JPS6344784Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 この考案は、落下等による衝撃に対して強い時
計ケースに関する。

〔従来技術およびその問題点〕

従来、腕時計ケースとして合成樹脂製のケース
があるが、この合成樹脂ケースは、落下等による
衝撃に対しては比較的強いが、傷が付き易すく、
また、金属のように固い材質の時計ケースは、傷
が付き難い反面、落下等による衝撃が時計モジユ
ールに直接伝わり、時計モジユールを破損した
り、時計ガラスに亀裂を生じさせ、気密不良を起
したりするおそれがあつた。

また、合成樹脂或いは金属ケースの上面に樹脂
ベゼルを取り付け、落下等の衝撃を緩和すると共
に、傷が付かないようにしたものがあるが、これ
だけでは十分な効果は得られず、しかも、樹脂ベ
ゼルを取り付けるには、時計ケースに溝を形成し
て樹脂ベゼルを嵌め込むか、接着剤等で接着する
ようにしているため、その取付が面倒なものとな
つていた。更に、樹脂ベゼルを取り付けたもので
あつても、落下等による衝撃で、時計ケースの外
側面に突出する押ボタンがスイツチングされた
り、スイツチング機能を破損させたりして時計機
能を誤動作させるおそれがあつた。

〔考案の目的〕

この考案は、上述した事情を背景になされたも
ので、その目的とするところは、衝撃に対して強
く、かつ傷が付き難く、しかも時計機能を良好に
保護するようにした時計ケースを提供することに
ある。

〔考案の要点〕

この考案は、上述した目的を達成するために、
外部に突出するスイツチ部が設けられた時計ケー
ス本体の外表面を弾性ゴム部材で被覆すると共
に、この弾性ゴム部材に形成した孔部と時計ケー
ス本体の外部に突出する上記スイツチ部の突出部
を係合させて弾性ゴムを時計ケース本体に取り付
けた点を要旨とするものである。

〔実施例〕

以下、この考案を図面に示す一実施例に基づい
て具体的に説明する。なお、本実施例は、腕時計
に実施した例を示している。図中１は、金属製の
時計ケース本体で、この時計ケース本体１の内周
壁上方には、ガラス装着部１ａが形成され、この
ガラス装着部１ａの内壁面に時計ガラス２が樹脂
パツキン３を介して圧入固定されている。この時
計ガラス２の上面周縁部から樹脂パツキン３およ
び時計ケース本体１の上面乃至周側面の全域を覆
うように、弾性ゴム部材４が設けられている。な
お、弾性ゴム部材４は、時計ケース本体１を締め
付けるように弾性的に取り付けられたものであ
る。また、時計ケース本体１の内部には、弾性ゴ
ムリング５、金属リング６を順次介して時計モジ
ユール７が収納されている。更に、時計ケース本
体１の下部には、裏蓋８が気密的に取り付けられ
ており、この裏蓋８と時計モジユール７との間隙
には、リング状の弾性ゴムシート９が敷設されて
いる。なお、１０は時計ケース本体１に止着され
た時計バンドを示す。

時計ケース本体１は、第２図に示す如く構成さ
れている。すなわち、時計ケース本体１の左右両
側部には、夫々２個ずつ押ボタン形式のスイツチ
部１１，１１が取り付けられている。この場合、
時計ケース本体１の側面から外部に突出するスイ
ツチ部１１の突出部１１ａは、ボタン頭部であ
る。なお、時計ケース本体１の上下両側部には、
夫々バンド取付部１ｂ，１ｂが形成されている。

弾性ゴム部材４は、第３図に示す如く構成され
ている。この弾性ゴム部材４は、主に、落下等の
衝撃から時計ケース本体１を保護するために、時
計ケース本体１の上面および周側面（以下、外表
面と称呼する）を覆うもので、適度な弾性を有し
ている。そして、弾性ゴム部材４は、その内壁面
が時計ケース本体１の外表面と略相似形を成し、
上記外表面全域に密着するようになつている。而
して、弾性ゴム部材４の左右側部には、夫々２個
ずつ切欠部１２，１２が上記スイツチ部１１に対
応して設けられている。この切欠部１２は、弾性
ゴム部材４の内側へ弧状に湾曲形成された窪みで
あり、その略中央部には、弾性ゴム部材４の内部
から外部に貫通する孔部１３が夫々形成されてい
る。この孔部１３は、時計ケース本体１の外表面
を弾性ゴム部材４で被覆した状態において、上記
スイツチ部１１の突出部（すなわち、ボタン頭
部）１１ａが挿入されるもので、その径は、突出
部１１ａの外周面に密着するように突出部１１ａ
の外径よりも小さく形成されている。また、切欠
部１２の窪みの深さは、第４図に示すように、ス
イツチ部１１の突出部１１ａが孔部１３に挿入さ
れた状態において、孔部１３から突出する突出部
１１ａの先端部が、切欠部１２の両端を結んだ弧
状の仮想線ｌの内側に入る程度の大きさとなつて
いる。また、弾性ゴム部材４の上下両側部には、
上記バンド取付部１ｂの全体、すなわち、その凹
部を含めてその全体を覆う延出部４ａ，４ａが形
成されている。

次に、弾性ゴムリング５、金属リング６、弾性
ゴムシート９の構成について説明する。弾性ゴム
リング５は、第５図Ａ，Ｂ、金属リング６は、第
６図Ａ、Ｂ、弾性ゴムシート９は、第７図Ａ、Ｂ
に示す如く構成されている。すなわち、弾性ゴム
リング５は、時計ケース本体１と時計モジユール
７の間に介在され、時計モジユール７を落下等に
よる衝撃から保護するもので、その左右両側部に
は、時計ケース本体１の内側に突出するスイツチ
部１１のボタン軸１１ｂが挿入される凹部５ａが
スイツチ部１１に対応して夫々２個ずつ形成され
た構成となつている。また、金属リング６は、時
計ケース本体１と時計モジユール７の間に介在さ
れ、照に、時計モジユール７の回転を防止するた
めのものである。すなわち、金属リング６の左右
両側部には、上記凹部５ａと同様の凹部６ａが形
成されていると共に、凹部６ａに一側部内壁面か
ら外側に折曲形成された係止部６ｂが金属リング
６の左右両側部に１つずつ形成されている。この
係止爪６ｂは、上記ボタン軸１１ｂと係合して金
属リング６ひいては時計モジユール７の回転を防
止するためのものである。また、弾性ゴムシート
９は、全体が環状に構成され、その上面および周
側面には所定の突起９ａ，９ｂが夫々形成された
構成となつている。

次に、上述のように構成された腕時計を組み立
てる場合について説明する。時計ケース本体１に
時計モジユール７を組み込む前に、時計モジユー
ル７の外側に、先ず、弾性ゴムリング５、次に、
金属リング６を嵌め合わせると共に、弾性ゴムリ
ング５、金属リング６の両凹部５ａ，６ａを合致
させる。この状態において、時計モジユール７を
時計ケース本体１の内部に押し込む。次に、弾性
ゴムシート９を介して裏蓋８を取り付ける。他
方、時計ケース本体１に時計ガラス２が圧入固定
されている状態において、弾性ゴム部材４で時計
ケース本体１の外表面を被覆するには、先ず、弾
性ゴム部材４の左右両側部のうち、その一側部に
設けられた各孔部１３，１３を時計ケース本体１
の対応する側に設けられたスイツチ部１１，１１
の各突出部１１ａ，１１ａに挿入し、各孔部１
３，１３と各突出部１１ａ，１１ａとを係合させ
る。この状態において、弾性ゴム部材４の他側部
を強く引つ張りながら、他方の孔部１３，１３を
対応するスイツチ部１１，１１の各突出部１１
ａ，１１ａに挿入して係合させ、弾性ゴム部材４
を、第１図に示すように、時計ケース本体１の外
表面に取り付ける、この場合、弾性ゴム部材４が
縮まるので、弾性ゴム部材４は時計ケース本体１
の外表面に密着するようになる。

上述のように構成された時計ケースによれば、
金属製の時計ケース本体１の外表面、すなわち、
上面および周側面全域を弾性ゴム部材４で被覆す
るようにしたから、落下等による衝撃は、弾性ゴ
ム部材４で吸収されるので、時計モジユール７が
破損したり、時計ガラス２に亀裂が生じて気密不
良を起したりすることがなくなる。また、時計ガ
ラス２の周縁部および樹脂パツキン３が弾性ゴム
部材４で覆われているので、落下した際、時計ガ
ラス２、樹脂パツキン３に伝える衝撃は小さく、
しかも直接当ることもないので、更に気密性は高
いものとなる。また、時計ケースの表面は、弾性
ゴム部材４であるので、当然ながら傷が付き難い
ものとなる。

また、弾性ゴム部材４は、時計ケース本体１の
外表面に密着しかつ孔部１３がスイツチ部１１の
突出部１１ａに係合しているので、その取付状態
は確実なものとなると共に、それを取付けるに
は、上述した如く、時計ケース本体１に弾性ゴム
部材４を嵌め込むだけでよいので、極めて簡単に
行うことができる。しかも、スイツチ部１１は、
弾性ゴム部材４で保護されていると共に、その切
欠部１２内に収まつているので、衝撃によつてス
イツチングされたり、スイツチ機能が破損された
りせず、したがつて、時計機能の誤動作を防止す
ることができる。

更に、時計モジユール７は、時計ケース本体１
内の弾性ゴムリング５、金属リング６、弾性ゴム
シート９で保護されているので、本実施例におて
は、時計モジユール７に対する衝撃を更に緩和す
ることができる。また、時計モジユール７が収め
られる金属リング６の係止爪６ｂが、時計ケース
本体１の内側に突出するスイツチ部１１のボタン
軸１１ｂに係合するので、衝撃に対する時計モジ
ユール７の回転を確実に防止することができる。

また、時計ケース１の表面が弾性ゴム部材４で
覆われているから、外観優美なものとなる。

なお、上記実施例においては、弾性ゴム部材４
をスイツチ部１１の突出部１１ａ、すなわち、ボ
タン頭部に係合するようにしたが、例えば、ボタ
ン軸の軸受部に係合するようにしてもよい。

また、上記実施例は、時計ケース本体を金属ケ
ースとしたが、合成樹脂ケースであつてもよく、
また、時計ケースとしては、ブレスレツト形式の
ものであつてもよい。

〔考案の効果〕

この考案は、以上詳細に説明したように、時計
ケース本体の外表面を弾性ゴム部材で被覆するよ
うにしたから、時計ケース本体ないしは時計モジ
ユールに対する衝撃を緩和することができる。し
たがつて、時計ガラス等に亀裂が生じて気密不良
を起したり、時計モジユールが破損したりするこ
とを確実に防止できる。また、時計ケース本体１
の外部に突出するスイツチ部の突出部と弾性ゴム
部材にスイツチ部に対応して設けた孔部とを係合
させて弾性ゴム部材を時計ケース本体に取り付け
るようにしたから、その取り付けを確実に行なう
と共に、従来のように、樹脂ベゼルを嵌合或いは
葬着によつて取り付けるものに比べ、その取り付
けが極めて容易である。

【図面の簡単な説明】

図面は、この考案の一実施例を示したもので、
第１図は、この考案を適用した腕時計の一部破断
側面図、第２図は、時計ケース本体の下面図、第
３図は、弾性ゴム部材の下面図、第４図は、上記
腕時計の概略平面図、第５図は弾性ゴムリングを
示し、第５図Ａは、その下面図、第５図Ｂはその
側面図、第６図は金属リングを示し、第６図Ａは
その下面図、第６図Ｂは側面図、第７図は弾性ゴ
ムシートを示し、第７図Ａはその下面図、第７図
Ｂは側面図である。 １……時計ケース本体、４……弾性ゴム部材、
１１……スイツチ部、１１ａ……突出部、１３…
…孔部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 外部に突出するスイツチ部が設けられた時計ケ
   ース本体と、この時計ケース本体の外表面に取り
   付けられ、かつ前記スイツチ部挿入用の孔部が形
   成された弾性ゴム部材とを具備し、前記時計ケー
   ス本体の外部に突出する前記スイツチ部の突出部
   と前記弾性ゴム部材に形成された孔部とを係合さ
   せて前記弾性ゴム部材を前記時計ケース本体に被
   覆するようにしたことを特徴とする時計ケース。