JP3550432B2 - 積層成形品の成形方法および積層成形用の金型 - Google Patents

積層成形品の成形方法および積層成形用の金型 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、表面が表皮面材で被覆された積層成形品の製造方法に関し、シートバック、サイドピラー、および、ドアの内装パネル等の自動車部品や、椅子の背もたれ等の家具部品等を製造する際に利用できる。
【0002】
【背景技術】
従来より、自動車内装品等、例えば、ドアの内装パネル、シートバック、および、サイドピラーには、合成樹脂製の本体の表面を、塩化ビニールおよび発泡ポリプロピレン等からなる多層面材や、柔軟性を有する布等の表皮面材で被覆した積層成形品が利用されている。
このような積層成形品によれば、表面が柔軟な表皮面材で覆われていることから、手で触れた際等に良好な感触を与えることができるうえ、織布等を表皮面材として用いれば、装飾性を付与することができる。
また、表皮面材の厚みを増すことにより良好なクッション性が得られるため、コンソールボックスの蓋等に積層成形品を用いれば、開閉の際の衝撃音、走行時の振動等を抑制できる。
さらに、クッション性を有する表皮面材は、隙間を密閉することが可能となるので、良好な遮音性やシール性等を付与することができる。
【0003】
このような積層成形品を製造するには、芯となる本体を成形した後、この本体の表面に表皮面材を接着することにより行うのが一般的であるが、表皮面材を接着する作業が煩雑であるため、製造コストを高騰させるという問題がある。
この問題は、予め表皮面材を装着しておいた金型に溶融樹脂を充填することで、成形と同時に表皮面材と本体とを一体化し、接着作業を省略する製造方法により解消できる。
このような製造方法では、表皮面材を金型に装着するのに、次のA〜Dのような構造の装着手段を採用している。
A.雄型および雌型等の二つの型部で構成し、金型を閉鎖する際に、型部の合わせ面の間に表皮面材の端縁を挟み込んで当該表皮面材を完全に固定してしまう装着手段。
B.金型を二つの型部で構成するとともに、両型面の間に表皮面材の厚さとほぼ同一寸法の隙間を設け、この隙間に表皮面材の端縁を配置し、表皮面材を両側から押さえ付けることなく、金型内部へ表皮面材が自由に送り込まれるように、表皮面材を装着する装着手段。
C.金型からはみ出た表皮面材の端縁を引っ張るスプリング等の引張装置を金型の周囲に設け、この引張装置の張力に抗する力が表皮面材に与えられると、表皮面材の端縁が金型の内部へ滑り込むことを可能とする表皮面材を装着する装着手段(特開平2−229014号)。
D.雄型および雌型等の二つの型部に金型で構成し、これら二つの型部の一方との間に表皮面材を挟み込む固定枠と、固定枠を前記一方の型部に向かって押圧する複数の流体シリンダ装置等とを設け、固定枠および型枠の間に表皮面材を挟持するとともに、流体シリンダ装置等の押圧力の調節により、固定枠および型枠の挟持力を調節可能にした装着手段(特公平4−76291 号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
以上のA〜Dの製造方法には、それぞれ次のイ〜ニに示す問題がある。
イ.型部の間に挟み込んで表皮面材の端縁を移動不可能に固定することから、凹凸のある立体的な成形品を成形しようとすると、成形時に表皮面材に過大な張力が加わる。このため、布等の伸びない表皮面材は破れやすく、発泡ポリプロピレン等のクッション性を有する表皮面材は、引き伸ばされて厚みを失い、クッション性が損なわれるという問題がある。
ロ.金型内へ表皮面材が自由に送り込まれることから、表皮面材に張力が全く与えられない。このため、凹凸のある立体的な成形品を成形しようとすると、金型に充填される溶融樹脂の流動により、表皮面材が自由に変形し、立ち上がり部分の付け根部分等にシワを発生させるという問題がある。
ハ.引張装置を設けることにより、金型の構造が複雑になるとともに、引張装置は金型の周囲に設けられるので、金型の全体の寸法が大型化する。
そのうえ、引張装置で表皮面材を引っ張るには、引張装置と表皮面材とをある程度強固に接続する必要があるので、成形毎に行われる表皮面材の装着作業が面倒となり、サイクルタイムを長引かせ、積層成形品の生産性を向上できないという問題がある。
また、表皮面材を金型の外部にはみ出させることから、表皮面材全体のうち有効利用できない割合が大きくなり、表皮面材の無駄が多いという問題がある。
ニ.金型の型締め動作とは別個に固定枠を移動可能に設ける必要があるので、金型の構造が複雑となり、金型毎に固定枠を作成しなければならないので、金型の作成費用を高騰させるという問題がある。
また、固定枠を複数に分割し、分割された各部毎に流体シリンダ装置を設け、各シリンダ装置の押圧力を調節して挟持力を設定すれば、表皮面材の各部毎に対する摩擦力や滑り込み量を調節できるようになる。しかし、摩擦力や滑り込み量が不連続となる境界線が生じるので、この境界線の両側で滑り込み量が大きく相違すると、シワや破れが発生する原因となるので、複雑な形状の積層成形品の成形は難しく、成形可能な形状が限定されるという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、凹凸のある複雑な形状の成形品でも、その表面にシワや破れ等の欠陥を生じさせずに成形可能となるうえ、生産性の向上が図れる積層成形品の成形方法および積層成形用の金型を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の積層成形品の成形方法は、柔軟性を有する表皮面材が表面に一体化された成形品を成形する積層成形品の成形方法であって、予め前記成形品を成形する金型の型締めにより当該金型との間に前記表皮面材を挟持するとともに、前記表皮面材を挟持する位置が前記金型の型締め方向に沿って調節可能とされた固定手段を複数離間させて設け、前記表皮面材の各部が前記成形品の形状に応じて前記金型内へ送り込まれるべき送り込み量を予め設定し、設定した送り込み量に基づいて、前記表皮面材を挟持する前記固定手段の挟持位置を前記金型の型締め方向に沿って調節しておき、
前記金型に前記表皮面材を仮固定するとともに前記金型の内部に前記溶融樹脂を充填した後、前記金型を型締めし、前記各固定手段の挟持位置に応じたタイミングで順次各固定手段で前記表皮面材を挟持させるとともに、設定された送り込み量だけ前記表皮面材の各部を前記金型内へ送り込ませ、充填した溶融樹脂を前記金型の型締めにより展延させることを特徴とする。
【0007】
本発明の積層成形用の金型は、前記成形方法で使用する積層成形用の金型であって、前記金型の型締めにより当該金型との間に前記表皮面材を挟持するとともに、前記表皮面材を挟持する位置が前記金型の型締め方向に沿って調節可能とされた固定手段複数離間て設けられ、これらの固定手段は、前記表皮面材の各部が前記成形品の形状に応じて前記金型内へ送り込まれるべき量に基づいて挟持位置が調節されるとともに、前記金型の型締めにより各々の挟持位置に応じたタイミングで順次前記表皮面材を挟持するように構成されていることを特徴とする。
【0008】
以上において、前記金型は、移動可能に設けられた移動側金型と、移動不可能に固定された固定側金型とで構成され、前記固定手段は、前記移動側金型および固定側金型の一方に設けられ、その間に前記表皮面材を挟持するものであることが望ましい。
また、前記移動側金型および固定側金型の少なくとも一方には、前記金型に前記表皮面材を仮固定する仮固定手段が設けられていることが好ましい。
さらに、前記仮固定手段は、前記表皮面材を吸い付けて仮固定する真空吸引孔を含んで構成されていることが望ましい。
【0009】
以上の成形方法では、次のような材料、成形装置、金型、および、成形手順を採用することができる。
(1)材 料
成形品を形成する合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS、ポリカーボネート、ポリアミド等の熱可塑性樹脂、および、これらの熱可塑性樹脂に、炭酸カルシウム、タルク、および、マイカ等のフィラーや、ガラス繊維および炭素繊維等の充填剤を添加したものが採用できる。
また、表皮面材としては、織布、不織布、編布等の起毛、または、織模様による凹凸等がある布、熱可塑性樹脂面材、熱可塑性エラストマ製面材、ポリプロピレンやポリウレタン等の熱可塑性樹脂を発泡させた発泡面材、および、模様等が印刷されたフィルム等の単層面材、ならびに、これらの単層面材を適宜貼り合わせた多層面材が採用できる。
【0010】
(2)成形装置
成形装置としては、射出圧縮成形機、射出プレス成形機、もしくは、射出成形機に圧縮装置を取付けた成形機が採用できる。
(3)金型
金型としては、成形すべき成形品の形状に応じたキャビティを有する移動側金型および固定側金型で構成されたものが採用できる。
この際、金型の移動側金型および固定側金型の少なくとも一方、通常移動側金型に表皮面材を仮固定する仮固定手段を設けておけば、移動側金型、固定側金型の各々に、表皮面材を仮固定することが可能となる。そして、表皮面材を仮固定した状態で金型を閉じるとともに、金型の内部に溶融樹脂を充填すれば、表皮面材が一体化された成形品を成形することが可能となる。
(4)成形手順
以上のような成形装置等で成形を行う場合には、次のような成形手順が採用できる。
▲1▼金型を開いた状態で、移動側金型および固定側金型のうち、表皮面材で覆われるべき面を成形する方に当該表皮面材を仮固定する。また、金型が開いた状態においては、成形すべき成形品の形状等に応じて、固定手段の調節を行う。
ここで、各固定手段の調節は、各固定手段について表皮面材を金型内へ送り込ませるべき量に応じて段階的に行う。
すなわち、表皮面材の各部のうち、成形品の平坦な部分を覆おう部分の周縁は、張力があまり加わらないことから、送り込まれる量が多いと、表皮面材が弛んでしわ等が発生する。このしわ等の発生を防止するために、当該表皮面材の部分を固定する固定手段は、表皮面材の金型内部への送り込み量がなくなる、あるいは、少なくなるように、型締めの開始後、速やかに表皮面材を挟持可能な、表皮面材と近接する位置に配置しておく。
一方、表皮面材の各部のうち、成形品の凹凸部分を覆おう部分の周縁は、強い張力が加わるので、送り込まれる量が少ないと、成形が完了するまでに表皮面材に破れ等が発生する。この破れ等の発生を防止するために、当該表皮面材の部分を固定する固定手段は、表皮面材の金型内部への送り込み量が多くなるように、型締めが開始され、所定量の表皮面材が金型内に送り込まれた後に、表皮面材を挟持すべく、表皮面材と適切な距離をおいて配置しておく。
▲2▼金型を閉じるにあたり、金型が完全に閉鎖する位置よりも所定寸法、例えば、5〜50mm程度手前の位置に移動側の金型を停止させ、この位置から移動側の金型が後退して型開きしないように、同金型の後方をブロックしておく。
金型の閉鎖の際、固定手段は、表皮面材から近いものから順に表皮面材を挟持していき、固定手段に挟持された表皮面材の部分は、金型の型締めにより引っ張られても、金型の内部へ送り込まれない。一方、未だ固定手段に挟持されていない表皮面材の他の部分は、型締めにより引っ張られると、金型の内部へ自由に送り込まれる。
従って、表皮面材は、固定手段の挟持タイミングが遅い部分ほど、送り込み量が増え、これにより、固定手段の挟持位置として設定された量だけ金型の内部に送り込まれる。
▲3▼射出装置を駆動して溶融樹脂を金型内に充填する。
▲4▼充填の完了の直前もしくは直後に金型内に圧縮力を加えて圧縮工程を開始し、圧縮力により内部の樹脂を展延して金型内に充満させる。
ここで、表皮面材は、設定された量だけ金型の内部に送り込まれているので、金型内部を流動する溶融樹脂により引っ張られると、表皮面材の各部に適切な張力が加わるようになる。
▲5▼必要により圧縮力を低下させる。
▲6▼樹脂が冷却固化した後、金型を開いて成形品を取り出す。
【0011】
【作用】
このような本発明では、予め成形品の形状に応じて、表皮面材の金型内への送り込むべき量を設定し、この送り込むべき量に応じて、各固定手段の挟持位置を調節しておくので、金型の型締めにより、挟持位置に応じたタイミングで順次表皮面材を挟持していき、金型の型締め等により引っ張られた表皮面材の各部は、設定された送り込み量だけ金型内へ送り込まれる。
そして、設定された量だけ表皮面材が送り込まれる金型内に溶融樹脂を充填するので、表皮面材の各部には、それぞれ適度な張力が加わるようになり、成形品が凹凸部のある複雑な形状であっても、その表面にシワや破れ等が生じなくなり、様々な形状の成形品の成形が可能となる。
また、固定手段は、型締めされる金型側との間に表皮面材を挟持するものなので、固定手段を駆動する駆動手段等を必要とせず、その構造が簡単なものですみ、金型の全体構造を複雑にしない。
さらに、表皮面材を金型に仮固定する仮固定手段としては、表皮面材を吸引する吸引孔等の仮固定操作が簡単なものが採用でき、このような仮固定手段を設ければ、成形毎に行われる表皮面材の仮固定作業が迅速に行え、成形のサイクルタイムが短縮され、積層成形品の生産性が向上され、これらにより前記目的が達成される。
【0012】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
図1および図2には、本実施例の金型10が示されている。この金型10は、自動車のドアに取付けられる内装パネルを成形するものであり、固定側金型である図中下方の固定金型部10A と、移動側金型である上方の可動金型部10B とで構成されている。
金型10の固定金型部10A および可動金型部10B の間には、溶融樹脂が充填されるキャビティ10C が設けられている。
【0013】
固定金型部10A は、図示しない射出圧縮成形機に固定された雄型である。この固定金型部10A には、キャビティ10C に充填される溶融樹脂の通路であるスプル11が設けられている。固定金型部10A に設けられた成形面12には、自動車のドアに設けられる肘掛けおよびポケットを成形するために、凸部13および凹部14が形成されている。
固定金型部10A の周縁部分には、図3にも示されるように、積層成形品の表面部分を形成する表皮面材を挟持する固定手段として、複数の固定装置20が離間して設けられている。
可動金型部10B は、前述の射出圧縮成形機に移動可能に設けられた雌型である。この可動金型部10B の成形面15には、固定金型部10A の凸部13および凹部14の各々に対応する凹部16および凸部17が設けられている。
可動金型部10B のキャビティ10C を取り囲む端面10D には、表皮面材を吸い付けて仮固定する仮固定手段としての真空吸引孔18が複数設けられている。これらの真空吸引孔18は、可動金型部10B の側面に開けられた接続口18A を介して図示しない真空吸引装置に接続されている。
なお、固定金型部10A および可動金型部10B の各々の四隅には、図示しない型締装置のガイドピンを挿通させるための挿通孔19が設けられている。
【0014】
固定装置20は、対向する可動金型部10B の端面10D とで表皮面材を挟持するものであり、表皮面材を挟持する位置が金型10の型締め方向に沿って調節可能となっている。各固定装置20は、表皮面材を金型10の内部へ送り込むべき量に応じて挟持位置、図においては高さ位置が調整されるものである。固定装置20の高さ位置の調整により、可動金型部10B の端面10D とで表皮面材を挟持するタイミングが調節されるようになっている。
図4には、固定装置20が拡大されて示されている(図4(A)はその断面図、図4(B)はその平面図である)。図において、固定装置20は、金型10の型締め方向に沿って移動可能な挟持部21を備えたものとなっている。挟持部21には、図中上方が開口された凹部22と、図中下方が開口された凹部23とが設けられている。凹部22の底面には、ボルト挿通孔24が設けられ、このボルト挿通孔24により、上方の凹部22と下方の凹部23とが連結されている。
一方、固定金型部10A 側には、ねじ穴を有するボス25が設けられている。挟持部21の凹部23の内部には、コイルスプリング26が配置されるとともに、ボス25が嵌合されている。この状態で、ボルト挿通孔24に挿通させたボルト27がボス25のねじ穴に螺合されている。これにより、挟持部21は、コイルスプリング26に上方向に付勢された状態で、固定金型部10A に取付けられている。これにより、挟持部21の高さ位置は、ボルト27の回転操作により、金型10の型締め方向に沿って調節可能となっている。
なお、ボルト27のヘッド27A には、回転止め面27B が設けられ、挟持部21の凹部22の内部には、ボルト27のヘッド27A に応じた大きさの貫通孔28A を有する案内部材28が嵌め込まれ、これにより、ボルト27が回転止めされている。案内部材28は、挟持部21と螺合するボルト29により当該挟持部21に固定されている。
このような構造を有する固定装置20には、長さの異なる複数のコイルスプリング26が用意されている。固定装置20は、複数の中から選択されたコイルスプリング26をセットするとともに、挟持部21の高さを調節することにより、任意の挟持位置と、任意の挟持力が得られるようになっている。
【0015】
このような本実施例では、次のような手順により射出圧縮成形を行う。
射出圧縮成形を開始するにあたり、予め、成形品の形状に応じて表皮面材の各部について金型10内部への送り込み量を設定しておく。そして、この送り込み量に応じて固定装置20の挟持位置を設定しておく。また、必要により、コイルスプリング26の変更による挟持力の調整を行っておく。
例えば、図1ないし図3に示されるように、成形品の形状に応じて設定された送り込み量が最小となる部分の固定装置20(イ)は、図中最も高い位置に配置される。設定された送り込み量が最大となる部分の固定装置20(ハ)は、図中最も低い位置に配置される。設定された送り込み量が中間的な値となる部分の固定装置20(ロ)は、固定装置20(イ)および固定装置20(ハ)の間の中間位置に配置される。
なお、表皮面材の送り込み量をさらにきめ細かく設定したい場合には、固定装置20の数を増やすとともに、固定装置20の挟持位置を4段階以上に設定して対応してもよく、また、前述のコイルスプリング26の変更による挟持力の調節を併用してもよい。
【0016】
次に、真空吸引装置を起動するとともに、金型10を開き、真空吸引孔18により、可動金型部10B に表皮面材を仮固定した後、金型10の閉鎖を開始する。
金型10の閉鎖を開始した直後には、図5(A)に示されるように、最も高い位置に配置した固定装置20(イ)が、既に可動金型部10B との間に表皮面材1の図中左側の端縁1Aを挟持している。一方、固定装置20(ロ),(ハ)は、未だ可動金型部10B との間に表皮面材1を挟持していない。このため、表皮面材1は、可動金型部10B の移動により、固定されていない端縁1B側の方が端縁1A側より多く金型10の内部に送り込まれる。
さらに、移動金型部10B が移動すると、図5(B)に示されるように、中間位置に配置した固定装置20(ロ)が可動金型部10B との間に表皮面材1を挟持しはじめる。これにより、表皮面材1の金型10内へ送り込まれる量は減少する。
次いで、図5(C)に示されるように、金型10が完全に閉鎖する位置イよりも所定寸法aだけ手前の位置ロに可動金型部10B を停止させ、この位置ロから後退して型開きしないように、可動金型部10B の後方をブロックしておく。なお、寸法aは、5〜50mmの範囲内で設定できる。
この状態で、射出装置を駆動して充填工程を開始し、金型10のキャビティ10C の内部に溶融樹脂2を充填する。
続いて、溶融樹脂2の充填完了直前もしくは完了直後に、可動金型部10B の移動を再開し、可動金型部10B を位置イまで移動させて金型10を完全に閉鎖する。これにより、金型10の内部に充填された溶融樹脂2は、図5(D)に示されるように、キャビティ10C の全体に展延される。そして、可動金型部10B の移動、すなわち、溶融樹脂2の圧縮、展延の途中において、残りの固定装置20(ハ)が表皮面材1を挟持し、可動金型部10B を位置ロまで移動することにより、表皮面材1と溶融樹脂2との一体化が完了する。
溶融樹脂2の展延完了前に、固定装置20(ハ)が表皮面材1を挟持するので、表皮面材1には、溶融樹脂2の展延により適度な張力が加わり、表皮面材1の表面にしわが発生することがない。
次いで、溶融樹脂2を冷却固化し、溶融樹脂2が充分冷却固化したら、金型10を開いて成形品を取り出す。なお、射出が完了したら次の射出成形のために樹脂2を可塑化する可塑化工程を開始する。
なお、最後の固定装置20(ハ)が表皮面材1の挟持を完了するタイミングは、金型10の型締め完了前のタイミングであれば、特に限定されず、表皮面材1に適度な張力を加わえることができれば、可動金型部10B を位置イから移動する前であってもよい。
【0017】
前述のような本実施例によれば、次のような効果がある。
すなわち、表皮面材1を金型10内に送り込む量を設定し、設定された送り込み量に応じて各固定装置20の挟持位置を調節しておいてから、金型10の型締めを行うようにしたので、金型10の型締めにより、固定装置20が順次表皮面材1を挟持していくとともに、固定装置20に挟持されるまでは、金型10の型締め、および、溶融樹脂2の圧縮・展延により、表皮面材1が金型10の内部にスムースに送り込むまれるようになり、表皮面材1の各部を設定された送り込み量だけ金型10の内部へ送り込むことができる。
このため、成形すべき成形品が凹凸部を有する複雑な形状であっても、成形品の形状に応じて表皮面材1が金型10の内部に送り込まれるので、成形品を覆おう表皮面材1の各部には、過度な張力が加わったり、弛みが生じたりしなくなり、成形品と一体化した表皮面材1にシワや破れ等が発生することを未然に防止でき、品質の優れた様々な形状の成形品を成形できる。
【0018】
また、表皮面材1を挟持する固定装置20の挟持部21をコイルスプリング26で付勢した状態で、ボルト27により固定金型部10A に取付けたので、ボルト27の回転操作により、挟持位置を容易に調節できるうえ、移動金型部10B に押圧されると、表皮面材1を挟持したまま挟持部21が後退するので、金型10の型締め動作に何ら支障をきたさない。
【0019】
さらに、固定装置20は、型締めされる金型10の移動金型部10B との間に表皮面材1を挟持するものなので、固定装置20を駆動する駆動手段等を一切必要とせず、その構造が簡単なものですみ、金型10の全体構造を複雑にせず、金型10の製作費用を高騰させることがない。
【0020】
また、表皮面材1を吸引して仮固定する真空吸引孔18を金型10に設けたので、成形毎に行われる表皮面材1の装着作業を容易かつ迅速に行えるようになり、成形におけるサイルタイムが短縮され、積層成形品の生産性を向上できるうえ、真空吸引孔18は、単なる孔なので、金型10の構造を複雑にせず、この点からも金型10の製作費用を高騰させることがない。
【0021】
以上、本発明について好適な実施例や実験例を挙げて説明したが、本発明は、これらの実施例や実験例に限られるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良並びに設計の変更が可能である。
すなわち、固定手段の位置、数、および、構造は、前記実施例で示したものに限定されず、実施にあたり適宜選択することができる。
例えば、前記実施例では、固定手段を固定側金型に設けたが、逆に、移動側金型に設けてもよい。
また、固定手段の構造は、固定手段の挟持部をコイルスプリングで付勢するものに限らず、他の形式のスプリング、あるいは、空気式シリンダ装置等で固定手段の挟持部を表皮面材へ向かって付勢するものでもよい。
【0022】
なお、固定手段の挟持部を付勢するコイルスプリングについては、ばねレートの異なるものを複数種類用意しておくことが望ましい。
このようにすれば、固定手段が表皮面材を挟持している時に、固定手段および表皮面材の間に作用する摩擦力を調節することが可能となる。そして、成形品の形状や表皮面材の種類に応じて前述の摩擦力を調節しておけば、固定手段が表皮面材を挟持している状態で、表皮面材を金型内部に滑り込ませることが可能となるうえ、金型内部への表皮面材の滑り込み量を調節することも可能となる。
特に、比較的破れやすい表皮面材を用いて、起伏の大きい凹凸部を有する成形品を成形する場合に、固定手段が表皮面材を挟持した後にも、当該表皮面材を所定の量だけ金型内部に送り込むことが可能となるので、破れ等の発生を未然に防止でき、優れた品質の積層成形品を得ることができる。
さらに、固定手段としては、挟持部21がコイルスプリング26に直接付勢される固定装置20に限らず、図6に示されるように、挟持部21が受部30を介してコイルスプリング26に付勢される固定装置20A でもよい。
ここで、挟持部21に螺合されたイモネジ31を受部30に当接させ、イモネジ31の回転操作により、受部30の位置を調節可能とすれば、挟持部20は、高さ位置の調節と、挟持力の調節とをそれぞれ別個に行うことができ、かつ、挟持力については、微調節を行うことができる。
なお、イモネジ31の回転止めを行うために、イモネジ31の図中下端側には、平面となった回転止め面31A を備えたロッド状の延出部32が設けられている。延出部32の回転止め面31A には、挟持部21と水平方向に螺合するイモネジ33の先端が当接されるようになっている。イモネジ31による調節が完了した後に、イモネジ33を締付けることより、イモネジ31が回転止めされるようになっている。
【0023】
また、仮固定手段は、表皮面材を吸い付ける真空吸引孔に限らず、表皮面材を軽く挟持するクリップ、あるいは、表皮面材を仮留めする粘着両面テープ等でもよく、要するに、金型を型締めするまでの間、表皮面材を金型に仮固定できるものであれば、その構造等は限定しない。
【0024】
さらに、前記実施例では、仮固定手段を移動側金型のみに設けていたが、仮固定手段は、移動側金型および固定側金型の両方に設けてもよい。このようにすれば、移動側金型および固定側金型の両方に、それぞれ表皮面材を仮固定することが可能となり、移動側金型および固定側金型の各々に表皮面材を仮固定した状態で移動側金型および固定側金型を閉じ、移動側金型および固定側金型の各表皮面材の間に溶融樹脂を充填すれば、表面および裏面の両方に表皮面材が一体化された成形品を成形することが可能となる。
【0025】
また、成形品としては、前記実施例に示したドアの内装パネルに限らず、シートバックや、サイドピラー等の他の種類の自動車部品や、椅子の背もたれ等の家具部品等でもよい。
【0026】
【発明の効果】
前述のように本発明によれば、凹凸のある複雑な形状の成形品でも、その表面にシワや破れ等の欠陥が生じさせずに成形可能となり、様々な形状の成形品を生産することができるうえ、その生産性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る金型を示す正面図である。
【図2】図1におけるII矢視図である。
【図3】前記実施例の金型の固定側金型を示す平面図である。
【図4】前記実施例の固定手段を示す拡大図である。
【図5】前記実施例の成形手順を説明するための図である。
【図6】本発明の変形例を示す図4に相当する図である。
【符号の説明】
1 表皮面材
2 溶融樹脂
10 金型
18 仮固定手段としての真空吸引孔
10A 固定側金型としての固定金型部
10B 移動側金型としての移動金型部
20,20A 固定手段としての固定装置

Claims (8)

  1. 柔軟性を有する表皮面材が表面に一体化された成形品を成形する積層成形品の成形方法であって、
    予め前記成形品を成形する金型の型締めにより当該金型との間に前記表皮面材を挟持するとともに、前記表皮面材を挟持する位置が前記金型の型締め方向に沿って調節可能とされた固定手段を複数離間させて設け、前記表皮面材の各部が前記成形品の形状に応じて前記金型内へ送り込まれるべき送り込み量を予め設定し、設定した送り込み量に基づいて、前記表皮面材を挟持する前記固定手段の挟持位置を前記金型の型締め方向に沿って調節しておき、
    前記金型に前記表皮面材を仮固定するとともに前記金型の内部に前記溶融樹脂を充填した後、前記金型を型締めし、前記各固定手段の挟持位置に応じたタイミングで順次各固定手段で前記表皮面材を挟持させるとともに、設定された送り込み量だけ前記表皮面材の各部を前記金型内へ送り込ませ、充填した溶融樹脂を前記金型の型締めにより展延させることを特徴とする積層成形品の成形方法。
  2. 請求項1に記載の積層成形品の成形方法において、前記金型は、移動可能に設けられた移動側金型と、移動不可能に固定された固定側金型とで構成され、前記固定手段は、前記移動側金型および固定側金型の一方に設けられ、その間に前記表皮面材を挟持するものであることを特徴とする積層成形品の成形方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の積層成形品の成形方法において、前記移動側金型および固定側金型の少なくとも一方には、前記金型に前記表皮面材を仮固定する仮固定手段が設けられていることを特徴とする積層成形品の成形方法。
  4. 請求項3に記載の積層成形品の成形方法において、前記仮固定手段は、前記表皮面材を吸い付けて仮固定する真空吸引孔を含んで構成されていることを特徴とする積層成形品の成形方法。
  5. 柔軟性を有する表皮面材が表面に一体化された成形品を成形する積層成形用の金型であって、
    前記金型の型締めにより当該金型との間に前記表皮面材を挟持するとともに、前記表皮面材を挟持する位置が前記金型の型締め方向に沿って調節可能とされた固定手段複数離間て設けられ、これらの固定手段は、前記表皮面材の各部が前記成形品の形状に応じて前記金型内へ送り込まれるべき量に基づいて挟持位置が調節されるとともに、前記金型の型締めにより各々の挟持位置に応じたタイミングで順次前記表皮面材を挟持するように構成されていることを特徴とする積層成形用の金型。
  6. 請求項5に記載の積層成形用の金型において、前記金型は、移動可能な移動側金型と、固定された固定側金型とで構成され、前記固定手段は、前記移動側金型および固定側金型の一方に設けらるとともに、その他方との間に前記表皮面材を挟持するものであることを特徴とする積層成形用の金型。
  7. 請求項5または請求項6に記載の積層成形用の金型において、前記移動側金型および固定側金型の少なくとも一方に、前記金型に前記表皮面材を仮固定する仮固定手段を設けたことを特徴とする積層成形用の金型。
  8. 請求項7に記載の積層成形用の金型において、前記仮固定手段は、前記表皮面材を吸い付けて仮固定する真空吸引孔を含んで構成されていることを特徴とする積層成形用の金型。
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