JP4684498B2 - 化粧料用基剤およびそれからなる化粧料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化粧料用基剤およびそれからなる化粧料に関する。さらに詳しくは、耐湿性および洗髪性にすぐれるだけでなく、液化石油ガス(以下、LPGという)との相溶性にすぐれる化粧料用基剤、およびとくに整髪用エアゾール型化粧料として好適に使用し得る化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、化粧品、とくに毛髪化粧品にはN−ビニルピロリドンを含有した基材が広く用いられている。N−ビニルピロリドンを含有した基材の長所は、水溶性にすぐれ、適度な硬さを有する光沢のある皮膜が得られることである。これらは毛髪化粧品に好適な物性である。
【0003】
このようなN−ビニルピロリドンを主成分とした化粧料基材として、たとえばノニオン性化粧料基材や(特開昭59−75911号公報)、カチオン性化粧料基材(特公昭56−4533号公報)が知られている。
【0004】
化粧料基材のなかでも整髪剤基材に求められる重要な物性として、耐湿性と洗髪性とがあげられる。これらは一般的には相反する物性であり、高い次元での両立は困難なものである。前記ノニオン性化粧料基材やカチオン性化粧料基材は、洗髪性にはすぐれるが、それゆえに耐湿性がきわめて低い。その結果、長時間のセット保持力が小さいという欠点がある。
【0005】
セット保持力にすぐれる化粧料基材としては、たとえばアクリル樹脂のアルカノールアミン液に代表されるアニオン性化粧料基材が知られている(特公昭44−31238号公報)。このアニオン性化粧料基材は、前記ノニオン性化粧料基材およびカチオン性化粧料基材とは逆に、耐湿性が高く、セット保持力にはすぐれるものの、水溶性が低いため、洗髪性にすぐれない。
【0006】
前記ノニオン性化粧料基材、カチオン性化粧料基材およびアニオン性化粧料基材の欠点を補うものとして、両性化粧料基材が知られている(特開平7−133212号公報)。この両性化粧料基材は、これまで困難とされていた耐湿性と洗髪性との両立を実現したものである。またこの両性化粧料基材は両性であるので、他の樹脂との相溶性にすぐれるだけでなく、ベタツキが少なく使用感がよいといった利点が多い基材である。
【0007】
しかしながら、この両性化粧料基材は一般にLPGに対する溶解性が低い傾向があるため、通常スプレーに処方する際には、原液の組成でエタノールなどの溶剤を増量して基材の含量を減らすか、噴射剤としてジメチルエーテル(以下、DMEという)を併用するなど、処方面での制約が多くなる。そのため、スプレー剤型での整髪剤としては好適でない。
【0008】
さらに前記のほかにも、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体、アルキレングリコール系不飽和単量体およびアミノ基含有エチレン性不飽和単量体を必須単量体成分としてなる(メタ)アクリル系共重合体と、ゲル基剤とを含み、塩基性化合物で中和された両性整髪用樹脂組成物も提供されている(特開2000−154124公報)。
【0009】
しかしながら、この両性整髪用樹脂組成物は、含まれる(メタ)アクリル系共重合体とゲル基剤とが良好に相溶しているので、たとえばゲル状の整髪料としてはきわめて好適であるが、前記両性化粧料基材と同様に、LPGに対する溶解性が低い傾向があるので、通常スプレーに処方する際には処方面での制約が多くなる。またかかる(メタ)アクリル系共重合体はそれ単独での耐湿性は低い。そのため、この両性整髪用樹脂組成物はスプレー剤型での整髪剤としては好適でない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記従来技術に鑑みてなされたものであり、耐湿性および洗髪性にすぐれるといった両性化粧料基材としての利点は維持したまま、併せてLPGとの相溶性にもすぐれ、とくにエアゾール型化粧料に好適に使用し得る化粧料用基剤およびこれが配合された化粧料を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
▲1▼(A)一般式(I):
【0012】
【化6】
Figure 0004684498
【0013】
(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子、炭素数1〜12のアルキル基または−C(CH32CH2COCH3、R3は水素原子または炭素数1〜12のアルキル基を示す)で表わされるモノマー(A)25〜70重量%、
(B)一般式(II):
【0014】
【化7】
Figure 0004684498
【0015】
(式中、R4は炭素数3または5のアルキレン基を示す)で表わされるモノマー(B)5〜60重量%、
(C)一般式(III):
【0016】
【化8】
Figure 0004684498
【0017】
(式中、R5は水素原子またはメチル基、R6は水素原子または−COOH、R7は水素原子、メチル基または−CH2COOHを示す)で表わされるモノマー(C)2〜20重量%、
(D)一般式(IV):
【0018】
【化9】
Figure 0004684498
【0019】
(式中、R8は水素原子またはメチル基、R9は炭素数1〜4のアルキレン基、R10およびR11はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜8のアルキル基、Aは−O−または−NH−を示す)で表わされるモノマー(D)3〜40重量%および
(E)一般式(V):
【0020】
【化10】
Figure 0004684498
【0021】
(式中、R12およびR15はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基、R13およびR14はそれぞれ独立して炭素数2〜4のアルキレン基、mおよびnはそれぞれ独立して0または1〜50の整数(ただし、mおよびnは同時に0ではない)を示す)で表わされるモノマー(E)2〜30重量%
を含有したモノマー成分を重合させて得られた重合体からなる化粧料用基剤、および
▲2▼前記化粧料用基剤が配合されてなる化粧料
に関する。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の化粧料用基剤は、前記したように、(A)一般式(I):
【0023】
【化11】
Figure 0004684498
【0024】
(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子、炭素数1〜12、好ましくは1〜8のアルキル基または−C(CH32CH2COCH3、R3は水素原子または炭素数1〜12、好ましくは1〜8のアルキル基を示す)で表わされるモノマー(A)25〜70重量%、
(B)一般式(II):
【0025】
【化12】
Figure 0004684498
【0026】
(式中、R4は炭素数3または5のアルキレン基を示す)で表わされるモノマー(B)5〜60重量%、
(C)一般式(III):
【0027】
【化13】
Figure 0004684498
【0028】
(式中、R5は水素原子またはメチル基、R6は水素原子または−COOH、R7は水素原子、メチル基または−CH2COOHを示す)で表わされるモノマー(C)2〜20重量%、
(D)一般式(IV):
【0029】
【化14】
Figure 0004684498
【0030】
(式中、R8は水素原子またはメチル基、R9は炭素数1〜4、好ましくは2〜3のアルキレン基、R10およびR11はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜8、好ましくは1〜4のアルキル基、Aは−O−または−NH−を示す)で表わされるモノマー(D)3〜40重量%および
(E)一般式(V):
【0031】
【化15】
Figure 0004684498
【0032】
(式中、R12およびR15はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基、R13およびR14はそれぞれ独立して炭素数2〜4のアルキレン基、mおよびnはそれぞれ独立して0または1〜50、好ましくは1〜20の整数(ただし、mおよびnは同時に0ではない)を示す)で表わされるモノマー(E)2〜30重量%
を含有したモノマー成分を重合させて得られた重合体からなるものである。
【0033】
本発明に用いられるモノマー(A)は、一般式(I)で表わされるアミド系モノマーであり、得られる化粧料用基剤のLPGとの相溶性を向上させ、フィルムに適度な硬度と親水性とを与える成分である。
【0034】
モノマー(A)の具体例としては、たとえばN−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−オクチル(メタ)アクリルアミドなどがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を同時に用いることができる。
【0035】
なお本明細書において「…(メタ)アクリ〜」は「…アクリ〜」および「…メタクリ〜」を意味する。
【0036】
モノマー(A)の使用量があまりにも少ない場合には、得られる化粧料用基剤のエアゾール適性、すなわちLPGとの相溶性が低くなるので、モノマー成分全量の25重量%以上、好ましくは28重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上である。またモノマー(A)の使用量があまりにも多い場合には、得られる化粧料用基剤の洗髪性が損なわれるので、モノマー成分全量の70重量%以下、好ましくは65重量%以下、さらに好ましくは60重量%以下である。
【0037】
本発明に用いられるモノマー(B)は、一般式(II)で表わされるN−ビニルピロリドンおよび/またはN−ビニルカプロラクタムであり、得られる化粧料用基剤のLPGとの相溶性を向上させ、さらに洗髪性や、フィルムに光沢、硬度を与える成分である。
【0038】
モノマー(B)の使用量があまりにも少ない場合には、得られる化粧料用基剤のエアゾール適性、すなわちLPGとの相溶性が低くなるほか、洗髪性やフィルムの光沢が不足するので、モノマー成分全量の5重量%以上、好ましくは8重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上である。またモノマー(B)の使用量があまりにも多い場合には、得られる化粧料用基剤の耐湿性が低くなるので、モノマー成分全量の60重量%以下、好ましくは55重量%以下、さらに好ましくは50重量%以下である。
【0039】
本発明に用いられるモノマー(C)は、一般式(III)で表わされるカルボキシル基含有酸性モノマーであり、たとえば後述するように、カルボキシル基を塩基性化合物で中和することにより、得られる化粧料用基剤にさらなる洗髪性を与える成分である。また後述するモノマー(D)と分子間でイオン架橋することにより、得られる化粧料用基剤の耐湿性を向上させ、乾き際のベタツキを低減する効果をもたらす成分である。
【0040】
モノマー(C)の具体例としては、たとえば(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸などがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を同時に用いることができる。
【0041】
モノマー(C)の使用量があまりにも少ない場合には、得られる化粧料用基剤の洗髪性が低下するばかりでなく、モノマー(D)とのイオン架橋による効果が得られなくなるので、モノマー成分全量の2重量%以上、好ましくは3重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上である。またモノマー(C)の使用量があまりにも多い場合には、得られる化粧料用基剤の耐湿性が低下し、LPGとの相溶性が悪化するので、モノマー成分全量の20重量%以下、好ましくは18重量%以下、さらに好ましくは15重量%以下である。
【0042】
本発明に用いられるモノマー(D)は、一般式(IV)で表わされるアミノ基含有モノマーであり、たとえば後述するように、アミノ基を酸性化合物で中和することにより、得られる化粧料用基剤に洗髪性を与え、髪への親和力を与える成分である。また前記モノマー(C)と分子間でイオン架橋することにより、得られる化粧料用基剤の耐湿性を向上させ、乾き際のベタツキを低減する効果をもたらす成分である。
【0043】
モノマー(D)の具体例としては、たとえばN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を同時に用いることができる。
【0044】
モノマー(D)の使用量があまりにも少ない場合には、得られる化粧料用基剤の洗髪性が低下し、髪への親和力が低くなるため、皮膜が髪の表面より剥がれ落ちる、いわゆるフレーキング現象が多くなり、前記モノマー(C)とのイオン架橋による効果が乏しくなるので、モノマー成分全量の3重量%以上、好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは8重量%以上である。またモノマー(D)の使用量があまりにも多い場合には、得られる化粧料用基剤の耐湿性が低下し、乾き際のベタツキが多くなるので、モノマー成分全量の40重量%以下、好ましくは35重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下である。
【0045】
本発明に用いられるモノマー(E)は、一般式(V)で表わされるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートまたはポリオキシアルキレン(メタ)アクリレートであり、得られる化粧料用基剤に柔軟性を付与する成分である。
【0046】
モノマー(E)の具体例としては、たとえばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を同時に用いることができる。
【0047】
モノマー(E)の使用量があまりにも少ない場合には、得られる化粧料用基剤の柔軟性が低下するので、モノマー成分全量の2重量%以上、好ましくは3重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上である。またモノマー(E)の使用量があまりにも多い場合には、得られる化粧料用基剤の耐湿性が低下し、LPGとの相溶性が低下するので、モノマー成分全量の30重量%以下、好ましくは25重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下である。
【0048】
さらに本発明において、重合体はその全量が前記モノマー(A)、モノマー(B)、モノマー(C)、モノマー(D)およびモノマー(E)であるモノマー成分(モノマー(A)〜(E)の量が100重量%であるモノマー成分)を重合させて得られたものであってもよいが、たとえば得られる化粧料用基剤に水溶性、油溶性、臭気、べたつき感抑制、すべり感、乾き感、自然感、造膜性、粘性、透明感、ガス透過性、他の添加剤との相溶性といった効果を付与することを考慮し、これらモノマー(A)〜(E)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(F)(以下、モノマー(F)という)をモノマー成分に用いることができる。
【0049】
モノマー(F)の具体例としては、たとえば(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩、(メタ)アクリル酸のアンモニウム塩、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸エチルカルビトール、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシブチル、(メタ)アクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの3級塩およびその4級塩、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルレートの3級塩およびその4級塩、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートの3級塩およびその4級塩、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートの3級塩およびその4級塩、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートの3級塩、N−t−ブチルアミノプロピル(メタ)アクリレートの3級塩、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドの3級塩およびその4級塩、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの3級塩およびその4級塩、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドの3級塩およびその4級塩、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの3級塩およびその4級塩、N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジエチルアンモニウム−α−N−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジエチルアンモニウム−α−N−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジエチルアンモニウム−α−N−カルボキシベタイン、スチレン、イタコン酸メチル、イタコン酸エチル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどの単官能モノマー;1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミド、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの多官能モノマーがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を同時に用いることができる。
【0050】
モノマー(F)の使用量があまりにも少ない場合には、かかるモノマー(F)を用いることによる効果が充分に発現されにくくなるので、モノマー成分全量の3重量%以上、好ましくは5重量%以上であることが望ましい。またモノマー(F)の使用量があまりにも多い場合には、前記モノマー(A)〜(E)の使用量が相対的に少なくなり、これらモノマー(A)〜(E)による効果が充分に発現されにくくなるので、モノマー成分全量の30重量%以下、好ましくは25重量%以下であることが望ましい。
【0051】
本発明に用いられる重合体は、前記モノマー(A)〜(E)および必要に応じてモノマー(F)の所望量を調整したモノマー成分を重合させることによって得られる。
【0052】
前記モノマー成分の重合は、該モノマー成分を水溶液としたり、有機溶剤中にて行なうことができる。すなわち、所望組成のモノマー成分を精製水、イオン交換水や有機溶剤に充分に溶解させ、これを必要に応じて加熱撹拌しながら重合開始剤を添加し、不活性ガス雰囲気下で重合を行なうなどすればよい。
【0053】
前記有機溶剤にはとくに限定がなく、たとえばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族類;n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチルなどの酢酸エステル類などの通常溶液重合に用いられる有機溶剤を使用することができる。これらのなかでは、得られる化粧料用基剤を化粧料に配合することを考慮すると、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類がとくに好ましい。
【0054】
なお前記水溶液や有機溶剤中で重合を行なう場合、モノマー成分の濃度が20〜60重量%程度となるように調整することが好ましい。なお、全モノマー成分の濃度が50重量%を超える場合には、重合反応の際に急激な発熱を発生する怖れがあるため、全モノマー成分を分割して徐々に添加して重合を行なうことが好ましい。
【0055】
前記重合開始剤にもとくに限定がなく、たとえばアゾイソブチロニトリル、アゾイソ酪酸メチル、アゾビスジメチルバレロニトリル、ジメチルアゾビスメチルプロピオネートなどのアゾ系重合開始剤;過酸化ベンゾイルなどの過酸化物系重合開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩系重合開始剤などを用いることができる。該重合開始剤の量は、通常モノマー成分全量100重量部に対して0.01〜5重量部程度であればよい。
【0056】
重合を行なう際の重合温度は、用いる重合開始剤の種類によっても異なるので一概には決定することができないが、通常重合開始剤の10時間半減期温度付近とすることが好ましい。また重合を行なう際の重合時間は、重合が不完全となって未反応のモノマー成分が残存するおそれをなくすには、通常5〜20時間程度とすることが好ましい。
【0057】
なお未反応モノマーの有無は、たとえばPSDB法(二臭化硫酸ピリジン法)などの一般的な分析方法により、二重結合が存在するか否かを測定して確認することができる。
【0058】
かくして得られる重合体の粘度平均分子量にはとくに限定がないが、化粧料用基剤の化粧料としての用途を考慮すると、1000以上、好ましくは5000以上であり、1000000以下、好ましくは200000以下であることが望ましい。
【0059】
なお前記重合体は、重合で得られた有機溶媒の溶液のままであってもよく、水で希釈することで水/有機溶媒の混合溶液としてもよく、または有機溶媒を除去して水に置換し、水溶液としてもよい。
【0060】
また前記重合体の溶液にさらに水溶性を付与するために、重合体中に含まれるカルボキシル基やアミノ基が中和されることが好ましい。すなわち、重合体中、モノマー(C)由来のカルボキシル基が塩基性化合物で中和されていることが好ましく、モノマー(D)由来のアミノ基が酸性化合物で中和されていることが好ましい。
【0061】
塩基性化合物の具体例としては、たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基性化合物;モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、アミノメチルプロパノール、アミノメチルプロパンジオール、オクチルアミン、トリブチルアミン、アニリンなどの有機塩基性化合物があげられ、これらは単独でまたは2種以上を同時に用いることができる。
【0062】
酸性化合物の具体例としては、たとえば塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸性化合物;乳酸、クエン酸、グリコール酸、イソステアリン酸、パルミチン酸などの有機酸性化合物があげられ、これらは単独でまたは2種以上を同時に用いることができる。
【0063】
カルボキシル基やアミノ基の中和方法にはとくに限定がなく、たとえば前記重合法にて調製された重合体の溶液に、塩基性化合物や酸性化合物を投入する方法などがあげられる。
【0064】
かくして得られる重合体中の、モノマー(C)由来のカルボキシル基の中和率は、得られる化粧料用基剤の水溶性がさらに向上し、よりすぐれた洗髪性が付与されるように、10モル%以上、好ましくは30モル%以上であることが望ましく、また化粧料として人体に使用することを考慮し、過中和により過剰の塩基性化合物が遊離しないように、95モル%以下、好ましくは90モル%以下であることが望ましい。
【0065】
また得られる重合体中の、モノマー(D)由来のアミノ基の中和率は、得られる化粧料用基剤の水溶性がさらに向上し、よりすぐれた洗髪性が付与されるように、10モル%以上、好ましくは30モル%以上であることが望ましく、また化粧料として人体に使用することを考慮し、過中和により過剰の酸性化合物が遊離しないように、95モル%以下、好ましくは90モル%以下であることが望ましい。
【0066】
本発明の化粧料用基剤は、耐湿性および洗髪性にすぐれるだけでなく、LPGとの相溶性にもすぐれるものであるので、たとえば整髪用エアゾール型化粧料などの整髪用の化粧料に好適に使用することができる。
【0067】
本発明の化粧料は前記化粧料用基剤が配合されてなるものである。
【0068】
本発明の化粧料における前記化粧料用基剤の量にはとくに限定がなく、後述するように処方によっても異なり、該化粧料用基剤による効果が充分に発現される量であればよいが、通常の化粧料における有効成分の含有量程度、たとえば0.1〜20重量%程度、好ましくは1〜10重量%程度であることが望ましい。
【0069】
本発明の化粧料用基剤を用いた化粧料としては、たとえば整髪用スプレー、整髪用カラースプレーなどの整髪用エアゾール型化粧料、整髪用ジェル、整髪用ミスト、整髪用フォーム、整髪用クリーム、整髪用ワックス、整髪用カラーフォーム、マスカラ、シャンプー、リンスなどの毛髪化粧料があげられる。また毛髪化粧料以外の用途としては、たとえば皮膚化粧料としてハンドクリーム、顔面パックの皮膜形成剤、マニキュアの皮膜形成剤などに使用することができる。
【0070】
たとえば、本発明の化粧料用基剤を用いて整髪用エアゾール型化粧料を処方する場合には、樹脂濃度が0.5〜15重量%、好ましくは2〜10重量%となるように、本発明の化粧料用基剤が原液中に含まれることが望ましい。また用いられる溶媒は、主にエタノールであることが好ましく、必要に応じてセタノール、デカノールなどの高級アルコール、ラノリン誘導体などの可塑性を付与する成分を配合したり、シリコーン誘導体などの光沢や感触を付与する成分を配合してもよい。さらには他の皮膜形成樹脂を用いてもよい。噴射剤としては、たとえばLPG、DMEなどを単独でまたは同時に用いることができる。原液と噴射剤との割合(原液/噴射剤(重量比))は、10/90〜90/10、さらには30/70〜70/30であることが好ましい。
【0071】
また、本発明の化粧料用基剤を用いて整髪用ジェルを処方する場合には、樹脂濃度が0.5〜15重量%、好ましくは1〜10重量%となるように、本発明の化粧料用基剤が原液中に含まれることが望ましい。また増粘剤としては、カルボキシルビニルポリマー(ポリアクリル酸の架橋物)などのアニオン性増粘剤、ビニルピロリドン・ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体などのカチオン性増粘剤、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースなどのノニオン性増粘剤などを用いることができる。各増粘剤の使用量はジェル全体量の0.1〜10重量%、好ましくは0.3〜5重量%であることが望ましい。溶媒としては、たとえば精製水やエタノールが用いられ、必要に応じてグリセリン、1,3−ブチレングリコールなどの多価アルコール、界面活性剤、キレート剤などを配合してもよい。
【0072】
さらに、本発明の化粧料用基剤を用いて整髪用フォームを処方する場合には、樹脂濃度が0.5〜15重量%、好ましくは1〜10重量%となるように、本発明の化粧料用基剤が原液中に含まれることが望ましい。また用いられる溶媒は、精製水やエタノールであることが好ましい。そのほかにも、必要に応じてポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などのノニオン性界面活性剤、セタノールなどの高級アルコール、流動パラフィン、シリコン誘導体などを配合してもよい。
【0073】
かくして得られる本発明の化粧料は、前記化粧料用基剤が配合されたものであるので、耐湿性および洗髪性にすぐれるだけでなく、LPGとの相溶性にもすぐれ、とくに整髪用エアゾール型化粧料として好適に使用し得るものである。
【0074】
【実施例】
つぎに、本発明の化粧料用基剤およびそれからなる化粧料を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0075】
実施例1
還流冷却器、温度計、チッ素ガス導入管および攪拌装置を備えた1L容の5口フラスコに、N−t−ブチルアクリルアミド30重量部、ダイアセトンアクリルアミド15重量部、N−ビニル−2−ピロリドン30重量部、アクリル酸5重量部、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド10重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10重量部および無水エタノール150重量部を仕込み、α,α´−アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNという)0.15重量部を加えて攪拌しながらチッ素ガス雰囲気下で70℃で加熱攪拌した。重合開始5時間後にAIBN0.1重量部を加え、さらに10時間重合して重合反応を完結し、樹脂組成物を得た。
【0076】
得られた樹脂組成物を濃度が30重量%となるようにエタノールで希釈し、さらに2−アミノ−2−メチルプロパノールの30%エタノール溶液(中和剤)12.3重量部を加え(表2中には、2−アミノ−2−メチルプロパノールのみの量(3.7重量部)を記載)、樹脂組成物中のカルボキシル基の中和率を60モル%として両性化粧料用基剤を得た。
【0077】
なお、得られた化粧料用基剤の粘度平均分子量を測定したところ、110000であった。
【0078】
実施例2〜12
モノマー成分および中和剤を表1、表2に示すように変更したほかは、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製し、両性化粧料用基剤を得た。
【0079】
樹脂組成物中の中和された基およびその中和率、ならびに化粧料用基剤の粘度平均分子量を併せて表2に示す。
【0080】
また表1中および以下の比較例中の各略号はつぎのことを意味する。
TBAAm:N−t−ブチルアクリルアミド
DAAm:ダイアセトンアクリルアミド
OAAm:N−オクチルアクリルアミド
DMAA:N,N−ジメチルアクリルアミド
NVP:N−ビニル−2−ピロリドン
NVC:N−ビニル−2−カプロラクタム
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
IA:イタコン酸
DMMA:N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート
DMAPMA:N,N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミド
DMAPAA:N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
HPA:2−ヒドロキシプロピルアクリレート
M−90G:メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(n=9)
MDGMA:メトキシジエチレングリコールメタクリレート
GLM:グリセロールモノメタクリレート
HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
NMA:N−メチロールアクリルアミド
BMA:n−ブチルメタクリレート
LA:ラウリルアクリレート
EMA:エチルメタクリレート
TBA:t−ブチルアクリレート
VA:酢酸ビニル
MMA:メチルメタクリレート
AMP:2−アミノ−2−メチルプロパノール(30%エタノール溶液)
(表2中には、AMPのみの量(重量部)を記載)
TEA:トリエタノールアミン(30%エタノール溶液)
(表2中には、TEAのみの量(重量部)を記載)
【0081】
比較例1
ポリビニルピロリドン(商品名:K=30、キシダ化学販売(株)製)をエタノールに溶解し、ポリマー含量が30重量%となるように調整した。
【0082】
比較例2
ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体(商品名:PVA−6450、大阪有機化学工業(株)製、ポリマー含量が50重量%のエタノール溶液)をエタノールで希釈し、ポリマー含量が30重量%となるように調整した。
【0083】
比較例3
ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩液(商品名:H.C.ポリマー3A、大阪有機化学工業(株)製、ポリマー含量が50重量%のエタノール溶液)をエタノールで希釈し、ポリマー含量が30重量%となるように調整した。
【0084】
比較例4
アクリル樹脂アルカノールアミン樹脂液(商品名:アニセットNF−1000、大阪有機化学工業(株)製、ポリマー含量が40重量%のエタノール溶液)をエタノールで希釈し、ポリマー含量が30重量%となるように調整した。
【0085】
比較例5
特開平7−133212号公報に記載の実施例1と同様の操作を行なった。
【0086】
すなわち、還流冷却器、温度計、チッ素ガス導入管、仕込み管および攪拌装置を取り付けた500mL容の5口フラスコに、MAA10重量部、AA8重量部、HEMA10重量部、DMMA18重量部、EMA28重量部、DAAm26重量部および無水エタノール150重量部を入れ、これにAIBN0.2重量部を加え、攪拌しながらチッ素ガス気流下に80℃で加熱還流した。重合開始6時間後にAIBN0.2重量部を追添し、さらに12時間重合して反応を完結させ、樹脂組成物を得た。
【0087】
得られた樹脂組成物を濃度が30重量%となるようにエタノールで希釈し、さらにAMPの30%エタノール溶液(中和剤)50.7重量部を添加し(表2中には、AMPのみの量(15.2重量部)を記載)、樹脂組成物中のカルボキシル基の中和率を75モル%として整髪剤用基剤(30%ポリマーエタノール溶液)を得た。
【0088】
なお、得られた整髪剤用基剤の粘度平均分子量を測定したところ、113000であった。
【0089】
比較例6
特開平7−133212号公報に記載の実施例5と同様の操作を行なった。
【0090】
すなわち、モノマー成分および中和剤を表1、表2に示すように変更したほかは、比較例5と同様にして樹脂組成物を調製し、整髪剤用基剤を得た。
【0091】
樹脂組成物中の中和された基およびその中和率、ならびに整髪剤用基剤の粘度平均分子量を併せて表2に示す。
【0092】
比較例7
特開平7−133212号公報に記載の実施例12と同様の操作を行なった。
【0093】
すなわち、モノマー成分および中和剤を表1、表2に示すように変更したほかは、比較例5と同様にして樹脂組成物を調製し、整髪剤用基剤を得た。
【0094】
樹脂組成物中の中和された基およびその中和率、ならびに整髪剤用基剤の粘度平均分子量を併せて表2に示す。
【0095】
比較例8
特開2000−154124公報に記載の実施例1と同様の操作を行なった。
【0096】
すなわち、還流冷却器、温度計、滴下ロート、チッ素ガス置換用ガラス管および攪拌装置を取り付けた500mL容の4口フラスコに無水エタノール90重量部を仕込み、滴下ロートにはMAA5重量部、MDGMA19重量部、GLM20重量部、DMMA8重量部、MMA10重量部およびNMA38重量部のモノマー混合液を仕込んだ。撹拌装置で撹拌しながら、重合系にチッ素ガスを30分間通して空気を置換しつつ昇温した。内温が70℃に達したのち、AIBN0.6gを添加し、チッ素ガス気流、還流下で攪拌しながら、前記モノマー混合液を2時間かけてフラスコ内に滴下した。滴下終了後、さらに3時間還流下に重合させて反応を完結させ、樹脂組成物を得た。
【0097】
得られた樹脂組成物を濃度が30重量%となるようにエタノールで希釈し、さらにAMPの30%エタノール溶液(中和剤)6.67gを添加し(表2中には、AMPのみの量(2重量部)を記載)、樹脂組成物中のカルボキシル基の中和率を38.6モル%として整髪剤用基剤(30%ポリマーエタノール溶液)を得た。
【0098】
なお、得られた整髪剤用基剤の粘度平均分子量を測定したところ、45000であった。
【0099】
比較例9
特開2000−154124公報に記載の実施例4と同様の操作を行なった。
【0100】
すなわち、モノマー成分および中和剤を表1、表2に示すように変更したほかは、比較例8と同様にして樹脂組成物を調製し、整髪剤用基剤を得た。
【0101】
樹脂組成物中の中和された基およびその中和率、ならびに整髪剤用基剤の粘度平均分子量を併せて表2に示す。
【0102】
【表1】
Figure 0004684498
【0103】
【表2】
Figure 0004684498
【0104】
処方例1〜12および比較処方例1〜9(整髪用エアゾール型化粧料)
実施例1〜12および比較例1〜9で得られた各化粧料用基剤(ポリマー含量30重量%のエタノール溶液)(処方例1〜12および比較処方例1〜9において、それぞれ順に実施例1〜12および比較例1〜9の化粧料用基剤を使用)20重量部と、無水エタノール80重量部とを混合し、原液を調製した。この原液50重量部をガラス製スプレー用耐圧瓶(内容量:100mL)内に充填したのち、バルブを設置して4.0kg/cm2のLPG50重量部を充填し、整髪用エアゾール型化粧料を得た。
【0105】
処方例13(整髪用ジェル)
実施例1で得られた化粧料用基剤(ポリマー含量30重量%のエタノール溶液)を用い、以下の処方にて整髪用ジェルを調製した。
【0106】
Figure 0004684498
【0107】
処方例14(整髪用フォーム)
実施例1で得られた化粧料用基剤(ポリマー含量30重量%のエタノール溶液)を用い、以下の処方にて整髪用フォームを調製した。
【0108】
Figure 0004684498
【0109】
試験例1(LPGとの相溶性)
実施例1〜12および比較例1〜9で得られた化粧料用基剤を、ポリマー含量が10重量%となるようにエタノールで希釈し、得られた溶液2.0gをガラス製耐圧瓶(満注量:100mL)に仕込んだ。このガラス製耐圧瓶にバルブを取り付け、4kg/cm2のLPGを溶液に濁りが生じるまで加えた。このときのLPGの添加量を用いて以下の式からLPG相溶率を算出し、つぎの評価基準に基づいてLPGとの相溶性を評価した。その結果を表3に示す。
【0110】
【数1】
Figure 0004684498
【0111】
(評価基準)
○:LPG相溶率が50%以上である。
△:LPG相溶率が30%以上、50%未満である。
×:LPG相溶率が30%未満である。
【0112】
試験例2(エアゾールの安定性)
処方例1〜12および比較処方例1〜9で得られた整髪用エアゾール型化粧料を−10℃の冷蔵庫内に24時間放置したのち、溶液の状態を目視にて観察し、以下の評価基準に基づいてエアゾールの安定性を評価した。その結果を表4に示す。
(評価基準)
○:溶液が透明である。
△:溶液がわずかに濁る。
×:溶液が二層に分離するか、または析出をおこす。
【0113】
試験例3(耐湿性)
長さ25cmの毛髪(人毛)2gに、処方例1〜12および比較処方例1〜9で得られた整髪用エアゾール型化粧料を20cmの距離から均一に噴射するか、処方例13で得られた整髪用ジェルまたは処方例14で得られた整髪用フォームを均一に塗布したのち、この毛髪を外径1.2cmのカーラーに巻き、40℃の温風で60分間かけて乾燥した。こののち、カーラーから毛髪をはずし、温度30℃、相対湿度90%の雰囲気中に垂直に吊るした直後の長さ(L0)と3時間放置後の長さ(L1)とを測定し、カールリテンション(%)を次式から算出した。得られたカールリテンションから、つぎの評価基準に基づいて耐湿性(セット保持力)を評価した。その結果を表4に示す。
カールリテンション(%)={(25−L1)/(25−L0)}×100
(評価基準)
○:カールリテンションが75%以上である。
△:カールリテンションが60%以上、75%未満である。
×:カールリテンションが60%未満である。
【0114】
試験例4(しなやかさ)
長さ25cmの毛髪(人毛)2gに、処方例1〜12および比較処方例1〜9で得られた整髪用エアゾール型化粧料を20cmの距離から均一に噴射するか、処方例13で得られた整髪用ジェルまたは処方例14で得られた整髪用フォームを均一に塗布したのち、この毛髪を外形1.2cmのカーラーに巻き、40℃の温風で60分間かけて乾燥した。乾燥した毛髪を手指で触り、しなやかさを以下の評価基準に基づいて評価した。その結果を表4に示す。
(評価基準)
○:まったくごわつきがなく、自然な感触である。
△:ややごわつきがあるが、不自然な感触ではない。
×:ごわつきがあり、不自然な感触である。
【0115】
試験例5(洗髪性)
10cm×10cmのガラス板に、処方例1〜12および比較処方例1〜9で得られた整髪用エアゾール型化粧料を20cmの距離から均一に噴射するか、処方例13で得られた整髪用ジェルまたは処方例14で得られた整髪用フォームを均一に塗布し、さらにバーコーターにて均一にしたのち、40℃の温風で60分間かけて乾燥した。乾燥したフィルムに水を1滴滴下させ、フィルムが完全に溶解する時間を測定し、洗髪性を以下の評価基準に基づいて評価した。その結果を表4に示す。
(評価基準)
○:1分未満でフィルムが溶解した。
△:1分以上、5分未満でフィルムが溶解した。
×:5分以上経過しても、フィルムが溶解しない。
【0116】
試験例6(柔軟性)
長さ25cmの毛髪(人毛)2gに、処方例1〜12および比較処方例1〜9で得られた整髪用エアゾール型化粧料を20cmの距離から均一に噴射するか、処方例13で得られた整髪用ジェルまたは処方例14で得られた整髪用フォームを均一に塗布したのち、この毛髪を外形1.2cmのカーラーに巻き、40℃の温風で60分間かけて乾燥した。この毛髪の中心から約1cmの間隔のところを指で挟み、上下に曲げる操作を10回繰り返してフィルムの変化を目視にて観察し、柔軟性(フレーキング)を以下の評価基準に基づいて評価した。その結果を表4に示す。
(評価基準)
○:フィルムに変化がない。
△:フィルムの剥離が若干認められる。
×:曲げた箇所全面が白くなり、剥離がいちじるしい。
【0117】
試験例7(平滑性)
10cm×10cmのガラス板に、処方例1〜12および比較処方例1〜9で得られた整髪用エアゾール型化粧料を20cmの距離から均一に噴射するか、処方例13で得られた整髪用ジェルまたは処方例14で得られた整髪用フォームを均一に塗布し、さらにバーコーターにて均一にしたのち、40℃の温風で60分間かけて乾燥した。乾燥したフィルムの感触を手指で調べ、平滑性を以下の評価基準に基づいて評価した。その結果を表4に示す。
(評価基準)
○:完全に滑らかである。
△:ややざらつきがある。
×:かなりざらつきがある。
【0118】
【表3】
Figure 0004684498
【0119】
【表4】
Figure 0004684498
【0120】
表3および表4に示された結果から、処方例1〜14で得られた整髪用エアゾール型化粧料、整髪用ジェルおよび整髪用フォームは、いずれもカールリテンションが高く耐湿性にすぐれ、また洗髪性にもすぐれるうえ、得られたフィルムがしなやかで、柔軟性および平滑性にもすぐれていることがわかる。さらに実施例1〜12で得られた化粧料用基剤はLPGとの相溶性にすぐれ、該化粧料用基剤が配合された処方例1〜12の整髪用エアゾール型化粧料は、エアゾールの安定性にすぐれていることがわかる。このように、本発明の化粧料用基剤が配合された化粧料は、前記種々の特性を具備するものである。
【0121】
これに対して、比較処方例1〜9で得られた化粧料は、いずれかの特性に劣るものであり、とくに洗髪性にすぐれる比較処方例1〜3および5〜9の化粧料は、耐湿性に劣っていたり(比較処方例1〜3および8〜9)、エアゾールの安定性(LPGとの相溶性)に劣っており(比較処方例5〜9)、また逆にエアゾールの安定性および耐湿性にすぐれる比較処方例4の化粧料は、洗髪性に劣っていることがわかる。このように、本発明の化粧料用基剤が配合されなかった場合には、前記種々の特性を具備することができない。
【0122】
【発明の効果】
本発明の化粧料用基剤は、耐湿性および洗髪性にすぐれるだけでなく、LPGとの相溶性にもすぐれるものである。
【0123】
よってかかる化粧料用基剤が配合された本発明の化粧料は、とくに整髪用エアゾール型化粧料として好適に使用することができる。

Claims (4)

  1. (A)一般式(I):
    Figure 0004684498
    (式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子、炭素数1〜12のアルキル基または−C(CH32CH2COCH3、R3は水素原子または炭素数1〜12のアルキル基を示す)で表わされるモノマー(A)28〜70重量%、
    (B)一般式(II):
    Figure 0004684498
    (式中、R4は炭素数3または5のアルキレン基を示す)で表わされるモノマー(B)8〜60重量%、
    (C)一般式(III):
    Figure 0004684498
    (式中、R5は水素原子またはメチル基、R6は水素原子または−COOH、R7は水素原子、メチル基または−CH2COOHを示す)で表わされるモノマー(C)2〜20重量%、
    (D)一般式(IV):
    Figure 0004684498
    (式中、R8は水素原子またはメチル基、R9は炭素数1〜4のアルキレン基、R10およびR11はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜8のアルキル基、Aは−O−または−NH−を示す)で表わされるモノマー(D)3〜40重量%および
    (E)一般式(V):
    Figure 0004684498
    (式中、R12およびR15はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基、R13およびR14はそれぞれ独立して炭素数2〜4のアルキレン基、mおよびnはそれぞれ独立して0または1〜50の整数(ただし、mおよびnは同時に0ではない)を示す)で表わされるモノマー(E)2〜30重量%
    を含有したモノマー成分を重合させて得られた重合体からなる化粧料用基剤および噴射剤として液化石油ガスが配合されてなる整髪用エアゾール型化粧料。
  2. 重合体が、モノマー(C)由来のカルボキシル基の10〜95モル%が塩基性化合物で中和されたものである請求項1記載の整髪用エアゾール型化粧料。
  3. 重合体が、モノマー(D)由来のアミノ基の10〜95モル%が酸性化合物で中和されたものである請求項1または2記載の整髪用エアゾール型化粧料。
  4. モノマー成分が、モノマー(A)、モノマー(B)、モノマー(C)、モノマー(D)およびモノマー(E)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(F)0〜10重量%を含有したものである請求項1、2または3記載の整髪用エアゾール型化粧料。
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