JP3976837B2 - 像加熱装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁(磁気)誘導加熱方式の像加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真複写機・プリンタ・ファックス等の画像形成装置(画像記録装置)における像加熱装置、即ち電子写真・静電記録・磁気記録等の適宜の画像形成プロセス手段により、加熱溶融性の樹脂等よりなるトナー(熱軟化性有色樹脂の顕画剤)を用いて記録材の面に直接若しくは間接(転写)方式で形成した未定着のトナー画像を記録材面に永久固着画像として加熱定着する装置(以下、加熱定着装置と記す)としては従来から「熱ローラ方式」の装置が多用されている。また「フィルム加熱方式」の装置も実用されている。「電磁誘導加熱方式」の装置もある。
【0003】
a)熱ローラ方式の装置
熱源としてハロゲンランプ(ハロゲンヒータ)を内蔵させ、該ハロゲンランプの発熱で所定の温度に加熱・温調される定着ローラ(熱ローラ)と、加圧ローラとを圧接させて定着ニップ部を形成させ、該ローラ対を回転させ、定着ニップ部に被加熱材としての、未定着トナー画像を担持させた記録材を導入して挟持搬送させることで、定着ニップ部において記録材を定着ローラの熱で加熱して画像の熱定着を行なわせるものである。
【0004】
特に、最大4層のトナー層を十分加熱溶融させる能力を要求されるフルカラー画像形成装置における定着装置としては、定着ローラの芯金は高い熱容量を有するものにし、また定着ローラにトナー像を包み込んで均一に溶融するためのゴム弾性層を設けて該弾性層を介してトナー画像の加熱を行なっている。
【0005】
b)フィルム加熱方式の装置
特開昭63−313182号公報等に開示のように、発熱源(加熱体)としての一般にセラミックヒータと、加圧部材としての加圧ローラとの間に耐熱性フィルム(定着フィルム)を挟ませて定着ニップ部を形成させ、該定着ニップ部のフィルムと加圧ローラとの間に被加熱材としての、未定着トナー画像を担持させた記録材を導入してフィルムと一緒に定着ニップ部を挟持搬送させることで、発熱抵抗体への通電により発熱するセラミックヒータの熱をフィルムを介して記録材に与えて加熱して画像の熱定着を行なわせるものである。
【0006】
c)電磁誘導加熱方式の装置
実開昭51−109737号公報には、磁束により定着ローラに電流を誘導させてジュール熱によって発熱させる誘導加熱定着装置が開示されている。これは、誘導電流の発生を利用することで直接定着ローラを発熱させることができて、ハロゲンランプを用いた熱ローラよりも高効率の定着プロセスを達成している。
【0007】
また、米国特許第5278618号明細書には、定着ローラを小熱容量化した定着フィルムを用いて、ニップ近傍の励磁部材により加熱する例が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例の各種方式の加熱装置にはそれぞれ一長一短がある。例えば、ハロゲンランプやセラミックヒータを熱源として用いた従来の熱ローラ方式の装置やフィルム加熱方式の装置においては、定着ローラやフィルムに熱伝達させる必要があるためにエネルギーロスが大きく、エネルギーの有効活用ができない等の問題があった。
【0009】
また、実開昭51−109737号公報や米国特許第5278618号明細書に開示されている電磁誘導加熱方式の装置は上記問題点を改善できたが、励磁コイルと組にして磁界発生手段を構成させている高透磁率の磁性部材(励磁コイルの磁性コア、コイル鉄心、励磁鉄芯)の磁心損失は温度によって変化する傾向があるために、像加熱動作時において高透磁率磁性部材の磁心損失が増加すると昇温が激しくなって、加熱効率が低下するという問題があった。昇温によって、高透磁率磁性部材がキュリー温度以上になると磁性が消滅して、十分な加熱ができなくなるばかりでなく、励磁コイルに励磁電圧を供給する励磁回路に大きな負担がかかって回路が破損する恐れがあった。
【0010】
そこで本発明は、特に、電磁誘導加熱方式の加熱装置について、上記の問題点をなくして、長時間の動作においても、安定した、省エネルギーでの加熱動作を実現できるようにすることを目的とする。
【0011】
また電磁誘導加熱方式の加熱装置を像加熱装置(加熱定着装置)として用いた画像形成装置について、ウェイトタイムの短縮を可能とし、省電力で画像形成を行なうとともに、フルカラー画像のようなトナー量の多い画像に対しても高画質を維持できるようにすることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記の構成を特徴とする像加熱装置である。
【0013】
電磁誘導発熱性部材に磁界発生手段の交番磁束を作用させて発熱させ、その発熱により記録材に熱軟化性有色樹脂の顕画剤を熱定着させる像加熱装置であって、
磁界発生手段としての励磁コイル及び磁性部材と、励磁コイルに給電する励磁回路と、該励磁回路の出力を制御して電磁誘導発熱性部材の温度を制御する温度制御手段を有し、
上記励磁回路から励磁コイルに供給される励磁電圧は電圧印加時間と開放時間の和時間を一周期とし、かつ開放時間に対して電圧印加時間を変動させることで周波数を変化させる交番電圧であり、
上記温度制御手段は上記交番電圧の周波数を、電磁誘導発熱性部材の温度を熱定着時の所定温度に維持する時の周波数f1が装置を立ち上げるときの周波数f2よりも大となるように制御し、
上記磁界発生手段の磁性部材は、その磁心損失が上記交番電圧の周波数がf2の時よりもf1の時の方が小さくなる材料からなる、
ことを特徴とする像加熱装置。
【0014】
上記構成において、励磁電圧の周波数は供給出力を装置の立ち上げ時に大きく、熱定着時に小さくする作用がある。また、温度制御手段は装置の低温時(装置の立上時)に積極的に磁性部材を暖めて電磁誘導発熱性部材から熱を奪うのを防ぐ作用と、熱定着時は磁性部材の発熱を抑えて透磁率の低下を防ぐ作用がある。
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【発明の実施の形態】
〈第1の実施例〉(図1〜図8)
(1)画像形成装置例
図1は本発明に従う電磁誘導加熱方式の像加熱装置(加熱定着装置)として具備させた画像形成装置の一例の概略構成図である。
【0030】
本例の画像形成装置は、最大通紙幅がA4サイズ紙、印字速度が毎分3枚の電子写真4色フルカラープリンタである。
【0031】
101は有機感光体やアモルファスシリコンでできた電子写真感光体ドラム(像担持体)であり、矢示の時計方向に所定のプロセススピード(周速度)で回転駆動される。
【0032】
感光体ドラム101はその回転過程で帯電ローラ等の帯電装置102で所定の極性・電位の一様な帯電処理を受ける。
【0033】
次いでその帯電処理面にレーザスキャナー110から出力されるレーザ光103による、目的の画像情報の走査露光処理を受ける。レーザスキャナー110は不図示の画像読取装置等の画像信号発生装置からの目的画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調(オン/オフ)したレーザ光103を出力して回転感光体ドラム面を走査露光するもので、この走査露光により回転感光体ドラム101面に走査露光した目的画像情報に対応した静電潜像が形成される。109はレーザスキャナー110からの出力レーザ光を感光体ドラム101の露光位置に偏向させるミラーである。
【0034】
フルカラー画像形成の場合は、目的のフルカラー画像の第1の色分解成分画像、例えばイエロー成分画像についての走査露光・潜像形成がなされ、その潜像が4色カラー現像装置104のうちのイエロー現像器104Yの作動でイエロートナー画像として現像される。そのイエロートナー画像は感光体ドラム101と中間転写体ドラム105との接触部(或は近接部)である一次転写部T1において中間転写体ドラム105の面に転写される。中間転写体ドラム105面に対するトナー画像転写後の回転感光体ドラム101面はクリーナ107により転写残りトナー等の付着残留物の除去を受けて清掃される。
【0035】
上記のような帯電・走査露光・現像・一次転写・清掃のプロセスサイクルが、目的のフルカラー画像の、第2の色分解成分画像(例えばマゼンタ成分画像、マゼンタ現像器104Mが作動)、第3の色分解成分画像(例えばシアン成分画像、シアン現像器104Cが作動)、第4の色分解成分画像(例えば黒成分画像、黒現像器104BKが作動)の各色分解成分画像について順次に実行され、中間転写体ドラム105面にイエロートナー画像・マゼンタトナー画像・シアントナー画像・黒トナー画像の都合4色のトナー画像が順次重ねて転写されて、目的のフルカラー画像に対応したカラートナー画像が合成形成される。
【0036】
中間転写体ドラム105は、金属ドラム上に中抵抗の弾性層と高抵抗の表層を有するもので、感光体ドラム101に接触して或は近接して感光体ドラム101と略同じ周速度で矢示の反時計方向に回転駆動され、中間転写体ドラム105の金属ドラムにバイアス電位を与えて感光体ドラム101との電位差で感光体ドラム101側のトナー画像を該中間転写体ドラム105面側に転写させる。
【0037】
上記の回転中間転写体ドラム105面に合成形成されたカラートナー画像は、該回転中間転写体ドラム105と転写ローラ106との接触ニップ部である二次転写部T2において、該二次転写部T2に不図示の給紙部から所定のタイミングで送り込まれた記録材Pの面に転写されていく。転写ローラ106は記録材Pの背面からトナーと逆極性の電荷を供給することで中間転写体ドラム105面側から記録材P側へ合成カラートナー画像を順次に一括転写する。
【0038】
二次転写部T2を通過した記録材Pは中間転写体ドラム105の面から分離されて、次の(2)項で詳述する電磁誘導加熱方式の加熱定着装置100へ導入され、未定着トナー画像の加熱定着処理を受けてカラー画像形成物として機外の不図示の排紙トレイに排出される。
【0039】
記録材Pに対するカラートナー画像転写後の回転中間転写体ドラム105はクリーナ108により転写残りトナー・紙粉等の付着残留物の除去を受けて清掃される。このクリーナ108は常時は中間転写体ドラム105に非接触状態に保持されており、中間転写体ドラム105から記録材Pに対するカラートナー画像の二次転写実行過程において中間転写体ドラム105に接触状態に保持される。
【0040】
また転写ローラ106も常時は中間転写体ドラム105に非接触状態に保持されており、中間転写体ドラム105から記録材Pに対するカラートナー画像の二次転写実行過程において中間転写体ドラム105に記録材Pを介して接触状態に保持される。
【0041】
白黒画像などモノカラー画像のプリントモードも実行できる。また両面画像プリントモード、或は多重画像プリントモードも実行できる。
【0042】
両面画像プリントモードの場合は、加熱定着装置100を出た1面目画像プリント済みの記録材Pは不図示の再循環搬送機構を介して表裏反転されて再び二次転写部T2へ送り込まれて2面に対するトナー画像転写を受け、再度、加熱定着装置100に導入されて2面に対するトナー画像の定着処理を受けることで両面画像プリントが出力される。
【0043】
多重画像プリントモードの場合は、加熱定着装置100を出た1回目画像プリント済みの記録材Pは不図示の再循環搬送機構を介して表裏反転されずに再び二次転写部T2へ送り込まれて1回目画像プリント済みの面に2回目のトナー画像転写を受け、再度、加熱定着装置100に導入されて2回目のトナー画像の定着処理を受けることで多重画像プリントが出力される。
【0044】
(2)加熱定着装置100
図2は本発明に従う電磁誘導加熱方式の加熱装置としての加熱定着装置100の概略構成を示す横断面模型図、図3は磁界発生手段としての励磁コイルと磁性部材である磁性コア部分の斜視図と、励磁回路系のブロック図である。
【0045】
A)該装置100の全体的概略構成と定着動作
1は定着フィルムアセンブリ(加熱アセンブリ)であり、回転加熱部材としての円筒フィルム状抵抗体2(以下、定着フィルムと記す)、この円筒状の定着フィルム2を内側から支持する円筒状のフィルム支持部材3(以下、フィルムガイドと記す)、この円筒状のフィルムガイド3の内側に配設した磁界発生手段としての、交番磁束を発生する励磁コイル4と磁性コア5、等からなる。円筒状の定着フィルム2は円筒状のフィルムガイド3にルーズに外嵌させてある。
【0046】
上記の定着フィルムアセンブリ1はフィルムガイド3の両端側を装置の手前側と奥側の側板間に保持させて配設してある。
【0047】
6は加圧回転部材としての弾性加圧ローラであり、芯金6a上にシリコーンゴム層6bを2mm被覆させて弾性をもたせ、これを定着フィルムアセンブリ1の下側において装置の手前側と奥側の側板間に定着フィルムアセンブリ1と略並行にして軸受け保持させ、かつ定着フィルムアセンブリ1のフィルムガイド3の下面に定着フィルム2を挟ませて所定の押圧力をもって所定幅の定着ニップ部Nを形成させて圧接させてある。
【0048】
この加圧ローラ6は駆動源Mから駆動伝達系を介して駆動が伝達されて矢示の時計方向に所定の周速度で回転駆動される(加圧ローラ駆動式)。
【0049】
この加圧ローラ6の回転駆動に伴い、定着フィルムアセンブリ1と加圧ローラ6との圧接部である定着ニップ部Nにおいて、定着フィルムアセンブリ1のフィルムガイド3にルーズに外嵌させてある円筒状の定着フィルム2に対して回転加圧ローラ6と定着フィルム2の外面との摩擦力で円筒状の定着フィルム2に回転力が作用して該円筒状の定着フィルム2がフィルムガイド3の外回りを定着ニップ部Nにおいてフィルムガイド3の下面に対して内面が密着摺動しながら矢示の反時計方向に加圧ローラ6の回転周速度にほぼ対応した周速度をもって回転状態になる。
【0050】
図3の励磁回路系において、7は励磁コイル4に接続した励磁回路であり、この励磁回路7は交番電流を励磁コイル4へ供給できるようになっている。Sは電源である。
【0051】
8は温度検知素子としてのNTC素子(Negative Temperature Coefficient:負性温度係数素子)であり、図2のように定着ニップ部Nよりも定着フィルム移動方向下流側で定着ニップ部Nの近傍位置においてフィルムガイド3の外面に露呈させて配設してあり、回転する定着フィルム2の裏面に接触し、定着フィルム2の温度を電圧に変換してマイコン9に伝えている。
【0052】
10は矩形波発生回路で、マイコン8からの情報によって矩形波のデューティー比を変化させて励磁回路7内のスイッチング素子を制御する。
【0053】
励磁コイル4は励磁回路7から供給される交番電流によって交番磁束を発生する。その交番磁束は定着ニップ部Nの位置に対応している磁性コア5により定着ニップ部N近傍に集中して分布する。fは発生交番磁束を表している
交番磁束fは定着フィルム2の後述する電磁誘導発熱性層である抵抗体層に渦電流を発生させる。その渦電流は抵抗体層の固有抵抗によって抵抗体層にジュール熱を発生させる。即ち定着フィルム2が電磁誘導発熱する。この定着フィルム2の電磁誘導発熱は交番磁束fを集中して分布させた定着ニップ部N近傍において集中的に生じて定着ニップ部Nが高効率に加熱される。
【0054】
而して、加圧ローラ6が回転駆動され、それに伴って円筒状の定着フィルム2がフィルムガイド3の外回りを回転し、励磁回路7から励磁コイル4への給電により上記のように定着フィルム2の電磁誘導発熱がなされて定着ニップ部Nが所定の温度に立ち上がって温調された状態、本実施例では定着フィルム2が定着温度である180℃に温調制御された状態において、画像形成手段部側から搬送された未定着トナー画像tが形成された記録材Pが定着ニップ部Nの定着フィルム2と加圧ローラ6との間に画像面が上向き、即ち定着フィルム2面に対向して導入され、定着ニップ部Nにおいて画像面が定着フィルム2の外面に密着して定着フィルム2と一緒に定着ニップ部Nを挟持搬送されていく。この定着ニップ部Nを定着フィルム2と一緒に記録材Pが挟持搬送されていく過程において定着フィルム2の電磁誘導発熱で加熱されて記録材P上の未定着トナー画像tが加熱定着される。記録材Pは定着ニップ部Nを通過すると回転定着フィルム2の外面から分離して排出搬送されていく。
【0055】
2)定着フィルム2
図4は本例における定着フィルム2の層構成模型図である。
【0056】
本例の定着フィルム2は、抵抗体であるニッケルからなる厚み50μmの抵抗体層(以下、発熱層と記す)2aと、その外表面を被覆させたシリコーンゴムからなる弾性層2bと、更にその外表面を被覆させたフッ素樹脂の離型層2cからなる3層複合構造のものである。離型層2c側が外面側、発熱層2a側が内面側である。
【0057】
前述したように、抵抗体である発熱層2aに交番磁束fが作用することで該発熱層2aに渦電流が発生して該発熱層2aが発熱する。その熱が弾性層2b・離型層2cを介して定着ニップ部Nを加熱し、該定着ニップ部Nに通紙される被加熱材としての記録材Pを加熱してトナー画像tの加熱定着がなされる。
【0058】
抵抗体である発熱層2aは、ニッケル以外にも10−5〜10−10Ω・mの電気良導体である金属、金属化合物、有機導電体であればよく、より好ましくは透磁率が高い強磁性を示す鉄、コバルト等の純金属若しくはそれらの化合物を用いることができる。
【0059】
この発熱層2aの厚みは薄くすると十分な磁路が確保できなくなり、外部へ磁束が洩れて発熱体自身の発熱エネルギーは小さくなる場合があり、また厚くすると熱容量が大きくなり昇温に要する時間が長くなる傾向がある。
【0060】
従って、発熱層2aの厚みは用いた材料の比熱、密度、透磁率、抵抗率の値によって適正値があり、本実施例では10〜100μmの厚みの範囲で、3℃/sec以上の昇温速度を得ることができた。
【0061】
弾性層2bは、その硬度が高すぎると記録材あるいはトナー層の凹凸に追従しきれず画像光沢ムラが発生してしまう。そこで、弾性層2bの硬度としては60°(JIS−A)以下、より好ましくは45°(JIS−A)以下がよい。
【0062】
弾性層2bの熱伝導率λに関しては、
6×10−4〜2×10−3[cal/cm・sec・deg.]
がよい。
【0063】
熱伝導率λが6×10−4[cal/cm・sec・deg.]よりも小さい場合には、熱抵抗が大きく、定着フィルム2の表層における温度上昇が遅くなる。
【0064】
離型層2cは、PFA、PTFE、FEP等のフッ素樹脂以外に、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等の離型性かつ耐熱性のよい材料を選択することができる。
【0065】
離型層2cの厚さは20〜100μmが好ましく、厚さが20μmよりも小さいと塗膜の塗ムラで離型性の悪い部分ができたり、耐久性が不足するといった問題が発生する。また、100μmを越えると熱伝導が悪化するという問題が発生し、特に樹脂系の離型層の場合は硬度が高くなりすぎ、弾性層2bの効果がなくなってしまう。
【0066】
また、図5に示すように、上記図4の層構成の定着フィルム2の内面側(発熱層2aの自由面側)に更に断熱層2dを設けてもよい。断熱層2dを設けた場合、発熱層2aに発生した熱による励磁コイル4・磁性コア5の昇温を防止(あるいは緩和)できるため、安定した加熱をすることができる。
【0067】
断熱層2dとしてはフッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹脂、PPS樹脂、PFA樹脂、PTFE樹脂、FEP樹脂などの耐熱樹脂がよい。断熱層2dの厚さとしては10〜1000μmが好ましい。断熱層2dの厚さが10μmよりも小さい場合には断熱効果が得られず、また、耐久性も不足する。一方、1000μmを超えると磁性コア5から発熱層2aの距離が大きくなり、磁束が十分に発熱層2aに到達しなくなる。
【0068】
3)フィルムガイド3
フィルムガイド3は下側と上側の横断面略半円弧状樋型の成形部材3a・3bを重ね合わせることにより、両者3a・3bで略円筒体を構成させてある。フィルムガイド3はこれにルーズに外嵌させた円筒状の定着フィルム2の支持、定着フィルム2の回転時の搬送安定性を図る役目をする。
【0069】
下側のフィルムガイド半体3aは定着ニップ部Nへの加圧、磁場発生手段としての励磁コイル4・磁性コア5の支持部材の役目もし、磁束の通過を妨げない絶縁性の部材であり、高い加重に耐えられる、耐熱性のある材料が用いられる。
【0070】
例えば、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹脂、PPS樹脂、PFA樹脂、PTFE樹脂、FEP樹脂、LCP樹脂などを選択するとよい。
【0071】
上側のフィルムガイド半体3bも同材料で構成することができる。上側のフィルムガイド半体3bは省略した装置構成にすることもできる。
【0072】
4)励磁コイル4と磁性コア5
磁界発生手段は励磁コイル4と磁性コア5で構成させてある。
【0073】
励磁コイル4としては加熱に十分な交番磁束を発生するものでなければならないが、そのためには抵抗成分を低く、インダクタンス成分を高くとる必要がある。本実施例では励磁コイル4の芯線として線径φ1が0.2mmの銅線に耐熱絶縁被覆を施した細線を束ねて束線径φ2を3mmにした高周波用のものを用いて、定着ニップ部Nを周回するように10回巻いてある。
【0074】
励磁コイル4は本例の場合は、円筒状のフィルムガイド3の内面の略下半面形状に略対応させて舟形に電線を巻回して構成したものであり、この舟形の励磁コイル4を円筒状のフィルムガイド3内の略下半面部に位置させて保持させてある。磁性コア5はこの舟形の励磁コイル4内の略中央部に位置させてある。
【0075】
磁性コア5は励磁コイル4で発生する磁束を効率よく定着フィルム2に導くための高透磁率磁性部材である。本例のものはフェライトコアである。
【0076】
フェライトコア5は、
〔MXZn1−XFe2O4〕(Mは金属元素、xは組成)
の組成からなる金属酸化物に微量の添加物を加えたものであり、他の高透磁率材料に比較して極めて高い比抵抗を示し、渦電流による損失が小さいという特徴がある。
【0077】
また一般的に金属元素Mや組成xや添加物が異なると、フェライトの性能を代表する透磁率やキュリー温度や保持力等が異なる。
【0078】
本例では
比透磁率 2500
キュリー温度 205℃
のもの(トーキン製2500B)を用いている。
【0079】
前述したように励磁コイル4は励磁回路7から供給される交番電流によって交番磁束fを発生し、交番磁束は定着フィルム2の発熱層2aに渦電流を発生させる。この渦電流は発熱層2aの固有抵抗によってジュール熱を発生させて、弾性層2b、離型層2cを介して定着ニップ部Nに搬送される記録材Pと記録材P上のトナーTを加熱することができる。
【0080】
定着フィルム2の発熱層2aで発生する熱エネルギーは渦電流の大きさの二乗に比例し、渦電流の大きさは交番磁束のエネルギーに比例するので、定着フィルム2の温度を上昇させる時は励磁コイル4への磁界エネルギーを増加させて、逆に温度を下げる場合には磁界エネルギーを減少させればよい。
【0081】
この磁界エネルギーの加減は励磁コイル4に印加する電圧を加減しても良いし、電流を加減しても良い。
【0082】
通常の電灯線を利用する場合には定電圧源と考えられるので、安価に回路を構成するには励磁コイル4に流す電流を加減するのが好ましい。
【0083】
これらの電磁回路が共振条件を満たす範囲で考える場合、上記の電流の加減は励磁コイル4に与える電圧の印加時間の長短で制御可能である。即ち、電磁回路における磁界の振動周期に同期してスイッチングし、図6に示す電圧印加時間aや開放時間bを変化させることによって、定着フィルム2の温度を変えることができる。本例では開放時間bを固定して6msとし、電圧印加時間aを1〜15msの間で制御可能としている。
【0084】
従って、本例において励磁コイル4に供給される交番電圧としては、上記電圧印加時間aと開放時間bとの和時間を一周期とする周波数となり、約47〜143KHzの可変制御となる。
【0085】
マイコン9はNTC素子8から得た定着フィルム2の温度を一定の周期でサンプリングして、この情報に対して上記電圧印加時間aを算出し矩形波発生回路10から出力する。
【0086】
電圧印加時間aの算出方法としては、像加熱を可能にする適正温度(定着温度)とサンプリングされた温度との差を時間順にΔk−2、Δk−1、Δkとした場合
に、前回の電圧印加時間akに対して
1)βΔk‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥比例制御量
2)γ(Δk−1−Δk)‥‥‥‥‥‥‥微分制御量
3)δ(Δk−2+Δk−1+Δk)‥‥積分制御量
を加減乗算して今回の印加時間aを決定する所謂PID制御(Proportional Integral Differential:比例・積分・微分)を採用している。
【0087】
この制御において適当にβ、γ、δを設定することによって、例えば定着フィルム1の温度が低い場合には比例制御量が大きくなって印加時間aを長くし、また、系が冷えている状態で定着フィルム2の温度を他の部材が奪ってなかなか温度が上がらないような場合には、たとえ定着温度に近づいても微分制御量が大きくなってやはり印加時間aを長くするように設定できる。
【0088】
次に本実施例の特徴である磁性コアとしてのフェライトコア5の磁心損失と像加熱温度(定着温度)に関して説明する。
【0089】
本実施例では、フェライトコア5は円筒状の定着フィルム2に周囲を囲まれる形で構成配置されるため、フェライトコア5の温度は室温〜定着温度程度まで変化する可能性がある。そこで本発明ではフェライトコア5の特性値として磁心損失の温度特性に着目している。
【0090】
ここでいう磁心損失Pbとは、渦電流損失Pe、ヒステリシス損失Ph、残留損失Prを使って表される、
Pb=Pe+Ph+Pr
の量のことであるが、同様なフェライトコアの材料や形状であっても磁束の強さ及び周波数に大きく依存するものである。
【0091】
渦電流損失Peに関しては、周波数及び磁束の強さのほぼ二乗に比例する量として扱えるが、残留損失Prを併せて考えた場合の磁心損失Pbは、周波数及び磁束の強さに関してさらに複雑な関数となる。ただし定性的には周波数及び磁束の強さが増加すると磁心損失Pbは増加する傾向があって、ある範囲に関しては周波数のc乗、磁束の強さのd乗(c、dは実数)というように定量的に扱う事もできる。
【0092】
本実施例で用いたフェライトコア5、即ちトーキン製2500Bは50〜20
0KHz、50〜200mTの範囲で周波数の約1.3乗、磁束の強さの約3乗
で磁心損失が増加する。
【0093】
図7は上記フェライトコアの磁心損失に関する温度特性を示した図であり、実線のグラフ曲線Aは、周波数(f2)50KHz、磁束の強さ100mTの場合で、加熱定着装置が暖まっていない起動時(立上時)に供給される励磁電圧(最大出力)による磁心損失を代表する。この曲線Aによれば80℃近辺で最小値をとり、室温及び定着温度180℃近辺ではやや大きくなる。
【0094】
一方、点線のグラフ曲線Bは周波数(f1)150KHz、磁束の強さ50mTの場合で、定着フィルム2が定着温度に達して温調制御状態での励磁電圧(平衡時出力)に対する磁心損失を代表するものである。
【0095】
本実施例で用いたフェライトコアの温度特性によれば定着温度付近で磁心損失が増加する傾向にあるため、本例では上述のPID制御において、印加時間aの上限値を設けてこれを更新することによって、定着動作が連続して行われた場合でも磁心損失が増加してフェライトコアが高温になることを防いでいる。
【0096】
これら本実施例の制御の概略を図8に示す。
【0097】
即ち、起動時に印加時間aの上限値は最大値(本例では15ms)にリセットされて、まず定着フィルムの温度を時間とともにNTC素子によって検知し、これから前記PID制御によって印加時間aを決定する。
【0098】
上述のように印加時間aは定着フィルムの温度が低く、フェライトコアの温度で代表される系の温度が低い場合には最大に決定される。この場合励磁電圧の周波数は最低に、磁束の強さは最大になり、起動時の磁心損失は実線のグラフ曲線Aを推移する。室温では磁心損失が大きく、供給された電力は定着フィルム及びフェライトコアを昇温させる。フェライトコアの熱容量は大きいから、これの昇温によって定着フィルムから奪う熱の量を低減させて、定着フィルムの温度を迅速に上昇させることができる(動作1)。
【0099】
定着フィルムの温度が定着温度に達するか、フェライトコアが暖まっていて定着フィルムの温度上昇が高く維持されている場合には、PID制御により印加時間aを短くすると同時に印加時間aの上限値を定める。この上限値はフェライトコアの温度特性に依存し、定着温度付近で磁心損失が少なくとも室温時より低くなるように選んである。印加時間aが短縮されると励磁電圧の周波数が高くなるが、ここでは磁束の強さが磁心損失に関して高次で効くので、磁心損失は印加時間aの短縮とともに急激に下がる(動作2)。
【0100】
定着動作中は動作1及び2を繰り返しながら制御されるが、印加時間aは上限値以下で選ばれ、定着フィルムの温度が平衡状態にある場合には点線の曲線グラフB上に近づいているため、フェライトコアの定着動作での発熱は起動時の発熱に比較して十分小さくすることができる。したがって、室温からの起動時においてはフェライトコア自身が磁心損失によって発熱して定着フィルムから熱を奪うのを防ぐ状態を作るとともに、定着動作時には磁心損失が低減されてフェライトコアがキュリー温度を越えることを防いでいる。
【0101】
上述のように本実施例ではフェライトコア5の磁心損失の温度特性に合わせた温調制御を行うことによって、装置起動時は定着フィルム2の昇温を促進させて起動時間の短縮を図り、定着動作時は長時間の連続動作においても安定した性能が得られる構成とすることができる。
【0102】
実験によれば、励磁コイル4に固定周波数の励磁電圧を供給して同様な定着温度に制御する場合に比較して、本実施例ではウェイトタイムで10%以上短縮でき、1000枚連続動作時でもキュリー温度を越えることなく安定した動作を維持することを確認できた。
【0103】
本実施例の加熱定着装置100は定着フィルム2に弾性層2bや離型層2cを含み、これらの層2b・2cを介して発熱層2aの発熱が被加熱材である記録材Pに与えられるが、その熱抵抗はハロゲンヒータを内包する熱ローラ方式の加熱定着装置に比して小さく、実質的に発熱層2aの発熱を直接像加熱に消費するものであって、上記構成においてトナー量の多いフルカラー画像を定着する場合にも、トナー像を十分溶融することができ、高画質の画像形成装置を得ることができる。また、加熱定着装置100の熱容量が小さいためオンデマンド定着が可能で、待機中の消費電力を著しく低減させることができる。
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
〈第2の実施例〉(図9)
次に、本発明のさらなる他の実施例について説明する。
【0122】
図9は本実施例における加熱定着装置100の概略構成を示す横断面模型図である。
【0123】
本実施例の加熱定着装置100は、前述の第1の実施例の加熱定着装置100において加圧ローラ6の芯金6aを中空構造とし、内部にハロゲンヒータHを配して、このハロゲンヒータHへの通電によって電源投入後の待機時にスタンバイ温調制御を行っている。その他の装置構成は第1の実施例の加熱定着装置と同様である。
【0124】
フェライトコア5としては前出のトーキン製2500Bを用いており、磁心損失の温度特性は前述した図7に示した通りで、上記ハロゲンヒータHを用いて磁心損失が最小となる温度近傍に加圧ローラ6の温度を維持する。
【0125】
本例は室温からの装置起動時は最大出力(50KHz、100mT)の誘導加熱による定着フィルム2の加熱と、ハロゲンヒータHによる加圧ローラ6の加熱を行い、待機時からの動作では制限出力(100KHz、80mT)の誘導加熱によって定着フィルム2の昇温を図る。温調制御時は前述の第1の実施例と同様に制御する。
【0126】
このように制御することにより、第1の実施例と同様に装置起動時はフェライトコア5の磁心損失による発熱を有効利用し、定着動作時にはフェライトコア5が昇温してキュリー温度を越えることがないように磁心損失を抑制することができる。
【0127】
本例では待機時のスタンバイ温度制御を設けることによって、定着フィルム2に厚いゴム層などを弾性層2bとして設けて熱容量が大きい場合に、定着フィルム2の昇温を促進させて迅速な画像形成を可能にする。
【0128】
またスタンバイ温度としてフェライトコア5の磁心損失の最小となる温度を選ぶことにより、系が暖まっているときは磁心損失を最小限に抑えて、フェライトコア5の昇温防止及び省エネを図ることができる。
【0129】
〈第3の実施例〉(図10)
前述第1〜第3の実施例における画像形成装置(図1)は4色フルカラー画像形成装置であるが、モノクロあるいは1パルスマルチカラー画像形成装置等であってもよく、この場合は、電磁誘導発熱性の定着フィルム2は弾性層2bを省略した形態のものにすることもできる。また、発熱層2a・離型層2cの2層構成、断熱層2d・発熱層2a・離型層2cの3層構成、発熱層2a単層の部材など、任意の層構成にすることができる。発熱層2aは樹脂に金属フィラーを混入して構成したものとすることもできる。
【0130】
図10はモノクロ画像形成装置の一例の概略構成図である。本例の画像形成装置は転写式電子写真プロセス利用、プロセスカートリッジ着脱式、レーザービームプリンタである。
【0131】
ホストコンピュータより送られた画像情報信号によりスキャナー13からのレーザ光Lの強度を変調し、一次帯電器12で帯電された像担持体としての回転感光体ドラム11を走査露光して回転感光体ドラム11上に静電潜像を作成する。レーザ光Lの強度及び照射スポット径は画像形成装置の解像度及び所望の画像濃度によって適正に設定されており、感光体ドラム11上の静電潜像はレーザ光Lが照射された部分は明部電位VLに、そうでない部分は一次帯電器12で帯電された暗部電位VDに保持されることによって形成する。
【0132】
感光体ドラム11は矢印の反時計方向に回転して静電潜像は現像器14によって順次現像される。現像器14内のトナーはトナー供給回転体である現像スリーブ14aと現像ブレード14bとによって、トナー高さ、トリボを制御され、現像スリーブ上14aに均一なトナー層を形成する。現像ブレード14bとしては通常金属製若しくは樹脂製のものが用いられ、樹脂系のものは現像スリーブ14aに対して適正な当接圧をもって接している。現像スリーブ14a上に形成されたトナー層は現像スリーブ14a自身の回転にともない感光ドラム11に対向し、現像スリーブ14aに印加されている電圧VDCと感光ドラム11の表面電位が形成する電界によりVLの部分だけ選択的に顕像化する。
【0133】
感光体ドラム11上のトナー画像は転写装置15によって、給紙装置から送られてきた紙Pに順次転写される。転写装置としては図に示したコロナ帯電器以外に、導電弾性回転体に電源から電流を供給して紙に転写電荷を付与しながら搬送する転写ローラ方式がある。
【0134】
トナー画像を転写された紙は感光体ドラム11の回転と共にシートパス22から定着装置100へと送り出され、加熱加圧により永久固着画像となる。
【0135】
16はクリーナであり、転写後の回転感光体ドラム11の面から転写残りトナー等の残留付着物を除去する。
【0136】
17は給紙カセットであり、被記録材としての転写紙Pを積載収納してあり、該積載転写紙Pが給紙ローラ18の回転により一枚分離給紙され、シートパス19、レジストローラ対20、シートパス21を経由して所定の制御タイミングで転写部に給送される。
【0137】
定着装置100を出たトナー像定着済みの紙Pはシートパス23、排紙ローラ対24を経由して排紙トレイ25上に排出される。
【0138】
PCはプリンタ本体に対して着脱交換自在のプロセスカートリッジであり、本例の場合は感光体ドラム11・帯電器12・現像器14・クリーナ16の4つのプロセス機器を包含させてある。プロセスカートリッジPCに包含させるプロセス機器の組み合わせは上記に限られるものではなく任意である。
【0139】
〈第4の実施例〉(図11)
加熱定着装置100の装置構成は上述の実施形態例の加圧ローラ駆動方式に限られるものではない。
【0140】
例えば、図11の(a)ように、磁界発生手段としての励磁コイル4・磁性コア5を支持させたフィルムガイド3と、駆動ローラ31と、テンションローラ32との間に、エンドレスベルト状の電磁誘導発熱性定着フィルム2を懸回張設し、フィルムガイド3の下面部と従動回転加圧ローラ6とを定着フィルム2を挟んで圧接させて定着ニップ部Nを形成させ、定着フィルム2を駆動ローラ31によって回転駆動させる装置構成にすることもできる。
【0141】
(b)の装置のように、磁界発生手段としての励磁コイル4・磁性コア5を支持させたフィルムガイド3と、駆動ローラ31との間に、エンドレスベルト状の電磁誘導発熱性定着フィルム2を懸回張設し、フィルムガイド3の下面部と従動回転加圧ローラ6とを定着フィルム2を挟んで圧接させて定着ニップ部Nを形成させ、定着フィルム2を駆動ローラ31によって回転駆動させる装置構成にすることもできる。
【0142】
(c)の装置のように、電磁誘導発熱性定着フィルム2をロール巻きにした長尺のウエブ状部材にし、これを繰り出し軸33側から、磁界発生手段としての励磁コイル4・磁性コア5を支持させたフィルムガイド3の下面を経由させて巻き取り軸9側に係止させ、フィルムガイド3の下面部と従動回転加圧ローラ6とを定着フィルム2を挟んで圧接させて定着ニップ部Nを形成させ、定着フィルム2を繰り出し軸33側から巻き取り軸34側へ所定の速度で巻き取り走行移動させる装置構成である。
【0143】
〈第5の実施例〉(図12)
電磁誘導発熱性部材は固定部材とした装置構成のものとすることもできる。図12はその例を示すものである。
【0144】
Aは下側フィルムガイド3aの下面部に固定して配設した電磁誘導発熱性の横長板部材(鉄板などの発熱板)である。この固定の電磁誘導発熱性部材Aと加圧ローラ6とを耐熱性の薄肉の定着フィルムFを挟ませて圧接させてニップ部Nを形成させてある。
【0145】
励磁コイル4は横断面門型(下向きコ字形)の磁性コア(フェライトコア)5に巻き付けて、このフェライトコア5を下側フィルムガイドの内側において発熱板Aの上側に配設してある。
【0146】
定着フィルムFは、例えばポリイミド樹脂等の耐熱性ベースフィルム(支持層)とその外周面に形成した離型層からなる円筒状の薄肉の低熱容量のフィルム部材(回転加熱部材)であり、円筒状のフィルムガイド3にルーズに外嵌させてある。この定着フィルムF自体は電磁誘導発熱性はない。
【0147】
定着フィルムFは加圧ローラ6の回転駆動に伴い定着ニップ部Nをその内側面が固定の電磁誘導発熱性部材Aの下面に密着して摺動しながら回転する(加圧ローラ駆動方式)。
【0148】
固定の電磁誘導発熱性部材Aは励磁コイル4に交番電流が印加されることで生じる交番磁束をフェライトコア5で集中的に受けて電磁誘導発熱する。
【0149】
そして定着ニップ部Nの定着フィルムFと加圧ローラ6の間に記録材Pが導入されて定着フィルムFと一緒に定着ニップ部Nを挟持搬送されていく過程において、固定の電磁誘導発熱性部材Aの発熱エネルギーを定着フィルムFを介して受けて加熱され、トナー画像tの定着がなされる。
【0150】
本例では定着フィルムFに電磁誘導発熱層を持たないために安価な構成となり、また柔軟性も富むために定着フィルムFを小径化することができて装置を小型化しやすいという特徴がある。
【0151】
定着フィルムFの層構成は上記例に限らず、耐熱性ベースフィルムと離型層との間に弾性層を介在させるなど他の層構成のものにすることもできる。
【0152】
〈その他〉
1)上述の各実施例の加熱定着装置100においては加圧ローラ6を位置固定して配置し、これに定着フィルムアセンブリ(加熱アセンブリ)1を付勢手段により押圧して両者間に定着ニップ部Nを形成させているが、逆に定着フィルムアセンブリ1側を位置固定しこれに加圧ローラ6を付勢手段により押圧して定着ニップ部Nを形成させてもよいし、定着フィルムアセンブリ1側と加圧ローラ6側の両方をそれぞれ付勢部材で相互押圧させて定着ニップ部Nを形成させてもよい。
【0153】
2)磁界発生手段としての励磁コイル4や磁性部材(磁性コア)5の形態は実施例のものに限られないことは勿論である。
【0154】
3)画像形成装置の画像形成原理・方式は電子写真プロセスに限らず、転写方式あるいは直接方式の静電記録プロセス、磁気記録プロセスなどその他任意である。
【0155】
4)加圧部材6はローラ体に限らず、回動ベルト型など他の形態の部材にすることもできる。
【0156】
第3の実施例のように加圧部材6を加熱する場合の加熱手段はハロゲンヒータHに限らず、その他の加熱手段であってもよいことは勿論である。
【0157】
5)本発明の加熱装置は実施例の加熱定着装置としてに限らず、画像を担持した記録材を加熱してつや等の表面性を改質する像加熱装置、仮定着する像加熱装置として使用できる。
【0158】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、電磁誘導加熱方式の加熱装置について、小熱容量の加熱装置を実現して省電力動作を可能とし、しかも長時間の動作においても安定した加熱動作を実現できる。
【0159】
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施例における画像形成装置例の概略構成図
【図2】 電磁誘導加熱方式加熱装置としての加熱定着装置の横断面模型図
【図3】 磁界発生手段(励磁コイル・磁性コア)部分の斜視模型図と励磁回路系のブロック図
【図4】 電磁誘導発熱性定着フィルムの層構成模型図(その1)
【図5】 電磁誘導発熱性定着フィルムの層構成模型図(その2)
【図6】 励磁コイルに対する電圧印加時間の説明用グラフ図
【図7】 第1の実施例の原理を説明するグラフ図
【図8】 制御動作フロー図
【図9】 第2の実施例の加熱定着装置の横断面模型図
【図10】 第3の実施例における画像形成装置の概略構成図
【図11】 (a)・(b)・(c)はそれぞれ加熱定着装置の他の構成形態例の概略図
【図12】 第5の実施例の加熱定着装置の横断面模型図
【符号の説明】
100 電磁誘導加熱方式の像加熱装置(加熱定着装置)の総括符号
1 定着フィルムアセンブリ(加熱アセンブリ)
2 電磁誘導発熱性定着フィルム
3(3a・3b) フィルムガイド
4 励磁コイル
5 磁性部材(磁性コア、フェライトコア)
6 加圧ローラ
7 励磁回路
8 温度検知素子(NTC素子)
9 マイコン
10 矩形波発生回路
S 電源
M 加圧ローラ駆動手段
N 定着ニップ部
P 被加熱材(記録材)
Claims (6)
- 電磁誘導発熱性部材に磁界発生手段の交番磁束を作用させて発熱させ、その発熱により記録材に熱軟化性有色樹脂の顕画剤を熱定着させる像加熱装置であって、
磁界発生手段としての励磁コイル及び磁性部材と、励磁コイルに給電する励磁回路と、該励磁回路の出力を制御して電磁誘導発熱性部材の温度を制御する温度制御手段を有し、
上記励磁回路から励磁コイルに供給される励磁電圧は電圧印加時間と開放時間の和時間を一周期とし、かつ開放時間に対して電圧印加時間を変動させることで周波数を変化させる交番電圧であり、
上記温度制御手段は上記交番電圧の周波数を、電磁誘導発熱性部材の温度を熱定着時の所定温度に維持する時の周波数f1が装置を立ち上げるときの周波数f2よりも大となるように制御し、
上記磁界発生手段の磁性部材は、その磁心損失が上記交番電圧の周波数がf2の時よりもf1の時の方が小さくなる材料からなる、
ことを特徴とする像加熱装置。 - 電磁誘導発熱性部材は回転体であることを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
- 磁界発生手段としての励磁コイル及び磁性部材は電磁誘導発熱性部材である回転体の中空部に配されていることを特徴とする請求項2に記載の像加熱装置。
- 電磁誘導発熱性部材である回転体は円筒フィルム状抵抗体からなることを特徴とする請求項2又は3に記載の像加熱装置。
- 磁性部材の磁心損失の最小値を与える温度は熱軟化性有色樹脂の顕画剤のガラス転移温度以上であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1つに記載の像加熱装置。
- 熱定着時の温度を磁性部材の磁心損失の最小値を与える温度近傍に維持することを特徴とする請求項5に記載の像加熱装置。
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