JP4691797B2 - プリント配線板及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は,フラットプラグが形成された絶縁基板を有するプリント配線板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
プリント配線板には,図8(B)に示すごとく,表側面921に設けた表側導体パターン931と裏側面922に設けた裏側導体パターン932の間の導通を図るフラットプラグ94が形成された絶縁基板92を有するものがある。フラットプラグ94は,スルーホール941内を充填材944により閉塞されており,その上下端は略平坦である。
【0003】
上記フラットプラグ94は,スルーホール941の中に充填材944を充填して形成される。フラットプラグ94の開口部948は,上記プリント配線板9の表側面921は光硬化型レジスト95で,裏側面922は熱硬化型レジスト96で被覆している。なお,図8(A)(B)において,符号933は半田ボールを搭載するためのパッド部であり,その表面には金メッキ層934が形成されている。
【0004】
上記プリント配線板9を製造するに当たっては,上記絶縁基板92に設けたスルーホール941の内壁942に導体膜943を形成する。次いで,上記スルーホール941の中に充填材944を充填しフラットプラグ94の栓詰めを行なう。次いで,表側導体パターン931及び裏側導体パターン932を形成する。次いで,上記裏側面922に熱硬化型レジスト96を印刷し,これを熱硬化させる。次いで,表側面921に光硬化型レジスト95を塗布,印刷して,これを露光,現像する。
【0005】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記絶縁基板92の裏側面922に印刷した熱硬化型レジスト96を加熱するときに,熱硬化型レジスト96の一部の成分がフラットプラグ94の導体膜943と充填材944との間に侵入する。そして,図8(B)に示すごとく,上記熱硬化型レジスト96の一部の成分が上記導体膜943と充填材944との間を伝って上記絶縁基板92の表側面921にまで上昇する。
【0006】
このため,図8(A)に示すごとく,上昇してきた熱硬化型レジスト96の一部の成分からなる茶褐色部99上に表側面921を被覆する光硬化型レジスト95を印刷すると,色調が薄い光硬化型レジスト95の上から上記茶褐色部99が透けて見え,プリント配線板9の見栄えが低下する。
また,上記導体膜943と上記充填材944との間の隙間に,処理液やエアが侵入すると,上記導体膜943が腐食したりクラックが生じたりするおそれがある。そのため,導通信頼性に欠けるという問題もある。
【0007】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,フラットプラグの開口周辺部の変色がなく,かつ導通信頼性の高いプリント配線板及びその製造方法を提供しようとするものである。
【0008】
【課題の解決手段】
請求項1に記載の発明は,外側に配置された2枚の表層絶縁基板と,該表層絶縁基板の間に配置された内層絶縁基板とよりなる多層のプリント配線板であって,
上記両表層絶縁基板は,その外表面である表側面に設けた表側導体パターンと,その内側面である裏側面に設けた裏側導体パターンとを有すると共に,上記表側導体パターンと裏側導体パターンとの間の電気的導通を図るフラットプラグが形成されており,かつ上記表側面は光硬化型レジストにより被覆され,上記裏側面は熱硬化型レジストにより被覆されており,
上記フラットプラグは,上記表層絶縁基板を貫通するスルーホールの内壁に導体膜を被覆してなると共に,該スルーホール内に充填材を充填してなり,
該スルーホール内壁の上記導体膜には粗化面が形成され,該粗化面の凹部に対して上記充填材が食い込んでおり,該粗化面は,上記導体膜に対して垂直方向に凹凸が形成されており,
一方,上記内層絶縁基板は,その両面に内部導体パターンを有すると共に該両面の内部導体パターンの間の電気的導通を図る内部フラットプラグを有してなり,また上記内部導体パターンの両面は共に熱硬化型レジストにより被覆されていることを特徴とするプリント配線板にある。
【0009】
本発明において最も注目すべきことは,2枚の表層絶縁基板と,該表層絶縁基板の間に配置された内層絶縁基板とよりなる多層のプリント配線板であること,
上記両表層絶縁基板は,表側導体パターンと裏側導体パターンとの間の電気的導通を図るフラットプラグが形成されており,かつ表側面は光硬化型レジストにより被覆され,裏側面は熱硬化型レジストにより被覆されており,
上記スルーホール内壁の導体膜に形成した粗化面の凹部には,上記充填材が食い込んでいること,
上記粗化面は,上記導体膜に対して垂直方向に凹凸が形成されていること,
一方,上記内層絶縁基板は,その両面の内部導体パターンの間に内部フラットプラグを有してなり,また上記内部導体パターンの両面は共に熱硬化型レジストにより被覆されていることである。
【0010】
上記充填材を構成するマトリックス樹脂としては,例えば,エポキシ樹脂やポリイミド樹脂,ポリエーテルサルホン等があげられる。この中でも,特にエポキシ樹脂を用いることが望ましい。また,上記充填材は,ヒートサイクル特性の改善のために,上記マトリックス樹脂中に分散材を混合させることが望ましい。かかる分散材としては,エポキシ樹脂やポリイミド樹脂等の有機フィラー,シリカやアルミナ等の無機フィラー,ガラスファイバーやジルコニア等の無機ファイバー,或いは銅粉等の金属粉を用いることができる。
【0011】
また,上記光硬化型レジストとしては,例えばエポキシ樹脂とアクリル酸エステルなどからなる液状のものがある。
また,上記熱硬化型レジストとしては,例えばエポキシ樹脂と酸化鉄を主とする無機フィラーとからなるものがある。
【0012】
次に,本発明の作用効果につき説明する。
本発明においては,スルーホールの内壁を覆う導体膜に粗化面が形成されている。
該粗化面は上記導体膜に対して略垂直方向に凹凸が形成されている。
そして,この略垂直方向の凹凸を有する粗化面に上記フラットプラグの充填材が食い込んでいる。
そのため,その投錨効果によって,充填材が導体膜に対して強く密着する。
【0013】
そのため,最外部に配置された表層絶縁基板におけるフラットプラグの裏側開口部を覆う熱硬化型レジストが,導体膜と充填材との間に侵入することはなく,表側開口部に移行することもない。ゆえに,プリント配線板の最外部に位置する表層絶縁基板におけるフラットプラグの開口周辺部が変色するおそれがない多層のプリント配線板を得ることができる。
また,上記垂直状凹凸の粗化面を有する導体膜と充填材とが密着しているため,これらの間に処理液やエアが侵入することもない。そのため,導体膜が腐食したりクラックが生じたりするおそれもなく,導通信頼性の高い多層プリント配線板を得ることができる。
【0014】
以上のごとく,本発明によれば,フラットプラグの開口周辺部の変色がなく,かつ導通信頼性の高い多層のプリント配線板を提供することができる。
【0015】
上記多層のプリント配線板は,2枚の上記表層絶縁基板の間に少なくとも1つの上記内層絶縁基板を重ねて積層してなる。
そのため,フラットプラグの開口周辺部の変色がなく,かつ導通信頼性の高い多層のプリント配線板を得ることができる。
【0016】
上記光硬化型レジストを被覆した上記表層絶縁基板の表側面は,プリント配線板の最表面である。
この場合,光硬化型レジストをプリント配線板の最表面に形成しているため,上記光硬化型レジストを露光,現像することにより,例えばボンディングパッドや接続端子の部分など,所望の部分を開口させることができる。
【0017】
請求項2の発明のように,上記粗化面は,上記導体膜表面に,第二銅錯体と有機酸とを含むエッチング液を用いて粗化処理を施すことにより形成されたものであることが好ましい。
【0018】
かかる化学的粗化処理により形成される粗化面は,表面にほぼ垂直方向に凹凸が形成され,凸部の交絡が少ない。このため,凹部に溜まったエッチング残さ・塵などが洗浄により除去されやすい。それゆえ,粗化面は,投錨効果が大きく,充填材に対する接合強度に優れている。また,熱サイクル試験を行っても,優れた接合強度を維持することができ,耐熱疲労性にも優れている。
【0019】
上記のように,粗化面は上記導体膜に対して垂直方向に凹凸が形成されている。これにより,エッチング残さや塵等の残留を更に防止し,優れた接合強度を維持することができる。
【0020】
請求項3の発明のように,上記粗化面には,25μm2当たり2〜100個の凸部を有することが好ましい。2個未満の場合または100個を越える場合には,接合強度が低下するおそれがある。
【0021】
請求項4の発明のように,上記粗化面は,略多面体の凹凸を有することが好ましい。これにより,凹部に溜まったエッチング残さ・塵などが洗浄により除去されやすい。それゆえ,粗化面は,投錨効果が大きく,充填材に対する接合強度及び耐熱疲労性に優れる。
【0022】
請求項5の発明は,請求項1に記載の多層のプリント配線板を製造する方法において,
上記両表層絶縁基板にスルーホールを形成する工程と,
上記スルーホールの内壁に導体膜を形成する工程と,
上記導体膜に粗化面を形成する工程と,
上記スルーホール内部に充填材を充填してフラットプラグを形成する工程と,
上記表層絶縁基板の上記表側面及び裏面側に,上記表側導体パターン及び裏側導体パターンを形成する工程と,
上記裏側導体パターンを形成した裏側面を熱硬化型レジストにより被覆する工程と,
上記表側導体パターンを形成した表側面を光硬化型レジストにより被覆する工程とを含み,
上記粗化面は,第二銅錯体と有機酸とを含むエッチング液を用いて粗化処理を施すことにより形成することを特徴とする多層のプリント配線板の製造方法である。
【0023】
本製造方法によれば,スルーホール内壁を覆う導体膜表面に,上記のように略垂直状凹凸の粗化面を形成しているため,充填材が粗化面に対して密着する。そのため,フラットプラグの開口周辺部の変色がなく,かつ導通信頼性の高い多層のプリント配線板を得ることができる。
【0024】
スルーホール内壁の導体膜は,たとえば金属メッキ処理により形成する。
次いで,上記スルーホール内に充填材を充填してフラットプラグを形成し,表側導体パターン,裏側導体パターンを,たとえばアディティブ法,セミアディティブ法,サブトラクティブ法などの方法により形成する。
上記表層絶縁基板の裏側面には,熱硬化型レジストを印刷し,これを熱硬化させる。
上記表層絶縁基板の表側面には,光硬化型レジストを印刷し,この光硬化型レジストの露光,現像を行う。
【0025】
多層のプリント配線板を製造する場合には,実施形態例1に示すように,2枚の表層絶縁基板と上記熱硬化型レジストで被覆して熱硬化させた状態の内層絶縁基板を少なくとも1枚準備し,これらをプリプレグを介して積層し,熱圧着する。そして,両表層絶縁基板の最表面に光硬化型レジストを被覆して,露光,現像を行う。
【0026】
上記粗化面は,第二銅錯体と有機酸とを含むエッチング液を用いて粗化処理を施すことにより形成する。
【0027】
導体膜に対する粗化処理は,第二銅錯体と有機酸とを含有するエッチング液を用いる化学的表面処理により行われる。かかる粗化処理により形成された粗化面は,表面にほぼ垂直方向に凹凸が形成され,凸部の交絡が少ない。また,凹凸面は略多面体形にエッチングされている。このため,凹部に溜まったエッチング残さ・塵などが洗浄により除去されやすい。それゆえ,粗化面は,投錨効果が大きく,電子部品の接合強度に優れている。また,熱サイクル試験を行っても,優れた接合強度を維持することができ,耐熱疲労性にも優れている。
【0028】
上記粗化処理は,上記エッチング液を,スプレーやバブリング等の酸素共存条件下で,導体膜表面に接触させることにより行う。その際,導体膜は,以下の作用によって溶解し,表面が粗化面となる。
【0029】
【化1】
【0030】
「化1」に示すように,発生した第一銅錯体は,酸の作用で溶解し,酸素と結合して第二銅錯体となって,再び銅の酸化に寄与する。
【0031】
本発明で用いる第二銅錯体は,アゾール類の第二銅錯体がよい。この種の第二銅錯体は,金属銅等を酸化する酸化剤として作用する。アゾール類としては,ジアゾール,トリアゾールやテトラゾールがよい。中でも,イミダゾール,2−メチルイミダゾール,2−エチルイミダゾール,2−エチル−4−メチルイミダゾール,2−フェニルイミダゾール,2−ウンデシルイミダゾール等がよい。アゾール類の第二銅錯体の添加量は,1〜15重量%がよい。溶解性及び安定性に優れるからである。
【0032】
上記有機酸は,酸化銅を溶解させるために,第二銅錯体に配合される。アゾール類の第二銅錯体を用いる場合には,有機酸は特に限定されず,種々の酸を用いることができる。かかる有機酸としては,ギ酸,酢酸,プロピオン酸,酪酸,吉草酸,カプロン酸,アクリル酸,クロトン酸,シュウ酸,マロン酸,コハク酸,グルタル酸,マレイン酸,安息香酸,グリコール酸,乳酸,リンゴ酸,スルファミン酸等からなる群より選ばれる少なくとも1種がよい。有機酸の合有量は,0.1〜30重量%がよい。酸化された銅の溶解性を維持し,かつ溶解安定性を確保するためである。
【0033】
本発明において用いるエッチング液には,銅の溶解やアゾール類の酸化作用を補助するために,フッ素イオン,塩素イオン,臭素イオン等のハロゲンイオンを加えることができる。ハロゲンイオンの供給には,塩酸,塩化ナトリウム等を用いることができ,これらをエッチング液に添加するのがよい。ハロゲンイオンの量は,0.01〜20重量%がよい。形成された粗化面と充填材との密着性を高めるからである。
【0034】
本発明にかかるエッチング液は,アゾール類の第二銅錯体と有機酸(必要に応じてハロゲンイオン)とを,水に溶解して調製することができる。また,市販のエッチング液,例えば,メック社製,商品名「メック エッチボンド」を使用することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
実施形態例1
本発明の実施形態例にかかる多層プリント配線板につき,図1〜図5を用いて説明する。
本例の多層プリント配線板1は,図1に示すごとく,2枚の表層絶縁基板(符号2)と,両者の間に配置した内層絶縁基板(符号8)を積層してなる。
プリント配線板1を構成する絶縁基板のうち外側に配置される2枚の絶縁基板は表層絶縁基板2である。表層絶縁基板2は,表側面21に設けた表側導体パターン31と裏側面22に設けた裏側導体パターン32を有する。
以下,表層絶縁基板2,内層絶縁基板8につき,順次説明する。
【0036】
表層絶縁基板2には,上記表側導体パターン31と裏側導体パターン32との間の電気的導通を図るフラットプラグ4が形成されている。表層絶縁基板2は,表側面21が光硬化型レジスト5により被覆され,裏側面22が熱硬化型レジスト6により被覆されている。
【0037】
上記フラットプラグ4は,上記表層絶縁基板2を貫通するスルーホール41の内壁42に導体膜43を被覆してなると共に,該スルーホール41内に充填材44を充填してなる。図2に示すごとく,上記スルーホール41の内壁42の導体膜43には粗化面45が形成され,該粗化面45の凹部451に対して充填材44が食い込んでいる。
【0038】
図1に示すごとく,光硬化型レジスト5を被覆した上記表層絶縁基板2の表側面21は,プリント配線板1の最表面である。
上記プリント配線板1を構成する3枚の絶縁基板のうち真中の絶縁基板は内層絶縁基板8である。この内層絶縁基板8の両面にも内部導体パターン38が設けてある。この両面の内部導体パターン38の間の電気的導通を図る内部フラットプラグ84が上記内層絶縁基板8に設けてある。上記内層絶縁基板8の両面は,熱硬化型レジスト6により被覆されている。内部フラットプラグ84は,粗化面が形成されていない以外は,上記表層絶縁基板2のフラットプラグ4と同様の構成である。
【0039】
表層絶縁基板2と内層絶縁基板8との間は,下部導体回路32と内部導体回路38の間の絶縁を確保するためのプリプレグ11が介在している。
上部導体回路31におけるパッド部311は,光硬化型レジスト5から露出している。パッド部311には金メッキ層34が形成されていると共に,その上には電子部品が実装されたり,他のプリント配線板と接続するための半田ボール12が形成されている。
【0040】
次に,本例のプリント配線板の製造方法につき,図3を用いて説明する。
まず,表面層絶縁基板2及び内層絶縁基板8として,ガラスエポキシ樹脂基板を準備する。
次に,上記表層絶縁基板2に穴明けを行ない,スルーホール41を形成する(ステップS1)。
次いで,スルーホール41の内壁42の導体膜43を銅メッキにより形成する(ステップS2)。
【0041】
次いで,上記スルーホール41内の導体膜43に,エッチング液を用いて粗化処理を施す(ステップS3)。エッチング液は,イミダゾール銅(II)錯体10重量部,グリコール酸7重量部,塩化カリウム5重量部,及びイオン交換水78重量部の混合液である。表層絶縁基板2の表面を,スルーホールを開口させる穴を有するマスクにより被覆し,この状態で,表層絶縁基板2を上記エッチング液に浸漬して,スルーホール41内にエッチング液を供給する。エッチング液は,空気を吹き込むなどの手法によりバブリングさせる。本粗化処理はCZ処理とも呼ばれている。
【0042】
上記粗化処理を施した後,上記スルーホール41内に充填材44としてエポキシ樹脂を充填する(ステップS4)。
次いで,上記表側導体パターン31,裏側導体パターン32を銅メッキ,エッチングにより形成する(ステップS5)。
次いで,上記表層絶縁基板2の裏側面22に熱硬化型レジスト6を印刷し,これを熱硬化させる(ステップS6,S7)。
以上の工程により,上基板101及び下基板102を作製する(図1)。
【0043】
一方,上記ステップS1,S2,S4を同様に行なった内層絶縁基板8の少なくとも片面に,熱硬化型レジスト6を印刷し,これを熱硬化させて中基板103を作製する(図1)。
次いで,上記下基板102,中基板103,及び上基板101を,プリプレグ11を介して積層し,熱圧着する(ステップS8,S9)。このとき,上記上基板101と下基板102における,熱硬化型レジスト6を施した裏側面22を内側に向けて積層する(図1)。
次いで,積層されたプリント配線板1の最表面に,外層導体パターンを形成する(ステップS10)。
【0044】
次いで,プリント配線板1の最表面となる表層絶縁基板2の表側面21に光硬化型レジスト5を印刷して,露光,現像を行なう(ステップS11,S12)。
次いで,光硬化型レジスト5から露出させたパッド部311に,Ni/Auメッキを施す(ステップS13)。
形成されたNi/Auメッキ層34の上に,半田ボール12を搭載する(ステップS14)。
【0045】
次に,本例の作用効果につき説明する。
上記プリント配線板1の上基板101及び下基板102においては,スルーホール41の内壁42を覆う導体膜43に粗化面45が形成されている。そして,該粗化面45に充填材44が食い込んでいるため,該充填材44が上記導体膜43に対して密着する(図2)。
【0046】
図4に概念的に示すごとく,粗化面45には,ほぼ垂直方向に25μm2当たり平均30個の凸部451を有する凹凸が形成されており,図5の比較例に示したような凸部451の交絡はみられなかった。また,凹凸を有する粗化面45には抉り取ったような略多面体形状が認められた。
このことから,スルーホール41内の導体膜43が充填材44に対して優れた接合強度を発揮するのは,凹部452に溜まったエッチング残さ・塵459が洗浄により除去されやすく,粗化面45の大きな投錨効果が働くからであると考えられる。
【0047】
そのため,フラットプラグ4の裏側開口部49を覆う熱硬化型レジスト6が,導体膜43と充填材44との間に侵入することはなく,表側開口部48に移行することもない。ゆえに,フラットプラグ4の表側開口部48周辺が変色するおそれはない。
また,上記導体膜43と充填材44とが密着しているため,これらの間に処理液やエアが侵入することもない。そのため,導体膜43が腐食したりクラックが生じたりするおそれもなく,導通信頼性の高いプリント配線板1を得ることができる。
【0048】
実施形態例2
本例は,図6,図7に示すごとく,両面に導体パターンを有する絶縁基板からなるプリント配線板の例である。
即ち,本例のプリント配線板10は,図6に示すごとく,絶縁基板20の表側面21に設けた表側導体パターン31と裏側面22に設けた裏側導体パターン32を有すると共に,フラットプラグ4を有する。また,上記絶縁基板20の表側面21は光硬化型レジスト5により被覆され,裏側面31は熱硬化型レジスト6により被覆されている。
【0049】
上記フラットプラグ4は,実施形態例1の表層絶縁基板2におけるフラットプラグ4と同様の構成である。
本例のプリント配線板10の製造方法につき,図7を用いて説明する。
まず,上記絶縁基板20に穴明けを行ない,スルーホール41を形成する(ステップT1)。
次いで,スルーホール41の内壁42の導体膜43を銅メッキにより形成する(ステップT2)。
【0050】
次いで,上記スルーホール41内の導体膜43に粗化処理を施す(ステップT3)。粗化処理は,実施形態例1と同様の方法で行なう。
上記粗化処理を施した後,上記スルーホール41内に充填材44を充填する(ステップT4)。
次いで,上記表側導体パターン31,裏側導体パターン32をエッチングにより形成する(ステップT5)。
次いで,上記絶縁基板20の裏側面22に熱硬化型レジスト6を印刷し,これを熱硬化させる(ステップT6,T7)。
【0051】
次いで,上記絶縁基板20の表側面21に光硬化型レジスト5を印刷して,露光,現像を行なう(ステップT8,T9)。
次いで,光硬化型レジスト5を開口して露出させたパッド部311に,Ni/Auメッキを施す(ステップT10)。
形成されたNi/Auメッキ層34の上に,半田ボール11を搭載する(ステップT11)。
【0052】
その他は,実施形態例1と同様である。
また,本例で特に示さなかった図6における符号は,実施形態例1で示したものと同様のものを表す。
本例の場合にも,実施形態例1と同様の作用効果を有する。
【0053】
【発明の効果】
上述のごとく,本発明によれば,フラットプラグの開口周辺部の変色がなく,かつ導通信頼性の高いプリント配線板及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1における,プリント配線板の断面図。
【図2】実施形態例1における,フラットプラグの導体膜の粗化面を表す説明図。
【図3】実施形態例1における,プリント配線板の製造方法のフロー図。
【図4】実施形態例1における,粗化面の説明図。
【図5】比較例における,凸部が交絡している粗化面の説明図。
【図6】実施形態例2における,プリント配線板の断面図。
【図7】実施形態例2における,プリント配線板の製造方法のフロー図。
【図8】従来例における,フラットプラグ開口周辺部の上面図(A),及び(A)のA−A断面相当のプリント配線板の断面図(B)。
【符号の説明】
1,10...プリント配線板,
2...表層絶縁基板,
20...絶縁基板,
21...表側面,
22...裏側面,
31...表側導体パターン,
32...裏側導体パターン,
4...フラットプラグ,
41...スルーホール,
43...導体膜,
44...充填材,
45...粗化面,
5...光硬化型レジスト,
6...熱硬化型レジスト,
Claims (5)
- 外側に配置された2枚の表層絶縁基板と,該表層絶縁基板の間に配置された内層絶縁基板とよりなる多層のプリント配線板であって,
上記両表層絶縁基板は,その外表面である表側面に設けた表側導体パターンと,その内側面である裏側面に設けた裏側導体パターンとを有すると共に,上記表側導体パターンと裏側導体パターンとの間の電気的導通を図るフラットプラグが形成されており,かつ上記表側面は光硬化型レジストにより被覆され,上記裏側面は熱硬化型レジストにより被覆されており,
上記フラットプラグは,上記表層絶縁基板を貫通するスルーホールの内壁に導体膜を被覆してなると共に,該スルーホール内に充填材を充填してなり,
該スルーホール内壁の上記導体膜には粗化面が形成され,該粗化面の凹部に対して上記充填材が食い込んでおり,該粗化面は,上記導体膜に対して垂直方向に凹凸が形成されており,
一方,上記内層絶縁基板は,その両面に内部導体パターンを有すると共に該両面の内部導体パターンの間の電気的導通を図る内部フラットプラグを有してなり,また上記内部導体パターンの両面は共に熱硬化型レジストにより被覆されていることを特徴とするプリント配線板。 - 請求項1において、上記粗化面は,上記導体膜表面に,第二銅錯体と有機酸とを含むエッチング液を用いて粗化処理を施すことにより形成されたものであることを特徴とするプリント配線板。
- 請求項1又は2において,上記粗化面には,25μm 2 当たり2〜100個の凸部を有することを特徴とするプリント配線板。
- 請求項1〜3のいずれか1項において,上記粗化面は,略多面体の凹凸を有することを特徴とするプリント配線板。
- 請求項1に記載の多層のプリント配線板を製造する方法において,
上記両表層絶縁基板にスルーホールを形成する工程と,
上記スルーホールの内壁に導体膜を形成する工程と,
上記導体膜に粗化面を形成する工程と,
上記スルーホール内部に充填材を充填してフラットプラグを形成する工程と,
上記表層絶縁基板の上記表側面及び裏面側に,上記表側導体パターン及び裏側導体パターンを形成する工程と,
上記裏側導体パターンを形成した裏側面を熱硬化型レジストにより被覆する工程と,
上記表側導体パターンを形成した表側面を光硬化型レジストにより被覆する工程とを含み,
上記粗化面は,第二銅錯体と有機酸とを含むエッチング液を用いて粗化処理を施すことにより形成することを特徴とする多層のプリント配線板の製造方法。
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