JP4695521B2 - 作業車の走行変速構造 - Google Patents
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これにより、副変速装置が高速位置に操作されている状態において、走行用の変速装置の変速操作に伴って伝動クラッチを伝動状態から半伝動状態に操作し再び伝動状態に操作する場合、伝動クラッチを伝動状態に比較的近い半伝動状態(比較的高トルクの動力が伝達される状態)に操作する必要がある(伝動クラッチの動力が高速位置の副変速装置により高回転低トルクの動力に変速されることによる)。
このように、走行用の変速装置の変速操作に伴って伝動クラッチを伝動状態から半伝動状態に操作し再び伝動状態に操作する場合、副変速装置の変速位置に応じて伝動クラッチの半伝動状態を比較的広い範囲で制御することにより、適切な動力(適切なトルク)が前輪及び後輪に伝達されるようにする。
(構成)
本発明の第1特徴は作業車の走行変速構造において次のように構成することにある。
エンジンの動力が伝達される走行用の変速装置を備え、油圧多板式の前進クラッチ及び後進クラッチを備えて構成された前後進切換装置を、走行用の変速装置の伝動下手側に備える。走行用の変速装置を変速操作する時に、クラッチ作動圧の変更により前進クラッチ又は後進クラッチを伝動状態から半伝動状態に操作し再び伝動状態に操作する制御手段を備える。前後進切換装置から走行装置までの伝動系を、一定の減速比で動力を伝達する定減速伝動系に構成する。
本発明の第1特徴によると、前後進切換装置(前進及び後進クラッチ)から走行装置までの伝動系に特許文献1のような副変速装置は備えられておらず、前後進切換装置(前進及び後進クラッチ)から走行装置までの伝動系が一定の減速比で動力を伝達する定減速伝動系に構成されているので、前後進切換装置(前進及び後進クラッチ)の動力が高速位置の副変速装置により高回転低トルクの動力に変速されたり、低速位置の副変速装置により低回転高トルクの動力に変速されたりすることがない。
本発明の第1特徴によると、前進クラッチ(後進クラッチ)の半伝動状態の制御が容易に行えるようになることにより、適切な動力(適切なトルク)が走行装置に伝達されるようにすることが容易に行えるようになる。
本発明の第1特徴によると、エンジンの動力が走行用の変速装置から、前後進切換装置(前進又は後進クラッチ)を介して、走行装置に伝達される。これにより、前進状態(前進クラッチが伝動状態で後進クラッチが遮断状態)において、走行用の変速装置を変速操作する時に前進クラッチを伝動状態から半伝動状態に操作し再び伝動状態に操作するのであり、後進状態(前進クラッチが遮断状態で後進クラッチが伝動状態)において、走行用の変速装置を変速操作する時に後進クラッチを伝動状態から半伝動状態に操作し再び伝動状態に操作する。従って、前後進切換装置(前進及び後進クラッチ)を伝動クラッチに兼用することができる。
本発明の第1特徴によると、前後進切換装置(前進及び後進クラッチ)と走行装置(前輪及び後輪やクローラ走行装置等)との間に、特許文献1のような副変速装置は備えられておらず、前後進切換装置(前進及び後進クラッチ)と走行装置(前輪及び後輪やクローラ走行装置等)との間の伝動系の慣性重量が小さなものとなっている。
これにより、前後進切換装置を前進状態から後進状態(後進状態から前進状態)に切換操作した場合、前述の伝動系の慣性重量が小さいことにより、前述の伝動系の回転方向の切り換わり(前進状態から後進状態、後進状態から前進状態)によるショックが小さなものとなる。
本発明の第1特徴によると、走行用の変速装置を備え、走行用の変速装置の伝動下手側に油圧多板式の伝動クラッチを備えて、走行用の変速装置の変速操作に伴って伝動クラッチを伝動状態から半伝動状態に操作し再び伝動状態に操作する場合、伝動クラッチ(前進及び後進クラッチ)の半伝動状態の制御が容易に行える点、及び適切な動力(適切なトルク)が走行装置に伝達されるようにすることが容易に行える点により、作業車の走行変速性能を向上させることができた。
本発明の第1特徴によると、前後進切換装置(前進及び後進クラッチ)を伝動クラッチに兼用することができ、専用の伝動クラッチを備える必要がなくなって、構造の簡素化の面で有利なものとなった。
本発明の第1特徴によると、前後進切換装置を前進状態から後進状態(後進状態から前進状態)に切換操作した際のショックを小さなものにすることができて、作業車の走行変速性能を向上させることができた。
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴の作業車の走行変速構造において次のように構成することにある。
走行用の変速装置を支持する変速装置用伝動軸と平行に、副変速装置を支持する副変速装置用伝動軸を並設して、走行用の変速装置の動力が副変速装置に伝達されるように構成する。副変速装置用伝動軸の伝動下手側の端部に前後進切換装置を備えて、副変速装置の動力が前後進切換装置に伝達されるように構成する。
図1は作業車の一例である四輪駆動型の農用トラクタの走行伝動系を示しており、先ず第1主変速装置13(走行用の変速装置に相当)、第2主変速装置15(走行用の変速装置に相当)、第1副変速装置14(走行用の変速装置に相当)、第2副変速装置16(走行用の変速装置に相当)について説明する。
次に、第3副変速装置44について説明する。
図1に示すように、伝動軸2,4と平行に伝動軸5が配置され、伝動軸5に円筒状の伝動軸6が相対回転自在に外嵌されており、伝動軸5に固定された伝動ギヤ43が高速ギヤ28に咬合している。伝動軸5,6の間に、シンクロメッシュ型式の第3副変速装置44が備えられている。
シフト部材47を伝動ギヤ46に咬合させ、シフトギヤ56を伝動ギヤ55から離間させて伝動ギヤ51に咬合させると、伝動軸4の動力が高速ギヤ28及び伝動ギヤ43,45,50、伝動軸48、伝動ギヤ52,46を介して伝動軸5に伝達される(副変速装置44の低速位置)。
シフト部材47を伝動ギヤ46に咬合させ、シフトギヤ56を伝動ギヤ51から離間させて伝動ギヤ55に咬合させると、伝動軸4の動力が高速ギヤ28及び伝動ギヤ43,45,50,51、伝動ギヤ54,55及び伝動軸49、シフトギヤ56、伝動軸48、伝動ギヤ52,46を介して伝動軸5に伝達される(副変速装置44の超低速位置)。
次に、前後進切換装置67、前後進切換装置67(前進及び後進クラッチ75,76(伝動クラッチに相当))から前輪77(走行装置に相当)及び後輪78(走行装置に相当)までの伝動系について説明する。
図1に示すように、伝動軸5と同芯状に伝動軸66が配置されており、伝動軸5,66の間に油圧クラッチ型式の前後進切換装置67が備えられている。
次に、PTO軸3への伝動系について説明する。
図1に示すように、伝動軸2に伝動ギヤ88が固定されて、伝動軸2の動力が伝動ギヤ88及び中間ギヤ89を介して油圧ポンプ90に伝達されており、エンジン1が作動している状態では、油圧ポンプ90に常に動力が伝達されて、油圧ポンプ90が駆動されている。
次に、第1主変速装置13及び第1副変速装置14、第2主変速装置15及び第2副変速装置16の操作構造について説明する。
図1及び図2に示すように、第1主変速装置13において、シフト部材23をスライド操作する複動型で油圧シリンダ型式のアクチュエータ35、アクチュエータ35に作動油を給排操作する制御弁39が備えられ、第1副変速装置14において、シフト部材31をスライド操作する複動型で油圧シリンダ型式のアクチュエータ36、アクチュエータ36に作動油を給排操作する制御弁40が備えられている。アクチュエータ35はシフト部材23が低速ギヤ21に咬合する低速位置L、シフト部材23が高速ギヤ22に咬合する高速位置H及び中立位置Nに作動自在に構成されており、アクチュエータ36はシフト部材31が低速ギヤ29に咬合する低速位置L、及びシフト部材31が高速ギヤ30に咬合する高速位置Hに作動自在に構成されている。
次に、第1変速モードについて説明する。
この農用トラクタでは第1変速モード、第2変速モード、第3変速モード及び第4変速モードの4つを備えており、運転者が設定スイッチ65(図2参照)を操作することによって、第1変速モード、第2変速モード、第3変速モード及び第4変速モードのうちの一つを選択する。第1変速モードにおいては、変速レバー63をある操作位置(変速位置)から別の操作位置(変速位置)に操作した場合に、変速レバー63が操作される前の操作位置(変速位置)から、変速レバー63が操作された操作位置(変速位置)に一気に変速操作が行われる。
次に、第2変速モードの前半について、図4,5,7に基づいて説明する。
第2変速モードにおいては、変速レバー63をある操作位置(変速位置)から別の操作位置(変速位置)に操作した場合、変速レバー63が操作される前の操作位置(変速位置)から、1回ずつ変速操作が行われて、最後に変速レバー63が操作された操作位置(変速位置)に達するように変速操作が行われる。
例えば変速レバー63を1速位置から5速位置に操作すると、1速位置から2速位置への変速操作が行われ、2速位置から3速位置への変速操作が行われ、3速位置から4速位置への変速操作が行われ、4速位置から5速位置への変速操作が行われる。例えば変速レバー63を6速位置から3速位置に操作すると、6速位置から5速位置への変速操作が行われ、5速位置から4速位置への変速操作が行われ、4速位置から3速位置への変速操作が行われる。
次に、第2変速モードの後半について、図4,5,7に基づいて説明する。
前項[7]に記載のような1速位置から2速位置への変速操作が終了すると、ステップS16,S2からステップS10に移行し、シフト部材26,34が2速位置の状態で、シフト部材23,31が3速位置の状態に操作される(ステップS10)。この場合、シフト部材31は高速位置Hに操作されずに低速位置Lに残される(ステップS11を通過)(図7参照)。前進クラッチ75(後進クラッチ76)が作動圧P2(作動圧P0,P1の間の中間)に速やかに減圧されて、半伝動状態に操作され(ステップS12)、これと略同時に第1油圧クラッチ9が作動圧P0から比較的速やかに昇圧されて伝動状態に操作されながら、第2油圧クラッチ12が作動圧P1から比較的速やかに減圧されて遮断状態に操作される(ステップS13)。
以上のようにして変速操作が繰り返されて、変速レバー63の操作位置(変速位置)に達すると(ステップS16)、変速操作が終了する。
次に、第3変速モードの前半について、図6及び図7に基づいて説明する。
第3変速モードにおいては、変速レバー63をある操作位置(変速位置)から別の操作位置(変速位置)に操作した場合、変速レバー63が操作される前の操作位置(変速位置)と、変速レバー63が操作された操作位置(変速位置)との間において、略中間の伝動比の第1中間変速位置(第1及び第2中間変速位置)が設定され、変速レバー63が操作される前の操作位置(変速位置)から第1中間変速位置への変速操作が行われ、第1中間変速位置から変速レバー63が操作された操作位置(変速位置)への変速操作が行われる(変速レバー63が操作される前の操作位置(変速位置)から第1中間変速位置への変速操作が行われて、第1中間変速位置から第2中間変速位置への変速操作が行われ、第2中間変速位置から変速レバー63が操作された操作位置(変速位置)への変速操作が行われる。
次に、第3変速モードの後半について、図6及び図7に基づいて説明する。
前項[9]に記載のように、第1中間変速位置が設定された状態において(ステップS24)、変速レバー63が操作される前の操作位置(変速位置)から第1中間変速位置への変速操作が行われる(ステップS25)。この場合、変速レバー63が操作される前の操作位置(変速位置)が1,3,5,7速位置であると、前項[7]及び図5のステップS3〜S9に基づく変速操作が行われ、変速レバー63が操作される前の操作位置(変速位置)が2,4,6,8速位置であると、前項[8]及び図5のステップS10〜S15,S9に基づく変速操作が行われる。
次に、第4変速モードについて説明する。
第4変速モードにおいては、前項[9][10]に記載の第3変速モードと同様に第1中間変速位置(第1及び第2中間変速位置)が設定されるが、第1中間変速位置(第1及び第2中間変速位置)が以下のように第3変速モードとは異なっている。
前述の[発明を実施するための最良の形態]において、図1に示す第1主変速装置13を第1副伝動軸8と伝動軸4との間に構成し、第1副変速装置14を第1主伝動軸7と伝動軸2との間に構成してもよい。図1に示す第2主変速装置15を第2副伝動軸11と伝動軸4との間に構成し、第2副変速装置16を第2主伝動軸10と伝動軸2との間に構成してもよい。
本発明は、特許文献1のように油圧クラッチ型式の走行用の変速装置を備えた作業車に適用することもでき、前輪77及び後輪78に代えて右及び左のクローラ走行装置(図示せず)を備えた作業車にも適用できる。
2,7,8,10,11 変速装置用伝動軸
5 副変速装置用伝動軸
13,14,15,16 走行用の変速装置
44 副変速装置
67 前後進切換装置
75 前進クラッチ
76 後進クラッチ
77,78 走行装置
Claims (2)
- エンジンの動力が伝達される走行用の変速装置を備え、
油圧多板式の前進クラッチ及び後進クラッチを備えて構成された前後進切換装置を、前記走行用の変速装置の伝動下手側に備えて、
前記走行用の変速装置を変速操作する時に、クラッチ作動圧の変更により前記前進クラッチ又は後進クラッチを伝動状態から半伝動状態に操作し再び伝動状態に操作する制御手段を備えると共に、
前記前後進切換装置から走行装置までの伝動系を、一定の減速比で動力を伝達する定減速伝動系に構成してある作業車の走行変速構造。 - 前記走行用の変速装置を支持する変速装置用伝動軸と平行に、副変速装置を支持する副変速装置用伝動軸を並設して、前記走行用の変速装置の動力が前記副変速装置に伝達されるように構成し、
前記副変速装置用伝動軸の伝動下手側の端部に前記前後進切換装置を備えて、前記副変速装置の動力が前記前後進切換装置に伝達されるように構成してある請求項1に記載の作業車の走行変速構造。
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