JP4691946B2 - 定着装置およびこれを備える画像形成装置 - Google Patents
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Description
かかる定着装置は、一般に、互いに圧接回転する円筒状の1対の回転体と、この1対の回転体のうち少なくとも一方を加熱するヒータとを有している。前記2つの回転体の前記圧接により形成されたニップに記録媒体を通紙することにより、前記記録媒体を加熱および加圧して、前記記録媒体上に形成されたトナー像を前記記録媒体に定着させる。
このような問題を解決するため、消費電力の大きなヒータ(第1のヒータ)と電源との接続をオフ状態からオン状態とするときに、前記ヒータと抵抗とを直列に前記電源に接続した状態とすることにより、前記ヒータを含む回路の抵抗値を大きくするものが知られている。
しかし、第1のヒータの抵抗値と第2のヒータの抵抗値との組み合わせによっては、第1のヒータと第2のヒータとを直列で点灯した時における第1のヒータの発熱量が小さくなりすぎたり、フリッカの発生を防止することができない場合があった。
本発明の定着装置は、互いに圧接回転する1対の回転体の間に、未定着像を担持する記録媒体を通過させて、該記録媒体を加熱・加圧することにより、前記未定着像を前記記録媒体に定着させる定着装置であって、
電源からの通電により発熱して、前記1対の回転体のうちの一方の回転体を加熱する第1のヒータと、
前記電源からの通電により発熱して、前記1対の回転体のうちの他方の回転体を加熱する第2のヒータと、
前記電源に対し前記第1のヒータと前記第2のヒータとを直列に接続して前記第1のヒータおよび前記第2のヒータに通電する第1の状態と、前記電源から前記第2のヒータへの通電を実質的に遮断するとともに、前記第1のヒータを前記電源に接続して前記第1のヒータに通電する第2の状態とを切り換える切換手段とを備え、
前記第1の状態時における前記第1のヒータの単位時間あたりの発熱量をQ11とし、前記第2の状態時における前記第1のヒータの単位時間あたりの発熱量をQ21とし、前記第1の状態時における前記第2のヒータの単位時間あたりの発熱量をQ12としたときに、Q11/Q21>1/8、かつ、Q11<Q12の関係を満たすことを特徴とする。
これにより、第1のヒータおよび第2のヒータの抵抗値の最適化が図られるので、第1の状態で、電源に接続された回路の抵抗値を抑えつつ第1のヒータおよび第2のヒータの発熱を良好なものとすることができる。その結果、フリッカの発生を防止しつつ、優れた定着性を発揮することができる。
また、Q11<Q12の関係を満たすことにより、第1の状態時に、第2のヒータによって加熱される一方の回転体または他の部材を、より迅速に昇温させることができる。
また、第2のヒータが1対の回転体のうちの他方の回転体を加熱するので、未定着像を担持する記録媒体を定着処理に供する際に、記録媒体がその両面から加熱されるので、第2のヒータからの熱を有効利用しつつ、より優れた定着性を発揮するとともに、定着後の記録媒体がカール状となるのを防止することができる。
これにより、切換手段が不本意に第1の状態となるのを防止して、一方の回転体を第1のヒータにより効率よく加熱することができる。
本発明の定着装置では、前記切換手段は、前記第1のヒータへの通電を開始する前の設定期間内に前記第1のヒータへの通電が行われていない場合には、前記第1の状態とし、前記設定期間内に前記第1のヒータへの通電が行われた場合には、前記第2の状態とすることが好ましい。
これにより、比較的簡単な構成で、切換手段の切り換えを行うことができる。
これにより、第2のヒータによって加熱される他方の回転体の温度を、簡単な制御でかつ高精度に所望の温度とすることができる。
Q21>QT1>Q11、
かつ、
Q12>QT2、
かつ、
Q21×(1−QT2/Q12)+Q11×QT2/Q12>QT1
の関係を満たすことが好ましい。
これにより、第1のヒータによって加熱される一方の回転体の温度と、前記第2のヒータによって加熱される1対の回転体のうちの一方の回転体または他の部材の温度とを、簡単な制御でかつ高精度に所望の温度とすることができる。
これにより、ウォームアップ時間をより短いものとすることができる。
本発明の定着装置では、前記切換手段は、前記第1のヒータと前記第2のヒータとを直列に電源に接続する第1のスイッチと、前記第2のヒータを短絡するとともに、前記第1のヒータを前記電源に接続する第2のスイッチ素子とを備え、前記第1のスイッチをオン状態とすることにより前記第1の状態とし、前記第2のスイッチをオン状態とすることにより前記第2の状態とすることが好ましい。
これにより、比較的簡単な構成で、フリッカの発生をより確実に防止しつつ、第1の状態と第2の状態とを切り換えることができる。
本発明の画像形成装置は、本発明の定着装置を備えることを特徴とする。
これにより、フリッカの発生を防止しつつ、優れた定着性を発揮することができる画像形成装置を得ることができる。
図1は、本発明にかかる画像形成装置の1実施形態を示す全体構成の模式的断面図、図2は、図1に示す画像形成装置に備えられた定着装置の好適な実施形態を示す模式的断面図、図3は、図2に示す定着装置のヒータ制御系のブロック図、図4は、図2に示す定着装置のヒータの駆動回路を示す図、図5および図6は、図2に示す定着装置のヒータの駆動制御を説明するためのフローチャート、図7は、図2に示す定着装置における定着ローラおよび加圧ローラの温度の変遷を示す図である。
本発明の定着装置に先立ち、本発明の定着装置を備える画像形成装置を簡単に説明する。
本実施形態の画像形成装置10は、図1に示すように、潜像を担持し図示矢印方向に回転する感光体20を有し、その回転方向に沿って順次、帯電ユニット30、露光ユニット40、現像ユニット50、一次転写ユニット60、クリーニングユニット75が配設されている。また、画像形成装置10は、図1にて下部に、紙などの記録媒体Pを収容する給紙トレイ92を有し、その給紙トレイ92に対して記録媒体Pの搬送方向下流に、二次転写ユニット80、定着装置90が順次配設されている。
帯電ユニット30は、コロナ帯電などにより感光体20の表面を一様に帯電するための装置である。
露光ユニット40は、図示しないパーソナルコンピュータなどのホストコンピュータから画像情報を受けこれに応じて、一様に帯電された感光体20上に、レーザを照射することによって、静電的な潜像を形成する装置である。
中間転写体70は、エンドレスのベルトであり、図1に示す矢印方向に、感光体20とほぼ同じ周速度にて回転駆動される。中間転写体70上には、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローのうちの少なくとも1色のトナー像が担持され、例えばフルカラー画像の形成時に、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの4色のトナー像が順次重ねて転写されて、フルカラーのトナー像が形成される。
定着装置90は、前記トナー像の転写を受けた記録媒体Pを加熱および加圧することにより、前記トナー像を記録媒体Pに融着させて永久像として定着させるための装置である。なお、定着装置90については、後に詳述する。
次に、このように構成された画像形成装置10の動作を説明する。
感光体20の帯電された領域は、感光体20の回転に伴って露光位置に至り、露光ユニット40によって、第1色目、例えばイエローYの画像情報に応じた潜像が前記領域に形成される。
感光体20上に形成されたイエロートナー像は、感光体20の回転に伴って一次転写位置に至り、一次転写ユニット60によって、中間転写体70に転写される。このとき、一次転写ユニット60には、トナーの帯電極性とは逆の極性の一次転写電圧(一次転写バイアス)が印加される。なお、この間、二次転写ユニット80は、中間転写体70から離間している。
一方、記録媒体Pは、給紙トレイ92から、給紙ローラ94、レジローラ96によって二次転写ユニット80へ搬送される。
中間転写体70上に形成されたフルカラートナー像は、中間転写体70の回転に伴って二次転写位置に至り、二次転写ユニット80によって記録媒体Pに転写される。このとき、二次転写ユニット80は中間転写体70に押圧されるとともに二次転写電圧(二次転写バイアス)が印加される。
一方、感光体20は一次転写位置を経過した後に、クリーニングユニット75のクリーニングブレード76によって、その表面に付着しているトナーが掻き落とされ、次の潜像を形成するための帯電に備える。掻き落とされたトナーは、クリーニングユニット75内の残存トナー回収部に回収される。
ここで、定着装置90を図2ないし図7に基づいて詳細に説明する。
定着装置90は、図2に示すように、互いに圧接回転する1対の回転体である定着ローラ91および加圧ローラ92と、定着ローラ91を加熱するための第1のヒータ93と、加圧ローラ92を加熱するための第2のヒータ94と、定着ローラ91の温度を検知するための第1の温度検知体95(温度検知手段)と、加圧ローラ92の温度を検知するための第2の温度検知体96(他の温度検知手段)とを有している。
加圧ローラ92は、円筒状または円柱状をなし、その軸線まわりに回転可能となっているとともに、定着ローラ91に圧接している。また、加圧ローラ92の内部空間には、第2のヒータ94が配設され、加圧ローラ92は、第2のヒータ94により加熱される。
ここで、定着装置90の第1のヒータ93および第2のヒータ94の駆動について詳細に説明する。
切換手段98は、第1のヒータ93への通電を導通状態と遮断状態とに切り換え可能な第1のスイッチ素子98Aと、第2のヒータ94への通電を導通状態と遮断状態とに切り換え可能な第2のスイッチ素子98Bとを有している。
第2のスイッチ素子98Bは、図4に示すように、その導通状態時に、交流電源である電源97に対し第1のヒータ93と第2のヒータ94とを直列に接続して、電源97から第1のヒータ93および第2のヒータ94へ電力を供給するようになっている。
より具体的には、制御手段99は、第2の状態時において、前記期間内における第1のスイッチ素子98Aのオン状態の合計時間の割合(以下、メインdutyともいう)を変化させることにより、第1のヒータ93への通電量を制御する。また、制御手段99は、第1の状態時において、前記期間内における第2のスイッチ素子98Bのオン状態の合計時間の割合(以下、直列dutyともいう)を変化させることにより、第1のヒータ93および第2のヒータ94への通電量を制御する。
また、第1のヒータ93および第2のヒータ94は、後述する前記第1の状態時における前記第2のヒータの単位時間あたりの発熱量をQ12[W]としたときに、Q11<Q12の関係を満たす。これにより、第1の状態時に、第2のヒータによって加熱される加圧ローラ92を、より迅速に昇温させることができる。
Q21>QT1>Q11、
かつ、
Q12>QT2、
かつ、
Q21×(1−QT2/Q12)+Q11×QT2/Q12>QT1
の関係を満たす。これにより、第1のヒータによって加熱される定着ローラ91の温度と、前記第2のヒータによって加熱される加圧ローラ92の温度とを、簡単な制御でかつ高精度に所望の温度とすることができる。
まず、画像形成装置10の電源が投入されると、定着ローラ91の温度と加圧ローラ92の温度の測定が開始される(S1)。
次に、定着ローラ91の温度が第1の目標温度以上か否か、すなわち定着ローラ91の温度が印字可能な温度以上か否かが判断される(S2)。
一方、定着ローラ91の温度が第1の目標温度に達している場合には、画像形成装置10を印字可能な状態(印字可設定)とし(S5)、加圧ローラ92の温度が第2の目標温度以上か否かが判断される(S6)。
ここで、第1のヒータ93および第2のヒータ94の駆動を、前述したS4でのヒータ制御を代表して詳細に説明する。
次いで、第1のヒータ93に第2の状態で通電する必要があるか否かが判断される(S22)。具体的には、決定されたメインdutyが0%でないか否かが判断される(S22)。
次に、算出された直列dutyと、S21で算出されたメインdutyとの合計が電源容量を越えてしまうか否かが判断される(S27)。
また、前述した図5におけるS10におけるヒータ制御も、図6に示すフローチャートにしたがって行うことができる。具体的には、S10では一旦加圧ローラ92の温度が第2の目標温度に達しているので、S21でメインdutyが算出された後、S22〜S24でS25を経ることなくS26へ進んで、直列dutyの算出がされる。
以上、本発明の画像形成装置を実施例に基づいて説明したが、本発明はこれら実施例に限定されず種々の変形が可能である。
例えば、第2のヒータ94によって加熱される部材は、定着前の記録媒体をニップNへ案内する案内部材であってもよい。この場合、未定着像を担持する記録媒体がニップNに通過するに先立ち予備加熱されるので、より優れた定着性を発揮するとともに、定着後の記録媒体の皺の発生を防止することができる。
また、第2のヒータ94によって加熱される部材は、定着ローラ91であってもよい。すなわち、定着ローラ91を第1のヒータ93および第2のヒータ94の双方で加熱してもよい。この場合、定着ローラ91をより迅速に昇温させて、電源投入から定着開始までの時間、すなわちウォームアップ時間の短縮化を図ることができる。
図3に示すような回路構成で、第1の状態時における第1のヒータの単位時間あたりの発熱量を200Wとし、第2の状態時における第1のヒータの単位時間あたりの発熱量を800Wとし、図2および図4に示すような定着装置を製造した。
(実施例2〜6)
第1の状態時における第1のヒータの単位時間あたりの発熱量と、第2の状態時における第1のヒータの単位時間あたりの発熱量とを表1に示すようにした以外は、実施例1と同様にして、定着装置を製造した。
第1の状態時における第1のヒータの単位時間あたりの発熱量と、第2の状態時における第1のヒータの単位時間あたりの発熱量とを表1に示すようにした以外は、実施例1と同様にして、定着装置を製造した。
以上のような実施例1〜6、比較例1〜3について、各定着装置におけるフリッカの低減効果の評価を行った。その結果を表1中に示す。
Claims (8)
- 互いに圧接回転する1対の回転体の間に、未定着像を担持する記録媒体を通過させて、該記録媒体を加熱・加圧することにより、前記未定着像を前記記録媒体に定着させる定着装置であって、
電源からの通電により発熱して、前記1対の回転体のうちの一方の回転体を加熱する第1のヒータと、
前記電源からの通電により発熱して、前記1対の回転体のうちの他方の回転体を加熱する第2のヒータと、
前記電源に対し前記第1のヒータと前記第2のヒータとを直列に接続して前記第1のヒータおよび前記第2のヒータに通電する第1の状態と、前記電源から前記第2のヒータへの通電を実質的に遮断するとともに、前記第1のヒータを前記電源に接続して前記第1のヒータに通電する第2の状態とを切り換える切換手段とを備え、
前記第1の状態時における前記第1のヒータの単位時間あたりの発熱量をQ11とし、前記第2の状態時における前記第1のヒータの単位時間あたりの発熱量をQ21とし、前記第1の状態時における前記第2のヒータの単位時間あたりの発熱量をQ12としたときに、Q11/Q21>1/8、かつ、Q11<Q12の関係を満たすことを特徴とする定着装置。 - 前記切換手段は、前記第1のヒータへの通電履歴に基づき、前記第1の状態と前記第2の状態とを切り換える請求項1に記載の定着装置。
- 前記切換手段は、前記第1のヒータへの通電を開始する前の設定期間内に前記第1のヒータへの通電が行われていない場合には、前記第1の状態とし、前記設定期間内に前記第1のヒータへの通電が行われた場合には、前記第2の状態とする請求項2に記載の定着装置。
- 前記一方の回転体の温度を検知する第1の温度検知手段と、前記他方の回転体の温度を検知する第2の温度検知手段と、前記第1の温度検知手段および前記第2の温度検知手段によって検知された温度に基づき前記電源から前記第1のヒータおよび前記第2のヒータへの単位時間あたりの通電量を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記第1の状態時には、前記第2の温度検知手段によって検知された温度に基づき、前記電源から前記第1のヒータおよび前記第2のヒータへの単位時間あたりの通電量を制御し、前記第2の状態時には、前記第1の温度検知手段によって検知された温度に基づき、前記電源から前記第1のヒータへの単位時間あたりの通電量を制御する請求項1ないし3のいずれかに記載の定着装置。
- 前記第1の状態時における前記第2のヒータの単位時間あたりの発熱量をQ12とし、前記第1のヒータにより加熱される前記一方の回転体を第1の目標温度に維持するのに必要な単位時間あたりの熱量をQT1とし、前記第2のヒータにより加熱される前記他方の回転体を前記第1の目標温度よりも低い第2の目標温度に維持するのに必要な単位時間あたりの熱量をQT2としたときに、
Q21>QT1>Q11、
かつ、
Q12>QT2、
かつ、
Q21×(1−QT2/Q12)+Q11×QT2/Q12>QT1
の関係を満たす請求項1ないし4のいずれかに記載の定着装置。 - 前記切換手段は、前記一方の回転体を第1の目標温度に昇温させる際に主として前記第2の状態とし、前記他方の回転体を前記第1の目標温度よりも低い第2の目標温度に昇温させる際に主として前記第1の状態とする請求項1ないし5のいずれかに記載の定着装置。
- 前記切換手段は、前記第1のヒータと前記第2のヒータとを直列に電源に接続する第1のスイッチと、前記第2のヒータを短絡するとともに、前記第1のヒータを前記電源に接続する第2のスイッチ素子とを備え、前記第1のスイッチをオン状態とすることにより前記第1の状態とし、前記第2のスイッチをオン状態とすることにより前記第2の状態とする請求項1ないし6のいずれかに記載の定着装置。
- 請求項1ないし7のいずれかに記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
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