JP4695497B2 - 交換可能なベゼルを有する時計 - Google Patents

Description

本発明は、時計に関し、特に、交換可能なベゼルを有する腕時計に関する。本発明の対象とするベゼルは、組み立て手段を傷付けることなく正確な位置に容易に再配置可能である。

審美的理由あるいは機能的理由から、交換可能なベゼルを有する数多くの装置特に腕時計は、公知である。審美的理由から、このような構成により時計の常時見える部分の色を最小のコストで着ている服に合わせることができる。機能的目的から、ベゼルを交換することにより、例えばベゼルにより示される表示を変える、あるいはムーブメントを多機能の時計用に活性化できる。特許文献１は、ベゼルを交換することにより「サッカー」モードまたは「テニス」モードに現在の時間表示を合わせるような時計を開示している。選択されたベゼルはこのようなスポーツに関連する指示を含み、且つ前記スポーツのルールに従って時計のメカニズムを制御している。

従来例によれば、好感可能なベゼルを取り付け保持し、あるいは取り替えるが、これは２種類に分類できる装置を用いて行われ、不便な装置の場合には、例えばねじ込むことが必要である。

交換可能なベゼルは、柔軟性手段により固定されるが、これは特許文献２に開示されている。これらの柔軟性手段は、特許文献３に開示されている適宜の形状のエラストマー製リングにより形成される。それはまた特許文献４に開示されているスナップ・フィット（snap fit）装置でもよい。これら全ての柔軟性のある組立体においては、特に工夫することなく、ベゼルをユーザが取り替えることのできる十分フレキシブルな装置と、ベゼルが偶発的に外れてしまうのを阻止する十分固定可能な装置との間で適切な妥協点を見いだすのは困難である。

欧州特許第０６０３３５３号明細書 イギリス特許第２８６１０７号明細書 実公昭第５３−４１３４号 米国特許第５００５１６１号明細書 米国特許第５４９０１２３号明細書

前記した欠点を解決するために、ベゼルを中間部品にいわゆる「バヨネット装置」を用いて固定する複数の設計方法が提案されている。このバヨネット装置は、ベゼルと中間部品あるいはバックカバー−中間部品の上部部分に、回転運動をベゼルに加えることにより、ロックをかけたり、解除したりする凹凸型の係合装置を具備する。ベゼルにロックをかけたり、外したりする安全システムも通常具備される。この種の設計は特許文献５に開示されており、安全システムはケースのホーン上に配置されたプッシュボタンにより形成される。ヨーロッパ特許出願第１２４９７４１号においては、バヨネット装置は、中間部分に配置された落ち込み孔から構成される係止（ロッキング）システムと、ボールをベゼルの内側表面に形成された凹部に押し込むスプリングを収納するハウジングとを有する。これらの構造体は、比較的複雑で且つ壊れやすいという欠点があり、特にバヨネット装置が、ベゼルの回転運動により配置される時に、組み立て要素に力を加えすぎ、損傷を与えたりすることがある。

本発明の目的は、前述の従来技術の欠点を解決することである。本発明のベゼルは、別のベゼルとバヨネット装置で容易に交換可能で、且つ組み立て手段に損傷を与えることなく正確に配置することができる。

それ故に本発明は、時計に関し、以下の説明では交換可能なベゼルを具備した腕時計であり、ケースの中間部品の上部部分に具備されたバヨネット装置の手段によりロックされ、バックカバーにより封止され、時間あるいは時間に関連した情報のアナログ表示またはデジタル表示用の時計のムーブメントを内蔵する。本発明の時計は、中間部分の肩部に環状溝と前記溝内に部分的に開放している少なくとも２個の落ち込み孔を有する。本発明のベゼルは、落ち込み孔内に係合する、その内側表面に配置された少なくとも２個の脚を有する。この脚は、それぞれ、落ち込み孔上に半径方向に開いたノッチを有する。これらのノッチがバヨネット装置の「凸／雄」部分を形成する。「凹／雌」部分は、溝内に配置された係止形成／係止解放リングで形成され、外側で回転可能な操作部材を具備し、その１つのエッジは前記脚のノッチの開口にほぼ等しい厚さを有し、脚の通過用の凹部を有する。リングの他のエッジは、中間部分のスリーブ内に形成された溝に面する環状溝を有する。この２個の溝は、溝内のリングのクリック・スプリングを収納し、前記リングが回転できるようにしている。

かくしてベゼルを取り外すためには、操作部材でリングをある位置に回転するだけでよい。この位置ではリングのエッジ内の凹部が落ち込み孔の真上に配置され、ベゼルの脚の通路を解放する。新たなベゼルを取り付けるためには逆の操作を行い、その後係止リングを回転させてエッジが脚のノッチに係合するようにする。

操作部材が偶発的に回転するのを阻止するために、中間部の肩部に形成された溝の底にクリック・スプリングを具備させ、これにより係止リングのベースに形成されたボスに協働させる。

脚とそれぞれの落ち込み孔の数は、少なくとも２個である。好ましい実施例においてはそれらは４個であり、矩形内に配置されてベゼルを配置する２個の位置を採れるようにする。脚はベゼルと一体に形成するか、あるいはその厚さを通過するようなステイプルで形成することができる。

本発明を図１と図２に示した腕時計を参照して以下説明する。

同図に示すように、本発明の腕時計は、ケース１０を有し、このケース１０は、バックカバー１３とガラス８で閉じられた中間部分１２から形成され、その中に時計ムーブメント７（図３に示す）を有する。この時計ムーブメント７は、クラウン（竜頭）１９ａと２個のプッシュボタン１９ｂとを有する。ガラス８はベゼル１により包囲され、操作部材２１が９時の位置に配置されたときに、中間部分１２の上肩部１１の上にバヨネット機構でもってロック（係止）され、操作部材２１を回転させ１０時の位置に持っていく（点線２１ａで示されている）ことによりロック（係止）が解ける。

本発明のバヨネット装置の構造を図３を参照して説明する。バヨネット装置は、ベゼル１とケース１０と係止リング２０を有する。これらは、図４−６に示されている。

ケース１０は、中間部分１２を有し、この中間部分１２内に時計ムーブメント７と文字盤２７が搭載され、シーリング用ガスケットを挿入してバックカバー１３で閉じている。中間部分１２の上肩部１１は、環状溝１４を有する。文字盤２７の方向を向いたエッジは、スリーブ１７で形成（延長）される。上肩部１１は、４個の垂直方向を向いた落ち込み孔１５を有し、この落ち込み孔１５は一部が環状溝１４内に解放されている。すなわちこの実施例においては、外側エッジである環状溝１４のエッジと交差する開口を有する。中間部分１２のスリーブ１７は、上肩部１１の上方に配置された環状溝１６を有する。上肩部１１は９時の周囲の角度部分に凹部を有し、そこを操作部材２１が通過できる。ガラス８とシールガスケット９は、スリーブ１７と面一の中間部分上に適合している。

交換可能なベゼル１は、図３，３ｂ、４，４ｂに示すように、脚２を具備し、その一部は、落ち込み孔１５と柔軟に係合するよう、落ち込み孔１５と同一の円周方向／位置に、ベゼル１のベースに分散配置されている。脚２は、脚２が落ち込み孔１５に係合したときに、上肩部１１の上方にノッチ４を有する。このノッチ４は、落ち込み孔１５と環状溝１４の交差部に少なくとも対応して切られている。その開口は、係止リング２０の厚さに対応する。

図３、４、４ｂを参照すると、４個のボア５がベゼル１内を貫通する。このボア５は２本のステイプル６を収納し、その曲げ部分が脚２を形成する。このステイプル６は、ベゼルの組み立てを容易にし、装飾的効果を有し、衝撃を受けたときにガラス８に対する保護を与え、脚２が矩形のコーナーに配置されたときには、ベゼル１が一意的に決まる位置を提供する。

図３ｂは、ベゼル１の本体と一体に形成された、すなわちステイプル６を用いずに形成された、２個の脚２のみを有するベゼル１の構造を単純化したものを示す。

図５、９−１２を参照して、バヨネット係止装置の「凸（雄）型」部分を以下説明する。この「凸（雄）型」部分は、係止リング２０から形成される。この係止リング２０は、操作部材２１に接続ストリップ２８により取り付けられ、そのベースは環状溝１４内に収納される。係止リング２０の外側エッジ２３は、脚２内に配置されたノッチ４の開口に対応する厚さと、脚２が配置された時に、ノッチ４の底部と面一となるような直径を有する。脚２の全ての断面が通過できるようにするために、外側エッジ２３は凹部２４を有する。この凹部２４の形状は、落ち込み孔１５と環状溝１４の交差部に対応する。リングの内側エッジ２５はスリーブ２２を有し、このスリーブ２２は中間部分１２のスリーブ１７に摩擦しながら当接する。スリーブ２２は環状の溝２６を有し、この溝２６は中間部分１２のスリーブ１７の溝１６に向かい合う。２個の溝１６と溝２６により、スプリング例えば多角形状のスプリング３０がその中に配置され、係止リング２０をケース１０に固定し、且つ、それを９時の位置に配置し、係止位置と解放位置の間で動かす。審美的目的から、且つちり、ほこりが凹部１８を介して入るのを阻止するために、接続ストリップ２８が操作部材２１の両側に延長部２８ａとして延びる。この延長部２８ａは、中間部分１２と面一で、２個の凹部２４を包囲する。

リングをロック位置／非ロック位置の一方あるいは他方に保持するために、中間部分のスリーブ１７上にウェット摩擦組立（wet friction assembly）だけで十分である。しかし、図１０からわかるように、ボス２９を中間部分１２のベースに具備して環状溝１４の底部に配置されたクリックスプリング３１と協働させるのが好ましい。これは図３、７、８に示す。このクリックスプリング３１は、本発明の範囲から離れることなく、中間部分１２と係止リング２０の向かい合う壁が存在する別の場所に配置することも可能である。

本発明の変形例として、「勝手違い（mirror image）」の断面を有する係止リング２０を用意し、操作部材２１をケース１０のバックカバーに配置し、一方接続ストリップ２８を曲げて、中間部分１２を、環状溝１４に形成されたスロットを介して、バックカバーに直交するように通過させることもできる。

以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。特許請求の範囲の構成要素の後に記載した括弧内の番号は、図面の部品番号に対応し、発明の容易なる理解の為に付したものであり、発明を限定的に解釈するために用いてはならない。また、同一番号でも明細書と特許請求の範囲の部品名は必ずしも同一ではない。これは上記した理由による。

本発明の取り外し可能なベゼルを具備した腕時計の斜視図。 図１の腕時計の上面図。 図１の腕時計の部品の分解展開斜視図。 本発明のベゼルの変形例を表す図。 本発明のベゼルの上面図。 本発明のベゼルの１本の脚の拡大図。 取り外し可能なベゼルの係止リングの上面図。 本発明のケースの上面図。 図２の線ＶＩＩ−ＶＩＩに沿った部分断面図。 図２の線ＶＩＩＩ−ＶＩＩＩに沿った部分断面図。 本発明の係止リングの上面斜視図。 本発明の係止リングの底面斜視図。 図５の線ＸＩ−ＸＩに沿った部分断面図。 図５の線ＸＩＩ−ＸＩＩに沿った部分断面図。

符号の説明

１ ベゼル
２ 脚
４ ノッチ
５ ボア
６ ステイプル
７ 時計ムーブメント
８ ガラス
９ シールガスケット
１０ ケース
１１ 上肩部
１２ 中間部分
１３ バックカバー
１４ 環状溝
１５ 落ち込み孔
１６ 溝
１７ スリーブ
１８ 凹部
１９ａ クラウン
１９ｂ プッシュボタン
２０ 係止（ロッキング）リング
２１ 操作部材
２１ａ 点線
２２ スリーブ
２３ 外側エッジ
２４ 凹部
２５ 内側エッジ
２６ 溝
２７ 文字盤
２８ 接続ストリップ
２９ ボス
３０ スプリング
３１ クリックスプリング

Claims (9)

1. バヨネット装置により交換可能なベゼル（１）を具備する時計において、
   前記ベゼル（１）は、ケース（１０）の中間部分（１２）の上肩部（１１）の上に具備され、
   前記ケース（１０）は、時計ムーブメント（７）を収納してバックカバー（１３）により封止され、
   前記上肩部（１１）は、環状溝（１４）と、前記環状溝（１４）と内部空間が連通する少なくとも２個の落ち込み溝（１５）とを具備し、
   前記ベゼル（１）は、前記落ち込み溝（１５）に係合する位置に配置された少なくとも２個の脚（２）を有し、
   前記脚（２）は、それぞれ、前記落ち込み溝（１５）の場所に、半径方向に切り欠きで形成された所定高さを有するノッチ（４）を有し、
   前記ベゼル（１）の係止リング（２０）は、回転操作可能に、前記環状溝（１４）内に配置される操作部材（２１）を具備し、
   前記係止リング（２０）の一方のエッジ（２３）は、前記ノッチ（４）の所定高さと等しい厚さを有し、
   前記係止リング（２０）の一方のエッジ（２３）には、前記脚（２）の通過用の凹部（２４）が形成され、
   前記係止リング（２０）の他方のエッジ（２５）は、前記中間部分（１２）の溝（１６）に対向する溝（２６）を有し、
   前記２個の溝（１６，２６）が、前記係止リング（２０）のクリップ・スプリング（３０）を収納する
   ことを特徴とする時計。
   
2. 前記脚（２）は、ベゼル（１）と一体に形成される
   ことを特徴とする請求項１記載の時計。
3. 前記ベゼル（１）は、前記ベゼル（１）を通過する２本のステイプル（６）により形成される４個の脚（２）を有する
   ことを特徴とする請求項１記載の時計。
4. 前記脚（２）は、四角形の角に配置される
   ことを特徴とする請求項１記載の時計。
5. 前記脚（２）のノッチ（４）と係止リング（２０）の溝（２６）とは、ケース（１０）の内側を向いている
   ことを特徴とする請求項１記載の時計。
6. 前記操作部材（２１）は、バックカバー（１３）に平行に、外側に向いて、中間部分（１２）の上部部分に形成された凹部（１８）を介して延びる
   ことを特徴とする請求項１記載の時計。
7. 前記係止リング（２０）の外側エッジ（２３）は、操作部材（２１）の両側の中間部分（１２）のエッジまで延びる延長部（２８）を有し、前記係止位置と係止解除位置との間で凹部（１８）を覆う
   ことを特徴とする請求項６記載の時計。
8. 前記操作部材（２１）は、バックカバー（１３）に直交し、外部に向かって環状溝（１４）の底部に形成されたスロットを介して延びる
   ことを特徴とする請求項１記載の時計。
9. 前記係止リング（２０）の底部は、ボス（２９）を具備し、
   前記ボス（２９）は、中間部分（１２）の上肩部（１１）の環状溝（１４）の底部に配置されたクリックスプリング（３１）と協働する
   ことを特徴とする請求項１記載の時計。

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