JP4677643B2 - 表皮張設成形品の製造方法、及び該製造方法に用いる表皮張設用型 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
フレームに表皮を張設した表皮張設成形品の製造方法、及びフレームに表皮を張設して表皮張設成形品を製造するための表皮張設用型に関する。
【0002】
【従来の技術】
フレームに表皮を張設した表皮張設成形品は、意匠性を有する家具の側面や扉、又は椅子や折畳椅子の座面や背面、又は車両内装部品等に利用されている。
従来、かかる表皮張設成形品の製造方法としては、予め所望形状に成形されたフレームに表皮を引張りながら貼付ける方法や、密閉された成形型に予め表皮をインサートし、その成形型にフレームの材料を射出して表皮とフレームとを一体成形する方法等が一般的に知られている。
しかし前者は、手作業によるため作業者の熟練度によって表皮の張力にバラツキが生じていた。また後者では、表皮に十分な張力を与えることができず、表皮にしわが入って外観の見栄えが悪くなったり、椅子の座面や背面に表皮張設成形品を使用する場合には、人の体重を支えることができなかった。
【0003】
そこで従来、表皮に張力を与えて表皮をフレームに張設する方法がいくつか紹介されている。例えば特許公報第2688878号では、表皮とフレームとを一体成形する金型に表皮を引張るためのクランプ手段が設けられた発明が開示されている。この開示発明では、金型が上型、下型を備え、さらに上型及び下型側から伸びた棒状の上側ロッド、下側ロッドを備える。この上型と下型の間に表皮を設置し、上型と下型を近づけることによって上側ロッドと下側ロッドは、表皮を挟んで当接し、表皮をクランプする。そしてさらに上型と下型を近づけると、上側ロッドと下側ロッドは、表皮をクランプした状態のままそれぞれ上型側と下型側を回動中心として回動することによって、表皮を左右に引張る。そして表皮を引っ張った状態において上型もしくは下型にフレームの材料を注入し、上型と下型によって型締めする。これによってフレームと表皮とが一体成形され、表皮は引張られた状態のままフレームに装着、すなわち張設される。
したがって表皮は、引張力を受けた状態でフレームに装着されるが、上側及び下側ロッドは複雑な構造であるため金型のコストが高くなってしまっていた。しかもロッドは棒状であるため表皮をクランプする面積が小さく、表皮の引張り方向が偏ったり、表皮に十分な張力を与えることができない場合もあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、上記問題点を鑑みて、フレームに表皮を張設した表皮張設成形品を製造する際に、表皮に張力を与えることができる表皮張設成形品の製造方法、その製造方法に用いる表皮張設用型を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために前記各請求項に記載のとおりの構成を備える表皮張設成形品の製造方法、該製造方法に用いる表皮張設用型、及び前記製造方法により製造された表皮張設成形品を備えた椅子としたことを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の表皮張設成形品の製造方法によれば、下型と上型との間に表皮を設置する。次に、下型の両端側に設けられた下外押部と、上型の両端側に設けられた上外押部とによって表皮を保持するとともに、上外押部もしくは下外押部の少なくとも一方によって他方を後退させる。
これによって表皮の端部は、下外押部と上外押部とによって保持される。しかも下外押部と上外押部の一方が他方に後退されるため、表皮は確実かつ強固に保持される。
【0010】
そして、下外押部間に設けられた下型の下内押部と、上外押部間に設けられた上型の上内押部とによって表皮を保持するとともに、上内押部もしくは下内押部の少なくとも一方によって他方を後退させて、表皮に張力を与える。
すなわち表皮は、端部が押えられた状態において中央部が下内押部ないし上内押部に押される。そのため表皮には張力が与えられる。しかも、表皮の中央部は下内押部と上内押部とによって挟まれるため、表皮の中央部は上下面を挟まれた状態で張力が与えられる。このため表皮には、表皮全体に均等な張力が与えられたり、あるいは表皮にしわが生じにくくなる。しかも下内押部と上内押部の一方は、他方を後退させるため、表皮の中央部は確実かつ強固に保持される。
そして張力が与えられた表皮にフレームを装着して、フレームに表皮を張設する。
【0011】
以上のように表皮は、下型及び上型によって容易に張力が与えられる。すなわち上型と下型とによって表皮は、端部が押えられ、次いで中央部が押えられるため張力が得られる。しかも表皮の端部と中央部は、上型及び下型によって挟まれ、少なくとも上型と下型の一方が他方を後退させるため、確実かつ強固に挟まれる。
また表皮は、表皮の端部と中央部の上下方向の動きの差によって引張るため、例えば表皮の両端部を左右方向へ引張る形態に比べて、容易な構造で型を構成することができる。したがって表皮を多方向に同時に引張ったり、あるいは表皮を十分に引張ることが容易である。これによって、表皮はしわが入らなかったり、十分な張力を容易に得られる。
また、上下の型の近接ないし離間の動きを利用して上下の型の一部を後退させることも可能である。したがって、これにより表皮は容易に張力が与えられるため、容易に表皮をフレームに張設することができる。
【0012】
なお表皮にフレームを装着する方法は、張力が与えられた表皮とフレームとが装着されていればどんな装着方法でもよい。例えば、張力を与えられた表皮に成形後のフレームを当設し、接着、溶着等をして表皮とフレームとを装着する形態であってもよい。あるいは、下型ないし上型にフレーム材料を挿入・設置することによって、フレームを型によって圧縮成形、射出成形等する際に、表皮をフレーム成形時にフレームと一体状に装着する形態であってもよい。
【0013】
なお下外押部と上外押部は、下型ないし上型の両端部に設けられるが、表皮を張設する観点より、左右の両端、前後の両端、斜め方向の対向状の両端等のどの両端であってもよい。また表皮を均等に張設、あるいは表皮の張力を高める観点より、下外押部と上外押部は、下型ないし上型の端部全体、すなわち周縁状に設けられる形態が好ましい。
なお表皮に張力を与える観点より、下外押部と上外押部とが表皮を保持するタイミングと、下内押部と上内押部とが表皮を保持するタイミングとは同時であっても構わない。また、下外押部と上外押部とが表皮に当接する前に、下内押部と上内押部とが表皮に当接した場合であっても、下外押部と上外押部とが表皮を保持した状態において、下内押部と上内押部が表皮を保持するとともに下内押部と上内押部の一方が他方を後退させることによって表皮に張力を与える場合であっても構わない。
【0014】
請求項2に記載の表皮張設用型によれば、表皮張設用型は、下型と上型を備える。そして下型は、両端側に設けられる下外押部と、下外押部間に設けられる下内押部とを有する。また上型は、両端側に設けられるとともに下外押部と協働して表皮の端部を押える上外押部と、その上外押部間に設けられるとともに下内押部と協働して表皮の中央部を押える上内押部とを有する。
そして、下外押部もしくは上外押部は、少なくとも一方が他方に押されることによって後退可能に構成され、下内押部もしくは上内押部は、少なくとも一方が他方に押されることによって後退可能に構成されて、表皮の中央部に張力を与える。
【0015】
したがって表皮は、表皮張設用型によって端部と中央部を別々に保持され、端部と中央部が別々にスライドないし段差状に移動(後退)させられる。これによって表皮の中央部に張力が発生する。
また表皮の端部は、上型及び下型によって挟まれるとともに、少なくとも上型と下型の一方が他方によって後退させられるため、表皮は確実かつ強固に挟まれる。これによって表皮は、均一な張力を得られたり、所望ないし十分な張力を得て、表皮にしわが生じにくくなる。
また表皮の中央部も、上型及び下型によって挟まれ、少なくとも上型と下型の一方が他方によって後退させられるため、表皮は均一な張力を得られたり、表皮にしわが生じにくくなる。
【0016】
また表皮は、表皮の端部と中央部の上下方向の動きの差によって引張るため、例えば表皮の両端部を左右方向へ引張る形態に比べて、容易な構造の表皮張設用型によって張力が得られる。
しかも上下の型の近接ないし離間の動きを利用して上下の型の一部を後退させることが可能であり、そのための型の構造も容易に構成できる。
【0017】
また下内押部は、下外押部の間に設けられるため、下内押部もしくは下外押部が後退可能な構造の場合には、他方が後退時のガイドとする構成にでき、簡単な構成で後退可能な構造を構成できる。上内押部と上外押部についても同様に、簡単な構成によって後退可能な構造を構成可能である。
したがって、表皮を張設するための表皮張設用型は、容易な構成によって構成され、表皮はこの表皮張設用型によって、所望ないし十分な張力が得られる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の表皮張設成形品の製造方法によって製造された表皮張設成形品を座面又は背面の一方、もしくは座面及び背面の両方に備えたことを特徴とする椅子である。
したがって、請求項1に記載の発明と同様の作用効果によって製造された座面、背面の一方、又は座面と背面の両方を有する椅子が構成される。
【0019】
【発明の実施の形態】
本実施の一形態を図を参照して説明する。
本実施の形態によって製造される製品は、椅子の一部品である椅子部材4(図6参照)と、この椅子部材4を座面に備える椅子である。
この椅子部材4は、図6に示すように樹脂を素材として環状に成形されたフレーム42と、フレーム42の上面に張設された表皮41とによって構成されている。この表皮41は、十分に張力をもって張設されており、人が腰掛けた場合には、体重を支えるとともに適度な弾性変形によるクッション感を与えている。
なおこの椅子部材4は、本発明の表皮張設成形品に相当する。
【0020】
以下に、この椅子部材4の製造方法及びその製造方法に用いる型1を説明する。
椅子部材4は、大きく二つの工程を有する製造方法によって製造されている。第一の工程は、表皮41に張力を与えながらフレーム42に表皮41を装着(張設)する装着・張設工程であり、この工程によってフレーム42に表皮41が装着されたプリセット品(アセンブリ体)が成形される。
また第二の工程は、このプリセット品の表皮41に張力(テンション)を与える張力付与工程である。
装着・張設工程においては、図1に示す型1が使用されており、型1によって装着前の表皮41を引張りながら、フレーム42を型1によって圧縮成形する。フレーム42を成形する際に、表皮41が型1にセットされているため、フレーム42が成形される際に表皮41がフレーム42に一体状に装着される。
【0021】
この型1は、図1に示すように固定金型である下型3と、下型3に対して進退可能な可動金型である上型2とを主体に構成されている。なお、型1は本発明の表皮張設用型に相当する。
下型3は、図1,2に示すようにプレート状の基台30と、基台30の外周に沿って固定的に取付けられた下外押部31と、基台30の中央側に基台30に対して進退可能に装着された下内押部32とによって構成されている。
下外押部31は、下型3の左右及び前後の両端部に形成されて、方形環状に形成されている。そして下外押部31は、下内押部32の周囲を囲うように設けられるため、下内押部32の進退運動の際には、下外押部31が下内押部32の進退運動をガイドする。
また、下外押部31の内側周縁には、内側周縁に沿って上側及び内周縁側を開口とした凹部が設けられ、この凹部と下内押部32の側面とによって凹状のキャビティ34が形成されている。このキャビティ34には、フレーム42の成形の際にフレーム材料40が設置され、フレーム42がキャビティ34内で成形される。
【0022】
下内押部32は、下外押部31と別個独立に設けられており、下外押部31の間に設置されている。そして下内押部32の下面には、下内押部32を基台30に対して進退可能に装着するバネ33が設けられており、このバネ33が弾性変形・弾性戻りすることによって下内押部32が進退する。このバネ33は、上型2が下型3に近接・離間する際に、上型2によって下内押部32が押されたり、押圧から開放されたりすることによって、弾性変形、弾性戻りをする。これによって下内押部32が進退運動する。
【0023】
上型2は、図1,2に示すようにプレート状の基台20と、基台20の下面中央に固定的に設けられた上内押部22と、基台20の下面外周部に進退可能に設けられた上外押部21とによって構成されている。
上外押部21は、上型2の左右及び前後の両端部に形成されて、方形環状に形成されており、上内押部22の周囲を囲うように設けられている。したがって、上外押部21は上内押部22をガイドとして進退運動する。
【0024】
上外押部21は、上内押部22と別個独立に設けられており、上面には基台20に対して進退させるバネ23が設けられている。このためバネ23が弾性変形することによって上外押部21が基台20に対して進退運動する。このバネ23は、上型2が下型3に近接・離間する際に、上外押部21が下外押部31によって押されて弾性変形し、その押圧から開放されることによって弾発力によって弾性戻りをする。これによって下内押部32が進退運動する。
また進出した状態の上外押部21は、図2に示すように上内押部22よりも下方側へ突出した状態になる。このため、上型2が下型3に対して近接された場合、上外押部21が上内押部22よりも先行して下型3に当接する。
【0025】
また型1は、下型3から鉛直状に設けられた丸棒状のガイドロッド10を備え、上型2はこのガイドロッド10を貫通する貫通孔を有する。したがって上型2は、ガイドロッド10をガイドとして下型3に対して近接・離間ないし進退運動をする。
【0026】
以下に型1を用いて、表皮41をフレーム42に張設する方法(装着・張設工程)を説明する。
先ず、フレーム42の材料となるフレーム材料40を計量し、そのフレーム材料40を図1,2に示すようにキャビティ34に設置する。
フレーム材料40は、所望粘度を有したゴム弾性状の熱可塑性樹脂であり、例えばポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等を主材としている。したがってフレーム材料40は、キャビティ34の形状に合わせた大きさの塊状に成形されてキャビティ34内に設置される。フレーム材料40は、このように塊状に成形されるため、キャビティ34に設置しやすく、例えばフレーム42の形状が三次元的な複雑形状であって、キャビティ34がその形状に合わせて三次元的な構造である際にも、フレーム材料40は重力によって下方へ流されることなくキャビティ34に設置できる。
【0027】
次に図2に示すように、表皮41によって下内押部32及びキャビティ34を覆うように、下型3と上型2の間に表皮41を設置する。
表皮41は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等の熱可塑性樹脂を素材としたシートであって、網目状のシート、あるいはメッシュ状のシートである。
【0028】
次に、上型2を下ろすことによって上型2と下型3とを近接させる。これによって、先ず上外押部21が図3に示すように表皮41の端部に当接する。さらに、上型2を下方へ下ろすと、図4に示すように、下外押部31が上外押部21を押して、バネ23が弾性変形する。これによって下外押部31は後退し、表皮41の端部は下外押部31と上外押部21とによって押されることによって保持される。
さらに上型2を下方へ下ろすと、上内押部22が図4に示すように表皮41を介して下内押部32に当接する。そして、さらに上型2を下方に下ろすと、図5に示すように下内押部32は、上内押部22によって下方へ押され、バネ33が弾性変形する。これによって下内押部32は後退し、表皮41の中央部は上内押部22と下内押部32とによって押されることによって保持される。
また、上外押部21も同時に下外押部31によって押されることによって、さらに後退する。
【0029】
したがって表皮41は、上型2と下型3によって端部が保持された状態のまま中央部が押されるため、表皮41の端部と中央部とに段差が生じ、その段差によって表皮41の中央部に張力が発生する。
またフレーム材料40は、下内押部32が後退すると同時に上内押部22が下内押部32側へ近接するため、フレーム材料40が上内押部22によって圧縮される。
この状態を一定時間保持することによって、フレーム材料40が圧縮成形されてフレーム42が成形される。
【0030】
表皮41は、フレーム42の圧縮成形時にキャビティ34の上面に設置されているため、フレーム42が成形される際にフレーム42の上面と表皮41とが一体となって、表皮41とフレーム42とが装着される。また、表皮41が網目状ないしメッシュ状であるため、その網目やメッシュ間にフレーム材料40の一部が入り込むことで、表皮41がフレーム42に強固に取付けられる。
以上のように、表皮41に張力が付与された状態でフレーム42に表皮41が張設(装着)され、アセンブリ体であるプリセット品が成形される。
そして上型2を図1のように上へ持上げ、表皮41及びフレーム42を下型3から取外す。
そして次に、このフレーム42の端部よりも外方へはみ出た余分な表皮41を切断する。
【0031】
次に、張力付与工程を行う。
上記装着・張設工程によって成形されたプリセット品、換言すると張力付与工程前の予備的成形体を図6に示すようにコンベア60に載せて、ヒータ6の前へ運ぶ。
このヒータ6は、ジュール熱を発生する装置であって、ヒータ6によって発生した熱は、表皮41へ照射される。
熱を受けた表皮41は、この熱によって収縮しようとする。したがって、表皮41は表面積が小さくなろうとするが、表皮41はフレーム42によって周囲を支持されているため、収縮しようとする動きが抑制される。
【0032】
したがって、表皮41には張力が加わり、表皮41のしわがなくなったり、体重を支えるために必要な張力を得ることができる。
なお、表皮41を収縮させるための熱は、ヒータ6による熱量とコンベア60の速度によって調整可能である。そのため、表皮41の材質、形状、厚さ等に対応してこれらが調整されている。
また、表皮41は網目状ないしメッシュ状であるために熱を受けやすく、少ない熱量によって表皮41を収縮させることができ、しかもその収縮方向を網目の方向によって調整することができる。
以上のようにして、表皮41には所望の張力が得られ、張力を得た表皮41を備えた椅子部材4が成形される。
そして、この椅子部材4のフレームに椅子脚を装着をすることによって、椅子部材4を座面とした椅子が製作される。
【0033】
このように表皮41は、フレーム42の成形工程時(装着・張設工程)と、フレーム42に装着された後の後工程(張力付与工程)の二度に渡って張力が与えられるため、表皮41の張力は十分かつ適度な張力になる。
また表皮41は、フレーム42に装着された後の後工程において張力が得られるため、表皮41の張力を所望あるいは十分な張力に容易に調整できる。
また表皮41に熱を与える装置は、簡単な装置のヒータ6によって構成でき、例えばフレーム42の形状に合わせた型などを必要としない。したがって、容易にしかも安価に表皮41に張力を与えることができる。
【0034】
また型1は、上外押部21と下内押部32がそれぞれ上内押部22と下外押部31をガイドとして進退する構成となっているため、容易な構成になっている。したがって、型1は安価に製作されるとともに、破損のおそれが少ない構造である。
しかも上外押部21と下内押部32の進退運動は、上型2と下型3の近接・離間運動によって行われるため、進退運動のための構造が容易であり、型1は安価に製作される。
また型1は、表皮41を引張る機能と、フレームを成形する機能を同時に備える構造であり、これらの機能を少ない部品によって構成している。すなわち、型1を構成する多くの部品は、二つの機能を同時に兼ね備えている。例えば上内押部22は、表皮41の中央部を押すことによって表皮41に張力を与える機能と同時に、キャビティ34の容積を小さくしてフレーム材料40を圧縮するという機能を有する。したがって型1は、部品点数が少なく安価に構成される。
【0035】
また表皮41は、全周の端部が保持されて張力が与えられるため、表皮41には均等に張力が与えられる。そして表皮41が種々の方向(全周方向)に保持されるため、フレーム42形状が複雑な形状であっても表皮41に適度な張力が加わる。
また表皮41の端部を全周に渡って押えているため、表皮41は型1によって広い面積で保持され、表皮41が強力に保持される。これによって、表皮41には大きな張力が与えられる。
【0036】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、例えば以下の構成を有する形態であってもよい。
(1)上記実施の形態では、下内押部32と上外押部21がそれぞれ進退可能に構成されていたが、下外押部と上内押部が進退可能な構成であってもよいし、下外押部、下内押部、上外押部、及び上内押部のすべてが進退可能であってもよい。このような形態であっても、表皮の端部を押えながら表皮の中央部を押えることが可能であり、表皮に張力を与えることができるからである。
(2)また上記実施の形態では、表皮41が網目状ないしメッシュ状であったが、一枚もののシートであってもよい。このような表皮であっても熱によって表皮が収縮し、表皮はこの収縮によって張力を得ることができる。
(3)また上記実施の形態の椅子は、椅子部材4を座面に利用していたが、椅子部材を背面に利用したり、座面と背面との両方に利用する形態であってもい。また、座面と背面とを一体に構成した形状として椅子部材を成形し、この椅子部材を椅子の一部品として利用する形態であってもよい。
(4)また上記実施の形態の張力付与工程では、ヒータ6による熱によって表皮41に張力を与えていたが、熱と同時に蒸気を表皮に与える装置、例えばスチームアイロン等の原理を利用した装置によって表皮に張力を与える形態であってもよい。蒸気を介して表皮に熱を伝えるため、表皮に蒸気が付着し、熱が伝わりやすい。したがって、上記実施の形態よりも熱効率が向上し、製造コストが削減できる。
(5)また上記実施の形態の張力付与工程では、ヒータ6による熱を利用して表皮41に張力を与えていたが、熱源と送風部を備えた装置、例えば暖房器具、ドライヤー、温風ヒータ等を利用した装置を利用して表皮に張力を与える形態であってもよい。すなわち、これらの装置によって温風が作られ、この温風によって表皮に熱が伝えられる。そのため表皮には隅々に渡って熱が伝わりやすく、表皮には均等な張力が発生する。したがって、上記実施の形態よりも表皮に熱が伝えられやすく、熱効率がよい。また、温風の風速を調整することによって表皮の張力を容易に調整できる。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、フレームに表皮を張設した表皮張設成形品が容易に製造され、その表皮には張力が十分に与えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態の型、表皮、及びフレーム材料の斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面図であって、型、表皮、及びフレーム材料の断面図である。
【図3】表皮をフレームに装着・張設する工程を示すための型、表皮、及びフレーム材料の断面図である。
【図4】表皮をフレームに装着・張設する工程を示すための型、表皮、及びフレーム材料の断面図である。
【図5】表皮をフレームに装着・張設する工程を示すための型、表皮、及びフレーム材料の断面図である。
【図6】プリセット品にヒータの熱を与えている様子を示す、プリセット品(椅子部材)及びヒータの斜視図である。
【符号の説明】
1…型
2…上型
3…下型
4…椅子部材(表皮張設成形品)
6…ヒータ
10…ガイドロッド
20…基台
21…上外押部
22…上内押部
23,33…バネ
30…基台
31…下外押部
32…下内押部
34…キャビティ
40…フレーム材料
41…表皮
42…フレーム
60…コンベア
Claims (3)
- フレームに表皮を張設した表皮張設成形品の製造方法であって、
下型と上型との間に前記表皮を設置し、
前記下型の両端側に設けられた下外押部と、前記上型の両端側に設けられた上外押部とによって前記表皮を保持するとともに、前記上外押部もしくは前記下外押部の少なくとも一方によって他方を後退させ、
前記下外押部間に設けられた前記下型の下内押部と、前記上外押部間に設けられた前記上型の上内押部とによって前記表皮を保持するとともに、前記上内押部もしくは前記下内押部の少なくとも一方によって他方を後退させて、前記表皮に張力を与え、
張力が与えられた前記表皮に前記フレームを装着して、前記フレームに前記表皮を張設する表皮張設成形品の製造方法。 - フレームに表皮を張設した表皮張設成形品を製造するための表皮張設用型であって、
前記表皮張設用型は、下型と上型を備え、
前記下型は、両端側に設けられる下外押部と、該下外押部間に設けられる下内押部とを有し、
前記上型は、両端側に設けられるとともに前記下外押部と協働して前記表皮の端部を押える上外押部と、該上外押部間に設けられるとともに前記下内押部と協働して前記表皮の中央部を押える上内押部とを有し、
前記下外押部もしくは前記上外押部は、少なくとも一方が他方に押されることによって後退可能に構成され、
前記下内押部もしくは前記上内押部は、少なくとも一方が他方に押されることによって後退可能に構成されて、前記表皮の中央部に張力を与えることを特徴とする表皮張設用型。 - 請求項1に記載の表皮張設成形品の製造方法によって製造された前記表皮張設成形品を座面及び/又は背面に備えたことを特徴とする椅子。
Priority Applications (1)
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