JP4679720B2 - 処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、製品製造に係る種々の処理装置に関し、特に処理装置に不純物質を除去するトラップ手段を備け、高清浄度を維持しつつ所望の処理を施すことが可能な処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、半導体製品は汚染物質を低く抑えたクリーンルームに処理装置を設置して製造されている。このクリーンルーム内には、半導体の基板となるシリコンウエハに成膜処理やエッチング処理或いは洗浄処理等を行う種々の処理装置が配置され、最終形態としての半導体製品を製造する。1つの処理を終えた半製品のシリコンウエハはキャリアボックスに収納されて次工程の処理装置に向け順次搬送される。すなわち、シリコンウエハは種々の処理装置による処理を受けて製品化される。
【0003】
上記処理装置の1つとして、例えばシリコンウエハ上に成膜する際に熱処理装置がある。この熱処理装置内で形成される酸化膜等にパーティクル状の塵埃或いはガス状態の有機物質等の不純物質が付着すると最終製品の半導体は不良品となってしまう。特に、近年における半導体の高精度化、高密度化は著しくサブミクロン単位で加工されていることから、これらの不純物質が熱処理装置内に混入しないように極力注意する必要がある。
【0004】
ところで、従来の熱処理装置は、成膜処理がなされる熱処理炉とその前部位置に配される移載室を備えている。一般的にこの移載室は、熱処理炉側へシリコンウエハを移載するするための移載機構を備えた移載スペースと共に、これに隣接して装置外部から搬送されくるキャリアボックスからシリコンウエハを受け入れ、熱処理炉側へ移載する前の準備として所定枚数のシリコンウエハを一次保管するストックスペースを備えている。しかし、ストックスペース側はキャリアボックスを搬入・搬出を行うことから少なからず外気が侵入してしまう。
【0005】
そこで、近年において、より高精度の半導体を製造できる高清浄な熱処理装置として、上記ストックスペースと移載スペース間の雰囲気気体が接触しない構造が提案されている。この熱処理装置は、熱処理炉及び移載室(移載スペース)側と、ストックスペースとを遮断可能にする開閉扉を備えている。この開閉扉を閉とした状態では熱処理炉及び移載室側とストックスペース側との雰囲気気体の接触はなく、熱処理炉及び移載室側のクリーン度は高く維持できる。
【0006】
そして、上記熱処理炉及び移載室側は、例えば窒素ガス等を供給して不活性な雰囲気ガスで維持されている。不活性ガス雰囲気とすることで、シリコンウエハの自然酸化を防止でき、さらにシリコンウエハへの水分の付着も防止できる。そしてさらに、上記移載室側では、集塵フィルタを介して雰囲気ガスを循環させて、ウエハボート上に移載されたシリコンウエハ表面に供給し、前記不純物質の付着も防止している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したように厳しく管理されている熱処理炉及び移載室側の空間であっても不純物質がシリコンウエハ表面に付着する場合があった。本発明者等による検討では、この不純物質の発生源は熱処理炉及び移載室側に存在するモータ、センサ等の機器及びこれらを接続する配線と推測された。
【0008】
前述したように、熱処理炉及び移載室側は他の空間から遮断され、不活性な雰囲気ガスを循環させている。この雰囲気ガスが循環する通風路の一部は壁側や底側に形成した空間を利用している。ところが、これらの空間には通常、配線等が設けられており、雰囲気ガスが配線等と接触することになる。なお、このように主な不純物質発生源と考えられるモータ等の機器及び配線を密閉空間に設けることも検討されたが設計上困難であり、装置自体が大型化してしまう。よって、循環する雰囲気ガスが配線等と接触することは回避できない。
【0009】
なお、電線等から発生する不純物質の量は本来的に極微量であり、通常ワンウエイと称されて、熱処理毎に雰囲気ガスを排出し、新しいガスを導入する場合では問題とならない。しかし、雰囲気ガスを循環して継続的に使用する場合は、時間と共に不純物質の濃度が濃縮され、熱処理装置で形成する薄膜に悪影響を及ぼすと推測される。
【0010】
以上では、熱処理装置を例に取り説明したが、内部を高清浄に維持して処理を行う種々の処理装置では同様の問題を生じることになる。
【0011】
したがって、本発明の目的は、不純物質を除去するトラップ手段を備え、高清浄のもとで処理が行える処理装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、請求項1に記載される如く、
被処理体に付着する不純物質を除去しつつ前記被処理体に熱処理を施す処理装置において、内部に前記被処理体が配置される空間を形成する筐体と、第1通風室と、第2通風室と、通風路と、ポンプとにより、前記筐体内のガスを循環させる気体循環手段と、ガスの循環方向で前記空間の上流側に設けられる集塵用フィルタと、前記通風路内に設けられて、有機物を含む不純物質を捕捉する冷却トラップ手段と、前記冷却トラップ手段を加熱して捕捉した前記不純物質を離脱させる加熱手段と、離脱させた前記不純物質を前記処理装置外へ排出させる排出管とを含む排出手段と、ガスの循環方向で前記冷却トラップ手段の下流側に設けられて、前記第1通風室側及び前記排出管側のいずれか一方に接続するように切り換えられる流路切換バルブと、循環するガスの循環路中に設けられた不純物質検出用のセンサによる検出値に応じて前記流路切換バルブを制御する制御手段とを、備えることを特徴とする処理装置、により達成される。
【0013】
請求項1記載の発明によれば、前記筐体内ではトラップ手段が循環する気体中に含まれる不純物質を捕捉するので外部に対して高いクリーン度が維持される。よって、被処理体に付着する不純物質を除去しつつ所望の処理を施すことができ、歩留まりが向上する処理装置として提供できる。
【0015】
また、請求項1記載の発明によれば、所定温度以下に維持された表面で不純物質を捕捉し、これを維持することができる。
【0016】
ここで、冷却トラップ手段としては、冷媒を循環させて冷却を行うラジエータ構造を有する放熱器、ペルチェ効果を利用した熱電素子を用いる冷却器等を採用することができる。
【0018】
また、請求項1記載の発明によれば、排出手段を備えるので捕捉した不純物質を適宜、処理装置外へ排出することができる。よって、冷却トラップ手段の捕捉能力が低下する前に不純物質を排出してリフレッシュできるので、冷却トラップ手段の状態を常に良好に維持できる。
【0020】
また、請求項1記載の発明によれば、冷却トラップ手段が捕捉した不純物質が飽和状態となる前に、加熱手段と排出管とを用いて簡易に不純物質を装置外へ排出できる。
【0021】
また、請求項2に記載される如く、請求項1に記載の発明は、
前記筐体は、前記被処理体に熱処理を施すための熱処理炉と、該熱処理炉に隣接して設けられた前記被処理体の移載を行うための移載室とに区画されている、構成とすることができる。
【0022】
請求項2記載の発明によれば、熱処理炉と隣接して設けられる移載室とを共に高清浄な状態に維持できる。
【0023】
また、請求項4に記載される如く、請求項1から3のいずれかに記載の発明は、
前記制御手段は、前記筐体内の移載室側に前記被処理体が配置されていない際に、前記排出手段を機能させるように制御を行うことができる。
【0024】
請求項4記載の発明によれば、前記熱処理炉で前記被処理体に熱処理が施されていないときには冷却トラップ手段を機能させて雰囲気気体中の不純物質を捕捉し、熱処理炉で被処理体に熱処理が行われ、雰囲気気体中の不純物質の捕捉が必要ないときに不純物質排出手段を機能させて不純物質を外部に排出できる。よって、常に不純物質を捕捉できる最適な状態に冷却トラップ手段を維持できる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は本発明を適用した一実施例の熱処理装置の概要構成を示した図であり、また図2は同装置で循環する気体のようすを示した図である。
【0031】
図1において、熱処理装置1は、シリコンウエハW(以下、単にウエハW)に対して熱処理を施す熱処理炉10及びこの熱処理炉10で処理するウエハWの移載作業を行う移載室(移載スペース)20と、装置外部側とウエハWの搬入・搬出を行う機能と共に一次的にウエハWを保管しておく機能を有する保管室(ストックスペース)30を備えている。
【0032】
ここで、上記熱処理炉10及び移載スペース20側(以下、熱処理炉10側)とストックスペース30とは、仕切壁12と後述するパスボックス40を介して遮断されている。
【0033】
ストックスペース30には、外部側とウエハWの搬入・搬出を行うための出入り口15、その内側に設けた姿勢変換機構31が設けられている。この姿勢変換機構31上にウエハWを縦方向に配列収納したキャリアCを載置し、姿勢を略90度変換し、次いでキャリア移載装置32及びエレベータ33によりキャリアCをストックステージ34に搬入して保管するようになっている。また、ウエハWに処理を施す際には、この逆にストックステージ34からキャリアCを搬出するようになっている。
【0034】
ストックスペース30の下部はパスボックス40と接している。このパスボックス40は、上記熱処理炉10側の高清浄度を確保するために、熱処理炉10側の雰囲気気体、例えば窒素ガス(以下、窒素ガスを用いた例とする)とストックスペース30側の気体(通常は空気)とを接触させないために設けられている。
【0035】
パスボックス40は、ストックスペース30側の開閉ゲート41、熱処理炉10側の開閉ゲート43及びこの間に形成されるキャリアCを収納するパージスペース45からなっている。開閉ゲート41を開とした時には開閉ゲート43は閉とされており、載置台42上にキャリアCが置かれる。その後、開閉ゲート41が閉とされて、パージスペース45は密閉空間となる。ここに、ガス供給口46から熱処理炉10側と同じ窒素ガスをパージする。この時ガス排出口47から所定時間の排気を行いパージスペース45内を熱処理炉10側と同様の窒素ガス雰囲気に維持する。その後、開閉ゲート43を開とすることで、キャリアCを熱処理炉10側へ搬入することができる。本実施例の熱処理装置1では、上記パスボックス40を熱処理炉10側とストックスペース30の間に配設していることで、熱処理炉10側を外部と遮断した空間としている。
【0036】
次に、熱処理炉10側について見ると、熱処理炉10は図示せぬ反応管及びこの反応管を囲うように設けられた均熱管、ヒータ、断熱材等からなり円筒状に形成されて略垂直に設けられている。熱処理炉10の下部は前述した移載スペース20である。移載スペース20内には、ウエハWを載置するウエハボード21を熱処理炉1内にロード・アンロードするための上下動機構としてボートエレベータ24と、パスボックス40内にあるキャリアCとウエハボート21との間でウエハWを移載するウエハ移載手段25が配設されている。
【0037】
図1では示されていないが、本実施例の熱処理装置1は熱処理炉10側に雰囲気気体である窒素ガスを循環させる気体循環手段を有している。この窒素ガスの循環については、図2を参照して説明する。図2は、熱処理炉10側から熱処理装置1を見た図である。
【0038】
上記移載室20の側壁26側にはフィルタユニット3が配設されている。このフィルタユニット3の背面側(装置本体1内で外側)には通風室4が形成されている。また、このフィルタユニット3と対向する側壁27側にも通風室5が形成されている。これら通風室4、5は床面28の下方に形成された通風路6により相互に連通している。
【0039】
フィルタユニット3は、移載室20の天井付近から床面まで鉛直方向に伸びている。フィルタユニット3は外部側に設けられる集塵用フィルタ7と、移載室20側で層流を形成するために設けられる気流規制板8とからなっている。集塵用フィルタ7として例えばULPAフィルタが用いられている。気流規制板8は並行な気流つまり乱れの少ない層流を形成するためのものであり、例えば金属板に多数の小穴をパンチングにより形成されたパンチング金属板やメッシュの小さい金網或いは多数のスリットを備えたスリット板などが用いられている。なお、前記通風室4の下端には矢印で示される方向に気体を圧送する風送ポンプ29が配設されている。上記から明らかなように、通風室4、5、通風路6及び風送ポンプ29により移載室20内の窒素ガスを循環させる気体循環手段が構成されることになる。
【0040】
なお、前記フィルタユニット3に対向する通風室5の移載室側には、例えば多数の微小な穴を備えたパンチング金属板や多数のスリットを備えたスリット板などよりなる偏流防止板9が配置されている。この偏流防止板9によりフィルタユニット3から移載室20を介して通風室5に向かう気流の均一化が図られている。
【0041】
なお、移載室20内において循環する窒素ガスがリークにより減少した場合、或いは後述する不純物質を排出する場合に移載室20に窒素ガスを供給できるよになっている。窒素ガスは図示せぬ窒素ガス源から供給口22を介し移載室20内に供給される。供給口22の近傍には開閉弁23が設けられ窒素ガスの供給停止を行えるようになっている。
【0042】
さらに、床面28の下側の通風路6を見ると、前記風送ポンプ29の手前側に循環する窒素ガスの流路を遮るように冷却トラップ手段としてラジエータ構造の冷却装置50が配置されている。この冷却装置50は冷媒を介してその表面が例えば0℃程度に冷却されており、循環している間に主に有機物質からなる不純物質を含むこととなった窒素ガスからこの不純物質を捕捉する。この冷却装置50については図3に基づき更に後述する。
【0043】
上記通風路6に関して、窒素ガスの循環方向で上記冷却装置50の下流側には流路切換バルブ60が設けられている。この流路切換バルブ60には装置本体1の外部に開口した分岐排出管61が接続されている。流路切換バルブ60により、窒素ガスが循環するように通風室4側へ接続し、また窒素ガスが排出されるように分岐排出管61側へ接続することが可能となっている。この流路切換バルブ60は、通常では通風室4側を開として窒素ガスが循環するようにされており、冷却装置50が捕捉した不純物質を熱処理装置1外へ排出する際には分岐排出管61側に切換える。
【0044】
さらに、図3(A)及び(B)に基づき、前述した冷却装置50について説明する。図3(A)は通風路6を含めて冷却装置50の周辺を拡大した図であり、図3(B)は冷却装置50の構成及びその周辺構成を模式的に示した図である。
【0045】
図3(A)において、冷却装置50は、冷媒を所定の流量で送り出す冷媒源55に供給管56を介して接続されている。ここで、冷媒として例えば液体窒素、フレオン等を用いて冷却装置50の表面が所定温度以下、例えば約0℃まで冷却される。ここでの冷却は窒素ガス中の不純物質を捕捉できる程度の冷却温度であれば十分である。
【0046】
上記供給管56には切換弁52が設けられている。この切換弁52は分岐管53を有し、この分岐管53は温熱源、例えば温水源54に接続されている。すなわち、切換弁52を切換えることにより冷却装置50内に冷媒又は温水を供給できるような設定となっている。このように、温水を冷却装置50へ供給可能としたのは、冷却時にその表面で捕捉した不純物質を、後においてその表面から離脱させ装置外に排出可能とするためである。
【0047】
次に図3(B)では、上記冷却装置50の詳細な構成と冷却装置50の制御に関係した部分を模式的に示している。
【0048】
上記冷却装置50は、熱伝導性の高い材料、例えばアルミニウム製のパイプ58を複数回屈曲させ、これを複数の熱伝導性の高いフィン59で固定したラジエータ構造をしている。この種のラジエータ構造としては、一般によく知られている自動車で用いているラジエータと類似のものを製造して用いることができる。この冷却装置50は小型でその表面積を広く確保できるので、効率良くその表面で不純物質を捕捉することができる。冷却装置50は前述したように、通風路6内で窒素ガスの循環流路を遮るように配置されるが、上記パイプ58及び複数のフィン59の周辺には窒素ガスが通過できる空間が網目状に確保されている。よって、窒素ガスはパイプ58及び複数のフィン59の表面に接触しながら通過することが可能となっている。
【0049】
さらに、本実施例装置1は、前記熱処理炉10でウエハWに熱処理が施されていない時には冷却装置10に冷媒を供給して窒素ガス中の不純物質を捕捉させるように機能させ、その反対に熱処理炉10でウエハWに熱処理が施されている時、つまり移載室20内にウエハWが配置されていないときには冷却装置50に温水を供給して捕捉した不純物質を装置外へ排出するように制御する制御回路70を備えている。
【0050】
すなわち、上述したように本実施例の冷却装置50は捕捉した不純物質を熱処理装置1外へ排出する排出手段を備え、上記制御回路70は効率的に不純物質を捕捉できるようにこの排出手段を制御するものである。なお、排出手段は先に説明したところから明らかなように、冷却装置50側へ温水を供給するための温水源54、分岐管53及び切換弁52を含む加熱手段及び離脱させた不純物質を本熱処理装置1外へ排出させるための分岐排出管61を含んでいる。
【0051】
上記制御回路70による制御内容について、より詳細に説明をする。制御回路70は熱処理炉10によりウエハWが熱処理されているときに、所定の信号が供給されるようになっている。また、制御回路70はステッピングモータ71を介して前記切換弁52の切換えを行うことができ、また前記流路切換バルブ60についてもステッピングモータ72を介して切換えを行うことができ、さらに窒素ガスの供給口22の近傍に設けられている前記開閉弁23についてもステッピングモータ73を介して切換えを行うことができるように設定されている。
【0052】
そして、上記制御回路70は、熱処理炉10によりウエハWが熱処理しているとの信号を受けると、ステッピングモータ71を介して切換弁52により冷却装置50への供給を冷媒から温水へ切換え、ステッピングモータ72を介して流路切換バルブ60を分岐排出管61側へ切換え、さらにステッピングモータ73を介して開閉弁23を開として窒素ガスを移載室20内に供給させるように設定されている。これにより冷却装置50表面から離脱した不純物質は窒素ガスにより押出されて装置1外に排出できる。このような構成とすることにより、ウエハWに対する窒素ガスの供給を途絶えさせることなく、効率良く冷却装置50により捕捉した不純物質を装置外へ排出することができる。また、これと相応して移載室20内にウエハWが配置されているときには、冷却装置50が常に最適な状態で不純物質を捕捉できるようになる。
【0053】
なお、本実施例は制御回路70による不純物質の排除を熱処理炉10による処理毎に行うようした例を示すがこれに限らない。例えば、熱処理炉10による処理5回毎に、制御回路70により不純物質の排出を行うように設定してもよい。そのためには、制御回路70側に熱処理炉10から供給される前記信号をインクリメントする機能を新たに設けて制御を行うようにすればよい。この場合は、使用・排気される窒素ガスんの量を低減することができる。
【0054】
またさらに、窒素ガスの循環路中に不純物質検出用のセンサを配設し、このセンサからの検出信号を制御回路70に供給するように構成し、センサによる検出値が所定値を超えた時に不純物質の排出を行うように設定してもよい。この場合には、冷却装置50による不純物質の捕捉量が飽和に近い状態となり、循環する窒素ガス中の不純物質が増加傾向を示したときに不純物質の排出動作を行うように制御することが可能となり、より効率的である。
【0055】
前述した構成を有する実施例の熱処理装置1において、熱処理路10側の窒素ガスの循環動作について説明する。
【0056】
まず、熱処理炉10内でウエハWが熱処理されていない時について説明する。ウエハWは熱処理炉10による処理を待機している状態にあるとする。
【0057】
移載室20内の窒素ガスは前記風送ポンプ29の圧送力により、図2において矢印で示されるような循環路を形成する。すなわち、風送ポンプ29から圧送力を受ける窒素ガスは、通風室4内を上昇しながらフィルタユニット3を介して移載室20内に進入する。その際、集塵用フィルタ7により塵埃が取り除かれ、気流規制板8を介しているのでクリーンで層流状態の窒素ガスが移載室20内に供給される。
【0058】
窒素ガスはウエハボート21上に所定間隔で積層されているウエハWに対して層流状態で供給され、偏流防止板9を介して通風室5内に入る。そして、通風室5内を下降して装置本体1の下部に設けた通風路6に至る。このように流れる窒素ガスは、図2には示していないが移載室20内に配設されている例えばモータ、配線等の不純物質発生源と接触し、不純物質を含有してしまう場合がある。
【0059】
しかし、この時に前記制御回路70は、通風路6内の冷却装置50に冷媒を供給して不純物質を捕捉できる状態としている。よって、通風路6を通過して再び通風室4に入る窒素ガスは不純物質が除去されてクリーンな状態とされ、再び移載室20内に進入する。
【0060】
次に、熱処理炉10内でウエハWに熱処理が施されている時について説明する。ウエハWの熱処理は密閉状態の熱処理炉10内で施される。
【0061】
このとき、風送ポンプ29は前述した場合と同様に窒素ガスを圧送する。しかし、前記制御回路70は熱処理炉10がウエハWに熱処理を施していることを検出する。そして、ステッピングモータ71を介して切換弁52により冷却装置50への供給を冷媒から温水へ切換え、ステッピングモータ72を介して流路切換バルブ60を分岐排出管61側へ切換え、さらにステッピングモータ73を介して開閉弁23を開として窒素ガスを移載室20内にパージさせる。よって、冷却装置50表面から不純物質が離脱し、直ちに窒素ガスにより押出されて装置1外部に排出される。
【0062】
なお、一般に上記熱処理炉10内でウエハWに熱処理を施す時間は数時間に及び上記不純物質の排出作業は短時間で完了する。よって、制御回路70は所定時間の排出動作を行った後、窒素ガスが循環する状態に復帰させる。
【0063】
以上詳述した実施例の熱処理装置1によれば、熱処理炉10側で循環する窒素ガスから確実に不純物質を除去できるので、歩留りの向上する処理装置として提供できる。
【0064】
なお、本実施例の熱処理装置1は、制御手段としての制御回路70により冷却装置50の効率的な制御を行うので、不純物質を単に捕捉するフィルタを使用した場合と比較するとフィルタのチェック、交換作業を行う必要がなくなる。
【0065】
また、上記実施例では、冷却トラップ手段としてラジエータ構造の冷却装置50を用いたが、ペルチェ効果を利用する冷却装置を用いることもできる。この場合は上記実施例の基本構成は維持し、熱電素子の吸熱側を不純物質を捕捉するトラップ面とするように冷却装置を構成すればよい。
【0066】
また、上記実施例では、雰囲気気体として窒素ガスを用いたが、他にアルゴン、ヘリウム等の不活性ガスや乾燥空気(Dry Air)を用いることもできる。
【0067】
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0068】
なお、上記実施例では、トラップ手段として冷却機能を備えた冷却装置を用いたが、トラップ手段としてケミカルフィルタを採用することも可能である。ケミカルフィルタとして、例えば活性炭、ジルコニア(酸化ジルコニウム)等の多孔質材、或いは多孔質に形成したウレタン樹脂の表面に活性炭を外添した部材等を用いることができる。この場合は、簡単な構成で不純物質を捕捉することができる。
【0069】
また、上記実施例では半導体基板の熱処理装置について例示したが、本発明はこれに限らず、他の半導体製造装置や液晶ディスプレイ製造装置にも適用できることは勿論である。
【0070】
【発明の効果】
以上詳述したところから明らかなように、
請求項1記載の発明によれば、前記筐体内ではトラップ手段が循環する気体中に含まれる不純物質を捕捉するので外部に対して高いクリーン度が維持される。よって、被処理体に付着する不純物質を除去しつつ所望の処理を施すことができ、歩留まりが向上する処理装置として提供できる。
【0071】
また、請求項1記載の発明によれば、トラップ手段が冷却機能を備えるので、所定温度以下に維持された表面で不純物質を捕捉し、これを維持することができる。
【0072】
また、請求項1記載の発明によれば、排出手段を備えるので捕捉した不純物質を適宜、処理装置外へ排出することができる。よって、冷却トラップ手段の捕捉能力が低下する前に不純物質を排出してリフレッシュできるので、冷却トラップ手段の状態を常に良好に維持できる。
【0073】
また、請求項1記載の発明によれば、冷却トラップ手段が捕捉した不純物質が飽和状態となる前に、加熱手段と排出管とを用いて簡易に不純物質を装置外へ排出できる。
【0074】
請求項2記載の発明によれば、熱処理炉と隣接して設けられる移載室とを共に高清浄な状態に維持できる。
【0075】
請求項4記載の発明によれば、前記熱処理炉で前記被処理体に熱処理が施されていないときには冷却トラップ手段を機能させて雰囲気気体中の不純物質を捕捉し、熱処理炉で被処理体に熱処理が行われ、雰囲気気体中の不純物質の捕捉が必要ないときに不純物質排出手段を機能させて不純物質を外部に排出できる。よって、常に不純物質を捕捉できる最適な状態に冷却トラップ手段を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した一実施例の熱処理装置の概要構成を示した図である。
【図2】 図1に示した装置で循環する気体の様子を示した図である。
【図3】 (A)は通風路を含めて冷却装置の周辺を拡大した図であり、(B)は冷却装置の構成及びその周辺構成を模式的に示した図である。
【符号の説明】
1 熱処理装置
4,5 通気室
6 通気路
10 熱処理炉
20 移載室
29 送風ポンプ
50 冷却装置(冷却トラップ手段)
52 切換弁
53 分岐管
54 温水源
61 分岐排出管(排出管)
W ウエハ(被処理体)
Claims (4)
- 被処理体に付着する不純物質を除去しつつ前記被処理体に熱処理を施す処理装置において、
内部に前記被処理体が配置される空間を形成する筐体と、
第1通風室と、第2通風室と、通風路と、ポンプとにより、前記筐体内のガスを循環させる気体循環手段と、
ガスの循環方向で前記空間の上流側に設けられる集塵用フィルタと、
前記通風路内に設けられて、有機物を含む不純物質を捕捉する冷却トラップ手段と、
前記冷却トラップ手段を加熱して捕捉した前記不純物質を離脱させる加熱手段と、離脱させた前記不純物質を前記処理装置外へ排出させる排出管とを含む排出手段と、
ガスの循環方向で前記冷却トラップ手段の下流側に設けられて、前記第1通風室側及び前記排出管側のいずれか一方に接続するように切り換えられる流路切換バルブと、
循環するガスの循環路中に設けられた不純物質検出用のセンサによる検出値に応じて前記流路切換バルブを制御する制御手段とを、備えることを特徴とする処理装置。 - 前記筐体は、前記被処理体に熱処理を施すための熱処理炉と、該熱処理炉に隣接して設けられた前記被処理体の移載を行うための移載室とに区画されている、ことを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
- 前記気体循環手段は、前記移載室の一方の側壁側に形成された前記第1の通風室と、前記移載室の前記一方の側壁と対向する側壁側に形成された前記第2の通風室と、前記第1の通風室と前記第2の通風室とを相互に連通するように形成された前記通風路と、前記第1の通風室に設けられた前記ポンプとにより、前記移載室内のガスを循環させるものであり、
前記集塵用フィルタは、ガスの循環方向で、前記移載室の内部の空間の上流側に設けられている、ことを特徴とする請求項2に記載の処理装置。 - 前記制御手段は、前記筐体内の移載室側に前記被処理体が配置されていない際に、前記排出手段を機能させるように制御を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の処理装置。
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