JP4693956B2 - ポリイミドシームレスチューブ及びその製造方法 - Google Patents

ポリイミドシームレスチューブ及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高弾性率を有し、吸水率の低いポリイミドシームレスチューブ及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
全芳香族系ポリイミドは、その優れた耐熱性、耐摩擦、耐摩耗特性、機械的特性から、近年様々な産業分野においてその需要が増加してきたエンジニアリングプラスチックの一つであり、特に、OA機器産業においては、その耐熱性や耐摩耗性に優れている点で様々な部材に用いられ、その用途範囲が急速に伸びている。
【0003】
中でもプリンター、複写機の熱定着ユニットにおいては、従来用いられていたゴム被覆金属性円筒状ヒーターは消費電力が大きいので、ポリイミドシームレスチューブを用いた小型線状ヒーターを備えた熱定着ユニットの研究、開発が急速に進んでいる。この熱定着ユニットは複数本の回転体によって、その内部から支持、駆動されており、チューブの蛇行による位置ずれを抑えるために端部は軸受けによって抑えられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、一般的にポリマー製シームレスチューブは金属製シームレスチューブに較べ機械的特性の面で劣り、位置ずれが極度に進行した場合には軸受けと接する端部が捲れ返る、たわむなどして正常な動作ができなくなるといった問題が有った。特に高速機種においては一定期間内に印刷、複写される枚数が通常の機種に比べ多くなる可能性が高く、わずかな支持・駆動ローラーの位置ずれでも短期間に上記の問題を生じる。これを回避するには短期間毎のメンテナンスが必要となり、維持費用が非常に高価となってしまうといった問題が有った。
【0005】
この問題を解決する手段として、特開平10-83122号公報には、350kg/mm2 以上の弾性率を有するポリイミドシームレスチューブを用いることが開示されているが、高速化が進んだ場合には、単位期間中の片側へ蛇行が大きく、単位期間中の安定した使用に関しては長手方向にはこれ以上の弾性率を有するものが必要となる。また特開平8-80580 号公報には弾性率が700kg/mm2 のシームレスチューブが示されているが、含まれる無機物粒子が絶縁物であるため、OA機器に適用した場合には帯電し、プリンター、複写機に用いた場合にはトナーの付着を招き、印画像が乱れる上、ブレンド物である為に別途に原料を調製する必要が有り、コスト的に高価になるという問題が有った。
【0006】
また耐荷重の絶対値を向上させるにはある一定以上の厚みが必要となるが、一般的にポリイミドフィルム状成型物はその厚みが厚くなるにつれ、弾性率が低下するという問題があった。
また気候の変動により、湿度が上昇した場合には、定着チューブが大気中の水分を吸収し、寸法が変化する懸念が有る。このような寸法変化はチューブの回転中の偏りの原因となる。
またポリイミドシームレスチューブは特開平6-23770 号公報に開示されているように円筒状金型を用いて成形されることが多いが、ポリイミド成形体は一般にその前駆体を成形し、これをイミド化することにより得られ、このイミド化過程中に大きな収縮を生じる。円筒状の金型を用いて成形した場合には、長手方向にポリイミド分子が配向を起こし易く、周方向よりも長手方向の方が大きな弾性率を示すことが多い。これにより長手方向には十分な機械的特性を有しながらも、周方向には不十分であるという現象を生じ易い。
【0007】
上記の事情に鑑み、本発明の課題は、長手方向及び周方向における分子鎖の配向度が低く、実質的に異方性を示さず、長手方向及び周方向においても高い弾性率を有し、吸水率の低いポリイミドシームレスチューブ及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、特定の化学構造を有するポリイミド前駆体溶液を成形して得られるポリイミドシームレスチューブは、長手方向及び周方向における配向度がほぼ等しく、高弾性率を示し、吸水率が低く、かつ従来用いられてきたものよりも厚くすることができ、飛躍的に耐久性が向上することを見いだし、かかる知見に基づき本発明に到達した。
【0009】
すなわち、本発明の要旨は、第1に、一般式(1)に示すポリイミドからなり、長手方向における引張弾性率が480kg/mm2 以上であり、長手方向及び周方向における分子鎖の配向度が0.1未満であることを特徴とするポリイミドシームレスチューブである。〔式中、nは1〜20の整数を示す。〕
【0010】
【化3】
【0011】
第2に、24時間浸水後の吸水率が2質量%未満であって、長手方向及び周方向における寸法変化率が0.1%未満であることを特徴とする前記のポリイミドシームレスチューブであり、第に、カーボンブラックを0.1質量%以上5質量%未満含有することを特徴とする前記のポリイミドシームレスチューブであり、第に、長さが4mm未満の炭素繊維を0.1〜10質量%含有することを特徴とする前記のポリイミドシームレスチューブであり、第に、下記一般式(2)に示すカルボン酸と下記一般式(3)に示すジアミンとからなる塩が溶質として溶媒中に溶解しているポリイミド前駆体溶液を成形し、ポリイミド前駆体をイミド化することを特徴とするポリイミドシームレスチューブの製造方法である。〔式中、lは0〜20の整数を表し、mは0〜20の整数を表し、l+mは1〜20である。〕
【0012】
【化4】
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明で用いる用語について説明する。
(1)ポリイミド
ポリマー鎖の繰り返し単位の80モル%以上がイミド構造を有する有機ポリマーをいう。そして、この有機ポリマーは耐熱性を示す。
(2)ポリイミド前駆体
加熱又は、化学的作用により閉環してポリイミドとなる有機化合物をいう。ここで、閉環とはイミド環構造が形成されることをいう。
(3)ポリイミド前駆体溶液
ポリイミド前駆体が溶媒に溶解しているものである。ここで溶媒とは、25℃で液状の化合物をいう。
(4)粘度
(株)トキメック社製、DVL−BII型デジタル粘度計(B型粘度計)を用い、20℃における回転粘度を測定したものである。
【0014】
(5)厚み
(株)ミツトヨ製デジマチックマイクロメーターを用い、ポリイミド被膜の厚みを10箇所で測定し、その平均値として求めたものである。(6)引張弾性率
JISK−7127に準拠して測定したものである。
(7)寸法変化率
25℃に保たれた純水中に24時間浸漬し、水への浸漬前後における寸法の変化量を原寸との割合で求めた。
(8)吸水率
25℃に保たれた純水中に24時間浸漬した後の吸水率によって示される。
(9)配向度
X線透過法により観察された結晶性の回折ピークにおいて、2θ角を固定して、θ角を変化させて得られるθ−回折強度曲線より得られる半価幅Hに対し、下記の式により算出されるΠをさす。
Π=(180−H)/180
【0015】
さらに本発明について説明する。
本発明のポリイミドシームレスチューブは、一般式(1)に示す化学構造を有し、厚みが55μm以上であることが好ましい。
シームレスとは目視上継目が確認されないだけでなく、折曲げ試験によって特性値の異なる点が長手方向に1列状に生じないものをいう。
本発明において、長手方向の引張弾性率の値は、シームレスチューブの使用環境、予張力などの使用状況により異なるが、中間転写ベルト、搬送転写ベルトなどの用途を兼ねる場合を考慮すると、480kg/mm2 以上である。500kg/mm2 以上が好ましく、550kg/mm2 以上であれば実用上の色ズレが殆ど生じないので特に好ましい。
【0016】
本発明のポリイミドシームレスチューブには、導電性の観点からカーボンブラックを0.1質量%以上5質量%未満含有させることが好ましい。0.1質量%未満では導電性の効果が発揮されず、安定的に導電性を発現させ、破談強度等機械的物性を維持させるためには2質量%以上5質量%未満が好ましい。
本発明のポリイミドシームレスチューブでは引張弾性率をさらに高くする方法として断面の直径が1μm以上で長さが4mm未満の炭素繊維を配合すると弾性率が向上することが知見として得られた。炭素繊維の配合量としては0.1〜10質量%が好ましい。炭素繊維の断面径が1μm未満のものを用いた場合は面方向に対し平行に分散され難い。長さが4mm以上の場合は原料溶液への分散が困難となり、均一に分散されたポリイミドシームレスチューブが得られないことがある。炭素繊維の配合量が0.1質量%未満では配合効果が発揮されず、10質量%を超えると成形が困難となる。配合量は1〜5質量%がより好ましい。また、炭素繊維を配合することにとって導電性効果も発揮される。
【0017】
本発明のポリイミドシームレスチューブは外部の影響によって中間転写ベルト、搬送転写ベルトの機能を損なわないためには、24時間浸水後の吸水率が2質量%未満であることが好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。また同様に長手方向及び周方向における寸法変化率が0.1未満であることが好ましく、0.05未満であることがさらに好ましい。
【0018】
本発明のポリイミドシームレスチューブは、下記一般式(2)に示すカルボン酸と下記一般式(3)に示すジアミンとからなる塩が溶質として溶媒中に溶解しているポリイミド前駆体溶液を成形し、ポリイミド前駆体をイミド化することによって得られる。成形方法としては、公知の方法が採用され、例えば樹脂環状体製造遥遠等の内側表面に回転成形などの方法を利用して塗布し、同時、あるいは次いで、加熱することにより、溶媒除去とイミド化を行うことにより製造することができる。なお、一般式(2)において、R3 は水素又は炭素数7以下の1価の有機基を示し、1価の有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。また、lは0〜20の整数を示し、mは0〜20の整数を示し、l+mは1〜20の整数である。
【0019】
本発明において、溶媒としては一般式(2)に示すカルボン酸と一般式(3)に示すジアミンからなる塩を溶かす溶媒であればいかなる溶媒も用いることができる。例えば、非プロトン性極性溶媒である、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルフォスフォラアミド、エーテル系化合物である、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エトキシエタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、水溶性アルコール系化合物である、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ジアセトンアルコール等が、非水溶性アルコール系化合物ではベンジルアルコールが、ケトン系化合物では1,5,5−トリメチル−3−シクロヘキサノンが、その他ではγ―ブチロラクトンが挙げられ、上記各化合物を単独、もしくは二種以上を混合して用いることができる。このうち特に好ましい例としては、単独溶媒としてN−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、混合溶媒としては、N−メチルピロリドンとジエチレングリコールモノメチルエーテル、N−メチルピロリドンとメタノール、N−メチルピロリドンと2―メトキシエタノール等の組み合わせがあげられる。
【0020】
本発明におけるポリイミド前駆体溶液の粘度は50ポイズ以上が好ましく、より好ましくは200ポイズ以上である。
本発明のポリイミドシームレスチューブの長手方向及び周方向における分子鎖の配向度は0.1未満であり、実質的に長手方向及び周方向には異方性を示さない。これは一般式(2)示すカルボン酸と一般式(3)示すジアミンからなる塩であるポリイミド前駆体は一般に分子量が低く、ポリイミド前駆体状態で成形される際に加えられる外力に対して分子鎖の配向を起こし難く、またイミド化段階においては同時に重合反応を生じるために、分子内閉環反応により収縮しようとするチューブ被膜と金型表面間の摩擦による延伸が、高分子化しようとする分子の動きに阻害される。このため、長手方向及び周方向ににおいては特定の方向にポリイミド分子が配向することはない。したがって、本発明のポリイミドシームレスチューブは長手方向及び周方向における弾性率がほぼ同じ値を示す。
【0021】
【実施例】
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0022】
実施例1
パラフェニレンジアミン10.27g(0.095mol)を、N,N−ジメチルアセトアミド355gに溶解し、室温下で攪拌した。これにピロメリット酸二無水物4.36g(0.02mol)およびビフェニルテトラカルボン酸二無水物23.54g(0.08mol)を1分間で加え、室温下2時間攪拌した。メタノール0.48g(0.015mol)およびジメチルアミノエタノール0.024gを加え、70℃湯浴上で2時間攪拌した。室温まで冷却した後、ジアミノジフェニルエーテル1.001g(0.005mol)を加え、さらに1時間撹拌を続けたところ、均一な黄橙色透明溶液が得られた(溶質濃度10質量%)。
こうして得られたポリイミド前駆体溶液を円柱状金型にスプレーコートした。これを窒素雰囲気下で段階的に昇温しながら300℃まで、5時間かけて昇温し、ポリイミド前駆体をイミド化し、ポリイミドシームレスチューブを金型から脱型した。このポリイミドシームレスチューブを切り開き厚み測定を行ったところ57μmであった。
切り開かれたチューブに対し、長手方向における引張弾性率の測定を行ったところ500kg/mm2 以上の値を示した。また切り開かれたチューブの吸水率を測定したところ1.1質量%であり、長手方向及び周方向における寸法変化率は0.1%未満であった。このチューブをX線透過回折法測定したところ、2θ=11°付近に結晶性の回折が見られたので、2θを固定してθ角を変化させた際の回折強度分布を測定したが、強度の変化は見られず、配向度は0であった。
【0023】
実施例2
パラフェニレンジアミン10.27g(0.095mol)を、N,N−ジメチルアセトアミド341gに溶解し、室温下で攪拌した。これにピロメリット酸二無水物8.72g(0.04mol)およびビフェニルテトラカルボン酸二無水物17.65g(0.06mol)を1分間で加え、室温下2時間攪拌した。メタノール0.48g(0.015mol)およびジメチルアミノエタノール0.024gを加え、70℃湯浴上で2時間攪拌した。室温まで冷却した後、ジアミノジフェニルエーテル1.001g(0.005mol)を加え、さらに1時間撹拌を続けたところ、均一な黄橙色透明溶液が得られた(溶質濃度10質量%)。
こうして得られたポリイミド前駆体溶液を円柱状金型にスプレーコートした。これを窒素雰囲気下で段階的に昇温しながら300℃まで、5時間かけて昇温することによりポリイミド前駆体をイミド化し、ポリイミドシームレスチューブを金型から脱型した。このポリイミドシームレスチューブを切り開き厚み測定を行ったところ56μmであった。
切り開かれたチューブに対し、長手方向における弾性率の測定を行ったところ500kg/mm2 以上の値を示した。また切り開かれたチューブの吸水率を測定したところ1.2質量%であり、長手方向及び周方向における寸法変化率は0.1%未満であった。このチューブをX線透過回折法測定したところ、2θ=11°付近に結晶性の回折が見られたので、2θを固定してθ角を変化させた際の回折強度分布を測定したが、強度の変化は見られず、配向度は0であった。
【0024】
実施例3
パラフェニレンジアミン10.27g(0.095mol)を、N,N−ジメチルアセトアミド328gに溶解し、室温下で攪拌した。これにピロメリット酸二無水物13.1g(0.06mol)およびビフェニルテトラカルボン酸二無水物11.8g(0.04mol)を1分間で加え、室温下2時間攪拌した。メタノール0.48g(0.015mol)およびジメチルアミノエタノール0.024gを加え、70℃湯浴上で2時間攪拌した。室温まで冷却した後、ジアミノジフェニルエーテル1.001g(0.005mol)を加え、さらに1時間撹拌を続けたところ、均一な黄橙色透明溶液が得られた(溶質濃度10質量%)。
得られたポリイミド前駆体溶液を円柱状金型にスプレーコートした。これを窒素雰囲気下で段階的に昇温しながら300℃まで、5時間かけて昇温することによりポリイミド前駆体をイミド化し、ポリイミドシームレスチューブを金型から脱型した。このポリイミドシームレスチューブを切り開き厚み測定を行ったところ57μmであった。切り開かれたチューブに対し、長手方向における弾性率の測定を行ったところ520kg/mm2 以上の値を示した。また切り開かれたチューブの吸水率を測定したところ1.1質量%であり、長手方向及び周方向における寸法変化率は0.1%未満であった。このチューブをX線透過回折法測定したところ、2θ=11°付近に結晶性の回折が見られたので、2θを固定してθ角を変化させた際の回折強度分布を測定したが、強度の変化は見られず、配向度は0であった。
【0025】
実施例4
実施例1で得られたポリイミド前駆体溶液の固形分に対しカーボンブラック2質量%加え、混練機を用いて分散させた。こうして得られたカーボンブラックを分散させたポリイミド前駆体溶液を金型上にスプレーコートし、窒素雰囲気下で段階的に昇温しながら300℃まで、5時間かけて昇温してポリイミド前駆体をイミド化し、ポリイミドシームレスチューブを金型から脱型した。このポリイミドシームレスチューブを切り開き厚み測定を行ったところ67μmであった。切り開かれたチューブに対し、長手方向における弾性率の測定を行ったところ550kg/mm2 以上の値を示した。また切り開かれたチューブの吸水率を測定したところ1.1質量%であり、長手方向及び周方向における寸法変化率は0.1%未満であった。このチューブをX線透過回折法測定したところ、2θ=11°付近に結晶性の回折が見られたので、2θを固定してθ角を変化させた際の回折強度分布を測定したが、強度の変化は見られず、配向度は0であった。
【0026】
実施例5
実施例1で得られたポリイミド前駆体溶液に固形分に対し炭素繊維4質量%加え、混練機を用いて分散させた。こうして得られた炭素繊維を分散しているポリイミド前駆体溶液中に円柱状金型を浸漬し静かに引き上げた。この円筒状金型に、金型外径よりも0.6mm大きい内径を有するリング状ダイスを自由落下させて通過させた。
さらに、窒素雰囲気下で段階的に昇温しながら300℃まで、5時間かけて昇温することによりポリイミド前駆体のイミド化し、ポリイミドシームレスチューブを金型から脱型した。このポリイミドシームレスチューブを切り開き厚み測定を行ったところ56μmであった。切り開かれたチューブに対し、長手方向における弾性率の測定を行ったところ530kg/mm2 以上の値を示した。また切り開かれたチューブの吸水率を測定したところ1.3質量%であり、長手方向及び周方向における寸法変化率は0.1%未満であった。このチューブをX線透過回折法測定したところ、2θ=11°付近に結晶性の回折が見られたので、2θを固定してθ角を変化させた際の回折強度分布を測定したが、強度の変化は見られず、配向度は0であった。
【0027】
比較例1
パラフェニレンジアミン10.27g(0.095mol)を、N,N−ジメチルアセトアミド386gに溶解し、室温下で攪拌した。これにピロメリット酸二無水物17.4g(0.08mol)およびビフェニルテトラカルボン酸二無水物5.88g(0.02mol)を加え、室温下2時間攪拌し、均一な黄橙色透明溶液を得た(溶質濃度8質量%)。
得られたポリイミド前駆体溶液をスプレーコートした。適宜、80℃にて乾燥を行いながら所定の塗工厚み量になるまで、スプレーコートを行い、これを窒素雰囲気下で段階的に昇温しながら300℃まで、5時間かけて昇温することによりイミド化を行った。イミド化されたチューブを金型から脱型し、ポリイミドシームレスチューブを得、これを切り開き厚み測定を行ったところ50μmであった。
切り開かれたチューブに対し、弾性率の測定を行ったところ430kg/mm2 と低い値を示した。
【0028】
比較例2
パラフェニレンジアミン10.8g(0.1mol)を、N,N−ジメチルアセトアミド359gに溶解し、室温下で攪拌した。これにピロメリット酸二無水物4.3g(0.02mol)およびビフェニルテトラカルボン酸二無水物23.5g(0.08mol)を1分間で加え、室温下2時間攪拌した。メタノール0.48g(0.015mol)およびジメチルアミノエタノール0.024gを加え、70℃湯浴場で2時間攪拌した。室温まで冷却した後、ジアミノジフェニルエーテル1.001g(0.005mol)を加え、さらに1時間撹拌を続けたところ、均一な黄橙色透明溶液が得られた(溶質濃度10質量%)。
こうして得られたポリイミド前駆体溶液を円柱状金型外側面に比較例1と同様にしてスプレーコートをおこなった。これを窒素雰囲気下で段階的に昇温しながら300℃まで、5時間かけて昇温することによりイミド化を行ったが被膜は破れ、チューブを得ることはできなかった。被膜片の厚みは55μmであった。
【0029】
比較例3
パラフェニレンジアミン10.8g(0.1mol)を、N,N−ジメチルアセトアミド211gに溶解し、室温下で攪拌した。これにビフェニルテトラカルボン酸二無水物29.4g(0.1mol)を加え、室温下2時間攪拌し、均一な黄橙色透明溶液が得られた(溶質濃度16質量%)
こうして得られたポリイミド前駆体溶液を円柱状金型外側面にはけで塗布し、これに金型外径よりも300μm大きい内径を有するリング状ダイスを通すことで金型外面に均一に前駆体溶液を塗布した。これを窒素雰囲気下で段階的に昇温しながら300℃まで、5時間かけて昇温することによりイミド化し、ポリイミドシームレスチューブを金型から脱型した。このポリイミドシームレスチューブを切り開き厚み測定を行ったところ40μmであった。
切り開かれたチューブに対し、弾性率の測定を行ったところ周方向には440〜470kg/mm2 の値を示したが、長手方向には420kg/mm2 の値しか示さなかった。
また切り開かれたチューブの吸水率を測定したところ0.9質量%であった。このチューブをX線透過回折法測定したところ、2θ=11°付近に結晶性の回折が見られたため2θを固定してθ角を変化させた際の回折強度分布を測定したところ、強度の変化が見られ、配向度は周方向におよそ0.4であった。
上記ポリイミドシームレスチューブの特性値についての結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
【発明の効果】
以上のように、本発明のポリイミドシームレスチューブは長手方向及び周方向における分子鎖の配向度が低く、実質的に異方性を示さず、長手方向及び周方向においても高い弾性率を有しており、吸水率が低いものである。中でもカーボンブラックを含有させたものは、導電性を有し、帯電性の問題を解決できるものであり、炭素繊維を含有するものは、導電性を有し、帯電性の問題を解決できるものであるとともに、機械的特性がより優れたものとなる。したがって、本発明のポリイミドシームレスチューブは、複写機、プリンターの熱定着チューブとして長時間安定走行できる。また、本発明によれば、このようなポリイミドシームレスチューブを容易に製造することができる。

Claims (5)

  1. 一般式(1)に示すポリイミドからなり、長手方向における引張弾性率が480kg/mm2 以上であり、長手方向及び周方向における分子鎖の配向度が0.1未満であることを特徴とするポリイミドシームレスチューブ。〔式中、nは1〜20の整数を示す。〕
  2. 24時間浸水後の吸水率が2質量%未満であって、長手方向及び周方向における寸法変化率が0.1%未満であることを特徴とする請求項1記載のポリイミドシームレスチューブ。
  3. カーボンブラックを0.1質量%以上5質量%未満を含有することを特徴とする請求項1記載のポリイミドシームレスチューブ。
  4. 長さが4mm未満の炭素繊維を0.1〜10質量%含有することを特徴とする請求項1記載のポリイミドシームレスチューブ。
  5. 下記一般式(2)に示すカルボン酸と下記一般式(3)に示すジアミンとからなる塩が溶質として溶媒中に溶解しているポリイミド前駆体溶液を成形し、ポリイミド前駆体をイミド化することを特徴とする請求項1記載のポリイミドシームレスチューブの製造方法。〔式中、lは0〜20の整数を表し、mは0〜20の整数を表し、l+mは1〜20である。〕
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