JP2002240083A - 多層成形品の製造方法 - Google Patents

多層成形品の製造方法

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JP2002240083A
JP2002240083A JP2001042235A JP2001042235A JP2002240083A JP 2002240083 A JP2002240083 A JP 2002240083A JP 2001042235 A JP2001042235 A JP 2001042235A JP 2001042235 A JP2001042235 A JP 2001042235A JP 2002240083 A JP2002240083 A JP 2002240083A
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JP2001042235A
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Atsushi Saito
篤 斎藤
Takeo Kitayama
威夫 北山
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Satoh Machinery Works Co Ltd
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Satoh Machinery Works Co Ltd
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ファブリック表皮材の毛倒れにより外観が損
なわれることもなく、変形も少ない表皮材貼合の多層成
形品が確実に得られるようにする。 【解決手段】 一対の金型1,2の型締め状態で溶融熱
可塑性樹脂4を一次冷却した後に、一対の金型1,2を
所定間隔W半開させ二次冷却する際、一対の金型1,2
の半開間隔Wとしては、成形前後におけるファブリック
表皮材3表面の色差が小さく且つ成形品の変形が小さく
なるように0.1mm刻みで調節して決定した値とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、起毛を表面に有す
る、いわゆるファブリック表皮材が熱可塑性樹脂からな
る基材の表面に貼合された多層成形品を製造する方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】ファブリック表皮材が貼合された多層成
形品は、自動車内装部品(例えば、ドアトリムやインス
トルメントパネル等)、家電製品の内外装部品、その他
に広い分野で多く使用されている。
【0003】このような多層成形品の製造方法として
は、例えば、雌雄一対の金型間にファブリック表皮材を
供給した後に溶融熱可塑性樹脂を供給し、一対の金型を
所定の型締め圧力で保持して溶融熱可塑性樹脂を所望の
形状に賦型すると同時にその表面にファブリック表皮材
を貼合するという方法が知られている。この方法におい
ては、熱可塑性樹脂からなる基材が形成されると同時に
その表面にファブリック表皮材が貼合できるという利点
はあるが、型締め圧力によりファブリック表皮材の毛倒
れが生じ、得られた成形品の風合い(外観や手触り等)
が損なわれる問題があった。
【0004】そこで、このようなファブリック表皮材の
毛倒れによる風合いの損失を無くす方法としては、型締
めによる一次冷却後に一対の金型を僅かに開いてファブ
リック表皮材の表面と金型の成形面との間に隙間を形成
し、この状態を保持して溶融熱可塑性樹脂を二次冷却す
る方法が提案された(特開平10−58485号公報、
特開平11−314227号公報等)。この方法による
と、前記隙間によってファブリック表皮材表面の倒れて
いた起毛の復元空間が確保され、二次冷却期間中に倒れ
ていた起毛が起き上がり、毛倒れの少ない成形品が得ら
れるというものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記方
法によってもファブリック表皮材の毛倒れが未だ十分に
復元されず外観の良好な成形品が必ずしも得られなかっ
たり、また、冷却不足等に起因した成形品の変形が生じ
たりするという問題が残っていた。
【0006】本発明は、一対の金型を用いて起毛を表面
に有するファブリック表皮材と熱可塑性樹脂の基材とを
一体成形する多層成形品の製造方法において、ファブリ
ック表皮材の毛倒れにより外観が損なわれることを確実
に防止すると共に成形品の変形を防止することを課題と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明が前記課題解決に
講じた技術的手段は、次のとおりである。 (1)第1の技術的手段は、『一対の金型を用いて起毛
を表面に有するファブリック表皮材と合成樹脂の基材と
を一体成形する多層成形品の製造方法であって、 開放状態にある一対の金型間にファブリック表皮材を
供給する工程、 ファブリック表皮材の裏面と金型面との間に溶融合成
樹脂を供給する工程、 溶融合成樹脂の供給後あるいは供給しながら一対の金
型を型締めする工程、 所定の型締め圧力で一対の金型の型締め状態を保持し
つつ溶融合成樹脂を一次冷却する工程、 一対の金型を所定間隔半開させる工程、 前記半開状態に一対の金型を保持しつつ溶融合成樹脂
を二次冷却する工程、 溶融合成樹脂が固化した後、一対の金型を開き成形品
を取り出す工程、を順次に実行するものであり、前記半
開工程での一対の金型の半開間隔は、成形前後におけ
るファブリック表皮材表面の色差が小さく且つ成形品の
変形が小さくなるように0.1mm刻みで調節して決定
した値であることを特徴とする。』 前記技術的手段は、次のように作用する。
【0008】すなわち、ファブリック表皮材表面の色
は、その毛倒れの状態によって色調が変わる。よって、
成形前後におけるファブリック表皮材表面の色差が最も
小さい場合に、成形後の起毛の状態が成形前の起毛の状
態と近くなり最も毛倒れの少ない状態となる。これは、
半開間隔を広くするに従ってファブリック表皮材表面に
対する金型面からの加圧力が緩和されて二次冷却工程
で倒れていた起毛の起き上がりがより確実に行われるか
ら、成形前後のファブリック表皮材表面の色差が小さく
なる。一方、半開間隔が広くなりすぎると二次冷却工程
で溶融熱可塑性樹脂に対する冷却が不足して行き、成
形品の変形が生じ易くなる。そこで、成形前後における
ファブリック表皮材表面の色差が小さく且つ成形品の変
形が小さくなる半開間隔を決定することで、次の二次冷
却工程において溶融熱可塑性樹脂の冷却不足を防止し
つつファブリック表皮材表面の倒れていた起毛の復元が
最適に行われることとなる。また、前記間隔の調節を
0.1mm刻みの微小単位で行うことにより、毛倒れや
変形が最も少ない成形品を得るのに最適な金型の間隔を
確実に決定できる。
【0009】(2)第2の技術的手段は、『製品の表皮
材貼合面に対応する金型成形面における金型部分が金型
の開閉方向に進退可能に摺動する可動ブロックからなる
一対の金型を用いて、起毛を表面に有するファブリック
表皮材が部分的に合成樹脂からなる基材の表面に貼合さ
れた多層成形品を製造する方法であって、 開放状態にある一対の金型間にファブリック表皮材を
供給する工程、 ファブリック表皮材の裏面と金型面との間に溶融合成
樹脂を供給する工程、 溶融合成樹脂の供給後あるいは供給しながら一対の金
型を型締めする工程、 所定の型締め圧力で一対の金型の型締め状態を保持し
つつ溶融合成樹脂を一次冷却する工程、 ファブリック表皮材と接している可動ブロックを金型
内に後退させる工程、 前記可動ブロック後退状態に一対の金型を保持しつつ
溶融合成樹脂を二次冷却する工程、 溶融合成樹脂が固化した後、一対の金型を開き成形品
を取り出す工程、 を順次に実行するものであり、前記可動ブロックの後退
工程での可動ブロック後退時の成形面と他方の金型の
成形面との間隔は、成形前後におけるファブリック表皮
材表面の色差が小さく且つ成形品の変形が小さくなるよ
うに0.1mm刻みで調節して決定した値であることを
特徴とする。』
【0010】これによっても、成形前後におけるファブ
リック表皮材表面の色差が小さく且つ成形品の変形が小
さくなる金型間隔を決定することで、次の二次冷却工程
において溶融熱可塑性樹脂の冷却不足を防止しつつフ
ァブリック表皮材表面の倒れていた起毛の復元が最適に
行われることとなる。また、前記間隔の調節を0.1m
m刻みの微小単位で行うことにより、毛倒れや変形が最
も少ない成形品を得るのに最適な金型の間隔を確実に決
定できる。
【0011】(3)また、前記各技術的手段において、
『第1の技術的手段における前記半開工程での一対の
金型の半開間隔、または第2の技術的手段における前記
可動ブロックの後退工程での可動ブロック後退時の成
形面と他方の金型の成形面との間隔は、最終製品厚みの
80%以上である』ものでは、前記二次冷却工程にお
いて溶融合成樹脂の冷却不足を防止しつつファブリック
表皮材表面の倒れた起毛の復元が均質かつ良好に行われ
る。すなわち、前記金型間隔が広すぎると二次冷却の際
に溶融合成樹脂への冷却不足が生じ、金型間隔が狭すぎ
るとファブリック表皮材表面への加圧力が大きくなり倒
れていた起毛が必ずしも均質に回復されなくなるからで
ある。なお、ここで、前記最終製品厚みとは、予め設定
された合成樹脂の基材厚みと、成形前のファブリック表
皮材の厚みとの合計値をいう。
【0012】(4)また、前記各技術的手段において、
『前記一次冷却工程においては、その前期を第1の型
締め圧力で一対の金型を保持し、後期を前記第1の型締
め圧力よりも小さい第2の型締め圧力で一対の金型を保
持する』ものでは、一次冷却工程の後期の間は、その
前期に比しファブリック表皮材表面に対する加圧力が軽
減され、毛倒れ状態の癖付けが緩和される。これによっ
て、その後の二次冷却工程の期間中に倒れていた起毛
の復元がより確実となる。また、この後期でも第2の型
締め圧力で一対の金型を保持するので、一次冷却工程
における溶融合成樹脂の冷却不足も生じず、得られた成
形品に変形を来たすこともない。
【0013】
【発明の効果】以上のように、本発明によると、前述の
ように半開工程での一対の金型の半開間隔や可動ブロ
ックの後退工程での金型間隔を、成形前後におけるフ
ァブリック表皮材表面の色差が小さく且つ成形品の変形
が小さくなるように0.1mm刻みで調節して決定した
値とすることでファブリック表皮材表面の起毛の復元が
確実に行われると共に溶融熱可塑性樹脂に対する冷却不
足等も生じないから、毛倒れや変形が少なく見栄えの良
好な外観の多層成形品が確実に得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を添
付図面を参照しながら説明する。以下に述べる多層成形
品とは、熱可塑性樹脂からなる基材の表面に表皮材が貼
合された成形品をいい、表皮材は、合成樹脂からなる1
mm以上の長さの起毛を表面に有するファブリック表皮
材をいう。なお、以下の実施の形態は、本発明の一例で
あり本発明がこれに限定されるものでないことはいうま
でもない。
【0015】(第1の実施の形態)まず、第1の実施の
形態による多層成形品の製造方法は、一対の金型を用い
た射出プレス法によってファブリック表皮材と基材とを
一体成形する方法である。以下では、雌雄一対の金型が
上下に開閉する縦型の成形装置を用いた例を中心として
説明する。
【0016】図1は、前記成形装置の概略構成を示した
側面図である。図1に示すように、この成形装置は、直
圧式の型締機11と、横射出式の射出機12とを備え
る。この方法に使用される金型は、射出プレス成形等に
通常使用されているものであって、型締め時に所望の製
品形状となるキャビティを形成する雄金型1および雌金
型2の雌雄一対から構成され、そのいずれか一方が型締
機11に連結されて上下に移動し、雌雄金型1,2の開
閉が行われる。
【0017】前記型締機11は、金型1,2の開閉を行
わせるための型締シリンダ13と、金型1,2を所定間
隔半開させるための型戻し装置15とを有し、いずれの
シリンダも油圧式であるが、このほかに電動式でもよ
い。型締シリンダ13は、その出力軸であるプランジャ
14が雌金型2の上面に固定された取付板10に連結さ
れている。この型締シリンダ13の駆動により雌金型2
が上下動されて一対の金型1,2を開閉させる。型戻し
装置15は、複数本のシリンダを有し、これらシリンダ
は、油圧回路(図示せず)に並列接続されており、同時
かつ均等に駆動される。そして、この型戻し装置15の
駆動により閉位置の雌金型2が所定量上昇されて一対の
金型1,2を所定間隔半開させる。すなわち、一対の金
型1,2の型締め状態で、前記型締シリンダ13の加圧
力を解除(解除開始、解除完了の両方を含む。)し型戻
し装置15を駆動させるか、予め型戻し装置15を駆動
させておきその後前記型締シリンダ13の加圧力を減衰
させることにより、雌金型2を閉位置から半開位置まで
上昇させる。なお、このときの半開間隔Wは、前記型戻
し装置15におけるのストローク量によって決定され
る。
【0018】なお、前記型締機11としては、前記型締
シリンダ13に代えてサーボモータ等を駆動源とする電
動式のものでもよい。この電動式型締機の場合は、前記
型戻し装置15に相当するものを設けても、設けなくて
もよい。
【0019】一方、前記射出機12は、筒状のシリンダ
17内にスクリュー18を配設したものであり、その先
端の射出ノズル19が雄金型1内に設けた溶融樹脂通路
5の一端に接続されている。また、溶融樹脂通路5の他
端は、金型1,2内の成形面に開口する樹脂供給口6と
連結されている(図2を参照。)。これにより、シリン
ダ17内で可塑化され射出ノズル19から射出された溶
融熱可塑性樹脂が溶融樹脂通路5を通して金型内に供給
される。なお、溶融樹脂通路5や樹脂供給口6の数は製
品形状やその大きさ等により1つでもよいし2以上の複
数であってもよく、その配置も適宜決定される。
【0020】次に、前記成形装置を用いた多層成形品の
製造方法を説明する。この製造方法は、以下の工程〜
を順次に実行することによる。図2、図3は、前記製
造工程〜を示した模式図である。
【0021】<表皮材供給工程>先ず、図2(a)に
示すように、両金型1,2を開いて開放状態とし、両金
型1,2間にファブリック表皮材3を供給する。このと
き、ファブリック表皮材3は、その雄金型1の金型面を
覆うように載置してもよいし、雌雄両金型1,2間に設
けた表皮材固定枠等を用いて固定してもよく、或いは雌
金型2の金型面等にピン等の適宜の手段により固定して
もよく、その供給、固定方法は任意である。
【0022】<溶融樹脂工程>次に、図2(b)に示
すように、ファブリック表皮材3と金型面との間に溶融
熱可塑性樹脂4を供給する。このとき、溶融熱可塑性樹
脂4は、基材側となる成形面(雄金型1の成形面)とフ
ァブリック表皮材3の起毛31を形成していない裏面と
の間に供給される。溶融熱可塑性樹脂4の供給は、前記
射出機12より雄金型1内に設けた溶融樹脂通路5を介
して供給する。なお、このほか金型外に設けた射出機等
の樹脂供給手段から金型面上に直接供給するような外部
供給手段によってもよい。なお、このときの雌雄両金型
1,2間のキャビティクリアランスは、具体的には使用
するファブリック表皮材3の種類、厚み、熱可塑性樹脂
の種類、基材の厚みなどによって適宜決定される。
【0023】<型締め工程>そして、図2(c)に示
すように、雌雄両金型1,2を閉じて型締めを行う。こ
の型締めは、前記型締機11の型締シリンダ13を駆動
させることにより行うが、溶融熱可塑性樹脂4の供給完
了後に開始してもよいし、前記溶融樹脂供給工程と同
時に、すなわち溶融熱可塑性樹脂4を供給しながら並行
的に行ってもよい。溶融熱可塑性樹脂4の供給完了後に
型締めを行う際には、溶融熱可塑性樹脂4の供給完了後
速やかに型締めを開始することが成形品の変形等を防止
するうえで好ましい。この型締めにより、ファブリック
表皮材3は、起毛31のある表面側が雌金型1の成形面
に接触すると同時に起毛31のない裏面側で溶融熱可塑
性樹脂層に一体的に貼合される。
【0024】<一次冷却工程>続いて、前記型締め状
態を保持しつつ溶融熱可塑性樹脂4を一次冷却する。こ
こで、一次冷却とは、型締め状態において溶融熱可塑性
樹脂4の表面部分が僅かに固化している状態にあればよ
く、熱可塑性樹脂層の厚み方向の中心部まで完全に固化
している必要はない。
【0025】このとき一対の金型1,2を所定の型締め
圧力で保持することにより成形品が変形することなく溶
融熱可塑性樹脂4を冷却することができる。そして、こ
の一次冷却工程の前期を第1の型締め圧力で一対の金
型1,2を保持し、その後の後期を前記第1の型締め圧
力よりも小さい第2の型締め圧力で一対の金型1,2を
保持する。このように後期を前期における第1の型締め
圧力よりも小さい第2の型締め圧力で一対の金型1,2
を保持することにより、この後期の間はファブリック表
皮材3表面に対する加圧力が軽減されて起毛31への加
圧状態がやわらぐので、起毛31の毛倒れ状態の癖付け
が緩和される。これによって、後の二次冷却工程の期
間中に倒れていた起毛31の復元がより確実となる。ま
た、この後期の間も第2の型締め圧力で一対の金型1,
2を保持して一次冷却されるので、冷却不足による成形
品の変形等を来たすこともない。
【0026】第1の型締め圧力から第2の型締め圧力へ
の切換えは、前記型締シリンダ13の油圧を減圧するこ
とでもよいし、型締シリンダ13による型締め圧力はそ
のまま保持しつつ前記型戻し装置15を駆動させ雌金型
2に上方への加圧力を加えるようにしてもよい。なお、
前記第2の型締め圧力としては、使用するファブリック
表皮材3の種類や厚み、基材40となる熱可塑性樹脂の
種類や厚み、成形時の樹脂温度等によって最適な値が決
定されるが、第1の型締め圧力の10%〜80%の範囲
の圧力に設定するのが成形品の変形等を防ぐうえで好ま
しい。
【0027】なお、使用するファブリック表皮材3や基
材40、成形時の樹脂温度等によっては、第1の型締め
圧力から第2の型締め圧力へ切替えることなく一定の型
締め圧力によって一対の金型1,2を保持して一次冷却
を行うようにしてもよい。
【0028】一方、この一次冷却時間は、それが短すぎ
ると成形品の変形が大きく、長すぎるとファブリック表
皮材3へのダメージが大きくなって毛倒れが復元し難く
なる。そのため、一次冷却の全体時間やその前期と後期
の時間は、使用するファブリック表皮材3の種類や製品
厚み、成形時の樹脂温度、型締め圧力等によって最適な
時間が決定され、目安として、一次冷却時間を5〜10
秒とした場合、前期の型締め時間は3秒以内とするのが
好ましい。例えば、金型温度30℃で、樹脂温度200
℃のポリプロピレン樹脂(溶融熱可塑性樹脂4)を使用
し、2.5mm厚の基材40に6mmの起毛を有するフ
ァブリック表皮材3を貼合した多層成形品を製造する場
合には、一次冷却時間の全体は、およそ5秒から10秒
程度とする。
【0029】<半開工程>次に、一次冷却工程が完
了すると、図3(d)に示すように、一対の金型1,2
を所定間隔Wだけ半開させる。この半開は、ファブリッ
ク表皮材3表面がその成形面に配置された雌金型2を上
昇させることによる。この半開動作は、一対の金型1,
2の型締め状態で、前記型締シリンダ13の加圧力を解
除(解除開始、解除完了の両方を含む。)し型戻し装置
15を駆動させることにより行ってもよく、予め型戻し
装置15を駆動させておきその後前記型締シリンダ13
の加圧力を減衰させることにより行ってもよい。但し、
予め型戻し装置15を駆動させておいた方が半開動作に
素早く移行させるうえで好ましい。また、前記一次冷却
工程の後期を第2の型締め圧力で一対の金型1,2を
保持する場合は、半開動作時間を短くするうえで好まし
い。なお、型締機11として、サーボモータ等を使った
電動式型締機による場合はサーボモータへの極性を逆に
切換え所定の半開位置まで雌金型2を上昇させる。
【0030】このようにして一対の金型1,2を半開さ
せると、ファブリック表皮材3表面と雌金型2の成形面
との間に隙間Aが形成される。これによって、ファブリ
ック表皮材3表面の起毛31に対する型締め圧力が軽減
され、次の二次冷却工程での冷却期間中に倒れていた
起毛31が起き上がりその復元が可能となる。
【0031】ここで、前記間隔Wは、雄金型1の成形面
と雌金型2の成形面との間の距離を指し、前記隙間A
は、一次冷却工程における雌金型2の成形面と半開時
における雌金型2の成形面との距離の差を指す(図3
(d)を参照。)。そして、このときの一対の金型1,
2の半開間隔Wは、成形前後におけるファブリック表皮
材3表面の色差が小さく且つ成形品の変形が小さくなる
ように0.1mm刻みで調節して決定される。すなわ
ち、ファブリック表皮材3表面の色は、起毛31の毛倒
れの状態によって色調が変わる。よって、成形前後にお
けるファブリック表皮材3表面の色差が最も小さい場合
に、成形後の起毛31の状態が成形前の起毛31の状態
と近くなり最も毛倒れの少ない状態となる。これは、半
開間隔Wを広くするに従ってファブリック表皮材3表面
に対する金型面からの加圧力が緩和されて二次冷却工程
で倒れていた起毛31の起き上がりがより確実に行わ
れるから、成形前後のファブリック表皮材3表面の色差
が小さくなる。一方、半開間隔Wが広くなりすぎると二
次冷却工程で溶融熱可塑性樹脂4に対する冷却が不足
して行き、成形品の変形が生じ易くなる。そこで、成形
前後におけるファブリック表皮材3表面の色差が小さく
且つ成形品の変形が小さくなる半開間隔Wを決定するこ
とで、次の二次冷却工程において溶融熱可塑性樹脂4
の冷却不足を防止しつつファブリック表皮材3表面の倒
れていた起毛31の復元が最適に行われることとなる。
【0032】また、前記間隔Wの調節を0.1mm刻み
の微小単位で行うことにより、毛倒れや変形が最も少な
い成形品を得るのに最適な金型間隔を確実に決定でき
る。この0.1mm刻みの調節は、前記型戻し装置15
を用いることにより容易かつ確実に行える。すなわち、
雌金型2の半開位置までの上昇に必要な圧力は型戻し装
置15の各々のシリンダに分担されるから、型戻し装置
15全体のストローク量制御が容易となるため、大容量
で応答性が遅い1本の型締シリンダ13で上昇させると
きよりも遥かに位置精度よく半開させることができる。
なお、サーボモータを使った電動式型締機による場合
は、サーボモータによって雌金型2を所定の半開位置ま
で位置精度よく上昇させることができる。そして、金型
1,2の所定間隔Wは、最終製品厚みの80%から最終
製品厚みまでの範囲とするのが好ましい。ここで、前記
最終製品厚みとは、予め設定された基材40の厚みと、
成形前のファブリック表皮材3の厚みとの合計値をい
う。
【0033】そして、前記間隔Wは、成形前のファブリ
ック表皮材3表面の色調および最終製品の設計形状を予
め登録し、0.1mm刻みで間隔Wを変更した成形後の
ファブリック表皮材3表面の色調および成形品形状を撮
像機を備えた所望の画像解析装置等で読み取り、その色
差や成形品の変形具合を解析し、色差および変形ともに
最小となる値を自動的に決定するソフトウエアを構築し
て、このソフトウエア処理によって前記間隔Wの最適な
位置を自動的に求めるようにしてもよい。
【0034】なお、このとき金型1,2の半開動作は、
瞬時に行うことが好ましい。すなわち、前記半開動作が
瞬時に行われることで半開動作中に起毛31に倒れ癖が
付くこともなく起毛31の復元が確実に行われ、また、
一次冷却工程から次の二次冷却工程への移行も瞬時
に行われるので、溶融熱可塑性樹脂4に対する冷却不足
等も生じないからである。具体的に前記半開動作時間と
しては、1秒以内であることが好ましい。ここで、前記
半開動作時間とは、前記一次冷却工程の終了時におけ
る一対の金型1,2の型締め圧力の減衰開始から半開完
了までの時間をいう。
【0035】<二次冷却工程>そして、図3(e)に
示すように、前記半開状態に一対の金型1,2を保持し
つつ溶融熱可塑性樹脂4を二次冷却する。この半開状態
での二次冷却は、通常の成形方法と同様に、型締めされ
ている溶融熱可塑性樹脂4がその厚み方向の中心部まで
固化されるまで行われる。また、前記一次冷却工程の
型締めによって圧縮されたファブリック表皮材3は、こ
の二次冷却工程の冷却期間中に倒れていた起毛31が
復元される。
【0036】<製品取出工程>そして、図3(f)に
示すように、溶融熱可塑性樹脂が固化(基材40)した
後、両金型1,2を開き、基材40表面に起毛31の復
元したファブリック表皮材3が貼合された多層成形品が
取り出される。その後、基材40周囲の不要なファブリ
ック表皮材3部分をカットし、多層成形品よりなる最終
製品8が出来上がる(図4)。
【0037】以上のように、第1の実施の形態によれ
ば、前記半開工程での一対の金型の半開間隔Wを、成
形前後におけるファブリック表皮材3表面の色差が小さ
く且つ成形品の変形が小さくなるように0.1mm刻み
で調節して決定した値とするので、ファブリック表皮材
3表面の起毛31の復元が確実に行われると共に、溶融
熱可塑性樹脂4に対する冷却不足等も生じない。その結
果、毛倒れや変形が少なく見栄えの良好な外観を有する
多層成形品8が確実に得られる。
【0038】なお、前記方法において、図5に示すよう
に基材41の裏面側にリブ7等を設けることにより成形
品の変形をより一層抑制することができる。これは、雄
金型1の成形面に前記リブ7に対応する凹凸を設けるこ
とで実現される。
【0039】(第2の実施の形態)次に、第2の実施の
形態を説明する。第2の実施の形態は、ファブリック表
皮材が基材の表面に部分的に貼合された多層成形品を製
造する方法である。この第2の実施の形態が前記第1の
実施の形態における方法と主に異なるところは、雌金型
の一部に金型の開閉方向に進退可能に摺動する可動ブロ
ックが設けられ、この可動ブロックを後退させる動作を
行うことにより前記半開工程(図3(d))に相当す
る製造工程(後述の可動ブロックの後退工程)を行う
ことである。従って、この方法においても前記第1の実
施の形態で用いた成形装置と略同様の構成のものが使用
されるが、雌金型20には、製品の表皮材貼合面に対応
する金型成形面23のうちのファブリック表皮材50と
接する金型部分に可動ブロック21が設けられている
(図6(a)等を参照。)。
【0040】この可動ブロック21は、その成形面24
の大きさが貼合されるファブリック表皮材50の面と略
同等であって雌金型20内に埋め込まれ、且つ、移動手
段22に接続されており、この移動手段22により金型
内を金型の開閉方向に進退可能に摺動する構造となって
いる。前記移動手段22としては、例えば、油圧式シリ
ンダのほかに、サーボモータ等の電動式出力軸などとし
てもよい。
【0041】なお、この可動ブロック21が最も前進し
た状態においては、図6(a)に示されるように可動ブ
ロック21の成形面24とこれが埋め込まれた雌金型2
0の成形面23とで連続した一つの成形面を形成するよ
うになっている。また、この第2の実施の形態では、型
締機としては第1の実施の形態における型戻し装置15
(図1を参照。)は、特に設けないものでもよい。
【0042】以下に、第2の実施の形態による多層成形
品の製造方法を具体的に説明する。この製造方法は、以
下の工程〜を順次に実行することによる。図6、図
7は、前記製造工程〜を示した模式図である。
【0043】<表皮材供給工程>先ず、図6(a)に
示すように、両金型1,20を開いて開放状態とし、両
金型1,20間にファブリック表皮材50を供給する。
このとき、ファブリック表皮材50は、可動ブロック2
1の成形面24に対応する位置に供給されるが、図6
(a)では雄金型1の成形面上の可動ブロック21の成
形面24に対向する位置にファブリック表皮材50を載
置した状態を示している。
【0044】なお、ファブリック表皮材50は、雄金型
1の成形面上に単に載置したままでもよいが、ファブリ
ック表皮材50の位置決めのための固定具などを利用し
て固定してもよい。また、雌雄両金型1,20の位置関
係やファブリック表皮材50の種類等によっては、ファ
ブリック表皮材50を可動ブロック21の成形面24上
に直接載置したり、両面テ−プ等を用いてファブリック
表皮材50の表面側を可動ブロック21の成形面24に
仮り止め、固定してもよく、その供給、固定方法は任意
である。
【0045】<溶融樹脂供給工程>次に、図6(b)
に示すように、ファブリック表皮材50と金型面との間
に溶融熱可塑性樹脂4を供給する。この溶融樹脂供給工
程は、前記第1の実施の形態と略同様に行われるが、
溶融熱可塑性樹脂4の供給時には、通常は、可動ブロッ
ク21の成形面24とこれが埋め込まれた雌金型20の
成形面23とが連続した成形面を形成するように、予め
可動ブロック21の位置調整が行われる。
【0046】<型締め工程>そして、図6(c)に示
すように、雌雄両金型1,20を閉じて型締めを行う。
この型締め工程も、前記第1の実施の形態と略同様に
行われ、この型締めにより、ファブリック表皮材50の
表面は溶融熱可塑性樹脂層の表面に部分的に貼合される
と同時に可動ブロック21の成形面24に接触した状態
となる。
【0047】<一次冷却工程>続いて、前記型締め状
態を保持しつつ溶融熱可塑性樹脂4を一次冷却する。こ
の一次冷却工程も、前記第1の実施の形態と略同様に
行われる。すなわち、この一次冷却工程の前期を第1
の型締め圧力で一対の金型1,20を保持し、その後の
後期を前記第1の型締め圧力よりも小さい第2の型締め
圧力で一対の金型1,20を保持するようにしてもよい
し、一次冷却工程の全体を通して一定の型締め圧力で
一対の金型1,20を保持するようにしてもよい。
【0048】<可動ブロック後退工程>次に、一次冷
却工程が完了すると、図7(d)に示すように、可動
ブロック21を後退させて、ファブリック表皮材50表
面と可動ブロック21の成形面24との間に所定間隔A
1を設ける。
【0049】この可動ブロック21の後退は、この可動
ブロック21に接続された油圧式シリンダ等の移動手段
22を駆動させることによる。そうすると、ファブリッ
ク表皮材50表面と可動ブロック21の成形面24との
間に隙間A1が形成される。これによって、ファブリッ
ク表皮材50表面の起毛51に対する型締め圧力が軽減
され、次の二次冷却工程での冷却期間中に倒れていた
起毛51が起き上がりその復元が可能となる。
【0050】また、可動ブロック21の後退により形成
する前記隙間A1は、雌金型20の成形面23と可動ブ
ロック21後退時における可動ブロック21の成形面2
4との間の距離を指すが(図7(d)を参照。)、この
ときの雄金型1の成形面とこの可動ブロック21後退時
における可動ブロック21の成形面24との間の金型間
隔W1は、前記実施の形態1での半開工程のときと同
様に、成形前後におけるファブリック表皮材50表面の
色差が小さく且つ成形品の変形が小さくなるように0.
1mm刻みで調節して決定される。これにより、次の二
次冷却工程において溶融熱可塑性樹脂4の冷却不足を
防止しつつファブリック表皮材50表面の倒れていた起
毛51の復元が最適に行われることとなる。
【0051】また、前記間隔W1の調節を0.1mm刻
みの微小単位で行うことにより、毛倒れや変形が最も少
ない成形品を得るのに最適な金型間隔W1を確実に決定
できる。そして、前記間隔W1としては、最終製品厚み
の80%から最終製品厚みまでの範囲で決定するのが好
ましい。これによって、次の前記二次冷却工程におい
て溶融熱可塑性樹脂4の冷却不足を防止しつつファブリ
ック表皮材50表面の倒れていた起毛51の復元が最適
に行われる。
【0052】なお、前記間隔W1は、前記実施の形態1
の半開工程のときと略同様なソフトウエアを構築し
て、このソフトウエア処理によって最適な位置を自動的
に求めるようにしてもよい。また、この可動ブロック2
1の後退動作時間は、前記第1の実施の形態の半開工程
における半開動作時間と同様に1秒以内の瞬時に行う
ことが好ましい。
【0053】<二次冷却工程および製品取出工程>
そして、前記第1の実施の形態の場合と同様に、前記可
動ブロック21の後退状態を保持しつつ溶融熱可塑性樹
脂4を二次冷却し(図7(e))、溶融熱可塑性樹脂4
が固化(基材40)した後、両金型1,20を開いて成
形品を取り出す(図7(f))。以上の工程〜を経
て、図8に示すように、基材40表面に起毛51の復元
したファブリック表皮材50が部分的に貼合された多層
成形品80が製造される。
【0054】この第2の実施の形態においても、前記可
動ブロック21の後退工程での可動ブロック後退時の
成形面24と雄金型1の成形面との間隔W1は、成形前
後におけるファブリック表皮材50表面の色差が小さく
且つ成形品の変形が小さくなるように0.1mm刻みで
調節して決定した値とするので、前記ファブリック表皮
材50表面の起毛51の復元が確実に行われると共に溶
融熱可塑性樹脂4に対する冷却不足等も生じない。その
結果、毛倒れや変形が少なく見栄えの良好な外観を有す
る多層成形品80が確実に得られる。
【0055】なお、基材40全体の表面積とファブリッ
ク表皮材50貼合部分の面積との関係によってはファブ
リック表皮材50が貼合された基材40部分がファブリ
ック表皮材50の断熱効果による冷却不足となって他の
基材40部分と冷却の程度が異なる結果、成形品に変形
が生じるおそれがある。このような変形は、例えば、先
に図5で示したように基材41の裏面側にリブ7等を設
けることにより抑制することができる。また、前記可動
ブロック21の形状や数は特に限定されず、種々の形状
の成形面を有したものを使用することができ、また、複
数の可動ブロック21を用いてもよい。
【0056】(その他)本発明において、一対の金型
1,2(1,20)の開閉方向は何ら本質ではなく、開
閉方向が左右の横方向である雌雄両金型を用いても全く
同様に実施することができる。
【0057】本発明の方法に適用されるファブリック表
皮材3としては、合成樹脂からなる1mm以上の起毛3
1(51)を表面に有するものであれば特に制限なく使
用することができ、例えば、起毛のあるモケット、トリ
コット等の織物や編物、ニードルパンチカーペット等の
不織布などが挙げられる。このようなファブリック表皮
材は、それ単独で使用されるのみならず、2種以上を接
着剤等で接着した複合ファブリック表皮材として使用す
ることもでき、特にポリプロピレン発泡シートなどのポ
リオレフィン系樹脂発泡シートやウレタン発泡シートな
どを裏打ち材としたファブリック表皮材は好んで用いら
れる。そして、前記したポリプロピレン発泡シートなど
のポリオレフィン系樹脂発泡シートは架橋タイプだけで
はなく非架橋タイプの発泡シートも用いることができ、
その発泡倍率は特に限定されない。また、前記ファブリ
ック表皮材としては、貼合すべきファブリック表皮材形
状に応じて予備賦型を行っていてもよい。
【0058】また、本発明の方法に適用される基材40
(41)の熱可塑性樹脂としては、一般の射出成形、射
出圧縮成形、押出成形、スタンピング成形などで通常使
用されているものであれば特に制限なく使用することが
でき、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポ
リオレフィン樹脂、ポリスチレン、アクリル樹脂、アク
リロニトリル−スチレン−ブタジエンブロック共重合
体、ナイロンなどのポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ
カーボネート、スチレン−ブタジエンブロック共重合体
などの一般的な熱可塑性樹脂の他、EPMやEPDMな
どの熱可塑性エラストマー、これらの混合物、あるいは
これらを用いたポリマーアロイなどが挙げられ、また、
これらの樹脂は、発泡性であっても非発泡性であっても
よい。また、これらの熱可塑性樹脂には必要に応じてガ
ラス繊維などの強化繊維、タルク、ワラストナイトなど
の各種の無機もしくは有機フィラーなどの充填材を含有
していてもよく、もちろん、通常使用される各種の顔
料、滑材、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線防止剤など
が適宜配合されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】射出成形装置の概略構成を示した側面図であ
る。
【図2】第1の実施の形態による製造工程を金型の概略
で示した模式図である。
【図3】第1の実施の形態による製造工程を金型の概略
で示した模式図である。
【図4】第1の実施の形態による製造工程で得られた多
層成形品を示した断面模式図である。
【図5】リブ付の多層成形品を示した断面模式図であ
る。
【図6】第2の実施の形態による製造工程を金型の概略
で示した模式図である。
【図7】第2の実施の形態による製造工程を金型の概略
で示した模式図である。
【図8】第2の実施の形態による製造工程で得られた多
層成形品を示した断面模式図である。
【符号の説明】
1:雄金型 2,20:雌金型 3,50:ファブリック表皮材 4:溶融熱可塑性樹脂 5:溶融樹脂通路 6:樹脂供給口 7:リブ 8,80:最終製品 31,51:起毛 40:基材 A,A1:隙間 W:半開間隔 W1:金型間隔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北山 威夫 大阪府高槻市塚原2丁目10番1号 住友化 学工業株式会社内 Fターム(参考) 4F206 AD05 AD08 AG03 AR025 AR12 JA07 JB12 JB13 JL02 JM04 JN11

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の金型を用いて起毛を表面に有する
    ファブリック表皮材と合成樹脂からなる基材とを一体成
    形する多層成形品の製造方法であって、 開放状態にある一対の金型間にファブリック表皮材を
    供給する工程、 ファブリック表皮材の裏面と金型面との間に溶融合成
    樹脂を供給する工程、 溶融合成樹脂の供給後あるいは供給しながら一対の金
    型を型締めする工程、 所定の型締め圧力で一対の金型の型締め状態を保持し
    つつ溶融合成樹脂を一次冷却する工程、 一対の金型を所定間隔半開させる工程、 前記半開状態に一対の金型を保持しつつ溶融合成樹脂
    を二次冷却する工程、 溶融合成樹脂が固化した後、一対の金型を開き成形品
    を取り出す工程、を順次に実行するものであり、 前記半開工程での一対の金型の半開間隔は、成形前後
    におけるファブリック表皮材表面の色差が小さく且つ成
    形品の変形が小さくなるように0.1mm刻みで調節し
    て決定した値であることを特徴とする多層成形品の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 製品の表皮材貼合面に対応する金型成形
    面における金型部分が金型の開閉方向に進退可能に摺動
    する可動ブロックからなる一対の金型を用いて、起毛を
    表面に有するファブリック表皮材が部分的に合成樹脂か
    らなる基材の表面に貼合された多層成形品を製造する方
    法であって、 開放状態にある一対の金型間にファブリック表皮材を
    供給する工程、 ファブリック表皮材の裏面と金型面との間に溶融合成
    樹脂を供給する工程、 溶融合成樹脂の供給後あるいは供給しながら一対の金
    型を型締めする工程、 所定の型締め圧力で一対の金型の型締め状態を保持し
    つつ溶融合成樹脂を一次冷却する工程、 ファブリック表皮材と接している可動ブロックを金型
    内に後退させる工程、 前記可動ブロック後退状態に一対の金型を保持しつつ
    溶融合成樹脂を二次冷却する工程、 溶融合成樹脂が固化した後、一対の金型を開き成形品
    を取り出す工程、を順次に実行するものであり、 前記可動ブロックの後退工程での可動ブロック後退時
    の成形面と他方の金型の成形面との間隔は、成形前後に
    おけるファブリック表皮材表面の色差が小さく且つ成形
    品の変形が小さくなるように0.1mm刻みで調節して
    決定した値であることを特徴とする多層成形品の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項1における前記半開工程での一
    対の金型の半開間隔、または請求項2における前記可動
    ブロックの後退工程での可動ブロック後退時の成形面
    と他方の金型の成形面との間隔は、最終製品厚みの80
    %以上であることを特徴とする多層成形品の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の多
    層成形品の製造方法において、 前記一次冷却工程においては、その前期を第1の型締
    め圧力で一対の金型を保持し、後期を前記第1の型締め
    圧力よりも小さい第2の型締め圧力で一対の金型を保持
    することを特徴とする多層成形品の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015054479A (ja) * 2013-09-13 2015-03-23 パナソニック株式会社 インサート成形品、及びその製造方法

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