したがって、本発明の画像形成装置および画像形成方法は、さらなる小型化、高画質化、高スピード化等に寄与することが期待される。
11´:単層型感光体
11´´:単層型感光体
11b:基体
11a:感光層
11c:バリア層
100:画像形成装置
102:除電手段
104:除電ブラシ
111:電子写真感光体
112:帯電手段
113:露光手段
114:現像手段
115:転写手段
117:クリーニング装置
120:記録紙
Claims (4)
- 正帯電単層型電子写真感光体の周囲に、接触帯電方式の帯電手段と、現像手段と、転写手段と、が順次配置された画像形成装置において、
前記正帯電単層型電子写真感光体が、基体上に、少なくとも電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、結着樹脂と、を含む最表面層としての感光層を有し、
前記正孔輸送剤が、下記一般式(1)〜(3)で表わされる化合物の少なくとも一つであり、
前記電子輸送剤が、下記式(10)〜(13)で表わされる化合物(ETM−A〜D)の少なくとも一つであり、
前記電荷発生剤が無金属フタロシアニンであり、
前記正孔輸送剤のイオン化ポテンシャルをIP1(eV)とし、前記電荷発生剤のイオン化ポテンシャルをIP2(eV)としたときに、IP1−IP2で表される数値を0.1〜0.4(eV)の範囲内の値とするとともに、
前記正帯電単層型電子写真感光体における接触帯電の際の、直流電圧450Vと交流電圧(周波数700Hz)とを重畳印加し、ピーク間電圧を1800〜2000Vに変化させた場合における最小の表面電位を300V以上の値とすることを特徴とする画像形成装置。
(一般式(1)中、R a1 〜R a4 は、アルキル基、置換基を有しても良いアルコキシ基、ハロゲン原子、または水素原子であり、R a1 〜R a4 の少なくとも一つが炭素数3以上のアルキル基または炭素数3以上のアルコキシである。)
(一般式(2)中、R b1 〜R b5 は、アルキル基、置換基を有しても良いアルコキシ基、ハロゲン原子、または水素原子であり、R b1 〜R b5 の少なくとも一つが炭素数3以上のアルキル基または炭素数3以上のアルコキシである。)
(一般式(3)中、R c1 〜R c6 は、アルキル基、置換基を有しても良いアルコキシ基、ハロゲン原子、または水素原子であり、R c1 〜R c6 の少なくとも一つが炭素数3以上のアルキル基または炭素数3以上のアルコキシである。)
- 前記画像形成装置における除電手段として、光除電手段を用いないことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記除電手段として、除電ブラシを備えることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
- 正帯電単層型電子写真感光体の周囲に、接触帯電方式の帯電手段と、現像手段と、転写手段と、が順次配置された画像形成装置を用いた画像形成方法において、
前記正帯電単層型電子写真感光体が、基体上に、少なくとも電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、結着樹脂と、を含む最表面層としての感光層を有し、
前記正孔輸送剤が、下記一般式(1)〜(3)で表わされる化合物の少なくとも一つであり、
前記電子輸送剤が、下記式(10)〜(13)で表わされる化合物(ETM−A〜D)の少なくとも一つであり、
前記電荷発生剤が無金属フタロシアニンであり、
前記正孔輸送剤のイオン化ポテンシャルをIP1(eV)とし、前記電荷発生剤のイオン化ポテンシャルをIP2(eV)としたときに、IP1−IP2で表される数値を0.1〜0.4(eV)の範囲内の値とするとともに、
前記正帯電単層型電子写真感光体における接触帯電の際の、直流電圧450Vと交流電圧(周波数700Hz)とを重畳印加し、ピーク間電圧を1800〜2000Vに変化させた場合における最小の表面電位を300V以上の値とすることを特徴とする画像形成方法。
(一般式(1)中、R a1 〜R a4 は、アルキル基、置換基を有しても良いアルコキシ基、ハロゲン原子、または水素原子であり、R a1 〜R a4 の少なくとも一つが炭素数3以上のアルキル基または炭素数3以上のアルコキシである。)
(一般式(2)中、R b1 〜R b5 は、アルキル基、置換基を有しても良いアルコキシ基、ハロゲン原子、または水素原子であり、R b1 〜R b5 の少なくとも一つが炭素数3以上のアルキル基または炭素数3以上のアルコキシである。)
(一般式(3)中、R c1 〜R c6 は、アルキル基、置換基を有しても良いアルコキシ基、ハロゲン原子、または水素原子であり、R c1 〜R c6 の少なくとも一つが炭素数3以上のアルキル基または炭素数3以上のアルコキシである。)
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