JP3881436B2 - 整髪用樹脂の製法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は整髪用樹脂の製法に関する。さらに詳しくは、アニオン系樹脂と両性イオン系樹脂との優れた整髪効果を併有し、ヘアブローあるいはエアゾールの形態で使用するのに適している水溶性整髪用樹脂の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
頭髪を樹脂で固定して、所望の形状を付与することは周知である。また頭髪に適用した樹脂を洗髪にて除去するためには、整髪用樹脂が水溶性であることが要求される。
【0003】
このような整髪用樹脂としては、ノニオン系、カチオン系、アニオン系および両性イオン系のものが従来から使用されている。
【0004】
しかしながら、ノニオン系樹脂は高温多湿下ではセット力に欠け、低湿度下では、フレーキング現象を起こしやすいという欠点を有する。
【0005】
カチオン系樹脂は毛髪への親和性には優れているものの、ノニオン系樹脂以上に湿度の影響を受けやすく、やはりセット力が乏しいという欠点がある。
【0006】
アニオン系樹脂は、湿度により影響を受けにくく、セット力には優れているものの、その反面、えられるフィルムが硬くまた、毛髪への親和力も弱いためにフレーキング現象を起こしやすい。
【0007】
両性イオン系樹脂(ここでいう両性イオン系樹脂とは、いわゆるベタイン構造を有する特公昭61−57803号公報記載の両性共重合体樹脂をさす)は、毛髪への親和力や自然な風合いを付与するのには優れているものの、構成モノマーである窒素含有モノマーの窒素原子に対して、同実施例によると重合したのち、等モルのハロ酢酸塩の変性剤で両性化されているため、整髪剤としてえられるフィルムの水溶性〜耐水性の調整を任意にコントロールすることができず、またえられるフィルムが若干柔らかいという欠点があった。
【0008】
そこで、特許第2596549号明細書記載の製法では、酸性基を有するエチレン性モノマーを共重合させて前記両性共重合体樹脂の欠点を解決しているが、製法自体は、同実施例によると特公昭61−57803号公報に準じており、樹脂化したのち、変性剤を用いて両性化し、そののち副生する生成塩を除去して使用するためには、粘稠な樹脂溶液を使って煩雑な脱塩処理工程を行なう必要がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明者は、前記従来技術に鑑みて、セット力の強さと適切な硬さというアニオン系樹脂の特徴と、優れた毛髪への親和性からくるフレーキング現象の軽減と自然な風合いという両性イオン系樹脂の特徴とを併有する整髪用樹脂の簡便な製法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、一般式(I):
【0011】
【化4】
【0012】
(式中、R1は水素原子またはメチル基を示す)で表わされるモノマー(A)のカルボキシル基65〜90モル%を塩基性化合物で中和したのち、中和前のモノマー(A)として5〜25重量%、
一般式(II):
【0013】
【化5】
【0014】
(式中、R1は前記と同じ)で表わされるモノマー(B)15〜50重量%および
一般式(III):
【0015】
【化6】
【0016】
(式中、R1は前記と同じ、R2は炭素数1〜18のアルキル基を示す)で表わされるモノマー(C)30〜70重量%からなる共重合成分を親水性溶媒中で共重合させることからなる整髪用樹脂の製法(請求項1)に関する。
【0017】
さらに、本発明は該共重合成分が該モノマー(A)、(B)および(C)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(D)を含有する請求項1記載の整髪用樹脂の製法(請求項2)および
該エチレン性不飽和モノマー(D)の含有量が該共重合成分として0.1〜35重量%である請求項2記載の整髪用樹脂の製法(請求項3)に関する。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の整髪用樹脂の製法は、前記したように、一般式(I):
【0019】
【化7】
【0020】
(式中、R1は水素原子またはメチル基を示す)で表わされるモノマー(A)のカルボキシル基65〜90モル%を塩基性化合物で中和したのち、中和前のモノマー(A)として5〜25重量%、
一般式(II):
【0021】
【化8】
【0022】
(式中、R1は前記と同じ)で表わされるモノマー(B)15〜50重量%および
一般式(III):
【0023】
【化9】
【0024】
(式中、R1は前記と同じ、R2は炭素数1〜18のアルキル基を示す)で表わされるモノマー(C)30〜70重量%からなる共重合成分を親水性溶媒中で共重合させることからなる整髪用樹脂の製法を提供するものである。
【0025】
本発明に用いるモノマー(A)は、前記したように、一般式(I)で表わされる(メタ)アクリル酸である。中和して用いるモノマー(A)の使用量は、中和前の重量に換算して、共重合成分全量に対して5重量%以上、好ましくは7重量%以上、また25重量%以下、好ましくは20重量%以下である。
【0026】
5重量%未満では、えられる樹脂フィルムの水溶性〜耐水性を任意に調整することができず、またえられる両性イオン系樹脂に前述のアニオン系樹脂としての特性を付与することができず、25重量%を超えると、えられる樹脂は前述の両性イオン系樹脂としての一般特性を有することができなくなる。
【0027】
モノマー(A)は、単独で、または二種を併用してもなんら差し支えない。
【0028】
モノマー(A)のカルボキシル基は、それぞれに対応する塩基性化合物で65モル%以上、好ましくは70モル%以上、また90モル%以下、好ましくは85モル%以下が中和される。
【0029】
また共重合前に行なうこの中和は、反応中のゲル化を防止する点で好ましい。中和率が65モル%未満のばあいには反応中に望ましくないゲル化を引き起こす恐れがある。また90モル%を超えるばあいには、えられた整髪用樹脂の耐水性が損なわれる恐れがある。
【0030】
塩基性化合物の具体例としては、エタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、ラウリルアミンなどがあげられる。
【0031】
モノマー(B)は、前記したように、一般式(II)で表わされるN−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタインであり、その製法は、特開平9−95474号公報に詳細に記載されている、両性ベタインモノマーである。R1は、重合反応中にエステル交換などの副反応を受けにくいという理由から、メチルが好ましい(以下、一般式(II)におけるR1がメチルのタイプをベタインモノマーという)。
【0032】
モノマー(B)の使用量は共重合成分全量に対して15重量%以上、好ましくは20重量%以上、また50重量%以下、好ましくは45重量%以下である。
【0033】
15重量%未満では、えられる両性共重合体のフィルムは水に難溶で、洗髪の際に洗浄除去が困難となる可能性が高い。そのうえ、この共重合体は両性樹脂の特徴である毛髪に対する親和性が付与されず、その結果、フレーキング現象の発生、帯電防止効果の低下および毛髪の自然な風合いの低下などの問題が生じる。
【0034】
一方、モノマー(B)の使用量が50重量%を超えると、同共重合体のフィルムはブロッキング感を呈するようになり、セット力も劣り、またエアゾール用として用いるばあいには、現在よく使用されている天然ガスへの溶解性が著しく低下することが懸念される。モノマー(B)は、単独でまたは二種を併用してもなんら差し支えない。
【0035】
モノマー(C)は、前記したように、一般式(III)で表わされる(メタ)アクリル酸エステルであり、モノマー(B)のR1がメチルのばあい、共重合性のしやすさからR1がメチルで、R2が炭素数1〜18のものが好ましい。より好ましいR2は、親水性溶媒中での共重合のしやすさから炭素数1〜12のものである。モノマー(C)の使用量は、共重合成分全量に対して30重量%以上、好ましくは35重量%以上、また70重量%以下、好ましくは65重量%以下であり、30重量%未満では高湿度下でのセット力が著しく低下する恐れがあり、70重量%を超えると、えられる共重合体のフィルムが水に難溶となり洗髪の際の洗髪除去が困難となる。
【0036】
モノマー(C)の具体例としては、たとえばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどがあげられる。
【0037】
モノマー(C)は、単独でまたは二種以上を併用してもなんら差し支えない。
【0038】
モノマー(D)は、両性共重合体フィルムに適度の柔軟性および適度の硬度などを与えて感触を変化させるために、前記モノマー(A)、(B)および(C)以外の不飽和モノマーを共重合させることができる。
【0039】
モノマー(D)の具体例としては、たとえば、N−ビニルピロリドン、酢酸ビニル、(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアクリルアミド、N−t−オクチルアクリルアミド、アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ダイアセトンアクリルアミドなどがあげられる。
【0040】
モノマー(D)の使用量は、共重合成分全量に対して、0.1重量%以上、好ましくは2重量%以上、また35重量%以下、好ましくは30重量%以下である。
【0041】
0.1重量%未満では、添加した効果がほとんど確認できず、また35重量%を超えるばあいには、本発明の目的である高湿度下でのセット力に優れ、しかも頭髪との親和性に優れた自然で強力なセット性を有する整髪用樹脂をうるのが困難となる傾向がある。
【0042】
モノマー(D)は、単独でまたは二種以上を併用してもなんら差し支えない。
【0043】
本発明の製法に基づき、整髪用樹脂は、モノマー(A)のカルボキシル基を任意の割合中和したのち、必要に応じてモノマー(D)を含有する、前記共重合成分の所望量を調整し、親水性溶媒中で共重合することによりえられる。
【0044】
ここで親水性溶媒とは、水に対する溶解度が10g/水100g(25℃)以上である有機溶媒をいう。かかる親水性溶媒の代表例としては、たとえば炭素数1〜4の脂肪族1〜4価アルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジオキサン、酢酸メチル、ジメチルホルムアミドなどがあげられるが、これらのなかでは1〜2価アルコールが化粧料原料として扱ううえでとくに好ましい。
【0045】
前記代表例の1価アルコールの具体例としては、たとえばメタノール、エタノール、イソプロパノールなどがあげられる。また2価アルコールの具体例としては、たとえばプロピレングリコールなどがあげられる。
【0046】
また、本発明の製法による整髪用樹脂は人体の皮膚に付着することがあるため、その安全性を考慮すれば、前記親水性溶媒のなかではエタノールおよびイソプロパノールがとくに好ましい。
【0047】
前記共重合は、必要に応じてモノマー(D)を含有する共重合成分を前記親水性溶媒に溶解し、重合開始剤を添加し、たとえばチッ素ガスなどの不活性ガス気流下で加熱しながら撹拌することにより行なうことができる。
【0048】
前記重合開始剤としては、一般に溶液重合法に用いられているものであればとくに限定はなく、その具体例としては、たとえば過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイルなどの過酸化物、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系化合物などがあげられる。ここでは、アゾ系化合物を用いることが好ましい。
【0049】
共重合に際しては、前記親水性溶媒は、モノマー成分の混合物(共重合成分)の濃度が20〜60重量%程度となるように調整して用いることが好ましい。なお、前記モノマー成分の混合物の濃度が60重量%を超えるばあいには、前記モノマー成分の混合物を分割して徐々に添加して共重合を行なうことが急激な重合熱の発生を避け、安全に共重合を行なううえで好ましい。
【0050】
重合温度は、用いる重合開始剤の種類などによって異なるため一概には決定することができないが、通常重合開始剤の10時間半減期温度とすることが好ましく、とくに用いた親水性溶媒の還流温度に近いことがより再現性の高い共重合を行なうことができるので好ましい。
【0051】
また重合時間は、8時間よりも短いばあいには、共重合が不完全となって未反応のモノマーが残存することがあるため、8時間以上、好ましくは12〜36時間とすることが望ましい。
【0052】
なお、残存モノマーが存在するか否かは、一般的な手法、たとえばPSDB法などにより二重結合が存在するか否かを確認することにより行なうことができる。
【0053】
かくして本発明の製法によりえられる整髪用樹脂は、共重合体が5000〜200000程度、なかんづく60000〜150000程度の粘度平均分子量を有するものであり、通常そのままの状態または溶媒を除去した状態で整髪剤として用いることができる。
【0054】
なお、本発明の製法による整髪用樹脂をたとえばヘアブロー整髪剤などに用いるばあいには、たとえば前記重合用溶媒として用いた親水性溶媒に溶解した整髪用樹脂を、たとえばその他pH調整剤としての酸性物質や、添加剤、補助剤などとともに噴霧容器内に充填し、封入すればよい。また、本発明の製法による整髪用樹脂をエアゾールとして用いるばあいには、前記親水性溶媒に溶解した整髪用樹脂を、たとえば天然ガス、ジメチルエーテルなどの噴射剤やその他の添加剤などとともにエアゾール容器内に加圧充填し、封入すればよい。なお、このばあい、噴霧容器内やエアゾール容器内に充填される各種成分の配合割合は、通常それぞれ目的や用途などに応じて適宜調整されることが望ましい。
【0055】
【実施例】
つぎに本発明の整髪用樹脂の製法を実施例にもとづいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。なお、各実施例中、「部」および「%」は特記しないかぎり重量基準である。
【0056】
実施例1
還流冷却器、温度計、チッ素導入管、滴下ロートおよび撹拌装置を取り付けた5口フラスコに、メタクリル酸10部およびエタノール122.2部を加え、さらに2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(以下、AMPという)8.81部を含む45%アミンエタノール溶液19.6部(中和率80モル%)を20〜40℃で撹拌しながら滴下ロートより15〜30分かけて加えた。続いてベタインモノマー40部、メチルメタクリレート15部、t−ブチルメタクリレート15部およびラウリルメタクリレート20部を入れ、α,α′−アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNという)0.2部を加え、撹拌しながらチッ素気流下にて70℃で重合反応を行なった。
【0057】
反応開始後4時間後に、AIBNを0.15部さらに添加し、ついで12時間共重合して反応を完結させた。そののち、120.9部のエタノールを滴下ロートより15〜30分かけて加え、30%ポリマーエタノール溶液とした。
【0058】
かくして、粘度平均分子量98000の整髪用樹脂をえた。
【0059】
えられた整髪用樹脂の樹脂成分が10%含有されたエタノール溶液30gにイオン交換水20gを加え、均一な透明液体(ヘアブロー整髪剤)をえた。これをヘアブロー用噴霧容器(容量:100ml)に充填し、これにバルブを取り付けてヘアブロー製品を作製した。
【0060】
以下実施例2〜5および比較例1〜2についても同様にえられた整髪用樹脂を用いて、ヘアブロー整髪剤をえた。
【0061】
実施例2〜5および比較例1〜2
配合した各モノマー成分を表1に示すように変更したほかは、実施例1と同様にして整髪用樹脂をえた。
【0062】
えられた整髪用樹脂の粘度平均分子量および中和率の結果をそれぞれ表1に示す。
【0063】
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
ベタインモノマー:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン
MMA:メチルメタクリレート
EMA:エチルメタクリレート
t−BMA:t−ブチルメタクリレート
LMA:ラウリルメタクリレート
TDMA:トリデシルメタクリレート
SMA:ステアリルメタクリレート
DM:N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート
HPA:ヒドロキシプロピルアクリレート
NVP:N−ビニルピロリドン
DAAm:ダイアセトンアクリルアミド
AMP:2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール
【0064】
【表1】
【0065】
つぎにえられたヘアブロー製品を用いてヘアブロー整髪剤のセット保持力、しなやかさおよび形成されたフィルムの物性を以下の方法にしたがって調べた。その結果を表2に示す。
【0066】
(セット保持力)
長さ25cmの毛髪2gにヘアブロー整髪剤4gを20cmの距離から均一に塗布したのち、この毛髪を外径1.2cmのカーラーに巻き、40℃の温風で60分間かけて乾燥した。こののち、カーラーから毛髪をはずし、温度30℃、相対湿度90%の雰囲気中に垂直に吊した直後の長さ(L1)と3時間放置後の長さ(L2)を測定し、カールリテンション(%)を次式から算出した。
【0067】
[カールリテンション](%)={(25−L2)/(25−L1)}×100
なお、カールリテンションが70%以上のものを合格(表2中、Aと表示)とし、70%未満のものを不合格(表2中、Bと表示)とした。
【0068】
(しなやかさ)
長さ25cmの毛髪2gにヘアブロー整髪剤4gを20cmの距離から均一に塗布したのち、乾燥前に市販のくしで毛並みを揃え、この毛髪を40℃の温風で60分間かけて乾燥し、以下の評価基準にもとづいて評価した。
【0069】
(評価基準)
A:手で触れるとごわつきがなく、自然な感触である。
B:手で触れると少しごわつきがある。
C:手で触れるとごわつきがひどく、かたい感触がある。
【0070】
(フィルムの物性)
(イ)洗浄性
2.5cm×7.5cmのガラス板にヘアブロー整髪剤4gを20cmの距離から均一に塗布したのち、20℃にて3時間風乾してフィルムを形成した。このガラス板を40℃の0.2%シャンプー含有温水に静置浸漬し、フィルムの溶解状態の経時変化を調べ、以下の評価基準にもとづいて評価した。
【0071】
(評価基準)
A:30分間以内に完全に溶解する。
B:40分間以内に完全に溶解する。
C:40分間経過後もフィルムが残存する。
【0072】
(ロ)柔軟性(フレーキング現象の確認)
長さ25cmの毛髪2gにヘアブロー整髪剤4gを均一に塗布したのち、この毛髪を40℃の温風で60分間かけて乾燥した。この毛髪の中心から約1cm間隔のところを指ではさみ、上下に曲げる操作を10回繰り返してコーティングフィルムの変化を目視にて観察し、以下の評価基準にもとづいて評価した。
【0073】
(評価基準)
A:変化なし。
B:フィルムの剥離が若干認められる。
C:曲げた箇所全面が白くなり、剥離がいちじるしい。
【0074】
(ハ)平滑性
2.5cm×7.5cmのガラス板にヘアブロー整髪剤4gを20cmの距離から均一に塗布したのち、20℃にて3時間風乾してフィルムを形成した。つぎに形成したフィルム面の感触を指で調べ、平滑性を以下の評価基準にもとづいて評価した。
【0075】
(評価基準)
A:完全になめらかである。
B:ややざらつきがある。
C:かなりざらつきがある。
【0076】
(ニ)光沢性
長さ25cmの毛髪2gにヘアブロー整髪剤4gを20cmの距離から均一に塗布した。この毛髪を40℃の温風で60分間かけて乾燥し、目視にて光沢性を観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
【0077】
(評価基準)
A:非常に光沢がある。
B:若干光沢がある。
C:光沢がない。
【0078】
【表2】
【0079】
【発明の効果】
本発明でえられる整髪用樹脂は、いずれも整髪剤として必要な特性を備え、従来のアニオン系樹脂にはなかった、洗髪性としなやかさ、フレーキング現象を低減する柔軟さを兼ね備えていることがわかる。
【0080】
また、従来のベタイン型両性イオン系樹脂は、とくにエアゾールとして用いるばあい、その製法は、両性化樹脂からの脱塩濾過ならびにイオン交換処理、さらにはイオン交換樹脂から溶出してくる不純物を活性炭で処理するなどの煩雑な後処理が必要であり、製造品種を切り替えるばあい、品種ごとの専用設備を設けるか、めんどうな後処理設備の清掃整備を、品種切り替えの都度行なう必要があった。
【0081】
水系ヘアブロー製品としての腐食のない樹脂容器で使用するときも、毛髪へのNaClなどの塩類によるダメージを考えると樹脂は脱塩されている方が望ましいのは周知のことといえる。
【0082】
また、本製法では、共重合反応自体に本来、整髪用樹脂としては必要でない金属水酸化物を入れる必要はない。
【0083】
本発明の方法でえられる共重合樹脂は、構成一成分として存在する酸性基を有するエチレン性不飽和モノマー由来の酸性基部分を、塩基性化合物で任意の割合、中和することにより、えられる共重合体樹脂フィルムの水溶性〜耐水性を任意に調整することができる。
【0084】
本発明の製法でえられる整髪用樹脂は、アニオン系樹脂としての特性と、ベタイン型両性整髪用樹脂の特性を併有しており、従来の両性樹脂にはなかったアニオン系樹脂としての特性も簡単にコントロールすることができ、フィルムの硬さを向上させるなどの改良を付与することが可能となってくる。
【0085】
以上のとおり、本発明の製法でえられる整髪用樹脂は、アニオン系、両性イオン系樹脂の特徴を兼ね備え、高湿度下でのセット力が強く、しなやかで、柔軟性に優れ、光沢がありしかも洗髪除去が容易である優れた整髪用樹脂であり、本発明によればこのような整髪用樹脂を従来の製法より簡単に製造する方法が提供できる。
Claims (3)
- 該共重合成分が該モノマー(A)、(B)および(C)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(D)を含有する請求項1記載の整髪用樹脂の製法。
- 該エチレン性不飽和モノマー(D)の含有量が該共重合成分として0.1〜35重量%である請求項2記載の整髪用樹脂の製法。
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