JPH11314227A - 多層成形品の製造方法 - Google Patents

多層成形品の製造方法

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JPH11314227A
JPH11314227A JP10126018A JP12601898A JPH11314227A JP H11314227 A JPH11314227 A JP H11314227A JP 10126018 A JP10126018 A JP 10126018A JP 12601898 A JP12601898 A JP 12601898A JP H11314227 A JPH11314227 A JP H11314227A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】射出プレス法において起毛を有するファブリッ
ク表皮材や発泡層を裏打ちした表皮材を使用する場合に
毛倒れや発泡層の潰れにより外観やクッション性が損な
われることを防止する。 【解決手段】表皮材と接する金型部分が可動ブロックか
らなる金型を使用して、基材の表面に表皮材が部分的に
貼合されてなる多層成形品を製造する方法において、 開放状態にある雌雄両金型間に表皮材を供給する工
程、 表皮材と金型面との間に溶融熱可塑性樹脂を供給する
工程、 溶融熱可塑性樹脂を供給後あるいは供給しながら型締
めする工程、 金型内で溶融熱可塑性樹脂を一次冷却する工程、 表皮材と接している可動ブロックを金型内に後退さ
せ、表皮材表面と可動ブロックの成形面との間に隙間を
形成させる工程、 の状態で溶融熱可塑性樹脂を二次冷却する工程、 を含む多層成形品の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表皮材が部分的に
貼合された多層成形品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂からなる基材の表面に表皮
材が部分的に貼合された多層成形品は自動車内装部品
(たとえばドアトリムやインストルメントパネル)、家
電製品の内外装部品その他の広い分野で多く使用されて
いる。
【0003】このような多層成形品の製造法としては、
例えば、熱可塑性樹脂を射出成形等の種々の方法により
予め所望の形状に成形した成形品(基材)の上に、部分
的に表皮材を接着剤等を使用して接着積層する方法や、
雌雄一対の金型間に表皮材を供給したのち溶融熱可塑性
樹脂を供給し、両金型を型締めして溶融熱可塑性樹脂を
所望の形状に賦型すると同時にその表面に表皮材を貼合
する射出プレス法による方法(特公平5−83058号
公報)などが知られている。
【0004】しかし、なこのような方法において、前者
の方法は工程が複雑なうえに、接着剤に含まれる溶剤に
よる人体や環境等への問題があり、また、後者の方法
は、基材を形成すると同時にその表面に表皮材が貼合で
きるという利点はあるが、表皮材部分も他の樹脂部分と
全く同条件で成形圧が加わるため、得られた成形品にお
ける表皮材の風合いが損なわれ、特に表皮材として起毛
を有するファブリック表皮材を使用した場合には型締め
時の圧力により毛倒れが生じて外観が著しく損なわれ、
また、発泡層を裏打ちした表皮材を用いるような場合に
は型締め時の温度と成形圧により発泡層が潰れてクッシ
ョン性が損なわれるという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このようなことから、
本発明者らは、基材を形成すると同時にその表面に部分
的に表皮材が貼合できるという射出プレス法の利点を活
かしつつ、起毛を有するファブリック表皮材や発泡層を
裏打ちした表皮材を使用する場合であっても、毛倒れや
発泡層の潰れにより外観が損なわれたりクッション性が
損なわれることのない多層成形品の製造法について検討
の結果、本発明に至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、雌雄一対から
なり、製品の表皮材貼合面に対応する金型成形面のうち
の表皮材と接する金型部分が金型内を金型の開閉方向に
進退可能に摺動する可動ブロックからなる金型を使用し
て、熱可塑性樹脂からなる基材の表面に表皮材が部分的
に貼合されてなる多層成形品を製造する方法において、 開放状態にある雌雄両金型間の所定の位置に表皮材を
供給する工程、 表皮材と金型面との間に溶融熱可塑性樹脂を供給する
工程、 溶融熱可塑性樹脂を供給後あるいは供給しながら型締
めする工程、 金型内で溶融熱可塑性樹脂を一次冷却する工程、 表皮材と接している可動ブロックを金型内に後退さ
せ、表皮材表面と可動ブロックの成形面との間に隙間を
形成させる工程、 前記の状態で溶融熱可塑性樹脂を二次冷却する工
程、 溶融熱可塑性樹脂が固化したのち両金型を開き、成形
品を取り出す工程、からなることを特徴とする多層成形
品の製造方法を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明を説
明する。尚、以下の説明は本発明の一例であり、本発明
がこれに限定されるものでないことはいうまでもない。
【0008】
【実施例】図1は本発明に使用する金型の例をその断面
で概略的に示したものである。この金型は雄金型(1)
および雌金型(2)の雌雄一対からなっており、製品の
表皮材貼合面に対応する金型成形面(この図の例では雌
金型の成形面(9))のうちの表皮材と接する金型部分
に、可動ブロック(3)が設けられている。この可動ブ
ロック(3)は、その成形面(10)の大きさが貼合さ
れる表皮材面とほぼ同等であって、表皮材側の金型(こ
の例では雌金型)内に埋め込まれ、油圧シリンダ−
(4)などの移動手段により金型内を金型の開閉方向に
進退可能に摺動する構造となっている。尚、この可動ブ
ロック(3)は、通常は、該ブロックが最も前進した状
態においては、図1に示されるように可動ブロック
(3)の成形面(10)とこれが埋め込まれた雌金型
(2)の成形面(9)とで連続した一つの成形面を形成
するようになっている。
【0009】可動ブロック(3)が埋め込まれた金型と
対向する他の金型(この例では雄金型)内には溶融熱可
塑性樹脂をキャビティ内に供給するための溶融樹脂通路
(5)が設けられている。溶融樹脂通路の一端は成形面
に開口する樹脂供給口(11)と連結し、他端は金型外
の可塑化装置(図示せず)と接続されている。樹脂供給
口(11)の数は製品形状やその大きさ等により1つで
もよいし2以上の複数であってもよく、その配置も適宜
決定されるが、樹脂供給口の少なくとも1つは可動ブロ
ック(3)の成形面に対向するような位置に設けること
が好ましい。
【0010】かかる雌雄両金型を使用して多層成形品を
製造するにあたり、先ず雌雄両金型を開放状態とし、両
金型間の所定の位置に表皮材(6)を供給する。(工程
)(図2) このとき、表皮材(6)は可動ブロック(3)の成形面
(10)に対応する位置に供給されるが、図2では、雄
金型(1)の成形面上の可動ブロック(3)の成形面に
対向する位置に表皮材を載置した状態を示している。こ
のとき、表皮材は雄金型の成形面上に単に載置したまま
でもよいし、表皮材の位置決めのための固定具などを利
用してもよい。また、雌雄両金型の位置関係や表皮材の
種類等によっては、表皮材を可動ブロック(3)の成形
面(10)上に直接載置したり、両面テ−プ等を用いて
表皮材の表面側を可動ブロックの成形面に仮り止め、固
定してもよい。
【0011】前記工程の後、表皮材と金型面との間に
溶融熱可塑性樹脂(7)を供給する。(工程)(図
3) このときの雌雄両金型間のキャビティクリアランスは、
具体的には使用する表皮材の種類、厚みなどによって適
宜決定されるが、両金型が開放状態にあることは必要で
ある。
【0012】尚、溶融熱可塑性樹脂の供給時には、通常
は、可動ブロック(3)の成形面(10)とこれが埋め
込まれた雌金型の成形面(9)とが連続した成形面を形
成するように、予め可動ブロックの位置調整が行われ
る。
【0013】次いで、雌雄両金型を閉じて型締めを行
う。(工程)(図4) この型締めは、溶融熱可塑性樹脂の供給完了後に開始し
てもよいし、前記工程と同時に、すなわち溶融熱可塑
性樹脂を供給しながら並行的に行ってもよい。尚、溶融
熱可塑性樹脂の供給完了後に型締めを行う際には、溶融
熱可塑性樹脂の供給完了後速やかに型締めを開始するこ
とが好ましい。型締めにより、表皮材(6)の表面は溶
融熱可塑性樹脂層の表面に部分的に貼合されると同時に
可動ブロック(3)の成形面に接触した状態となる。
【0014】型締めの後、型締め状態を保持しつつ一次
冷却を行い(工程)、その後直ちに表皮材と接してい
る可動ブロック(3)を油圧シリンダ−(4)により金
型内に後退させ、表皮材表面と可動ブロックの成形面
(10)との間に隙間Aを設け(工程)、表皮材部分
以外は先の型締め状態を維持しつつ二次冷却を行う。
(工程)(図5)
【0015】ここで、可動ブロックを金型内に後退させ
て表皮材表面と可動ブロックの成形面(10)との間に
隙間を設けるまでの一次冷却とは、型締め状態において
その表面部分が固化状態にあればよく、熱可塑性樹脂の
厚み方向の中心部まで完全に固化している必要はない。
この一次冷却時間は、それが短すぎると製品の変形が大
きく、長すぎる場合は表皮材へのダメ−ジが大きくなっ
て毛倒れや発泡層のつぶれが生じるため、使用する表皮
材の種類や製品厚み、成形時の樹脂温度、型締め圧力等
によって最適の時間が選択される。例えば、金型温度3
0℃で、樹脂温度200℃のポリプロピレン樹脂を使用
し、2.5mm厚の基材に起毛のあるファブリック表皮
材を部分的に貼合した多層成形品を製造する場合には、
一次冷却時間はおよそ5秒から10秒程度である。
【0016】可動ブロック(3)を金型内に後退させて
表皮材表面と可動ブロックの成形面(10)との間に隙
間Aを設ける際の後退量は、それが少なすぎると、例え
ば表皮材が発泡層を有している場合には圧縮された発泡
層の回復量が少なく、また起毛のあるファブリック表皮
材の場合には、圧縮により倒れた起毛部が十分に回復で
きず、成形後においても外観の悪いものとなり、一方、
可動ブロックの後退量が多すぎると、基材の表皮材貼合
部が冷却不足となって変形等の問題が生じるため、その
後退量は、表皮材の成形前の原反厚みtと型締めにより
圧縮された状態での表皮材厚みt0 との関係において、
(t−t0 )/2〜(t−t0 )の範囲が一般的であ
る。尚、ここでいう隙間Aとは、図5に示すように、可
動ブロック(3)が後退することにより形成される、可
動ブロック(3)の成形面(10)とこれが埋め込まれ
た金型の成形面(9)との面間における垂直方向の距離
を示すものである。
【0017】可動ブロック(3)を後退させた状態での
二次冷却は、通常の成形方法と同様に、型締めされてい
る溶融熱可塑性樹脂が完全に固化されるまで行われる。
溶融熱可塑性樹脂が固化した後、両金型を開き(図
6)、基材表面に表皮材が部分的に貼合された多層成形
品が取り出される。(図7)(工程)
【0018】かかる方法において、基材全体の表面積に
対する表皮材貼合部の面積が大きい場合には、表皮材が
貼合された部分の基材部が表皮材の断熱効果による冷却
不足によって他の部分と冷却の程度が異なり、製品の変
形が問題とされることがある。このような場合には、基
材の裏面側にリブ(8)等を設ける(図8)ことにより
変形を抑制することができる。
【0019】以上の説明においては、金型の開閉方向が
上下である雌雄両金型を用いた例について述べたが、金
型の開閉方向は何ら本質ではなく、開閉方向が左右の横
方向である雌雄両金型を用いても全く同様に実施するこ
とができる。
【0020】本発明の方法に適用される表皮材としては
ファブリック表皮材が好んで用いられ、特に起毛のある
モケット、トリコット等の織物や編物、ニ−ドルパンチ
カ−ペット等の不織布などが好適に使用される。このよ
うな表皮材はそれ単独で使用されるのみならず、2種以
上を接着剤等で接着した複合表皮材として使用すること
もでき、特にポリプロピレン発泡シ−トなどのポリオレ
フィン系樹脂発泡シ−トやウレタン発泡シ−トなどを裏
打ち材としたファブリック表皮材は好んで用いられる。
また、熱可塑性樹脂もしくは熱可塑性エラストマ−のシ
−トまたはフィルム、紙、金属箔、ネット状物などに前
記したような発泡シ−トを裏打ち材とした複合表皮材も
好んで使用される。尚、前記したポリプロピレン発泡シ
−トなどのポリオレフィン系樹脂発泡シ−トは架橋タイ
プだけではなく非架橋タイプの発泡シ−トも用いること
ができ、その発泡倍率は特に限定されない。また、これ
ら表皮材の使用にあたっては、貼合すべき表皮材形状に
応じて予備賦型を行っていてもよい。
【0021】また、本発明の方法に適用される熱可塑性
樹脂としては、一般の射出成形、射出圧縮成形、押出成
形、スタンピング成形などで通常使用されているもので
あれば特に制限なく使用することができ、例えば、ポリ
エチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、
ポリスチレン、アクリル樹脂、アクリロニトリル−スチ
レン−ブタジエンブロック共重合体、ナイロンなどのポ
リアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカ−ボネ−ト、スチレ
ン−ブタジエンブロック共重合体などの一般的な熱可塑
性樹脂の他、EPMやEPDMなどの熱可塑性エラスト
マ−、これらの混合物、あるいはこれらを用いたポリマ
−アロイなどが挙げられ、これらは発泡性であっても非
発泡性であってもよい。本発明でいう熱可塑性樹脂とは
これらのすべてを含むものである。また、これらの熱可
塑性樹脂には必要に応じてガラス繊維などの強化繊維、
タルク、ワラストナイトなどの各種の無機もしくは有機
フィラ−などの充填材を含有していてもよく、もちろ
ん、通常使用される各種の顔料、滑材、帯電防止剤、酸
化防止剤、紫外線防止剤などが適宜配合されていてもよ
い。
【0022】
【発明の効果】本発明の方法によれば、基材を形成する
と同時にその表面に部分的に表皮材が貼合できるという
射出プレス法の利点を活かしつつ、起毛を有するファブ
リック表皮材や発泡層を裏打ちした表皮材を使用する場
合であっても、毛倒れや発泡層の潰れにより外観が損な
われたりクッション性が損なわれることがなく、しかも
変形の少ない外観の良好な表皮材が部分的に貼合された
多層成形体を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法に使用される金型例を断面概略図
で示したものである。
【図2】本発明の方法による製造工程を金型の概略断面
図で示したものである。
【図3】本発明の方法による製造工程を金型の概略断面
図で示したものである。
【図4】本発明の方法による製造工程を金型の概略断面
図で示したものである。
【図5】本発明の方法による製造工程を金型の概略断面
図で示したものである。
【図6】本発明の方法により得られる多層成形品の例を
断面図で示したものである。
【図7】本発明の方法による得られる多層成形品の例を
断面図で示したものである。
【図8】本発明の方法による得られるリブ付の多層成形
品の例を断面図で示したものである。
【符号の説明】
1:雄金型 2:雌金型 3:可動ブロック 4:油圧シリンダ− 5:溶融樹脂通路 6:表皮材 7:溶融熱可塑性樹脂 8:リブ 9:雌金型成形面 10:可動ブロック成形面 11:樹脂供給口 A:隙間

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】雌雄一対からなり、製品の表皮材貼合面に
    対応する金型成形面のうちの表皮材と接する金型部分が
    金型内を金型の開閉方向に進退可能に摺動する可動ブロ
    ックからなる金型を使用して、熱可塑性樹脂からなる基
    材の表面に表皮材が部分的に貼合されてなる多層成形品
    を製造する方法において、 開放状態にある雌雄両金型間の所定の位置に表皮材を
    供給する工程、 表皮材と金型面との間に溶融熱可塑性樹脂を供給する
    工程、 溶融熱可塑性樹脂を供給後あるいは供給しながら型締
    めする工程、 金型内で溶融熱可塑性樹脂を一次冷却する工程、 表皮材と接している可動ブロックを金型内に後退さ
    せ、表皮材表面と可動ブロックの成形面との間に隙間を
    形成させる工程、 前記の状態で溶融熱可塑性樹脂を二次冷却する工
    程、 溶融熱可塑性樹脂が固化したのち両金型を開き、成形
    品を取り出す工程、からなることを特徴とする多層成形
    品の製造方法。
  2. 【請求項2】前記工程における隙間が、使用する表皮
    材の成形前の原反の厚みと前記工程の型締めにより圧
    縮された状態における表皮材厚みの差の1/2以上であ
    る請求項1に記載の多層成形品の製造方法。
  3. 【請求項3】表皮材が起毛を有するファブリック表皮で
    ある請求項1に記載の多層成形品の製造方法。
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