JP3612987B2 - 樹脂の多層成形方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金型内に表皮材をセットした後、第1溶融樹脂を射出充填し、引き続き第2溶融樹脂を射出充填して、表皮材と第1溶融樹脂と第2溶融樹脂とを融着一体化させることにより、表面に加飾性を有した樹脂の多層成形品を得る樹脂の多層成形方法および多層成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車、家電、建材等に使用される樹脂成形部品には、益々付加価値が求められている。ソフト感やクッション性と同時に手触り感や質感等の付加価値付与の要求とともに、成形工程の省工程化によるコストダウンの要求も大きくなってきている。これらに対応するため、従来は下記のような多層成形が実施されている。すなわち、
▲1▼ 金型内に表皮材(加飾材)をインサート・セットして、型締あるいは型開保持状態でコア材を射出充填した後、射出保圧力あるいは型締力を負荷するとともにコア材を冷却する。冷却の完了を待って、型開の上成形品を取り出すことにより、コア材樹脂成形品の表面に表皮材(加飾材)が融着一体化された表面加飾成形品を得ている(表皮材インサート成形)。
▲2▼ 金型内に第1層樹脂(コア材)射出充填し、金型を部分的あるいは全面的に後退または型締力を低下させた状態で、第2層樹脂(加飾材)を射出充填した後、金型を前進または型締力を負荷するとともに充填樹脂を冷却する。冷却の完了を待って、型開の上成形品を取り出すことにより、コア材樹脂の表面に加飾材樹脂が積層一体化された表面加飾成形品を得ている(サンドイッチ成形)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の方法では、下記に示すような問題があった。
(1)表皮材インサート成形の場合は、ソフト感やクッション性を持たせるために、裏面(コア材樹脂側)に発泡層をラミネートした表皮材を使用するが、射出充填時に高温・高圧のコア材樹脂により発泡層は容易に溶損して、ソフト感やクッション性が消失してしまう。この対策として、発泡層の裏面に耐熱・耐圧性を有する保護層をラミネートした表皮材を使用しているが、表皮材のコストアップを招くとともに、完全な発泡層の保護は困難であった。
(2)サンドイッチ成形においても、手触り感や質感を要求される場合も多くなってきているが、成形用樹脂のみでは手触り感や質感を持たせることはできない。手触り感や質感を持たせる方法としては加飾材として起毛布や織布が理想的であり、従来のサンドイッチ成形では対応はできなかった。
ソフト感やクッション性と手触り感や質感が同時に要求される場合は従来の成形方法では対応は困難であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
以上のような課題を解決するために、本発明においては、第1の発明では、対向する一対の金型間に表面に加飾層を有する表皮材を介在させて型締した後、該表皮材と該両金型とで形成される金型キャビティ空間内に第1溶融樹脂を射出充填して表皮材と第1溶融樹脂とを積層させ第1樹脂層を形成し、引き続き該第1樹脂層と金型とで形成される金型キャビティ空間内に第2溶融樹脂を射出充填して第2樹脂層を形成するとともに表皮材と第1樹脂層と該第2樹脂層とを順次積層形成させるとともに、冷却過程における表皮材加飾層の温度が予め設定した設定温度に到達した時点で、表皮材加飾層の厚さに応じた隙間を表皮材と金型の間に設けて、所定の設定時間保持することとした。
また、第2の発明では、表皮材の加飾層は、ガラス転移点が第1溶融樹脂あるいは第2溶融樹脂の射出時の樹脂温度よりも低い材質を選定し、加飾層がゴム状弾性を示す温度領域内に設定温度を設定することとした。
さらに、第3の発明では、第1溶融樹脂および第2溶融樹脂を射出充填する多層射出機構と、多層射出機構を制御する射出制御部と、表皮材を金型内にセットするとともに多層成形品を金型外へ搬出する搬出入機構と、第1溶融樹脂および第2溶融樹脂を射出充填する際の型締条件を多段に設定するとともに、表皮材加飾層の厚さに応じた表皮材と金型との隙間の型開量設定値とを設定入力する型締条件設定部と、表皮材加飾層のゴム状弾性を示す温度領域内で型締状態を切替える温度を設定入力する温度条件設定部と、表皮材加飾層の温度をモニタする温度モニタ部と、温度モニタ部の信号と温度条件設定部の設定値とを比較して型締制御部へ型締状態の切替えタイミング信号を発信する比較制御部と、比較制御部および型締条件設定部の信号に基づいて型締機構を制御するとともに射出制御部へ第1溶融樹脂および第2溶融樹脂を射出充填するタイミング指令を発する型締制御部とを有した樹脂の多層成形装置とした。
【0005】
【発明の実施の形態】
表皮材を金型内にセットして型締した後、第1溶融樹脂(中間材)を射出充填する。引き続き第1樹脂層(中間層)と金型とで形成される金型キャビティ空間内に第2溶融樹脂(コア材)を射出充填して第2樹脂層(コア層)を形成するとともに表皮材と第1樹脂層と第2樹脂層とを順次積層形成させる。これにより各層の材質選択・組み合わせにより表面加飾性を自由自在に付与することが可能となる。
例えば、コア材に成形品の形状保持・強度付与を目的として硬質樹脂を、中間材にソフト感・クッション性の付与を目的として発泡樹脂・軟質樹脂を、表皮加飾層に手触り感・高級感の付与を目的として起毛布・織布・レーザシートを採用することにより、従来の耐熱・耐圧保護層のラミネート表面処理等をしないでソフト感・クッション性と手触り感・高級感を兼ね備えた表面加飾成形品(従来の成形方法では不可能であった)を効率よく安定して得ることができる。
【0006】
更に表皮材・中間材・コア材の積層形成過程において、表皮材加飾層のゴム状弾性を示す温度領域内で設定した設定温度に表皮材加飾層の温度が到達した時点で、表皮材と金型との間に隙間を設けて、加飾層のゴム状弾性による自己回復が可能なスペースを確保した状態で規定時間保持することによって、成形中の外力(第1溶融樹脂と第2溶融樹脂による高温・高圧状態の負荷)により変形した(損傷を受けた)表皮材加飾層は、表皮材本来の風合いを回復することができる。
【0007】
賦形工程と弾性回復工程とを分離することにより、表皮材・中間材・コア材の積層成形(賦形)を目的とした保圧力をより長く保持・継続できるので、多層成形品の変形・反り・偏肉を防止できる。
これにより表皮材・中間材・コア材の積層成形(賦形)と、表皮材加飾層の損傷防止という相反する制御因子を同時にかつ安定して解決することができ、後工程での損傷回復手段や表皮材の多層化処理が不要となり、成形品全面において表面加飾性能に優れた高品質な多層成形品を効率よく安定して得ることができる。
【0008】
【実施例】
以下図面に基づいて本発明の実施例の詳細について説明する。図1〜図5は本発明の実施例に係り、図1は樹脂の多層成形装置の全体構成図、図2〜図4は樹脂の多層成形工程のフローチャート、図5は多層成形の成形動作を説明するための動作説明図である。
【0009】
図1に示すように、本発明における多層成形装置100は、金型装置10と型締装置20と多層射出機構30と制御装置60と図示しない表皮材や成形品の搬出入装置とで構成される。
金型装置10は、固定盤1に取り付けられた固定金型3と可動盤2に取り付けられた可動金型4とからなり、可動盤2および可動金型4は型締装置20の型締シリンダ22で前後進できるよう構成される。
型締装置20は、金型装置10の両金型3、4の型開、型閉を作動する型締シリンダ22を備えており、可動金型4が固定金型3に対して図示しないタイバーに案内されて前後進する。
【0010】
多層射出機構30は、キャビティ5内に第1溶融樹脂(中間材)を供給する第1射出ユニット30Aとキャビティ5内に第2溶融樹脂(コア材)を供給する第2射出ユニット30Bとからなり、それぞれノズル・樹脂流路を経由して三方弁31に接続されている。更に、この三方弁31はキャビティ5と連通している。
【0011】
一方、制御装置60は、図1に示すように、表皮材加飾層の表面温度を検知する温度モニタ部61、温度条件設定部62、比較制御部63、型締制御部64、射出制御部65、型締条件設定部66等から構成されている。
型締制御部64は比較制御部63や射出制御部65、型締条件設定部66に接続されており、比較制御部63は温度モニタ部61や温度条件設定部62と接続されている。
なお、本実施例では、直圧式の型締装置を有する射出成形機を用いたが、トグル型締装置の射出成形機や、あるいは竪型の射出成形機または電動式の型締装置を有する射出成形機を使用してもよい。
【0012】
図2は本発明に係る樹脂の多層成形工程のフローチャート、図3〜図4は実施例に係る樹脂の多層成形工程のフローチャート、図5は樹脂の多層成形の動作説明図であり、以下にその概要と運転方法について説明する。
(a)金型装置10の両金型3、4を型開きした状態で、金型キャビティ面の所定位置に、たとえば真空吸引方式や針刺し方式等の手段を用いて表皮材Sをセット保持する。表皮材Sとしては、加飾層がゴム状弾性挙動を示すもので要求される加飾特性に合った加飾層を有したものを用いる。また、必要に応じて、たとえば中間材溶融樹脂が表面側にしみだすのを防止する役割および中間材樹脂との融着一体化促進の役割を兼用した、中間材樹脂と同種同系統の樹脂製のシートを加飾層の裏側にラミネートしたものや、ソフト感を演出する目的でクッション層を設けたものや、その他の目的で着色層や接着層を設けた多層構成の表皮材や、印刷フィルムを表皮材として用いることもできる。なお、本実施例ではシート状の表皮材を用いたが、三次元的な成形品形状に予めプリ成形したものを表皮材として用いてもよい。また、本実施例では一方の面にだけ表皮材を貼合せるようにしたが、中間材樹脂・コア材樹脂の両面に表皮材を貼合せるようにしてもよい。
【0013】
(b)予め設定した型締条件で第1溶融樹脂(中間材)を射出充填し、保圧を負荷する。中間材の射出充填に際しては表皮材と中間材の種類・組合せ、製品形状等によって適切な型締制御パターンを選択・採用する。
例えば(図3参照)、中間材樹脂の充填条件が悪い場合(低流動樹脂、金型キャビティが複雑・薄肉形状)には、充填された樹脂圧で金型が開くことを許容する比較的小さな型締力(P1)で型締を行なう。射出完了時あるいは射出中の任意の時点となるタイミング信号(G2)で、表皮材・中間材樹脂の融着一体化と中間材樹脂の賦形を目的とした型締力(P2)の負荷に切替える。この型締パターンの採用は、射出充填中の型開挙動による金型キャビティの流動通路拡大や両金型間の隙間よりのエア・ガス抜け効果により、キャビティ内樹脂圧の低圧化と短時間充填が可能となるとともに成形サイクルの短縮も図れる。また、キャビティ内樹脂圧の低圧化による表皮材加飾層の損傷防止効果と全面均一な型締側からの保圧力作用による変形・反りの低減効果もある。
なお、型締力(P1)制御による型開挙動の制御の他に、例えば設定された型開挙動になるように型締力を逐次変化させて制御することもできる。また、型締力(P2)制御による保圧制御の代わりに、例えば製品肉厚に相当する型開量を設定して型締位置制御してもよい。また、必要に応じて型締力を多段に設定することもできる。
【0014】
例えば(図4参照)、中間材樹脂の充填条件が極端に悪い場合には、予め所定の設定型開量位置(S2)で型開保持した状態で中間材樹脂を射出充填し、射出完了時あるいは射出中の任意の時点となるタイミング信号(G4)で、型締力(P5)を負荷して保圧工程に移行する型締制御パターンを採用する。この場合は、型開保持による金型キャビティの流動通路拡大や両金型間の隙間よりのエア・ガス抜け効果と、全面均一な型締側からの保圧力作用効果と、表皮材加飾層の損傷防止(特にゲート部の損傷防止に大きい効果を発揮)等の多方面に渡る大きな効果がある。
【0015】
なお、型締力(P5)負荷による保圧制御の他に、例えば製品肉厚に相当する型開量を設定して型締位置制御することもできる。また、必要に応じて型締力を多段に設定して制御したり、図3と図4の型締パターンを混合して用いることもできる。なお、中間材樹脂の充填条件が良い場合には、図3でP1=P2としてバリが発生しない型締力を負荷・保持することも可能である。
【0016】
(c)タイミング信号(G1)で第2溶融樹脂(コア材)の射出充填と保圧負荷を行なう。ここでも型締制御は表皮材と中間材とコア材の種類・組合せ、製品形状等によって適切な制御パターンを予め選択・設定する。
例えば(図3参照)、コア材樹脂の充填条件が悪い場合には、型開挙動による低圧化効果を期待して、比較的小さな型締力(P3)の型締状態で射出充填し、射出完了時あるいは射出中の任意の時点となるタイミング信号(G3)で、型締力(P4)の負荷の保圧工程に切替える。
例えば(図4参照)、コア材樹脂の充填条件が極端に悪い場合には、型開保持による低圧化効果を期待して、所定の型開量(S3)の型開保持状態で射出充填し、射出完了時あるいは射出中の任意の時点となるタイミング信号(G5)で、型締力(P6)の負荷の保圧工程に切替える。
【0017】
なお、型締力(P4・P6)負荷による保圧制御の他に、例えば製品肉厚に相当する型開量を設定して型締位置制御することもできる。また、必要に応じて型締力を多段に設定して制御したり、図3と図4の型締パターンを混合して用いることもできる。
タイミング信号(G1)は、コア材を射出充填した際に中間材と融着一体化できることが必要であり、例えば中間材の射出開始で起動するタイマのタイムアウト信号で設定できる。
【0018】
表皮材加飾層は、中間材樹脂の射出充填開始と同時に高温・高圧状態の溶融樹脂より高い負荷を受けて損傷し、コア材樹脂の射出充填後の保圧工程で損傷程度はピークとなる。表皮材加飾層の損傷防止の観点からは負荷される外力を小さく(保圧力を小さくし、保圧時間を短くする)したいが、表皮材・中間材・コア材の融着一体化および積層体の賦形の観点からは保圧力・保圧時間を大きくすることが望ましい。この相反する制御因子を一つの成形工程の中で同時に達成することは極めて困難であるが、本発明では表皮材加飾層の損傷防止は次工程(保圧完了後の型開制御工程)で行うことができるので、この保圧工程では表皮材・中間材・コア材の溶着一体化と賦形を主体に行なうことができる。
【0019】
表皮材・中間材・コア材の積層成形(保圧)工程後の冷却過程において、表皮材加飾層の温度をモニタし、モニタ温度が設定温度(表皮材加飾層のゴム状弾性を示すTg以上の温度領域内で設定)(M)に到達した時点で、保圧工程を終えると同時に設定型開量(S1)ので設定時間(t)だけ型開保持する。
表皮材加飾層はガラス転移点が中間材樹脂あるいはコア材樹脂の射出時の樹脂温度より低い材質を選定しているので、例えば中間材樹脂が軟質系のPP樹脂、コア材樹脂に硬質系のPP樹脂であれば、射出充填(樹脂温度200〜240°C)と同時に中間材あるいはコア材樹脂熱量により、表皮材加飾層(例えばPET)はTg(70〜80°C)よりも高温(100〜120°C)のゴム状弾性を示す温度領域まで加熱される。この温度領域であれば、成形中の外力で変形した(損傷を受けた)表皮材加飾層は弾性力により自己回復して、表皮材本来の風合いを回復することができる。
【0020】
ここで設定温度(M)は、成形中に受けた表皮材加飾層の損傷を回復させる温度条件として、表皮材加飾層がゴム状弾性を示す温度領域内(Tg以上の温度)で、コア材樹脂の賦形性の程度(冷却固化状態)を考慮して設定する。なお本実施例では、表皮材加飾層の温度をモニタ温度に採用しているが、中間材樹脂あるいはコア材樹脂の温度をモニタ温度として採用することもできる。この場合は、たとえ表皮材加飾層の温度がTg以下まで冷却されていたとしても、型開保持による伝熱遮断効果と中間材樹脂あるいはコア材樹脂熱量により表皮材加飾層はTg以上に再加熱され、ゴム状弾性による損傷回復が可能となる上に、より長時間の保圧力の負荷継続によりコア材樹脂の賦形性は良好となる。
【0021】
設定型開量(S1)は、表皮材加飾層の弾性力による自己回復スペースの確保と、金型と表皮材加飾層との伝熱遮断によるゴム状弾性を示す温度保持時間の確保を目的として、表皮材加飾層を含む表皮材の厚さと同等かこれ以上の値とし、金型と表皮材の隙間として設定する。
【0022】
設定時間(t)は、弾性力による自己回復に要する時間であり、通常の成形における冷却過程の経過時間範囲内で十分に設定可能であることを実験にて確認済みである。従って通常のコア材樹脂の冷却時間設定の範囲内で、例えば、表皮材加飾層の温度が設定値(M)に到達した時点で起動するタイマのタイムアウト信号で設定できる。
【0023】
(d)設定時間(t)の経過後は、型開動作を行い成形品を取り出して1サイクルを完了する。
【0024】
このように、コア材射出充填後の保圧工程で表皮材・中間材・コア材樹脂の融着一体化や積層体の賦形を行なうとともに、表皮材加飾層の温度が、表皮材加飾層のゴム状弾性を示す温度領域内の設定温度(M)で、設定型開量(S1)だけ金型と表皮材加飾層間に隙間を与えて、設定時間(t)保持することにより、成形中に変形した(損傷を受けた)表皮材加飾層は弾性力により自己回復して、成形後においても表皮材本来の風合いが確保される。
これにより、表皮材・中間材・コア材樹脂の融着一体化や積層体の賦形と、表皮材の損傷防止という相反する制御因子を同時にかつ安定して解決でき、損傷回復のための後工程や表皮材の多層化処理が不要となり、成形品全面において表面加飾性能に優れた高品質な成形品を効率よく安定して得ることができる。
【0025】
更に、表皮材・中間材・コア材の種類・組合せ、製品形状等によって最適な型締制御パターンの選択が可能であること、型締側からの全面均一な保圧ができること、上述した表皮材加飾層のゴム状弾性による自己回復現象による損傷防止効果が相乗して成形品全面において表面加飾性能に優れた高品質な成形品を安定して得ることができる。
【0026】
以上に記載した以外にも、例えば、コア材樹脂の射出開始から、表皮材加飾層の温度が設定温度(M)に到達する時間を予め計測して、コア材樹脂の射出開始で起動するタイマのタイムアウト信号に置き換えて制御することもできる。また、表皮材は中間材・コア材の樹脂成形体の両面に貼付けることもできる。必要に応じて中間材・コア材の他に第3層/第4層の樹脂層を設けることもできる。
【0027】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の方法によれば、下記のような優れた効果が達成される。
(1)コア層・中間層・表皮加飾層の各層の材質選択と組合せにより自由自在に表面加飾の表現が可能となり、これにより表面加飾成形品についての幅広い要求にも柔軟に対応が可能となり、高品質の表面加飾成形品を安定して効率よく供給することができる。
(2)成形中の表皮材加飾層の変形(損傷)による表皮材本来の風合いを損なうことなく、非常に優れた表面加飾性能を有する表皮材で表面加飾した樹脂の多層成形品を効率よく安定して供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用する樹脂の多層成形装置の全体構成図である。
【図2】本発明の実施例に係る樹脂の多層成形工程のフローチャートである。
【図3】本発明の実施例1に係る樹脂の多層成形工程のフローチャートである。
【図4】本発明の実施例2に係る樹脂の多層成形工程のフローチャートである。
【図5】本発明の実施例に係る多層成形の動作説明図である。
【符号の説明】
1 固定盤
2 可動盤
3 固定金型
4 可動金型
5 金型キャビティ
10 金型装置
20 型締装置
22 型締シリンダ
30 多層射出機構
30A 第1射出ユニット(第1溶融樹脂用)
30B 第2射出ユニット(第2溶融樹脂用)
31 三方弁
60 制御装置
61 温度モニタ部
62 温度条件設定部
63 比較制御部
64 型締制御部
65 射出制御部
66 型締条件設定部
100 多層成形装置
S 表皮材
M 設定温度
P1、P2、P3、P4、P5、P6 設定型締力
G1、G2、G3、G4、G5 タイミング信号
S1、S2、S3 設定型開量
t 設定時間
Claims (3)
- 対向する一対の金型間に表面に加飾層を有する表皮材を介在させて型締した後、該表皮材と該両金型とで形成される金型キャビティ空間内に第1溶融樹脂を射出充填して表皮材と第1溶融樹脂とを積層させ第1樹脂層を形成し、引き続き該第1樹脂層と金型とで形成される金型キャビティ空間内に第2溶融樹脂を射出充填して第2樹脂層を形成するとともに表皮材と第1樹脂層と該第2樹脂層とを順次積層形成させるとともに、
冷却過程における表皮材加飾層の温度が予め設定した設定温度に到達した時点で、表皮材加飾層の厚さに応じた隙間を表皮材と金型の間に設けて、所定の設定時間保持したことを特徴とする樹脂の多層成形方法。 - 請求項1記載の表皮材の加飾層は、ガラス転移点が第1溶融樹脂あるいは第2溶融樹脂の射出時の樹脂温度よりも低い材質を選定し、加飾層がゴム状弾性を示す温度領域内に設定温度を設定した請求項1記載の樹脂の多層成形方法。
- 第1溶融樹脂および第2溶融樹脂を射出充填する多層射出機構と、多層射出機構を制御する射出制御部と、表皮材を金型内にセットするとともに多層成形品を金型外へ搬出する搬出入機構と、
第1溶融樹脂および第2溶融樹脂を射出充填する際の型締条件を多段に設定するとともに、表皮材加飾層の厚さに応じた表皮材と金型との隙間の型開量設定値とを設定入力する型締条件設定部と、
表皮材加飾層のゴム状弾性を示す温度領域内で型締状態を切替える温度を設定入力する温度条件設定部と、表皮材加飾層の温度をモニタする温度モニタ部と、温度モニタ部の信号と温度条件設定部の設定値とを比較して型締制御部へ型締状態の切替えタイミング信号を発信する比較制御部と、比較制御部および型締条件設定部の信号に基づいて型締機構を制御するとともに射出制御部へ第1溶融樹脂および第2溶融樹脂を射出充填するタイミング指令を発する型締制御部と、を有した樹脂の多層成形装置。
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