JPH07256698A - 射出成形により複合成形体を製造するための金型装置及びその使用方法 - Google Patents

射出成形により複合成形体を製造するための金型装置及びその使用方法

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JPH07256698A
JPH07256698A JP32567994A JP32567994A JPH07256698A JP H07256698 A JPH07256698 A JP H07256698A JP 32567994 A JP32567994 A JP 32567994A JP 32567994 A JP32567994 A JP 32567994A JP H07256698 A JPH07256698 A JP H07256698A
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悟 黒野
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恒利 品田
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勝雄 和田
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 樹脂漏れがなく、表皮材に皺も付かず、表皮
材の端末巻込みが確実に行なわれる作業効率の優れた金
型装置を提供する。 【構成】 固定側金型(1)と可動側金型(2)の間に
おいて、可動側金型の凹部(2a)の開口より小さく且
つ型締め時に固定側金型の凸部(1a)が貫通し得る開
口を形成し得る開閉可能な複数の部材から成るスライド
・コア(3A〜3D)と; 固定側金型(1)とスライ
ド・コア(3A〜3D)の間に設けられ、表皮材(6)
をセットし得る表皮材セット枠(4)と; を有するこ
とを特徴とする。製品端末部(7a)の表皮材に皺が発
生するのを防止するため、固定側金型の凸部(1a)の
基底部分に台座部(1a−2)を設けることが推奨され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面装飾あるいは所望
の機能性を付与するため、プラスチック基材の表面に所
望の表皮材を張りつけて成る複合成形体を射出圧縮成形
により製造するための金型装置及びその使用方法の改良
に関する。
【0002】
【従来の技術】これらの複合成形体としては、例えば自
動車の内装材や家具材などが挙げられるが、これらの複
合成形体は通常、基材のプラスチック成形物に接着剤に
より、PVCレザーや絨毯等の高度の装飾性を有する表
皮材を張りつけて成るものである。然しながら、これら
は表皮材を張りつける際の加工に手間がかかることが多
く、そのためデザインも限定される上、不良率も高く、
製造コストも高くつくという問題がある。
【0003】そのため、専用のスタンピング成形機を用
い、予め金型内に表皮材を張り、その後溶融樹脂を金型
内に射出し、型締めを行うことにより、表皮材で覆われ
た複合成形品を得る方法が提案されている。然しなが
ら、従来公知のこの種のスタンピング成形方法などで
は、溶融樹脂の射出が開始されるとその樹脂の一部が直
ちに表皮材と接触を開始する反面、表皮材が完全に樹脂
で覆われるのは型締めが完了した時点となるので、樹脂
と表皮材の接触時間が部分的に異なることとなり、両者
が高温で接触する部分とやや温度が低下した状態で接触
する部分とが生じ、そのため特に大型の成形体を得よう
とすると均質なものが得られないという欠点があり、こ
の欠点を解決するため、溶融樹脂を表皮材に均等に置く
ようにすると、所要時間が長くなるという問題を生じ、
また多点からの樹脂供給によるウェルド部の物性低下が
問題となる。
【0004】上記のような問題点を解決するため、表皮
材の表面に略均一に溶融樹脂を押し出し、塗布した後、
成形を行う専用のスタンピング成形機も提案されている
が、これは装置が高価であり、成形サイクルが長く、使
用できる樹脂が限定される上、成形時に樹脂の温度が不
均一となるという問題を完全に解決することはできな
い。又、専用のスタンピング成形機は、高価であるばか
りでなく、良質の成形品を得るためには相当の長時間を
要するという問題もあった。
【0005】かかる問題点を解決するため、本出願人は
先に特願平5−220094号において、専用のスタン
ピング成形機を必要とせず、安価な汎用の射出成形機を
用いて、短時間で、全面的に均質な複合成形体を形成し
得る金型装置及び方法を開示した。当該金型装置の要旨
とするところは、 (1)成形品の形状に応じた凸部が形成
されると共に、樹脂成形空間内に溶融樹脂を注入するゲ
ートを有する固定側金型と、 (2)固定側金型に対し接離
自在に設けられ、型締め時に固定側金型の凸部が嵌入し
て樹脂成形空間が画成される成形品の形状に応じた凹部
を有する可動側金型と、 (3)固定側金型と可動側金型の
間において可動側金型及び固定側金型に対して接離自在
に設けられ、可動側金型の凹部の開口より小さく且つ型
締め時に固定側金型の凸部が貫通し得る開口を有する置
駒と、 (4)固定側金型と置駒の間に設けられ、表皮材を
セットし得る表皮材セット枠と、から構成されることを
特徴とするものであった。
【0006】当該金型装置によれば、専用のスタンピン
グ成形機を必要とせず、安価な汎用の射出成形機を用い
て大型の複合成形体を製造でき、樹脂漏れがなく、表皮
材の端末巻込みが確実に行なわれ、装置も簡単なもので
よく、成形後の処理が容易で、成形サイクルが短時間で
完了する等々、多くの利点が得られるが、成形操作時に
置駒や可動側金型を複数回往復移動させなければなら
ず、必ずしも作業効率が良好ではなかった。
【0007】更にまた、近年、上記の如き加飾性の複合
成形体を製造するに当り、成形時に表皮材と熱可塑性樹
脂とを一体で賦形する加飾一体成形方法が用いられるよ
うになってきている。しかし、その多くは表皮材の賦形
と熱可塑性樹脂の成形を一体成形で行うため、製品の表
皮材部に皺が発生して外観を損なうという問題を抱えて
いる。このような問題に対しての解決策として、以下の
ような方法が考えられる。
【0008】例えば、予備賦形を行った表皮材を金型内
に設置して一体成形を行う方法がある。具体的には、自
動車用アームレストの一体成形において予め製品形状に
賦形を行った表皮材を射出成形用金型のキャビティー部
にセットし、その空隙に樹脂を射出し、表皮材をキャビ
ティー金型に押さえつけ一体成形を行う方法(特開昭6
2−256619)が提案されている。しかし、このよ
うな表皮材の予備賦形を行えば成形物の製品面に表皮材
の皺は発生しないものの、予め工程が増え予備賦形の為
の設備等が必要となり一体成形の利点が失われる。
【0009】更に表皮材予備賦形の発展した方法として
予備賦形と射出一体成形を一連の装置で行えるようにし
た方法(特開平5−253939)も提案されている。
この方法では、真空成形用金型において表皮材を真空成
形で予備賦形を行い、そのキャビティー側金型壁面に表
皮材を貼り付けたまま、その金型を回転させ射出成形用
コア金型に対向させ一体成形を行う。しかし、このよう
な一連の成形方法では装置が大型化し複雑化する為、多
大な投資を必要とし好ましくない。
【0010】また、皺等の外観不良の解決策として予備
賦形を行っていない表皮材にある張力を加え一体成形を
することにより皺等のない成形品を得る方法(特開昭6
0−220717)も提案されている。表皮材の厚さ種
類により適切な張力に与えなければならなく、又、賦形
状態に合わせた変更は非常に困難であり、あらゆる張力
値に対応する装置は複雑で有り現実的には困難で有る。
【0011】このように表皮材を用いた加飾一体成形で
は、表皮材の予備賦形を行えば皺等の無い表面外観の優
れる製品を得られるが、その分行程の増加がある。又、
予備賦形を行わない表皮材を用いた場合、そのまま金型
内に設置するだけでは表皮材に皺等が生じ易く、表皮材
にある種の張力を与える必要があるが、その張力を与え
る装置及びその値を決定し、設定を行うのは複雑化が伴
いとても困難である。以上のように加飾一体成形で製品
部に皺の生じない表面外観の優れた製品を得るには工程
の増加、装置の複雑化等の問題が未だに残っている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解決するためなされたものであり、その第1の目的
は、上記特願平5−220094号により開示された金
型装置を改良し、操作が簡単で作業効率の優れた複合成
形体製造用の金型装置及びその使用方法を提供すること
にある。本発明の第2の目的は、複合成形体の製品部の
表皮材に皺が生じず、表面外観の優れた製品を得ること
のできる金型装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的は、成形
品の形状に応じた凸部が形成されると共に、樹脂成形空
間内に溶融樹脂を注入するゲートを有する固定側金型
と、固定側金型に対し接近、開離可能なよう設けられ、
型締め時に固定側金型の凸部が嵌入して樹脂成形空間が
画成される成形品の形状に応じた凹部を有する可動側金
型と、固定側金型と可動側金型の間において固定側金型
に対して接近、開離可能なよう設けられると共に、可動
側金型の移動方向と略直角な方向に沿って互いに接近、
開離可能な複数の部材から成り、互いに接近したときに
その中央部に、可動側金型の凹部の開口より小さく且つ
型締め時に固定側金型の凸部が貫通し得る開口が形成さ
れる一組のスライド・コアと、固定側金型とスライド・
コアの間に設けられ、表皮材をセットし得る表皮材セッ
ト枠と、を備えたことを特徴とする複合成形体を製造す
るための金型装置によって達成できる。
【0014】この場合、可動側金型(2)とスライド・
コア(3A〜3D)を個別に固定側金型(1)へ向けて
接近、開離可能なように構成したり、或いはまた、スラ
イド・コア(3A〜3D)を可動側金型(2)に取り付
け、可動側金型(2)とスライド・コア(3A〜3D)
を一緒に固定側金型(1)へ向けて接近、開離可能なよ
うに構成したりすることが可能である。
【0015】なお、成形時、表皮材と樹脂から成る製品
の周辺部の樹脂漏れを防止するため、各スライド・コア
を中央部へ引き寄せたとき開口を形成する辺縁部の可動
側金型に臨む側の稜部は、丸味を付けて凹ませておくこ
とが推奨され、また、表皮材のエッジ切れを防止するた
め、スライド・コアの上記辺縁部に、開口の中心方向へ
向けて進退可能なスライド枠を取り付けるようにするこ
とも推奨される。
【0016】而して、本発明の上記第2の目的、即ち、
複合成形体の製品部に皺が発生しないようにするという
目的は、上記固定側金型の凸部の高さが、成形時におけ
る可動側金型の凹部内への最大侵入高さhより十分大き
くなるように、凸部の基底部分に外形が上記凸部と同形
の台座部を連続的に設けることによって達成できる。こ
の場合において、製品投影面の縦横いずれかの最大長さ
mが、固定側金型の凸部(1a)の成形時における可動
側金型(2)の凹部(2a)内への最大侵入高さhを超
える場合には、上記台座部の高さgを、g/h=0.5〜
2.0の関係を満たすように設定することが推奨される。
また、上記固定側金型の最大侵入高さhの凸部が、その
頂面に最大深さdの凹部を有し、上記製品投影面の縦横
いずれかの最大長さmが(h+d)を超える場合には、
台座部の高さgを、g/(h+d)=0.5〜2.0の関係
を満たすように設定することが推奨される。
【0017】また、上記金型装置を使用するための本発
明に係る方法は、下記 (a)ないし (l)記載のステップ、
即ち、(a) 表皮材セット枠に所望の表皮材をセットし、
この表皮材セット枠を固定側金型の凸部に対向する位置
にもたらすステップと、(b) スライド・コアを互いに中
央部へ引き寄せ、固定側金型の凸部が貫通し得る開口を
形成するステップと、(c) 可動側金型、スライド・コア
及び表皮材セット枠を固定側金型へ向けて移動させ、固
定側金型と可動側金型の間にスライド・コア及び表皮材
セット枠を挟んだ状態で所定位置まで閉じるステップ
と、(d) 固定側金型のゲートから樹脂成形空間内に溶融
樹脂を注入するステップと、(e) 可動側金型を更に固定
側金型へ向けて移動させ低圧で型締めを行なうステップ
と、(f) 冷却するステップと、(g) スライド・コアを互
いに外側へ引き離すステップと、(h) 表皮材を表皮材セ
ット枠より開放するステップと、(i) 可動側金型を固定
側金型から離れる方向へ移動させ、型を開くステップ
と、(j) 固定側に設けられた突き出し機構により製品を
離型するステップと、(k) 製品を取り出すステップと、
(l) 表皮材セット枠を表皮材をセットする原位置に復帰
させるステップと、を順次遂行することを特徴とする。
また、表皮材を繊維系表皮材を用いるときは、上記ステ
ップ(h) をステップ(c) とステップ(d) の間におくこと
ができる。
【0018】
【作用】上記の如く構成することにより、特殊なスタン
ピング成形機によることなく、汎用の射出成形装置を用
いても、溶融樹脂を低圧で、均等かつ最短時間内に表皮
材と均一に接触せしめ得るので均質な複合成形体が得ら
れ、可動側金型と置駒の間で表皮材の端末巻込みが確実
に行なわれ、表皮材に皺が発生せず、装置も簡単なもの
でよく、成形後の処理が容易で、作業効率も良好で、成
形サイクルが短時間で完了する等々、多くの利点が得ら
れるものである。
【0019】
【実施例】以下、図面を参照しつゝ本発明を具体的に説
明する。図1は射出成形により複合成形体を製造するた
めの本発明に係る金型装置の一実施例の基本構成を示す
斜視図、図2はその成形作動時の縦断面図、図3は成形
作動時の要部の作動状態を示す斜視図、図4は本発明に
係る金型装置のもう一つの実施例を示す斜視図、図5は
樹脂成形部分の端末部における成形状態を示す説明図、
図6は樹脂成形部分の端末部における表皮材の損傷や樹
脂漏れを防止するためのスライド・コアの望ましい実施
例を示す説明図、図7は樹脂成形部分の端末部における
表皮材の皺の発生を防止するための本発明に係る金型装
置の望ましい実施例を示す断面図、図8は表皮材の皺発
生防止のための望ましい寸法形状を説明するための図、
図9は別の形態における望ましい寸法形状を説明するた
めの図、図10は本発明に係る金型装置により得られる
複合成形体の模擬製品図、図11は従来の金型の断面
図、図12は従来の金型により得られる複合成形体の模
擬製品図である。
【0020】而して、図1及び図2中、1は固定側金
型、2は可動側金型、3A〜3Dは一組のスライド・コ
ア、4は表皮材セット枠、5a,5bはガイドレール、
6は表皮材、7は注入樹脂である。
【0021】固定側金型1には、成形品の形状に応じた
凸部1aが形成されると共に、樹脂成形空間内に溶融樹
脂を注入するゲート1bが設けられ、また成形品の突き
出し機構1dとその駆動装置1cが取り付けられてい
る。
【0022】可動側金型2は、図では省略したガイドレ
ールに沿って固定側金型1に対し接近、開離し得るよう
設けられ、型締め時に固定側金型の凸部1aが嵌入して
樹脂成形空間が画成される成形品の形状に応じた凹部2
aが形成されている。
【0023】一組のスライド・コア3A,3B,3C,
3Dは、固定側金型1と可動側金型2の間に設けられ、
矢符で示すように、可動側金型2の移動方向と略直角な
方向に沿って互いに接近、開離可能なよう構成され(そ
の駆動機構は図面の繁雑化を防ぐため図では省略してあ
る。)、互いに接近したときにその中央部に、可動側金
型の凹部2aの開口より小さく且つ型締め時に固定側金
型の凸部1aが貫通し得る開口が形成されるようになっ
ている。
【0024】表皮材セット枠4は、表皮材6を挟んで保
持する2枚の板枠4a及び4bと、表皮材のセット操作
時にこれら2枚の板枠を開閉するエアシリンダ4cとか
ら構成され、表皮材の供給装置(図示せず)により表皮
材6がセットされた後、ガイドレール5a,5bに沿っ
て成形作業位置に導かれ、固定側金型1とスライド・コ
ア3A〜3Dの間に設置されるようになっている。
【0025】而して、上記金型装置を用いて射出成形に
より複合成形体を製造する場合には、先ず、可動側金型
2を固定側金型1から十分に引き離した状態にしてお
き、表皮材セット枠4に所望の表皮材6をセットした上
で、この表皮材セット枠4全体をガイドレール5a,5
bに沿って固定側金型1の凸部1aに対向する位置にま
で移動させる。
【0026】次いで、スライド・コア3A〜3Dを互い
に中央部へ引き寄せ、固定側金型1の凸部1aが貫通し
得る開口が形成される位置で停止させる(図3を合わせ
て参照)。
【0027】然る後、可動側金型2、スライド・コア3
A〜3D及び表皮材セット枠4を図1中白い矢符で示す
ように固定側金型1へ向けて移動させ、固定側金型1と
可動側金型2の間にスライド・コア3A〜3Dと表皮材
セット枠4が挟まれた状態となるように閉じることによ
り、固定側金型1の凸部1aがスライド・コア3A〜3
Dによって形成される中央部の開口を貫通して可動側金
型2の凹部2a内へ侵入し、このとき表皮材6も一緒に
凹部2a内へ押し込まれる。この際、固定側金型1の凸
部1aと可動側金型2の凹部2aの間隔が5〜30mm
の間となるような所定位置まで閉じる(図2(a))。5
mm以下では表皮材表面へ供給樹脂の流れ模様が発生す
るという好ましくない場合があり、また30mm以上で
は供給したとき樹脂が重力で落下し、均等に圧縮されな
いという好ましくない場合がある。
【0028】然るのち、図2(a) 及び(b) に示す如く、
固定側金型1のゲート1bから樹脂成形空間内に溶融樹
脂7を注入した上で、可動側金型2を更に固定側金型1
へ向けて移動させ低圧で型締めを行なう(図2(a),(b)
、図3参照)。
【0029】次いで、溶融樹脂7が固化するまで冷却し
た後、表皮材セット枠4及びスライド・コア3A〜3D
を固定側金型1の側に固定したまゝの状態で、可動側金
型2だけを固定側金型1から離れる方向へ移動させて型
を開く。
【0030】次いで、溶融樹脂7が固化するまで冷却し
た後、スライド・コア3A〜3Dを外側(矢印と反対
側)に引き離し、エアシリンダー4Cを作動させて2枚
の板枠4a,4bを開離させることにより表皮材6を表
皮材セット枠4より開放し、次いで突き出し機構1dに
より製品を離型させる。このステップで使用される表皮
材は、どのような表皮材を使用することもできるが、特
に、塩化ビニルシート、熱可塑性エラストマーシート等
のシート系表皮材を用いるときに好ましい。表皮材がモ
ケット、トリコット、メリヤス等の織り方によるクロス
や不織布のようなクロスの繊維系表皮材を使用するとき
は、この段階で表皮材6を表皮材セット枠より解放する
場合だけでなく、先に記載の樹脂成形空間内に溶融樹脂
を注入するステップの直前に、エアシリンダー4cを作
動させて2枚の板枠4a、4bを開離させることにより
表皮材6を表皮材セット枠より解放するステップをとる
ことができる。
【0031】そして最後に、スライド・コア3A〜3D
と表皮材セット枠4を原位置に復帰させるよう固定側金
型1から離れる方向へ移動させる。
【0032】上記の如き構成であると、成形時にスライ
ド・コア3A〜3Dの中央部に形成される開口の大きさ
が可動側金型2の凹部2aの開口の大きさより小さいた
め、図2に示すように、樹脂成形部分7の端末部7aの
位置まで表皮材6が巻き込まれた状態で接合されるの
で、樹脂漏れが防止され且つ、複合成形体の表皮材6が
製品の周辺より内側に折り込まれることから、残存表皮
材の後処理が容易となる。また、スライド・コア3A〜
3Dを複数の部材から構成し、可動側金型(2)の移動
方向と略直角な方向に沿って互いに接近、開離可能なよ
う構成することにより、成形操作時に可動側金型やスラ
イド・コアを固定側金型に対して複数回往復移動させる
必要がなく、作業効率が大幅に向上するものである。
【0033】なお、本発明における表皮材とプラスチッ
ク基材の一体成形には、一般に汎用性熱可塑性樹脂が用
いられる。ここで、汎用性熱可塑性樹脂としては、例え
ばポリスチレン樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチ
レン樹脂(ABS樹脂)、低密度ポリエチレン樹脂、高
密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニ
ール樹脂、その他であり、これら樹脂同士、或いはこれ
ら樹脂と他のエンジニアリング樹脂とのポリマーアロイ
も含まれる。また、これら樹脂にガラス繊維、タルク、
マイカ、その他を配合したり、或いは、可塑剤、離型
剤、帯電防止剤、他各種添加剤を配合したり、顔料、染
料、等々の着色剤を練り込んだ汎用性熱可塑性樹脂も含
まれる。
【0034】また、加飾用表皮材としては、表面層とし
て塩化ビニルシート、熱可塑性エラストマーシート等の
シート系表皮材や、モケット、トリコット、メリヤス等
の織り方によるクロスや不織布のようなクロスの繊維系
表皮材等が挙げられる。上記表面層は単一層でも良く、
更に製品にクッション感を求める場合には、表面層にポ
リウレタン発泡層、ポリオレフィン発泡層を、更にこれ
ら発泡層に各種シート、不織布等を接着させ裏打ちした
積層構成を採用しても良い。
【0035】而して、上記の実施例においては、可動側
金型2とスライド・コア3A〜3Dを個別に固定側金型
1へ向けて接近、開離可能なように構成してあるが、図
4に示すように、スライド・コア3A〜3Dを可動側金
型2に取り付け、可動側金型2とスライド・コア3A〜
3Dを一緒に固定側金型1へ向けて接近、開離可能なよ
うに構成してもよい。
【0036】即ち、図4において、一組のスライド・コ
ア3A,3B,3C,3Dは、可動側金型2に取り付け
た駆動機構(図では省略)により、矢符で示すように、
可動側金型2の移動方向と略直角な方向に沿って互いに
接近、開離可能なよう構成され、互いに接近したときに
その中央部に、可動側金型の凹部2aの開口より小さく
且つ型締め時に固定側金型の凸部1aが貫通し得る開口
が形成されるようになっている。このように、スライド
・コア3A〜3Dを可動側金型2に取り付けることによ
り、装置の全体構成が図1に示したものに比べて比較的
簡略化できる。
【0037】而して、上記金型装置において、スライド
・コア3A〜3Dにより形成される開口辺縁部3aが図
2及び図5に示すような形態のものであると、表皮材6
のエッジ切れや樹脂漏れを起こし易い。即ち、図5
(A)は成形中のスライド・コア3A,3Cと注入樹脂
7及び表皮材6の切断図を示し、(B)は(A)図中の
円で囲った部分の拡大断面図であるが、スライド・コア
3Aの開口辺縁部3aと固定側金型の突部1aとの間の
クリアランスwが固定され、表皮材6にかかるテンショ
ンが一定であるため、(B)図中60で示す箇所では表
皮材6のエッジ切れを生じたり、70で示す箇所では樹
脂漏れを生じ易い。
【0038】そこで、図6に示すように、スライド・コ
アの開口の辺縁部に、開口の中心方向へ向けて進退可能
なスライド枠31を取り付け、固定側金型の突部1aと
の間のクリアランスwを可変とし、表皮材6にかかるテ
ンションを調整可能なよう構成すると共に、スライド・
コアの開口が可動側金型に臨む側の開口辺縁稜部に丸味
30を付けて凹ませることにより、表皮材6のエッジ切
れや樹脂漏れを防止できる。図6(B)中、35はクリ
アランス調整ネジ、36はクリアランス調整バネ、37
は枠板である。スライド・コア3B,3C,3Dについ
ても同様の進退可能なスライド枠を取り付ける。
【0039】次に、製品端末部における表皮材の皺の発
生を防止するための本発明の望ましい実施例について説
明する。従来、加飾一体成形で表皮材の賦形を行う場
合、表皮材端部と製品端部の配置が明確にされておら
ず、図11に示すように製品端末部で表皮材の屈曲部1
1が生じ、図12に示すように製品端末部7aの領域の
表皮材に多数の皺6aが生じていた。しかし、図7に示
すように表皮材端末領域が製品端末部の延長方向に長さ
gだけ真っ直ぐ延びるように配置すれば、製品端末部7
a近くに表皮材の屈曲部が無くなり、型締め時に表皮材
を製品部へ誘導し易くなり、製品端末部の表皮材に皺が
生じなくなる。
【0040】そこで、固定側金型の凸部1aの基底部分
に外形が上記凸部と同形の台座部1a−2を連続的に設
け、凸部1aの全体の高さが、成形時に可動側金型2の
凹部2a内へ侵入する最大製品高さ部分1a−1(以
下、単に「侵入部」という。)の高さhより十分大きく
なるようにすれば、製品端末部の表皮材への皺発生防止
に有効である。
【0041】これを図8を用いて具体的に説明する。誘
導用の台座部1a−2は製品投影面の縦横いずれかの最
長長さmが、侵入部1a−1の高さhを超える場合に有
効であり、逆に最長長さmが侵入部高さh以下の場合
は、一般には深絞りと成り、通常、射出成形機を用いて
の表皮材の一体成形は行わず、圧空成形、真空成形及び
併用型の圧空真空成形等により賦形を行った方が有利で
ある。
【0042】而して、製品投影面の最長長さmが侵入部
高さhを超え、誘導用台座部1a−2を設けるのが有効
である場合において、台座部の高さgと侵入部高さhの
関係がg/h=0.5〜2.0の範囲が有効である。即ち、
g/h<0.5では、製品端末部の延長方向に表皮材誘導
用の台座部1a−2を設けても、当該誘導部分が短か過
ぎて、製品端末部の表皮材に皺が発生する。反対に、g
/h>2.0では、誘導部が長くなるので製品端末部の表
皮材に皺が発生しない傾向は増進するが、実際の金型製
作上で金型本体のサイズが著しく大きくなり、表皮材も
無駄が多く、加工等のコストが上昇する。そしてまた、
金型本体のサイズが大きくなるに伴い樹脂射出ゲートの
ランナー部が長くなり、樹脂の安定供給が乱され生産性
に問題が生じてくる。従って、製品端末部の表皮材に皺
が発生しないための台座部1a−2の高さはg/h=0.
5〜2.0の範囲が有効である。
【0043】同様の考え方は、製品に凹部がある形状に
おいても適用される。例を図9に示す。即ち、製品(固
定側金型の凸部1a)が深さdの凹部9を有する場合に
は、金型内に取り込まれる表皮材の長さは、製品頂面に
高さdの仮想凸部9′を持つ仮想製品(仮想侵入部)と
同等であると考えられる。従って、固定側金型の凸部の
侵入部高さhと仮想凸部の高さdの和が仮想製品(仮想
侵入部)の高さとなり、前記の場合と同様に、製品投影
面の最長長さmが、仮想侵入部高さ(h+d)以上の場
合において表皮材誘導用台座は有効であり、仮想侵入部
高さ以下の場合には射出成形機を用いた表皮材の一体成
形よりも前記同様に圧空成形等を利用した方が好まし
い。
【0044】そして、上記仮想製品の最大投影面の最長
長さmが、仮想製品(仮想侵入部)の高さ(h+d)以
上であり、誘導用台座部が有効である場合において、台
座部の高さgと侵入部高さhの関係は、g/(h+d)
=0.5〜2.0の範囲に設定するのが有効である。g/
(h+d)<0.5では、仮想製品部への誘導部分が短く
表皮材に皺が発生する。また、g/(h+d)>2.0で
は実際の金型製作上で問題が生ずる。
【0045】以上のような台座部1a−2を設けること
により、表皮材の一体成形において、製品端末部の表皮
材に皺が発生せず、外観の良好な製品が得られる。
【0046】
【発明の効果】本発明は叙上の如く構成されるから、本
発明に係る金型装置によるときは、特殊なスタンピング
成形機によることなく、汎用の射出成形装置を用いて
も、溶融樹脂を低圧で、均等かつ最短時間内に表皮材と
均一に接触せしめ得るので、均質、高品位の複合成形体
が得られる。また、可動側金型とスライド・コアの間で
表皮材の端末巻込みが確実に行なわれ、表皮材に皺が発
生せず、特に製品端末部の表皮材に皺が生じるのを防止
でき、装置も簡単なもので済み、操作が簡単で作業効率
に優れ、成形後の処理が容易で、成形サイクルが短時間
で完了する等々、多くの利点が得られるものである。
【0047】なお、本発明は叙上の実施例に限定される
ものでなく、本発明の目的の範囲内において上記の説明
から当業者が容易に想到し得るすべての変更実施例を包
摂するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】射出成形により複合成形体を製造するための本
発明に係る金型装置の一実施例の基本構成を示す斜視図
である。
【図2】(a),(b) はその成形作動時の縦断面図である。
【図3】成形作動時の要部の作動状態を示す斜視図であ
る。
【図4】本発明に係る金型装置のもう一つの実施例を示
す斜視図である。
【図5】樹脂成形部分の端末部における成形状態を示す
説明図である。
【図6】樹脂成形部分の端末部における表皮材の損傷や
樹脂漏れを防止するためのスライド・コアの望ましい実
施例を示す説明図である。
【図7】樹脂成形部分の端末部における表皮材の皺の発
生を防止するための本発明に係る金型装置のの望ましい
実施例を示す断面図である。
【図8】表皮材の皺発生防止のための望ましい寸法形状
を説明するための図である。
【図9】別の形態における望ましい寸法形状を説明する
ための図である。
【図10】本発明に係る金型装置により得られる複合成
形体の模擬製品図である。
【図11】従来の金型の断面図である。
【図12】従来の金型により得られる複合成形体の模擬
製品図である。
【符号の説明】
1 固定側金型 1a 突部 1a-1 最大製品高さ 1a-2 台座部 1b ゲート 1c 駆動装置 1d 突き出し機構 2 可動側金型 2a 凹部 3A〜3D スライド・コア 3a 開口辺縁部 31 スライド枠 35 クリアランス調整ネジ 36 クリアランス調整バネ 37 枠板 4 表皮材セット枠 4a,4b 板枠 4c エアシリンダ 5a,5b ガイドレール 6 表皮材 6a 皺 60 エッジ切れ 7 溶融樹脂 7a 製品端末部 70 樹脂漏れ 9 凹部 9 ′ 仮想凸部 11 屈曲部
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年1月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 和田 勝雄 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内 (72)発明者 三隅 正毅 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】成形品の形状に応じた凸部(1a)が形成
    されると共に、樹脂成形空間内に溶融樹脂を注入するゲ
    ート(1b)を有する固定側金型(1)と、 固定側金型(1)に対し接近、開離可能なよう設けら
    れ、型締め時に固定側金型の凸部(1a)が嵌入して樹
    脂成形空間が画成される成形品の形状に応じた凹部(2
    a)を有する可動側金型(2)と、 固定側金型(1)と可動側金型(2)の間において固定
    側金型(1)に対して接近、開離可能なよう設けられる
    と共に、可動側金型(2)の移動方向と略直角な方向に
    沿って互いに接近、開離可能な複数の部材(3A〜3
    D)から成り、互いに接近したときにその中央部に、可
    動側金型の凹部(2a)の開口より小さく且つ型締め時
    に固定側金型の凸部(1a)が貫通し得る開口が形成さ
    れる一組のスライド・コア(3A〜3D)と、 固定側金型(1)とスライド・コア(3A〜3D)の間
    に設けられ、表皮材(6)をセットし得る表皮材セット
    枠(4)と、 を備えたことを特徴とする複合成形体を製造するための
    金型装置。
  2. 【請求項2】可動側金型(2)とスライド・コア(3A
    〜3D)を個別に固定側金型(1)へ向けて接近、開離
    可能なように構成した請求項1に記載の金型装置。
  3. 【請求項3】スライド・コア(3A〜3D)を可動側金
    型(2)に取り付け、可動側金型(2)とスライド・コ
    ア(3A〜3D)を一緒に固定側金型(1)へ向けて接
    近、開離可能なように構成した請求項1に記載の金型装
    置。
  4. 【請求項4】各スライド・コア(3A〜3D)を中央部
    へ引き寄せたとき開口を形成する辺縁部の可動側金型
    (2)に臨む側の稜部を丸味(30)を付けて凹ませた
    ことを特徴とする請求項1に記載の金型装置。
  5. 【請求項5】各スライド・コア(3A〜3D)を中央部
    へ引き寄せたとき開口を形成する辺縁部に、開口の中心
    方向へ向けて進退可能なスライド枠(31)を取り付け
    たことを特徴とする請求項1に記載の金型装置。
  6. 【請求項6】製品端末部の表皮材に皺の発生を防止する
    ため、上記固定側金型の凸部(1a)の高さが、成形時
    における可動側金型(2)の凹部(2a)内への最大侵
    入高さhより十分大きくなるように、凸部(1a)の基
    底部分に外形が上記凸部と同形の台座部を連続的に設け
    たことを特徴とする請求項1に記載の金型装置。
  7. 【請求項7】製品投影面の縦横いずれかの最大長さm
    が、固定側金型の凸部(1a)の成形時における可動側
    金型(2)の凹部(2a)内への最大侵入高さhを超え
    る場合において、台座部の高さgを、g/h=0.5〜2.
    0の関係を満たすように設定した請求項6に記載の金型
    装置。
  8. 【請求項8】上記固定側金型の最大侵入高さhの凸部
    (1a)が、その頂面に最大深さdの凹部(9)を有
    し、上記製品投影面の縦横いずれかの最大長さmが(h
    +d)を超える場合において、台座部の高さgを、g/
    (h+d)=0.5〜2.0の関係を満たすように設定した
    請求項6に記載の金型装置。
  9. 【請求項9】成形品の形状に応じた凸部(1a)が形成
    されると共に、樹脂成形空間内に溶融樹脂を注入するゲ
    ート(1b)を有する固定側金型(1)と、 固定側金型(1)に対し接近、開離可能なよう設けら
    れ、型締め時に固定側金型の凸部(1a)が嵌入して樹
    脂成形空間が画成される成形品の形状に応じた凹部(2
    a)を有する可動側金型(2)と、 固定側金型(1)と可動側金型(2)の間において固定
    側金型(1)に対して接近、開離可能なよう設けられる
    と共に、可動側金型(2)の移動方向と略直角な方向に
    沿って互いに接近、開離可能な複数の部材(3A〜3
    D)から成り、互いに接近したときにその中央部に、可
    動側金型の凹部(2a)の開口より小さく且つ型締め時
    に固定側金型の凸部(1a)が貫通し得る開口が形成さ
    れる一組のスライド・コア(3A〜3D)と、 固定側金型(1)とスライド・コア(3A〜3D)の間
    に設けられ、表皮材(6)をセットし得る表皮材セット
    枠(4)と、 を備えた金型装置を用い、下記 (a)ないし (l)記載のス
    テップを順次遂行することを特徴とする射出成形により
    複合成形体を製造する方法。 (a) 表皮材セット枠(4)に所望の表皮材(6)をセッ
    トし、この表皮材セット枠(4)を固定側金型(1)の
    凸部(1a)に対向する位置にもたらすステップ。 (b) スライド・コア(3A〜3D)を互いに中央部へ引
    き寄せ、固定側金型(1)の凸部(1a)が貫通し得る
    開口を形成するステップ。 (c) 可動側金型(2)、スライド・コア(3A〜3D)
    及び表皮材セット枠(4)を固定側金型(1)へ向けて
    移動させ、固定側金型(1)と可動側金型(2)の間に
    スライド・コア(3A〜3D)及び表皮材セット枠
    (4)を挟んだ状態で所定位置まで閉じるステップ。 (d) 固定側金型(1)のゲート(1b)から樹脂成形空
    間内に溶融樹脂を注入するステップ。 (e) 可動側金型(2)を更に固定側金型(1)へ向けて
    移動させ低圧で型締めを行なうステップ。 (f) 冷却するステップ。 (g) スライド・コア(3A〜3D)を互いに外側へ引き
    離すステップ。 (h) 表皮材(6)を表皮材セット枠(4)より開放する
    ステップ。 (i) 可動側金型(2)を固定側金型(1)から離れる方
    向へ移動させ、型を開くステップ。 (j) 固定側に設けられた突き出し機構(1d)により製
    品を離型するステップ。 (k) 製品を取り出すステップ。 (l) 表皮材セット枠(4)を表皮材をセットする原位置
    に復帰させるステップ。
  10. 【請求項10】成形品の形状に応じた凸部(1a)が形
    成されると共に、樹脂成形空間内に溶融樹脂を注入する
    ゲート(1b)を有する固定側金型(1)と、 固定側金型(1)に対し接近、開離可能なよう設けら
    れ、型締め時に固定側金型の凸部(1a)が嵌入して樹
    脂成形空間が画成される成形品の形状に応じた凹部(2
    a)を有する可動側金型(2)と、 固定側金型(1)と可動側金型(2)の間において固定
    側金型(1)に対して接近、開離可能なよう設けられる
    と共に、可動側金型(2)の移動方向と略直角な方向に
    沿って互いに接近、開離可能な複数の部材(3A〜3
    D)から成り、互いに接近したときにその中央部に、可
    動側金型の凹部(2a)の開口より小さく且つ型締め時
    に固定側金型の凸部(1a)が貫通し得る開口が形成さ
    れる一組のスライド・コア(3A〜3D)と、 固定側金型(1)とスライド・コア(3A〜3D)の間
    に設けられ、表皮材(6)をセットし得る表皮材セット
    枠(4)と、 を備えた金型装置を用い、下記 (a)ないし (l)記載のス
    テップを順次遂行することを特徴とする射出成形により
    複合成形体を製造する方法。 (a) 表皮材セット枠(4)に表皮材(6)として繊維系
    表皮材をセットし、この表皮材セット枠(4)を固定側
    金型(1)の凸部(1a)に対向する位置にもたらすス
    テップ。 (b) スライド・コア(3A〜3D)を互いに中央部へ引
    き寄せ、固定側金型(1)の凸部(1a)が貫通し得る
    開口を形成するステップ。 (c) 可動側金型(2)、スライド・コア(3A〜3D)
    及び表皮材セット枠(4)を固定側金型(1)へ向けて
    移動させ、固定側金型(1)と可動側金型(2)の間に
    スライド・コア(3A〜3D)及び表皮材セット枠
    (4)を挟んだ状態で所定位置まで閉じるステップ。 (c')表皮材(6)を表皮材セット枠(4)より解放する
    ステップ。 (d) 固定側金型(1)のゲート(1b)から樹脂成形空
    間内に溶融樹脂を注入するステップ。 (e) 可動側金型(2)を更に固定側金型(1)へ向けて
    移動させ低圧で型締めを行なうステップ。 (f) 冷却するステップ。 (g) スライド・コア(3A〜3D)を互いに外側へ引き
    離すステップ。 (i) 可動側金型(2)を固定側金型(1)から離れる方
    向へ移動させ、型を開くステップ。 (j) 固定側に設けられた突き出し機構(1d)により製
    品を離型するステップ。 (k) 製品を取り出すステップ。 (l) 表皮材セット枠(4)を表皮材をセットする原位置
    に復帰させるステップ。
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